2023年10月9日

「五輪、国連、ノーベル賞」



2023年10月2日 6時04分 NHKニュース

ことしのノーベル賞受賞者の発表が2日から始まります。日本人の受賞はアメリカ国籍を取得した人を含めこれまで28人で、2年ぶりの受賞となるか、注目されます。

ノーベル賞は、ダイナマイトを発明したスウェーデンのアルフレッド・ノーベルの遺言に基づいて、「人類に最大の貢献をもたらした人々」に贈るとされています。

ことしの受賞者の発表は
▽2日が生理学・医学賞
▽3日が物理学賞
▽4日が化学賞
▽5日が文学賞
▽6日が平和賞
▽9日が経済学賞となっています。

日本人の受賞はこれまでアメリカ国籍を取得した人を含めて28人ですが、このうち2000年以降に受賞した20人はすべて、生理学・医学賞、物理学賞、化学賞の自然科学系の3賞で、この期間ではアメリカに次ぐ2番目の多さとなっています。

一方、文学賞は1994年の大江健三郎さん、平和賞は1974年の佐藤栄作元総理大臣以来受賞がなく、経済学賞を受賞した人はいません。

おととし、物理学賞に輝いた真鍋淑郎さん以来、2年ぶりに日本人の受賞があるのか注目されます。

ノーベル賞の授賞式や晩さん会はことし12月にスウェーデンのストックホルムで開かれる見通しです。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20231002/k10014212651000.html



https://www3.nhk.or.jp/news/word/0002502.html




(書きかけ)





(№614 2023年10月2日)

24 件のコメント:

  1. 研究費配分は「広く浅く」 ノーベル級「選択と集中」より成果…筑波・弘前大チーム
    2023/09/23 05:00

     ノーベル賞級の研究成果を上げるには、少額の研究費を多くの研究者に配る方がいい――。そんな分析結果を、筑波大と弘前大のチームがまとめた。研究費の配分で「選択と集中」が進むなか、広く浅く支援する重要性を指摘している。

     チームは、政府が1991年以降、生命科学・医学分野に配分した科学研究費助成事業(科研費)約18万件を対象に、研究費と論文数などとの関係を調べた。

     その結果、500万円以下の少額研究費を多くの研究者に配る方が、高額な研究費を限られた研究者に配分するよりも、iPS細胞(人工多能性幹細胞)の作製などノーベル賞級の研究成果を効率良く出せていた。一方、5000万円以上の高額になると、画期的な成果の論文数は科研費の受給前よりも減ったという。

     筑波大の大庭良介准教授(科学計量学)は「過去の実績にとらわれず、様々な研究者に資金を与えることが望ましい」と話している。
    https://www.yomiuri.co.jp/science/20230923-OYT1T50071/

    https://koibito2.blogspot.com/2018/03/impact.html?showComment=1695416988481#c7588819343099689186

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  2. ノーベル生理学・医学賞にカリコ氏ら2人 ワクチン開発に貢献
    2023年10月2日 18時54分

    ことしのノーベル生理学・医学賞の受賞者に新型コロナウイルスのmRNAワクチンの開発で大きな貢献をした、ハンガリー出身でアメリカの大学の研究者カタリン・カリコ氏ら2人が選ばれました。

    2023年のノーベル生理学・医学賞の受賞者は、日本時間の2日にスウェーデンの首都・ストックホルムで発表されました。

    受賞者の発表会見の内容について随時更新でお伝えします。

    【ライブ配信】受賞者 発表会見のようす

    ノーベル賞2023 関連サイト

    ノーベル賞は、ダイナマイトを発明したスウェーデンのアルフレッド・ノーベルの遺言に基づいて、「人類に最大の貢献をもたらした人々」に贈るとされています。

    ことしの受賞者の発表は
    ▽2日が生理学・医学賞
    ▽3日が物理学賞
    ▽4日が化学賞
    ▽5日が文学賞
    ▽6日が平和賞
    ▽9日が経済学賞となっています。

    日本人の受賞はこれまでアメリカ国籍を取得した人を含めて28人ですが、このうち2000年以降に受賞した20人はすべて、生理学・医学賞、物理学賞、化学賞の自然科学系の3賞で、この期間ではアメリカに次ぐ2番目の多さとなっています。

    一方、文学賞は1994年の大江健三郎さん、平和賞は1974年の佐藤栄作元総理大臣以来受賞がなく、経済学賞を受賞した人はいません。

    生理学・医学賞 注目の研究者は

    坂口志文さん(左) 岸本忠三さん(右)

    毎年、注目されているのは、日本に有力な研究者が多い免疫学の分野で、過剰な免疫反応を抑える「制御性T細胞」を発見した大阪大学特任教授の坂口志文さんや、免疫の働きを強める「インターロイキン6」というたんぱく質を発見した大阪大学特任教授の岸本忠三さんがこれまでに国際的な賞を受賞するなどしています。

    遠藤章さん(左)  満屋裕明さん(右)

    また、病気の治療に貢献している研究者の中では、青カビが作り出す「スタチン」という物質が動脈硬化の原因となる血液の中のコレステロールを下げることを発見し、治療薬の開発に貢献した東京農工大学特別栄誉教授の遠藤章さんや、HIVの増殖を抑える化合物を発見し、後天性免疫不全症候群の世界初の治療薬を開発した国立国際医療研究センター研究所所長の満屋裕明さんが注目されています。

    竹市雅俊さん(左) 森和俊さん(中央) 柳沢正史さん(右)

    このほかの分野では、細胞どうしを結び付けて臓器などを形づくる分子、「カドヘリン」を発見した理化学研究所名誉研究員の竹市雅俊さんや、「小胞体」と呼ばれる細胞の器官が、不良品のたんぱく質を修復したり分解したりする仕組みを解明した京都大学教授の森和俊さんも国際的な学術賞を受賞していて注目されています。

    このほか、脳で分泌される「オレキシン」という神経からの信号を伝える物質が睡眠の制御に関わっていることを発見した筑波大学・国際統合睡眠医科学研究機構機構長の柳沢正史さんは、2023年9月にイギリスの学術情報サービス会社が今後、受賞が有力視される研究者として発表しています。
    https://www3.nhk.or.jp/news/html/20231002/k10014211101000.html

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    1. ノーベル生理学・医学賞にカリコ氏ら…mRNA研究で新型コロナワクチン開発に貢献
      2023/10/02 18:53

      ノーベル生理学・医学賞に決まったカタリン・カリコ氏(左)とドリュー・ワイスマン氏(昨年4月、日本国際賞の授賞式で)

       スウェーデンのカロリンスカ研究所は2日、2023年のノーベル生理学・医学賞を「メッセンジャーRNA」(mRNA)ワクチンの基盤技術を開発した米ペンシルベニア大のカタリン・カリコ特任教授(68)と同大のドリュー・ワイスマン教授(64)に贈ると発表した。新型コロナウイルス禍で普及したmRNAワクチンで、多くの人命が救われたことが評価された。

       mRNAをワクチンや難病の治療薬として応用しようとする研究は約30年前からあったが、mRNAを人体に投与すると免疫が攻撃して強い炎症が起きるため、安全性で難点があった。これを解決したのがカリコ氏とワイスマン氏で、2人がペンシルベニア大で研究していた2005年、mRNAの一部の化学物質(ウリジン)を別の化学物質(シュードウリジン)に置き換えると、免疫の攻撃が抑えられることを発見した。

       この研究がmRNAを医薬品化する最初の足がかりとなって独製薬企業ビオンテックや米モデルナなどのバイオ企業が注目し、がんやインフルエンザなどに対するmRNAを使った次世代の創薬研究が盛んになった。

       20年初頭、新型コロナの感染が世界に拡大すると、米ファイザー、モデルナがmRNAワクチンの開発を進め、同年12月に世界で初めて実用化した。

       授賞式は、アルフレッド・ノーベルの命日にあたる12月10日にストックホルムで開かれる。

      mRNA  細胞が合成するたんぱく質の設計図にあたる分子。塩基という4種類の化合物がひものように連なった構造で、たんぱく質の組み立てに必要な情報を細胞内の小器官に運ぶ伝令役(メッセンジャー)を果たす。
      https://www.yomiuri.co.jp/science/20220928-OYT1T50177/

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    2. ノーベル生理学・医学賞にカリコ氏ら コロナワクチン開発貢献
      2023年10月2日 21時14分

      ことしのノーベル生理学・医学賞の受賞者に新型コロナウイルスのmRNAワクチンの開発で大きな貢献をしたハンガリー出身で、アメリカの大学の研究者カタリン・カリコ氏ら2人が選ばれました。

      スウェーデンのストックホルムにあるノーベル賞の選考委員会は日本時間の午後7時前に記者会見し、ことしのノーベル生理学・医学賞に、新型コロナウイルスの「mRNAワクチン」の開発で大きな貢献をした
      ▽ハンガリー出身で、アメリカのペンシルベニア大学の研究者、カタリン・カリコ氏と
      ▽同じくペンシルベニア大学のドリュー・ワイスマン氏の2人を選んだと発表しました。

      カリコ氏らは人工的に合成した遺伝物質のメッセンジャーRNA=mRNAをワクチンとして使うための基礎となる方法を開発しました。mRNAにはたんぱく質を作るための設計図にあたる情報が含まれています。

      これを人工的に設計し、狙ったたんぱく質が作られるようにして体内で機能するようにすればワクチンとして使うことができると期待されていましたが、mRNAは、ヒトに投与すると体内で炎症が引き起こされるため、医薬品に使うのは難しいのが課題でした。

      カリコ氏らはmRNAを構成する物質を別の物質に置き換えることで炎症反応が抑えられることを発見し、2005年に発表しました。

      さらに、置き換えられたmRNAを使うと目的とするたんぱく質が劇的に効率よく作られることを発見し、医薬品として扱う上での大きな壁を取り除きました。この技術をもとに製薬会社がワクチンの開発に乗り出し、新型コロナのパンデミックでは記録的な速さでワクチンの開発に成功しました。この技術の柔軟性はほかの感染症のワクチンの開発にも道を開き、今後、ガンの治療などへの応用が期待されています。

      選考委員会「新型コロナワクチン開発に不可欠だった」

      ノーベル賞の選考委員会は授賞理由について「2人の発見は、2020年初頭に始まったパンデミックで新型コロナウイルスに対して効果的なmRNAワクチンの開発に不可欠だった」としています。

      その上で「mRNAが免疫システムにどう相互に作用するかについて私たちの理解を根本から変えた画期的な発見を通じて、2人は、現代における人類の健康に対する最大の脅威の1つだったパンデミックで前例のないスピードのワクチン開発に貢献した」と評価しています。

      また、授賞が決まったことを伝えた際のカリコ氏とワイスマン氏の様子について「2人はとても喜んでいた」と明らかにしました。

      このうちカリコ氏は「とても感激した」と話したということです。

      ワイスマン氏には選考委員会が公式発表する数分前に連絡が取れたということで「彼は感激していて、非常に感謝していた」と述べました。

      安全性についての質問も

      記者会見では、新型コロナウイルスのmRNAワクチンの安全性についての質問も出されました。

      これに対してノーベル賞の選考委員会は「mRNAワクチンの接種は始まってまだまもないが、すでにのべ130億人が接種を受けている。副反応も限定的で大きな懸念とは考えていない。有害事象として特に若い男性で心筋炎が出ることがあるが、ほとんどの場合は軽度で、特に長期的な影響なく解消するということだ。コロナに感染する方が長期的な健康への影響がある」と述べました。

      また、ワクチンに反対する動きがあるなかで、科学界や医療界はどう対応し、どう説明すべきか問われたのに対しては「このワクチンがどのように機能するのか、引き続き仕組みを説明していく必要がある。新型コロナの場合、mRNAワクチンの開発が大きなニーズを受けて、加速したのは事実だが、臨床試験が短い期間で行われたからといって安全性の確認が省略されたわけではない。臨床試験がどのように行われたのかや、数十年に及ぶ基礎研究が行われてきたことについて伝えていくべきだと思う。ノーベル賞の受賞によってこうした事実に光が当たることを願う」と説明しました。

      所属するペンシルベニア大「画期的な発見」

      カリコ氏とワイスマン氏が所属するペンシルベニア大学は、授賞発表の直後にSNSにコメントを投稿し「2人を誇りに思う。画期的な発見は世界的なパンデミックという難題を克服しただけでなく、今後、数十年にわたり他の多くの病気の治療と予防に大きな影響を与えるだろう」と祝福しました。

      SNSには事前に撮影されたとみられる2人のインタビュー動画も投稿されていて、カリコ氏は「母が、『毎年10月にはあなたがノーベル賞をとるのではないかと思ってラジオを聞いているの。ずっと努力しているから』と言うので、わたしは『たくさんの科学者が大変な努力を続けているのよ』と説明したものです」と笑顔で語っています。

      ワイスマン氏は「ノーベル賞は科学者にとって最も重要な賞で、大変な名誉です。私たち2人が力を合わせなければ、この研究は達成しえなかったと思います。これがとても重要なことだと思います」と話しています。

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    3. 《研究者から喜びの声》

      審良特任教授「20年かけて結実させた」

      mRNAの研究には日本人の研究者も関わっていて、大阪大学の審良静男特任教授は、カリコ氏らが2008年に発表した論文に共著者のひとりとして名を連ねています。

      mRNAは体内に入ると、炎症が引き起こされますが、その理由は病原体が体内に侵入したときに最初に働く「自然免疫」が活性化するためだと考えられています。

      自然免疫の研究の第一人者として知られる審良特任教授はカリコ氏らとともにmRNAを構成する物質の1つ、「ウリジン」を、別の物質「シュードウリジン」に置き換えた場合の炎症の程度を調べた論文を発表しました。

      この中で、マウスを使った実験で、特定の「シュードウリジン」に置き換えたmRNAを投与した場合、炎症反応が抑えられ、目的とするたんぱく質が作られる効率も通常のmRNAを投与した場合の10倍以上になることを明らかにしました。

      かつて関わった研究が、カリコ氏らの受賞につながったことについて、審良特任教授は「カリコ氏の生理学・医学賞の受賞を喜ばしく思います。mRNAをワクチンに使うという発想は免疫学の立場からあったものですが、さまざまな事情から容易には開発困難と思われていました。多くの研究者が挫折する中で、カリコ氏は地道に基礎データを積み上げて、20年をかけて新型コロナウイルスワクチンという形に結実させました。カリコ氏と共同研究者の信念と粘り強い姿勢は、多くの基礎生命科学者に勇気を与えました。ともに喜びたいと思います」とコメントしています。

      位高教授「非常に勇気のある人」

      カリコ氏が選ばれたことについて、mRNAを使った薬の開発の研究者で、15年にわたって交流を深めてきた東京医科歯科大学の位高啓史教授は「mRNAが薬になると本気で考える人が世界中でほとんどいなかったときから、その可能性を信じて研究を手探りで進めてこられたので、非常に勇気のある方だと思っています」と話し、喜びをあらわにしていました。

      また、カリコ氏の人柄については「どなたとも先入観なく接することができる気さくな方です。学会の会場でお会いしたときに、実験のノウハウなどを快くオープンに教えていただいたことをよく覚えています。そうした姿勢が最終的にはカリコ先生の仕事の成果につながったのだと思います」と話していました。

      そして、今後、与える影響については、「mRNAは感染症のワクチンとして非常に広く知られる存在になりましたが、今後はほかの治療薬としても応用が大きく広がると思います。さらに多くの研究者や企業がこの分野に入ってくることを期待したい」と話していました。

      山中伸弥さん「多くの人が救われた」

      カリコ氏らが受賞したことについて京都大学iPS細胞研究所の山中伸弥名誉所長はSNSで「カタリン・カリコ先生、ご受賞おめでとうございます。対談の機会をいただきました際に、非常に謙虚な姿勢で粘り強く研究を進めてこられたことをお聞きし、心から尊敬の念を抱きました。コロナ禍という世の中が危機感に覆われた中、mRNAワクチン技術という画期的な発明により多くの人が救われました。そのご業績に心から敬意を表します」とコメントしています。

      《研究内容は》

      mRNAワクチンとは

      mRNAワクチンは、ウイルスの遺伝情報を伝達する物質で、体内でたんぱく質を作るための設計図にあたる情報を含むmRNAを使ったワクチンです。

      新型コロナの感染拡大以降、広く接種されているファイザーやモデルナの新型コロナワクチンはmRNAワクチンで、スパイクたんぱく質と呼ばれる、ウイルスの表面にある突起を合成するmRNAが含まれています。

      mRNAの情報をもとに体内で新型コロナと同じスパイクたんぱく質が作られ、このたんぱく質に対して免疫が働き、抗体が作られます。

      mRNAワクチンはウイルスの遺伝情報があれば製造できるため素早い対応が可能で、新型コロナのパンデミックでは1年足らずで開発に成功し、変異ウイルスに対応したワクチンも開発され、パンデミック対策の最も重要な要素の1つとなりました。

      すでにほかの感染症に対応したmRNAワクチンの開発も進んでいるほか、がんワクチンなど新たな医薬品としての活用も進むと期待されています。

      源流の研究に日本人も

      mRNAワクチンは、基礎的な研究が積み重なって開発されていて、源流となる研究には日本人も名前を連ねています。

      古市泰宏さん

      去年亡くなった古市泰宏さんは1970年代にmRNAに特徴的に見られる「キャップ」という構造を発見しました。

      古市さんは蚕に感染するウイルスの研究を行う中で、mRNAの端に特殊な構造があることに気づき、帽子をかぶっているような形をしているように見えることから1975年に発表した論文で「キャップ構造」と名付けました。

      キャップ構造はmRNAに含まれる遺伝情報をもとに、たんぱく質が作られるのに欠かせないもので、mRNAワクチンにつながる源流の研究として位置づけられています。

      生前、古市さんは「目先の利益や応用を考えずに、物事のことわりを知りたいと研究していたことが、ワクチンに応用された。新型コロナのワクチンを接種したときには『この中にキャップが入っているんだ。みんなキャップのついたmRNAを打つんだ』と不思議な縁を感じました。効果が高いワクチンだということなので誇らしい気がしました」と話していました。

      《発表日程》

      ノーベル賞 ことしの発表日程は

      ノーベル賞は、ダイナマイトを発明したスウェーデンのアルフレッド・ノーベルの遺言に基づいて、「人類に最大の貢献をもたらした人々」に贈るとされています。

      ことしの受賞者の発表は
      ▽2日が生理学・医学賞
      ▽3日が物理学賞
      ▽4日が化学賞
      ▽5日が文学賞
      ▽6日が平和賞
      ▽9日が経済学賞となっています。

      日本人の受賞はこれまでアメリカ国籍を取得した人を含めて28人ですが、このうち2000年以降に受賞した20人はすべて、生理学・医学賞、物理学賞、化学賞の自然科学系の3賞で、この期間ではアメリカに次ぐ2番目の多さとなっています。

      一方、文学賞は1994年の大江健三郎さん、平和賞は1974年の佐藤栄作元総理大臣以来受賞がなく、経済学賞を受賞した人はいません。
      https://www3.nhk.or.jp/news/html/20231002/k10014211101000.html

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    4. ノーベル生理学・医学賞にカリコ氏ら コロナワクチン開発貢献
      2023年10月2日 22時10分

      ことしのノーベル生理学・医学賞の受賞者に新型コロナウイルスのmRNAワクチンの開発で大きな貢献をしたハンガリー出身で、アメリカの大学の研究者カタリン・カリコ氏ら2人が選ばれました。

      スウェーデンのストックホルムにあるノーベル賞の選考委員会は日本時間の午後7時前に記者会見し、ことしのノーベル生理学・医学賞に、新型コロナウイルスの「mRNAワクチン」の開発で大きな貢献をした
      ▽ハンガリー出身で、アメリカのペンシルベニア大学の研究者、カタリン・カリコ氏と
      ▽同じくペンシルベニア大学のドリュー・ワイスマン氏の2人を選んだと発表しました。

      カリコ氏らは人工的に合成した遺伝物質のメッセンジャーRNA=mRNAをワクチンとして使うための基礎となる方法を開発しました。mRNAにはたんぱく質を作るための設計図にあたる情報が含まれています。

      これを人工的に設計し、狙ったたんぱく質が作られるようにして体内で機能するようにすればワクチンとして使うことができると期待されていましたが、mRNAは、ヒトに投与すると体内で炎症が引き起こされるため、医薬品に使うのは難しいのが課題でした。

      カリコ氏らはmRNAを構成する物質を別の物質に置き換えることで炎症反応が抑えられることを発見し、2005年に発表しました。

      さらに、置き換えられたmRNAを使うと目的とするたんぱく質が劇的に効率よく作られることを発見し、医薬品として扱う上での大きな壁を取り除きました。この技術をもとに製薬会社がワクチンの開発に乗り出し、新型コロナのパンデミックでは記録的な速さでワクチンの開発に成功しました。この技術の柔軟性はほかの感染症のワクチンの開発にも道を開き、今後、ガンの治療などへの応用が期待されています。

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    5. カリコ氏「冗談かと思った」

      受賞が決まったカタリン・カリコ氏は、ノーベル財団との電話インタビューで「私は電話がかかってきたときに寝ていて、受賞が決まったという連絡を夫が受けました。誰かが冗談を言っているのかと思いました」と話していました。

      選考委員会「新型コロナワクチン開発に不可欠だった」

      ノーベル賞の選考委員会は授賞理由について「2人の発見は、2020年初頭に始まったパンデミックで新型コロナウイルスに対して効果的なmRNAワクチンの開発に不可欠だった」としています。

      その上で「mRNAが免疫システムにどう相互に作用するかについて私たちの理解を根本から変えた画期的な発見を通じて、2人は、現代における人類の健康に対する最大の脅威の1つだったパンデミックで前例のないスピードのワクチン開発に貢献した」と評価しています。

      また、授賞が決まったことを伝えた際のカリコ氏とワイスマン氏の様子について「2人はとても喜んでいた」と明らかにしました。

      このうちカリコ氏は「とても感激した」と話したということです。

      ワイスマン氏には選考委員会が公式発表する数分前に連絡が取れたということで「彼は感激していて、非常に感謝していた」と述べました。

      安全性についての質問も

      記者会見では、新型コロナウイルスのmRNAワクチンの安全性についての質問も出されました。

      これに対してノーベル賞の選考委員会は「mRNAワクチンの接種は始まってまだまもないが、すでにのべ130億人が接種を受けている。副反応も限定的で大きな懸念とは考えていない。有害事象として特に若い男性で心筋炎が出ることがあるが、ほとんどの場合は軽度で、特に長期的な影響なく解消するということだ。コロナに感染する方が長期的な健康への影響がある」と述べました。

      また、ワクチンに反対する動きがあるなかで、科学界や医療界はどう対応し、どう説明すべきか問われたのに対しては「このワクチンがどのように機能するのか、引き続き仕組みを説明していく必要がある。新型コロナの場合、mRNAワクチンの開発が大きなニーズを受けて、加速したのは事実だが、臨床試験が短い期間で行われたからといって安全性の確認が省略されたわけではない。臨床試験がどのように行われたのかや、数十年に及ぶ基礎研究が行われてきたことについて伝えていくべきだと思う。ノーベル賞の受賞によってこうした事実に光が当たることを願う」と説明しました。

      所属するペンシルベニア大「画期的な発見」

      カリコ氏とワイスマン氏が所属するペンシルベニア大学は、授賞発表の直後にSNSにコメントを投稿し「2人を誇りに思う。画期的な発見は世界的なパンデミックという難題を克服しただけでなく、今後、数十年にわたり他の多くの病気の治療と予防に大きな影響を与えるだろう」と祝福しました。

      SNSには事前に撮影されたとみられる2人のインタビュー動画も投稿されていて、カリコ氏は「母が、『毎年10月にはあなたがノーベル賞をとるのではないかと思ってラジオを聞いているの。ずっと努力しているから』と言うので、わたしは『たくさんの科学者が大変な努力を続けているのよ』と説明したものです」と笑顔で語っています。

      ワイスマン氏は「ノーベル賞は科学者にとって最も重要な賞で、大変な名誉です。私たち2人が力を合わせなければ、この研究は達成しえなかったと思います。これがとても重要なことだと思います」と話しています。

      ワイスマン氏とは

      ドリュー・ワイスマン氏はアメリカ東部マサチューセッツ州生まれです。1987年にボストン大学で免疫学と微生物学の博士号を取得したあと、アメリカのNIH=国立衛生研究所に所属し、感染症研究の第一人者、アンソニー・ファウチ博士のもとでHIV=ヒト免疫不全ウイルスの研究を行いました。

      その後、1997年からペンシルベニア大学に移り、ワクチンや免疫関連の研究を続けていたころにカリコ氏と出会い、2005年、ワクチン開発に道をひらく研究成果を共同で発表しました。

      所属するペンシルベニア大学によりますとワイスマン氏は現在、次のコロナウイルスの流行に備えたワクチンの開発のほか、同僚とともにmRNAの技術を使ったがんの治療薬の開発にも取り組んでいるということです。

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    6. WHOがSNS投稿「彼らの科学への貢献が人命を救った」

      WHO=世界保健機関のテドロス事務局長はカリコ氏とワイスマン氏の受賞が発表されると自身のSNSに「本当におめでとう」と投稿して祝福しました。

      そのうえで「彼らの発見が新型コロナウイルスのmRNAワクチンの開発を可能にした。彼らの科学への貢献が人命を救った」として、2人の功績をたたえました。

      《研究者から喜びの声》

      審良特任教授「地道に追究する姿勢が印象的」
      カリコ氏らが2008年に発表した論文に共著者のひとりとして名を連ねていた大阪大学の審良静男特任教授は、「受賞は当然だと思う。新型コロナのワクチンが開発できたことは人類にとっての大きな貢献だ」と述べました。

      審良特任教授は、当時の論文について「基礎研究としては画期的な成果だと思ったが、その後も長い期間研究を続けワクチンの実用化につながったことはすばらしい。ワクチンの開発は難しく、研究費がかかることなどから途中で頓挫するケースも多い。mRNAワクチンが開発されたというニュースの中で彼女の名前が出て驚いたが、必死になって医療への応用を目指した結果だと思う」と評価しました。

      カリコ氏の研究への姿勢については「彼女は派手なところがなく、自分の知りたいことを地道に追究していく姿勢が印象的だった。今回の発表を機にほかの病気の治療にもmRNAが応用されるなど、研究がさらに進むことを期待している」と話していました。

      位高教授「非常に勇気のある人」

      カリコ氏が選ばれたことについて、mRNAを使った薬の開発の研究者で、15年にわたって交流を深めてきた東京医科歯科大学の位高啓史教授は「mRNAが薬になると本気で考える人が世界中でほとんどいなかったときから、その可能性を信じて研究を手探りで進めてこられたので、非常に勇気のある方だと思っています」と話し、喜びをあらわにしていました。

      また、カリコ氏の人柄については「どなたとも先入観なく接することができる気さくな方です。学会の会場でお会いしたときに、実験のノウハウなどを快くオープンに教えていただいたことをよく覚えています。そうした姿勢が最終的にはカリコ先生の仕事の成果につながったのだと思います」と話していました。

      そして、今後、与える影響については、「mRNAは感染症のワクチンとして非常に広く知られる存在になりましたが、今後はほかの治療薬としても応用が大きく広がると思います。さらに多くの研究者や企業がこの分野に入ってくることを期待したい」と話していました。

      山中伸弥さん「多くの人が救われた」

      京都大学iPS細胞研究所の山中伸弥名誉所長はSNSで「カタリン・カリコ先生、ご受賞おめでとうございます。対談の機会をいただきました際に、非常に謙虚な姿勢で粘り強く研究を進めてこられたことをお聞きし、心から尊敬の念を抱きました。コロナ禍という世の中が危機感に覆われた中、mRNAワクチン技術という画期的な発明により多くの人が救われました。そのご業績に心から敬意を表します」とコメントしています。

      《研究内容は》

      mRNA 医薬品として使う基礎開発

      カタリン・カリコ氏とドリュー・ワイスマン氏は、人工的に合成した遺伝物質のメッセンジャーRNA=mRNAを医薬品として使うための基礎となる方法を開発しました。

      mRNAにはたんぱく質を作るための設計図にあたる情報が含まれています。

      これを人工的に設計し、狙ったたんぱく質が作られるようにして体内で機能するようにすれば医薬品として使うことができると期待されていましたが、mRNAは、ヒトに投与すると体内で炎症が引き起こされるため、医薬品に使うのは難しいのが課題でした。

      この課題に対応するため、カリコ氏らは2005年の論文で、mRNAをヒトに投与したときの炎症反応を抑える方法を発表しました。

      それが、mRNAを構成する物質の1つ、「ウリジン」を「シュードウリジン」という似た物質に置き換える方法で、医薬品として使うための基礎の確立につながりました。

      mRNAワクチンとは

      mRNAワクチンは、ウイルスの遺伝情報を伝達する物質で、体内でたんぱく質を作るための設計図にあたる情報を含むmRNAを使ったワクチンです。

      新型コロナの感染拡大以降、広く接種されているファイザーやモデルナの新型コロナワクチンはmRNAワクチンで、スパイクたんぱく質と呼ばれる、ウイルスの表面にある突起を合成するmRNAが含まれています。

      mRNAの情報をもとに体内で新型コロナと同じスパイクたんぱく質が作られ、このたんぱく質に対して免疫が働き、抗体が作られます。

      mRNAワクチンはウイルスの遺伝情報があれば製造できるため素早い対応が可能で、新型コロナのパンデミックでは1年足らずで開発に成功し、変異ウイルスに対応したワクチンも開発され、パンデミック対策の最も重要な要素の1つとなりました。

      すでにほかの感染症に対応したmRNAワクチンの開発も進んでいるほか、がんワクチンなど新たな医薬品としての活用も進むと期待されています。

      源流の研究に日本人も

      mRNAワクチンは、基礎的な研究が積み重なって開発されていて、源流となる研究には日本人も名前を連ねています。

      古市泰宏さん

      去年亡くなった古市泰宏さんは1970年代にmRNAに特徴的に見られる「キャップ」という構造を発見しました。

      古市さんは蚕に感染するウイルスの研究を行う中で、mRNAの端に特殊な構造があることに気づき、帽子をかぶっているような形をしているように見えることから1975年に発表した論文で「キャップ構造」と名付けました。

      キャップ構造はmRNAに含まれる遺伝情報をもとに、たんぱく質が作られるのに欠かせないもので、mRNAワクチンにつながる源流の研究として位置づけられています。

      生前、古市さんは「目先の利益や応用を考えずに、物事のことわりを知りたいと研究していたことが、ワクチンに応用された。新型コロナのワクチンを接種したときには『この中にキャップが入っているんだ。みんなキャップのついたmRNAを打つんだ』と不思議な縁を感じました。効果が高いワクチンだということなので誇らしい気がしました」と話していました。
      (以下略)
      https://www3.nhk.or.jp/news/html/20231002/k10014211101000.html

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    7. カリコ氏「家庭を持つことと科学者でいること 選ぶ必要はない」

      受賞が決まったカタリン・カリコ氏は、ノーベル財団との電話インタビューで「私は電話がかかってきたときに寝ていて、受賞が決まったという連絡は夫が受けました。誰かが冗談を言っているのかと思いました」と話していました。

      また、これまでの研究の道のりを振り返り、「10年ほど前、ペンシルベニア大学から追い出されましたが、夫が私を支えてくれました。私の母は2018年に亡くなりましたが、『あなたがとるかもしれない』とノーベル賞の発表をいつも確認していました。母は『あなたは一生懸命頑張っている』と言ってくれていました。家族は私を信じてくれていて、娘たちも私が懸命に働く姿を見てくれていました」と述べ、周りの支えがあったことを話していました。

      そのうえで「私は女性として、母として、同僚の女性の科学者たちに対し『家庭を持つことと科学者でいることのどちらかを選ぶ必要はない』と伝えています。子どもはあなたをみて、見習います。あなたが子どもの模範になることが重要なのです」と女性の科学者たちを激励しました。

      また「多くの若い人たちは、友人や同僚がどんどん昇進していくのを見て、あきらめてしまいます。しかし、自分をあわれに思っている時間はありません。次に自分に何ができるのかを探すのにエネルギーや時間を費やすべきなのです」と、科学者たちを鼓舞することばを述べました。
      https://www3.nhk.or.jp/news/html/20231002/k10014211101000.html

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    8. ノーベル生理学・医学賞 カリコ氏とワイスマン氏 大学で会見
      2023年10月3日 6時45分

      ことしのノーベル生理学・医学賞の受賞者に選ばれた、アメリカの大学の研究者、カタリン・カリコ氏ら2人が記者会見し、「選ばれるとは思っていなかった」などと心境を語りました。

      スウェーデンにあるノーベル賞の選考委員会は2日、ことしのノーベル生理学・医学賞に、新型コロナウイルスの「mRNAワクチン」の開発で大きな貢献をした、
      ▽ハンガリー出身で、アメリカのペンシルベニア大学の研究者、カタリン・カリコ氏と、
      ▽同じくペンシルベニア大学のドリュー・ワイスマン氏の、
      2人を選びました。

      これを受け、ペンシルベニア大学では2日、2人が出席して記者会見が行われました。

      この中でカリコ氏は、「1997年、わたしたちはコピー機の前で出会いました。建物も部署も違いましたが、私たちはともに協力し、戦ってきました」と振り返りました。

      ワイスマン氏は「研究資金も得られず、興味を持ってくれる人もいないなか、いつも一緒に研究をしてきました。新型コロナウイルスワクチンの有効性が認められたのは大きな転換点でした。決して諦めずに取り組み続け、いまがあると思います」と話していました。

      2人は、mRNAをワクチンとして使うための基礎となる方法を開発し、新型コロナのパンデミックでは、記録的な速さでワクチンの開発が行われました。

      ワクチンの開発から短い期間で受賞が決まったことについて、カリコ氏は「私たちは賞のために仕事をしているわけではありません。大切なのは人に役立つものを作り出すことです。だから選ばれるとは思っていませんでした」と述べました。

      また、若い世代が科学を学ぶことの意味について問われると、ワイスマン氏は「社会が前に進むためには科学が必要です。わたしたちは子どもや孫、すべての人たちに、科学こそが世界を進展させるものだと伝える必要がある」と強調していました。
      https://www3.nhk.or.jp/news/html/20231003/k10014213691000.html

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    9. 人体を「薬の工場」にする斬新な手法、がん治療など幅広く応用が広がる…ノーベル生理学・医学賞
      2023/10/03 07:10

       今年のノーベル生理学・医学賞に、新型コロナウイルスワクチンの主成分となった遺伝物質「メッセンジャーRNA(mRNA)」の研究者が選ばれた。人間の体を「薬の工場」にするという斬新な手法は、がんなど幅広い病気の治療にも応用が広がりつつある。(鬼頭朋子)

       「この大学で素晴らしい出会いがあり、私たちの協力が始まった」

       米ペンシルベニア大のカタリン・カリコ特任教授(68)は、同大のドリュー・ワイスマン教授(64)と受賞決定後の記者会見に出席し、笑顔を見せながら2人の共同研究の始まりを振り返った。

       mRNAは細胞内にある小さな分子で、たんぱく質の「設計図」だ。細胞はmRNAの情報通りにたんぱく質を組み立てる。

       mRNAは1990年代に人工的に合成できるようになった。その時に新しい製薬の発想が生まれた。薬を化学的に合成するのではなく、人工的に作ったmRNAを投与し、細胞に薬になるたんぱく質を作らせるというものだ。ただ、mRNAを人体に投与すると、強い免疫反応が起きるなど課題があった。これを克服したのが2人だった。

       mRNAで薬を作る研究をしていたカリコ氏と、免疫学の専門家だったワイスマン氏。議論や実験を共にする中で、mRNAワクチンのアイデアが自然に生まれたという。

       mRNAの利点は、体に作らせるたんぱく質の設計図がわかれば短期間で作れることだ。新型コロナでは2020年1月、ウイルスの全遺伝情報が公表されると、米モデルナは2日後にワクチンの基本設計を終え、同年12月には実用化。変異株に対応した改良型ワクチンも次々と開発された。

       「心から祝福する。彼らの科学への献身により多くの命を救った」。世界保健機関(WHO)のテドロス・アダノム事務局長は2日、X(旧ツイッター)でコメントを出した。

       ノーベル賞選考委員会によると、新型コロナワクチンはmRNA以外の手法で作ったものも含めて全世界で130億回以上接種され、数百万人の命が救われたとしている。
      https://www.yomiuri.co.jp/science/20231003-OYT1T50041/

      がん 患者に合わせワクチン

       簡単に設計し、合成できる「mRNA医薬」の利点をがんなどの治療に役立てる研究が世界中で進む。

       米モデルナ社などは、mRNAを使ったがんワクチンの開発を目指し、皮膚がん患者を対象とした最終段階の臨床試験中だ。

       がん細胞で起きている遺伝子変異は、患者ごとに微妙に異なる。そこで、モデルナ社は、個々の変異に合わせてmRNAを作って投与することを目指す。

       国内では、東京医科歯科大の 位高いたか 啓史教授(mRNA創薬)らが、「変形性関節症」の進行を抑える治療法の開発に取り組む。

       変形性関節症は、加齢などで軟骨が破壊され、関節の痛みや腫れを引き起こす病気だ。これまで病気を完全に治せる薬はなかった。

       位高教授らは、軟骨を作る際に必要なたんぱく質を設計するmRNAを関節に注入する手法を目指し、実用化に向けた治験の準備を進めている。脳の病気や脊髄損傷を治療する新薬の開発も目指している。位高教授は、2008年頃から学会でカリコ氏と意見交換をしてきたといい、「mRNAを薬として使うことによりこれまで治すことが難しかった病気への新しい治療法が生まれるだろう」と話す。

       新型コロナ以外の感染症のワクチンについても、日本の製薬大手・第一三共が鳥インフルエンザワクチンの開発を進め、長崎大などのグループはマラリアワクチンを研究中だ。
      https://www.yomiuri.co.jp/science/20231003-OYT1T50041/2/

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    10. コロナから世界救った…ノーベル生理学・医学賞、医療現場はワクチンに感謝
      2023/10/03 07:15

       新型コロナウイルス感染症の猛威から世界を救ったワクチン。その早期開発に遺伝物質「メッセンジャーRNA(mRNA)」の研究で大きく貢献したカタリン・カリコ米ペンシルベニア大特任教授(68)らのノーベル生理学・医学賞受賞が2日、決まった。国内の医療機関の現場や研究者らからは、祝福の声が上がった。

      不遇時代をともに乗り越えたカリコさん(右)とワイスマンさん=米ペンシルベニア大提供

       新型コロナウイルスワクチンの接種は、日本国内でも4億回を超えた。東京曳舟病院(東京都墨田区)の三浦邦久副院長は、「ワクチンがなければ、医療 逼迫ひっぱく はより深刻な状況になっていたはずだ」と振り返る。オミクロン株が主流になってからも、ワクチン未接種の患者の方が重症化リスクは高い。三浦さんは「ワクチン接種の効果を日々実感している」と感謝する。

       ワクチンは、感染抑制と社会経済活動の両立にも不可欠だった。岡部信彦・川崎市健康安全研究所長は、「マスクや手洗いといった対策だけでは社会経済活動を再開できなかっただろう。ワクチンという武器があったからこそ『ウィズコロナ』の道へと歩き出し、普通の生活に戻れた」と述べた。

       カリコさんとゆかりのある研究者からも称賛の声が寄せられた。2012年の同賞受賞者で、対談したことがあるという山中伸弥・京都大教授はX(旧ツイッター)で、「非常に謙虚な姿勢で粘り強く研究を進めてこられたことをお聞きし、心から尊敬の念を抱きました」などと投稿した。

       今回の受賞対象となった05年の論文を審査した経験がある東京大医科学研究所の石井健教授(ワクチン科学)は「当時は、論文を読んでもmRNAワクチンができると予言できた人はいなかった。基礎的に素晴らしい論文は、いつか世の中を変える結果を生むということを見させてもらった」とたたえた。
      https://www.yomiuri.co.jp/science/20231003-OYT1T50009/

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  3. 医科様ワクチンにノベル大賞のハクをつける作業…

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    1. 医科様生物学ノベル大賞、ここに極まれり。

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    2. ウイルスと、免疫と、ワクチン、三大医科様案件の集大成。

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    3. プラス「核酸」「遺伝子」案件もか。

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  4. ことしのノーベル物理学賞 アメリカの大学の研究者ら3人
    2023年10月3日 19時10分

    ことしのノーベル物理学賞に「アト秒」と呼ばれるきわめて短い時間だけ光を出す実験的な手法を開発し、物質を構成する細かな粒子の1つ、「電子」の動きを観測する新たな研究を可能にしたアメリカの大学の研究者など3人が選ばれました。

    受賞者の発表会見の内容について随時更新でお伝えします。

    スウェーデンのストックホルムにあるノーベル賞の選考委員会は、日本時間の3日午後7時前、ことしのノーベル物理学賞の受賞者を発表しました。

    ▼アメリカのオハイオ州立大学のピエール・アゴスティーニ教授、
    ▼ドイツのルートヴィヒ・マクシミリアン大学のフェレンツ・クラウス教授、
    ▼スウェーデンのルンド大学のアンヌ・ルイエ教授の3人を選んだと発表しました。

    3人は「アト秒」と呼ばれるきわめて短い時間だけ光を出す実験的な手法を開発し、物質を構成する細かな粒子の1つ、「電子」の動きを観測する新たな研究を可能にしたことが評価されました。

    【ライブ配信】受賞者 発表会見のようす

    ノーベル賞2023 関連サイト

    ノーベル賞は、ダイナマイトを発明したスウェーデンのアルフレッド・ノーベルの遺言に基づいて、「人類に最大の貢献をもたらした人々」に贈るとされています。

    ことしの受賞者の発表は
    ▽2日が生理学・医学賞
    ▽3日が物理学賞
    ▽4日が化学賞
    ▽5日が文学賞
    ▽6日が平和賞
    ▽9日が経済学賞となっています。

    日本人の受賞はこれまでアメリカ国籍を取得した人を含めて28人ですが、このうち2000年以降に受賞した20人はすべて、生理学・医学賞、物理学賞、化学賞の自然科学系の3賞で、この期間ではアメリカに次ぐ2番目の多さとなっています。

    一方、文学賞は1994年の大江健三郎さん、平和賞は1974年の佐藤栄作元総理大臣以来受賞がなく、経済学賞を受賞した人はいません。

    おととし、物理学賞に輝いた真鍋淑郎さん以来、2年ぶりに日本人の受賞があるのか注目されます。

    物理学賞 注目の研究者は

    物理学賞はアメリカ国籍を取得した人を含め、これまで日本から12人が受賞しています。2021年は、愛媛県出身でアメリカ国籍を取得している真鍋淑郎さんが受賞。気候をシミュレーションするモデルの基礎を開発し、地球温暖化の研究を切り開いた功績が評価されました。

    十倉好紀さん(左) 細野秀雄さん(中央) 香取秀俊さん(右)

    注目されている研究者としては、

    ▽消費電力が極めて少ないコンピューター用の記憶媒体の実現につながる金属の化合物「マルチフェロイック物質」の特徴を解き明かした理化学研究所センター長の十倉好紀さん、
    ▽電力ロスが少ない次世代の送電線などへの応用も期待される「鉄系超電導物質」を発見した東京工業大学栄誉教授の細野秀雄さん、
    ▽100億年で1秒も狂わない極めて正確な「光格子時計」と呼ばれる時計を開発した、東京大学教授の香取秀俊さんなどが挙げられています。
    https://www3.nhk.or.jp/news/html/20231003/k10014213781000.html

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  5. 社説
    ノーベル賞 コロナ抑えたワクチンの功績
    2023/10/04 05:00

     新型コロナウイルスの流行抑止に大きな役割を果たしたワクチンの研究者にノーベル生理学・医学賞が贈られることになった。世界中で多くの命を救った功績は計り知れない。

     受賞するのは、米ペンシルベニア大学のカタリン・カリコ特任教授と、ドリュー・ワイスマン教授だ。2人は共同で、人工的に合成した遺伝物質メッセンジャーRNA(mRNA)の研究を進め、ワクチンの開発に道を開いた。

     mRNAを体に投与した場合、過剰な免疫反応が起きるため、ワクチンや治療薬に使うのは難しいとみられていた。しかし、激しい反応を引き起こす物質を改変し、反応を抑えることに成功した。

     コロナ流行の20年以上前から、このテーマに取り組んできた。常識にとらわれず、粘り強く研究を続けた努力を 称たた えたい。

     mRNAを使うことで、ワクチンを素早く製造できるようになった。2人の研究成果は、コロナの感染拡大から1年足らずで、米ファイザーやモデルナがワクチンを実用化する原動力となった。

     旧来の方法ではワクチン開発に数年かかるのが当たり前だった。コロナの世界的大流行に対応できず、感染の収束が遅れていたら、被害はどれほど広がっていたか、想像に難くない。

     カリコ氏の経歴にも注目が集まっている。母国のハンガリーから、幼い娘を連れて米国に移住した。ペンシルベニア大では、思うように研究費が獲得できず、降格の憂き目にも遭っている。

     論文を複写するため、大学のコピー機の前に並んでいる際、出会ったのが、共同研究者のワイスマン氏だった。mRNAを活用する方策を2人で色々と試すようになり、やがてドイツのベンチャー企業がワクチン開発につなげた。

     国籍や性別を問わずに才能を発掘し、他の研究者と交流しながら発想を広げることの大切さがわかる。閉鎖的で国際共同研究も少ないと言われる日本の大学も、学ぶべき点が多いのではないか。

     この分野では、日本人研究者もmRNAを安定化する構造を発見するなどの貢献をしている。ただ、日本はコロナ禍で、自前のワクチン開発に取り組んだものの、早期の実用化に至らず、欧米からの輸入に頼らざるを得なかった。

     その原因を探り、今後に生かすことが重要だ。

     mRNAの技術は、がん治療薬の開発などにも応用できる。医療の可能性をさらに広げる革新的な創薬にも期待したい。
    https://www.yomiuri.co.jp/editorial/20231003-OYT1T50250/

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  6. ノーベル文学賞にノルウェーの劇作家 ヨン・フォッセ氏
    2023年10月5日 20時07分

    ことしのノーベル文学賞にノルウェーの劇作家、ヨン・フォッセ氏が選ばれました。

    受賞者は日本時間の5日午後8時すぎにスウェーデンの首都・ストックホルムで発表されました。

    受賞者の発表会見の内容を随時更新でお伝えします。

    【関連】ノーベル賞2023の詳しい情報はこちらでも

    ノーベル賞は、ダイナマイトを発明したスウェーデンのアルフレッド・ノーベルの遺言に基づいて、「人類に最大の貢献をもたらした人々」に贈るとされています。

    ことしの受賞者の発表は
    ▽2日が生理学・医学賞
    ▽3日が物理学賞
    ▽4日が化学賞
    ▽5日が文学賞
    ▽6日が平和賞
    ▽9日が経済学賞となっています。

    日本人の受賞はこれまでアメリカ国籍を取得した人を含めて28人ですが、このうち2000年以降に受賞した20人はすべて、生理学・医学賞、物理学賞、化学賞の自然科学系の3賞で、この期間ではアメリカに次ぐ2番目の多さとなっています。

    一方、文学賞は1994年の大江健三郎さん、平和賞は1974年の佐藤栄作元総理大臣以来受賞がなく、経済学賞を受賞した人はいません。

    ノーベル文学賞 注目は

    文学賞ではこれまで2人の日本人が受賞。例年注目されるのは、作品が50以上の言語に翻訳され世界中で読まれている村上春樹さんです。

    チェコの「フランツ・カフカ賞」やデンマークの「アンデルセン文学賞」など、海外の賞を複数受賞していて、毎年、イギリスの「ブックメーカー」が行っている受賞者を予想する賭けでは“有力候補”の1人となっています。

    また、長年ドイツで暮らし日本語とドイツ語で小説を執筆している多和田葉子さんも、ドイツの「クライスト賞」や、アメリカの「全米図書賞」の翻訳文学部門に選ばれるなど、注目されています。
    https://www3.nhk.or.jp/news/html/20231005/k10014216631000.html

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    1. ノーベル文学賞にノルウェーの劇作家 ヨン・フォッセ氏
      2023年10月5日 23時15分

      ことしのノーベル文学賞に、世界各国で戯曲が上演され、詩のような特徴的なせりふ回しで知られるノルウェーの劇作家、ヨン・フォッセ氏が選ばれました。

      スウェーデンのストックホルムにある選考委員会は5日、ことしのノーベル文学賞にノルウェーの劇作家、ヨン・フォッセ氏を選んだと発表しました。

      フォッセ氏は1959年、ノルウェーに生まれ、1980年代前半から小説や詩集、それにエッセイなどを次々と発表しました。

      1990年代からは生や死などをテーマに、句読点がなく、詩のような特徴的なせりふ回しの戯曲を数多く手がけました。

      このうち代表作の「だれか、来る」についてノーベル賞の選考委員会は、作品のなかでことばや劇的な行動を減らし、不安や無力感という人間の最も強い感情を最も簡単な日常の会話で表現しているとしています。

      フォッセ氏は「近代演劇の父」と言われるノルウェーの劇作家、イプセンの再来とも呼ばれ、その作品は多くの言語に翻訳され、世界各地で上演されています。

      フォッセ氏について選考委員会は「現在、世界で最も幅広く上演されている劇作家の1人だ」とした上で、「革新的な戯曲と散文でことばに出せないものに声を与えている」と評価しています。

      フォッセ氏「圧倒される」

      ノーベル文学賞に選ばれたヨン・フォッセ氏はロイター通信に、「圧倒されるとともに、いささか怖さも感じています。私は何よりも文学であることを目指した文学に与えられる賞だと考えています」とコメントしています。

      専門家「普遍的な人間の気持ちを描く作品」

      ノーベル文学賞に選ばれたフォッセ氏の戯曲を日本語に翻訳した東京藝術大学大学院の長島確 准教授は「とても嬉しかった。毎年候補にあがっていたので、『やっと』という気持ちだ」と喜びをあらわにしていました。

      フォッセ氏の戯曲には登場人物に名前がなかったり、舞台設定がはっきりと示されていなかったりすることが多いとした上で、「せりふがシンプルな会話で、詩のように書かれている。強いメッセージがあるわけではなく、平明な淡いことばの繰り返しから、不安などいろいろな感情がなんとも言いがたい形であらわれてくる」と作品の魅力を説明しました。

      そして、「作品は名もない人々の生活のなかにある喪失感や孤独、思い出がデリケートに扱われ、普遍的な人間の気持ちを描いている。どんどん紹介されていってほしい」と話し、受賞が決まったことをきっかけに日本でもいっそう知られてほしいと期待を示しました。

      東京 渋谷 海外文学ファンは

      ことしのノーベル文学賞の発表にあわせて海外文学ファンたちが集まるイベントが東京都で開かれ、ことしの受賞者が発表されると大きな歓声が上がっていました。

      このイベントは首都圏の海外文学ファンのグループがノーベル文学賞の発表に合わせて、毎年、この時期に開いていて、ことしは東京・渋谷区の会場とオンラインであわせておよそ40人が参加しました。

      グループではノーベル賞を海外作品の魅力を知るきっかけにしてもらおうと、候補として名前の挙がる作家などおよそ40人分の作品を分担して読み込んだ上で、それぞれの紹介文を書いて冊子を作りました。

      会場には世界各国の作家の著作およそ80冊が持ち寄られ、参加者は分担した作家の魅力を語りあいながら発表の瞬間を待ちました。

      参加者はそれぞれことしの受賞者の予想も発表し、イベントを主催した浦野喬さんはヨン・フォッセ氏の名前を挙げていました。そして午後8時、その予想が的中してフォッセ氏の名前が発表されると、会場は大きな驚きと歓声に包まれました。

      翻訳でフォッセ氏の戯曲を読んだことがあるという女性は「3度目の参加ですが、予想が当たって興奮しました。受賞をきっかけにほかの作品も読んでみたいです」と話していました。

      イベントを主催した浦野喬さんは「場面や台詞の繰り返しなど表現の面白さが魅力の作者です。受賞をきっかけに、ほかの作品の翻訳も進んで読める作品が増えてほしい」と話していました。

      都内の書店 フォッセ氏の作品コーナー

      都内の書店にはフォッセ氏の作品のコーナーが急きょ、設けられました。

      東京・新宿区の紀伊國屋書店新宿本店では受賞者の発表を行う会見の模様を店内に設けたモニターで上映し、文学ファンが見守りました。

      午後8時すぎに日本の作家の受賞がないことが分かると、集まっていた人たちからため息がもれました。

      50代の女性は「村上春樹さんかもしれないかなとも思っていました。北欧の作家ということで、読んだことはありませんが、興味が湧いてきました」と話していました。

      書店では急きょ、別の店舗からフォッセ氏の著書の英訳版およそ10冊が持ち込まれ、コーナーが設けられました。

      29歳の男性は「最近、北欧に興味を持つようになっていて、フォッセさんも聞いたことがあっただけに、ラッキーという気持ちです。翻訳がないというようなことを聞きましたが、読んでみたいです」と話していました。

      紀伊國屋書店新宿本店の吉野裕司副店長は「候補のリストには入っていたものの、馴染みのない作家で、びっくりしています。出版社が日本語訳を出してくれれば嬉しい」と話していました。
      https://www3.nhk.or.jp/news/html/20231005/k10014216631000.html

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  7. ノーベル平和賞 イランの人権活動家 ナルゲス・モハンマディ氏
    2023年10月6日 21時10分

    ことしのノーベル平和賞に、イランで長年、女性の権利擁護や死刑制度の廃止などを訴え、現在は刑務所で服役している人権活動家のナルゲス・モハンマディ氏が選ばれました。

    選考委員会は授賞理由について「女性に対する弾圧と闘い、人権と自由を守るためにも闘った」と、その活動をたたえました。

    ノルウェーの首都オスロにある選考委員会は、ことしのノーベル平和賞にイランの人権活動家、ナルゲス・モハンマディ氏を選んだと発表しました。

    モハンマディ氏はジャーナリストとして活動するとともに、2003年に同じくイランでノーベル平和賞を受賞した弁護士のシリン・エバディさんが代表を務める人権団体「人権擁護センター」で副代表などを務め、女性の権利擁護や死刑制度の廃止などを訴えて活動してきました。

    しかし、こうした活動が国の安全保障を脅かしたなどとして何度も逮捕され、現在も首都テヘランの刑務所で服役しています。

    イランでは去年9月、女性が公共の場で着用を義務づけられているヘジャブと呼ばれる「スカーフ」のかぶり方が不適切だとして逮捕された女性が死亡し、警察による暴行を疑う抗議デモが各地に広がりました。

    これについてモハンマディ氏は獄中からSNSに投稿したり、メディアに寄稿したりして、デモへの連帯を示すとともに、デモの参加者に対して政権側が暴力をふるっていると繰り返し非難してきました。

    選考委員会「人権と自由を守る闘いを評価」

    選考委員会のライスアンネシェン委員長は、授賞理由について「イランでの女性に対する弾圧との闘い、そして、すべての人の人権と自由を守る闘いを評価した」と述べました。

    ライスアンネシェン委員長は記者会見で「この平和賞はナルゲス・モハンマディ氏をリーダーとするイランでの運動の重要性を認めるものだ。どんな形であっても運動を続ける上で平和賞が励みになることを願っている」と強調しました。

    そのうえで「イラン当局が正しい判断を下せば、彼女は釈放されこの賞を受け取ることができるだろう。われわれはそれを1番に望んでいる」と話し、ことし12月にノルウェーで行われる授賞式にモハンマディ氏が出席できることに期待を示しました。

    また、ライスアンネシェン委員長は、ナルゲス・モハンマディ氏について、2011年に初めて拘束されて以降、これまでに13回拘束され、有罪判決を5回受け、言い渡された刑期は合わせて31年に上るとして「彼女の勇敢な闘いは、自身の途方もない代償を伴っている」と述べました。

    ライスアンネシェン委員長はイランで広がった政権に抗議するデモのスローガン「女性・命・自由」をペルシャ語で読み上げ「このスローガンはモハンマディ氏の取り組みを表すのにふさわしい」とたたえました。

    「ヘジャブ」をめぐるデモとは

    イランでは去年9月16日、公共の場で女性に着用が義務づけられている「ヘジャブ」と呼ばれるスカーフのかぶり方が不適切だとして警察に逮捕された22歳のマフサ・アミニさんが急死しました。

    政権側は病死だと主張していますが、警察による暴行が原因だと疑う市民の抗議デモがイラン各地に広がりました。

    デモ隊と治安当局の衝突も起き、ノルウェーに拠点を置く人権団体「イラン・ヒューマン・ライツ」は、デモの参加者550人以上が死亡したと指摘しています。

    現在はデモはおさまっていますが、イランではこのところカフェや事業所などが客や従業員にヘジャブの着用を徹底しなかったとして当局から営業停止を命じられるケースが相次いでいます。

    さらに、イラン政府は、保守層の意向を受けて、ヘジャブをかぶらなかった場合には高額の罰金を科すなど、罰則を強化する法案を議会に提出し、先月20日に可決されました。

    これに対し、罰則の強化に反対する市民からは「法律が施行されれば、人々の間に対立が生じる」とか「もっと自由になって市民の意見が尊重されるようになってほしい」といった反発の声があがっています。

    モハンマディ氏の家族が投稿「女性にとって重要な成果」

    ナルゲス・モハンマディ氏のSNSにはノーベル平和賞の発表直後に家族のメッセージが投稿されました。

    メッセージでは受賞への謝意を示したうえで「すべてのイランの人々、とりわけ正義、平和、平等を強く訴えてきた女性たちにとって重要な成果だ」としています。

    そのうえで「一人ひとりがより明るいあすを追求して団結すれば、前向きな変化が達成できることを気付かせるきっかけとなる。この重大な勝利を祝うため団結するすべてのイランの人々に心からお祝い申し上げる」として、イランの人々に団結を呼びかけています。

    そして、メッセージは「女性・命・自由」というイランでの抗議デモのスローガンで締めくくられています。

    モハンマディ氏の夫「彼女の受賞は人権守る活動を後押し」

    モハンマディ氏の夫のタギ・ラフマニさんは滞在しているフランスで、ロイター通信のインタビューに応じ「彼女が平和賞に選ばれ、イラン社会の人権問題に光が当てられたことは、人権を守る活動を後押しするものだ。この活動は差別に反対し続けるものだ」と話していました。

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    1. テヘランの女性「イランの女性が賞に選ばれて幸せ」

      イランの首都テヘランの女性たちからは、女性の権利をめぐる状況が改善するきっかけになればと期待する声が聞かれました。

      このうち60代の女性は「イランの女性がこうした賞に選ばれて幸せです。イランの女性すべてが前に進むための道が開かれることを願います」と話していました。

      また、別の60代の女性は「イランの女性の受賞が決まったことを誇りに思います。ほかの女性たちもモハンマディ氏の経験をどうやって生かすか、考えなければならないと思います」と話していました。

      EU委員長「勇敢で崇高な戦いを認めるものだ」

      EU=ヨーロッパ連合のフォンデアライエン委員長は自身のSNSでモハンマディ氏に祝意を表し「この賞は危険の中でも抑圧にあらがったイランの女性たちの勇敢で崇高な戦いを認めるものだ。彼女たちは世界中の女性が自分たちの自由と権利のために立ち上がることを鼓舞している」として功績をたたえました。

      国際人権団体「イランでの国民的な抵抗運動 応援の意味大きい」

      国際人権団体「ヒューマン・ライツ・ウォッチ」の日本代表で弁護士の土井香苗さんは「去年の秋にクルド系女性がヘジャブのかぶり方がおかしいと逮捕され、その後、獄中死したことで、イランの中で非常に大きな国民的な抵抗運動が起こり、特に若い女性たちを中心に多くの人たちが逮捕されたり死刑になったりしながらも戦っている。こういう状況に対する応援という意味が大きいのではないか」と評価しました。

      そのうえで「人権は日々勝ち取らなければいつでも無くなってしまう可能性があるもので、命懸けで戦ってくれる人がいるからこそ、今の状況があるというメッセージが込められていると思う。今回の受賞で国際社会の支援や連帯の目がイランに対して向くことによって、モハンマディさんの釈放はもちろんのこと、政治犯として捕らえられている多くの人たちの解放、そしてイランが人権を尊重する国家になることを期待したい」と話していました。

      さらに「イランの人権状況が日本で報道されることは多くはありませんが、影響力があるので、日本政府にもイラン政府に対して人権問題をしっかりと提起していただきたい」と話していました。

      拘束下にある人が平和賞に選ばれるのは5人目

      当局の拘束下にある人が平和賞に選ばれるのは、去年、刑務所に収監される中で受賞したベラルーシの人権活動家、アレシ・ビャリャツキ氏に続き、5人目です。

      ▽1935年の受賞者のドイツのジャーナリスト、カール・フォンオシエツキー氏は、当時のナチス政権を批判して強制収容所に送られていました。オシエツキー氏は授賞式に出席できないまま、1938年に亡くなりました。

      ▽1991年に選ばれたミャンマーの民主化運動のリーダー、アウン・サン・スー・チー氏は、軍事政権による自宅軟禁下で受賞の報を受け、家族が代わって授賞式に出席しました。

      ▽2010年に受賞した中国の民主活動家の劉暁波氏は、国家と政権の転覆をあおったとされる罪で、刑務所に収監されていました。妻も事実上の軟禁状態にあったため授賞式には誰も参加できず、賞状は空席のいすに置かれました。

      ▽去年受賞したビャリャツキ氏の授賞式には妻が代理で出席しました。ビャリャツキ氏は公共の秩序を乱す活動に市民を巻き込むなどしたとして起訴されていて、ことし3月、ベラルーシの国営通信社は、裁判所が禁錮10年の判決を言い渡したと伝えています。

      ノーベル平和賞とは

      ノーベル平和賞は、軍縮や民主主義、人権の尊重、平和な世界の実現などに貢献した個人や団体に贈られるほか、近年は環境問題などへの取り組みにも贈られています。

      賞が始まった1901年から2022年までの間に、110人の個人と27の団体が受賞し、このうち▽ICRC=赤十字国際委員会は3回、▽UNHCR=国連難民高等弁務官事務所は2回、受賞しています。

      ノーベル賞の6つの部門のうち物理学賞や経済学賞など5つの賞は、賞を創設したアルフレッド・ノーベルの母国のスウェーデンで選考されますが、平和賞だけはノーベル自身の意向で隣国のノルウェーで選考され、受賞者の発表や授賞式もノルウェーの首都オスロで行われます。

      選考にあたるのはノルウェー議会に任命された5人の選考委員で、毎年1月末までに世界各国の有識者や議員などから推薦を募り、推薦された候補者の中から受賞者を絞り込みます。

      受賞者は選考委員会の全会一致での決定を目指しますが、委員の意見が分かれ期限内に決まらない場合は、多数決で決定します。

      誰がどの人物を推薦したかなど選考の過程は秘密とされ、50年後にならないと公開されない仕組みになっています。

      ノーベル委員会によりますと、ことしはこれまでで2番目に多い351の個人と団体が、候補に挙がっていたということです。
      https://www3.nhk.or.jp/news/html/20231006/k10014217681000.html

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  8. ノーベル経済学賞に男女間の格差是正など研究のゴールディン氏
    2023年10月9日 21時19分

    ことしのノーベル経済学賞の受賞者に、男女の賃金格差の要因や労働市場における女性の役割などを研究したアメリカのハーバード大学のゴールディン教授が選ばれました。

    スウェーデンの王立科学アカデミーは、日本時間の10月9日午後7時前、ことしのノーベル経済学賞の受賞者を発表しました。

    受賞が決まったのは、アメリカのハーバード大学のクラウディア・ゴールディン教授です。

    ゴールディン教授は、女性の労働市場への参加についてアメリカの200年以上にわたるデータを集め、男女間の格差の是正において何が重要なのか、そのカギとなる要因を分析しました。

    従来の研究では、女性の就業率は経済発展に伴って上昇すると考えられていました。

    しかし、ゴールディン教授は主要産業が農業から工業に移り変わることに伴って既婚女性が仕事と家庭を両立することが困難になることなどから女性の就業率が低下するとしました。

    そして経済のサービス化が進むことで就業率が増加するとして、U字型のカーブを描く構造を初めて明らかにしました。

    現在では、アメリカだけでなく、ほかの多くの国でも当てはまる現象だと評価されています。

    ゴールディン教授の研究は、政府の介入や男性の家庭参加に加えて、長時間労働を改めるなど、企業が男女間の格差是正に向けて柔軟な働き方を認めることを論理的に後押ししたとされています。

    ノーベル経済学賞で女性の受賞者は3人目となります。

    選考委員長「どの障壁に対処すべきか知ることができた」
    スウェーデンの王立科学アカデミーの選考委員長は、ゴールディン教授の業績について、「労働市場における女性の役割を理解することは社会にとって重要だ。ゴールディン氏の革新的な研究のおかげで、私たちは、隠された要因や、将来、どの障壁に対処すべきかをさらに知ることができた」と評価しています。
    https://www3.nhk.or.jp/news/html/20231009/k10014220061000.html

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  9. すべてがノベル大賞と化しているらしい…

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