2024年10月11日

「五輪、国連、ノーベル賞」



2024年10月5日 7時06分 NHKニュース
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20241005/k10014601311000.html

>ことしのノーベル賞受賞者の発表が、週明けの7日から始まります。日本人の受賞はアメリカ国籍を取得した人を含めこれまで28人で、3年ぶりの受賞となるか、注目されます。

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2023年10月2日 6時04分 NHKニュース

ことしのノーベル賞受賞者の発表が2日から始まります。日本人の受賞はアメリカ国籍を取得した人を含めこれまで28人で、2年ぶりの受賞となるか、注目されます。

ノーベル賞は、ダイナマイトを発明したスウェーデンのアルフレッド・ノーベルの遺言に基づいて、「人類に最大の貢献をもたらした人々」に贈るとされています。

ことしの受賞者の発表は
▽2日が生理学・医学賞
▽3日が物理学賞
▽4日が化学賞
▽5日が文学賞
▽6日が平和賞
▽9日が経済学賞となっています。

日本人の受賞はこれまでアメリカ国籍を取得した人を含めて28人ですが、このうち2000年以降に受賞した20人はすべて、生理学・医学賞、物理学賞、化学賞の自然科学系の3賞で、この期間ではアメリカに次ぐ2番目の多さとなっています。

一方、文学賞は1994年の大江健三郎さん、平和賞は1974年の佐藤栄作元総理大臣以来受賞がなく、経済学賞を受賞した人はいません。

おととし、物理学賞に輝いた真鍋淑郎さん以来、2年ぶりに日本人の受賞があるのか注目されます。

ノーベル賞の授賞式や晩さん会はことし12月にスウェーデンのストックホルムで開かれる見通しです。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20231002/k10014212651000.html



https://www3.nhk.or.jp/news/word/0002502.html




(書きかけ)





(№614 2023年10月2日)

38 件のコメント:

  1. 研究費配分は「広く浅く」 ノーベル級「選択と集中」より成果…筑波・弘前大チーム
    2023/09/23 05:00

     ノーベル賞級の研究成果を上げるには、少額の研究費を多くの研究者に配る方がいい――。そんな分析結果を、筑波大と弘前大のチームがまとめた。研究費の配分で「選択と集中」が進むなか、広く浅く支援する重要性を指摘している。

     チームは、政府が1991年以降、生命科学・医学分野に配分した科学研究費助成事業(科研費)約18万件を対象に、研究費と論文数などとの関係を調べた。

     その結果、500万円以下の少額研究費を多くの研究者に配る方が、高額な研究費を限られた研究者に配分するよりも、iPS細胞(人工多能性幹細胞)の作製などノーベル賞級の研究成果を効率良く出せていた。一方、5000万円以上の高額になると、画期的な成果の論文数は科研費の受給前よりも減ったという。

     筑波大の大庭良介准教授(科学計量学)は「過去の実績にとらわれず、様々な研究者に資金を与えることが望ましい」と話している。
    https://www.yomiuri.co.jp/science/20230923-OYT1T50071/

    https://koibito2.blogspot.com/2018/03/impact.html?showComment=1695416988481#c7588819343099689186

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  2. ノーベル生理学・医学賞にカリコ氏ら2人 ワクチン開発に貢献
    2023年10月2日 18時54分

    ことしのノーベル生理学・医学賞の受賞者に新型コロナウイルスのmRNAワクチンの開発で大きな貢献をした、ハンガリー出身でアメリカの大学の研究者カタリン・カリコ氏ら2人が選ばれました。

    2023年のノーベル生理学・医学賞の受賞者は、日本時間の2日にスウェーデンの首都・ストックホルムで発表されました。

    受賞者の発表会見の内容について随時更新でお伝えします。

    【ライブ配信】受賞者 発表会見のようす

    ノーベル賞2023 関連サイト

    ノーベル賞は、ダイナマイトを発明したスウェーデンのアルフレッド・ノーベルの遺言に基づいて、「人類に最大の貢献をもたらした人々」に贈るとされています。

    ことしの受賞者の発表は
    ▽2日が生理学・医学賞
    ▽3日が物理学賞
    ▽4日が化学賞
    ▽5日が文学賞
    ▽6日が平和賞
    ▽9日が経済学賞となっています。

    日本人の受賞はこれまでアメリカ国籍を取得した人を含めて28人ですが、このうち2000年以降に受賞した20人はすべて、生理学・医学賞、物理学賞、化学賞の自然科学系の3賞で、この期間ではアメリカに次ぐ2番目の多さとなっています。

    一方、文学賞は1994年の大江健三郎さん、平和賞は1974年の佐藤栄作元総理大臣以来受賞がなく、経済学賞を受賞した人はいません。

    生理学・医学賞 注目の研究者は

    坂口志文さん(左) 岸本忠三さん(右)

    毎年、注目されているのは、日本に有力な研究者が多い免疫学の分野で、過剰な免疫反応を抑える「制御性T細胞」を発見した大阪大学特任教授の坂口志文さんや、免疫の働きを強める「インターロイキン6」というたんぱく質を発見した大阪大学特任教授の岸本忠三さんがこれまでに国際的な賞を受賞するなどしています。

    遠藤章さん(左)  満屋裕明さん(右)

    また、病気の治療に貢献している研究者の中では、青カビが作り出す「スタチン」という物質が動脈硬化の原因となる血液の中のコレステロールを下げることを発見し、治療薬の開発に貢献した東京農工大学特別栄誉教授の遠藤章さんや、HIVの増殖を抑える化合物を発見し、後天性免疫不全症候群の世界初の治療薬を開発した国立国際医療研究センター研究所所長の満屋裕明さんが注目されています。

    竹市雅俊さん(左) 森和俊さん(中央) 柳沢正史さん(右)

    このほかの分野では、細胞どうしを結び付けて臓器などを形づくる分子、「カドヘリン」を発見した理化学研究所名誉研究員の竹市雅俊さんや、「小胞体」と呼ばれる細胞の器官が、不良品のたんぱく質を修復したり分解したりする仕組みを解明した京都大学教授の森和俊さんも国際的な学術賞を受賞していて注目されています。

    このほか、脳で分泌される「オレキシン」という神経からの信号を伝える物質が睡眠の制御に関わっていることを発見した筑波大学・国際統合睡眠医科学研究機構機構長の柳沢正史さんは、2023年9月にイギリスの学術情報サービス会社が今後、受賞が有力視される研究者として発表しています。
    https://www3.nhk.or.jp/news/html/20231002/k10014211101000.html

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    1. ノーベル生理学・医学賞にカリコ氏ら…mRNA研究で新型コロナワクチン開発に貢献
      2023/10/02 18:53

      ノーベル生理学・医学賞に決まったカタリン・カリコ氏(左)とドリュー・ワイスマン氏(昨年4月、日本国際賞の授賞式で)

       スウェーデンのカロリンスカ研究所は2日、2023年のノーベル生理学・医学賞を「メッセンジャーRNA」(mRNA)ワクチンの基盤技術を開発した米ペンシルベニア大のカタリン・カリコ特任教授(68)と同大のドリュー・ワイスマン教授(64)に贈ると発表した。新型コロナウイルス禍で普及したmRNAワクチンで、多くの人命が救われたことが評価された。

       mRNAをワクチンや難病の治療薬として応用しようとする研究は約30年前からあったが、mRNAを人体に投与すると免疫が攻撃して強い炎症が起きるため、安全性で難点があった。これを解決したのがカリコ氏とワイスマン氏で、2人がペンシルベニア大で研究していた2005年、mRNAの一部の化学物質(ウリジン)を別の化学物質(シュードウリジン)に置き換えると、免疫の攻撃が抑えられることを発見した。

       この研究がmRNAを医薬品化する最初の足がかりとなって独製薬企業ビオンテックや米モデルナなどのバイオ企業が注目し、がんやインフルエンザなどに対するmRNAを使った次世代の創薬研究が盛んになった。

       20年初頭、新型コロナの感染が世界に拡大すると、米ファイザー、モデルナがmRNAワクチンの開発を進め、同年12月に世界で初めて実用化した。

       授賞式は、アルフレッド・ノーベルの命日にあたる12月10日にストックホルムで開かれる。

      mRNA  細胞が合成するたんぱく質の設計図にあたる分子。塩基という4種類の化合物がひものように連なった構造で、たんぱく質の組み立てに必要な情報を細胞内の小器官に運ぶ伝令役(メッセンジャー)を果たす。
      https://www.yomiuri.co.jp/science/20220928-OYT1T50177/

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    2. ノーベル生理学・医学賞にカリコ氏ら コロナワクチン開発貢献
      2023年10月2日 21時14分

      ことしのノーベル生理学・医学賞の受賞者に新型コロナウイルスのmRNAワクチンの開発で大きな貢献をしたハンガリー出身で、アメリカの大学の研究者カタリン・カリコ氏ら2人が選ばれました。

      スウェーデンのストックホルムにあるノーベル賞の選考委員会は日本時間の午後7時前に記者会見し、ことしのノーベル生理学・医学賞に、新型コロナウイルスの「mRNAワクチン」の開発で大きな貢献をした
      ▽ハンガリー出身で、アメリカのペンシルベニア大学の研究者、カタリン・カリコ氏と
      ▽同じくペンシルベニア大学のドリュー・ワイスマン氏の2人を選んだと発表しました。

      カリコ氏らは人工的に合成した遺伝物質のメッセンジャーRNA=mRNAをワクチンとして使うための基礎となる方法を開発しました。mRNAにはたんぱく質を作るための設計図にあたる情報が含まれています。

      これを人工的に設計し、狙ったたんぱく質が作られるようにして体内で機能するようにすればワクチンとして使うことができると期待されていましたが、mRNAは、ヒトに投与すると体内で炎症が引き起こされるため、医薬品に使うのは難しいのが課題でした。

      カリコ氏らはmRNAを構成する物質を別の物質に置き換えることで炎症反応が抑えられることを発見し、2005年に発表しました。

      さらに、置き換えられたmRNAを使うと目的とするたんぱく質が劇的に効率よく作られることを発見し、医薬品として扱う上での大きな壁を取り除きました。この技術をもとに製薬会社がワクチンの開発に乗り出し、新型コロナのパンデミックでは記録的な速さでワクチンの開発に成功しました。この技術の柔軟性はほかの感染症のワクチンの開発にも道を開き、今後、ガンの治療などへの応用が期待されています。

      選考委員会「新型コロナワクチン開発に不可欠だった」

      ノーベル賞の選考委員会は授賞理由について「2人の発見は、2020年初頭に始まったパンデミックで新型コロナウイルスに対して効果的なmRNAワクチンの開発に不可欠だった」としています。

      その上で「mRNAが免疫システムにどう相互に作用するかについて私たちの理解を根本から変えた画期的な発見を通じて、2人は、現代における人類の健康に対する最大の脅威の1つだったパンデミックで前例のないスピードのワクチン開発に貢献した」と評価しています。

      また、授賞が決まったことを伝えた際のカリコ氏とワイスマン氏の様子について「2人はとても喜んでいた」と明らかにしました。

      このうちカリコ氏は「とても感激した」と話したということです。

      ワイスマン氏には選考委員会が公式発表する数分前に連絡が取れたということで「彼は感激していて、非常に感謝していた」と述べました。

      安全性についての質問も

      記者会見では、新型コロナウイルスのmRNAワクチンの安全性についての質問も出されました。

      これに対してノーベル賞の選考委員会は「mRNAワクチンの接種は始まってまだまもないが、すでにのべ130億人が接種を受けている。副反応も限定的で大きな懸念とは考えていない。有害事象として特に若い男性で心筋炎が出ることがあるが、ほとんどの場合は軽度で、特に長期的な影響なく解消するということだ。コロナに感染する方が長期的な健康への影響がある」と述べました。

      また、ワクチンに反対する動きがあるなかで、科学界や医療界はどう対応し、どう説明すべきか問われたのに対しては「このワクチンがどのように機能するのか、引き続き仕組みを説明していく必要がある。新型コロナの場合、mRNAワクチンの開発が大きなニーズを受けて、加速したのは事実だが、臨床試験が短い期間で行われたからといって安全性の確認が省略されたわけではない。臨床試験がどのように行われたのかや、数十年に及ぶ基礎研究が行われてきたことについて伝えていくべきだと思う。ノーベル賞の受賞によってこうした事実に光が当たることを願う」と説明しました。

      所属するペンシルベニア大「画期的な発見」

      カリコ氏とワイスマン氏が所属するペンシルベニア大学は、授賞発表の直後にSNSにコメントを投稿し「2人を誇りに思う。画期的な発見は世界的なパンデミックという難題を克服しただけでなく、今後、数十年にわたり他の多くの病気の治療と予防に大きな影響を与えるだろう」と祝福しました。

      SNSには事前に撮影されたとみられる2人のインタビュー動画も投稿されていて、カリコ氏は「母が、『毎年10月にはあなたがノーベル賞をとるのではないかと思ってラジオを聞いているの。ずっと努力しているから』と言うので、わたしは『たくさんの科学者が大変な努力を続けているのよ』と説明したものです」と笑顔で語っています。

      ワイスマン氏は「ノーベル賞は科学者にとって最も重要な賞で、大変な名誉です。私たち2人が力を合わせなければ、この研究は達成しえなかったと思います。これがとても重要なことだと思います」と話しています。

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    3. 《研究者から喜びの声》

      審良特任教授「20年かけて結実させた」

      mRNAの研究には日本人の研究者も関わっていて、大阪大学の審良静男特任教授は、カリコ氏らが2008年に発表した論文に共著者のひとりとして名を連ねています。

      mRNAは体内に入ると、炎症が引き起こされますが、その理由は病原体が体内に侵入したときに最初に働く「自然免疫」が活性化するためだと考えられています。

      自然免疫の研究の第一人者として知られる審良特任教授はカリコ氏らとともにmRNAを構成する物質の1つ、「ウリジン」を、別の物質「シュードウリジン」に置き換えた場合の炎症の程度を調べた論文を発表しました。

      この中で、マウスを使った実験で、特定の「シュードウリジン」に置き換えたmRNAを投与した場合、炎症反応が抑えられ、目的とするたんぱく質が作られる効率も通常のmRNAを投与した場合の10倍以上になることを明らかにしました。

      かつて関わった研究が、カリコ氏らの受賞につながったことについて、審良特任教授は「カリコ氏の生理学・医学賞の受賞を喜ばしく思います。mRNAをワクチンに使うという発想は免疫学の立場からあったものですが、さまざまな事情から容易には開発困難と思われていました。多くの研究者が挫折する中で、カリコ氏は地道に基礎データを積み上げて、20年をかけて新型コロナウイルスワクチンという形に結実させました。カリコ氏と共同研究者の信念と粘り強い姿勢は、多くの基礎生命科学者に勇気を与えました。ともに喜びたいと思います」とコメントしています。

      位高教授「非常に勇気のある人」

      カリコ氏が選ばれたことについて、mRNAを使った薬の開発の研究者で、15年にわたって交流を深めてきた東京医科歯科大学の位高啓史教授は「mRNAが薬になると本気で考える人が世界中でほとんどいなかったときから、その可能性を信じて研究を手探りで進めてこられたので、非常に勇気のある方だと思っています」と話し、喜びをあらわにしていました。

      また、カリコ氏の人柄については「どなたとも先入観なく接することができる気さくな方です。学会の会場でお会いしたときに、実験のノウハウなどを快くオープンに教えていただいたことをよく覚えています。そうした姿勢が最終的にはカリコ先生の仕事の成果につながったのだと思います」と話していました。

      そして、今後、与える影響については、「mRNAは感染症のワクチンとして非常に広く知られる存在になりましたが、今後はほかの治療薬としても応用が大きく広がると思います。さらに多くの研究者や企業がこの分野に入ってくることを期待したい」と話していました。

      山中伸弥さん「多くの人が救われた」

      カリコ氏らが受賞したことについて京都大学iPS細胞研究所の山中伸弥名誉所長はSNSで「カタリン・カリコ先生、ご受賞おめでとうございます。対談の機会をいただきました際に、非常に謙虚な姿勢で粘り強く研究を進めてこられたことをお聞きし、心から尊敬の念を抱きました。コロナ禍という世の中が危機感に覆われた中、mRNAワクチン技術という画期的な発明により多くの人が救われました。そのご業績に心から敬意を表します」とコメントしています。

      《研究内容は》

      mRNAワクチンとは

      mRNAワクチンは、ウイルスの遺伝情報を伝達する物質で、体内でたんぱく質を作るための設計図にあたる情報を含むmRNAを使ったワクチンです。

      新型コロナの感染拡大以降、広く接種されているファイザーやモデルナの新型コロナワクチンはmRNAワクチンで、スパイクたんぱく質と呼ばれる、ウイルスの表面にある突起を合成するmRNAが含まれています。

      mRNAの情報をもとに体内で新型コロナと同じスパイクたんぱく質が作られ、このたんぱく質に対して免疫が働き、抗体が作られます。

      mRNAワクチンはウイルスの遺伝情報があれば製造できるため素早い対応が可能で、新型コロナのパンデミックでは1年足らずで開発に成功し、変異ウイルスに対応したワクチンも開発され、パンデミック対策の最も重要な要素の1つとなりました。

      すでにほかの感染症に対応したmRNAワクチンの開発も進んでいるほか、がんワクチンなど新たな医薬品としての活用も進むと期待されています。

      源流の研究に日本人も

      mRNAワクチンは、基礎的な研究が積み重なって開発されていて、源流となる研究には日本人も名前を連ねています。

      古市泰宏さん

      去年亡くなった古市泰宏さんは1970年代にmRNAに特徴的に見られる「キャップ」という構造を発見しました。

      古市さんは蚕に感染するウイルスの研究を行う中で、mRNAの端に特殊な構造があることに気づき、帽子をかぶっているような形をしているように見えることから1975年に発表した論文で「キャップ構造」と名付けました。

      キャップ構造はmRNAに含まれる遺伝情報をもとに、たんぱく質が作られるのに欠かせないもので、mRNAワクチンにつながる源流の研究として位置づけられています。

      生前、古市さんは「目先の利益や応用を考えずに、物事のことわりを知りたいと研究していたことが、ワクチンに応用された。新型コロナのワクチンを接種したときには『この中にキャップが入っているんだ。みんなキャップのついたmRNAを打つんだ』と不思議な縁を感じました。効果が高いワクチンだということなので誇らしい気がしました」と話していました。

      《発表日程》

      ノーベル賞 ことしの発表日程は

      ノーベル賞は、ダイナマイトを発明したスウェーデンのアルフレッド・ノーベルの遺言に基づいて、「人類に最大の貢献をもたらした人々」に贈るとされています。

      ことしの受賞者の発表は
      ▽2日が生理学・医学賞
      ▽3日が物理学賞
      ▽4日が化学賞
      ▽5日が文学賞
      ▽6日が平和賞
      ▽9日が経済学賞となっています。

      日本人の受賞はこれまでアメリカ国籍を取得した人を含めて28人ですが、このうち2000年以降に受賞した20人はすべて、生理学・医学賞、物理学賞、化学賞の自然科学系の3賞で、この期間ではアメリカに次ぐ2番目の多さとなっています。

      一方、文学賞は1994年の大江健三郎さん、平和賞は1974年の佐藤栄作元総理大臣以来受賞がなく、経済学賞を受賞した人はいません。
      https://www3.nhk.or.jp/news/html/20231002/k10014211101000.html

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    4. ノーベル生理学・医学賞にカリコ氏ら コロナワクチン開発貢献
      2023年10月2日 22時10分

      ことしのノーベル生理学・医学賞の受賞者に新型コロナウイルスのmRNAワクチンの開発で大きな貢献をしたハンガリー出身で、アメリカの大学の研究者カタリン・カリコ氏ら2人が選ばれました。

      スウェーデンのストックホルムにあるノーベル賞の選考委員会は日本時間の午後7時前に記者会見し、ことしのノーベル生理学・医学賞に、新型コロナウイルスの「mRNAワクチン」の開発で大きな貢献をした
      ▽ハンガリー出身で、アメリカのペンシルベニア大学の研究者、カタリン・カリコ氏と
      ▽同じくペンシルベニア大学のドリュー・ワイスマン氏の2人を選んだと発表しました。

      カリコ氏らは人工的に合成した遺伝物質のメッセンジャーRNA=mRNAをワクチンとして使うための基礎となる方法を開発しました。mRNAにはたんぱく質を作るための設計図にあたる情報が含まれています。

      これを人工的に設計し、狙ったたんぱく質が作られるようにして体内で機能するようにすればワクチンとして使うことができると期待されていましたが、mRNAは、ヒトに投与すると体内で炎症が引き起こされるため、医薬品に使うのは難しいのが課題でした。

      カリコ氏らはmRNAを構成する物質を別の物質に置き換えることで炎症反応が抑えられることを発見し、2005年に発表しました。

      さらに、置き換えられたmRNAを使うと目的とするたんぱく質が劇的に効率よく作られることを発見し、医薬品として扱う上での大きな壁を取り除きました。この技術をもとに製薬会社がワクチンの開発に乗り出し、新型コロナのパンデミックでは記録的な速さでワクチンの開発に成功しました。この技術の柔軟性はほかの感染症のワクチンの開発にも道を開き、今後、ガンの治療などへの応用が期待されています。

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    5. カリコ氏「冗談かと思った」

      受賞が決まったカタリン・カリコ氏は、ノーベル財団との電話インタビューで「私は電話がかかってきたときに寝ていて、受賞が決まったという連絡を夫が受けました。誰かが冗談を言っているのかと思いました」と話していました。

      選考委員会「新型コロナワクチン開発に不可欠だった」

      ノーベル賞の選考委員会は授賞理由について「2人の発見は、2020年初頭に始まったパンデミックで新型コロナウイルスに対して効果的なmRNAワクチンの開発に不可欠だった」としています。

      その上で「mRNAが免疫システムにどう相互に作用するかについて私たちの理解を根本から変えた画期的な発見を通じて、2人は、現代における人類の健康に対する最大の脅威の1つだったパンデミックで前例のないスピードのワクチン開発に貢献した」と評価しています。

      また、授賞が決まったことを伝えた際のカリコ氏とワイスマン氏の様子について「2人はとても喜んでいた」と明らかにしました。

      このうちカリコ氏は「とても感激した」と話したということです。

      ワイスマン氏には選考委員会が公式発表する数分前に連絡が取れたということで「彼は感激していて、非常に感謝していた」と述べました。

      安全性についての質問も

      記者会見では、新型コロナウイルスのmRNAワクチンの安全性についての質問も出されました。

      これに対してノーベル賞の選考委員会は「mRNAワクチンの接種は始まってまだまもないが、すでにのべ130億人が接種を受けている。副反応も限定的で大きな懸念とは考えていない。有害事象として特に若い男性で心筋炎が出ることがあるが、ほとんどの場合は軽度で、特に長期的な影響なく解消するということだ。コロナに感染する方が長期的な健康への影響がある」と述べました。

      また、ワクチンに反対する動きがあるなかで、科学界や医療界はどう対応し、どう説明すべきか問われたのに対しては「このワクチンがどのように機能するのか、引き続き仕組みを説明していく必要がある。新型コロナの場合、mRNAワクチンの開発が大きなニーズを受けて、加速したのは事実だが、臨床試験が短い期間で行われたからといって安全性の確認が省略されたわけではない。臨床試験がどのように行われたのかや、数十年に及ぶ基礎研究が行われてきたことについて伝えていくべきだと思う。ノーベル賞の受賞によってこうした事実に光が当たることを願う」と説明しました。

      所属するペンシルベニア大「画期的な発見」

      カリコ氏とワイスマン氏が所属するペンシルベニア大学は、授賞発表の直後にSNSにコメントを投稿し「2人を誇りに思う。画期的な発見は世界的なパンデミックという難題を克服しただけでなく、今後、数十年にわたり他の多くの病気の治療と予防に大きな影響を与えるだろう」と祝福しました。

      SNSには事前に撮影されたとみられる2人のインタビュー動画も投稿されていて、カリコ氏は「母が、『毎年10月にはあなたがノーベル賞をとるのではないかと思ってラジオを聞いているの。ずっと努力しているから』と言うので、わたしは『たくさんの科学者が大変な努力を続けているのよ』と説明したものです」と笑顔で語っています。

      ワイスマン氏は「ノーベル賞は科学者にとって最も重要な賞で、大変な名誉です。私たち2人が力を合わせなければ、この研究は達成しえなかったと思います。これがとても重要なことだと思います」と話しています。

      ワイスマン氏とは

      ドリュー・ワイスマン氏はアメリカ東部マサチューセッツ州生まれです。1987年にボストン大学で免疫学と微生物学の博士号を取得したあと、アメリカのNIH=国立衛生研究所に所属し、感染症研究の第一人者、アンソニー・ファウチ博士のもとでHIV=ヒト免疫不全ウイルスの研究を行いました。

      その後、1997年からペンシルベニア大学に移り、ワクチンや免疫関連の研究を続けていたころにカリコ氏と出会い、2005年、ワクチン開発に道をひらく研究成果を共同で発表しました。

      所属するペンシルベニア大学によりますとワイスマン氏は現在、次のコロナウイルスの流行に備えたワクチンの開発のほか、同僚とともにmRNAの技術を使ったがんの治療薬の開発にも取り組んでいるということです。

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    6. WHOがSNS投稿「彼らの科学への貢献が人命を救った」

      WHO=世界保健機関のテドロス事務局長はカリコ氏とワイスマン氏の受賞が発表されると自身のSNSに「本当におめでとう」と投稿して祝福しました。

      そのうえで「彼らの発見が新型コロナウイルスのmRNAワクチンの開発を可能にした。彼らの科学への貢献が人命を救った」として、2人の功績をたたえました。

      《研究者から喜びの声》

      審良特任教授「地道に追究する姿勢が印象的」
      カリコ氏らが2008年に発表した論文に共著者のひとりとして名を連ねていた大阪大学の審良静男特任教授は、「受賞は当然だと思う。新型コロナのワクチンが開発できたことは人類にとっての大きな貢献だ」と述べました。

      審良特任教授は、当時の論文について「基礎研究としては画期的な成果だと思ったが、その後も長い期間研究を続けワクチンの実用化につながったことはすばらしい。ワクチンの開発は難しく、研究費がかかることなどから途中で頓挫するケースも多い。mRNAワクチンが開発されたというニュースの中で彼女の名前が出て驚いたが、必死になって医療への応用を目指した結果だと思う」と評価しました。

      カリコ氏の研究への姿勢については「彼女は派手なところがなく、自分の知りたいことを地道に追究していく姿勢が印象的だった。今回の発表を機にほかの病気の治療にもmRNAが応用されるなど、研究がさらに進むことを期待している」と話していました。

      位高教授「非常に勇気のある人」

      カリコ氏が選ばれたことについて、mRNAを使った薬の開発の研究者で、15年にわたって交流を深めてきた東京医科歯科大学の位高啓史教授は「mRNAが薬になると本気で考える人が世界中でほとんどいなかったときから、その可能性を信じて研究を手探りで進めてこられたので、非常に勇気のある方だと思っています」と話し、喜びをあらわにしていました。

      また、カリコ氏の人柄については「どなたとも先入観なく接することができる気さくな方です。学会の会場でお会いしたときに、実験のノウハウなどを快くオープンに教えていただいたことをよく覚えています。そうした姿勢が最終的にはカリコ先生の仕事の成果につながったのだと思います」と話していました。

      そして、今後、与える影響については、「mRNAは感染症のワクチンとして非常に広く知られる存在になりましたが、今後はほかの治療薬としても応用が大きく広がると思います。さらに多くの研究者や企業がこの分野に入ってくることを期待したい」と話していました。

      山中伸弥さん「多くの人が救われた」

      京都大学iPS細胞研究所の山中伸弥名誉所長はSNSで「カタリン・カリコ先生、ご受賞おめでとうございます。対談の機会をいただきました際に、非常に謙虚な姿勢で粘り強く研究を進めてこられたことをお聞きし、心から尊敬の念を抱きました。コロナ禍という世の中が危機感に覆われた中、mRNAワクチン技術という画期的な発明により多くの人が救われました。そのご業績に心から敬意を表します」とコメントしています。

      《研究内容は》

      mRNA 医薬品として使う基礎開発

      カタリン・カリコ氏とドリュー・ワイスマン氏は、人工的に合成した遺伝物質のメッセンジャーRNA=mRNAを医薬品として使うための基礎となる方法を開発しました。

      mRNAにはたんぱく質を作るための設計図にあたる情報が含まれています。

      これを人工的に設計し、狙ったたんぱく質が作られるようにして体内で機能するようにすれば医薬品として使うことができると期待されていましたが、mRNAは、ヒトに投与すると体内で炎症が引き起こされるため、医薬品に使うのは難しいのが課題でした。

      この課題に対応するため、カリコ氏らは2005年の論文で、mRNAをヒトに投与したときの炎症反応を抑える方法を発表しました。

      それが、mRNAを構成する物質の1つ、「ウリジン」を「シュードウリジン」という似た物質に置き換える方法で、医薬品として使うための基礎の確立につながりました。

      mRNAワクチンとは

      mRNAワクチンは、ウイルスの遺伝情報を伝達する物質で、体内でたんぱく質を作るための設計図にあたる情報を含むmRNAを使ったワクチンです。

      新型コロナの感染拡大以降、広く接種されているファイザーやモデルナの新型コロナワクチンはmRNAワクチンで、スパイクたんぱく質と呼ばれる、ウイルスの表面にある突起を合成するmRNAが含まれています。

      mRNAの情報をもとに体内で新型コロナと同じスパイクたんぱく質が作られ、このたんぱく質に対して免疫が働き、抗体が作られます。

      mRNAワクチンはウイルスの遺伝情報があれば製造できるため素早い対応が可能で、新型コロナのパンデミックでは1年足らずで開発に成功し、変異ウイルスに対応したワクチンも開発され、パンデミック対策の最も重要な要素の1つとなりました。

      すでにほかの感染症に対応したmRNAワクチンの開発も進んでいるほか、がんワクチンなど新たな医薬品としての活用も進むと期待されています。

      源流の研究に日本人も

      mRNAワクチンは、基礎的な研究が積み重なって開発されていて、源流となる研究には日本人も名前を連ねています。

      古市泰宏さん

      去年亡くなった古市泰宏さんは1970年代にmRNAに特徴的に見られる「キャップ」という構造を発見しました。

      古市さんは蚕に感染するウイルスの研究を行う中で、mRNAの端に特殊な構造があることに気づき、帽子をかぶっているような形をしているように見えることから1975年に発表した論文で「キャップ構造」と名付けました。

      キャップ構造はmRNAに含まれる遺伝情報をもとに、たんぱく質が作られるのに欠かせないもので、mRNAワクチンにつながる源流の研究として位置づけられています。

      生前、古市さんは「目先の利益や応用を考えずに、物事のことわりを知りたいと研究していたことが、ワクチンに応用された。新型コロナのワクチンを接種したときには『この中にキャップが入っているんだ。みんなキャップのついたmRNAを打つんだ』と不思議な縁を感じました。効果が高いワクチンだということなので誇らしい気がしました」と話していました。
      (以下略)
      https://www3.nhk.or.jp/news/html/20231002/k10014211101000.html

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    7. カリコ氏「家庭を持つことと科学者でいること 選ぶ必要はない」

      受賞が決まったカタリン・カリコ氏は、ノーベル財団との電話インタビューで「私は電話がかかってきたときに寝ていて、受賞が決まったという連絡は夫が受けました。誰かが冗談を言っているのかと思いました」と話していました。

      また、これまでの研究の道のりを振り返り、「10年ほど前、ペンシルベニア大学から追い出されましたが、夫が私を支えてくれました。私の母は2018年に亡くなりましたが、『あなたがとるかもしれない』とノーベル賞の発表をいつも確認していました。母は『あなたは一生懸命頑張っている』と言ってくれていました。家族は私を信じてくれていて、娘たちも私が懸命に働く姿を見てくれていました」と述べ、周りの支えがあったことを話していました。

      そのうえで「私は女性として、母として、同僚の女性の科学者たちに対し『家庭を持つことと科学者でいることのどちらかを選ぶ必要はない』と伝えています。子どもはあなたをみて、見習います。あなたが子どもの模範になることが重要なのです」と女性の科学者たちを激励しました。

      また「多くの若い人たちは、友人や同僚がどんどん昇進していくのを見て、あきらめてしまいます。しかし、自分をあわれに思っている時間はありません。次に自分に何ができるのかを探すのにエネルギーや時間を費やすべきなのです」と、科学者たちを鼓舞することばを述べました。
      https://www3.nhk.or.jp/news/html/20231002/k10014211101000.html

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    8. ノーベル生理学・医学賞 カリコ氏とワイスマン氏 大学で会見
      2023年10月3日 6時45分

      ことしのノーベル生理学・医学賞の受賞者に選ばれた、アメリカの大学の研究者、カタリン・カリコ氏ら2人が記者会見し、「選ばれるとは思っていなかった」などと心境を語りました。

      スウェーデンにあるノーベル賞の選考委員会は2日、ことしのノーベル生理学・医学賞に、新型コロナウイルスの「mRNAワクチン」の開発で大きな貢献をした、
      ▽ハンガリー出身で、アメリカのペンシルベニア大学の研究者、カタリン・カリコ氏と、
      ▽同じくペンシルベニア大学のドリュー・ワイスマン氏の、
      2人を選びました。

      これを受け、ペンシルベニア大学では2日、2人が出席して記者会見が行われました。

      この中でカリコ氏は、「1997年、わたしたちはコピー機の前で出会いました。建物も部署も違いましたが、私たちはともに協力し、戦ってきました」と振り返りました。

      ワイスマン氏は「研究資金も得られず、興味を持ってくれる人もいないなか、いつも一緒に研究をしてきました。新型コロナウイルスワクチンの有効性が認められたのは大きな転換点でした。決して諦めずに取り組み続け、いまがあると思います」と話していました。

      2人は、mRNAをワクチンとして使うための基礎となる方法を開発し、新型コロナのパンデミックでは、記録的な速さでワクチンの開発が行われました。

      ワクチンの開発から短い期間で受賞が決まったことについて、カリコ氏は「私たちは賞のために仕事をしているわけではありません。大切なのは人に役立つものを作り出すことです。だから選ばれるとは思っていませんでした」と述べました。

      また、若い世代が科学を学ぶことの意味について問われると、ワイスマン氏は「社会が前に進むためには科学が必要です。わたしたちは子どもや孫、すべての人たちに、科学こそが世界を進展させるものだと伝える必要がある」と強調していました。
      https://www3.nhk.or.jp/news/html/20231003/k10014213691000.html

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    9. 人体を「薬の工場」にする斬新な手法、がん治療など幅広く応用が広がる…ノーベル生理学・医学賞
      2023/10/03 07:10

       今年のノーベル生理学・医学賞に、新型コロナウイルスワクチンの主成分となった遺伝物質「メッセンジャーRNA(mRNA)」の研究者が選ばれた。人間の体を「薬の工場」にするという斬新な手法は、がんなど幅広い病気の治療にも応用が広がりつつある。(鬼頭朋子)

       「この大学で素晴らしい出会いがあり、私たちの協力が始まった」

       米ペンシルベニア大のカタリン・カリコ特任教授(68)は、同大のドリュー・ワイスマン教授(64)と受賞決定後の記者会見に出席し、笑顔を見せながら2人の共同研究の始まりを振り返った。

       mRNAは細胞内にある小さな分子で、たんぱく質の「設計図」だ。細胞はmRNAの情報通りにたんぱく質を組み立てる。

       mRNAは1990年代に人工的に合成できるようになった。その時に新しい製薬の発想が生まれた。薬を化学的に合成するのではなく、人工的に作ったmRNAを投与し、細胞に薬になるたんぱく質を作らせるというものだ。ただ、mRNAを人体に投与すると、強い免疫反応が起きるなど課題があった。これを克服したのが2人だった。

       mRNAで薬を作る研究をしていたカリコ氏と、免疫学の専門家だったワイスマン氏。議論や実験を共にする中で、mRNAワクチンのアイデアが自然に生まれたという。

       mRNAの利点は、体に作らせるたんぱく質の設計図がわかれば短期間で作れることだ。新型コロナでは2020年1月、ウイルスの全遺伝情報が公表されると、米モデルナは2日後にワクチンの基本設計を終え、同年12月には実用化。変異株に対応した改良型ワクチンも次々と開発された。

       「心から祝福する。彼らの科学への献身により多くの命を救った」。世界保健機関(WHO)のテドロス・アダノム事務局長は2日、X(旧ツイッター)でコメントを出した。

       ノーベル賞選考委員会によると、新型コロナワクチンはmRNA以外の手法で作ったものも含めて全世界で130億回以上接種され、数百万人の命が救われたとしている。
      https://www.yomiuri.co.jp/science/20231003-OYT1T50041/

      がん 患者に合わせワクチン

       簡単に設計し、合成できる「mRNA医薬」の利点をがんなどの治療に役立てる研究が世界中で進む。

       米モデルナ社などは、mRNAを使ったがんワクチンの開発を目指し、皮膚がん患者を対象とした最終段階の臨床試験中だ。

       がん細胞で起きている遺伝子変異は、患者ごとに微妙に異なる。そこで、モデルナ社は、個々の変異に合わせてmRNAを作って投与することを目指す。

       国内では、東京医科歯科大の 位高いたか 啓史教授(mRNA創薬)らが、「変形性関節症」の進行を抑える治療法の開発に取り組む。

       変形性関節症は、加齢などで軟骨が破壊され、関節の痛みや腫れを引き起こす病気だ。これまで病気を完全に治せる薬はなかった。

       位高教授らは、軟骨を作る際に必要なたんぱく質を設計するmRNAを関節に注入する手法を目指し、実用化に向けた治験の準備を進めている。脳の病気や脊髄損傷を治療する新薬の開発も目指している。位高教授は、2008年頃から学会でカリコ氏と意見交換をしてきたといい、「mRNAを薬として使うことによりこれまで治すことが難しかった病気への新しい治療法が生まれるだろう」と話す。

       新型コロナ以外の感染症のワクチンについても、日本の製薬大手・第一三共が鳥インフルエンザワクチンの開発を進め、長崎大などのグループはマラリアワクチンを研究中だ。
      https://www.yomiuri.co.jp/science/20231003-OYT1T50041/2/

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    10. コロナから世界救った…ノーベル生理学・医学賞、医療現場はワクチンに感謝
      2023/10/03 07:15

       新型コロナウイルス感染症の猛威から世界を救ったワクチン。その早期開発に遺伝物質「メッセンジャーRNA(mRNA)」の研究で大きく貢献したカタリン・カリコ米ペンシルベニア大特任教授(68)らのノーベル生理学・医学賞受賞が2日、決まった。国内の医療機関の現場や研究者らからは、祝福の声が上がった。

      不遇時代をともに乗り越えたカリコさん(右)とワイスマンさん=米ペンシルベニア大提供

       新型コロナウイルスワクチンの接種は、日本国内でも4億回を超えた。東京曳舟病院(東京都墨田区)の三浦邦久副院長は、「ワクチンがなければ、医療 逼迫ひっぱく はより深刻な状況になっていたはずだ」と振り返る。オミクロン株が主流になってからも、ワクチン未接種の患者の方が重症化リスクは高い。三浦さんは「ワクチン接種の効果を日々実感している」と感謝する。

       ワクチンは、感染抑制と社会経済活動の両立にも不可欠だった。岡部信彦・川崎市健康安全研究所長は、「マスクや手洗いといった対策だけでは社会経済活動を再開できなかっただろう。ワクチンという武器があったからこそ『ウィズコロナ』の道へと歩き出し、普通の生活に戻れた」と述べた。

       カリコさんとゆかりのある研究者からも称賛の声が寄せられた。2012年の同賞受賞者で、対談したことがあるという山中伸弥・京都大教授はX(旧ツイッター)で、「非常に謙虚な姿勢で粘り強く研究を進めてこられたことをお聞きし、心から尊敬の念を抱きました」などと投稿した。

       今回の受賞対象となった05年の論文を審査した経験がある東京大医科学研究所の石井健教授(ワクチン科学)は「当時は、論文を読んでもmRNAワクチンができると予言できた人はいなかった。基礎的に素晴らしい論文は、いつか世の中を変える結果を生むということを見させてもらった」とたたえた。
      https://www.yomiuri.co.jp/science/20231003-OYT1T50009/

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  3. 医科様ワクチンにノベル大賞のハクをつける作業…

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    1. 医科様生物学ノベル大賞、ここに極まれり。

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    2. ウイルスと、免疫と、ワクチン、三大医科様案件の集大成。

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    3. プラス「核酸」「遺伝子」案件もか。

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  4. ことしのノーベル物理学賞 アメリカの大学の研究者ら3人
    2023年10月3日 19時10分

    ことしのノーベル物理学賞に「アト秒」と呼ばれるきわめて短い時間だけ光を出す実験的な手法を開発し、物質を構成する細かな粒子の1つ、「電子」の動きを観測する新たな研究を可能にしたアメリカの大学の研究者など3人が選ばれました。

    受賞者の発表会見の内容について随時更新でお伝えします。

    スウェーデンのストックホルムにあるノーベル賞の選考委員会は、日本時間の3日午後7時前、ことしのノーベル物理学賞の受賞者を発表しました。

    ▼アメリカのオハイオ州立大学のピエール・アゴスティーニ教授、
    ▼ドイツのルートヴィヒ・マクシミリアン大学のフェレンツ・クラウス教授、
    ▼スウェーデンのルンド大学のアンヌ・ルイエ教授の3人を選んだと発表しました。

    3人は「アト秒」と呼ばれるきわめて短い時間だけ光を出す実験的な手法を開発し、物質を構成する細かな粒子の1つ、「電子」の動きを観測する新たな研究を可能にしたことが評価されました。

    【ライブ配信】受賞者 発表会見のようす

    ノーベル賞2023 関連サイト

    ノーベル賞は、ダイナマイトを発明したスウェーデンのアルフレッド・ノーベルの遺言に基づいて、「人類に最大の貢献をもたらした人々」に贈るとされています。

    ことしの受賞者の発表は
    ▽2日が生理学・医学賞
    ▽3日が物理学賞
    ▽4日が化学賞
    ▽5日が文学賞
    ▽6日が平和賞
    ▽9日が経済学賞となっています。

    日本人の受賞はこれまでアメリカ国籍を取得した人を含めて28人ですが、このうち2000年以降に受賞した20人はすべて、生理学・医学賞、物理学賞、化学賞の自然科学系の3賞で、この期間ではアメリカに次ぐ2番目の多さとなっています。

    一方、文学賞は1994年の大江健三郎さん、平和賞は1974年の佐藤栄作元総理大臣以来受賞がなく、経済学賞を受賞した人はいません。

    おととし、物理学賞に輝いた真鍋淑郎さん以来、2年ぶりに日本人の受賞があるのか注目されます。

    物理学賞 注目の研究者は

    物理学賞はアメリカ国籍を取得した人を含め、これまで日本から12人が受賞しています。2021年は、愛媛県出身でアメリカ国籍を取得している真鍋淑郎さんが受賞。気候をシミュレーションするモデルの基礎を開発し、地球温暖化の研究を切り開いた功績が評価されました。

    十倉好紀さん(左) 細野秀雄さん(中央) 香取秀俊さん(右)

    注目されている研究者としては、

    ▽消費電力が極めて少ないコンピューター用の記憶媒体の実現につながる金属の化合物「マルチフェロイック物質」の特徴を解き明かした理化学研究所センター長の十倉好紀さん、
    ▽電力ロスが少ない次世代の送電線などへの応用も期待される「鉄系超電導物質」を発見した東京工業大学栄誉教授の細野秀雄さん、
    ▽100億年で1秒も狂わない極めて正確な「光格子時計」と呼ばれる時計を開発した、東京大学教授の香取秀俊さんなどが挙げられています。
    https://www3.nhk.or.jp/news/html/20231003/k10014213781000.html

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  5. 社説
    ノーベル賞 コロナ抑えたワクチンの功績
    2023/10/04 05:00

     新型コロナウイルスの流行抑止に大きな役割を果たしたワクチンの研究者にノーベル生理学・医学賞が贈られることになった。世界中で多くの命を救った功績は計り知れない。

     受賞するのは、米ペンシルベニア大学のカタリン・カリコ特任教授と、ドリュー・ワイスマン教授だ。2人は共同で、人工的に合成した遺伝物質メッセンジャーRNA(mRNA)の研究を進め、ワクチンの開発に道を開いた。

     mRNAを体に投与した場合、過剰な免疫反応が起きるため、ワクチンや治療薬に使うのは難しいとみられていた。しかし、激しい反応を引き起こす物質を改変し、反応を抑えることに成功した。

     コロナ流行の20年以上前から、このテーマに取り組んできた。常識にとらわれず、粘り強く研究を続けた努力を 称たた えたい。

     mRNAを使うことで、ワクチンを素早く製造できるようになった。2人の研究成果は、コロナの感染拡大から1年足らずで、米ファイザーやモデルナがワクチンを実用化する原動力となった。

     旧来の方法ではワクチン開発に数年かかるのが当たり前だった。コロナの世界的大流行に対応できず、感染の収束が遅れていたら、被害はどれほど広がっていたか、想像に難くない。

     カリコ氏の経歴にも注目が集まっている。母国のハンガリーから、幼い娘を連れて米国に移住した。ペンシルベニア大では、思うように研究費が獲得できず、降格の憂き目にも遭っている。

     論文を複写するため、大学のコピー機の前に並んでいる際、出会ったのが、共同研究者のワイスマン氏だった。mRNAを活用する方策を2人で色々と試すようになり、やがてドイツのベンチャー企業がワクチン開発につなげた。

     国籍や性別を問わずに才能を発掘し、他の研究者と交流しながら発想を広げることの大切さがわかる。閉鎖的で国際共同研究も少ないと言われる日本の大学も、学ぶべき点が多いのではないか。

     この分野では、日本人研究者もmRNAを安定化する構造を発見するなどの貢献をしている。ただ、日本はコロナ禍で、自前のワクチン開発に取り組んだものの、早期の実用化に至らず、欧米からの輸入に頼らざるを得なかった。

     その原因を探り、今後に生かすことが重要だ。

     mRNAの技術は、がん治療薬の開発などにも応用できる。医療の可能性をさらに広げる革新的な創薬にも期待したい。
    https://www.yomiuri.co.jp/editorial/20231003-OYT1T50250/

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  6. ノーベル文学賞にノルウェーの劇作家 ヨン・フォッセ氏
    2023年10月5日 20時07分

    ことしのノーベル文学賞にノルウェーの劇作家、ヨン・フォッセ氏が選ばれました。

    受賞者は日本時間の5日午後8時すぎにスウェーデンの首都・ストックホルムで発表されました。

    受賞者の発表会見の内容を随時更新でお伝えします。

    【関連】ノーベル賞2023の詳しい情報はこちらでも

    ノーベル賞は、ダイナマイトを発明したスウェーデンのアルフレッド・ノーベルの遺言に基づいて、「人類に最大の貢献をもたらした人々」に贈るとされています。

    ことしの受賞者の発表は
    ▽2日が生理学・医学賞
    ▽3日が物理学賞
    ▽4日が化学賞
    ▽5日が文学賞
    ▽6日が平和賞
    ▽9日が経済学賞となっています。

    日本人の受賞はこれまでアメリカ国籍を取得した人を含めて28人ですが、このうち2000年以降に受賞した20人はすべて、生理学・医学賞、物理学賞、化学賞の自然科学系の3賞で、この期間ではアメリカに次ぐ2番目の多さとなっています。

    一方、文学賞は1994年の大江健三郎さん、平和賞は1974年の佐藤栄作元総理大臣以来受賞がなく、経済学賞を受賞した人はいません。

    ノーベル文学賞 注目は

    文学賞ではこれまで2人の日本人が受賞。例年注目されるのは、作品が50以上の言語に翻訳され世界中で読まれている村上春樹さんです。

    チェコの「フランツ・カフカ賞」やデンマークの「アンデルセン文学賞」など、海外の賞を複数受賞していて、毎年、イギリスの「ブックメーカー」が行っている受賞者を予想する賭けでは“有力候補”の1人となっています。

    また、長年ドイツで暮らし日本語とドイツ語で小説を執筆している多和田葉子さんも、ドイツの「クライスト賞」や、アメリカの「全米図書賞」の翻訳文学部門に選ばれるなど、注目されています。
    https://www3.nhk.or.jp/news/html/20231005/k10014216631000.html

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    1. ノーベル文学賞にノルウェーの劇作家 ヨン・フォッセ氏
      2023年10月5日 23時15分

      ことしのノーベル文学賞に、世界各国で戯曲が上演され、詩のような特徴的なせりふ回しで知られるノルウェーの劇作家、ヨン・フォッセ氏が選ばれました。

      スウェーデンのストックホルムにある選考委員会は5日、ことしのノーベル文学賞にノルウェーの劇作家、ヨン・フォッセ氏を選んだと発表しました。

      フォッセ氏は1959年、ノルウェーに生まれ、1980年代前半から小説や詩集、それにエッセイなどを次々と発表しました。

      1990年代からは生や死などをテーマに、句読点がなく、詩のような特徴的なせりふ回しの戯曲を数多く手がけました。

      このうち代表作の「だれか、来る」についてノーベル賞の選考委員会は、作品のなかでことばや劇的な行動を減らし、不安や無力感という人間の最も強い感情を最も簡単な日常の会話で表現しているとしています。

      フォッセ氏は「近代演劇の父」と言われるノルウェーの劇作家、イプセンの再来とも呼ばれ、その作品は多くの言語に翻訳され、世界各地で上演されています。

      フォッセ氏について選考委員会は「現在、世界で最も幅広く上演されている劇作家の1人だ」とした上で、「革新的な戯曲と散文でことばに出せないものに声を与えている」と評価しています。

      フォッセ氏「圧倒される」

      ノーベル文学賞に選ばれたヨン・フォッセ氏はロイター通信に、「圧倒されるとともに、いささか怖さも感じています。私は何よりも文学であることを目指した文学に与えられる賞だと考えています」とコメントしています。

      専門家「普遍的な人間の気持ちを描く作品」

      ノーベル文学賞に選ばれたフォッセ氏の戯曲を日本語に翻訳した東京藝術大学大学院の長島確 准教授は「とても嬉しかった。毎年候補にあがっていたので、『やっと』という気持ちだ」と喜びをあらわにしていました。

      フォッセ氏の戯曲には登場人物に名前がなかったり、舞台設定がはっきりと示されていなかったりすることが多いとした上で、「せりふがシンプルな会話で、詩のように書かれている。強いメッセージがあるわけではなく、平明な淡いことばの繰り返しから、不安などいろいろな感情がなんとも言いがたい形であらわれてくる」と作品の魅力を説明しました。

      そして、「作品は名もない人々の生活のなかにある喪失感や孤独、思い出がデリケートに扱われ、普遍的な人間の気持ちを描いている。どんどん紹介されていってほしい」と話し、受賞が決まったことをきっかけに日本でもいっそう知られてほしいと期待を示しました。

      東京 渋谷 海外文学ファンは

      ことしのノーベル文学賞の発表にあわせて海外文学ファンたちが集まるイベントが東京都で開かれ、ことしの受賞者が発表されると大きな歓声が上がっていました。

      このイベントは首都圏の海外文学ファンのグループがノーベル文学賞の発表に合わせて、毎年、この時期に開いていて、ことしは東京・渋谷区の会場とオンラインであわせておよそ40人が参加しました。

      グループではノーベル賞を海外作品の魅力を知るきっかけにしてもらおうと、候補として名前の挙がる作家などおよそ40人分の作品を分担して読み込んだ上で、それぞれの紹介文を書いて冊子を作りました。

      会場には世界各国の作家の著作およそ80冊が持ち寄られ、参加者は分担した作家の魅力を語りあいながら発表の瞬間を待ちました。

      参加者はそれぞれことしの受賞者の予想も発表し、イベントを主催した浦野喬さんはヨン・フォッセ氏の名前を挙げていました。そして午後8時、その予想が的中してフォッセ氏の名前が発表されると、会場は大きな驚きと歓声に包まれました。

      翻訳でフォッセ氏の戯曲を読んだことがあるという女性は「3度目の参加ですが、予想が当たって興奮しました。受賞をきっかけにほかの作品も読んでみたいです」と話していました。

      イベントを主催した浦野喬さんは「場面や台詞の繰り返しなど表現の面白さが魅力の作者です。受賞をきっかけに、ほかの作品の翻訳も進んで読める作品が増えてほしい」と話していました。

      都内の書店 フォッセ氏の作品コーナー

      都内の書店にはフォッセ氏の作品のコーナーが急きょ、設けられました。

      東京・新宿区の紀伊國屋書店新宿本店では受賞者の発表を行う会見の模様を店内に設けたモニターで上映し、文学ファンが見守りました。

      午後8時すぎに日本の作家の受賞がないことが分かると、集まっていた人たちからため息がもれました。

      50代の女性は「村上春樹さんかもしれないかなとも思っていました。北欧の作家ということで、読んだことはありませんが、興味が湧いてきました」と話していました。

      書店では急きょ、別の店舗からフォッセ氏の著書の英訳版およそ10冊が持ち込まれ、コーナーが設けられました。

      29歳の男性は「最近、北欧に興味を持つようになっていて、フォッセさんも聞いたことがあっただけに、ラッキーという気持ちです。翻訳がないというようなことを聞きましたが、読んでみたいです」と話していました。

      紀伊國屋書店新宿本店の吉野裕司副店長は「候補のリストには入っていたものの、馴染みのない作家で、びっくりしています。出版社が日本語訳を出してくれれば嬉しい」と話していました。
      https://www3.nhk.or.jp/news/html/20231005/k10014216631000.html

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  7. ノーベル平和賞 イランの人権活動家 ナルゲス・モハンマディ氏
    2023年10月6日 21時10分

    ことしのノーベル平和賞に、イランで長年、女性の権利擁護や死刑制度の廃止などを訴え、現在は刑務所で服役している人権活動家のナルゲス・モハンマディ氏が選ばれました。

    選考委員会は授賞理由について「女性に対する弾圧と闘い、人権と自由を守るためにも闘った」と、その活動をたたえました。

    ノルウェーの首都オスロにある選考委員会は、ことしのノーベル平和賞にイランの人権活動家、ナルゲス・モハンマディ氏を選んだと発表しました。

    モハンマディ氏はジャーナリストとして活動するとともに、2003年に同じくイランでノーベル平和賞を受賞した弁護士のシリン・エバディさんが代表を務める人権団体「人権擁護センター」で副代表などを務め、女性の権利擁護や死刑制度の廃止などを訴えて活動してきました。

    しかし、こうした活動が国の安全保障を脅かしたなどとして何度も逮捕され、現在も首都テヘランの刑務所で服役しています。

    イランでは去年9月、女性が公共の場で着用を義務づけられているヘジャブと呼ばれる「スカーフ」のかぶり方が不適切だとして逮捕された女性が死亡し、警察による暴行を疑う抗議デモが各地に広がりました。

    これについてモハンマディ氏は獄中からSNSに投稿したり、メディアに寄稿したりして、デモへの連帯を示すとともに、デモの参加者に対して政権側が暴力をふるっていると繰り返し非難してきました。

    選考委員会「人権と自由を守る闘いを評価」

    選考委員会のライスアンネシェン委員長は、授賞理由について「イランでの女性に対する弾圧との闘い、そして、すべての人の人権と自由を守る闘いを評価した」と述べました。

    ライスアンネシェン委員長は記者会見で「この平和賞はナルゲス・モハンマディ氏をリーダーとするイランでの運動の重要性を認めるものだ。どんな形であっても運動を続ける上で平和賞が励みになることを願っている」と強調しました。

    そのうえで「イラン当局が正しい判断を下せば、彼女は釈放されこの賞を受け取ることができるだろう。われわれはそれを1番に望んでいる」と話し、ことし12月にノルウェーで行われる授賞式にモハンマディ氏が出席できることに期待を示しました。

    また、ライスアンネシェン委員長は、ナルゲス・モハンマディ氏について、2011年に初めて拘束されて以降、これまでに13回拘束され、有罪判決を5回受け、言い渡された刑期は合わせて31年に上るとして「彼女の勇敢な闘いは、自身の途方もない代償を伴っている」と述べました。

    ライスアンネシェン委員長はイランで広がった政権に抗議するデモのスローガン「女性・命・自由」をペルシャ語で読み上げ「このスローガンはモハンマディ氏の取り組みを表すのにふさわしい」とたたえました。

    「ヘジャブ」をめぐるデモとは

    イランでは去年9月16日、公共の場で女性に着用が義務づけられている「ヘジャブ」と呼ばれるスカーフのかぶり方が不適切だとして警察に逮捕された22歳のマフサ・アミニさんが急死しました。

    政権側は病死だと主張していますが、警察による暴行が原因だと疑う市民の抗議デモがイラン各地に広がりました。

    デモ隊と治安当局の衝突も起き、ノルウェーに拠点を置く人権団体「イラン・ヒューマン・ライツ」は、デモの参加者550人以上が死亡したと指摘しています。

    現在はデモはおさまっていますが、イランではこのところカフェや事業所などが客や従業員にヘジャブの着用を徹底しなかったとして当局から営業停止を命じられるケースが相次いでいます。

    さらに、イラン政府は、保守層の意向を受けて、ヘジャブをかぶらなかった場合には高額の罰金を科すなど、罰則を強化する法案を議会に提出し、先月20日に可決されました。

    これに対し、罰則の強化に反対する市民からは「法律が施行されれば、人々の間に対立が生じる」とか「もっと自由になって市民の意見が尊重されるようになってほしい」といった反発の声があがっています。

    モハンマディ氏の家族が投稿「女性にとって重要な成果」

    ナルゲス・モハンマディ氏のSNSにはノーベル平和賞の発表直後に家族のメッセージが投稿されました。

    メッセージでは受賞への謝意を示したうえで「すべてのイランの人々、とりわけ正義、平和、平等を強く訴えてきた女性たちにとって重要な成果だ」としています。

    そのうえで「一人ひとりがより明るいあすを追求して団結すれば、前向きな変化が達成できることを気付かせるきっかけとなる。この重大な勝利を祝うため団結するすべてのイランの人々に心からお祝い申し上げる」として、イランの人々に団結を呼びかけています。

    そして、メッセージは「女性・命・自由」というイランでの抗議デモのスローガンで締めくくられています。

    モハンマディ氏の夫「彼女の受賞は人権守る活動を後押し」

    モハンマディ氏の夫のタギ・ラフマニさんは滞在しているフランスで、ロイター通信のインタビューに応じ「彼女が平和賞に選ばれ、イラン社会の人権問題に光が当てられたことは、人権を守る活動を後押しするものだ。この活動は差別に反対し続けるものだ」と話していました。

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    1. テヘランの女性「イランの女性が賞に選ばれて幸せ」

      イランの首都テヘランの女性たちからは、女性の権利をめぐる状況が改善するきっかけになればと期待する声が聞かれました。

      このうち60代の女性は「イランの女性がこうした賞に選ばれて幸せです。イランの女性すべてが前に進むための道が開かれることを願います」と話していました。

      また、別の60代の女性は「イランの女性の受賞が決まったことを誇りに思います。ほかの女性たちもモハンマディ氏の経験をどうやって生かすか、考えなければならないと思います」と話していました。

      EU委員長「勇敢で崇高な戦いを認めるものだ」

      EU=ヨーロッパ連合のフォンデアライエン委員長は自身のSNSでモハンマディ氏に祝意を表し「この賞は危険の中でも抑圧にあらがったイランの女性たちの勇敢で崇高な戦いを認めるものだ。彼女たちは世界中の女性が自分たちの自由と権利のために立ち上がることを鼓舞している」として功績をたたえました。

      国際人権団体「イランでの国民的な抵抗運動 応援の意味大きい」

      国際人権団体「ヒューマン・ライツ・ウォッチ」の日本代表で弁護士の土井香苗さんは「去年の秋にクルド系女性がヘジャブのかぶり方がおかしいと逮捕され、その後、獄中死したことで、イランの中で非常に大きな国民的な抵抗運動が起こり、特に若い女性たちを中心に多くの人たちが逮捕されたり死刑になったりしながらも戦っている。こういう状況に対する応援という意味が大きいのではないか」と評価しました。

      そのうえで「人権は日々勝ち取らなければいつでも無くなってしまう可能性があるもので、命懸けで戦ってくれる人がいるからこそ、今の状況があるというメッセージが込められていると思う。今回の受賞で国際社会の支援や連帯の目がイランに対して向くことによって、モハンマディさんの釈放はもちろんのこと、政治犯として捕らえられている多くの人たちの解放、そしてイランが人権を尊重する国家になることを期待したい」と話していました。

      さらに「イランの人権状況が日本で報道されることは多くはありませんが、影響力があるので、日本政府にもイラン政府に対して人権問題をしっかりと提起していただきたい」と話していました。

      拘束下にある人が平和賞に選ばれるのは5人目

      当局の拘束下にある人が平和賞に選ばれるのは、去年、刑務所に収監される中で受賞したベラルーシの人権活動家、アレシ・ビャリャツキ氏に続き、5人目です。

      ▽1935年の受賞者のドイツのジャーナリスト、カール・フォンオシエツキー氏は、当時のナチス政権を批判して強制収容所に送られていました。オシエツキー氏は授賞式に出席できないまま、1938年に亡くなりました。

      ▽1991年に選ばれたミャンマーの民主化運動のリーダー、アウン・サン・スー・チー氏は、軍事政権による自宅軟禁下で受賞の報を受け、家族が代わって授賞式に出席しました。

      ▽2010年に受賞した中国の民主活動家の劉暁波氏は、国家と政権の転覆をあおったとされる罪で、刑務所に収監されていました。妻も事実上の軟禁状態にあったため授賞式には誰も参加できず、賞状は空席のいすに置かれました。

      ▽去年受賞したビャリャツキ氏の授賞式には妻が代理で出席しました。ビャリャツキ氏は公共の秩序を乱す活動に市民を巻き込むなどしたとして起訴されていて、ことし3月、ベラルーシの国営通信社は、裁判所が禁錮10年の判決を言い渡したと伝えています。

      ノーベル平和賞とは

      ノーベル平和賞は、軍縮や民主主義、人権の尊重、平和な世界の実現などに貢献した個人や団体に贈られるほか、近年は環境問題などへの取り組みにも贈られています。

      賞が始まった1901年から2022年までの間に、110人の個人と27の団体が受賞し、このうち▽ICRC=赤十字国際委員会は3回、▽UNHCR=国連難民高等弁務官事務所は2回、受賞しています。

      ノーベル賞の6つの部門のうち物理学賞や経済学賞など5つの賞は、賞を創設したアルフレッド・ノーベルの母国のスウェーデンで選考されますが、平和賞だけはノーベル自身の意向で隣国のノルウェーで選考され、受賞者の発表や授賞式もノルウェーの首都オスロで行われます。

      選考にあたるのはノルウェー議会に任命された5人の選考委員で、毎年1月末までに世界各国の有識者や議員などから推薦を募り、推薦された候補者の中から受賞者を絞り込みます。

      受賞者は選考委員会の全会一致での決定を目指しますが、委員の意見が分かれ期限内に決まらない場合は、多数決で決定します。

      誰がどの人物を推薦したかなど選考の過程は秘密とされ、50年後にならないと公開されない仕組みになっています。

      ノーベル委員会によりますと、ことしはこれまでで2番目に多い351の個人と団体が、候補に挙がっていたということです。
      https://www3.nhk.or.jp/news/html/20231006/k10014217681000.html

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  8. ノーベル経済学賞に男女間の格差是正など研究のゴールディン氏
    2023年10月9日 21時19分

    ことしのノーベル経済学賞の受賞者に、男女の賃金格差の要因や労働市場における女性の役割などを研究したアメリカのハーバード大学のゴールディン教授が選ばれました。

    スウェーデンの王立科学アカデミーは、日本時間の10月9日午後7時前、ことしのノーベル経済学賞の受賞者を発表しました。

    受賞が決まったのは、アメリカのハーバード大学のクラウディア・ゴールディン教授です。

    ゴールディン教授は、女性の労働市場への参加についてアメリカの200年以上にわたるデータを集め、男女間の格差の是正において何が重要なのか、そのカギとなる要因を分析しました。

    従来の研究では、女性の就業率は経済発展に伴って上昇すると考えられていました。

    しかし、ゴールディン教授は主要産業が農業から工業に移り変わることに伴って既婚女性が仕事と家庭を両立することが困難になることなどから女性の就業率が低下するとしました。

    そして経済のサービス化が進むことで就業率が増加するとして、U字型のカーブを描く構造を初めて明らかにしました。

    現在では、アメリカだけでなく、ほかの多くの国でも当てはまる現象だと評価されています。

    ゴールディン教授の研究は、政府の介入や男性の家庭参加に加えて、長時間労働を改めるなど、企業が男女間の格差是正に向けて柔軟な働き方を認めることを論理的に後押ししたとされています。

    ノーベル経済学賞で女性の受賞者は3人目となります。

    選考委員長「どの障壁に対処すべきか知ることができた」
    スウェーデンの王立科学アカデミーの選考委員長は、ゴールディン教授の業績について、「労働市場における女性の役割を理解することは社会にとって重要だ。ゴールディン氏の革新的な研究のおかげで、私たちは、隠された要因や、将来、どの障壁に対処すべきかをさらに知ることができた」と評価しています。
    https://www3.nhk.or.jp/news/html/20231009/k10014220061000.html

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  9. すべてがノベル大賞と化しているらしい…

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  10. “ノーベル賞有力視の研究者22人”英学術情報サービス会社発表
    2024年9月19日 21時23分

    ことしのノーベル賞の発表が来月7日から始まるのを前に、イギリスの学術情報サービス会社が今後、受賞が有力視される研究者として、東京大学の堂免一成特別教授とアメリカ、国立衛生研究所の彦坂興秀氏を含む22人を発表しました。

    世界中の研究論文を分析するイギリスの学術情報サービス会社「クラリベイト」は、世界の研究者が発表したおよそ6100万本の研究論文の引用回数などを分析して、毎年、ノーベル賞の受賞が有力視される研究者に「クラリベイト引用栄誉賞」を贈っています。

    ことしは、6か国の研究機関から22人が選ばれ、このうちノーベル化学賞の有力候補の1人として、東京大学の堂免一成特別教授(70)が選ばれました。

    堂免特別教授は、太陽の光を当てることで水を水素と酸素に分解する「光触媒」を使った人工光合成の研究で、水素を効率的に取り出す手法を開発したことが評価されました。

    堂免特別教授は、太陽の光を当てることで水を水素と酸素に分解する「光触媒」を使った「人工光合成」の研究を1980年ごろから始めました。

    当初の光触媒では、水を分解する際に太陽の光のうち、波長の短い紫外光しか利用できませんでしたが、堂免特別教授は、波長の長い可視光も利用できる光触媒を開発し、効率的に水を分解して水素を取り出すことに成功しました。

    2021年には、光触媒を付着させたおよそ100平方メートルのパネルを屋外に設けて水を注ぎ、太陽の光を受けて発生した水素と酸素が混ざった気体を穴の空いた膜に通すことで、水素を高い純度で安全に抽出する手法を開発しました。

    水素は燃焼しても二酸化炭素が発生しない燃料として活用できるほか、化学産業の現場では原料としても用いられています。

    堂免特別教授によりますと、現在、水素は化石資源から取り出す方法が一般的ですが、製造の際に二酸化炭素が発生するため、地球温暖化への影響などが課題となっていて、環境面からも人工光合成への期待が高まっているということです。

    堂免特別教授は「社会実装のレベルまでにはあと数年はかかり、光触媒の性能をもう少し上げる必要があるので今年度にこの賞を頂けるとは思っていませんでした。燃やして使っても地球の環境に悪くないような燃料を出来るだけ安く、大量に供給できるようなシステムを作り、エネルギー問題で起きている世界中の紛争が無くなる社会がやってきてほしいです」と話していました。

    また、生理学・医学賞の有力候補の1人としては、東京大学出身で、運動や学習などをつかさどる「大脳基底核」の生理学的な研究に貢献した、アメリカの国立衛生研究所に所属する彦坂興秀氏が選ばれています。

    「クラリベイト引用栄誉賞」を受賞した研究者は、去年までに421人いて、このうち75人がノーベル賞を受賞しています。

    ことしのノーベル賞の発表は、来月7日の生理学・医学賞から始まり、8日に物理学賞、9日に化学賞、10日に文学賞、11日に平和賞、14日に経済学賞の発表がそれぞれ行われます。
    https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240919/k10014586111000.html

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  11. ノーベル賞 10月7日から発表始まる 注目の研究は
    2024年10月5日 7時06分

    ことしのノーベル賞受賞者の発表が、週明けの7日から始まります。日本人の受賞はアメリカ国籍を取得した人を含めこれまで28人で、3年ぶりの受賞となるか、注目されます。

    ノーベル賞は、ダイナマイトを発明したスウェーデンのアルフレッド・ノーベルの遺言に基づいて「人類に最大の貢献をもたらした人々」に贈るとされています。

    ことしの受賞者の発表は、7日が生理学・医学賞、8日が物理学賞、9日が化学賞、10日が文学賞、11日が平和賞、14日が経済学賞となっています。

    日本人の受賞はこれまでアメリカ国籍を取得した人を含めて28人ですが、このうち今世紀に入ってから(2001年以降)受賞した19人は、生理学・医学賞、物理学賞、化学賞の自然科学系の3賞いずれかで、この期間ではアメリカに次ぐ2番目の多さとなっています。

    一方、文学賞は1994年の大江健三郎さん、平和賞は1974年の佐藤栄作元総理大臣以来受賞がなく、経済学賞を受賞した人はいません。

    2021年に物理学賞に輝いた真鍋淑郎さん以来、3年ぶりに日本人の受賞があるのか注目されます。

    ノーベル賞の授賞式や晩さん会はことし12月にスウェーデンのストックホルムで開かれます。

    選考の過程は
    ノーベル賞の選考は、発表の1年ほど前に世界中の大学教授や歴代のノーベル賞受賞者などに推薦依頼を出すことから始まります。

    推薦は1月末に締め切られ、この中から候補者を絞り込む選考が各賞ごとの委員会によって進められます。

    選考の過程は50年後まで公表されないことになっています。

    論文引用数などで予測
    ノーベル賞の選考は水面下で行われるため、毎年、発表の時期が近づくと、世界中でさまざまな受賞者の予想が行われます。

    イギリスの学術情報サービス会社「クラリベイト」は、世界の研究者が発表した研究論文の引用回数などを元に毎年、ノーベル賞の受賞が有力視される研究者を発表しています。

    去年までにあわせて421人の研究者に受賞の可能性があると予想し、このうち75人がその後、ノーベル賞を受賞しています。

    ノーベル賞の“前哨戦”
    手がかりになる情報はほかにもあります。

    国際的に注目される学術賞の受賞歴です。

    ノーベル賞の“前哨戦”と位置づけられているのが、カナダの「ガードナー国際賞」やアメリカの「ラスカー賞」などです。

    実際に、2012年に生理学・医学賞を受賞した山中伸弥さんは受賞の3年前、「ガードナー国際賞」と「ラスカー賞」に選ばれていたほか、2016年に受賞した大隅良典さんも受賞の前年に「ガードナー国際賞」に選ばれています。

    現地メディアの予想
    こうした受賞歴に加えて注目されているのが、ノーベル賞の発表が行われるスウェーデンの現地メディアによる受賞予想です。

    3年前(2021年)は現地のラジオ局がその年に物理学賞を受賞することになる真鍋淑郎さんの名前と、「全球気候モデル」という研究分野を事前に予想し、的中させました。

    当時、この分野の研究は物理学賞の対象ではないと見られていたことから関係者を驚かせました。

    さらに、2年前(2022年)に物理学賞を受賞した「量子もつれ」や、去年受賞した「アト秒物理学」についても、発表の前の年までに現地メディアが予想していた研究分野でした。

    注目の研究は
    こうした経緯から物理学賞で注目されているのが、去年とおととしの現地メディアの予想に挙がっている国際研究プロジェクト「IceCube」です。

    南極の氷を使って素粒子の1つ「ニュートリノ」を検出する世界14か国が参加するプロジェクトで、日本からは千葉大学が参加しています。

    また、化学賞については、3年前(2021年)に現地の新聞社の予想で東京大学の藤田誠 卓越教授の名前が挙がりました。

    有機化学が専門の藤田さんは「自己組織化」と呼ばれる現象を研究していて、国際的に注目される賞を受賞しているほか、4年前(2020年)には、イギリスの学術情報サービス会社から受賞の可能性がある研究者に選ばれています。

    物理学賞で注目 宇宙の謎に迫る「IceCube」とは
    物理学の分野で重要な成果をあげたとして注目されているのが、南極で素粒子の1つ「ニュートリノ」を観測している国際共同プロジェクト「IceCube」です。

    ニュートリノは物質をすり抜けてしまうため観測が難しいとされていますが、プロジェクトでは、氷と反応した時に出るわずかな光を検出しようと、南極の氷の中に5000個余りの検出器を設置しました。

    そして、宇宙から届くエネルギーの高いタイプのニュートリノをとらえ、このニュートリノがおよそ40億光年離れた天体から届いたことを6年前(2018年)に論文で発表しました。

    検出された高いエネルギーのニュートリノは巨大なブラックホールから「ジェット」と呼ばれる高温のガスが噴出した際に発生したとみられ、謎の多いブラックホールの活動や宇宙の成り立ちの解明につながる成果として注目されています。

    世界14か国が参加するこのプロジェクトには日本の研究機関として唯一、千葉大学の研究チームが参加しています。

    千葉大学の石原安野 教授は「ニュートリノは非常に透過性の高い素粒子のため遠くの宇宙や天体の内部からの情報を運んでくれます。従来の観測手法に加えて高いエネルギーのニュートリノを観測することで宇宙をより広い視野で見ることができる」と話していました。

    化学賞で注目 産業への応用が進む「自己組織化」とは
    産業への応用が進む成果として注目されているのが、東京大学の藤田誠 卓越教授が取り組む「自己組織化」と呼ばれる現象の研究です。

    「自己組織化」は分子どうしがひとりでに結びついて立体構造を作り出す現象です。

    藤田卓越教授は金属イオンと有機分子を混ぜることで、100万分の1ミリサイズの正方形をした分子の集合体がつくられることを発見しました。

    さらに、こうした分子の立体構造を使い「結晶スポンジ法」と呼ばれる物質の解析手法を開発しました。

    分子の立体構造をいわば「かご」のように使うことで、その中に入れた物質を詳しく解析することができるようになりました。

    この手法は産業への応用が進んでいて、神奈川県内にある大手飲料メーカーの研究所では新商品の開発に生かしています。

    メーカーは、ビールの原料のホップを熟成させた時に生じる成分を解析し、効率のよい製造方法や品質の均一化につなげたということです。

    大手飲料メーカーの谷口慈将 主任研究員は「より品質的に優れた製品などを開発できる可能性が高まるので、この技術への期待感は高い」と話していました。
    https://www3.nhk.or.jp/news/html/20241005/k10014601311000.html

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  12. ノーベル賞 あすから発表 日本人3年ぶりの受賞なるか 注目は?
    2024年10月6日 18時33分

    ことしのノーベル賞受賞者の発表が、7日から始まります。日本人の受賞はアメリカ国籍を取得した人を含めこれまで28人で、3年ぶりの受賞となるか、注目されます。

    ノーベル賞は、ダイナマイトを発明したスウェーデンのアルフレッド・ノーベルの遺言に基づいて、「人類に最大の貢献をもたらした人々」に贈るとされています。

    ことしの受賞者の発表は、7日が生理学・医学賞、8日が物理学賞、9日が化学賞、10日が文学賞、11日が平和賞、14日が経済学賞となっています。

    日本人の受賞はこれまでアメリカ国籍を取得した人を含めて28人ですが、このうち今世紀に入ってから受賞した19人は、生理学・医学賞、物理学賞、化学賞の自然科学系の3賞いずれかで、この期間ではアメリカに次ぐ2番目の多さとなっています。

    一方、文学賞は1994年の大江健三郎さん、平和賞は1974年の佐藤栄作元総理大臣以来受賞がなく経済学賞を受賞した人はいません。

    2021年に物理学賞に輝いた真鍋淑郎さん以来、3年ぶりに日本人の受賞があるのか注目されます。

    ノーベル賞の授賞式や晩さん会はことし12月にスウェーデンのストックホルムで開かれます。

    【注目の日本人は】

    《生理学・医学賞》
    初日に発表される生理学・医学賞では、これまでに5人の日本人が受賞しています。

    毎年、注目されているのは、日本に有力な研究者が多い免疫学の分野で、
    ▼過剰な免疫反応を抑える「制御性T細胞」を発見した大阪大学特任教授の坂口志文さんや

    ▼免疫の働きを強める「インターロイキン6」というたんぱく質を発見した大阪大学特任教授の岸本忠三さんがこれまでに国際的な賞を受賞するなどしています。

    また、病気の治療に貢献している研究者では、▼エイズの治療薬を世界で初めて開発した国立国際医療研究センター研究所長の満屋裕明さんが注目されています。

    このほかの分野では▼細胞どうしを結びつけて臓器などを形づくる分子、「カドヘリン」を発見した理化学研究所名誉研究員の竹市雅俊さんや、

    ▼「小胞体」と呼ばれる細胞の器官が、不良品のたんぱく質を修復したり分解したりする仕組みを解明した京都大学特別教授の森和俊さんも国際的な学術賞を受賞していて注目されています。

    このほか、▼運動や学習などをつかさどる「大脳基底核」の生理学的な研究に貢献した、アメリカの国立衛生研究所に所属する彦坂興秀さんは9月にイギリスの学術情報サービス会社が今後、受賞が有力視される研究者として発表しています。

    《物理学賞》
    2日目の物理学賞は、アメリカ国籍を取得した人を含め、これまで日本から12人が受賞しています。

    3年前は、愛媛県出身でアメリカ国籍を取得している真鍋淑郎さんが受賞。

    気候をシミュレーションするモデルの基礎を開発し、地球温暖化の研究を切り開いた功績が評価されました。

    当時、この分野の研究は物理学の対象ではないと見られていたことから、関係者には驚きが広がりました。

    注目されている研究者としては、▼消費電力が極めて少ないコンピューター用のメモリーの実現につながる「マルチフェロイック物質」の特徴を解き明かした理化学研究所理事長特別補佐の十倉好紀さんや、

    ▼電力ロスが少ない次世代の送電線などへの応用も期待される「鉄系超電導物質」を発見した東京科学大学栄誉教授の細野秀雄さんが、論文の引用回数の多さなどから注目されているほか、

    ▼100億年で1秒も狂わない極めて正確な「光格子時計」と呼ばれる時計を開発した、東京大学教授の香取秀俊さんなどが注目されています。

    《化学賞》
    3日目の化学賞は、これまで日本から8人が受賞していて、ほかにも「ノーベル賞級」とされる成果を挙げている日本の研究者が多くいます。

    このうち、▼水中の「酸化チタン」に紫外線を当てると、水が水素と酸素に分解される現象を世界で初めて発見し、有害物質の分解などに利用される「光触媒」の実用化の道を開いた東京理科大学栄誉教授の藤嶋昭さんや、

    ▼藤嶋さんとともに「光触媒」の研究に取り組み、汚れや有害物質のほか、細菌やウイルスを分解する力があることを明らかにした科学技術振興機構理事長の橋本和仁さんは毎年、受賞が期待されています。

    また、▼東京大学卓越教授の藤田誠さんは、分子どうしがひとりでに結びつく「自己組織化」と呼ばれる現象の研究で国内外で高く評価されているほか、

    ▼京都大学理事の北川進さんは「多孔性金属錯体」という特定の気体を貯蔵できる材料の合成で世界的に注目されています。

    このほか、▼「光触媒」を使い、植物のように太陽の光を利用してエネルギーを生み出す「人工光合成」の研究で、効率的に水素を取り出す手法を開発した信州大学特別特任教授で東京大学特別教授の堂免一成さんはことし、イギリスの学術情報サービス会社からノーベル化学賞受賞の有力候補にあげられました。

    《文学賞》
    例年注目されるのは、▼作品が50以上の言語に翻訳され世界中で読まれている村上春樹さんです。

    チェコの「フランツ・カフカ賞」やイスラエルの「エルサレム賞」など、海外の賞を複数受賞していて、毎年、イギリスの「ブックメーカー」が行っている受賞者を予想する賭けでは“有力候補”の1人となっています。

    また、▼長年ドイツで暮らし、日本語とドイツ語で小説を執筆している多和田葉子さんも、ドイツの「クライスト賞」や、アメリカの「全米図書賞」の翻訳文学部門に選ばれるなど、注目されています。

    【過去の日本人受賞者】
    ノーベル賞を受賞した日本人は、アメリカ国籍を取得した人も含めて28人います。

    日本人が初めてノーベル賞を受賞したのはいまから75年前、戦後まもない▼1949年で、湯川秀樹さんが、物理学賞を受賞しました。
    その後、
    ▼1965年に朝永振一郎さんが物理学賞、
    ▼1968年に川端康成さんが日本人初の文学賞、
    ▼1973年に江崎玲於奈さんが物理学賞、
    ▼1974年に佐藤栄作元総理大臣が日本人で初めての平和賞を受賞しました。

    ▼日本人初の化学賞は1981年、福井謙一さんが受賞。
    ▼初の生理学・医学賞は1987年に利根川進さんが受賞しました。
    ▼1994年には大江健三郎さんが、文学賞を受賞しています。

    2000年以降、受賞者は急増します。

    ▼2000年に白川英樹さんが受賞したのを始まりに
    ▼2001年に野依良治さん、
    ▼2002年に田中耕一さんと3年連続で日本人が化学賞を受賞します。

    田中さんが化学賞を受賞した2002年には、小柴昌俊さんが物理学賞を受賞し、初めて同じ年に2人が受賞しました。

    ▼2008年には、物理学賞で南部陽一郎さん、小林誠さん、益川敏英さんの3人が同時に受賞したほか、下村脩さんが化学賞を受賞し、この年だけで4人が受賞しました。

    また、▼2010年には化学賞で鈴木章さんと根岸英一さんがダブル受賞し、▼2012年には山中伸弥さんが生理学・医学賞を受賞しました。

    ▼2014年には、赤崎勇さん、天野浩さん、中村修二さんの3人が物理学賞を受賞しました。

    そして、▼2015年には生理学・医学賞で大村智さん、物理学賞で梶田隆章さんが受賞し、この年も2つの賞で受賞者が出ました。

    さらに、▼2016年に大隅良典さんが生理学・医学賞を受賞し、2回目となる日本人の3年連続受賞となりました。

    続いて、▼2018年に本庶佑さんが生理学・医学賞、
    ▼2019年に吉野彰さんが化学賞を受賞し2年連続で日本人が受賞。

    直近では、2021年に真鍋淑郎さんが物理学賞を受賞しました。

    文部科学省によりますと、去年までの受賞者数の28人はスイスに次いで世界で7番目となっています。

    また、今世紀に入ってから去年までに自然科学系の3賞での日本人の受賞者数は19人で、アメリカに次いで2番目の多さとなっています。

    一方、ノーベル賞の6つの部門のうち経済学賞だけは、日本人受賞者はいません。

    ※受賞当時、アメリカ国籍取得者は、南部陽一郎さん、中村修二さん、真鍋淑郎さんの3人。

    https://www3.nhk.or.jp/news/html/20241006/k10014602241000.html

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  13. ノーベル生理学・医学賞にアメリカの2研究者…遺伝子の活動を制御する「マイクロRNA」発見
    2024/10/07 19:02

     スウェーデンのカロリンスカ研究所は7日、2024年のノーベル生理学・医学賞を、米マサチューセッツ大のビクター・アンブロス氏と、米ハーバード大のゲイリー・ラブカン氏の、2氏に授与すると発表した。

     遺伝子の活動を制御する「マイクロRNA」を発見したことなどが評価された。
    https://www.yomiuri.co.jp/medical/20241007-OYT1T50176/

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    1. ノーベル生理学・医学賞にマイクロRNA分子発見の研究者ら2人
      2024年10月7日 21時14分

      ことしのノーベル生理学・医学賞に、ヒトの遺伝子の働きを制御することができるマイクロRNA分子を発見したアメリカ・マサチューセッツ大学のビクター・アンブロス教授ら2人が選ばれました。

      スウェーデンのストックホルムにあるノーベル賞の選考委員会は日本時間の7日午後6時半ごろ記者会見し、ことしのノーベル生理学・医学賞に、アメリカ・マサチューセッツ大学のビクター・アンブロス教授と、ハーバード大学のゲイリー・ラブカン教授の2人を選んだと発表しました。

      アンブロス教授らは「線虫」という小さな生き物が成長する際の遺伝子の活動を詳しく解析し、「マイクロRNA」という分子が遺伝子の働きを制御していることを突き止めました。

      その後の研究で「マイクロRNA」は、ヒトでも遺伝子の働きを制御していることがわかり、現在ではヒトのDNAには1000を超える「マイクロRNA」が存在していることがわかっています。

      「マイクロRNA」の働きが異常になると、がんの発生につながる可能性も指摘されているほか、臓器や骨が形づくられる際に、異常が起きることも明らかになりました。

      この功績で、2人は2008年に、アメリカで最も権威のある医学賞とされる「ラスカー賞」を受賞しました。

      選考委員会 “遺伝子制御の全く新しい原理を明らかに”
      ノーベル賞の選考委員会は2人の功績について「ヒトを含む多細胞生物にとって不可欠である、遺伝子制御の全く新しい原理を明らかにした。生命体がどのように発達し、機能するかにおいて、『マイクロRNA』は根源的に重要であることが証明されつつある」と説明しています。

      “2人の発見で生命科学の分野 大きく飛躍”
      RNAを長年研究してきた慶應義塾大学医学部の塩見春彦教授は「2人の発見は、遺伝子の働きを制御するのは『転写因子』と呼ばれるたんぱく質だけだという従来の考え方を大きく変え、マイクロRNAと『転写因子』の組み合わせであることを明らかにした。マイクロRNAは人工的にデザインすることが可能なため、調べたい遺伝子の働きを意図的に抑えるマイクロRNAを作り、組み込むことで細胞内で、その遺伝子がもともとどのような働きをしていたかを確認できるようになった。それによって生命科学の分野はこの2、30年で大きく飛躍した」と話しています。

      “人を引きつける魅力のある研究者”
      ことしのノーベル生理学・医学賞の受賞者に選ばれたハーバード大学のゲイリー・ラブカン教授の研究室に1996年から2年あまりにわたり研究員として在籍していた名古屋市立大学の木村幸太郎教授は、「決して“天才研究者”という感じではなく、周囲の人が見落としてしまうことでもおもしろがって研究するタイプで、人を引きつける魅力のある研究者でした」とラブカン教授の印象について語りました。

      そしてノーベル生理学・医学賞の受賞者に選ばれたことについて「ずっとノーベル賞を受賞すると思っていました。いまにでもアメリカに飛んでいってお祝いしたいほどうれしいです」と話していました。
      https://www3.nhk.or.jp/news/html/20241007/k10014602921000.html

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  14. ノーベル物理学賞 米大学の研究者など2人
    2024年10月8日 19時12分

    ことしのノーベル物理学賞の受賞者に、人間の神経回路を模倣した「ニューラルネットワーク」を使った、機械学習を可能にした基礎的な発見と発明をしたアメリカの大学の研究者など2人が選ばれました。

    スウェーデンのストックホルムにあるノーベル賞の選考委員会は、日本時間の8日午後7時前、ことしのノーベル物理学賞の受賞者を発表しました。

    受賞が決まったのは、アメリカのプリンストン大学のジョン・ホップフィールド教授とカナダのトロント大学のジェフリー・ヒントン教授の合わせて2人です。

    2人は人間の神経回路を模倣した「ニューラルネットワーク」を使った、機械学習を可能にする基礎的な発見と発明が評価されました。
    https://www3.nhk.or.jp/news/html/20241008/k10014603511000.html

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    1. ノーベル物理学賞にAIの中核「機械学習」の基礎に関わった2人
      2024年10月8日 23時27分

      ことしのノーベル物理学賞の受賞者に、現在のAI=人工知能の技術の中核を担う、「機械学習」の基礎となる手法を開発した、アメリカの大学の研究者など2人が選ばれました。

      スウェーデンのストックホルムにあるノーベル賞の選考委員会は、日本時間の8日午後7時前、ことしのノーベル物理学賞の受賞者にアメリカのプリンストン大学のジョン・ホップフィールド教授と、カナダのトロント大学のジェフリー・ヒントン教授の2人を選んだと発表しました。

      ホップフィールド教授は人間の神経回路を模倣した「人工ニューラルネットワーク」を使って、物理学の理論から画像やパターンなどのデータを保存し、再構成できる「連想記憶」と呼ばれる手法を開発しました。この手法によって、不完全なデータから元のデータを再現できるようになりました。

      ヒントン教授はこの手法を統計物理学の理論などを使って発展させ、学習した画像などの大量のデータをもとに可能性の高さから未知のデータを導き出すアルゴリズムを開発しました。

      2人が開発した手法などは、現在のAI=人工知能の技術の中核を担う「機械学習」の基礎となり、その後「ディープ・ラーニング」など新たなモデルの確立につながりました。

      ノーベル賞の選考委員会は2人の功績について「1980年代以降、『人工ニューラルネットワーク』の研究開発において、重要な業績を積み重ねていて、すでに多くの恩恵をもたらしている。物理学の分野では、特定の性質を備えた新たな物質の開発など極めて幅広い分野で『人工ニューラルネットワーク』が使われている」と評価しています。

      ヒントン教授「青天のへきれきで驚いています」
      受賞が決まったヒントン教授は、選考委員会との電話インタビューで「こんなことが起こるとは思いませんでした。青天のへきれきで、驚いています」と喜びをあらわにし、「きょう、私はMRIの検査を受ける予定でしたがキャンセルすることになりそうです」と語り、会場の笑いを誘っていました。

      人工知能学会会長「物理で取ったのは驚き」
      人工知能学会会長で慶応大学教授の栗原聡さんは、ホップフィールド教授とヒントン教授の2人がノーベル物理学賞を受賞することについて、「人間の神経細胞をまねした人工的なネットワークを構築することで、機械でも人間と同じように記憶や認識ができるという考え方があって、この分野で顕著な成果を上げた最初の草分け的な存在がこの2人だ。まさに人間の脳でやっていることを機械的に、物理的になしえることを証明した。ノーベル賞は情報分野が無いので、どうなるかなと思っていたが、物理で持ってきたのは意外だった。2人の受賞は当たり前だが、カテゴリーがないので物理で取ったのは驚きだった」と話していました。

      そして2人の功績について、「人工ニューラルネットワークによって、世の中ではディープラーニングやChatGPTのような生成AIという言葉が出てくるようになった。今を席けんしているAIはほぼ全てニューラルネットワークが元になっている。空港の画像認識やスマホの顔認証も当たり前だし、ChatGPTも流ちょうにしゃべるしいろんなことができる。問題も指摘されているが、全ての技術の元になったのが人工ニューラルネットワークなので、今の世界を作った元だと考えたら、すごい功績というのは誰もが分かる」と述べました。

      また、ノーベル財団が公表した受賞した研究の説明資料で、この分野における日本人の貢献について触れられていることについて、「福島邦彦先生はヒントン先生が実証した画像認識する際に使う技術を最初に考えた方。ほかにも甘利俊一先生はニューラルネットワークの基本的な理論や仕組みをまとめ発展させた方で、貢献は非常に大きく、日本の研究者はAIの草分け的なところがある」と話していました。

      機械学習の専門家「物理学賞の範ちゅうでない分野 驚いている」
      ことしのノーベル物理学賞にAI=人工知能の技術の中核を担う「機械学習」の基礎となる分野が選ばれたことについて、機械学習に詳しい東京大学の樺島祥介教授は「コンピューターのアルゴリズムの研究はこれまでの常識から考えるとノーベル物理学賞の範ちゅうではない分野で、非常に驚いている」と話しています。

      樺島教授は受賞する2人と面識はないということですが、2人の研究については30年以上前の大学院生のころから知っていたということで、「2人の研究がAIの隆盛を生み出した“種(たね)”であったのは間違いない。人類に対する影響力はすごくあり、インパクトのある業績だ」としています。

      その上で「機械学習は、物理学をはじめとした自然科学の分野でも応用が手探りで進められている。ノーベル賞の選考委員会はいま注目されている分野に積極的に光を当てようとしており、攻めの選考をしていると感じた」と話していました。

      機械学習や理論物理学の専門家「物理学の考え方をAIに移植」
      機械学習や理論物理学に詳しい京都大学大学院理学研究科の橋本幸士教授は「物理学の考え方をAIに移植したのが、今回、受賞が決まった2人だ。AIは、人間の生活を変える革新的な成果をあげているが、その基礎に物理学の成果があることを知らなかった人も多いと思う。今回の受賞には、私自身、驚くとともに、大変すばらしいことだと思う」と話していました。

      橋本教授は、機械学習と物理学を融合した「学習物理学領域」という新しい研究分野を進める、研究者のネットワークの代表を務めていて「いま、物理学の研究者がAIの研究者と共同で、新しいAIモデルを作り出したり、AIの仕組みを物理学で解明しようとしたりする研究が進んでいて、今後、面白い発展があるのではないかと思う」と話していました。

      論文紹介の特任教授 「非常に勇気づけられた」
      ノーベル財団が公表した今回の物理学賞の説明資料は、量子コンピューターの基礎理論の1つとなっている「量子アニーリング」の概念を提唱した東京科学大学の西森秀稔 特任教授らの研究にも言及しています。

      西森特任教授は今回、現在のAI=人工知能の技術の中核を担う、「機械学習」の基礎となる「ニューラルネットワーク」の手法を開発した2人の研究者が受賞したことについて「物理と情報科学の境界というメインストリームからかけ離れたものだったので受賞は予想していなかった。私たちの論文が資料に紹介されているのにも驚いたが、私も物理と情報科学の境界領域を研究してきたので重要な研究として認知されたことに非常に勇気づけられた」と話していました。

      今回受賞が決まった2人の研究と西森特任教授の提唱する「量子アニーリング」の概念との関連については「私たちが提案したのは物理の方法を使って情報科学の重要な問題の1つである『最適化問題』を解く方法だが、説明資料では今回の受賞内容に量子力学を持ち込んだという意味で、際立っているとされている。こうして評価されたことで今後、この分野も発展してくるのではないか」と話していました。

      そのうえで、「私たちも応用を考えずに学問的な興味だけからさまざまな事を研究して成果を出してきたが、物理と情報の境界領域というのは物理学の中でも特に基礎研究が応用が結びつきやすく、今後、さらに重要になってくると思う」と期待を述べました。
      https://www3.nhk.or.jp/news/html/20241008/k10014603511000.html

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  15. ノーベル化学賞 AIでたんぱく質の構造予測に成功の研究者ら3人
    2024年10月9日 21時39分

    ことしのノーベル化学賞に、全く新しいたんぱく質を設計することに成功したアメリカのワシントン大学の研究者と、たんぱく質の立体構造を高精度に予測するAI=人工知能を開発したイギリスの企業の2人の研究者の合わせて3人が選ばれました。

    スウェーデンのストックホルムにあるノーベル賞の選考委員会は、日本時間の午後7時前に記者会見し、ことしの化学賞に、アメリカ、ワシントン大学のデイビッド・ベイカー教授と、アメリカのIT企業、グーグルのグループ会社で、ロンドンに本社のある「DeepMind」(ディープマインド)社の▼デミス・ハサビスCEO、それに、研究チームの▼ジョン・ジャンパー氏の合わせて3人を選んだと発表しました。

    ベイカー教授は全く新しいたんぱく質の設計に成功
    このうち、ベイカー教授はコンピューターを使ってたんぱく質を構成する20種類のアミノ酸から他のたんぱく質とは異なる全く新たなたんぱく質を設計することに成功しました。

    ハサビス氏・ジャンパー氏は AIでたんぱく質の構造予測に成功
    また、ハサビス氏とジャンパー氏は「アルファフォールド」と呼ばれるAI=人工知能モデルを開発しました。たんぱく質は種類の異なる複数のアミノ酸がつながり、さらに複雑に折りたたまれることによって機能しますが、その立体構造の解明は長年にわたり、難問とされてきました。

    「アルファフォールド」はすでに形がわかっているたんぱく質のアミノ酸のつながり方をAIに学習させることで、折りたたまれた状態の立体構造を高精度に予測することができ、これまで、多くの研究者が特定した2億個のたんぱく質の構造を予測することに成功しました。

    選考委員会「たんぱく質の設計は人類にとって最大の利益」
    ノーベル賞の選考委員会は3人の選考理由について、「ベイカー教授はアミノ酸を使って、まったく新しいたんぱく質を設計することに成功した。また、ハサビス氏とジャンパー氏は、たんぱく質の複雑な構造を予測するという50年来の問題を解決するAIモデルを開発した。このAIモデルは190か国、200万人以上の人々に利用されている。たんぱく質はホルモンやシグナル物質、抗体などとして機能し、生命はたんぱく質がなければ存在できない。たんぱく質の構造を予測し、独自のたんぱく質を設計できるようになったことは人類にとって最大の利益だ」と評価しています。

    ベイカー教授「とても興奮していて、光栄に思います」
    ベイカー教授は選考委員会との電話インタビューで「とても興奮していて、光栄に思います。寝ているときに電話が鳴り、電話に出たのですが妻がとても大きな声で叫び始めたので、よく聞こえませんでした。またとない特別な日になりました」と喜びをあらわにしました。

    そのうえで「妻や両親や子どもたちなど、家族には本当に感謝しています。そして長年一緒に働いてきた素晴らしい人たちにも感謝を伝えたいです。彼らがすべてを可能にしてくれました」と周りの人々への感謝の意を述べました。

    また、今回の研究成果については「私たちは、21世紀の人類が直面する多くの問題に対処できるような全く新しいたんぱく質の設計ができるかもしれないと最初の段階で可能性を感じました。そしていま、さまざまな分野で役立つたんぱく質を設計することが可能になりつつあります」と述べ、研究の応用について可能性と期待感を示しました。

    さらに、ともに受賞が決まったハサビス氏とジャンパー氏については「彼らの画期的な成果はAIが持つ可能性を際立たせました。私たちはこのAIの手法をたんぱく質の設計に応用し、正確性などが向上しました。たんぱく質の設計で健康や医療、そしてテクノロジーなどの分野以外でも世界をよりよくしていけるのではないかと、本当にわくわくしています」と述べました。

    ハサビス氏・ジャンパー氏が所属する「ディープマインド社」とは
    ディープマインド社は2010年、デミス・ハサビス氏が共同設立者として立ち上げ、2014年、アメリカのIT大手、グーグルの親会社、「アルファベット」の傘下となりました。

    2015年にはAI=人工知能を駆使した囲碁のコンピューターソフト、「AlphaGo」(アルファ・ゴ)を発表し、2016年、世界トップクラスの韓国人棋士との5番勝負の対局で、4勝1敗で勝利。AIの可能性を世界に示したことで大きな話題となりました。

    同じ年に、ハサビス氏と同僚の研究者、ジョン・ジャンパー氏はAIでたんぱく質の立体構造を解明するため、「アルファフォールド」の開発に取り組み始めました。

    そして、2018年には、2年に一度開催されるコンピューターでたんぱく質の立体構造を予測する技術を競う国際的なコンテストに挑み、開発の着手からわずか2年で優勝を成し遂げました。

    また、その2年後に行われた同じコンテストには、より精度を上げた改良版の「アルファフォールド」で挑み、さらに高い精度で課題となる構造を突き止めて再び優勝を飾り、関係者の間で話題となりました。

    2021年7月には、「アルファフォールド2」として一般に無料で公開され、多くの研究者が実際に使用し、その予測の精度に驚きの声が上がったほか、「アルファフォールド2」を用いた論文が世界中で発表されています。

    ことしに入ってからはさらに精度や分析のスピードを上げ、これまで予測できなかった、たんぱく質と薬剤の複合体の構造も予測できる「アルファフォールド3」を発表し、注目を集めています。

    ベイカー教授知る専門家 “常に新しいことに挑戦する研究姿勢”
    ノーベル化学賞の受賞者に選ばれたワシントン大学のデイビット・ベイカー教授の研究室に2007年から2014年まで所属していた大阪大学蛋白質研究所の古賀信康教授は9日、大学で報道陣の取材に応じました。

    この中で、ベイカー教授が受賞したことについて、古賀教授は「いろいろな賞をとっていたのでノーベル賞の受賞もあり得ると思っていました。ベイカー教授の業績によって、自然界にあるたんぱく質だけでなく、全然違うたんぱく質を作ることができ、新たな薬や酵素の開発などにつながっていくと思います」と話していました。

    また、その人柄については「1を言うと10がわかる、理解あるいい上司でした。1つのことを突き詰める能力だけでなく、常に新しいことに挑戦する研究姿勢が印象的でした」と振り返りました。

    その上で、AIに関する研究分野が8日の物理学賞に続いて受賞したことについて感想を問われると、「皆さんもいつの間にかAIのお世話になっているので2日連続の受賞も当然だと思います」と話していました。

    分子科学の専門家 “薬をつくることも より豊かな社会の実現に”
    2012年から2015年までの3年間、ワシントン大学のベイカー教授の研究室で研究員を務めた分子科学研究所の小杉貴洋助教はベイカー教授の研究成果について「たんぱく質を自由自在に設計することで、例えばコロナウイルスを阻害するたんぱく質を設計して薬をつくることができたり、新しい触媒や酵素をつくって環境問題の解決につなげたりすることもできる。病気に苦しむ世界中の人々を助け、より豊かな社会の実現のために広く応用できる成果だと思います」と意義を話しました。

    その上で「一緒に研究をした3年間ではつねに新しい技術を貪欲に取り入れ、研究室のメンバーにも気を配って気さくに話しかけ、研究者としても人間としても素晴らしい人だと思います。いつかノーベル賞を取るだろうとは言われていましたが、実際に受賞が決まったと聞いて、やはりすごい人なんだと改めて思いました」と喜びました。

    AI活用に詳しい研究者 “AI使う研究者も腰を抜かした”
    生命工学分野のAI活用に詳しく、自らもAIを研究に使っている北里大学未来工学部の齋藤裕教授は今回受賞の対象となった成果について、「創薬においては薬の標的となるタンパク質の構造を実験で調べる必要があったが、アルファフォールドのような予測精度が高いAIが出てきたことで、実験しなくても分かるようになった。実験で調べるのに比べ、コストが下がり素早く研究が行えるようになった。AIによる構造予測自体は長い研究の歴史があったがアルファフォールドのバージョン2で、今までの手法が過去になるぐらい劇的に精度が上がって、私たちのようなAIを使った研究をする人間も腰を抜かした」と話しています。

    さらに、「AIの研究者だけでなく生物の実験をしている人にも日常的に使われていることはすごいことで、十分にノーベル賞級の研究だと思う。特にたんぱく質を研究する分野に与えたインパクトは大きい」と述べ、受賞が決まった3人の功績をたたえました。

    一方でAIを研究に活用する際に、どこまでを委ねるかについては、「人間が幸せになったり豊かになったりするために研究している側面があるので、AIがいくら発展しても、何を幸せに感じるかは人間が定義していかないといけない。AIはできることが増えて非常に強力なツールなので、それと共存する中では、研究の方向付けは人間が人間のためにやらないといけない」と話していました。
    https://www3.nhk.or.jp/news/html/20241009/k10014604671000.html

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  16. ノーベル文学賞に韓国の作家 ハン・ガン氏【速報中】
    2024年10月10日 21時32分

    ことしのノーベル文学賞に、韓国の現代文学を代表する作家のハン・ガン(韓江)氏が選ばれました。

    スウェーデンのストックホルムにある選考委員会は日本時間の10日午後8時すぎ、ことしのノーベル文学賞の受賞者に、韓国の現代文学を代表する作家のハン・ガン氏(53)を選んだと発表しました。

    ハン氏は1970年韓国の南西部クワンジュに生まれ、首都ソウルの大学で文学を学びました。

    1993年に詩人としてキャリアをスタートし、その後、小説家としての活動を始めました。

    代表作には2007年に発表された小説で、ある日、突然肉食を拒否するようになった女性の行動をきっかけに、家族の葛藤や、精神が崩れていく主人公の姿を描いた小説「菜食主義者」があります。

    この小説が高く評価され、2016年、ハン・ガン氏はアジアの出身者としては初めてイギリスで最も権威ある文学賞の翻訳部門にあたる「ブッカー国際賞」を受賞し、世界的に注目を集めました。

    多くの作品が日本語に翻訳され、日本でも人気の高い作家です。

    韓国人がノーベル賞に選ばれたのは、2000年に平和賞を受賞したキム・デジュン(金大中)元大統領に続いて2人目で、文学賞では初めてです。また、アジア出身の女性としても初めてとなります。

    選考委員会「現代の散文文学における革新的存在」
    選考委員会は選考理由について、「ハン・ガン氏の力強く詩的な散文体の文章は歴史的な心の傷と向き合いつつ、人間のもろさをあらわにしている。彼女はすべての作品を通して、心と体や、生と死の関係についてユニークな意識を持っていてそれゆえに、彼女の詩的で実験的な文体は現代の散文文学における革新的存在といえる」と評価しました。

    専門家「順当な結果」
    海外の文学に詳しい早稲田大学文学部の都甲幸治教授は、「『菜食主義者』でイギリスで権威ある文学賞の『ブッカー国際賞』を受賞されていて、順当な結果だと思う。韓国の作家としても、アジアの女性作家としてもノーベル文学賞を受賞したのは初めてとなり、画期的だ」と語りました。

    その上で、「『菜食主義者』をはじめ、女性として現代社会を生きていくうえでの困難さを扱っていて、感動的な作品も多い。韓国の音楽や映画も親しまれているが、これをきっかけに韓国の文学ももっと読まれるといいと思う」と話していました。

    韓国メディアも相次いで速報
    ノーベル文学賞にハン・ガン氏が選ばれたことについて、韓国メディアも相次いで速報で伝えています。

    大手紙の東亜日報は「ハン・ガン氏の作品は、人間の暴力性とそれに伴う人生の悲劇性を丹念に探求してきた」などと伝えています。

    ソウルでの反応 「誇らしい」「世界の人に知ってもらいたい」
    ハン・ガン氏がノーベル文学賞に選ばれたことについて、30代の男性は「キム・デジュン元大統領以来で、とても誇らしいです。世界の人が共感してくれる文学だと思います」と話していました。

    また、30代の女性は「韓国の女性が受賞することになりうれしいです。難しいテーマを直視する文学で、文章にとても力があり、世界の人にもっと知ってもらいたいです」と祝福していました。

    編集者「歴史の忘却に抵抗するような骨太の作品」
    ハン・ガンさんの作品「すべての、白いものたちの」を担当した河出書房新社の編集者の竹花進さんは、「韓国文学は日本ではよく読まれていますが、中でもハンさんはトップクラスの人気作家です。韓国の光州事件や済州島での弾圧事件をテーマとするなど、歴史の忘却に抵抗するような骨太の作品が特徴で、“新冷戦”とも呼ばれる今の世界の状況で読まれるべき作品だと思います」と話していました。

    また、「来日した際に、『自分という個人の内面を掘り下げると、その先は普遍につながる』と話されていたことが印象的でした。ノーベル賞をいつか取れるのではないかと思っていたのでとてもうれしいです」と話しています。

    新宿の書店 早くも特設コーナー設置
    東京都内の書店では、ハン・ガンさんが選ばれたことを受けて、早速、特設コーナーが設けられました。

    東京の紀伊國屋書店新宿本店では、受賞者の発表を行う会見の様子を店内のモニターで上映し、文学ファンたちが見守りました。

    午後8時すぎ、ハン・ガンさんの受賞が発表されると、歓声が上がり、続いて拍手がわき起こりました。

    書店ではもともと受賞が期待される作家として紹介していましたが、受賞を受けてハンさんの作品が次々と持ち込まれ、早速、特設コーナーが設けられました。

    30代の男性は「これまで韓国の作家の受賞はなかったので驚きました。一冊読んでみたいと思います」と話していました。

    ハンさんのファンで、作品の舞台を訪ねたという50代の女性は「ハン・ガンさんの作品や韓国文学が好きな友達と受賞を喜び合いたいです。今、ちょうど読んでいる新作も早く読みおえたいです」と話していました。

    同店の吉野祐司副店長は「アジアの女性作家が国際的に評価され、大変うれしいです。これをきっかけに韓国作家フェアなどを企画したいと思うので、多くの人に手にとってもらいたいです」と話していました。

    海外文学ファンが集まるイベントでは拍手
    ことしのノーベル文学賞の発表にあわせて海外文学ファンたちが集まるイベントが都内で開かれ、ことしの受賞者が発表されると驚きの声が上がっていました。

    このイベントは、首都圏の海外文学ファンのグループがノーベル文学賞の発表にあわせて毎年開いていて、東京・渋谷区の会場にはおよそ10人が集まりました。

    世界各国の作家の著作およそ130冊が持ち寄られ、参加者はそれぞれ読んだ作家の魅力を語りあいながら、発表の瞬間を待ちました。

    発表を待つ間、集まった人たちはことしの受賞者を予想しあい、中には韓国の作家のハン・ガン氏を推す声も上がっていました。

    そして午後8時ごろにハン・ガン氏の名前が発表されると、会場は沸き上がり、大きな拍手に包まれました。

    ハン・ガン氏が選ばれると予想していた40代の男性は、「いつかは受賞するだろうと思っていましたが、まだ若いのに受賞したことに驚いています。心の傷を乗り越えていく物語や美しい文体が特に好きなところです」と話していました。

    このイベントを主催した浦野喬さんは、「今回の発表には若い作家を評価しようという意思を感じられてよかったです。ノーベル賞をきっかけにいろいろな作品を知ることができる集まりを、来年も続けていきたいです」と話していました。
    https://www3.nhk.or.jp/news/html/20241010/k10014605611000.html

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    1. ノーベル文学賞はアジア人女性で初、韓国の作家・韓江氏に…「菜食主義者」など日本でも多くの作品を翻訳
      2024/10/10 20:58

       スウェーデン・アカデミーは10日、2024年のノーベル文学賞を、韓国の女性作家の 韓江ハンガン さん(53)に授与すると発表した。韓国人にノーベル文学賞が授与されるのは初めてで、アジア人女性としても初となる。

       アカデミーは韓さんの作品について「歴史的なトラウマと 対峙たいじ し、人間の命のもろさを示す、強烈な詩的散文」と評価した。

       韓さんは1970年、韓国の光州で、作家の 韓勝源ハンスンウォン さんの娘として生まれた。

       戒厳令のもとで、民主化を求める学生や市民と軍が衝突した80年の「光州事件」を巡り、その後を生きた人々の心情をつづった「少年が来る」を執筆した。

       2016年には「菜食主義者」で、アジア人として初めて英国のブッカー国際賞を受賞。韓さんの作品として初めて邦訳され、日本国内でも大きな反響を呼んだ。

       韓さんには賞金1100万スウェーデン・クローナ(約1億6000万円)が授与される。

       韓江さんの作品は日本でも多くが翻訳されている。代表作「菜食主義者」(きむふな訳)のほか、今年春には、長編小説「別れを告げない」の日本語版(斎藤真理子訳)が刊行された。第2次世界大戦後の韓国・済州島で起きた「四・三事件」を扱い、幻想的でありながら、重い歴史に迫ったと、日本国内でも高く評価されていた。

       今年夏に本紙のメールインタビューに答えて、「済州島の天候を実際に感じながらたくさん歩いたことが、役に立ちました。風と雨と雪の中を」と書いた。「完成の喜びを味わいながら(原稿のデータが入った)USBメモリーをズボンのポケットに入れてずっと歩きました」と振り返った。

       韓国文学の翻訳書を主に出版する出版社、クオンの金承福社長によると、「菜食主義者」は約2万部が刊行されている。「弱い人から目を背けず、深い悲しみを描く作品はすばらしく、これから多くの人にますます読まれるのが楽しみです」と語った。
      https://www.yomiuri.co.jp/culture/book/20241010-OYT1T50159/

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  17. ノーベル平和賞 日本被団協 被爆者の声を世界に発信
    2024年10月11日 18時41分

    日本被団協=日本原水爆被害者団体協議会は、核兵器廃絶を願う被爆者の声を唯一の戦争被爆国・日本から68年にわたって世界に発信してきました。

    広島と長崎に原爆が投下されてから9年後の1954年、日本のマグロ漁船「第五福竜丸」の乗組員が、太平洋のビキニ環礁で行われたアメリカの水爆実験で被ばくしました。

    これをきっかけに、日本では原水爆禁止運動が高まり、2年後の1956年、被爆者の全国組織として日本被団協が結成されました。

    結成の宣言で、「人類は私たちの犠牲と苦難をまたふたたび繰り返してはなりません」と核兵器廃絶を訴えました。

    日本被団協は、原爆被害の実相を伝えるため積極的に海外に代表を派遣し、1982年には代表委員の山口仙二さんが、国連の軍縮特別総会で被爆者として初めて演壇に立ちました。

    14歳の時に長崎で被爆した山口さんは、やけどを負ったみずからの写真を示しながら、「ノーモア ヒロシマ ノーモア ナガサキ ノーモア ウォー ノーモア ヒバクシャ」と訴え核兵器の廃絶を迫りました。

    その後も、日本被団協は、国連や世界各地で原爆の写真展を開くなど地道な活動を続け、「ヒバクシャ」は世界に通じる言葉となりました。

    原爆投下から60年となる2005年にはノーベル平和賞の有力候補として挙げられ、受賞は逃したものの、ノーベル委員会の委員長が、「長年、核廃絶に取り組んできた」と敬意を表しました。

    2016年、原爆を投下したアメリカのオバマ前大統領が現職の大統領として初めて被爆地・広島を訪問した際は、代表委員の坪井直さんが「原爆投下は人類にとって不幸な出来事だった」と直接伝えました。

    日本被団協は、核兵器廃絶に向けた国際的な取り組みにも関わり、2017年に採択された核兵器禁止条約の交渉会議では、およそ300万人分の署名を集めて目録を提出し、条約の採択を後押ししました。

    条約の前文には、「被爆者が受けた容認し難い苦しみに留意する」、「被爆者が行っている努力を認識する」として、被爆者に寄り添うことばが盛り込まれました。

    そして、すみやかな核兵器の廃絶やすべての国が核兵器禁止条約に参加することを求める「ヒバクシャ国際署名」を続け、最終的に1370万人分あまりの署名を国連に提出しました。

    近年は新型コロナウイルスの影響や被爆者の高齢化で被爆体験を伝える催しの中止や縮小を余儀なくされていますが、オンラインを活用して被爆者の証言を伝える取り組みを進めているほか、おととし8月に開かれたNPT=核拡散防止条約の再検討会議で被爆者がスピーチを行うなど、核兵器の恐ろしさや悲惨さを証言し、核廃絶の必要性を世界に訴え続けています。
    https://www3.nhk.or.jp/news/html/20241011/k10014607751000.html

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  18. 社説
    ノーベル平和賞 核の脅し封じる契機としたい
    2024/10/12 05:00

     ロシアによるウクライナ侵略で核の脅威がかつてなく高まる中、核兵器の廃絶を訴え続け、軍縮の機運を醸成してきたことが高く評価された。

     長年にわたる粘り強い活動が、世界に与えた影響は大きい。その栄誉を 称 たた えたい。

     日本の被爆者団体の全国組織である「日本原水爆被害者団体協議会(被団協)」が、ノーベル平和賞に決まった。

     ノルウェーのノーベル賞委員会は授賞理由について、「たゆまぬ努力により、核兵器の使用は道徳的に容認できない、という国際規範が形成された」と説明した。

     広島、長崎は来年、原爆投下から80年の節目となる。被爆者は高齢化し、被爆体験を肉声で伝える人は減っている。被害の実相を世界に伝え、後世に残していく活動が重みを増していることも、授賞につながったのではないか。

     被団協の結成は、1954年、米国による太平洋のビキニ環礁での水爆実験で日本の漁船「第五福竜丸」が 被曝 ひばく したことがきっかけとなった。その2年後、広島、長崎の被爆者を中心に発足した。

     その後、「ノーモア・ヒバクシャ」をスローガンに国内外で署名活動や請願を続けた。こうした活動が実り、95年には被爆者援護法が施行された。

     被団協が特に国際的な注目を集めたのは、2016年に米国の現職大統領として初めてオバマ氏が広島を訪れた時のことだ。

     被団協の代表委員だった坪井直さんと握手した場面は、原爆を落とした米国と被爆者との和解の象徴として、世界に発信された。坪井さんは21年に亡くなった。

     だが、核を巡る情勢はむしろ悪化している。ロシアによる威嚇に加え、中国は核弾頭を増やしている。北朝鮮の核・ミサイル開発もアジアの安全を脅かしている。

     特にロシアは核使用の可能性をほのめかし、また、イスラエルはイランの核施設攻撃の可能性を捨てていない。核の恐怖を、戦況を有利にするための手段に使う傾向が強まっている。

     今回の授賞決定は、こうした動きに対する重い警告の意味も込められているのではないか。

     日本は、核廃絶への努力をこれまで以上に積極的に進める責任を負ったといえる。

     特に日本は、核兵器の使用がどれほど残虐な被害を人類に及ぼすかを体験した立場にある。核使用を容認するかのような風潮を食い止めるための国際世論形成に向けて、先頭に立つべきだ。
    https://www.yomiuri.co.jp/editorial/20241012-OYT1T50030/

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  19. ノーベル経済学賞 アメリカの大学の研究者ら3人
    2024年10月14日 20時39分

    ことしのノーベル経済学賞に、アメリカのマサチューセッツ工科大学のダロン・アセモグル教授など3人の研究者が選ばれました。

    スウェーデンの王立科学アカデミーは日本時間の14日午後7時前、ことしのノーベル経済学賞の受賞者を発表しました。

    受賞が決まったのは、
    マサチューセッツ工科大学のダロン・アセモグル教授とサイモン・ジョンソン教授、それにシカゴ大学のジェームズ・ロビンソン教授の3人です。

    授賞理由は「制度がどのように形成され、国家の繁栄に影響を与えるかの研究」です。

    王立科学アカデミーは、3人がヨーロッパの植民地で導入されたさまざまな政治・経済制度を検証し、国家間の繁栄に大きな差があることについて、社会制度の根強い違いが1つの重要な原因になることを明らかにしたとしています。

    アセモグル氏とロビンソン氏は、共同で執筆した「国家はなぜ衰退するのか」の著作でも知られていて、この中でも繁栄する豊かな国と貧しい国との違いには、政治的な制度が関係していると指摘しています。

    王立科学アカデミーは「受賞者たちの研究は、法の支配が貧弱な社会や国民を搾取するような制度は成長やより良い変化をもたらさない理由を理解するのに役立っている」としています。

    アセモグル氏「すばらしい驚きと名誉得ることができた」
    ノーベル経済学賞の受賞が決まった3人のうち、アセモグル氏は報道陣の電話インタビューで受賞した際の気持ちを聞かれ、「驚きとショックでした。こんなことは予想していませんでした。いいキャリアを築くことは夢みてきましたが、それが実現したうえに、すばらしい驚きと名誉を得ることができました」と答えていました。

    アセモグル教授とは
    ことしのノーベル経済学賞に選ばれた研究者の1人、マサチューセッツ工科大学のダロン・アセモグル教授は、アメリカとトルコの国籍を持つ57歳の経済学者です。

    1992年にイギリスのロンドン・スクール・オブ・エコノミクスで博士号を取得し、2000年からマサチューセッツ工科大学の教授を務めています。

    経済学にとどまらず、幅広い分野の著作があり、数多くの論文が引用される学者として知られていて、共同受賞が決まったマサチューセッツ工科大学のサイモン・ジョンソン教授と、シカゴ大学のジェームズ・ロビンソン教授と社会制度と国家の繁栄の関係などを研究してきました。

    また、アセモグル氏はAI=人工知能について、規制がないまま開発が進むことで、社会や経済などに幅広く悪影響を与える可能性があると警鐘を鳴らしていることでも知られています。
    https://www3.nhk.or.jp/news/html/20241014/k10014607961000.html

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  20. 社説
    AI研究 ノーベル賞が新時代に入った
    2024/10/17 05:00

     今年のノーベル賞は、人工知能(AI)研究が席巻した。AI研究が社会や科学のあり方を大きく変えたことを印象づける授賞決定である。

     物理学賞は、カナダ・トロント大のジェフリー・ヒントン名誉教授らに決まった。脳の回路を模したコンピューターが自分で学習する深層学習(ディープラーニング)の手法を開発し、「AIのゴッドファーザー」と呼ばれる。

     この研究を基礎に、言語や画像を処理する生成AIの活用が広がった。その影響の大きさを考えれば、これまで受賞しなかったのは不思議にすら思える。

     ノーベル賞の自然科学部門は「生理学・医学」「物理学」「化学」の3分野に限られ、AIや情報科学の研究者は事実上、対象外だった。今回の選考委員会の決定は、画期的な転換と言えよう。

     化学賞には、ヒントン氏らが開発した深層学習を活用してたんぱく質の構造予測技術を開発した、英グーグル・ディープマインド社のデミス・ハサビス最高経営責任者(CEO)らが選ばれた。

     たんぱく質は生き物の体を形作る重要な物質だが、その構造は複雑で、これまでは調べるのに数年かかっていた。ハサビス氏らのAI技術を使えば数分程度で構造が分かり、創薬や病気の研究が大きく進むことが期待されている。

     一方、AIは使い方次第で脅威にもなり得る。ヒントン氏は「人間より賢いシステムが生まれ、人を支配するのではないか」と警鐘を鳴らしてきた。授賞決定は、選考委のAIに対する懸念も反映していると受けとめるべきだ。

     新たな分野に光を当てようとする兆候は数年前からあった。2021年に真鍋淑郎博士が気候変動研究で物理学賞を受け、22年はスバンテ・ペーボ博士が古人類研究で生理学・医学賞となった。

     気候変動や人類学は、従来の3賞の枠組みには収まらない。近年は科学が複雑化し、分野横断的な研究が増えている。あえて伝統的な3賞の枠組みに当てはめる選考方法は、時代にそぐわなくなってきているのではないか。

     科学分野では3年連続で日本人の受賞はなかった。日本で学際的な新分野への対応が遅れていることと無縁ではないだろう。

     今月、東京工業大と東京医科歯科大が統合し「東京科学大」が発足した。こうした大胆な組織改革や学際研究の強化を急ぐべきだ。そうしないと、近い将来、ノーベル賞の受賞者数は大きく減っていくことは避けられない。
    https://www.yomiuri.co.jp/editorial/20241017-OYT1T50005/

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