2024年10月12日

近藤 誠 『健康診断は受けてはいけない』

( もう、だまされない! 近藤誠の「女性の医学」 の続き)



文春新書『健康診断は受けてはいけない』近藤 誠
http://books.bunshun.jp/ud/book/num/9784166611171

健診を推進する厚労省と専門家
厚労省と検査業界の利権
”権威中の権威”による推奨
「科学的反論」は本当に科学的か?
・がん検診を宣伝する医師たちの共通点
・がん検診を推奨するマスコミの罪――大本営発表の現代版
・健診がつくりだす”虚病”
・日本の医療は「不安産業」
・医者と科学技術が築き上げた壮大な虚構
https://koibito2.blogspot.com/2017/04/blog-post_15.html

がん検診を推奨するマスコミの罪――大本営発表の現代版
(第9章 検診を宣伝する者たち)






(書きかけ)






《薬には病気を予防するための上薬と、病気をなおす下薬がある。また医師には、病気になる前に予防を心がける上医と、病人を治療する下医がある。この伝でいくと、病気を予防する学問は上学であり、治療学は下学ということになる。

 現在、薬と称されているものの大部分は下薬であり、医師のほとんどは下医である。それにしても現代医学にいたっては、上学のみならず下学も軽視され、診断学が幅をきかしているのが実情である。》 
(あとがき)
 
和漢薬―生化学が解く薬と健康 (中公新書) : 奥田 拓道
中央公論社 (1987/11)
https://www.amazon.co.jp/dp/4121008596




(№504 2020年8月12日)

68 件のコメント:

  1. 自治体が行うがん検診 新型コロナで大幅減 5月は去年の8%
    2020年8月12日 4時53分

    新型コロナウイルスの影響で自治体が行うがん検診を受けた人が大幅に減り、特に5月は去年の同じ時期と比べて8%にとどまったことが日本対がん協会の調査で明らかになりました。協会は「受診が遅れるとがんが進行してから見つかる可能性もあるため検診を受けてほしい」と呼びかけています。

    がん検診は、がんを早期に見つけ死亡率を下げるために行われ、自治体が行う検診は年間、延べ1100万人が受け、1万3000人のがんが発見されています。

    各地でがん検診をすすめている公益財団法人、日本対がん協会は新型コロナウイルスの影響を調べるため、ことし6月、全国42道府県の支部を対象にアンケートを行い、32の支部から回答を得ました。

    それによりますと、胃がんや乳がんなど5種類のがんについて検診を受けた人は、ことし3月以降減り始め、去年の同じ時期と比べて3月は64%、4月は16%、5月は8%になるなど大幅に減りました。

    協会は、検診の中止や感染を懸念して受診を控える人が増加したのが原因とみています。

    また、回答したすべての支部で、今月までには検診が再開されるとしていますが、感染対策のため一度に受けられる人数を減らす必要があるなどの理由で、半数以上の21支部が今年度の受診者について「3割以上減る」としています。

    日本対がん協会の小西宏マネージャーは「受診が遅れてがんが進行してから見つかると治療に影響する可能性もある。地元自治体の集団検診を受けるのに抵抗がある場合は、医療機関でも受診は可能だ。現場では感染対策をしっかりとっているので早期発見のためにも検診を受けてほしい」と呼びかけています。

    調査結果の詳細

    今回、日本対がん協会は自治体が行っている胃がん、肺がん、大腸がん、乳がん、子宮頸がんの5つのがん検診の実施状況について全国42道府県の支部を対象にアンケートを行い、32の支部から回答を得ました。

    調査結果によりますと、ことし1月と2月の受診者の数は去年とほぼ同じですが、3月から減り始め、3万2000人余りで去年のおよそ5万人の64%となりました。

    例年だと集団検診が多く行われ、受診者が多くなる4月や5月でも受診者は増えず、4月は3万人余りと去年の19万人の16%に、5月は3万7000人余りと去年の45万人の8%にとどまっていました。

    がんの種類別にみますと、落ち込みが最も大きい5月は去年に比べて肺がんが5.8%、胃がんが5.9%、大腸がんが6.8%、乳がんが10.4%、子宮頸がんが19.6%にとどまる結果となっています。

    このうち、肺がんは一般的に進行が早いとされていて、協会は、今後、がんが進行した状態で見つかる患者が増えると治療に影響する可能性があると指摘しています。

    また、回答したすべての支部で、今月までには検診が再開されるとしていますが今年度の受診者数の見通しを尋ねたところ、「3割減る」と答えたのが12支部、「4割減る」と答えたのが9支部、「2割減る」と答えたのが9支部、「ほぼ例年通りか1割減る」と答えたのが2支部でした。

    半数以上の21支部が「3割以上減る」と答えていて、感染対策で1回の集団検診の受診者数を減らすことなどを理由として挙げています。

    がん検診の現場では

    兵庫県宝塚市は、1か月に6回から8回程度、がん検診の日程を設けていますが、新型コロナウイルスの影響で4月から6月までの3か月間は休止していました。

    当時は緊急事態宣言が出され、がん学会なども、集団検診が感染の場になり得るとして中止や延期を求めていました。

    宝塚市では先月、1人が受診するごとに機器を消毒するなど、感染対策をとったうえで、1日に受けられる人数を通常の100人から半分の50人に制限して検診を再開しましたが、ことし4月から先月末までの受診者は417人と、前の年の同じ時期の1649人と比べておよそ4分の1にとどまりました。

    宝塚市では今後、集団検診の日程を増やすなどして、例年と同じ程度の人数が検診を受けられるようにしたいとしていますが、1回ごとの人数を制限しているため、どこまで増やせるか不透明だとしています。

    検診に訪れた71歳の女性は「なかなか個人では行くタイミングがない。怖さはあるが、割り切って来た」と話していました。

    宝塚市健康推進課の門田憲亮保健師は「定員を減らして間隔を空け、機器の消毒をするなどリスクの少ない形で実施しているので安心して受けに来てほしい。集団検診が怖い方は、医療機関でも実施しているので検診を受けてがんの早期発見に努めてほしい」と話しています。

    最も影響が大きいのは胃がんの検診

    がん検診は、がんを早期に発見することでがんで亡くなる人を少しでも減らすために行われていて、胃がん、大腸がん、肺がん、乳がん、子宮頸がんの5つのがんについて、受診率を50%にすることを目標に国を挙げた取り組みが進められてきました。

    東京・新宿区の「東京都予防医学協会」では、5つのがんについて自治体などからの依頼を受けて、毎年、延べ15万人ほどの住民に対して協会の検診センターに来てもらったり、検診車を派遣したりして検診を行っていますが、緊急事態宣言が出されていた4月から5月にかけては感染を防ぐため検診は休止になりました。

    6月に再開したあとも、感染対策を行うため多くの人が同時に検診を受けることができないほか、7月以降は感染が再び拡大するにつれ、感染リスクを心配する人のキャンセルが増えています。

    このため、4月から7月の受診者の数は去年に比べて半分以下に減りました。

    このうち、最も影響が大きいのが胃がんの検診です。胃の内視鏡検査では、受診者の飛沫がかかることを防ぐため、検診の担当者は手袋とマスク、ガウンに加えて、新たにキャップやフェイスシールド、ゴーグル、エプロンを着用し、1人受けるごとに新しいものに着替える必要があります。

    また、胃のレントゲン検査では、更衣室で密な状態になるのを防ぐため、一度に利用できる人数を減らすとともに、1人が検診を受けるごとにレントゲンの装置と更衣室をアルコール消毒していて、以前は1時間に16人程度できたのが、10人以下になっているということです。

    こうしたことから、胃がん検診を受けた人の数は、4月から7月には、去年より85%減少したということです。

    東京都予防医学協会の阿部業務執行理事は、「感染対策を徹底するとともに、今後は検診を受けられる時間を長くするなどして、なんとか少しでも多くの人に受けていただけるようにしたい」と話しています。
    「発見遅れ治療効果下がることを懸念」「早期に検査を」
    がん医療の専門家は、検診の受診者数が減ることで、患者の治療に影響が出るのではないかと危惧しています。

    国内で最も受診するがん患者が多い東京・江東区の「がん研有明病院」では、新型コロナウイルスの感染拡大が始まる前は、検診施設や他の病院から紹介されて受診するがん患者が1日当たり40人前後いましたが、5月から6月にかけてはおよそ35%減少し、25人前後になったということです。

    病院では、早期に見つかるはずだったがんが進行した状態で見つかるおそれがあり、数十年かけて下がってきたがんによる死亡率が上がってしまうのではないかと危惧しています。

    佐野武病院長は「特に検診施設からの紹介がぱたりと止まり、がんを発見するきっかけがそもそもなくなってしまっている状況だ。実際に3月、4月に検診を受けるはずだった方で7月に延期したところ、がんが転移しているのが見つかったという例も出てきている。発見が少し遅れても影響が少ないがんもあるが、肺がんなど治療が間に合わなくなるがんもある。見つかるべきがんの発見が遅れ、治療効果が下がってしまうことを懸念している」と話しています。

    そのうえで「ちょっとした自覚症状をきっかけに病院を受診してがんが見つかる場合も多い。おかしいと思う症状があれば早く病院に行き、検査を受けてほしい。医療者も、がんのリスクや感染対策など、正しい情報を発信していくことが求められている」と指摘しています。
    https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200812/k10012563211000.html

    https://koibito2.blogspot.com/2014/09/blog-post_23.html?showComment=1597199277369#c129925238260100033

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    1. 「がん検診」を受ける人がすくなくなれば、「がん予防」のタイミングを失って、将来的に(結果的に)「がん患者」が増えることになるのかな?

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    2. じつは、「がん検診」は「百害あって一利もなし」とか…(笑)。

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    3. 「がん検診」医科様稼業も、どうやら商売あがったりらしい…

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    4. WHOの専門家「コロナ感染拡大地域では歯の定期健診 先送りを」
      2020年8月12日 17時26分

      WHO=世界保健機関の専門家は11日、「新型コロナウイルスの感染が拡大している地域では、歯の健康維持のための定期健診などは先送りするよう推奨している」と述べ、感染が続く地域では、緊急性のない歯科の受診は、控えることが望ましいとする考えを示しました。一方、日本歯科医師会では「国内の歯科医院では、感染予防策を強化してきている。健診であってもひとりひとり状況は異なり、受診が望ましいケースもあるため、かかりつけの歯科医と相談してもらいたい」と話しています。

      WHOは、新型コロナウイルスの感染が広がる中での歯科診療に関する手引きを今月3日、公表しました。

      これについて、WHOの歯科医官のバレンヌ氏は11日、会見で、歯科医院で感染が広がったというデータは今のところないものの、「歯科診療は多くの場面で、『エアロゾル』と呼ばれる空気中を漂う微粒子が出る。歯科医師などを感染から守る措置が不可欠だ」と述べました。

      そして、WHOの手引きに基づいて「新型コロナウイルスの感染が拡大している地域では、歯の健康維持のための定期健診などは、先送りするよう推奨している」と述べました。

      この理由について手引きでは、歯科医師などは長時間にわたって、患者のすぐそばで治療にあたることから、唾液や血液などにさらされ、感染のリスクが高いことをあげています。

      一方で、激しい痛みがあるなど緊急の場合は、治療を先送りすべきではないとしています。

      こうしたWHOの方針について、日本歯科医師会では「国内の歯科医院では、感染予防策を強化してきている。健診であっても一人一人の状況は異なり、受診が望ましいケースもあるため、かかりつけの歯科医と相談してもらいたい」と話しています。

      日本歯科医師会「かかりつけ医と相談を」

      WHO=世界保健機関が、新型コロナウイルスの感染が十分に収まっていない地域では、健診など、緊急性の低い歯科医院の受診は先送りにすべきだとしていることについて、日本歯科医師会では「国内の歯科医院では、感染予防策を強化してきている。健診であっても、一人一人状況は異なり、受診が望ましいケースもあるため、かかりつけの歯科医と相談してもらいたい」と話しています。

      日本歯科医師会は、歯科の医院に対して感染予防策を周知していて、これまでに歯科の健診や治療を通して感染したケースは確認されていないということです。

      具体的な感染予防策として、マスクや手袋の着用など標準的な予防策を順守したうえで、診療にあたる際には、患者の口から放出される、ごく小さな飛沫が広がるのを防ぐために、飛沫を吸い込む装置を的確に操作することが求められるほか、ゴーグルやフェイスシールドを装着することが必要だなどとしています。

      また、待合室に患者が密集するのを避けるとともに、定期的に窓を開けて換気を徹底するよう呼びかけています。

      日本歯科医師会の小山茂幸常務理事は「歯周病や虫歯の治療も早期発見・早期治療が重要で、必要な治療を先延ばしにすると、全身状態の悪化につながることもある。国内では、感染予防対策を強化してきており、自分で判断せずに、かかりつけの歯科医と相談してほしい」と話しています。
      https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200812/k10012564011000.html

      https://koibito2.blogspot.com/2020/08/472-81.html?showComment=1597221974034#c7364253525248677030

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    5. 新型コロナ感染流行期には、不要不急の医科検診歯科検診はうけてはいけない、で、医科歯科は商売あがったりで干上がるように仕向ける世界保健機関という邪悪で医科様な国際組織があるらしい…

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  2. 8月13日 編集手帳
    2020/08/13 05:00

     “財界総理”とうたわれた元東芝社長・石坂泰三は、定期健診を嫌って周囲を困らせたという。僕の体のことは僕が一番わかっている。15分や20分診た医者にわかるもんかと◆城山三郎の小説『もう、きみには頼まない』(文春文庫)に出てくる。伝説の経団連会長の気骨を示す逸話がやや危うく思えるのは、健診の価値観が昭和の一頃とはずいぶん変わったからだろう◆春の健診は新型コロナウイルスの影響で、職場や学校から姿を消したり、延期されたりした。自身の体を知る機会を失しながら、酷暑の夏を迎えた方は多いことだろう◆目の前の感染危機が、いかに以前の環境を変えたかを物語る数値を見かけた。自治体が行うがん検診は5月、受診者が去年の8%にとどまったという。発見の遅れる人が増えないか懸念が膨らむ。石坂はもともと健康な人らしく、検査に関心を払わなくても88歳の天寿を全うした。だが現代は健康に自信のない人も、検査制度を十分に使うことで長生きできる時代だろう◆技術は日進月歩で、今や胃がんの兆候が血液検査で知れるほどである。15分や20分の時間を大事にしたい。
    https://www.yomiuri.co.jp/note/hensyu-techo/20200812-OYT8T50228/

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  3. [地球を読む]コロナ下の医療 がん早期発見の機会奪う…垣添忠生 日本対がん協会会長
    2020/08/23 05:00

    垣添忠生氏 1941年生まれ。東大医学部助手などを経て国立がんセンター病院勤務。手術部長、院長、総長、名誉総長を歴任。2007年3月から現職。


     新型コロナウイルスの感染拡大の行方は依然として予断を許さない。

     5月に緊急事態宣言が解除されたが、翌月から接待を伴う飲食店の従業員や客などを中心に感染者が増え始めた。その後、一般の会食や家庭内での感染も相次ぎ、感染経路を追えない感染者の割合が高まっている。感染爆発に引き続き警戒する必要がある。

     新型コロナは、「がん検診」に大きな悪影響をもたらしている。

     日本人の2人に1人ががんになる時代である。がんは早期発見・早期治療が大切だ。私が会長を務める公益財団法人「日本対がん協会」は1958年の設立以来、主要な柱の一つとして、精度の高いがん検診の提供に力を入れてきた。全国42のグループ支部で、例年だと年間1100万人に実施し、約1万3000人のがんを発見している。

     心配なのは、新型コロナの感染拡大とともに、がん検診が激減していることだ。今年3月頃から各支部でのがん検診は減り始め、4~5月には検診受診者がほぼ10分の1に落ち込んだ。がん検診を一時中止した自治体もあるという。

     医療機関などでの感染を恐れ、検診を控えている人も多いのではないか。口や鼻から内視鏡を入れる検査の担当者が感染するリスクを避けるため、がん検診を休止した医療機関もある。

     ここに来て、がん検診を行う医療機関や自治体は増えてきたが、それでも日本対がん協会グループによる今年度のがん検診は例年の3~4割減が見込まれる。単純計算で4000~5000人が、がん発見の機会を奪われてしまう。検診件数が今後、持ち直したとしても影響は免れない。

     進行の速いがんもある。早期発見の機会を逸してしまうと、本来は治るはずのがんも治すことができなくなる。命に関わる問題だ。また、抗がん剤などによる治療期間も長くなり、患者のQOL(生活の質)が著しく下がるケースも出てくるだろう。新型コロナが別の形の「医療崩壊」を引き起こしているとも言える。

     この状況は世界最大の感染国である米国ではさらに深刻だ。米国では、子宮頸けいがん、大腸がん、乳がんが検診の対象だが、それらのがん検診は今年3月時点で、2017年1月から今年1月の平均値に比べて9割前後も減少した。

     英国では、都市封鎖の間に210万人が、予定していたがん検診を受けられなかった。がんを疑わせる症状があるのに受診できなかった人は29万人に上ったという。新型コロナが世界的にがん検診にブレーキをかけ、早期発見・早期治療の機会を奪っているのは看過できない。


    診療継続へ 感染対策急げ

     新型コロナウイルスは、治療に励むがん患者に大きな不安を与えている。

     日本対がん協会は今年3月、運営する「がんサバイバー・クラブ」のサイトを通じて、がん患者や家族にアンケート調査を行った。129人から新型コロナに対する切実な不安の声や質問が寄せられた。 「(免疫と関係がある)白血球を減少させてしまう抗がん剤を服用しているが、感染リスクや重症化リスクは上がるのか」

     「発熱の副作用がある治療薬を飲んでいる。もし、発熱したら、薬の副作用なのか、新型コロナによる発熱なのか判断に迷う」

     「がん患者は感染すると重症化しやすいと言われるので、帰宅時には手洗いのほか、すぐにシャワーを浴びたり、衣類を洗濯したりした方が良いのか」

     日本対がん協会が実施している電話相談「がん相談ホットライン」にも、同様の質問が相次いだ。

     協会は、インターネットのサイトで「緊急シリーズ がん患者さんのための新型コロナウイルス対策」という企画を始めた。

     配信している動画では、感染症やがんだけでなく、放射線治療、精神腫瘍科などの専門医が、新型コロナによるがん患者への影響について解説する。内容が分かりやすいように字幕でも情報を伝えている。

     日本癌がん学会、日本癌治療学会、日本臨床腫瘍学会も合同で5月、がん患者が注意すべき点をQ&A方式にまとめてホームページに掲載した。例えば、「手術予定の患者は、自己判断で手術をやめたり、延期したりせず、主治医や看護師に相談することが大前提だ」などと助言している。

     がん患者の不安を解消するため、患者支援組織や関係学会は引き続き、積極的に情報発信してほしい。 持病を抱え、コロナ禍で心配を募らせているのはがん患者に限らない。 中国は2月、新型コロナの感染者約4万5000人を対象に、致死率を分析した研究結果を発表した。

     それによると、感染者の致死率は、持病なしの人が0・9%、心血管疾患が10・5%、糖尿病が7・3%、慢性呼吸器疾患が6・3%、高血圧が6・0%、がんが5・6%だった。

     日本透析医会などは8月14日までに国内の透析患者189人が感染し、26人が亡くなったと公表した。致死率は13・8%と、かなり高い。透析患者の4割が糖尿病も併せ持っているとされる。高齢者が多いことも関係しているのだろう。

     これらのデータから明らかなように、がんだけでなく、持病や難病といった基礎疾患を持つ患者は、感染すると重症化する危険性が高い。こうした人たちは、とりわけ注意深く生活を送ってもらいたい。

     新型コロナは医療機関の診療体制や経営に打撃を与え、患者の一般診療に悪影響が出ている。

     感染が拡大した4月頃から、多くの医療機関は通常の診療を縮小した。感染者を受け入れる病床を確保する一方、ウイルスが持ち込まれる危険を減らし、院内感染を防ぐのが目的だ。 東京都内の大学病院など高度な医療を提供する特定機能病院でも、やむを得ず生命に直結する緊急手術以外は手術を延期するなど、診療を大幅に制限するケースがあった。手術が先延ばしになった患者は、病状が進行しないか、不安な日々を過ごしたことだろう。

     一方、全日本病院協会など3団体が全国の加盟病院を対象に行った調査では、4月に入院した患者は前年同月より2割減った。新規の外来患者は4割減とさらに影響が大きい。特に、感染者を受け入れた病院の多くが赤字経営となった。

     リスクを背負って感染者を受け入れてきた病院が報われないのなら、日本の医療は立ち行かなくなろう。

     感染者が増えている現状に対して、国は手をこまねいているように見えてならない。感染を抑え込むことこそが、がん検診や診療の継続につながる。

     がんで命を落とさせない。持病のある患者を守る。そのために医療機関を守る。国は、あらゆる対策を早急に実行すべきだ。
    https://www.yomiuri.co.jp/serial/earth/20200823-OYT8T50001/

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    1. [地球を読む]がん医療の課題 患者本位の情報発信に…垣添忠生 日本対がん協会会長
      2021/03/14 05:00

      垣添忠生氏 1941年生まれ。東大医学部助手などを経て国立がんセンター病院勤務。手術部長、院長、総長、名誉総長を歴任。2007年3月から現職。

       がん患者にとって情報はまさに「いのち」である。その思いに応えるため、国立がんセンター(現国立がん研究センター)に「がん対策情報センター」が設置された意義や課題について取り上げたい。

       私は1992年から15年間、中央病院長、総長として国立がんセンターの運営に携わった。就任当時、治療法や予防法など、がん対策について定めた法律はなかった。「がん対策は法に基づいて展開されるべきだ」と考えた私は、各方面に働きかけた。しかし、当時は誰も一医療者の発言に耳を貸してくれなかった。

       潮目が変わったのは2000年頃だ。「癌がんと共に生きる会」の佐藤均会長(故人)を始め、患者や家族らが「日本のがん対策はおかしい」と声を上げたことが契機である。患者本位の医療を実現するよう署名を集めるなど、全国で様々な活動が展開された。

       こうした動きに合わせ、尾辻秀久・厚生労働相(当時)らが、がん対策に関する議員立法化を進めた。法案は廃案になりかけたが、民主党の山本孝史参院議員(故人)が、国会で自身の胸腺がんを告白し、命を削って活動を続けた。

       その姿が巻き返しへの大きな力となり、「がん対策基本法」が06年6月、ついに成立した。長年、その実現を願ってきた私にとっても大きな喜びだった。

       新法に「がん医療に関する情報の収集・提供体制の整備」と明記されたことを受け、情報センターがこの年の10月に設立された。

       情報センターは当初から患者や家族の求める「信頼できる最新情報」を、ネット上でも提供している。

       ネット社会の現代、医師からがんを告げられると、まずネット検索に走りがちだ。ところが、ネット上のがん情報は玉石混交である。有効性の根拠が定かでない健康食品や細胞療法などの情報があふれている。情報センターが、正しく信頼のおけるがん情報を発信している意義は大きい。

       研究センターは15年4月、「独立行政法人」から「国立研究開発法人」に移行し、がん研究に一層注力する責務を負った。情報センターも、情報の収集・分析・発信などに関する研究を強化した。

       とはいえ、近年、日本のがん対策は大きく進み、がんに関する情報は膨大で多様になった。これらを的確に発信する業務に加え、様々な役割を担う情報センターは、現状の人員や予算で国や国民の期待に応えることが難しくなっている。

      新薬データ 公開不十分

       根治が難しい進行がんの患者は、科学的に効果が認められた治療法に関するガイドライン(指針)に沿って、抗がん剤の投与や免疫療法を受ける。これらの薬剤が思うように効かなかった場合、開発中の未承認薬などの情報が、患者や家族の希望となる。

       ただ、「がん対策情報センター」が、患者らの期待する情報を提供できているかといえば、心もとない。新薬の有効性や安全性を調べる治験(臨床試験)などの情報は、不十分だと言わざるを得ない。

       無論、情報センターの人員不足などの課題はあるが、さらにその背景には、がんを中心とした医薬品の広告規制もある。

       医薬品医療機器法には、「虚偽・誇大広告等の禁止」「(がんなど)特定疾病用医薬品の広告の制限」「承認前医薬品の広告の禁止」が明記されている。有効性などが確立していない薬の情報が拡散し、患者が過大な期待を抱くことを防ぐ意味は理解できる。

       しかし、これらの規制に基づき、製薬会社や医療者が自ら、薬に関する情報の公開を過度に抑制している現状がある。命を懸けて情報収集するがん患者の知る権利や生存権への配慮が足りないのではないか。

       例えば、次のような事例がある。

       自分の治療に使われている薬剤や、これから使われる可能性のある薬の情報を患者が集めようとしても、関連学会の企業展示場に入れないことがある。

       製薬企業が主催・協賛する一般向けの講演で、医療者が薬効などを説明する際、具体的な薬剤名は明示されない。薬の宣伝になるのを防ぐ狙いだろう。だが、肝心な情報である有望な薬剤の名称がわからないと、患者はその薬の投与を希望することさえできない。

       薬剤の詳細な情報を企業のホームページで調べると、「あなたは医療従事者ですか」との質問が表示される。自らを医療従事者と偽らない限り、重要な情報にアクセスできない。

       こうした不都合は、多くの患者が経験している。

       国内では臨床試験などの情報は、国立保健医療科学院の「臨床研究情報ポータルサイト」や、一般財団法人・日本医薬情報センターの「臨床試験情報」などで検索できる。しかし、内容が専門的すぎるなど、使い勝手はいまひとつだ。

       海外では、WHO(世界保健機関)が世界各国の臨床試験情報を統合したデータベースを持っている。

       また、「U.S. National Library of Medicine(米国立医学図書館)」のサイトには2021年2月末で、200以上の国と地域における約36万件の臨床試験に関する情報が登録されている。データが豊富なのはいいが、これほど大量だと、一般の人が活用し切れない面もある。

       一方、米国立がん研究所のサイトは、関心のある臨床試験の探し方や実施機関への連絡方法、主治医に質問すべき事項などの情報を提供している。患者にとって有益な対応だ。

       欧州医薬品庁が管理する「EU Clinical Trials Register」では、臨床試験の情報を閲覧することができる。

       対応の遅れが指摘される日本の情報センターも、課題解決に動き始めた。若尾文彦センター長が研究代表者となり、「科学的根拠に基づくがん情報の迅速な作成と提供のための体制整備のあり方に関する研究」を進めている。

       この一つに、薬剤や臨床試験情報の収集・活用・提供・普及の仕組みの確立と、必要な財源の確保に関する研究がある。

       がん制圧のための研究に助成などをしている公益財団法人・がん研究振興財団も、この研究を支援している。成果が得られれば、情報センターの体制強化が図られるだろう。

       正しく信頼できる最新のがん情報は、だれでも、どこに住んでいても、どの病院を受診していても、平等に入手できる権利があるはずだ。そのために、情報センターが中心となり、官民を挙げて、患者や家族が円滑に情報を得られる体制を整えてもらいたい。
      https://www.yomiuri.co.jp/serial/earth/20210314-OYT8T50000/

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    2. [地球を読む]最期に備える 望むケア 事前に話し合い…垣添忠生 日本対がん協会会長
      2021/08/22 05:00

      垣添忠生氏 1941年生まれ。東大医学部助手などを経て国立がんセンター病院勤務。手術部長、院長、総長、名誉総長を歴任。2007年3月から現職

       人生とは、選択と決断の連続である。「今日はランチで何を食べようか」といった小さなものから、進学や就職、結婚など、人生の大きな転機まで様々だ。

       中でも、人にとって最も重大な選択・決断は「どのように死んでいくのか」ではないだろうか。コロナ禍で「死」というものを意識せざるを得ない状況下でもある。人生の「最期の備え」について考えたい。

       救急医療の現場には、脳卒中や大けがで意識を失った人が多く運ばれてくる。適切に判断できない認知症の方もいる。こうした時、救急医は、心肺蘇生を行うのか、人工呼吸器を装着するのかなど、生命にかかわる判断を迫られる。

       本人の意思が分からないまま、近親者の希望で人工呼吸器をつけ、とりあえず救命されるケースは多い。一命はとりとめたものの意識が戻らず、病院で寝たきり。経済的な負担は増すばかり。先の見通しも立たない。「これが本人の望んだ状況なのか……」。近年、延命措置を希望した近親者が、自分を責める例を耳にすることが増えた。

       判断能力を失う万一の場合に備え、自分にはどんな治療をしてほしいのか、前もって意思表示する「AD(アドバンス・ディレクティブ=事前指示)」という取り組みがある。

       米国ではかねて自己決定権を尊重する意識が強く、1980年代後半には多くの州で、終末期医療に関する事前指示書が法的拘束力を持った。人工呼吸器の装着など延命治療を望むか否かなど、あらかじめ本人の希望を文書にしておくと、その指示に沿った治療が行われる。国レベルでも、同様の趣旨を盛り込んだ「患者の自己決定法」が90年11月に制定された。

       ADによって患者とその家族の満足度やQOL(生活の質)は高まるのか。あるいは過剰な治療が避けられて医療費削減などにつながるのか。こうした点を調べる大規模な臨床試験が、米国でいくつも行われた。ところが、いずれも効果を証明できなかった。

       要するに、ADという文書があっても、患者と医師が十分に意思疎通を続けていなければ、ADは実質的に意味を持たないのだ。

       そこで近年、ADの発展形として、「ACP(アドバンス・ケア・プランニング=事前のケア計画)」が生まれた。本人が文書にまとめた自分の意思、つまり「結論」ではなく、家族や医療者らと何度も繰り返し話し合う「過程」に重きを置いた概念である。

       何度も対話を重ね、時間が経過すれば本人の意思は変わり得る。その都度、文書は書き直されることになる。日本でも、ACPの取り組みが始まっている。

      伴走できる医療者 不可欠

       「ACP(アドバンス・ケア・プランニング)」の概念が確立したのは、それほど昔ではない。

       ACPに関する世界各国の研究成果をまとめた「Advance Care Planningのエビデンス」(森雅紀、森田達也)などによると、欧米の研究者が2017年、ACPの定義について議論した。

       その結果、「年齢や病期を問わず、成人患者が自身の価値観、生活の目標、今後の治療・ケアに対する意向を理解・共有することを支援するプロセス」と定めたという。

       日本では厚生労働省が18年、「人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン(指針)」をまとめた。そこでは、ACPを「人生の最終段階の医療・ケアについて、本人が家族等や医療・ケアチームと事前に繰り返し話し合うプロセス」と定義している。

       つまり、ACPの本格的な普及啓発は、日本も欧米などと、ほぼ同時期に、ほぼ同じ内容で始まったことになる。

       ただし、ここでひとつの問題が生じる。「自律」や「自己決定」は、主に北米や西欧で重視されてきた医療原則である。

       一方、日本を始め、アジア諸国では、本人の自律よりも家族などを含めた集団的な意思決定プロセスが重んじられることが多い。

       東アジアに位置するわが国は、歴史的にも文化的にも中国や韓国の影響を強く受けてきた。両国では自身の親や年長者、祖先を敬う「孝」の考え方が根付いており、様々な意思決定にそれが色濃く反映される。

       当然、死を巡る判断も、患者自身の自律的な意思より、しきたりや先例を踏まえた親族全体の話し合いが重視されがちになる。

       こうした慣習のある韓国や台湾でも、18~19年の間にACPの趣旨に沿って法律が整備された。周囲への 忖度そんたく なしに、どこまで自分の意思を貫けるだろうか。その実効性は今後、明らかになっていくだろう。

       一方、日本でACPはどのくらい浸透しているのだろうか。厚労省はACPに「人生会議」という愛称をつけ、イベントやポスターでPRしてきた。しかし、今のところ十分に効果を上げているとは言えない。

       日本の現状や課題を、私自身のケースから考えてみよう。私は現在80歳だ。14年前に40年来の伴侶を小細胞肺がんで失った。子どもはいない。典型的な高齢単独世帯者である。

       妻が自宅で満足そうに亡くなった様子をつぶさに目にして、私も死ぬ時は自宅で、と準備している。

       私は、死ぬ間際に過剰な医療の介入は希望しない。そこで私は、ACPを自作し、もしも致死的な状況になっても、心肺蘇生、人工呼吸器の装着、人工透析などをしないでほしいと意思表示カードに明記して財布に入れている。常に携帯することで、外出先で大事故に遭っても、望むように死にたいと願っている。

       ただ、誰もが簡単にACPを作れるわけではない。医療に詳しくない本人や家族だけで、詳細を決めるのは難しい。伴走してくれる医療者やケアチームの存在が欠かせない。

       ACPの作成を望む人を支援する体制が整わなければ、厚労省が「人生会議」と名付けて親しみやすさを演出しても、ACPへのハードルは高いままだ。思うような普及は望めまい。

       ACPは、国のがん対策推進基本計画が掲げている「早期からの緩和ケア」ともつながっている。

       世界的な米国医学雑誌「ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン」に2010年に掲載された論文に、画期的な研究成果が出ていた。進行肺がんの患者に早期から緩和ケアを実施し、患者とACPを含めた質の高いコミュニケーションをとると、QOL(生活の質)は改善されたというのだ。

       ACPは、単なる終末期治療に関する意思表示にとどまらない。悔いなくどう生き、誰も避けられない死にどう臨むか。ACPに取り組むことは、人間の根源的な命題に向き合うことにほかならないのだ。
      https://www.yomiuri.co.jp/serial/earth/20210822-OYT8T50001/

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  4. 健康診断の受診者3割減、感染拡大の影響で中止・受診控え
    2020/09/16 14:03

     今年1~9月の健康診断の受診者数は前年同期より3割以上減っているとの調査結果を、日本総合健診医学会と全国労働衛生団体連合会が発表した。新型コロナウイルスの感染拡大による健診中止や受診控えが影響しているとみられる。

     2団体は7~8月、職場や学校などで健診を実施する459機関を対象に調査し、180機関(39%)から回答を得た。1~9月(8、9月は予約数)の受診者数は、前年同期より約700万人少ない約1400万人だった。特に、緊急事態宣言が発令されていた4~5月は前年の約2割に落ち込んでいた。6月以降は回復傾向にあった。

     同学会などは、健診は生活習慣病などの早期発見につながるとして受診を呼びかけている。
    https://www.yomiuri.co.jp/medical/20200916-OYT1T50205/

    https://koibito2.blogspot.com/2020/09/911.html?showComment=1600239282339#c3572495662989363999

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  5. 胃がん検診、8人に別人の検査結果を通知…要精密検査なのに「異常なし」も
    2020/10/25 14:23

     東京都練馬区は、区医師会に委託した胃がん検診で、30~80歳代の男女計8人に検査結果を誤って通知していたと発表した。

     発表によると、ミスがあったのは、保健相談所などで行うレントゲン車内でのバリウム検査。今月上旬に70歳代男性が検査を受けた際、この男性に昨年度、別人の検査結果を伝えていたことが判明した。

     そこで、記録が残る過去5年間の延べ約3万7000人分を調べたところ、同様のケースが7人分あることがわかった。うち2人には、本来の結果が「要精密検査」であるにもかかわらず、「異常なし」と伝えていた。区は対象者に謝罪し、2人には再検査を受けるよう案内した。
    https://www.yomiuri.co.jp/national/20201024-OYT1T50318/

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    1. >本来の結果が「要精密検査」であるにもかかわらず、「異常なし」と伝えていた

      となれば、本来の結果が「異常なし」であるにもかかわらず、「要精密検査」と伝えていた、もあるということなのかな?

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    2. ①本来の結果が「要精密検査」であるにもかかわらず、「異常なし」と伝える

      ②本来の結果が「異常なし」であるにもかかわらず、「要精密検査」と伝える

      さもさも①が重要であるかのように印象誘導するニュースになってんのな…

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  6. 「妊婦健診」で子宮頸がん発見 1年間で少なくとも234人
    2020年10月27日 15時15分

    妊娠した女性が受ける「妊婦健診」で子宮頸がんが見つかった人が、2017年度の1年間でごく初期のものも含め、全国で少なくとも234人に上っていたことが、日本対がん協会などの調査で明らかになりました。治療のため、妊娠中絶を選択せざるをえない場合もあり、協会は「妊娠を希望する前に必ず検診を受けてほしい」と呼びかけています。

    子宮頸がんは、ウイルス感染が主な原因で子宮の入り口付近にできる若い女性に多いがんで、国内では年間およそ2800人が死亡しています。

    がん検診をすすめている公益財団法人、日本対がん協会などは妊婦健診で子宮頸がんが見つかった人数を調べるため、去年秋から全国1741の自治体を対象にアンケートを行い、38%にあたる664の自治体から検診結果についての回答を得ました。
    これらの自治体では、2017年度の1年間に、42万7000人が妊婦健診の際に子宮頸がんの検診を受けていて、その後の精密検査の結果、ステージ1以降のがんが69人、治療の対象となるごく初期のがんが165人見つかっていたことが分かりました。

    日本対がん協会によりますと、子宮頸がんは、早期に発見すれば治療できますが、妊娠中に進行した状態で見つかると、女性の命を守るために、妊娠中絶や子宮の摘出を選択せざるをえないケースも少なくないということです。

    日本対がん協会は「実際はもっと多くの人でがんが見つかっていると考えられ、重い事実だと感じる。妊娠を希望する前に必ず子宮頸がん検診を受けてほしい」と呼びかけています。

    子宮頸がんとは

    子宮頸がんは子宮の入り口付近にできるがんで主に性交渉によって「ヒトパピローマウイルス」に感染することで発症します。

    国立がん研究センターの統計によりますと、国内では年間およそ1万1000人が発症し、およそ2800人が死亡しています。

    20代から30代の若い女性に多いのが特徴で、2000年以降、発症する人の数と死亡者数がともに増え続けています。

    子宮頸がんは、定期的な検診とワクチンの接種で予防が可能で、早期に発見すれば、治療することができます。

    しかし、2015年のOECD=経済協力開発機構のまとめによりますと、日本の子宮頸がん検診の受診率は42%で、
    ▽アメリカの84%
    ▽イギリスの78%
    ▽ニュージーランドの77%
    ▽オランダの65%など
    ほかの先進国と比べて低い状態となっています。
    妊婦健診で子宮頸がんが見つかるのが相次いでいることについて、日本産婦人科医会がん部会の上浦祥司部会長は「出産年齢が高齢化し、妊娠する人の多くが子宮頸がんを発症しやすい年齢層と重なっている。妊娠して初めて子宮頸がんが見つかると治療の幅が非常に狭くなってしまう。子宮頸がんになる率も、死亡者数も増えているのは先進国で日本だけだ。20歳から定期的な検診を受けることで自分の体を守れることを知ってほしい」と話しています。

    調査の詳細

    今回、日本対がん協会などは、妊娠した女性が受ける妊婦健診で子宮頸がんが見つかった人数を調べるため、全国の自治体を対象にアンケート調査を行いました。

    調査は去年の秋から開始し、2017年度の1年間に妊婦健診で子宮頸がんが見つかった女性がどれくらいいるかを全国1741の自治体に尋ね、38%にあたる664の自治体から検診結果についての回答を得ました。

    これらの自治体では2017年度に42万7000人が妊婦健診の際に子宮頸がんの検診を受け、1万341人が精密検査が必要とされました。

    このうちの3726人について精密検査の結果がわかり
    ▽ステージ1以降のがんが69人
    ▽治療の対象となるごく初期のがんが165人
    ▽経過観察となる「中度の病変」は214人
    ▽経過観察となる「軽度の病変」は535人で見つかっていたことがわかりました。

    治療の対象となるごく初期のがんも合わせると、子宮頸がんが見つかったのは234人に上っています。

    日本対がん協会は「アンケートに回答がなかった自治体からも同じ割合で発見されると仮定すると、もっと多くの妊娠中の女性に子宮頸がんが見つかっていると考えられる」としています。

    子宮頸がんワクチンの現状

    子宮頸がんを予防する方法として厚生労働省は、20歳以上の人に対する2年に1回の検診に加え、子宮頸がんワクチンの接種を挙げています。

    このうち、子宮頸がんワクチンは、7年前(2013年)小学6年生から高校1年生の女性を対象に定期接種に追加されましたが、接種後に原因不明の体の痛みなどを訴える女性が相次いだため、積極的な接種の呼びかけが中止され、現在の接種率はおよそ1%にとどまっています。

    厚生労働省は、ワクチンの効果について、国内で年間におよそ2800人が子宮頸がんで死亡する中、原因の5割から7割を占めるウイルスへの感染を防げるとしています。

    また、今月、スウェーデンの研究所のグループが発表した167万人の女性を対象にした大規模な調査結果では、ワクチンを接種しなかった女性では、子宮頸がんが進行した状態と診断されたのは、10万人当たり94人だったのに対し、接種した女性は10万人当たり47人と半減していて、子宮頸がんになるリスクが大幅に減ったとしています。

    一方、厚生労働省は、1万人におよそ5人の割合で接種後に重いアレルギー症状などの「重篤な症状」が報告され、一部で認知機能の低下などが確認されているなどとしています。

    妊婦健診の現場

    大阪・天王寺区にある産婦人科では妊娠中の女性が1日に15人ほど、妊婦健診を受診しますが、妊娠がわかるまで子宮頸がん検診を受けたことがない人も多いといいます。

    このため、妊娠を希望しているかどうかにかかわらず、クリニックを受診した女性に対して子宮頸がん検診を受けるよう案内を行っています。

    妊婦健診に訪れた30代の女性は「妊娠するまで子宮頸がん検診を受けたことはありませんでした。症状も何もなかったので考えたこともなかったです」と話していました。

    また、別の30代の女性は「妊娠を意識する前に婦人科に通ったことがありませんでした。症状がないのに診てもらってもいいのかなと思っていました。定期的に受けたらいいとは聞きますが、予約して病院に足を運ぶところまでせっぱ詰まっていなかったです」と話していました。

    クリニックの脇本剛副院長は「妊婦健診が子宮頸がん検診を受けるきっかけになった人は多くいます。理由やきっかけがないと、産婦人科を受診しにくいかもしれませんが、日常の小さなことでも気軽に相談してもらいたい」と話していました。

    子宮摘出経験した女性

    妊婦健診の際に子宮頸がんが見つかり、その後、子宮をすべて摘出した女性に話を聞くことができました。

    大阪府内に住む45歳の女性は、12年前、33歳の時に双子を妊娠しましたが、妊娠が判明した3日後、妊婦健診で子宮頸がんが見つかりました。

    その後、がんが見つかった部分を切除する手術を2度受けましたが、がんを取りきることができず、医師からは「いま子どもを諦めて子宮を摘出すれば命は助かるが、子どもが生まれるまで治療を引き延ばした場合、命の保証はできない」と告げられました。

    女性は、医師と話し合った結果、妊娠後期に入って以降、妊娠30週まで待って、帝王切開で出産することを決めましたが、おなかの中に赤ちゃんがいるため、治療もMRIなどの検査も行えず、およそ5か月の間、がんがどれくらい進行しているかわからない日々が続いたということです。

    その後、女性は、帝王切開で双子を出産し、その1か月後に子宮をすべて摘出する手術を受け、がんの転移はなくその後の経過も良好だということです。

    女性は「子どもを望んでいたので、誰がなんと言おうが産む、自分は死んでもいいから、子どもを産むという気持ちしかなかった。二度と産めなくなるので、子どもをあきらめる選択肢はなかった。産んだあとで、一緒に生きたいという気持ちが自分の中であふれてきて、子どもたちと父親と一緒に家族になりたいと思った。このとき初めて死ぬのが怖いと思いました」と話し、自身の経験を振り返りました。

    女性は、妊娠を意識するまで子宮頸がんについて知らなかったということで、「ひと事ではなく、自分の体のことなので、恥ずかしいとか言っている場合ではない。私のような思いをもう誰にもしてほしくないので、自分の反省もこめて検診をしっかり受けてほしいしそれが当たり前の社会になってほしいと強く願います」と訴えました。
    https://www3.nhk.or.jp/news/html/20201027/k10012682801000.html

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  7. “がん”と診断 10年後の生存率は58.3% 年々向上
    2020年11月19日 15時48分

    全国の主ながん専門病院でがんと診断された人の10年後の生存率は、最新の集計で58.3%だったと国立がん研究センターなどの研究班が発表しました。10年生存率は年々向上していますが、専門家は今後、新型コロナウイルスの感染拡大による受診控えの影響が出ないか、注視する必要があるとしています。

    研究班は、2007年までの4年間に全国の21の主ながん専門病院でがんと診断された9万4000人あまりのデータを分析しました。

    その結果、がん医療の効果をはかる指標とされる10年後の生存率は、全体で58.3%となりました。

    10年生存率は
    ▽2005年までの4年間に診断された人では56.3%、
    ▽2006年までの人では57.2%で、年々向上してきています。

    新たに発表された生存率をがんの種類別でみると、
    最も高いのは
    ▽前立腺がんで98.8%、
    次いで
    ▽女性の乳がんが86.8%、
    ▽甲状腺がんが85.7%、
    ▽子宮体がんが81.6%となっています。

    一方で
    ▽すい臓がんは6.2%と最も低く、
    ▽肝臓がんが16.1%、
    ▽胆のうがん・胆管がんが19.1%、
    ▽食道がんが31.8%、
    ▽肺がんが32.4%などとなっています。

    「全国がんセンター協議会」のウェブサイトでは、がんの部位ごとにステージ別の生存率をまとめたデータも見ることができます。

    データの分析を行った千葉県がんセンターの中村洋子主席研究員は「治療が難しいがんの新しい薬の開発など、技術の進歩で生存率は年々向上していて、今後もその傾向が続くとみられる。ただ、新型コロナウイルスの感染拡大による受診控えが今後、生存率に影響しないか注視する必要がある」と話しています。

    「あわせて読みたい」に「【詳細データ】がん 10年生存率 種類・ステージ別」もあります。ご覧ください。
    https://www3.nhk.or.jp/news/html/20201119/k10012720421000.html

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    1. 【詳細データ】がん 10年生存率 種類・ステージ別
      2020年11月19日 15時50分

      全国の主ながん専門病院でがんと診断された人の10年後の生存率は、最新の集計で58.3%だったと国立がん研究センターなどの研究班が発表しました。10年生存率のがんの種類、ステージ別のデータは以下のとおりです。
      いずれもがん以外による死亡などの影響を取り除いた「相対生存率」で示しています。
      全体の生存率が高い順に示します。

      《前立腺がん》
      ▽ステージ1:100%
      ▽ステージ2:100%
      ▽ステージ3:97.7%
      ▽ステージ4:45.5%
      ▽全体:98.8%

      《女性の乳がん》
      ▽ステージ1:98.0%
      ▽ステージ2:88.4%
      ▽ステージ3:63.8%
      ▽ステージ4:19.2%
      ▽全体:86.8%。

      《甲状腺がん》
      ▽ステージ1:100%
      ▽ステージ2:100%
      ▽ステージ3:96.2%
      ▽ステージ4:57.3%
      ▽全体:85.7%。

      《子宮体がん》
      ▽ステージ1:93.1%
      ▽ステージ2:89.5%
      ▽ステージ3:60.5%
      ▽ステージ4:13.9%
      ▽全体:81.6%。

      《子宮頸がん》
      ▽ステージ1:89.0%
      ▽ステージ2:68.6%
      ▽ステージ3:47.9%
      ▽ステージ4:20.2%
      ▽全体:68.7%。

      《大腸がん》
      ▽ステージ1:94.4%
      ▽ステージ2:83.3%
      ▽ステージ3:73.4%
      ▽ステージ4:13.3%
      ▽全体:68.7%。

      《胃がん》
      ▽ステージ1:90.8%
      ▽ステージ2:58.6%
      ▽ステージ3:37.0%
      ▽ステージ4:5.9%
      ▽全体:66.8%。

      《咽頭がん》
      ▽ステージ1:84.6%
      ▽ステージ2:61.8%
      ▽ステージ3:62.7%
      ▽ステージ4:31.3%
      ▽全体:63.3%。

      ※咽頭がんについてはデータが少ないことなどから、「ステージ3」のほうが「ステージ2」より10年生存率が高くなっています。

      《腎臓がん 腎うがん 尿管がん》
      ▽ステージ1:89.5%
      ▽ステージ2:67.4%
      ▽ステージ3:56.3%
      ▽ステージ4:11.6%
      ▽全体:62.8%。

      《ぼうこうがん》
      ▽ステージ1:73.6%
      ▽ステージ2:65.0%
      ▽ステージ3:48.7%
      ▽ステージ4:9.3%
      ▽全体:61.1%。

      《卵巣がん》
      ▽ステージ1:83.6%
      ▽ステージ2:54.7%
      ▽ステージ3:26.8%
      ▽ステージ4:12.3%
      ▽全体:48.2%。

      《肺がん》
      ▽ステージ1:67.1%
      ▽ステージ2:31.3%
      ▽ステージ3:12.3%
      ▽ステージ4:2.2%
      ▽全体:32.4%。

      《食道がん》
      ▽ステージ1:70.4%
      ▽ステージ2:38.3%
      ▽ステージ3:19.6%
      ▽ステージ4:8.1%
      ▽全体:31.8%。

      《胆のうがん 胆管がん》
      ▽ステージ1:47.7%
      ▽ステージ2:18.1%
      ▽ステージ3:11.6%
      ▽ステージ4:1.2%
      ▽全体:19.1%。

      《肝臓がん》
      ▽ステージ1:27.8%
      ▽ステージ2:17.0%
      ▽ステージ3:6.4%
      ▽ステージ4:2.3%
      ▽全体:16.1%。

      《すい臓がん》
      ▽ステージ1:35.3%
      ▽ステージ2:10.0%
      ▽ステージ3:3.1%
      ▽ステージ4:1.2%
      ▽全体:6.2%。
      https://www3.nhk.or.jp/news/html/20201119/k10012720561000.html

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  8. 乳がんリスク 閉経前の場合 飲酒頻度や量増えるほど高まる
    2021年3月15日 5時17分

    飲酒の乳がんへの影響を調べるため、およそ16万人の女性を長期間、追跡したデータを愛知県がんセンターの研究グループが解析したところ、閉経前の場合は飲酒の頻度や量が増えれば増えるほど、乳がんのリスクが高まることがわかりました。

    名古屋市千種区の愛知県がんセンターの研究グループは、飲酒の乳がんへの影響を調べるため、15万8000人余りの女性を平均14年間追跡したデータを解析しました。

    このうち乳がんになった人は2200人余りいて、閉経前の女性では、
    ▽ほとんど毎日飲む人が1.37倍、
    ▽1日のアルコールの摂取量が23グラム以上の人は1.74倍、
    全く飲まない人に比べてリスクが高くなることがわかりました。

    一方、閉経後は飲酒の頻度、量ともに乳がんのリスクとの関係は、認められなかったということです。

    飲酒の乳がんへの影響について日本人の女性を対象にした大規模な調査は初めてだということで、研究成果は国際的な専門誌で発表されました。

    調査を行った愛知県がんセンターがん予防研究分野の松尾恵太郎分野長は「肥満は乳がんのリスクが1.5倍くらいになると言われているが、飲酒はそれよりも影響が大きいことが分かった。お酒を飲む閉経前の女性は乳がんのリスクがあることを知り、飲む量を減らしたり、検診を受けるようにしてほしい」と話しています。
    https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210315/k10012915071000.html

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  9. 去年のがん検診受診者 前年比約30%減 感染心配し受診控えか
    2021年3月24日 19時32分

    新型コロナウイルスの感染が拡大した去年、自治体のがん検診を受けた人が前の年に比べ、およそ30%減少したことが日本対がん協会の調査で分かりました。協会は、感染を心配した受診控えが減少の要因で、がんが進行した状態で見つかるおそれがあるとして、受診を呼びかけています。

    日本対がん協会は、先月から今月にかけて各地にある32の支部に新型コロナウイルスの影響を聞く調査を行いました。

    それによりますと、国が推奨している胃がん、肺がん、大腸がん、乳がん、子宮頸がんの5つのがん検診を受けた人は去年は延べ394万1000人余りで、前の年に比べておよそ172万9000人、率にして30.5%減ったことが分かりました。

    月別では、4月は減少率が85.2%、5月は92.7%、6月は67.9%と感染の第1波の時期を中心に大幅に減った一方で、10月は1.8%増加、11月は2.4%減少、12月は22.7%増加と、検診施設で感染対策を取っていることが知られるようになり、受診が増えてきたとしています。

    協会は、感染を心配した受診控えが減少の要因で、およそ2100人で検診によって見つけられたはずのがんが発見できていないおそれがあると分析しています。

    小西宏ディレクターは「受診遅れにより、進行がんとして見つかる割合が増えるおそれがある。検診施設は十分な感染対策を取っているので、ぜひ受診してほしい」と呼びかけています。
    https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210324/k10012934001000.html

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    1. がん検診受診が昨年3割減、コロナ影響か…日本対がん協会「今年必ず受けてほしい」
      2021/03/28 21:54

       日本対がん協会は、2020年にがん検診を受けた人が前年よりも3割減ったとする調査結果を発表した。新型コロナウイルスの感染拡大の影響とみられる。

       調査は今年2~3月、全国の42支部を対象に実施し、32支部から回答を得た。自治体が実施する胃、肺、大腸、乳、子宮頸けいのがん検診を受けた人数などを尋ねた。

       昨年の受診者の合計は、のべ約394万人。19年の同567万人から約30%減少した。昨春の緊急事態宣言発令に伴い、検診を中止・延期した自治体が多かった影響で4~6月の受診者が大幅に減った。

       各検診の受診者数の減少と、各がんの発見率を照らし合わせ、1000~2100人程度の人が、がんを発見されなかった可能性があると推計している。

       同協会は「乳がん検診など間隔が2年に1回の検診もある。昨年受けなかった人は今年必ず受けてほしい」と呼びかけている。
      https://www.yomiuri.co.jp/medical/20210328-OYT1T50195/

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  10. なあに、かえってがん死亡者がへる…
    https://www.google.co.jp/search?q=%E3%81%AA%E3%81%82%E3%81%AB%E3%80%81%E3%81%8B%E3%81%88%E3%81%A3%E3%81%A6%E5%85%8D%E7%96%AB%E3%81%8C%E3%81%A4%E3%81%8F

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  11. 早期がんの手術が大幅減 検診を受ける人が減少 コロナの影響で
    2021年4月10日 6時23分

    新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、国内有数のがんの専門病院、東京の「がん研有明病院」では、去年、早期の胃がんの手術が半減するなど、手術件数が大幅に減っていたことが分かりました。
    感染を心配して、検診を受ける人などが減少し、早期に見つかる人が減ったためで、がんが進行した状態で見つかる人が増えていると懸念を強めています。

    「がん研有明病院」は、患者数が国内で最も多いがんの専門病院で、例年、胃がんの手術をおよそ500件、乳がんの手術をおよそ1200件行っています。

    病院で、去年1年間の手術件数を調べたところ、胃がんでは、全体で前の年より32%減少し、特に最も早期の「ステージ1A」では50%減少していたことがわかりました。

    また、乳がんでも去年4月から12月まででは、前の年の同じ期間に比べて、手術全体で19%、「ステージ1」までのがんで27%減少と、いずれのがんも特に早期での手術件数が大幅に減少していたということです。

    新型コロナへの感染を心配して、がん検診や病院での検査を受ける人が大幅に減少し、早期に見つかる人が減ったのが理由と見ていて、病院は、がんが進行した状態で見つかる人が増えているとしています。

    手術件数は、去年秋以降は例年並みになっているということですが、佐野武病院長は「全国的にがんが、より進んだ状態で見つかる人が増えている懸念がある。どこの施設も対策はかなり進んでいるので、気になる症状があれば迷わず受診し、症状がなくても受けるべき検診はしっかり受けてもらいたい」と話しています。
    https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210410/k10012966471000.html

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  12. がん患者の10年生存率 国立がん研究センターが公表
    2021年4月27日 13時56分

    全国各地にあるがんの拠点病院などで診断された24万人近くの患者の大規模なデータに基づいた10年生存率を国立がん研究センターが初めてまとめました。10年生存率は全体で59.4%で、種類や進行度によっては5年後以降にも生存率が下がるがんもあり、より長期に経過観察を行う必要があるとしています。

    国立がん研究センターは、2008年に全国のがん診療連携拠点病院など240の医療機関でがんと診断されたおよそ23万8000人のデータに基づいて患者の10年生存率をまとめました。

    10年生存率は、これまで全国のおよそ20のがん専門病院のデータをもとにしていましたが、今回は初めて大規模なデータに基づいて示されました。

    その結果、がん医療の効果をはかる指標とされる10年後の生存率は全体で59.4%となりました。

    データを詳しく見ると、女性の乳がんでステージ1の場合は、5年後の生存率は100%、10年後は99.1%と大きな変化はありませんでした。

    一方で、ステージ3の場合、生存率は5年後に80.6%だったのが10年後には68.3%に低下、ステージ4の場合は5年後の34.4%から10年後に16.0%に低下していました。

    また、肝細胞がんではステージ1でも生存率は5年後に59.3%で10年後には33.4%に低下していました。

    種類や進行度によっては5年たって以降に生存率が低下していて、長期にわたって定期的な検査などを行う必要があることがわかったとしています。

    若尾文彦がん対策情報センター長は「10年生存率は、10年以上前に治療した方々の過去のデータで、今の患者に反映されるものではない。医師と治療について話し合う際の参考として利用してもらいたい」と話しています。
    【10年生存率】 がんの種類・進行度別
    国立がん研究センターが発表した2008年にがんと診断された患者の10年生存率のがんの種類、進行度別のデータは以下のとおりです。

    全体の生存率が高い順に示します。
    ▼前立腺がん
    ▽ステージ1:100.0%、
    ▽ステージ2:100.0%、
    ▽ステージ3:100.0%、
    ▽ステージ4:44.7%、
    ▽全体:98.7%。

    ▼女性の乳がん
    ▽ステージ1:99.1%、
    ▽ステージ2:90.4%、
    ▽ステージ3:68.3%、
    ▽ステージ4:16.0%、
    ▽全体:87.5%。

    ▼子宮内膜がん
    ▽ステージ1:95.2%、
    ▽ステージ2:84.5%、
    ▽ステージ3:68.1%、
    ▽ステージ4:18.9%、
    ▽全体:83.0%。

    ▼子宮頸がん
    ▽ステージ1:92.9%、
    ▽ステージ2:71.9%、
    ▽ステージ3:54.6%、
    ▽ステージ4:16.9%、
    ▽全体:70.7%。

    ▼大腸がん
    ▽ステージ1:93.6%、
    ▽ステージ2:83.9%、
    ▽ステージ3:69.4%、
    ▽ステージ4:11.6%、
    ▽全体:67.2%。

    ▼胃がん
    ▽ステージ1:90.9%、
    ▽ステージ2:59.3%、
    ▽ステージ3:34.6%、
    ▽ステージ4:6.9%、
    ▽全体:66.0%。

    ▼ぼうこうがん
    ▽ステージ1:81.9%、
    ▽ステージ2:59.3%、
    ▽ステージ3:43.9%、
    ▽ステージ4:11.9%、
    ▽全体:65.1%。

    ▼非小細胞肺がん
    ▽ステージ1:72.4%、
    ▽ステージ2:35.2%、
    ▽ステージ3:13.5%、
    ▽ステージ4:2.0%、
    ▽全体:34.5%。

    ▼食道がん
    ▽ステージ1:68.2%、
    ▽ステージ2:37.4%、
    ▽ステージ3:18.8%、
    ▽ステージ4:5.8%、
    ▽全体:33.6%。

    ▼肝細胞がん
    ▽ステージ1:33.4%、
    ▽ステージ2:18.9%、
    ▽ステージ3:9.2%、
    ▽ステージ4:2.2%、
    ▽全体:21.8%。

    ▼肝内胆管がん
    ▽ステージ1:32.1%、
    ▽ステージ2:29.5%、
    ▽ステージ3:8.1%、
    ▽ステージ4:0.0%、
    ▽全体:10.9%。

    ▼小細胞肺がん
    ▽ステージ1:35.7%、
    ▽ステージ2:18.9%、
    ▽ステージ3:11.6%、
    ▽ステージ4:1.8%、
    ▽全体:9.1%。

    ▼すい臓がん
    ▽ステージ1:35.4%、
    ▽ステージ2:13.0%、
    ▽ステージ3:4.1%、
    ▽ステージ4:0.8%、
    ▽全体:6.5%。

    いずれもがん以外による死亡の影響を取り除いた「相対生存率」で示しています。
    生存率についてのデータは以下のウェブサイトで見ることができます。

    ▼10年生存率をまとめた報告書https://ganjoho.jp/reg_stat/statistics/brochure/hosp_c_reg_surv.html

    ▼3年・5年生存率のデータベース
    https://hbcr-survival.ganjoho.jp/
    また、最新のがんの治療法や、全国各地にある拠点病院、それに相談支援センターなどについての情報は、国立がん研究センターが運営している「がん情報サービス」(ganjoho.jp)にまとめられています。
    “血液のがん”治療受けた女性「未来想像でき意義あるデータ」
    がん患者の10年生存率のデータについて、25歳のときに血液のがん、悪性リンパ腫の治療を受けた多和田奈津子さん(48)は「私自身は20年以上前にがんと告知されたとき、漠然と想像していた結婚や出産などの未来が一気に真っ白になって思考停止してしまった。いまも“がん=死”というイメージを抱く人がいる中で、10年生存率の詳細なデータが出されることはがん患者の未来を想像できるという意味で、意義があると思う」と話しています。

    その一方で「患者としては10年生存率に一喜一憂してしまうが、発表されたデータは過去の治療の結果だし、国内の患者全体の数字であって必ずしも自分自身に当てはまるものでもないと思う。いま、がん患者は当たり前のように働き続けられるようになっているので、社会としてどうサポートしていくかなどについて考えるきっかけになってほしい。また、治療が難しいがんや希少がんについても治療方法の研究が進み、これからも生存率が改善し続けることを期待している」と話しています。
    若い世代 一部のがん 進行状態で見つかる割合高い
    全国861の医療機関で、2018年と2019年にがんと診断されたおよそ114万件のケースについて国立がん研究センターが分析したところ、若い世代では胃がんなど一部のがんで患者数は少ないものの、高齢の世代よりも進行した状態でがんが見つかった割合が高いことが分かりました。

    最も進行した「ステージ4」で見つかった割合は、▼胃がんでは▽10代以下で27.3%、▽20代で45.3%、▽30代で29.7%、▽40代で22.9%、▽50代で18.6%、▽60代で18.1%、▽70代で16.4%、▽80代で16.7%、▽90代以上で21.9%と40代までの若い世代では患者数は少ないものの、進行した状態で見つかるケースが多くなっています。

    また▼大腸がんでは、▽10代以下で30.8%、▽20代で22.8%、▽30代で17.6%、▽40代で15.3%、▽50代で14.8%、▽60代で15.2%、▽70代で13.4%、▽80代で13.8%、▽90代以上で19.5%と30代までで割合が高い傾向が見られます。

    さらに▼食道がんでは、▽30代で32.0%、▽40代で24.7%、▽50代で23.0%、▽60代で22.5%、▽70代で20.2%、▽80代で19.5%、▽90代以上で19.7%と、年齢が低いほど進行した状態で見つかる割合が高くなっています。

    国立がん研究センター院内がん登録分析室の奥山絢子 室長は「年齢が若いと、診療の現場ではがんだと疑わない傾向があるかもしれない。新型コロナウイルスが広がり、感染を恐れて受診を控えるケースが増えていると指摘されているので体調不良などがある場合は受診を控えずに、相談をしてもらうことが必要だ」と話しています。
    https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210427/k10012999831000.html

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  13. 「がん対策研究所」開設 予防や対策の研究・政策立案も
    2021年9月3日 5時26分

    日本人の死因で最も多いがんについて、予防や対策の研究や患者の支援、それに国の対策への反映まで一貫して進めようと、新たな研究所が国のがん研究の中核を担う国立がん研究センターに開設されました。

    新たに開設されたのは「がん対策研究所」で、国立がん研究センターにあった、がんの予防対策などに関する研究を行ってきた部門と患者に対する情報発信を行ってきた部門を統合して今月1日付けで設けられました。

    研究所には、医師や研究者などおよそ190人が所属し、がんの予防や対策、それに患者の支援やがん登録に基づいた大規模な調査や研究などを行うとともに、提言を行って国のがん対策の政策立案に積極的に関わるとしています。

    また、センターではこれまでにも患者や家族などにがんに関する正しい情報を発信する「がん情報サービス」を行ってきましたが、研究所とともに新たに「がん対策情報センター本部」を立ち上げ、情報提供をさらに充実させるとしています。

    中釜斉所長は「がん医療は急速に進歩しているが、治療後の生活やケア、予防など、残る多くの課題に取り組むのが研究所の役割だ。がんに関する不確かな情報も増え、患者さんがどう対応すればよいか分からなくなる事態も起きており、細かいニーズに応える情報発信もしていきたい」と話しています。

    がん患者団体 天野理事長「患者に適切な情報出し続けて」

    新たな研究所について、全国がん患者団体連合会の理事長で、20代で悪性リンパ腫と診断された天野慎介さん(47)は「この20年でがん医療はものすごく進歩しているが、がんと診断された患者さんの不安な気持ちというのは昔もいまも変わらない。不安な気持ちのまま冷静な判断ができず、情報の海の中で溺れてしまい、不正確ながんに関する情報にわらにもすがる思いで飛びついてしまうことは本当によくあることだ。新しい研究所には、不安な気持ちに押しつぶされそうになっている患者さんに対して、適切な情報を出し続けていってほしい」と話しました。

    さらに「新型コロナウイルスの感染拡大を経験して、国や自治体の政策が命に直結するということを強く感じている。がん医療に関しても同じで、研究所が中心になってがん医療に関する確かな科学的根拠を積み上げ、国などに対して根拠のあるがん医療の政策の提言を行ってほしい」と訴えました。

    アラバマ大 大須賀助教授「正確な情報発信の増強に期待したい」

    がん患者への情報提供に詳しいアメリカ・アラバマ大学バーミンガム校の大須賀覚助教授は「最近では、患者もSNSなどを使ってがん医療に関する情報を集められるようになったが、インターネット上に広がるがんに関する情報のうち、正確性の高い情報は10%程度しかないとする調査もあり、医学的に正しい情報にあたるほうが難しいくらいの状況になっている。政府や国立の研究機関がまとめる正確性が裏付けられた医療の情報というのは、ますます重要性が増してきている」と指摘しました。

    そのうえで「国立がん研究センターはこれまでもがんに関する情報発信で、重要な役割を担っていたが、不正確な情報が急速に広がる中で、患者さんが素早く正確な情報を得たいというときに十分対応できていない部分もある。アメリカのNCI=国立がん研究所の公式サイトでは、民間療法でがんに効くと宣伝されているような食品について、現時点で分かっているデータを示して、たとえば有効性に疑問があるかや、使用する上でどのような心配があるのか、細かく解説するなど、情報の質と量が充実している。新たな研究所には情報発信の機能をますます増強してもらうことを期待したい」と話しています。
    https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210903/k10013240001000.html

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  14. サラ・ハーディングさん 乳がんで死去 検診先送りで発見遅れる
    2021年9月6日 16時13分

    新型コロナウイルスの感染拡大の影響でがんの検診を先送りし、その後、乳がんにかかったことを公表していた、イギリスの歌手のサラ・ハーディングさんが闘病生活の末、亡くなりました。

    ロンドン郊外出身のサラ・ハーディングさんは、2002年に5人組の女性ポップグループ「ガールズ・アラウド」のメンバーとしてデビューしました。

    デビュー曲などがイギリスの音楽チャートで1位を飾り、2013年にグループが解散したあとも、歌手や俳優として活動を続けましたが、去年、乳がんにかかったことを公表していました。

    ハーディングさんはことし3月に出版した自伝で、当初、脇の下にしこりを感じたため、医師に詳しい検診を受けるよう勧められたものの、新型コロナの感染が広がる中「すべてが止まったように感じた。なんとかしなければならないと思ったが、そうした状況では難しかった」と振り返り、がんの検診を先送りしたため、発見が遅れたことを明らかにしていました。

    闘病生活を続けていましたが、公式インスタグラムによりますと、5日朝、亡くなったということです。

    39歳でした。

    感染拡大の影響によるがん検診などの受診控えの増加は海外でも指摘されていて、各国の保健当局は、なんらかの症状がある場合は早めに医療機関を受診するよう呼びかけています。
    https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210906/k10013246571000.html

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  15. 自治体実施のがん検診受診者 去年より回復もコロナ前に戻らず
    2021年9月22日 17時09分

    自治体が行っているがん検診を受診した人は、新型コロナウイルスの影響で大きく減少した去年に比べて回復したものの、おととしよりは20%近く少なく、感染拡大前の水準には戻っていないことが日本対がん協会の調査で分かりました。協会は、必要ながん検診を積極的に受けるよう呼びかけています。

    日本対がん協会は、全国の32の支部で国が推奨する胃がん、肺がん、大腸がん、乳がん、子宮頸がんの5種類のがんの検診を受けた人の数をこの3年間で比較しました。

    それによりますと、ことし1月から6月にかけて検診を受けたのは、5種類のがんで合わせておよそ156万6000人でした。

    受診した人は、新型コロナウイルスの感染拡大で検診の受診を控える人が多かった去年の同じ時期と比べると122%増加し、2倍以上となりましたが、おととしの同じ時期と比べると17%少なく、依然、感染拡大前の水準には戻っていませんでした。

    協会は、受診者数は回復しつつあるものの自治体が新型コロナウイルスの対応で忙しく、検診に影響が出ているおそれもあるとしています。

    日本対がん協会の小西宏ディレクターは「検診でがんが見つかる割合から考えると、がんが見つかっていない人が1万人から2万人ほど増えることになる。早期に見つかればそれだけ治療できる可能性も高まるので積極的に検診を受けてもらいたい」と話しています。
    https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210922/k10013272121000.html

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  16. コロナ感染拡大で検診控え 大腸がんの発見に遅れか 横浜市立大
    2021年9月22日 17時33分

    新型コロナウイルスの感染が拡大した去年3月以降、進行した状態で大腸がんが見つかった人が、以前よりおよそ70%増えたと横浜市立大学が発表しました。
    患者が感染を恐れて受診を控えた影響で発見が遅れている可能性があるとして、研究グループは受診を控えず、がん検診を受けるよう呼びかけています。

    横浜市立大学の日暮琢磨講師の研究グループは、附属病院と国立病院機構横浜医療センターで去年までの4年間に、がんと診断された5167人の患者の進行度を分析した結果を「アメリカ医師会雑誌」の関連誌に発表しました。

    それによりますと、早期の段階の「ステージ1」で見つかった患者の数を1か月平均で比べると、新型コロナの感染が拡大した去年3月以降、胃がんでは以前より35.5%、大腸がんでは34.0%減少していました。

    一方で、大腸がんでは、がんが進行して周辺に転移した状態の「ステージ3」で見つかったケースが68.4%増加していました。

    すい臓がんや食道がん、肝臓がんや胆道がんについては、大きな変化はありませんでした。

    研究グループは、特に検診で見つかることも多い大腸がんで、感染を恐れ検診や受診を控えた影響で発見が遅れている可能性があるとしています。

    日暮講師は「消化器のがんは早く見つかれば負担の少ない治療で根治を目指せる。症状が出ていない可能性もあるので、予定している検診は必ず受けてもらいたい」と呼びかけています。
    https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210922/k10013272111000.html

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  17. [地球を読む]がん基本法15年 家族も支える医療 進展…垣添忠生 日本対がん協会会長 
    2022/04/03 05:00

    垣添忠生氏 1941年生まれ。東大医学部助手などを経て国立がんセンター病院勤務。手術部長、院長、総長、名誉総長を歴任。2007年3月から現職。

     新型コロナウイルスの感染収束が見通せない中、気がかりなデータがある。

     国立がん研究センターによると、2020年に新たにがんの診断や治療を受けた人が、前年より6万人も減ったという。5%近い大幅な減少である。

     新規の診断・治療は、緩やかに増加してきた。急に罹患者が減ったとは考えにくい。コロナ禍によるがん検診の中止や、通院を「不要不急」と思った人の受診控えが原因のようだ。

     言うまでもなく、がん医療で肝心なことは「早期発見・早期治療」である。がん撲滅に全力を挙げてきた私には、これほど多くの人が早期発見・早期治療の機会を逃している事実を看過できない。

     コロナ禍は、営々として築いてきたがん医療体制の土台を揺さぶり、がん患者の命を脅かしている。今こそ、がん撲滅に向けたこれまでの取り組みの成果を再確認し、今後の課題について考えたい。

     今年は、「がん対策基本法」が施行されて15年という節目の年である。より良いがん治療を求める患者の声がようやく政治に届き、法成立に至った画期的な出来事だった。

     07年4月に法律が施行され、国は、がん対策の青写真となる「がん対策推進基本計画」を策定する「協議会」を設立した。

     基本法には、委員に「がん患者及びその家族又は遺族を代表する者」を選ぶと明記した。従来なら、メンバーはがん医療の専門家や有識者だけだったろう。同月中に初めての協議会が開催され、委員18人のうち、患者と家族、遺族の代表が計4人加わった。

     協議会は第1期基本計画(07~11年度)について議論し、事務局からは、すべてのがん患者のQOL(生活の質)向上を目標にするとの案が示された。

     これに対し、がん患者家族や遺族代表の委員から、「がん患者も大変だが、家族も同等、あるいは患者以上に苦しむ。家族も加えてほしい」との意見が出た。当初案は全会一致で、がん患者・家族のQOLの向上へと修正された。

     がん医療は、患者と家族を、医療スタッフらが支える態勢を目指すことになった。その意義は大きい。

     がんの死亡率を10年で20%下げる目標を掲げ、がん診療拠点病院の整備などを進めた。死亡率が16%ほど低下し、5年生存率は向上するなどの成果を上げた。わが国のがん対策が、法制化を契機に大きく進展したことは間違いない。

    コロナで検診減 改善を

     医療のあるべき姿は時代とともに変わる。日本のがん医療の大方針を示す「基本計画」も、これまで2度にわたって改定された。

     第2期基本計画(2012~16年度)を策定した際には、がん患者や家族らの声を聞き、きめ細かな対策を盛り込んだ。

     例えば、がん患者の就労促進である。

     がん医療の進歩によって生存率が改善したのは喜ばしいが、同時に仕事に就けない患者が増えるという課題に直面した。

     厚生労働省研究班の報告によると、がんに 罹患りかん した勤労者の30%が依願退職し、4%が解雇されたという。そこで、基本計画には、がんに関する正しい知識を各職場に普及することや、相談支援体制の整備を進める方針が明記された。

     がん患者は今も就労との両立に苦労している。取り組みをさらに強化・充実させていく必要がある。

     現行の第3期基本計画(17~22年度)では、AYA世代と呼ばれる15~39歳のがん患者への対策が初めて明記された。

     がんは、中高年の病気と見られがちだ。思春期や若い成人の患者は少なく、小児と中高年の 狭間はざま でこぼれ落ちがちだった。

     多感な時期のうえに、進学や就職、結婚、出産といった人生の節目も重なる。精神的にも不安定になりやすい。しかし、組織的な支援体制は整っておらず、適切なケアを受けられない人も少なくなかった。

     そこで、AYA世代の診療や就労などの支援体制整備に、国が取り組むことを盛り込んだ。がんは老若男女を問わず、撲滅すべき病気なのだ。

     ここで海外の取り組みも紹介したい。

     米国では、ニクソン大統領の時代だった1971年に、日本のがん対策基本法にあたる法律「National Cancer Act」が成立した。それ以来約50年にわたって喫煙対策、検診の充実、研究の重視、診療の発展、緩和ケアの浸透など、各方面で営々とした努力が展開されてきた。

     16年には、長男を脳腫瘍で亡くしたバイデン副大統領(現大統領)が中心となり、「がんムーンショット」計画を発表した。当時のオバマ大統領は米国立がん研究所の協力のもと、がん研究と治療に、ゲノム科学の知見を取り入れ、がんを治癒できる国にしようと呼びかけた。米国では近年、がんの死亡率は低下傾向が続いている。

     英国では、00年に国レベルのがん対策の総合計画が策定された。わが国のがん対策推進基本計画と類似した部分も多い。

     05年に厳格な中間評価が行われ、多くの項目で肯定的な評価が得られた。07年には、入院期間の短縮や費用対効果など、より効率的なサービスの提供が強調されている。

     わが国のがん対策も米英に劣らず、法制化によって強力に推進されていると評価できる。

     ただし、第3期基本計画には、がんによる死亡者数の減少など、具体的な数値目標が明示されていない。中間評価が必ずしも厳密に行われなかったとの指摘もある。23年度から始まる第4期基本計画策定に際して改善すべき点だろう。

     新型コロナウイルスの感染拡大により、内外の関心は感染症に集中している。日本対がん協会によると、20年に自治体が実施したがん検診を受けた人は、コロナ前の19年に比べて3割も減った。検診減少で、がん発見を逃したケースは2100に上る恐れがある。

     悪影響が顕在化するのはこれからだが、手遅れの患者を増やしかねない危険な状況である。国は早急に改善を図ってほしい。

     「がん予防と対策には、関連する多くの職責の人々の参加、マルチパートナーシップが不可欠だ」

     世界最大規模の民間がん組織、国際対がん連合は12年、こう訴えた。筆者もその通りだと考える。

     医療者や有識者はもとより、がん患者や家族だけでなく、企業や市民も取りこんだマルチパートナーシップを進め、誰もが「対がん運動」に参加できる仕組みを作るべきだ。
    https://www.yomiuri.co.jp/serial/earth/20220403-OYT8T50000/

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  18. がん検診 去年の受診者数 コロナ拡大前の9割程度にとどまる
    2022年4月4日 16時52分

    去年1年間に自治体が行うがん検診を受診した人の数は、新型コロナウイルスの感染拡大が始まる前、2019年の9割程度にとどまっていることが日本対がん協会の調査で分かりました。
    協会は、がんが進行した状態で見つかるケースが増えるおそれがあるとして、早期の受診を呼びかけています。

    日本対がん協会は、国が推奨する胃がん、肺がん、大腸がん、乳がん、子宮頸がんの検診を受けた人の数を全国各地の支部で調べた結果を発表しました。

    それによりますと、去年1年間にがん検診を受けた人は5種類合わせて537万6500人ほどで、おととしより102万人余り多く、23.5%回復しましたが、ほぼ600万人だった感染拡大が始まる前の2019年に比べると10.3%、62万人近く少なくなっていました。

    2019年と比べて減った割合は、
    ▽胃がんが13.2%
    ▽肺がんが11.0%
    ▽乳がんが9.9%
    ▽大腸がんが9.0%
    ▽子宮頸がんが8.0%で、
    協会は長期間受診できておらず進行した状態で見つかるケースが増えるおそれがあるとして早期の受診を呼びかけています。

    受診者数は去年秋から冬にかけては例年並みに回復したということですが、日本対がん協会の小西宏ディレクターは「今後コロナの感染が再拡大してしまうとまた影響が出ると懸念している。検診機関は感染対策をしっかり行っているので今年度はぜひ受診してもらいたい」と話しています。
    https://www3.nhk.or.jp/news/html/20220404/k10013566701000.html

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    1. がん検診の受診控え続く、コロナ禍前より1割減…見逃し600件の可能性
      2022/04/05 08:26

       日本対がん協会は4日、2021年にがん検診を受けた人は、前年より2割増えたものの、新型コロナウイルスの感染拡大が始まる前の19年と比べると1割減の低水準にとどまったとする調査結果を発表した。コロナ禍による受診控えの影響とみている。

       調査は今年2~3月、全国の42支部を対象に実施し、33支部から回答を得た。自治体が実施する胃、肺、大腸、乳房、子宮 頸けい 部のがん検診を受けた人数などを尋ねた。昨年の受診者の合計は、延べ約538万人。20年の同435万人から23・5%増えた。一方、19年の同599万人と比較すると10・3%減と、コロナ禍前の水準に戻っていない。

       19年と比較した受診者の減少数と、がんの発見率から推定すると、約600件のがんが、検診を受けなかったことで見つけられなかった可能性があるという。
      https://www.yomiuri.co.jp/medical/20220404-OYT1T50226/

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  19. 更年期 症状改善へ“ホルモン補充療法” 実施の医師は半数以下
    2022年4月11日 17時12分

    ほてりや不眠など女性の更年期の症状を改善する効果が認められているホルモン補充療法について、治療に携わっている医師にどのくらい活用しているか聞いたところ、過去1年間に実施した医師が半数に満たないことがNHKがインターネットで行ったアンケートで分かりました。

    ホルモン補充療法は、ほてりや不眠、気分の落ち込みなど女性の閉経前後の時期にあらわれる更年期の症状を改善する効果が国際的に認められていますが、日本では海外に比べて活用が進んでいないと指摘されています。

    NHKは先月、この治療法がどのくらい医療現場で活用されているか調べるため、専門医の助言のもと医師を対象にしたアンケートをインターネットで行いました。

    その結果、更年期症状のある患者を診ることがあると答えた産婦人科や内科などの医師479人のうち、ホルモン補充療法を過去1年間に実施したと答えた医師は48%で、半数に満たないことが分かりました。

    その理由は、
    ▽「専門外で詳しくないため」がもっとも多く61%、
    次いで
    ▽「処方した経験がない」が28%と、
    知識や経験不足をあげた医師が多くなりました。

    このほか、
    ▽「管理が難しいため」が25%、
    ▽「がんのリスクがあるため」が20%などとなっています。

    更年期の専門医などでつくる日本女性医学学会理事長の若槻明彦医師は「ホルモン補充療法は海外では一般的に活用されているが、日本ではまだ浸透しているとは言えない。内科など婦人科以外の医師が診ることもあるが、ホルモン補充療法は管理の方法など専門の知識が必要なため、医師の側にも使うことに抵抗感を持つ人がいる。適切に使えばがんのリスクを最小限に抑えながら更年期症状に悩む女性の生活の質を大幅に改善させることができるので、症状に悩む人は専門の医師がいる婦人科を受診してほしい。また活用を広げるためにも医師に対する研修会などを行って知識を高めるなどの取り組みをしていきたい」と話していました。
    https://www3.nhk.or.jp/news/html/20220411/k10013576711000.html

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  20. がん検診 コロナ拡大後 高齢者ほど受診控える傾向に
    2022年5月2日 5時57分

    新型コロナウイルスの感染が拡大したおととし春からの1年間に、がん検診を受けた高齢者は感染拡大前と比べて20%から30%ほど減少し、高齢者ほど控える傾向があることが日本対がん協会の調査で分かりました。
    この傾向は今も続いているということで、協会は受診を呼びかけています。

    日本対がん協会は、国が推奨している胃がん、肺がん、大腸がん、乳がん、子宮頸がんの検診について、2020年度に全国各地で受けた人の数を前の年度と比較して年齢別に分析しました。

    それによりますと、胃がんでは、
    ▽40歳未満の場合、前の年度と比べて減少した割合は3.4%でしたが、
    ▽60代後半では27.2%、
    ▽70代前半で21.0%、
    ▽70代後半で33.4%と、高齢者で減少の幅が大きくなっていました。

    同様の傾向は年齢が高いほど多くなる肺がん、大腸がんでも見られ、がんが見つかった数の減少幅も大きくなっていたということです。

    協会では、コロナで重症化するリスクが高い高齢者が、密になる環境を心配して受診を控える傾向が強かったとしていて、こうした傾向は今も続いているとしています。

    小西宏ディレクターは「多くのがんは高齢者ほどリスクが高い。長く検診を控えている人もいると思うが、検診施設は感染対策を取っているので、ことしこそ受診してほしい」と話しています。
    https://www3.nhk.or.jp/news/html/20220502/k10013608361000.html

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  21. 50代女性の4割が「更年期障害かも」、診断は1割に満たず…情報不足が背景に
    6/17(金) 14:00配信 読売新聞オンライン

     50歳代女性の4割が「更年期障害の可能性がある」と考えている一方で、実際に診断を受けている人は1割に満たないとの調査結果を、厚生労働省が17日、発表した。更年期の不調についての情報不足が背景にあるとみて対策を検討する。

     更年期は女性の場合、閉経前後の10年間を指す。ホルモンの減少により、ほてりや動悸(どうき)などさまざまな不調が表れる。40歳以上の男性にも起こることがある。症状が重く、日常生活に支障が出ると「更年期障害」と呼ばれる。

     調査は3月、全国の20~64歳の5000人(女性2975人、男性2025人)を対象にインターネットで実施。主観的な症状や受診状況などについて聞いた。

     「更年期障害の可能性がある」と考える女性の割合は、40歳代では28%、50歳代では38%に上った。一方、医療機関で「更年期障害」の診断を受けていたのは、40歳代で4%、50歳代で9%にとどまった。

     男性では50歳代の14%が「可能性がある」と考えていたが、2%しか診断を受けていなかった。

     症状を自覚している40、50歳代男女の8割以上が受診していなかった。

     更年期に起きる不調について、「よく知っている」と回答したのは、40歳代女性では38%、50歳代女性では50%。40、50歳代男性は10%台だった。

     厚労省の担当者は「今回の調査で、症状を自覚しながら未受診のままの人が多いことがわかった。さらに、未受診の理由や仕事への影響などについて調査し、必要な支援策を検討したい」と話している。
    https://news.yahoo.co.jp/articles/ebe87f481454c5bc59042d58606e2400a99af42e

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    1. 更年期症状の初調査 症状自覚も40,50代は約8割が受診せず
      2022年6月17日 15時11分

      気分の落ち込みや体の痛みなどを特徴とする更年期症状について厚生労働省は初めて調査を行い、更年期にあたる40代から50代の男女で症状があると答えた人のうち、医療機関を受診していないと回答した人がおよそ8割に上りました。

      調査はことし3月、インターネット上で行われ、全国の20歳から64歳の男女5000人が回答しました。

      この中では、気分の落ち込みや体の痛み、不眠など、45歳から55歳ごろの女性に特有の更年期症状について知っているかを聞きました。

      その結果、女性のうち、「知らない」とか「聞いたことはあるが内容を詳しく知らない」と答えたのが、
      ▽40代で62%、
      ▽50代で51%でした。
      また、40代以降の男性にも更年期にまつわる同様の不調が起きますが、
      ▽男性の40代の90%、
      ▽50代の84%が、
      「知らない」「内容を詳しく知らない」と答えました。
      さらに、更年期症状を具体的に示したうえで該当する症状があるか尋ねたところ、1つでもあると回答したのは男女合わせて3700人余りに上っていて、このうち医療機関を受診した人がどれだけいたかを調べました。

      その結果、症状があっても受診していないと答えたのが、
      ▽女性では40代で82%、50代で79%、
      ▽男性は40代が87%、50代が86%に上りました。
      また、家事や買い物、子育てなど、日常生活に影響があると回答したのは3500人余りで、このうち「とてもある」「かなりある」と答えたのは、
      ▽女性では40代で12%、50代で7%、
      ▽男性は40代で11%、50代で8%でした。
      厚生労働省は医療機関にも協力を求めたうえで今後3年間かけて更年期症状の具体的な特徴や治療の状況などを年代別に詳しく調査する方針で、結果を踏まえて対策を検討したいとしています。
      https://www3.nhk.or.jp/news/html/20220617/k10013676181000.html

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  22. 漢方医の方々がもっと頑張んなきゃいけない事案じゃないのかなあ…

    どちらかいうと、婦人科というよりは内科の領域なのかもしれないのだが、婦人科が漢方頑張ってる感じがしないしなあ。たぶん、漢方薬で簡単に対処できてしまうと、医者稼業にとっては、大して儲からない感じになるんじゃないのかと。

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  23. 早期大腸がん 新しい内視鏡治療 再発ほぼなく5年生存率約94%
    2022年8月8日 5時16分

    早期の大腸がんを電気メスを使って切除する新しい内視鏡治療の効果を調べたところ、再発はほとんどなく、5年生存率がおよそ94%と高い効果が得られたと国立がん研究センターなどが発表しました。今後、標準の治療法になることが期待されるとしています。

    大腸がんは国内で患者数が最も多いがんで、転移のリスクが低い早期の場合、これまで開腹手術ではなく、主にワイヤーでがんを取り除く内視鏡治療が行われてきましたが、がんを取り切れないこともあり、再発率が10%以上と高いことが課題になってきました。

    国立がん研究センター中央病院 斎藤豊 内視鏡科長らのグループは、2013年からの2年間に大きさが2センチ以上の早期がんがあり、電気メスで切除する「ESD」と呼ばれる内視鏡治療を受けたおよそ1400人のその後の経過を調べました。

    その結果、ESDを受けた患者の5年生存率は93.6%で、がんが再発した人は8人と0.5%にとどまり、再発した人でも内視鏡治療で切除できたということです。

    研究グループは、がんの取り残しが少なく再発リスクも低いことが分かったとしていて、今後、世界的に標準の治療法となることが期待されるとしています。

    斎藤科長は「患者の負担が小さいESDで多くの人が完治することが分かった。早期のがんが適用なので検診を受診し、なるべく早くがんを見つけることが重要だ」と話しています。
    https://www3.nhk.or.jp/news/html/20220808/k10013758771000.html

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  24. がん医療 独自の主張でベストセラー 医師の近藤誠さん死去
    2022年8月14日 22時17分

    独自の主張でがん医療の在り方に一石を投じた医師の近藤誠さんが13日に亡くなりました。73歳でした。

    近藤さんは1948年に東京都で生まれ、慶応大学医学部を卒業後、慶応大学病院でがんの放射線治療を行い、乳がんの治療で乳房全体を手術で切除することが多かった1980年代に、乳房を温存する治療法を提唱しました。

    その後1996年に出版された著書『患者よ、がんと闘うな』はベストセラーになり、独自の主張でがん医療の在り方に一石を投じることとなりました。

    一方で、近藤さんの抗がん剤治療などに対するスタンスには、がんの専門医から科学的な根拠に基づいていないなどという批判が多く出されていました。

    関係者によりますと、近藤さんは13日、出勤途中に突然体調を崩し、搬送された都内の病院で虚血性心不全のため、亡くなったということです。

    73歳でした。
    https://www3.nhk.or.jp/news/html/20220814/k10013770761000.html

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    1. 医師で菊池寛賞の近藤誠氏死去 「医者に殺されない47の心得」
      8/15(月) 0:18配信 共同通信

       近藤 誠氏(こんどう・まこと=医師)13日午前、虚血性心不全のため東京都渋谷区の病院で死去、73歳。東京都出身。葬儀は近親者で行う。

       慶応大病院でがんの放射線治療を専門とし、80年代から乳房温存療法を提唱した。多数の著書を執筆し、96年の「患者よ、がんと闘うな」、12年の「医者に殺されない47の心得」はベストセラーとなった。がん治療の先駆的意見を発表したとして、同年に菊池寛賞。13年には「近藤誠がん研究所・セカンドオピニオン外来」を設立した。

       関係者によると、13日の出勤中に突然体調を崩し、搬送先の病院で死亡が確認されたという。
      https://news.yahoo.co.jp/articles/b3b5a29f4007dada99cbc160d664d85e8737a136

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    2. 医師の近藤誠さん死去、73歳 「患者よ、がんと闘うな」著者
      8/15(月) 11:33配信 時事通信

       近藤 誠さん(こんどう・まこと=医師)13日午前11時51分、虚血性心不全のため東京都渋谷区の病院で死去、73歳。

       東京都出身。葬儀は近親者で執り行う。

       慶応大病院に勤め、乳がん治療で乳房摘出が一般的だった80年代から温存療法を提唱。96年の「患者よ、がんと闘うな」、12年の「医者に殺されない47の心得」がベストセラーになった。がん治療の先駆的な意見の発表により、同年に菊池寛賞を受賞した。

       13年に近藤誠がん研究所・セカンドオピニオン外来を設立。13日に出勤途中のタクシー車内で体調を崩したといい、搬送先の病院で死亡が確認された。
      https://news.yahoo.co.jp/articles/2388cdc292dc8601bab4937cb8152c743fd71b81

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    3. 「患者よ、がんと闘うな」がベストセラー・医師の近藤誠さん死去…73歳
      8/15(月) 11:46配信 読売新聞オンライン

       医師の近藤誠(こんどう・まこと)氏が13日、虚血性心不全で死去した。73歳だった。告別式は近親者で行う。

       慶応大医学部卒。同大病院でがんの放射線治療に取り組み、1980年代から乳房を温存する乳がんの治療法を提唱した。

       抗がん剤の弊害などを強調する独自の主張を載せた著作「患者よ、がんと闘うな」がベストセラーになったが、がん専門医から「科学的根拠に欠ける」などと反論が続出し、論争になった。2012年に菊池寛賞を受賞した。
      https://news.yahoo.co.jp/articles/fb023bd4f368d9c3c1baf27efa258a24156aaca8

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    4. がん放置療法の近藤誠医師死去 かつて語った「一人の意見は『抗がん剤をやめさせる』根拠にはなる」〈dot.〉
      8/15(月) 12:39配信 AERA dot.

      『患者よ、がんと闘うな』などの著者として知られる近藤誠医師(73歳)が亡くなった。近藤医師の著書『医者に殺されない47の心得』(2012年刊)がベストセラーとなっていた2013年に、『週刊朝日』ではその科学的根拠をめぐる検証記事を企画し、複数の専門医と近藤医師(当時・慶応大学放射線科講師)に取材を敢行していた。がんの9割は、治療するほど命を縮める。放置がいちばん--。そんな過激な主張を繰り返していた近藤医師は、学術的な論文などではなく、もっぱら一般向けの書籍や雑誌でしか主張を発表してこなかった。その理由はどこにあったのか? 当時の記事(週刊朝日2013年6月21日号、28日号)から抜粋して振り返る。

      *   *  *

       近藤医師は1980年代から、「がんを見つけたら手術や抗がん剤治療をしたほうがいい」という通念に誤りがあると指摘してきた。その主張は、がん放置療法と呼ばれ、医師任せだった患者に「医師を疑う」視点を喚起させた。しかし、科学的根拠を重視する医学界からは相手にされてこなかった。

       それゆえか、持論を学会の論文などではなく、一般向けの書籍や雑誌でしか発表してこなかった。

      「かつては学術的な論文を投稿していたが、医学界は何も変わらなかった。医学界にものを言ってもダメだという悲観がある。一般向けに発表したほうが、効率的に私の主張を発信できるからね」

       と、近藤医師は話す。

      『医者に殺されない47の心得』の中で近藤医師は「がんの9割は、治療するほど命を縮める。放置がいちばん」「がん検診は、やればやるほど死者を増やす」と説いていて、その論の根幹として、「抗がん剤の臨床試験には人為的操作が入っている」といった問題点を挙げている。

      「これまでの僕の本では、肝心なところは根拠となるデータを示していたけど、一般の人には読みにくいでしょう。だから今回(の『医者に殺されない47の心得』)は、結論だけ書いてある。いちいち論文根拠は示さない。そうするとわかりやすくなる。それは執筆にあたって工夫したところで、それゆえに読者の支持を得ているわけ」(近藤医師)
      https://news.yahoo.co.jp/articles/6f7896167d504bd2cedd39c71ddda921717ca493

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    5.  その内容は、現在の医療の常識とはかけ離れた主張で、しかも断定的な論調で書かれている。近藤医師はこう続ける。

      「根拠というのは、聞かれたときに示せばいい、という考え方もある。僕のほかの本には専門的な根拠が書いてあるわけだから、読者が、僕の主張の根拠を知りたければ、それらの本を読めばいい」

       記者が近藤医師に対して「他人の論文や臨床試験の問題点を指摘するばかりでなく、自分が提唱したいことを科学的根拠をもって証明していけばいいのではないか」と問いかけた。近藤医師はこう答えた。

      「理論は、何かを築き上げる理論だけではなく、従来の考え方やデータなどが間違っていると指摘することに使える場合がある。僕は、抗がん剤や手術といった治療に間違いがあると指摘しているわけで、新しいデータを提示してはいないんだよ。『抗がん剤をやったほうがいい』という介入行為は医師一人の意見でやってはいけない。しかし、一人の意見は『抗がん剤をやめさせる』根拠にはなるわけだ。臨床試験の方法や結果の解析が妥当か? 専門家がインチキしていないか? その点では、一人の意見は有用なんだよ」

       近藤医師本人が言うように、主張している内容は、新しいデータの提唱ではなく、現代医療に対する問題点の指摘だ。

      「今は、がんを見つけ次第なんでも治療してしまう時代になっている。どういうがんに対しても、手術や抗がん剤治療に意味があると言っている。では、本当にそうなのか、だれもわからなくなっている。僕はがんを自然に任せたらどうなるかを広く伝えて、人々の意識を改革したいと思っている」(近藤医師)

      ※週刊朝日2013年6月21日号、28日号から抜粋して再構成
      https://news.yahoo.co.jp/articles/6f7896167d504bd2cedd39c71ddda921717ca493?page=2

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  25. 出世頭が窓際医師に…急死した近藤誠医師「がん放置療法」「相談料30分3万2000円」の光と影
    8/19(金) 11:16配信 プレジデントオンライン

    雑誌の単独インタビューに応じる医師の近藤誠氏=2013年7月31日撮影 - 写真=東洋経済/アフロ

    ■他界した近藤誠医師の光と影

     放射線科医であり「がん放置療法」の提唱者としても知られた近藤誠医師が、2022年8月13日に虚血性心不全で亡くなった。享年73。

     慶應義塾大学病院の放射線科講師として勤務する傍ら、一般向け著書を多数手掛け、1996年の『患者よ、がんと闘うな』(文藝春秋)、2012年の『医者に殺されない47の心得』(アスコム)はベストセラーとなった。

     2012年には「抗がん剤の毒性、拡大手術の危険性など、がん治療おける先駆的な意見を、一般人にもわかりやすく発表し、啓蒙(けいもう)を続けてきた功績」として菊池寛賞を受賞している。

     とりわけ一部の患者や文化人からは熱狂的に支持され、東京大学元教授でフェミニストの上野千鶴子氏は、近藤医師死去の報を受け、「ガンになったら絶対にセカンドオピニオン外来に行こうと思っていたのに、行くところがなくなった」とTwitterで嘆いた。

     一方、「がん放置療法」については、「適切な時期に治療を受ければ助かったはずの患者が命を失った」として数多くのがん専門医から非難されている。

    ■エリートコースを歩んだ医師人生の前半

     近藤医師を直接知る人々はみな口をそろえて「昔は優秀だった」と言う。慶應義塾中等部、慶應義塾高校、同大学医学部を経て最短コースで慶應病院放射線科に就職し、米国医師免許も取得している。米国留学を経て卒業後10年で講師に昇進しており、同病院のような歴史ある名門医大としてはスピード出世であり、「いずれは教授」の呼び声も高かったようだ。

     私生活においては、医大同期の女性医師と結婚しており、「男尊女卑の感覚が一切なく、完全にイーブン。子育ても半分やって当たり前」という1970年代の男性医師としては稀有な意識の持ち主だったと語る関係者もいる。

    ■標準医療からの別離

     名門医大のエリートコースを歩み将来を嘱望されていたはずの近藤医師が、手術や抗がん剤のような標準的な医療から離れ、がん放置療法に転向したきっかけは何なのか。

     1980年代、米国留学から帰国した近藤医師は「乳がんの乳房温存療法」の普及に熱心に取り組んだ。当時の乳がん治療は、外科手術によって乳房全体を切除する方法が主流だった。また、当時の外科医局はテレビドラマ「白い巨塔」のような教授が絶対君主として支配する封建的組織であった。「外科」「内科」などの診療科は「メジャー科」と総称されて院内でのヒエラルキーやプライドも高い一方、「麻酔科」「放射線科」のような地味な診療科は「マイナー科」として下に見られがちであり、慶應大のような伝統校では特に顕著だった。パワハラの概念はなく、外科医が手術中に気に入らない研修医を蹴る行為は、「指導」としてまかり通っていた。

     そういう時代背景の中、マイナー科である放射線科の若手医師だった近藤医師が、米国での知見を基に、メジャー中のメジャー科である外科医の治療方針に異議を唱えることは、大学病院という封建的な組織の中で激しい反感やバッシングを招いたことは想像に難くない。

     1988年、近藤医師は「乳ガンは切らずに治る 治癒率は同じなのに、勝手に乳房を切り取るのは、外科医の犯罪行為ではないか」という内容の記事を月刊『文藝春秋』誌に寄稿した。1990年には『乳ガン治療・あなたの選択』(三省堂)という、標準医療に沿った一般人向け著書を出版しているが、さほど売れなかったようだ。
    https://news.yahoo.co.jp/articles/4611cbcaf25d8ec17c31208235d5ea6f39380b17

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    1. ■逸見政孝氏のがん治療論争でブレーク

       近藤医師とがん放置療法を有名にしたのは、1993年のフジテレビアナウンサーの逸見正孝氏の胃がん手術をめぐる一連の報道と論争だろう。

       逸見氏は記者会見で、再発した進行性胃がんであることを自ら公表した。東京女子医大で消化器外科の「ゴッドハンド」と呼ばれた教授らによって数キロの臓器を摘出する大手術を受けたが、約3カ月後に死去した。

       近藤医師は女子医大での治療について、『がん治療総決算』(文藝春秋)の中で「意味のない手術」と激しく批判し、積極的にマスコミの取材を受けた。雑誌プレジデント(2013年6月17日号)でも、「元気な人が、あっという間に変わり果てた姿で逝くのは、がんの治療のせい」などと発言。シンプルで歯切れの良い近藤医師のメッセージは多くのファンを獲得し、医学的な根拠を問題視する人は少なかった。

       1995年、文藝春秋誌上で連載された『患者よ、がんと闘うな』は読者投票で1位となり、「文藝春秋読者賞」を受賞している。

      ■教授候補から窓際医師に、そして定年

       その後も近藤医師は次々と標準医療を否定する著作を発表し続け、医学的な正誤はさておきヒット作を連発したので出版界の寵児となった。ただし、慶應病院では教授候補から窓際医師へと変貌し、細々とセカンドオピニオン外来を行っていた。

       2014年には講師のポジションのまま定年退職を迎え、その後は都内で「近藤誠がん研究所・セカンドオピニオン外来」を開業し、相談料「30分3万2000円(税込)」の自由診療を行っていた。

       しかし、オピニオン外来を受診した有名人からは、近藤理論への否定も相次いだ。

       2009年、作家でロシア語通訳者の米原万里氏が「卵巣がんになったけど、近藤外来を受診して手術を選択しなかったら1年で再発した」といった内容を著作に記している。

       2015年に胆管がんで近藤外来を受診し、その後に死去した女優の川島なお美氏も著作で「がんと診断された皆さん、決して『放置』などしないでください。まだやるべきことは残っています」と明確に否定している。

       おなじ2015年には『そのガン、放置しますか?  近藤教に惑わされて、君、死に急ぐなかれ』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)、『がんとの賢い闘い方 「近藤誠理論」徹底批判』(新潮社)と、がん専門医によるアンチ近藤誠本が次々と出版された。

       この頃、慶應義塾大の看板を失ったせいか、あるいはインターネットの大波に乗り遅れて若いファンを掴めなかったせいか、近藤医師も徐々に影響力を失っていくように見えた。
      https://news.yahoo.co.jp/articles/4611cbcaf25d8ec17c31208235d5ea6f39380b17?page=2

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    2. ■コロナ禍では反ワクチンで再注目

       2017年、近藤医師は『ワクチン副作用の恐怖』(文藝春秋)という反ワクチン本を出版した。医療関係者から「がん放置療法の次は反ワクチンか」と猛バッシングを受けたが、医療に詳しくない患者向けにわかりやすい文章で構成したこの著作はヒット作となった。

       そしてコロナ禍においてワクチンが実用化された2021年には、『こわいほどよくわかる 新型コロナとワクチンのひみつ』(ビジネス社)を出版し、長引くコロナ禍による社会不安を背景にヒットし、その後も反コロナワクチン本を出版している。

      ■最後の著作の宣伝文句「わが家で安らかに逝ける」

       一連の近藤本の特徴は、医学的な正誤を突き詰めずに、物事を単純化し、因果関係や善悪を近藤視点で断定することによって、読者にある種のストーリーを提供することにあった、と筆者は感じている。

       一方で、標準的治療を提供する専門医の反論は、医学的な正確さを重視するので「Aの症状ならBやCが考えられるが、Dの可能性もあり、治療薬はFが効く可能性がある」といった回りくどい表現になってしまい読者(特に高齢者)の心情には刺さりにくい。

       ゆえに「ワクチンは危険だが、製薬会社と厚労省の陰謀で隠蔽(いんぺい)されており、医師会幹部は打っていない」のような(事実でなくても)単純明快で陰謀論的な内容のほうが売れるという傾向もあり、近藤医師の死後も、同様の非標準的治療を推奨する本は出版され続けると思われる。

       これは近藤医師とは関係ないが、筆者としては「イベルメクチンを飲めばコロナは治る」「5類に落とせばコロナ病床は確保できる」のような治療法・解決法を単純明快に断言する著者は基本的には信じるべきではないとお伝えしたい。

       社会不安が強いほど断定的な強い口調に惹かれがちだが、世界はそれほど単純ではないことを自覚することが、患者側にも求められている。

       折しも、近藤医師は2022年8月2日に新刊『どうせ死ぬなら自宅がいい』(エクスナレッジ)が出したばかりだった。同13日の出勤途中に突然体調を崩し、搬送された都内の病院で亡くなったと報道されている。

       「これさえ守ればわが家やホームで安らかに逝ける」と帯の宣伝文句にはあったものの、残念ながらかなわなかったようである。



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      筒井 冨美(つつい・ふみ)
      フリーランス麻酔科医、医学博士
      地方の非医師家庭に生まれ、国立大学を卒業。米国留学、医大講師を経て、2007年より「特定の職場を持たないフリーランス医師」に転身。本業の傍ら、12年から「ドクターX~外科医・大門未知子~」など医療ドラマの制作協力や執筆活動も行う。近著に「フリーランス女医が教える「名医」と「迷医」の見分け方」(宝島社)、「フリーランス女医は見た 医者の稼ぎ方」(光文社新書)
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      https://news.yahoo.co.jp/articles/4611cbcaf25d8ec17c31208235d5ea6f39380b17?page=3

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  26. 「がん放置療法」の近藤誠氏死去…医者に言われるままの医療に一石
    8/26(金) 20:11配信 読売新聞(ヨミドクター)

    リングドクター・富家孝の「死を想え」

     確実にやってくる人生の最期を、どのような心持ちで迎えるのがよいのか……。新日本プロレスのリングドクターを務め、70代を迎えた富家孝さんが考えていくコラムです。

    【イラスト】前立腺がんの治療…進行見極め手術回避も

    近藤誠氏(2013年撮影)

     がんが見つかったら手術や抗がん剤治療を行うのが医療界の常識という中で、著書「患者よ、がんと闘うな」(1996年)などでがんの放置を主張してきた医師の近藤誠氏が亡くなりました。自ら開設した「セカンドオピニオン外来」(近藤誠がん研究所)に向かう途中のタクシーで具合が悪くなり、病院に搬送されましたが、そのまま帰らぬ人となったと聞きました。死因は虚血性心不全で享年73歳。まだ、死ぬには若すぎます。

    老いを感じていても元気、突然の死

     私は前立腺がんがあり、昨年、彼の外来を訪ねたおり、さまざまな話をしたことが思い出されます。まさか、それが最後になるとは思いませんでした。私たちは同世代で、「いつ死が来るかわかりませんね」と言い交わし、延命治療のばかばかしさについて語り合いました。彼は元気そうだったので、突然の死を聞いた時、「交通事故にでも遭ったのか」と思ったほどです。

     70歳を超えると、どんな人間も死期を意識します。私の場合は、50代後半から、狭心症や糖尿病を発症し、最近では前立腺がんも発見されたので、いやがおうにも死を考え思いながら生きています。幸い、まだ日常生活に支障をきたすことはありません。近藤氏も老いは感じていたようですが、十分に元気でした。ですから、私ほどには死を意識していなかったと思います。それを思うと、本当に心が痛みます。

    理想的な死に方かも

     ただ、発作を起こしてそのまま逝くというのは、日本の終末期治療の現状に疑問を感じている私たちにとって、理想的な死に方です。ただ、突然の死は、ご家族や仕事の関係者にとっては、心理的にも後のことも大変だろうと思います。

    乳房温存治療が広がるきっかけに

     慶応大学の放射線科医である近藤氏がメディアで大きく注目を集めたのは、日本の乳がん治療への疑問の提起からでした。1988年、乳がん治療では手術で乳房を切除するのが当たり前だった時代に、「治癒率は乳房温存療法と同じなのに、乳房を切り取るのは外科医の犯罪行為ではないか」と、月刊誌「文芸春秋」に寄稿したのです。この論文は大反響を呼び、以後、まだ日本では普及していなかった乳房温存療法が広まるきっかけのひとつになりました。

     また、今では隔世の感がありますが、近藤氏が問題提起を始めた当時、がんは「死の病」のイメージが強かったことから、患者にがんを伝えないのが一般的で、胃がんを胃潰瘍とごまかして手術をしていました。その時代に、がんを患者に伝えることを強く主張したのも近藤氏です。
    https://news.yahoo.co.jp/articles/7e197ca76ee7bb21533b719335c69a7a61eda2e4

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    1. がんを放置するという主張へ

       日本の医療に優れたインパクトを与えたのですが、その後、「がんは切ってはいけない。放置しろ」と言い出したのです。「がん放置療法」といっても「なんでもかんでも切らずに放置せよ」ということではありません。彼のがんに対する認識は、がんには大きく分けると二つの性質があって、タチの良いものとタチの悪いものがあり、タチの良いものは「本物のがん」ではなく「がんもどき」なので、放っておいていいと言うのです。そして抗がん剤治療についても否定的な見解を示しました。

      「がんの放置で悪化させた」と批判も

       自由な立場の開業医ではなく、日本を代表する大学のひとつ慶応大学所属の医師としての主張ですから、無視もできず、猛烈な反発を受け、医学的な反論も行われてきました。「近藤氏の言葉に従って、患者さんが標準治療を拒否して、早期のがんを進行させてしまった」「助かる可能性があった患者の命を奪った」といった医師の批判もありました。

       標準的ながん治療を否定し、その後は、生活習慣病治療など現代医療の全否定とも言える方向に突き進んでいきました。そして「患者よ、がんと闘うな」の後も、「医者に殺されない47の心得」など数々のベストセラーを生み出しました。私のところにがんで医療相談にくる方の多くは、彼の本を読んでいたので、その影響力に驚きました。

       「手術や抗がん剤治療など体への負担が大きい治療は避けたい」という治療を忌避する患者や家族の気持ちや、「主治医の説明には、どうも納得がいかない」と不信感を持つ人の心に訴える内容なのだと思います。

      医者と言うより文献学者

       彼とは長い付き合いです。患者を診る医者と言うよりも、大量の文献、論文、研究報告を読み込んで、文章を発表する文献学者という印象を持っていました。将来を期待された人でしたが、こうしたメディア活動から慶応大学で出世の見込みはなく、専任講師という一放射線科医にとどまり続けました。一方で、マスコミ人としては大きな存在になりました。
      https://news.yahoo.co.jp/articles/7e197ca76ee7bb21533b719335c69a7a61eda2e4?page=2

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    2. 患者は様々な選択に直面する

       標準治療とは、現段階の信頼度の高い研究報告を基に最も有効性が高いと考えられる治療ですから、医者が標準治療を勧めるのはもっともなことです。ただ、患者さんの年齢、健康状態、生活状況、立場、考えなどにより、治療方針の受け止め方はそれぞれに異なる面も出てくるでしょう。医師により説明のニュアンスが異なることもあり、「セカンドオピニオン」という別の医者の意見を聞く窓口も整ってきました。近年の近藤氏には極端過ぎる意見も目につきますが、患者の選択を促す、こうした流れを推し進める側にいたのは確かです。

       がん治療は、手術法や薬の選択、抗がん剤の副作用の抑制などいろいろな面で進んできて、今やがんのイメージは「不治の病」ではありません。治療法は多様化し、その効果も格段に高まりました。その中で、近藤理論は色あせて見えますが、医者に言われた通りに治療を受けるスタイルに一石を投じ、患者側も、どうしたいか医療者側に伝える必要性があると訴えた意義は大きかったと思います。

       医療が進んだとはいえ、手術するかどうか、手術か放射線治療か、患者は今も様々な選択に直面します。がんは、肺、胃、大腸、乳房などの部位や進行度、人によってがん細胞の性質が違います。また、患者の年齢や健康状態などによっても個人差があるからです。

      前立腺がんで放置療法を選んだ

       私自身、一昨年に前立腺がんが見つかり、治療の選択の問題に直面しました。前立腺がんの主な治療法は、手術、放射線治療、ホルモン療法の三つです。経過観察しつつ、複数の治療法を選択する場合もあります。私の場合は、ステージはT2で大きさは1センチほどだったので、標準治療として手術を勧められました。前立腺がんの場合、放射線治療も有効で、ホルモン療法も行われます。しかし、私は“放置”を選択しました。

       年齢のこと、前立腺がんの進行が遅いこと、手術にはリスクがあることを考えたからです。近年の手術は、 腹腔鏡手術やロボット支援下手術(ダビンチ)などが主流でリスクは減っています。それでも、医者の技量によって、結果に大きな差が出ます。尿漏れなど後遺症が出ることもあり、手術には慎重になってしまいます。
      https://news.yahoo.co.jp/articles/7e197ca76ee7bb21533b719335c69a7a61eda2e4?page=3

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    3. 近藤理論の実験台に

       先ほど、放置と書きましたが、厳密には放置ではなく、長く懇意にしている医師のところで、保険適用外の免疫療法を受けています。科学的なエビデンスはないと言ってもよく、正統派の医師ならけっして勧めない治療です。ただ、放置しておくのは心もとないところもあって、これで、がんが小さくなるか、あるいは消えてしまえばめっけものぐらいに思っています。これが私の選択です。

       私にこの選択をさせたのは近藤誠氏だと言えないこともありません。自分を近藤理論の実験台にしているわけです。共に経過を見ていきたいとも思っていました。彼の死が悼まれます。

      富家 孝(ふけ・たかし)

       医師、ジャーナリスト。医師の紹介などを手がける「ラ・クイリマ」代表取締役。1947年、大阪府生まれ。東京慈恵会医大卒。新日本プロレス・リングドクター、医療コンサルタントを務める。著書は「『死に方』格差社会」など65冊以上。「医者に嫌われる医者」を自認し、患者目線で医療に関する問題をわかりやすく指摘し続けている。
      https://news.yahoo.co.jp/articles/7e197ca76ee7bb21533b719335c69a7a61eda2e4?page=4

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  27. >(注・近藤誠は生涯「免疫療法は詐欺」と、警告し続けました)
    https://kondo-makoto.com/

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  28. >がん免疫療法の真実
    がん患者が期待する「免疫療法」のなかでは、ノーベル賞に輝いた「オプジーボ」および同種のクスリが高く評価され、盛んに使われています。しかし近時の臨床研究で、その評価は地に落ちました。
    https://kondo-makoto.com/
    https://kondo-makoto.com/report/report018.html

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  29. 「がん検診」受診率目標 60%に引き上げ 厚労省の新基本計画案
    2022年12月7日 19時21分

    日本人の2人に1人がかかるとされているがんの対策について、厚生労働省の協議会は、自治体が行う検診の受診率の目標を、これまでの50%から60%に引き上げることを盛り込んだ、新しい基本計画の案を取りまとめました。

    国のがん対策の柱となる基本計画は、患者や医師らで作る厚生労働省の協議会で定期的に見直されていて、7日、今後6年間の方針を定める基本計画の案がおおむね了承されました。

    計画案では現在の基本計画に盛り込まれている「予防」「医療の充実」「がんとの共生」の3つの柱を維持し、課題や取り組むべき施策などを定めるとしています。

    具体的には「がん検診」について、新型コロナの影響で受診者が1割から2割ほど減少しているという研究報告を踏まえ、感染症のまん延時などに備えた準備や対応を検討することを初めて盛り込んだほか、自治体が行う検診の受診率の目標を、これまでの50%から60%に引き上げるとしています。

    また「医療」では、患者の痛みや精神的な苦しみを和らげる「緩和ケア」について、診断された時からすべての医療従事者が適切に支援できるよう、がん相談支援センターとの連携など体制の整備を進めるとしています。

    がん対策の基盤の整備では、遺伝子情報をもとにした「全ゲノム解析」など、新技術を活用し、効果が高い治療薬の研究などを進めるとしています。

    厚生労働省は、この基本計画案についてパブリックコメントを実施して、広く意見を聞いたうえで、来年3月までに閣議決定することを目指すことにしています。

    がん検診受診者数 新型コロナ感染拡大で減少

    厚生労働省の研究班によりますと、新型コロナの感染拡大が始まった2020年度のがん検診の受診者数は、それ以前の3年間の平均と比べて胃がん、大腸がん、肺がん、乳がん、子宮けいがんの5つのがんでおよそ1割から3割減少し、このうち減少幅が最も大きかった胃がんでは35%減少したということです。
    https://www3.nhk.or.jp/news/html/20221207/k10013916341000.html

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  30. 去年のがん診断数 新型コロナ感染拡大前の水準に戻る
    2022年12月11日 6時20分

    がんと診断された患者の数は新型コロナの感染拡大に伴う受診控えなどの影響で、おととしの2020年は減少しましたが、去年は感染拡大前の水準にまで戻ったことが国立がん研究センターの分析で分かりました。
    ただ、早期に診断される割合が減少しているがんもあり、今後、進行した状態で診断されるケースが増えないか、注意深く見る必要があるとしています。

    国立がん研究センターはがん診療を行う全国の主な医療機関455施設で去年1年間にがんと診断されたのべ80万人余りの患者のデータを分析しました。

    それによりますと、新型コロナの拡大が始まったおととしにがんと診断された人は76万5044人とコロナ拡大前、2018年から19年の平均より4.1%減少しましたが、去年は80万6589人でコロナ前より1.1%増え、回復傾向がみられました。

    一方で、コロナ前と比べて胃がんと診断された人の数は8.9%、喉頭がんでは5.3%減っていて、さらに診断時のステージ別では胃がん、大腸がん、乳がんそれに子宮頸がんでステージ0から1の早期がんの診断数が減っていました。
    国立がん研究センターの石井太祐医師は「見逃されたがんが進行した状態で発見される件数が今後、増えてこないか注意深く見る必要がある。各医療機関で感染対策は行われているので安心して検診や診療を受けてほしい」と話しています。
    https://www3.nhk.or.jp/news/html/20221211/k10013919491000.html

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  31. ほんとうは「がん疾患」が根絶されると困る人たち。ほんとうには、それが病気だと言えないものであったなら…

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    1. 検査、診断、鑑定(鑑別判定)のトリックあるいはマジックだとしたら…

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  32. ファイザー、がん治療薬メーカーを5・7兆円で買収…コロナ感染収束後見据え
    2023/03/14 10:13

     【ニューヨーク=小林泰裕】米製薬大手ファイザーは13日、がん治療薬を手がける米シージェンを約430億ドル(約5兆7000億円)で買収すると発表した。がん治療薬を新型コロナ感染収束後の新たな成長分野に育てる狙いがある。

     米メディアによると、シージェンは「抗体薬物複合体(ADC)」と呼ばれる医薬品の開発で知られる。ADCは高い効果が期待できる一方、副作用が少ないとされ、次世代のがん治療薬として期待されている。

     ファイザーはコロナワクチンや治療薬の販売で、2022年の売上高は1003億ドル、最終利益は313億ドルと、いずれもコロナ前の19年から大きく伸びたが、23年はコロナ関連の売上高の減少が見込まれている。
    https://www.yomiuri.co.jp/economy/20230314-OYT1T50106/

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  33. がん疑いで膵臓を全摘出、病変なし判明で退院した男性が自宅で死亡…遺族が賠償提訴
    2023/03/25 19:05

     大分市の大分県立病院で昨年、同市の男性(当時59歳)が、がんではなかったにもかかわらず 膵臓すいぞう を全摘出した後に亡くなったのは、病院が注意義務を怠っていたことが原因として、遺族が県を相手に3300万円の損害賠償を求めて大分地裁に提訴した。第1回口頭弁論が24日、同地裁(石村智裁判長)であり、県側は請求の棄却を求めた。

     訴状によると、昨年5月、男性は県立病院で膵臓がんの疑いがあると診断され、6月に膵臓を全摘出したが、手術中と術後の検査では病変はなかった。合併症によって病状が悪化したにもかかわらず退院し、11月に自宅で死亡しているのを発見された。

     死因は「機能性障害に基づく内因性急死」とされ、「病理検査が先行していれば手術は行われなかった。合併症に対する厳重な管理も行わなかった」と主張している。

     県立病院側は「次回以降の弁論で具体的な主張をしていく」としている。
    https://www.yomiuri.co.jp/national/20230324-OYT1T50227/

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  34. やる必要のない手術をやって命を縮めるというのはよくある話。

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  35. がん患者や被災者を励ます1000kmの旅、81歳垣添忠生さんがスタート…青森から福島へ
    2023/03/27 23:08

    がんサバイバーへの支援の広がりなどを求めて歩く垣添さん(右)(27日午前11時53分、青森県八戸市で)=上甲鉄撮影

     がんを経験した「がんサバイバー」を支援する日本対がん協会会長の垣添忠生さん(81)が27日、患者や東日本大震災の被災者たちを励まそうと、青森県八戸市から福島県相馬市までの約1000キロを歩く旅に出発した。6月23日まで4回に分け、震災復興のために環境省が整備した遊歩道「みちのく潮風トレイル」を歩く予定だ。

    蕪島で神社へのお参りを済ませた垣添さん(27日午前11時38分、青森県八戸市で)=上甲鉄撮影

     垣添さん自身もがんを経験し、妻をがんで亡くしている。27日は、「がんサバイバーを支援しよう」「3・11を忘れない」と書かれたのぼりを手に八戸市のJR八戸線・ 鮫さめ 駅を出発。みちのく潮風トレイルの起点である観光名所、 蕪島かぶしま を経て、天然の芝生が広がる市内の 種差たねさし 海岸までの約8キロを歩いた。

     旅では、津波から逃れた住民を受け入れた岩手県大槌町の吉祥寺を訪れ、住職と語り合う。宮城県名取市の県立がんセンターでは、がんと震災の両方を経験した人と交流することにしている。また、垣添さんの旅に密着したドキュメンタリー映画「Dr.カキゾエ歩く処方箋」(仮題)が2024年5月に公開予定だ。

     垣添さんは「がん患者も被災者も、突然予期しない悲しみと苦しみの中に投げ出されるが、多くは衝撃から立ち上がっていくという共通点がある。その人たちを励ますのと同時に、どのようにして人はつらい体験から立ち上がることができるのか、私自身が教わりたい」と話した。

     垣添さんは18年、がん専門病院を訪ねながら福岡市から札幌市までの約3500キロを歩き、がんサバイバーの支援を訴えたことがある。
    https://www.yomiuri.co.jp/national/20230327-OYT1T50172/

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    1. がんと震災、じゃなくて、がんとフクシマ(原発事故)、だな。

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    2. フクシマ(原発事故)案件にしても、新型コロナワクチン(薬害)案件にしても、大手生保のデータには、もうすでになんらかの影響が数字で現れているのではないだろうか。

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  36. 検診受診率目標60%に引き上げへ 新がん対策基本計画閣議決定
    2023年3月28日 11時54分

    日本人の2人に1人がなるとされているがんの対策について、政府は自治体と企業の連携などを進め、がん検診の受診率の目標を、これまでの50%から60%に引き上げることを盛り込んだ国の新たな基本計画を閣議決定しました。

    がん対策の基本計画は、今後6年間の具体的な国の方針を定めたもので、28日の閣議で決定されました。

    計画では、これまでの基本計画に盛り込まれている「がん予防」、「がん医療」、「がんとの共生」の3つの柱を維持し、課題や取り組むべき施策などを定めています。

    具体的な対策としては、自治体と企業が連携するなどがん検診を進め、受診率の目標をこれまでの50%から60%に引き上げることが盛り込まれました。

    また、外国では承認されているものの、国内では承認されていない治療薬が増加しているため、日本での早期開発を促すなど治験の実施を促進するほか、これまでの制度の見直しを含めた対応策を検討するとしています。

    このほか患者や家族が医療などのサービスを利用しやすくするために、オンライン診療の提供や治験や相談支援のオンライン化など、デジタル化も推進するとしています。
    加藤厚生労働大臣は閣議のあと記者団に対し「新たながん対策推進基本計画では、誰1人取り残さないがん対策を推進し、すべての国民とがんの克服を目指すことを目標に、対策をさらに推進する」と述べました。
    https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230328/k10014021871000.html

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  37. 「がん治療と仕事の両立は困難」と感じている人は半数以上に
    2023年10月21日 13時09分

    がん対策に関する内閣府の世論調査で、自分ががんになった場合、治療を受けながら働き続けるのは難しいと感じている人は54%に上り、厚生労働省は、治療と仕事の両立に向けた環境整備を進めたいとしています。

    内閣府は、ことし7月から8月にかけて全国の18歳以上の3000人を対象にがん対策に関する世論調査を行い、54%にあたる1626人から回答を得ました。

    それによりますと、仮に自分ががんになって、治療や検査のために2週間に1度程度、病院に通う必要がある場合、働き続けられる環境だと思うか聞いたところ、
    ▽「そう思う」と「どちらかといえばそう思う」と答えた人は45%だった一方、
    ▽「そう思わない」と「どちらかといえばそう思わない」と答えた人は54%でした。

    このうち「そう思わない」と答えた人に理由を尋ねたところ
    ▽「体力的に困難」が28%と最も多く、次いで
    ▽「代わりに仕事をする人がいない、いても頼みにくい」が22%、
    ▽「職場が休むことを許してくれるかわからない」が16%でした。

    厚生労働省の担当者は「職場での理解促進や相談支援体制の充実を進めてきた効果が一定程度表れているが、まだ半数以上の人が両立が難しいと感じている。引き続き治療と仕事の両立に向けた環境整備を進めたい」と話しています。
    https://www3.nhk.or.jp/news/html/20231021/k10014232881000.html

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    1. 内閣府出向組と厚労省のなかのヒトビトの合作で、役人仕事を増殖肥大させるための下ごしらえ地ならし作業をやっているらしい。

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  38. 女性の心臓病リスクを専門医らが啓発 初のセミナーを開催
    2024年2月2日 17時17分

    女性ならではの心臓病のリスクについて海外で啓発活動が広がっていることから、日本でも女性の心臓病に関心を持ってもらおうと、2日、東京都内で専門の医師たちによるセミナーが開かれました。

    このセミナーは、アメリカで、毎年2月に女性の心臓病のリスクについての啓発が行われていることから、循環器の専門医などで作る日本循環器協会が初めて開いたもので、2日は都内の会場に250人余りが集まりました。

    この中では、三重大学の坂東泰子教授が講演し女性には精神的なストレスによって起こりやすい心筋症があることや女性の場合、服を脱がせることへの抵抗などからAED=自動体外式除細動器が使われる割合が男性より低いことなどを紹介しました。

    また、パネルディスカッションでは、更年期障害と不整脈をテーマに意見が交わされ、更年期で女性ホルモンに変化が起こると病気のリスクが高くなることなどが紹介されました。

    協会によりますと、日本では循環器病は男性に起こりやすいとされてきましたが、最近になって女性ならではのリスクが知られるようになってきたということです。

    主催した北里大学の東條美奈子教授は「女性のライフステージに応じてなりやすい循環器の病気があることがわかってきている。治療や管理をすることで予防できるので、多くの女性に知ってほしい」と話していました。
    https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240202/k10014344991000.html

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  39. イマドキ「心臓病リスク」言うと、例の「新型コロナ」騒動に便乗し奨励されて大規模に接種した眉唾ワクチンによる副作用薬害だな。

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  40. 筑波大 難治性がん「こう芽腫」 次世代治療法の治験開始と発表
    2024年2月22日 20時03分

    茨城県つくば市の筑波大学は、難治性のがんの一種、こう芽腫という脳の病気に対して次世代の治療法で治験を開始すると発表しました。独自に開発した装置を使うことで治療時間を短縮し、多くの患者に治療を提供することが可能になるとしています。

    これは22日、筑波大学が記者会見で発表しました。

    難治性のがんの一種、こう芽腫は脳の病気で、5年生存率が10%程度とされ、手術やその他の治療を組み合わせても再発のリスクが高く、治療法がいまだに確立されていません。

    筑波大学は、つくば市の「高エネルギー加速器研究機構」などと連携し独自に開発した照射装置と治験薬を組み合わせた「BNCT」という治療法で初めてこう芽腫と診断された患者への治験を始めるということです。

    「BNCT」はがん細胞に取り込んだ「ホウ素」に中性子をあててがん細胞を破壊する治療法で、生存率を大きく押し上げることが期待されるとしています。

    今回、大学は、装置を独自に開発していて、治療時間を短縮することで多くの患者に治療を提供することが可能になるということで、ほかの難治性のがんに対する治療法としても期待されるということです。

    筑波大学・放射線腫瘍学の櫻井英幸教授は会見で「難治性がんへの挑戦と捉えている。1日に複数の患者に対応できるという点が装置としては画期的だ」と話していました。
    https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240222/k10014367961000.html

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  41. 女性の健康課題 職場の健診で質問追加の案取りまとめ 厚労省
    2024年10月18日 14時33分

    女性が安心して働き続けるために厚生労働省の検討会は、職場での健康診断に月経困難症など女性特有の健康課題で困っていることがないか尋ねる質問項目を新たに追加するべきだとする案を取りまとめました。

    女性の就業率が高まるなか経済産業省が6年前に公表した調査の結果では、女性特有の健康課題により職場で困った経験があると回答した人が51.5%に上っています。

    こうした中、専門家などによる厚生労働省の検討会は、女性が安心して働き続けられる環境をつくろうと職場で行われる健康診断について見直しの議論を進めてきました。

    18日とりまとめの案が示され、健康診断の質問項目に、月経に伴う下腹部や頭の痛みなどに悩まされる月経困難症や、更年期障害など、女性特有の健康課題で職場で困っていることがないか尋ねる項目を新たに設ける方針が盛り込まれました。

    そして「困っている」と回答した人には必要に応じて健康診断を担当した医師が専門医への早期の受診を促していくことや、こうした課題について専門的な知識を持たない医師が健康診断を行う可能性があるため研修の必要性なども示されました。

    厚生労働省はこのとりまとめ案について今年度中に労使などが参加する審議会で議論して、実施の時期などを決めることにしています。
    https://www3.nhk.or.jp/news/html/20241018/k10014612881000.html

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