( 【厚生労働省】がんの「ゲノム医療」 中核11拠点病院 の続き)
DB集積事業ってさ、実際、ものになったためしはあるのか?
2021年10月21日 5時53分 NHKニュース
患者数が少ない「希少がん」は、臨床試験を行うことも難しく、治療法の開発が進みにくいのが課題となっています。国立がん研究センターは、東南アジアの5か国の医療機関と共同で、患者の遺伝子の情報を集めるデータベースを立ち上げたと発表し、アジアに多い希少がんの治療法の開発を進めたいとしています。
データベースは国立がん研究センター中央病院と、マレーシアやタイ、ベトナムなど、東南アジアの5か国の10の医療機関が共同で立ち上げました。
小児がんや肉腫、脳腫瘍などの希少がんは、患者数が少ないために臨床試験を行うことが難しかったり、遺伝子の情報が十分に集まらなかったりするため治療法が限られているのが課題になっています。
データベースには、特徴が近いアジアの患者の遺伝子の情報を同意を得たうえで集積させ、参加している医療機関は患者の遺伝子の特徴に応じた薬など、新たな治療法を開発するための国際的な臨床試験などを進めることにしています。
すでに日本国内の患者2000人分のデータが登録されていて、今後は毎年、各国から合わせて1000人以上のデータが登録される見込みだということです。
国立がん研究センター中央病院国際開発部門の中村健一部門長は「アジアで特に多いがんの治療法などの開発研究を進めるうえで意義がある。今後は東アジアの国々とも連携していきたい」と話しています。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20211021/k10013315651000.html
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2018年2月14日 20時31分 NHKニュース
がん患者の遺伝情報を基に最適な治療薬を選ぶ「ゲノム医療」について、厚生労働省は全国の11病院を地域で中核となる拠点病院に選び、新年度から地域の病院と連携して「ゲノム医療」を提供することになりました。
がんの「ゲノム医療」は、患者のがん細胞の遺伝情報を解析して最適な治療薬を選ぶ新しい医療で、国のがん対策の基本計画で柱の1つに掲げられています。
14日に開かれた厚生労働省の専門家会議は、「ゲノム医療」の普及に向け、地域の中核となる拠点病院に全国11の病院を選びました。以下の病院です。
・北海道大学病院
・東北大学病院(宮城県)
・国立がん研究センター東病院(千葉県)
・東京大学医学部附属病院
・慶應義塾大学病院(東京)
・国立がん研究センター中央病院(東京)
・名古屋大学医学部附属病院
・京都大学医学部附属病院
・大阪大学医学部附属病院
・岡山大学病院
・九州大学病院(福岡県)
拠点病院では、その病院の患者だけでなく地域で連携する病院の患者についても新年度から遺伝情報を解析するなど「ゲノム医療」を提供することにしています。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20180214/k10011329271000.html
(書きかけ)
またいつもの、新たな医科様研究ネットワーク「拠点形成」プログラムか…
(№553 2021年10月21日)
治療難しい大腸がんに有効か「分子標的薬」2種投与で効果確認
返信削除2021年11月12日 8時08分
治療が難しいタイプの大腸がんについて、特定の遺伝子変異のあるがん細胞を狙い撃ちにするタイプの薬を2種類投与したところ、およそ30%の患者でがんが縮小したとする治験の結果を国立がん研究センターが発表しました。初めての有効な治療法となる可能性があるとしています。
大腸がんは、国内で最も患者数が多いがんですが、がん細胞の増殖に関わる「HER2」と呼ばれる遺伝子に変異があるものは2、3%と少なく、有効性が示された薬は国内でも海外でもありませんでした。
国立がん研究センター東病院などの研究グループは、この遺伝子の変異がある大腸がんが進行した患者30人に対して、HER2の変異があるがん細胞を狙い撃ちにする「分子標的薬」というタイプの薬を、2種類同時に投与して効果を確かめる治験を行いました。
その結果、およそ30%の患者でがんが縮小し、ほぼ消えた患者もいるなど、有効性が確認できたということです。
変異の有無を血液から調べる診断法と組み合わせることで、初めての有効な治療法となる可能性があるとしていて、製薬会社が新たな治療法として厚生労働省に承認申請をしたということです。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20211112/k10013344631000.html
赤ちゃんの原因不明の病気 ゲノム解析で診断 慶応大など
返信削除2022年2月4日 8時07分
重い病気なのに原因が特定できなかった赤ちゃん85人を対象に慶応大学などのグループが遺伝情報を詳しく解析したところ、半数近くで病気の原因を特定できたと発表しました。
この研究は、慶応大学医学部の武内俊樹専任講師を中心とする全国の新生児科の医師や遺伝学の研究者らのグループが行いました。
グループによりますと、原因不明の病気で新生児集中治療室に入院するなどしている赤ちゃん85人を対象に遺伝情報を調べるゲノム解析を行ったところ、41人で遺伝子の異常が原因であることを突き止めたということです。
多くが従来の検査では診断が難しい数万人から数十万人に1人という極めてまれな病気で、このうち20人は治療ができるようになったり、体の負担となる検査を行わずにすんだりしたということです。
原因が特定できた1人で、生まれたときから呼吸が止まるなどの命に関わる症状があった女の赤ちゃんは、ゲノム解析によって遺伝子の異常のため栄養がうまく作れない病気「ピルビン酸脱水素酵素複合体欠損症」と診断されました。
原因が特定されるまでは治療法も不明でしたが、現在は特殊なミルクを使うことで症状が改善したということです。
この赤ちゃんの母親は「病名が分からないときは先が見えない心境だった。今は子どもの症状も落ち着いてきつそうな様子がなく、よかったと感じている」と話していました。
武内専任講師は「ゲノム解析の技術を全国の赤ちゃんに届けられるよう、医療機関のネットワークを作っていきたい」と話しています。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20220204/k10013465951000.html
ゲノム医療“不当な差別受けないよう法整備を”日本医学会など
返信削除2022年4月7日 6時48分
遺伝子を調べてそれぞれの患者に応じた治療を行う「ゲノム医療」について、日本医学会などは病気のなりやすさなどが判明すると保険の加入や雇用や結婚などで不当な差別を受ける可能性があるとして、防止するための早急な法整備を求める声明を発表しました。
声明は日本医学会と日本医師会が6日、東京都内で記者会見を開いて発表しました。
国はがんや難病などの患者の遺伝子を調べて最適な治療法や薬を選ぶ「ゲノム医療」を進めていますが、国内では遺伝情報によって病気のかかりやすさなどが分かることによって差別や不利益を被ることを防ぐための法律などが十分整備されていないと指摘されています。
このため声明では、今の状況では患者やその家族が保険の加入や雇用、結婚などさまざまな場面で不当な差別や社会的な不利益を受ける可能性を払拭(ふっしょく)できないと懸念を示しました。
そのうえで
▽国に対して遺伝情報による差別を防ぐための法整備を早急に行うことや
▽保険会社など事業者に対して、遺伝情報の取り扱いについて自主的な方策を早急に検討し公表することなどを求めました。
記者会見で日本医学会の門脇孝 副会長は「ここ数年でゲノム医療は格段に進歩を遂げ、将来の病気のリスクを調べる技術の応用も進んでいる。新たな差別を生まないために、今こそ社会的な議論を進める必要がある」と話しています。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20220407/k10013570551000.html
「18歳成人でも喫煙は20歳から」20歳以上の3割知らず…国立がん研「大人が確かな情報を」
返信削除2022/05/31 11:16
「成人年齢が18歳に引き下げられても、喫煙は20歳まで法律で禁じられている」ことを「知らなかった」「あまりよく知らなかった」と答えた人は20歳以上の3割だったとする調査結果を、国立がん研究センターがまとめた。世界保健機関(WHO)が定めた世界禁煙デーの31日、発表した。
調査は4月、インターネットで実施。20歳以上の男女2000人が回答した。
成人年齢は、同月から18歳に引き下げられたが、喫煙は、若いうちから吸うと健康面への悪影響が増すため、これまで通り20歳まで法律で禁止されている。この点についての理解度は低く、15%が「知らなかった」、16%が「あまりよく知らなかった」と答えた。
低年齢からの喫煙リスクに関する知識の有無も確認した。認知度は、「早く亡くなるリスクが高まる」30%、「病気のリスクが高まる」43%など、調査した全5項目で50%を下回った。
一方、18、19歳にも同様の調査を実施。回答は40人と少ないが、9割の36人が、20歳まで喫煙が禁止と知っており「20歳になったらたばこを吸ってみたい」と答えたのは3人のみだった。
平野公康・同センターたばこ政策情報室長は「周囲の大人が、若者がたばこを吸うきっかけを作らないことが大切だ。喫煙に関する確かな情報を普及することが課題だ」と話している。
https://www.yomiuri.co.jp/medical/20220531-OYT1T50107/
酒が弱い人が飲むと、難治性胃がんリスク高い…ゲノム解析で初の立証
返信削除2023/03/17 11:55
アルコールを代謝しにくい体質の人が飲酒すると、難治性の「びまん型胃がん」の発症リスクになるとする研究成果を、国立がん研究センターなどのチームが発表した。日米、中国などの胃がん患者約1500人のがん組織をゲノム(遺伝情報)解析した。この手法で飲酒と発症の関連を立証したのは世界で初という。
胃がんは患者数も死亡者数も、日本人のがんでは部位別で3位と多い。びまん型は胃がんの3割を占め、スキルス胃がんも含む。ピロリ菌感染が発症につながる「腸型」と比べて治療が難しい。
今回の研究は、日本人697人を含む世界の胃がん患者1457人を対象とした。ゲノム解析の結果、体内でアルコールを代謝しにくい体質の人が飲酒をすることで起こる遺伝子変異が、別の遺伝子変異を招き、びまん型を発症させることがわかったとしている。
この体質は、日本など東アジア地域の人に多くみられ、いわゆる「酒に弱いタイプ」だという。チームの柴田龍弘・同センター研究所がんゲノミクス研究分野長は「飲酒量と発症リスクの関連など、さらに研究を進め、胃がんの予防や新たな治療法の開発につなげたい」と話している。
https://www.yomiuri.co.jp/medical/20230317-OYT1T50125/
日本人のゲノム解析データ、複数バンクを検索・閲覧…創薬推進へ政府がシステム構築
返信削除2023/04/11 05:00
政府は今年度以降、日本人のゲノム(全遺伝情報)を創薬などの研究開発に活用するため、国内の大学や研究機関で解析されたゲノムを横断的に検索したり、閲覧したりできるシステムの構築を始める。医学研究者らに複数の機関が保有するデータを効率的に活用してもらうのが狙いで、一人ひとりに合った治療薬の開発など、個別化医療の実現を後押しする。
国内には、提供された血液などの生体試料を保管する複数のバイオバンクがあり、ゲノム解析も進む。東北大の「東北メディカル・メガバンク機構」、東京大医科学研究所の「バイオバンク・ジャパン」、国立がん研究センターなど六つの国立研究開発法人が運営する「ナショナルセンター・バイオバンクネットワーク」の3バンクが最大規模で、計約7万人のゲノム解析データを保有する。
ただ、これらのデータを使う場合、現状では個別のバイオバンクに利用申請する必要があり、効率的な活用に課題があった。このため、政府は今春以降、3バンクのデータを一度で検索できる新システムを構築する。
3月末に病名や年齢などの情報を試験的に横断検索できるようにした。今年度以降は検索対象をゲノムに広げ、健康な人と、がんや難病の患者のゲノムを比較できるようにする。システムは国立研究開発法人「日本医療研究開発機構」が管理し、利用料金は今後決める。
ゲノムは、個人や人種などの違いで、異なる特徴がある。健康な人と病気の人のゲノム比較や日本人のゲノム解析で、特定の病気になりやすい遺伝子の変異を見つけたり、日本人に効きやすい薬の開発に活用できたりする。政府は、医学研究者らにシステムを活用してもらうことで、ゲノムの特徴に合わせた創薬など次世代医療を推進する。
https://www.yomiuri.co.jp/science/20230410-OYT1T50391/
https://koibito2.blogspot.com/2015/04/201541.html?showComment=1681177416381#c2666865174156094164
「ゲノム医療」の現状と課題は? シンポジウムで議論
返信削除2023年4月22日 21時03分
遺伝子を調べてそれぞれの患者に応じた治療を行う「ゲノム医療」についてのシンポジウムが日本医学会総会の中で開かれ、医師らが診断がつきにくい難病で病名が分かり、治療につながるようになってきていることなど、診断や治療の進歩を報告しました。
ゲノム医療は、遺伝子の解析にかかるコストが安価になったことから特にがん治療の分野で普及してきていて、シンポジウムではがんや難病のゲノム医療の研究や治療を進めている医師らが議論を行いました。
このうち、慶応大学医学部の小崎健次郎教授は全国400近くの医療機関でネットワークを作り、診断がつきにくい希少な病気の患者の遺伝子の解析を行ったところ、およそ7000の家系の半分近くでどんな遺伝性の病気があるか分かり、治療につながるケースもあったと報告しました。
一方で、ゲノム医療では検査で病気のかかりやすさなどが分かるため、保険の加入や雇用や結婚などで、不当な差別を受けるという懸念や倫理的な課題もあり、日本医学会などは去年、差別を防ぐために早急な法整備を求める声明を出しています。
シンポジウムの座長をつとめた国立がん研究センター研究所の間野博行所長は「ゲノム情報は究極の個人情報で、それによって不利益を被らないような体制整備やよりよい方向で活用できるための仕組みが必要だ。国として基本的なルールを作るべきだ」と話していました。
がん治療ではゲノム医療で改善も
がん患者の遺伝子を調べて最適な治療薬を選ぶ新たながん医療の手法は「がんゲノム医療」と呼ばれ、2019年6月に公的な保険が適用され普及が進んでいます。
がんゲノム医療では、がんの発症などとの関連が指摘されている最大300余りの遺伝子に変異があるか調べる「遺伝子パネル検査」を受けたあと、患者に最適な治療薬を選びますが、国立がん研究センターによりますと、この検査を受けた人はことし2月までにおよそ5万人に上るということです。検査を受けた後、個人に適した抗がん剤を受けた結果、がんの症状が改善したケースもあります。
去年、国立がん研究センターを受診した70代の女性は希少な皮膚がんが肝臓に転移するなど進行し、有効な治療がなくなった段階で遺伝子パネル検査を受けました。検査で見つかった遺伝子変異に対応する「分子標的薬」の投与を受けたところ、7センチ以上あったがんが半年ほどで2センチになり、けん怠感などの症状もおさまり仕事をしながら治療を続けているということです。
治療を担当した国立がん研究センター中央病院の山本昇副院長は「半年ほどでこれほどの効果が出るとは思っておらず私たちも驚いた」と話しています。
その一方で、遺伝子パネル検査を受けた人のうち、遺伝子変異に対応する治療薬が見つかって実際に治療を受けられる患者は全体の1割ほどだということで、山本副院長は「遺伝子変異が見つかっても対応する治療薬がない場合が多い。研究開発は進んでいてこれから使える薬が増えれば、それぞれに適した治療を受けられる患者は増えてくると思う」と話しています。
さまざまな病気のリスクを推定する研究も
ゲノム解析によって、がんだけでなく、生活習慣病などさまざまな病気のリスクを推定する研究も進んでいます。
東京大学大学院の岡田随象教授は、糖尿病や心筋梗塞、関節リウマチなどの患者や、コレステロールなどの値が高い人など、300種類以上の病気や体質について数万人の遺伝情報を解析して、病気を発症するリスクと関連のある遺伝子の変異を見つけ出す研究を進めています。
病気の発症リスクにつながる遺伝子の変異には、病気の発症との関連が非常に強いものや一つ一つは関連が強くないものの、複数が積み重なることで病気のリスクが高まるものがあり、岡田教授は遺伝子に変異がどれだけあるかを調べて計算することで、特定の病気を発症するリスクの高さを推計しています。
こうした手法は「ポリジェニック・リスク・スコア」と呼ばれ、病気の予防や早期発見につながるとして各国で研究が進められています。
岡田教授は「生活習慣病など多くの人がかかる病気は、特定の遺伝子だけでなく数千のたくさんの遺伝子変異が組み合わさって、病気の発症に至るということが解析で分かってきている。生活習慣も発症に大きく関わるが、病気のなりやすさを知ることでより適切に、病気の予防に貢献できるのではないかと考えている」と話しています。
「ポリジェニック・リスク・スコア」について、愛知県にある藤田医科大学の医師らが設立したベンチャー企業では、去年から大学の病院に通院している患者などを対象に、唾液を採取して遺伝子を分析し病気の遺伝的なリスクを判定する検査を行っています。
この会社では岡田教授らが作った遺伝子と病気の関連を解析したデータベースの情報をもとに、糖尿病やがん、高血圧など40種類の病気や、血中のコレステロールの値や尿酸値が高くなりやすいといった25種類の体質の特徴について、どれくらいのリスクがあるのか分析して病気の知識や予防法とあわせて示しています。
この企業の社長を務める名古屋大学大学院の池田匡志教授は「遺伝的にリスクが高いからといって必ず病気になるわけではないが、リスクが高いからこそ予防のために生活習慣など行動を変えるきっかけにしてほしいというのが目的だ。将来的には結果を医師と共有して治療などに生かしてもらうサービスにもつなげたい」と話しています。
遺伝情報の取り扱いには課題も
がんの遺伝子検査を担当する医師の中には、遺伝性の大腸がんで手術を受けた患者が、医療保険の支払いを請求した際に保険会社から検査の結果などについて照会を受け、給付金の支払いが通常より遅れたケースを経験した人がいます。
千葉県がんセンターの横井左奈遺伝子診断部長は、遺伝性の病気の診断や患者の遺伝情報の違いに応じて最適な治療薬を選ぶ「がんゲノム外来」を担当しています。
横井部長によりますと、去年、遺伝性の大腸がんで内視鏡手術を受けた20代の男性が、損害保険会社に給付金を請求した際、男性の遺伝子の疾患について2回、文書での照会を受けたということです。
男性は保険に加入した後、親が遺伝性の大腸がんだったため、遺伝子検査を受けたところ、若くして大腸がんを発症するリスクが高い「リンチ症候群」と診断され、実際に去年、遺伝性の大腸がんを発症しました。
横井部長は、去年5月末に男性が加入する保険会社から「リンチ症候群」は加入時に保険会社への告知が必要だったとして、診断の経緯や検査の結果の詳細について調査会社を通じて照会を受けたということです。
これについて横井部長は、遺伝子検査の結果について照会を受けたと受け止め、日本損害保険協会が去年5月27日に出した「保険の加入や支払いでの遺伝子検査の結果などの収集や利用を行っていない」とする声明に反するとして保険会社への回答を拒否したということです。
その後、保険会社と協議した結果、手続きを始めてから半年以上たって給付金が支払われたということです。
横井部長は患者が不利益を被りかねなかったケースだったとしていて「遺伝情報の取り扱いについて定める法制度の整備を早急に進めるべきだ」と話しています。
一方、日本損害保険協会は当該の保険会社に対し事実確認を行ったということですが、従来から協会に加盟する保険会社では遺伝情報の利用は行っていないとしています。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230422/k10014046351000.html
国立がん研 肺がん臨床試験中止 “予期したより患者多く死亡”
返信削除2023年4月28日 22時59分
国立がん研究センターなどは、肺がんの患者に対して抗がん剤と2種類の免疫療法の薬を併用する治療法の効果を確かめる臨床試験で、予期したより多い7%の患者が肺の炎症などで亡くなったとして、この臨床試験を中止したと発表しました。この治療法は保険適用もされていて同じ治療を受けている患者は主治医と相談するよう呼びかけています。
国立がん研究センターなどのグループは、がんが再発して進行した「非小細胞肺がん」の患者に対し抗がん剤に加えて2種類のがんの免疫療法の薬、オプジーボとヤーボイをあわせて投与する治療法と、別の治療法のどちらがより有効か比較する臨床試験をおととしから進めていました。
グループによりますと、この治療法を受けた148人のうちの7.4%にあたる50代から70代の患者11人が肺の組織に炎症が出る「肺臓炎」や血液中に炎症を起こす物質が出され高熱や血圧の低下を引き起こす「サイトカイン放出症候群」などで亡くなったということです。
グループでは患者の死亡は治療法との因果関係が否定できず、予期したより多いとして先月30日に臨床試験を中止したということです。
この治療法は厚生労働省が承認し保険適用もされており、会見した九州大学の岡本勇教授は「同じ治療法を受けている患者さんは今後の治療方針を主治医とよく相談してほしい。どうすればより安全に治療が受けられるか検証も進めたい」と話しています。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230428/k10014053191000.html
がんの経済損失、国内で年2兆8600億円…1兆円は予防できた可能性
返信削除2023/08/01 21:58
国立がん研究センターなどは1日、がんが社会に与える経済的負担は年間約2兆8600億円で、うち約1兆円は予防できる可能性のあるがんによるものだったとの推計結果を発表した。「禁煙やワクチン接種など適切な予防対策を行えば、個々人の命を救うだけでなく、経済的な負担の軽減も期待できる」としている。
同センターによると、予防可能性のあるがんの経済的影響を調べた研究は初めて。研究チームは、2015年に国内で治療を受けたがん患者のべ約400万人について、医療費と、欠勤・休職や死亡に伴う労働損失を推計した。
その結果、医療費と労働損失を合わせた経済的負担の総額は、約2兆8600億円だった。
そのうち、予防策のあるがんによる経済的負担は、約1兆200億円。要因別にみると、「感染」が約4800億円で最も多く、「能動喫煙」が約4300億円、「飲酒」が約1700億円、「運動不足」が約340億円、「過体重」が約190億円と続く。
感染の中では、ピロリ菌による胃がんが約2100億円、ヒトパピローマウイルス(HPV)による子宮 頸けい がんが約640億円、肝炎ウイルスによる肝臓がんが約610億円に上る。ピロリ菌に対しては除菌治療、HPVに対しては感染を防ぐワクチン接種、肝炎ウイルスに対しては薬物治療などのがん予防策がある。
最新のがん統計では、年間約100万人ががんと診断され、約38万人が死亡している。日本人の死因の第1位だ。
研究チームの斎藤英子・国立国際医療研究センター上級研究員は「定期的ながん検診やHPVワクチン接種、たばこ対策などの意義を、経済的な観点から示すことができた」と話す。
五十嵐 中あたる ・横浜市大准教授(医療経済)の話「予防できる可能性のあるがんの経済負担・損失を金額で示した意義は大きい。100%防げるわけではないが、生活習慣の改善など、国民にも予防の重要性が伝わりやすくなる」
https://www.yomiuri.co.jp/medical/20230801-OYT1T50206/
“感染・喫煙などに起因”がんによる経済的負担 1兆円以上
削除2023年8月1日 19時12分
国立がん研究センターなどのグループは、がんによる社会の経済的な負担は年間およそ2兆8600億円に上るとする推計を発表しました。このうち、細菌やウイルスの感染、喫煙などに起因するとされるがんによるものは1兆円以上となっていて、研究グループは、がんの予防が経済的負担の削減につながるとしています。
国立がん研究センターなどのグループは、2015年にがんで国内の医療機関を受診した延べ400万人余りのレセプト=診療報酬明細書の記録などをもとに、がんによる社会への経済的な負担を推計しました。
その結果、治療にかかる医療費と、患者が働けなくなったり、死亡したりした場合の「労働損失」を足し合わせた経済的な負担は、年間およそ2兆8600億円に上ると推計しています。
このうち、細菌やウイルスの感染、喫煙や飲酒などに起因するとされるがんによる負担はおよそ1兆240億円で、
▽ピロリ菌の感染による胃がんがおよそ2110億円、
▽喫煙に起因した肺がんがおよそ1386億円、
▽HPV=ヒトパピローマウイルスの感染による子宮頸がんがおよそ640億円などとなっています。
これらのがんは予防によってリスクを下げられるとされ、このグループは、ピロリ菌の除菌やHPVワクチンの接種、それに禁煙といった対策が経済的な負担の削減につながると指摘しています。
国立がん研究センターがん対策研究所の井上真奈美予防研究部長は、「がんの予防は個人の命を守るのみならず、社会に与える経済的影響も大きいことが分かった。個人でできるがんの予防を進めてほしい」と話しています。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230801/k10014149751000.html
“小児がんの薬「ドラッグラグ」改善を”がん治療シンポジウム
返信削除2023年8月19日 19時28分
がんの患者が最新の治療などについて学ぶシンポジウムが大阪府で開かれ、小児がんの専門の医師が海外で使われている薬が国内で使えるようになるまでに時間がかかる「ドラッグラグ」によって、小児がんの治療薬の種類が成人と比べ少ない現状を改善するため、海外で使える薬が日本でも速やかに使えるような仕組みを整える必要があると述べました。
「全国がん患者団体連合会」が大阪府高槻市で開いたシンポジウムには患者団体や医療関係者などおよそ120人が参加しました。
このなかで、小児がんが専門の国立がん研究センター中央病院の小川千登世医師は、近年、がん細胞の増殖に関わるたんぱく質などを攻撃する「分子標的薬」という薬の開発が進み、海外で使えるようになっている一方で、国内ではまだ子どもたちの治療に使えないものがあるという現状を説明しました。
小川医師はその理由として海外で開発された薬を、日本で承認する上で必要な治験が行われないために承認を得られない「ドラッグラグ」があると指摘した上で「アメリカで2000年から2022年の間に承認された小児がんの新薬40品目のうち6割にあたる24品目が国内では承認されていない」として日本では使える小児がんの薬の種類が海外に比べて少ないため、患者によっては使える治療薬がないまま亡くなってしまうケースもあると述べました。
その上で、海外の製薬企業に対して国内で治験を実施するよう促したり、成人と小児で同時に薬を使えるようにする仕組みを整えたりすることで、海外で使える薬が日本でも速やかに使えるようにすべきだと述べました。
シンポジウムに参加した小児がんの患者や家族で作る「小児脳腫瘍の会」の馬上祐子代表は「海外で使える薬が子どもに使えない状況は親にとってはとても苦しい。時間を置かずすぐに使えるような仕組みづくりを期待したい」と話していました。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230819/k10014167911000.html
小児がんの研究に「全ゲノム解析」 東京大学などのグループ
返信削除2023年8月30日 5時30分
遺伝情報をがんの診断や治療に役立てる「がんゲノム医療」を小児がんでも活用できるよう、東京大学などのグループがすべての遺伝情報を解析する「全ゲノム解析」という技術で小児がんの遺伝子の異常を調べる研究を始めることになりました。
この研究は、東京大学大学院医学系研究科の加藤元博教授や、国立がん研究センターなどのグループが、ことし11月から本格的に始めるものです。
がんの治療では遺伝子を調べて正確な診断や最適な治療薬の選択につなげる「がんゲノム医療」が注目されていますが、一般的に使われている検査は大人のがんの遺伝子の異常を主な対象としているため、小児がんに特有の異常は十分に調べられないなどの課題があるということです。
このためグループでは、全国の小児がんの患者、およそ100人に協力してもらいがん細胞のすべての遺伝情報を解析する「全ゲノム解析」を行って、遺伝子の異常を調べ、精度の高い診断や治療法の選択に役立つかを検証するということです。
また、小児がんと関連する新たな遺伝子の異常を調べるほか、データを匿名化したうえで製薬会社に提供し、治療薬の開発などにも役立てたいとしています。
研究の責任者を務める加藤教授は「小児がんの治療方法を選択するうえで大事なのがゲノムの情報だ。今の小児がんの患者のためにも、5年、10年後の患者のためにも役立つような結果につながることを期待している」と話していました。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230830/k10014177971000.html
ほんとうに病気はゲノムの違いで起きるのか?
返信削除国立がん研究センター東病院の元医長 収賄容疑で逮捕 警視庁
返信削除2023年9月21日 18時55分
国のがん研究の中核を担う千葉県柏市の国立がん研究センター東病院に勤務していた医師が、東京のメーカーの医療機器を手術で使う見返りに現金およそ170万円を受け取ったとして、警視庁に収賄の疑いで逮捕されました。
逮捕されたのは、千葉県柏市の国立がん研究センター東病院の元医長で、フロリダ大学の准教授を務める橋本裕輔容疑者(47)です。
また、東京 千代田区の医療機器メーカー「ゼオンメディカル」の元社長柳田昇容疑者(67)が贈賄の疑いで逮捕されました。
警視庁によりますと、橋本医師は国立がん研究センター東病院の肝胆膵内科医長を務めていた令和2年度に行ったカテーテル治療の手術で、「ゼオンメディカル」社製の「ステント」という機器を1回使うごとに1万円をもらう契約を結び、令和3年5月ごろ、合わせておよそ170万円を受け取ったとして収賄の疑いが持たれています。
「ステント」の販売価格は1本およそ17万円で、柳田元社長は部下に指示するなどして、病院側が「ステント」の有効性や安全性を確認する調査への謝礼を装い、実態としてはリベートとして現金を渡していたとみられています。
警視庁はほかの病院に対しても同じような営業手法で販売していたとみて、詳しいいきさつを調べることにしています。
国立がん研究センター東病院と橋本医師とは
国立がん研究センター東病院は、日本のがん医療・研究の中核を担う病院として、千葉県柏市に1992年に設立され、国内最先端のがんの検査・治療を行っています。
病院のホームページによりますと30を超える診療科に246人の医師が在籍していて、1日平均およそ1389人の外来患者を受け入れ、昨年度は4790件の手術を行っています。
警視庁によりますと、橋本医師はこの病院で2013年から非常勤の医師として働き始め、2019年から2021年7月まで肝胆膵内科の医長を務めるなどしていて、消化器のがんの早期発見や治療方法に関する研究などにも取り組んでいました。
また、直近ではアメリカのフロリダ大学ジャクソンビル校の消化器内科で准教授として勤務しています。
国立がん研究センターをめぐっては、東京 中央区にある中央病院の50代の職員が、病院の医療機器に関連するシステムの導入をめぐって特定の業者が受注できるよう便宜を図った見返りに、タブレット端末などを賄賂として受け取ったとして、去年、神奈川県警に逮捕され、ことし、有罪判決が確定しています。
この問題を受けて、国立がん研究センターは外部の有識者も含めた調査委員会を立ち上げ、再発防止策を検討しているさなかでした。
今回の逮捕を受けて、国立がん研究センターは新たに、内部調査や倫理講習の実施についても検討したいとしています。
今回の事件の構図は
警視庁によりますと、今回の事件で、贈賄側の医療機器メーカー「ゼオンメディカル」と国立がん研究センター東病院に勤務していた橋本医師との間では、カテーテル治療に使う「ステント」を1本使うごとに1万円を支払う契約が結ばれていました。
ステントの病院への販売価格は1本およそ17万円で、ステントを使った本数に応じて病院側がメーカーに料金を支払う仕組みだったため、橋本医師が使えば使うほど、メーカー側の売り上げも伸びるという構図でした。
一方で、1万円を支払う表向きの理由は、橋本医師がステントを手術で使った使用感や操作性の評価をメーカーにフィードバックする「市販後調査」の対価とされていましたが、警視庁は調査は適切に行われず実態が伴っていないとして、実質的には販売促進目的のリベートだったと判断しました。
橋本医師と柳田元社長は面識はなかったとみられますが、警視庁はメーカーが会社ぐるみでリベートを渡していたとみて捜査しています。
国立がん研究センター「誠に遺憾で深くおわび申し上げます」
逮捕を受けて、国立がん研究センターは「元職員が、業務に関する収賄の容疑で逮捕されたことは誠に遺憾であり、深くおわび申し上げます。この事態を厳粛に受け止め、警察の捜査に全面的に協力するとともに、再発防止に努めてまいります」というコメントを発表しました。
ゼオンメディカル「深くおわび 再発防止に取り組む」
元社長の逮捕を受けて、ゼオンメディカルは「多大なるご迷惑とご心配をおかけしていることを深くおわび申し上げます。二度とこのような不正行為を発生させないよう、再発防止に取り組むとともに、コンプライアンス体制の一層の強化に努めてまいります」というコメントを発表しました。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230921/k10014202211000.html
AYA世代のがん患者 8割近くが女性 国立がん研究センターなど
返信削除2023年11月16日 18時28分
「AYA(あや)世代」と呼ばれる15歳から40歳未満の若い世代のがん患者のデータを国立がん研究センターなどが分析したところ、女性が80%近くを占めていることが分かりました。乳がんや子宮頸がんなど、女性に多いがんになる人が20代後半から増えるためだということで、妊娠や出産など、ライフステージに応じた支援が必要だとしています。
15歳から40歳未満のがん患者は「思春期と若い成人」の英語の頭文字をとって「AYA世代」と呼ばれ、年間におよそ2万人が診断を受けているとされています。
国立がん研究センターと国立成育医療研究センターは、2019年までの2年間に全国のがん拠点病院など860の施設で治療を始めた40歳未満のがんの患者6万2750人について、年齢やがんの種類などの傾向を分析しました。
このうち、AYA世代の患者は5万8062人で、男女別では、女性が4万4716人と率にして77%を占めました。
女性のがん患者では、体や臓器などを覆う「上皮細胞」から発生するがんがおよそ1万7000人と最も多く、種類別にみると、乳がんが34.2%、子宮頸がんや子宮がんが25.4%、などとなっています。
国立がん研究センターは「20代後半から30代にかけて乳がんや子宮けいがんなど女性に多いがんになる人が増えるため、AYA世代では女性の割合が高くなっていると考えられる。妊娠や出産など、ライフステージに応じた支援が必要だ」としています。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20231116/k10014260201000.html
肺がん患者の遺伝子検査 約半数の患者が検査受けず
返信削除2023年12月16日 7時04分
肺がんの患者の遺伝子を幅広く調べて最適な薬を探す遺伝子検査について、国内29の医療機関で実施状況を調べた結果、およそ半数の患者が検査を受けておらず、普及に課題があるとする調査結果を近畿大学などのグループがまとめました。
肺がんの診療では、患者に最適な薬を探すため、がんの原因となる複数の遺伝子を同時に調べる「マルチ遺伝子検査」が、4年前に公的な医療保険の適用になっています。
近畿大学や鳥取大学などの研究グループは、その翌年からおよそ1年間に国内29の医療機関で、肺がんの9割近くを占める「非小細胞肺がん」と診断されたおよそ1500人を対象に遺伝子検査の実施状況を調べました。
その結果、マルチ遺伝子検査を受けた患者は全体の47.7%にとどまっていて、普及に課題があることがわかったということです。
さらにその後の治療について調べたところ
▽検査結果をもとに治療薬が使えたグループは半数が生存していた期間が24.3か月だった一方
▽原因となる遺伝子が分からなかったグループは11か月でした。
研究グループの代表を務める近畿大学の高濱隆幸講師は「中には検体が十分に取れず検査ができなかったケースもあるとみられるが、肺がんの治療は年々進歩していて、薬が見つかれば効果が期待できるので遺伝子検査の普及を進める必要がある」と話していました。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20231216/k10014289521000.html
がん患者の遺伝子検査 治療薬の候補発見は約15%にとどまる
返信削除2024年2月29日 19時34分
手術や抗がん剤などの標準的な治療を終えたがん患者に対して行われる遺伝子を幅広く調べて最適な薬を探す検査について、国立がん研究センターが国内の4万8000人余りのデータを調べた結果、候補となる治療薬が見つかった人は、およそ15%にとどまることが分かりました。研究グループはがんの種類によっては治療薬が少ないことなどが背景にあるとして治療薬の開発を期待したいとしています。
日本では、手術や抗がん剤などの標準的な治療を終えたがん患者に対し、遺伝子を幅広く調べて最適な薬を探す「がん遺伝子パネル検査」が5年前から公的な保険で受けられるようになっています。
国立がん研究センターのグループが国内でこの検査を受けた4万8627人のデータを分析したところ、候補となる治療薬が見つかる割合は15.3%にとどまることが分かりました。
研究グループは
▽甲状腺がんでは85.3%
▽浸潤性乳がんでは60.1%など
薬が見つかる割合が高いがんがある一方で
▽唾液腺がんでは0%
▽脂肪肉腫では0.3%などと
治療薬が少なく薬が見つからないがんが多くあることが背景にあるとしています。
日本のがん患者の遺伝子検査の結果を大規模に分析した研究は今回が初めてで、国立がん研究センター研究所分子腫瘍学分野の片岡圭亮分野長は、「患者数が少ないがんで薬の開発が進まないことなどが大きな差につながっている。欧米での分析結果との比較で人種による差があることもわかったので、さらなる薬の開発を期待したい」と話しています。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240229/k10014374911000.html
国内の腎細胞がん患者の7割に、日本人特有の遺伝子変異…未知の発がん要因から発症か
返信削除2024/05/15 16:03
国内の腎細胞がん患者の7割に、日本人特有の遺伝子変異のパターンがあるとする研究成果を国立がん研究センターなどの国際研究チームが14日、発表した。未知の発がん要因で引き起こされている可能性が高いという。世界11か国の約960人を対象にゲノム(全遺伝情報)を網羅的に調べる「全ゲノム解析」の結果で判明した。論文は、科学誌「ネイチャー」に掲載された。
腎細胞がんは、尿をつくる細胞にできるがんで、腎臓がんの8~9割を占める。チームは、腎細胞がんで最も多い「淡明細胞型」について、日本人36人を含む962人のがん細胞から、発症を招く遺伝子変異のパターンを調べた。
その結果、「SBS12」というパターンが、日本人患者の72%で検出されたのに対し、海外の患者では2%程度だった。このパターンの要因は、加齢や喫煙、肥満などすでに知られている発がんのリスクとは異なるとみている。
同センター研究所の柴田龍弘・がんゲノミクス研究分野長は「今後、日本人特有のパターンを招く要因を解明することで、予防や治療薬の開発につなげたい」と話している。
https://www.yomiuri.co.jp/medical/20240515-OYT1T50151/