2025年9月19日

日銀、大規模(異次元)金融緩和、2%物価目標、国債、国の借金★2


2025年5月28日 19時41分 NHKニュース
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20250528/k10014819091000.html

日銀が保有している国債の評価損が、2025年3月末時点で28兆円余りに拡大していることがわかりました。金利の上昇に伴って国債の価格が下がったことが要因で評価損の額は比較可能な2004年度以降では最大です。

日銀が28日発表した2024年度1年間の決算によりますと、2025年3月末時点で575兆9308億円の国債を保有していますが、時価で換算すると547兆3062億円で、28兆6246億円の評価損となりました。

評価損の額は2024年3月末時点の9兆4337億円から大幅に拡大し、比較可能な2004年度以降では最大になったとしています。

日銀はかつて大規模な金融緩和策のもとで大量の国債を買い入れました。

その後はマイナス金利政策を解除して利上げを進めていますが、金利の上昇に伴って国債の価格が下がったことで評価損が膨らんだ形です。

日銀は、国債を満期まで保有するのが前提のため、時価での評価が決算に影響することはないとしています。

日銀は、現在、国債の買い入れを段階的に減らしていますが、市場関係者が日銀の財務に懸念を持つような事態となれば、通貨の信認が崩れて円相場や金利に影響が出るという見方もあり、財務の健全性をいかに維持していくかが引き続き課題となります。


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(書きかけ)






(№663 2025年7月14日)

12 件のコメント:

  1. 日銀 銀行から買い取った株式の売却完了 異例の措置から20年余
    2025年7月14日 17時15分

    日銀は、2000年代の初頭やリーマンショック後の金融システムを安定させようと当時銀行が保有していた株式を直接買い取った措置について、先週までにすべての株式を売却したことがわかりました。中央銀行が行った異例の措置は始まってから20年余りをかけてようやく役割を終えた形です。

    日銀は2002年、バブル崩壊後の不良債権処理を進めていた銀行の経営が株価の下落によって不安定にならないよう、当時銀行が保有していた株式を直接買い取るという異例の措置に踏み切りました。

    この措置は、2002年からおよそ2年間に加え、世界的な金融危機に発展したリーマンショック後の2009年からおよそ1年間行われ、買い入れた額はおよそ2兆4000億円に上りました。

    その後、2016年4月から本格的に市場での売却を始めましたが、先週末までに完了したことが日銀が公表している財務の報告書でわかりました。

    買い取った株式を短期間にまとめて売却した場合、株価の下落リスクが高まるなど市場への影響が大きくなるため慎重に売却を進めたとみられ、異例の措置は始まってから20年余りをかけてようやく役割を終えた形です。

    一方、日銀はデフレからの脱却を目指して黒田前総裁の時代を中心にETF=上場投資信託の買い入れを続け、買い入れた額は銀行保有株の買い取りをはるかに上回る簿価で37兆円余り、時価ベースでは70兆円余りに上ります。

    これについて日銀の植田総裁はこれまで「時間をかけて検討していく」と述べるにとどまっていて、どのようなペースで処理をしていくのかが焦点です。
    https://www3.nhk.or.jp/news/html/20250714/k10014863031000.html

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  2. 長期金利 10年もの国債利回り 1.5%台後半まで急上昇
    2025年7月14日 18時24分

    債券市場は14日も日本国債を売る動きが広がり、長期金利の代表的な指標となっている10年ものの国債の利回りが1.5%台の後半まで急上昇しました。欧米の債券市場でも金利が上昇していて、市場関係者からは財政が拡張することへの警戒感が背景にあるのではないかといった指摘が出ています。

    債券市場では、日本国債が売られて価格が下がると、長期金利が上昇するという関係になっています。

    債券市場では14日も国債を売る動きが強まり、「日本相互証券」によりますと、長期金利の代表的な指標となっている10年ものの国債の利回りは、一時1.57%余りまで上昇し、ことし3月下旬以来の高い水準となりました。

    長期金利は7月1日の時点では1.3%台でしたが、最近は上昇のペースが速くなり、7月9日に1.5%台をつけたあとも上昇が続いています。

    さらに、20年ものの国債の利回りも2.62%余りまで上昇し、2000年10月以来の高い水準となったほか、30年ものと40年ものの利回りも急上昇しました。

    市場関係者は「減税法案が成立したアメリカや国防費を増額する方針のドイツなど、欧米では財政拡張への警戒感から国債が売られて金利が上昇している。日本の金融市場でも、参議院選挙に向けて各党が給付金や消費税の減税、廃止を掲げる中、同じように財政拡張への警戒感が出ている形だ」と話しています。
    https://www3.nhk.or.jp/news/html/20250714/k10014863131000.html

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  3. 日銀 2015年の金融政策決定会合議事録を公開 政策で激しい議論
    2025年7月16日 21時40分

    日銀は黒田前総裁のもとで大規模な金融緩和を続けていた10年前、2015年の金融政策決定会合の議事録を公開しました。「2年程度で2%の物価上昇」という政策の目標を期間内に実現できないことが明確になった時期で、その後の政策や目標の打ち出し方をめぐって激しい議論をしていたことがうかがえます。

    日銀が今回公開したのは、2015年1月から6月までの金融政策決定会合の議事録です。

    日銀はこの2年前の2013年から「2年程度で2%の物価上昇」を目指して大規模な金融緩和を続けていましたが、この時期の物価上昇率は消費の回復の遅れなどから1%未満にとどまり、当初掲げた期間で目標を達成できないことが明確になっていました。

    こうした中、2015年4月の会合で中曽宏副総裁は「実現時期が遅れるとしてもその遅れは極力短くすべきであり、そうした政策意図をはっきり伝えていくためには2年程度というベンチマークが必要だ」と述べ、目標にこだわり、達成に向けた強い姿勢を継続して打ち出すべきだと主張したほか、黒田総裁も目標の変更は必要ないという考えを示していました。

    ただ、佐藤健裕審議委員は「特定の期限までに特定の物価上昇率に達しなければ政策の信任が低下するリスクもある」と述べ、「2年程度で2%」という目標に強くこだわることへの懸念を示していました。

    さらに岩田規久男副総裁が「2%を目指すのは世界の中央銀行としては常識だと思う」と述べたのに対し、木内登英審議委員が「物価の基調は金融政策が決めるものでもマネーが決めるものでもない。海外が2%だから日本も2%でなければならないという訳でもない」と反論し、政策や目標をめぐって激しい議論となっていました。

    日銀はその後、マイナス金利政策や長期金利を抑える枠組みなど異例の政策を導入しますが物価は思うように上昇せず、大規模金融緩和は長期化することになりました。

    専門家 “意図していたほどうまくいかず焦りが出始めた時期”
    東短リサーチの加藤出チーフエコノミストは「大規模金融緩和がうまくいっていないことを認めてはいないけれども、2013年に意図していたほどは、うまくいってないと感じ始めている、だんだん焦りが出始めているという時期だと思う」と指摘しました。

    また、「議事録の発言からは、『2年程度で2%』のコミットに対して、うまくいかない場合の修正の難しさがあらわれている。さまざまなところで、一度決めてしまうと、なかなか修正できないという現象が現れているが、結局10年続いてしまい、国債やETF=上場投資信託を大規模に買い入れるという当時の政策の出口に今、苦しんでいる面がある」と述べました。
    https://www3.nhk.or.jp/news/html/20250716/k10014864571000.html

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  4. 満期まで40年の国債の入札 応札倍率2.13倍 14年ぶりの低水準
    2025年7月23日 16時57分

    財務省が23日に行った、満期までの期間が40年の国債の入札で、応札の倍率は2.13倍と、14年ぶりの低い水準となりました。市場関係者は参議院選挙の結果を踏まえた財政悪化への警戒感が背景にあると指摘しています。

    財務省は23日、2か月に1度実施している、満期までの期間が40年の国債の入札を行いました。

    発行予定額が4000億円程度のところ、応募額は8505億円、落札額は3998億円で、応札倍率は2.13倍となりました。

    この倍率は2011年8月以来、14年ぶりの低い水準です。

    落札の利回りは3.375%と、40年ものの入札が始まった2007年以来、最も高くなりました。

    市場関係者は「参議院選挙の結果、衆参両院で与党の議席が過半数を下回り、減税などを訴える野党の政策が反映されやすくなり、財政が悪化するという警戒感を持つ投資家が多いことが影響したとみられる」と分析しています。

    また、別の市場関係者は「政局が見通しづらくなっていることも国債の買い控えにつながっているのではないか」と話しています。

    満期までの期間が10年を超える「超長期債」は、需要が低い状況が続いていて、財務省は2025年6月、超長期債の発行額を減額するなど今年度の計画を見直しました。

    計画見直し後、40年ものの国債の入札は23日が初めてでしたが、改めて需要の低さを示す結果となりました。
    https://www3.nhk.or.jp/news/html/20250723/k10014872411000.html

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  5. 信金中央金庫 栃木信用金庫に資本支援決定 国債の含み損膨らむ
    2025年7月31日 20時56分

    金利の上昇に伴う債券価格の下落で、国債の含み損が膨らんでいた栃木県の信用金庫に対し、信用金庫の全国組織にあたる信金中央金庫が資本支援を行うことを決めました。

    栃木市に本店がある栃木信用金庫は金利の上昇に伴って債券の価格が下落する中、保有する国債の含み損が膨らみ、財務を改善して自己資本比率を高めようと信金中央金庫に支援を要請していました。

    これを受けて信金中金は理事会を開き、資本支援を決定したということです。

    関係者によりますと、資本支援は数十億円の規模になるということです。

    地方銀行や信用金庫ではかつて日銀が低金利政策を続けていた際、貸し出しで金利収入を伸ばすことが難しいとして、株式や国債などの運用益を収益源の1つとしてきました。

    しかし、日銀が金融政策を転換して段階的に利上げを進める中、金利の上昇によって国債の価格が下がり、含み損によって財務が悪化するところも出ています。

    「金利のある世界」となる中、地域の金融機関にとっては収益構造をどのように見直していくかが課題となっています。
    https://www3.nhk.or.jp/news/html/20250731/k10014881081000.html

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  6. 外為特会の剰余金 昨年度 5兆3000億円余 公表開始以来 最多に
    2025年7月31日 17時28分

    国が市場介入のために設けている特別会計の剰余金が、昨年度、5兆3000億円余りと公表開始以来、もっとも多くなりました。剰余金をめぐっては、一部の野党が消費税率の引き下げなどの財源に充てられると主張していて、どのように活用するかが焦点となります。

    「外国為替資金特別会計」いわゆる「外為特会」は、国が市場介入のために設けている特別会計で、外貨や外国の債券を保有しています。

    財務省が公表した昨年度の決算によりますと、円安傾向や債券の金利の高止まりによる利子が増えたことなどから、外為特会の剰余金が5兆3603億円と、この形で公表を始めた2008年度以来、もっとも多くなりました。

    このうち、3兆2007億円がすでに今年度の一般会計に繰り入れられ、一部が防衛力強化のための財源に充てられるほか、1兆3717億円が市場介入が必要になったときなどに備えて積み立てられます。

    一方で、このほかに去年末時点の見積もりより上振れた分の7878億円の使いみちは、決まっていません。

    外為特会の剰余金をめぐっては、一部の野党が食料品の消費税率の引き下げやガソリンの暫定税率を廃止した際の財源に充てられると主張していて、今後の予算編成の過程でどのように活用するかが焦点となります。
    https://www3.nhk.or.jp/news/html/20250731/k10014880731000.html

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  7. 来年度予算案概算要求 国債利払い費計算の想定金利2.6%で調整
    2025年8月22日 18時07分

    来年度予算案の概算要求で、財務省は、国債の利払い費を計算する際の想定金利を今年度の2.0%から2.6%へ引き上げる方向で調整を進めています。債券市場での金利の上昇傾向を受けた対応で、国債の償還や利払いに充てる「国債費」の要求額も膨らむ見通しです。

    来年度・2026年度の予算案の編成に向けた各省庁からの概算要求は、8月末に締め切られます。

    このうち財務省は、国債の償還や利払いに充てる「国債費」を要求しますが、利払い費を計算する際の想定金利を今年度予算の2.0%から2.6%に引き上げる方向で調整を進めています。

    債券市場では、日銀が利上げを進めていくという見方や国の財政拡張への警戒感を背景に金利の上昇傾向が続いていて、長期金利の代表的な指標となる10年ものの国債の利回りは今週、1.6%を超えてさらに上昇しおよそ17年ぶりの高い水準となりました。

    想定金利の引き上げはこうした状況を受けた対応で、国債費の要求額も膨らみ、今年度予算で計上した28兆円余りを上回る見通しです。

    来年度予算案の概算要求では、社会保障費や防衛費なども増加が見込まれていて、一般会計の要求総額は117兆円余りだった前回の概算要求を上回り、過去最大を更新する可能性が高くなっています。
    https://www3.nhk.or.jp/news/html/20250822/k10014900851000.html

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  8. 株価 一時800円超の値下がり 日銀がETFの市場への売却発表で
    2025年9月19日 16時31分

    19日の東京株式市場、日経平均株価は一時、取引時間中の最高値を更新しましたが、午後になって日銀がETF=上場投資信託について市場への売却を始めると発表したことで値下がりに転じ、一時、800円以上値下がりしました。

    19日の東京株式市場、日経平均株価はアメリカのFRB=連邦準備制度理事会が政策金利の引き下げを決めたことで、日本企業の業績にもプラスになるという見方が広がったことなどから買い注文が広がり、18日に比べて一時、500円以上値上がりし、取引時間中の最高値を更新しました。

    しかし、午後になって日銀が大規模金融緩和策の一環で大量に買い入れてきたETFについて、市場への売却を始めると発表したことを受けて、日経平均株価は値下がりに転じ、一時、800円以上下落しました。

    ▽日経平均株価、19日の終値は 18日と比べて257円62銭安い4万5045円81銭。

    ▽東証株価指数=トピックスは11.19下がって3147.68。

    ▽1日の出来高は30億3750万株でした。

    市場関係者は「このタイミングでETFの売却開始を発表したことはサプライズと受け止められ、日経平均株価は大きく値下がりした。ただ売却のペースは緩やかなものであるという見方が広がり、その後、下げ幅を縮めて取り引きを終えた」と話しています。
    https://www3.nhk.or.jp/news/html/20250919/k10014927001000.html

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    1. 日銀 ETF売却開始を発表 植田総裁「全売却に100年以上かかる」
      2025年9月19日 19時58分

      日銀は19日の金融政策決定会合で、かつての大規模金融緩和策の一環で大量に買い入れてきたETF=上場投資信託とJ-REIT=不動産投資信託を売却する方針を決定しました。

      このうちETFは簿価で年間3300億円程度のペースで売却するとしていて、会合後の会見で植田総裁は「市場に対するかく乱的な影響を極力回避するよう少しずつ処分を進めていくことが適切だ。単純に計算すれば100年以上かかることになる」と述べました。

      ETFの買い入れは、中央銀行がリスクのある資産を購入し、金融市場に多額の資金を供給することでデフレからの脱却を目指した金融緩和策のひとつで、2010年の開始から去年3月に終了するまでの日銀の買い入れ額は簿価でおよそ37兆円、ことし3月末時点では時価でおよそ70兆円にのぼっています。

      植田総裁は、金融市場が不安定になったときは売却の停止や売却額の調整を行うとした上で「最後まで見届けることはできないような内容だが、どういう基本方針でやっていくのかという考え方をきちんと残すことによって、あとを引き継ぐ新しいボードメンバーが次々に実行していってくれると考えている」と述べました。

      中央銀行がリスクのある資産を買うという異例の金融政策でしたが、正常化にはきわめて長い時間がかかることになります。

      株価一時800円超下落 市場関係者「サプライズと受け止められた」
      19日の東京株式市場、日経平均株価は午後になって日銀が大規模金融緩和策の一環で大量に買い入れてきたETFについて市場への売却を始めると発表したことを受けて、日経平均株価は値下がりに転じ、一時、800円以上下落しました。

      市場関係者は「このタイミングでETFの売却開始を発表したことはサプライズと受け止められ、日経平均株価は大きく値下がりした。ただ売却のペースは緩やかなものであるという見方が広がり、その後、下げ幅を縮めて取り引きを終えた」と話しています。

      ETF売却決定の経緯
      黒田総裁
      ETFは多くの株式を運用に組み込んだ投資信託の一種で、日銀は2010年10月の金融政策決定会合で買い入れを決定しました。

      当時、円高ドル安が進み、株価も低迷する中、中央銀行がリスクのある資産を買うことで投資家の不安を抑え、市場に資金を供給することでデフレからの脱却を目指した政策で、異例の金融政策と言われました。

      さらに2013年4月に黒田総裁のもとで始まった大規模金融緩和策でも行われ、当初の買い入れ額は年間1兆円規模でしたが、最終的には年間の上限が12兆円規模に膨れ上がりました。

      日銀の保有残高はことし3月末時点で簿価ベースで37兆円、時価ベースで70兆円にのぼっています。

      これは時価ベースでみると、東証プライムの時価総額の7%あまりにあたる計算になります。

      ETFの保有を通じて日銀が企業の大株主になった形で、コーポレートガバナンス=企業の統治機能が弱まっているのではないかという批判もありました。

      去年3月、日銀は金融政策の転換に伴いETFの買い入れ終了を決定しましたが、多くの株式を組み込んだETFを一気に売却すれば株価の急落など市場が不安定になるリスクがあるとして処分の方法を慎重に検討してきました。

      日銀 金融政策の正常化を一段と進める形に
      日銀は19日まで開いた金融政策決定会合で、株式を運用に組み込んだETFとJ-REITと呼ばれる不動産投資信託について市場への売却を始めることを決めました。

      売却額はETFが簿価で年間3300億円程度、J-REITは簿価で年間50億円程度を予定していて、準備が整いしだい開始するとしています。

      日銀はことし3月末時点でETFを簿価でおよそ37兆円、時価でおよそ70兆円、J-REITを簿価で6500億円あまり、時価で7000億円あまり保有しています。

      これによって、金融政策の正常化を一段と進める形となります。

      一方、金融政策決定会合では政策金利を0.5%程度に据え置くことを決めました。

      アメリカの関税措置による企業業績などへの影響を時間をかけて点検する必要があると判断したとみられます。

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    2. 「経済や物価情勢の改善に応じて金融緩和の度合いを調整」
      当面の金融政策について「現在の実質金利が極めて低い水準にあることを踏まえると経済や物価の見通しが実現していくとすれば経済や物価情勢の改善に応じて引き続き政策金利を引き上げ金融緩和の度合いを調整していくことになると考える」と述べ、この先の経済や物価の情勢が見通しどおりならば追加の利上げを検討する姿勢を改めて示しました。

      そのうえで、政策判断にあたっては「こうした見通しが実現していくかについては、各国の通商政策の今後の展開や、その影響をめぐる不確実性が高い状況が続いていることを踏まえ、内外の経済物価情勢や金融市場の動向などを丁寧に確認し、予断を持たずに判断していくことが重要と考える」と述べました。

      「基調的な物価上昇率 2%に近づく過程にある」
      高田委員が利上げの議案を出したことについて「基調的な物価上昇率という表現でいえば、高田委員は基調的な物価上昇率がおおむね2%前後のところに達しているという評価をされたと思うが、私の評価としてはまだ少し下回っていてしかし2%に向けて近づきつつある過程にあるという評価だ」と述べました。

      また同じく利上げの議案を出した田村委員については「物価の上振れリスクが膨らんでいるということで提案されたが、私の認識ではそれももちろんリスクとしてあると思うが、アメリカの関税政策の影響などがこれから一段と出てくる可能性がある中で、景気に対する下振れリスクを通じて物価に対する下振れリスクも意識しないといけないと考えている」と述べました。

      「基調的物価上昇率に特に注目して政策運営」
      物価の見方について国民との間に相違があり、利上げに慎重すぎるのではないかと問われたのに対して「国民の皆さんは消費者物価の総合指数の動きを見て現状でも2%台後半ですごく高い、しかも数年間にわたって2%を超えていることから、日本銀行の対応が遅れているという感じを持っていると思う。もちろん高いインフレ率が国民生活に強いマイナスの影響を与えていることは意識している」と述べました。

      そのうえで「日ごろ申し上げてるように、私たちの重要な使命としては2%のインフレ率を持続的、安定的に実現するということを達成したいということで動いている。ご理解がいただけない面もあるが、基調的物価上昇率に特に注目して政策運営をしてきている。それが2%に上がっていく過程にあるという中で、緩和的な政策を維持している」などと述べ、理解を求めました。

      追加の利上げ 判断時期の見通し明言避ける
      追加の利上げに向けて経済、物価情勢が前進していると考えていいのかと問われたのに対し「関税政策の、特に下振れ方向での日本の景気や物価へのリスクがどれくらい顕在化するかということと、逆方向では食料品価格のインフレが見通し通り収まっていくかどうかを丹念に点検していくことになるかと思う」などと述べ、追加の利上げを判断する時期の見通しについては明言を避けました。

      「ETF売却 今回決定のペースの場合 100年以上かかる」
      これまで大量に買い入れてきたETF=上場投資信託を売却する方針を決定したことについて「ことし7月に金融機関から買い入れた株式の処分が完了したが、その過程でETFなどの売却を進めるうえで有益な知見が蓄積されたほか、実務的な検討にもメドがついたことからこのタイミングでETFなどの処分開始を決定することが適当であると判断した。特定の株価水準などを念頭に置いての判断ではない」と述べました。

      また、すべて売却するのにどれだけの期間が必要になるかついて、植田総裁は「今回決定した売却ペースで売却するとした場合、ETF、J-REITとともに単純に計算すれば100年以上かかることになる。最後まで見届けることはできないような内容ではあるが、こういう意思決定に至った経緯、どういう基本方針でやっていくのかという考え方をきちんと残しておくことによって後を引き継ぐ新しいボードメンバーが次々に実行していってくれると考えている」と述べました。

      米関税措置の影響「経済物価の見通し 修正必要ない」
      アメリカの関税措置の経済への影響について「アメリカとの交渉の結果、自動車などの関税率が決まったことはわが国経済をめぐる不確実性の低下につながると認識している。7月に公表した展望レポートで示した経済物価の中心的な見通しも現時点で修正する必要はないと判断している」と述べました。

      米関税政策「日本への影響 まだわからない」
      アメリカの関税政策の日本への影響について「関税率が上がったことで日本の輸出数量に大きなマイナスの影響を及ぼし始めているところにはまだ来ていないと見ている。関税がアメリカの消費者物価に転嫁されて、アメリカの消費が減少し、日本の輸出が低下するということが典型的なケースとして考えられるが、まだそこには至っていないと見ている。今後そうなるかもしれないし、出てくるとしても大したことはなくて済むかもしれないが、そこはちょっと見てみないとわからない」と述べました。

      米関税政策「アメリカの消費への影響見極め 不確実性が高い」
      アメリカの経済がみずからの関税政策によってどのような影響を受けるかについて「消費へのマイナスの影響もある程度出てくるであろうがこれを見極めるのにどれくらいの時間がかかるかということは、依然として不確実性が高いという状況だ。クリスマス商戦は1つの大事なポイントだが、その前にかなりのことが分かってしまうというケースもあるし、クリスマスを待ってもわからないというケースもあり得るかと思う」と述べました。

      アメリカ経済の現状「ある程度の底堅さを維持」
      アメリカ経済の現状について「雇用については減速の傾向が見えている一方で設備投資などが強かったり、経済全体もある程度の底堅さを維持している。関税などが一部の企業行動には影響を与えていて、それが雇用に出ている可能性はあるのかなと思ったり聞いたりしている。別の要因としてAI=人工知能やその周辺の強さ、今後の規制緩和に対する期待などに支えられて、設備投資やそのほかのところが強い。両方の要因が作用しているためにわかりにくいが、両方を足してみるとネットでは現在まだ底堅さを維持している」と述べました。

      そのうえで、「関税の消費者物価への転嫁が進んでいったときに全体としてどういう姿になるかはまだ必ずしも見えていない」述べました。

      政策金利据え置き 2人の委員が反対
      日銀は政策金利を0.5%程度に据え置くことを決めましたが、この採決で9人の委員のうち高田創委員と田村直樹委員の2人が反対しました。

      さらに高田委員と田村委員はそれぞれ政策金利を0.75%程度に引き上げる「利上げ」の議案を提出し、このうち高田委員は理由について「物価は上がらない」という定着した見方が転換し、2%の物価安定の目標がおおむね達成されたとしています。

      また、田村委員は物価が上振れするリスクが膨らむ中、政策金利の水準を景気を過熱させず冷ましもしない中立的な水準に近づけるためだとしています。

      2人の議案は反対多数でそれぞれ否決されました。
      https://www3.nhk.or.jp/news/html/20250919/k10014927341000.html

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  9. 社説
    日銀ETF売却 金融政策が一段と正常化した
    2025/09/20 05:00

     日本銀行は、保有する上場投資信託(ETF)の売却を決めた。大規模な金融緩和策の正常化がさらに一歩進んだ。

     市場の混乱を招かぬよう配慮しながら、安定成長へとつなげることが大切だ。

     日銀が発表したETFの売却計画では、買い入れ時の価格である簿価で年3300億円程度、時価で6200億円程度とする。市場の売買代金に占める割合は0・05%程度になるという。準備が整い次第、売却を開始する。

     日銀は2010年、デフレ脱却に向けた金融緩和の一環として株式市場の活性化を念頭に、ETF買い入れを始めた。黒田東彦前総裁時代に買い入れを拡大した。

     日銀が3月末時点で保有するETFの残高は、簿価で約37兆円、時価で約70兆円に上る。東京証券取引所に上場する企業の株式時価総額は約1100兆円で、価格形成に及ぼす影響も大きい。

     日銀は、損失の発生を極力回避し、市場の 攪乱 かくらん もなるべく防ぐ方針だ。日経平均株価は歴史的な高水準にあり、今週、初めて4万5000円の大台に乗せた。含み益も膨らんでおり、売却の環境は整ったと考えられよう。

     そもそも、日銀が株の主要な買い手となることは健全でない。

     日銀は、個別企業の事業戦略への評価ではなく、東証株価指数(TOPIX)などの株価指数に連動する形でETFを買い入れてきた。指数に組み入れられるだけで株価が上がるため、株価形成を 歪 ゆが めていると批判されてきた。

     株主は、議決権の行使を通じて経営に監視の目を光らせるよう求められている。しかし、日銀は、そうした形で直接、議決権を使えないことも問題視されてきた。

     株式市場が歪めば経済成長にもマイナスだ。植田和男総裁は記者会見で、売却完了まで「単純計算では100年以上かかる」と述べた。経済情勢を見ながら売却ペースを調整していくべきだ。

     日銀は23年に就任した植田総裁の下で、金融政策の正常化を進めている。24年3月にマイナス金利政策を解除し、今年は政策金利を0・5%程度に引き上げた。

     金融政策を正常化させるとともに物価も賃金も上がる成長型経済へと歩みを進めてもらいたい。

     一方、日銀は今回、政策金利を0・5%程度に据え置いたが、審議委員2人が0・75%への利上げを提案して反対した。今後、利上げ時期を巡る議論が活発になろう。トランプ関税などの影響を見極め、判断することが重要だ。
    https://www.yomiuri.co.jp/editorial/20250920-OYT1T50018/

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  10. 日銀短観先行き悪化~日本経済に影落とす懸念
    2025年10月6日午後1時41分

    先週発表された日銀の短観・全国企業短期経済観測調査では、3か月後の景気が現状より悪化すると考える企業が多くなっていることが分かりました。その背景にある人手不足や物価高の問題と、政府や日銀がどう対応しようとしているかについてみていきます。

    解説のポイントは3つです。
    1. 先行きに影落とす人手不足
    2. 政府の新たな対策と課題
    3. 日銀 物価上昇にどう対応する
    です。

    まず今月1日発表された日銀・短観の数字から企業の景気判断についてみてゆきます。


    日銀が三か月ごとに行う短観では、企業に対し景気の現状をたずね、良いと答えた企業の割合から悪いと答えた企業の割合を引いた数字を指数として公表しています。それによりますと、景気の現状についての判断は、大企業・中小企業とも全産業を通じてほぼ横ばいとなった一方で、3か月後の先行きを示す指数の悪化が目立っています。具体的には、大企業では製造業でプラス12ポイントと現状に対して2ポイント悪化、非製造業で28ポイントと、6ポイントの悪化、中小企業では製造業でマイナス1ポイントと、2ポイント悪化、非製造業で10ポイントと4ポイント悪化する見通しとなっています。

    先行きの景気判断の悪化の背景として指摘されているのが、トランプ関税による影響に加え、人手不足が一段と深刻化するという懸念です。


    短観では雇用の状況について、従業員の数が「過剰」だと回答した企業の割合から「不足」だと回答した企業の割合を差し引いた数字を指数として示しています。この数字がマイナスだと、人手が足りない=人手不足と判断しているということになりますが、3か月後の先行きについては全産業通じて大幅なマイナスで、大企業ではマイナス30と現状よりも2ポイント悪化、中小企業でマイナス43と現状より4ポイント悪化する見通しとなっています。企業としては、人手不足のなかで働き手を確保するために、より高い賃金を払う必要があり、それが収益を圧迫するという懸念が先行きの見通しに大きな影を落としているのです。

    2. 政府の新たな対策と課題

    こうした中で政府は、「省力化投資促進プラン」を策定し、企業の人手不足を解消すると同時に、生産性の向上を後押ししようとしています。


    具体的には、飲食や建設など人手不足が深刻となる業種で、省力化に役立つ設備や機器を一覧できるカタログを補助金事務局のホームページ上で公表し、こうした製品を導入する企業に対し、投資額の2分の1を限度に企業の規模に応じて200万円から1000万円の補助金を支給するものです。
    たとえば飲食店向けには餃子の餡を自動で包む機械。
    これまで二人でおこなっていた測量の作業を、センサーの追尾機能を向上させ、ひとりで行えるようにした機器。
    ほかにも建設現場で組まれている鉄筋を針金で結び留めるロボット。鉄筋を格子状に組んだ後に、交わる部分を針金で結んで固定する作業ですが、時間がかかるうえ、腰をかがめての作業となり体にも負担となってきました。このロボットを活用することで、負担を減らし時間のかかる作業が省力化できるといいます。


    これらはいずれも市販されている既製品で、企業はカタログを通じて探すことができ、補助金が認められた企業の中には、省力化で浮いた人員を新規事業の拡大など別の仕事に充て売り上げの拡大をはかる動きも出ています。


    さらに、こうした既製品にとどまらず、老朽化した製造ラインに、最新の組み立てロボットや生産工程を効率化するシステムを導入するなど、事業者の個々のニーズに応じたいわばオーダーメイドの省力化の取り組みについても750万円から8000万円の補助を行う支援策も打ち出されています。
    ただ課題もあります。こうした制度を整備しても、実際に、企業の経営者が具体的な行動を起こさなければ社会全体で省力化や生産性の向上が進むことになりません。企業が制度を活用しやすいように、地域ごとに企業がアクセスしやすい相談窓口を整備したうえで、日ごろから地元の企業と接する機会が多い、地域の業界団体や商工会・商工会議所、それに金融機関が各企業の実情に沿った具体的な省力化プランの作成を支援していくことが求められます。

    3. 日銀 物価上昇にどう対応する

    一方、人手不足は、物価の過度な上昇を通じて、景気にブレーキをかけることも懸念されています。企業が人手を確保するために、賃金をあげる必要があるからです。


    厚生労働省の毎月勤労統計調査によりますと、一人当たりの現金給与総額は、今年に入ってからも前の年から2%以上の上昇を記録する月が多く、7月の上昇率は3.4%に上っています。受け取る側にとっては賃金が多いほうが良いのですが、賃金の増加分が価格に転嫁されれば、原材料や資材価格の高騰と相まって、消費者物価を押し上げる大きな要因となります。日本政策投資銀行がまとめた調査によりますと、物価の上昇は、今後の事業のダウンサイドリスクとして、最も多くの企業があげる要因となっています。モノやサービスの価格が賃金の上昇を上回る形で上がることになれば、人々の財布の紐が締まる=消費を控えるようになって需要が減少し、企業の販売や生産を鈍らせることになるからです。

    これに対し物価の番人といわれる中央銀行はどう対応しようとしているのでしょうか。


    日銀は持続的・安定的な2%の物価上昇率を目標にかかげ、政策金利を0.5%と極めて低い水準に抑えています。しかし、消費者物価の上昇率はすでに毎月のように3%を超える水準となっています。なぜ金利を低いままにとどめているのか。日銀は、目標とする物価上昇率は、一時的な要因に左右されることのない基調的なものだとしています。そして、いまの物価高についてはコメなど食料品の高騰という一時的な要因もあるとしたうえで、今後の物価動向が日銀の目標に近づいてゆくかどうか、もう少しデータや情報をみながら見極めていきたいとしています。


    ただ政策金利の据え置きを決めた先月の決定会合では、それまでの会合とは異なり、会合に参加した9人の審議委員のうち2人が反対しました。政策金利を0.25%引き上げるべきだと主張したのです。このうち高田創委員はその理由について「物価は上がらないという定着した見方が転換し、2%の物価安定の目標がおおむね達成された」とし、田村直樹委員は「物価が上振れするリスクが膨らむ中、政策金利の水準を、景気を過熱させず冷やしもしない中立的な金利に近づけるためだ」と説明しました。これに対し植田総裁は記者会見で「私の評価としては、(2%目標を)まだ少し下回っていて、2%に向けて近づきつつある過程にあるという評価だ」「物価の上振れリスクはあると思うが、アメリカの関税政策の影響などがこれから一段と出てくる可能性がある中で、景気に対する下振れリスク、それを通じて物価に対する下振れリスクも意識しないといけない」などとする見解を示していました。しかし審議委員の中からは、今週も、利上げに慎重な立場とみられていた野口旭審議委員から追加利上げを検討すべき時期が近付いているという認識が示されました。日銀の中でも意見が分かれる中で、今月29日から始まる金融政策決定会合では追加利上げの是非についてこれまで以上に緊張感をもって検討が行われることになりそうです。
    今後の日本経済をめぐっては、人手不足や、物価高、トランプ関税の影響など不確実性の高い状況が続きそうです。政府や日銀は、経済や金融の状況の変化を注意深く見極め、その時々の状況に応じて遅れることなく対応をとることが求められています。
    https://news.web.nhk/newsweb/na/na-k10014939961000

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