2024年3月8日

【iPS細胞15年】「医療実現、これからが本番、これからが本当の勝負だ」


京大研所長らに聞く
2024/02/24 21:00 読売新聞オンライン
https://www.yomiuri.co.jp/local/hashtag-kyoto/CO072596/20240224-OYTAT50027/

>山中伸弥・京都大教授が2007年に人のiPS細胞(人工多能性幹細胞)の作製を発表してから、今年で17年理論上は、全身のあらゆる種類の細胞に変化できる「万能細胞」だが、作製効率が低く、細胞ごとに性質がばらつくなどの弱点がある。これが、本格的な医療応用に向けた課題となっている。研究者に現状を聞いた。(松田祐哉)

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じゃ、これまでのは何だったんだ。これまではリハーサル、これまでは本番前の通し練習、とでもいうのかね。どうやら半永久的に「これからだ、これからだ」と言っているしかないらしい。兵站が尽きれば、じきに玉砕必至だな。

2023年4月2日 読売新聞
https://www.yomiuri.co.jp/serial/earth/20230402-OYT8T50000/

《ヒトiPS細胞の作製を発表してから15年が過ぎた。国をはじめ多くの方の支援を受け、仲間とともに医学への応用に努力してきた。それまで基礎研究に携わっていた私にとっては学びの日々だった。この15年を振り返り、新しい治療法の研究開発における課題について考えたい。》

《2013年に開始された「再生医療実現拠点ネットワークプログラム」は、京都大学iPS細胞研究所がiPS細胞研究の中核拠点となり、日本の研究機関がワンチームとなって研究を進めることができた。iPS細胞の医学応用は再生医療と創薬という二つの柱がある。研究者らの努力で再生医療は10以上、創薬は4プロジェクトが臨床試験を開始している。とはいえ、治療法開発の道のりはこれからが本番である。》

《再生医療実現拠点ネットワークプログラムは今年3月末で終了したが、日本がワンチームになって10年続けた活動は、iPS細胞による再生医療で世界に存在感を示すことができた。iPS細胞の医療応用に向けたレースは、後半戦のこれからが本当の勝負だ。新たな治療法を待つ多くの患者の力になれるよう、世界に先駆けてiPS細胞による医療を実現したい。》


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http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160825/k10010653131000.html





(書きかけ)





ところで、かの「ファクターX」のお話はどこへ行っちゃったんでしょうかねえ…





(№605 2023年4月2日)

37 件のコメント:

  1. 再生医療の治療・研究拠点に「お墨付き」、経産省が重点支援へ…3~5か所想定
    2023/04/06 05:00

     次世代の医療として成長が期待される再生医療や遺伝子治療の普及に向け、経済産業省は2023年度から、研究機関や病院、企業などが集積する治療・研究拠点の重点的な支援に乗り出す。一部で効果が不確かな再生医療が行われているため、治療効果などを評価できる体制が整う拠点に「お墨付き」を与えて、適切な治療の拡大を後押しする。支援先は3~5か所の拠点を想定しており、公募で今春にも決定する。

     予算額は50億円で、1拠点あたり最大で15億円を支援する。

     再生医療や遺伝子治療では、細胞や遺伝子を使い、病気やけがで失われた体の組織や臓器の機能を回復させる。経産省によると、国内では2000以上の医療機関が皮膚や組織のもととなる「幹細胞」と呼ばれる細胞を使い、体内などに注入する「細胞移植」などの治療を提供している。

     しかし、がん治療や美容医療といった分野では、一部の医療機関で安全性や効果が疑われる細胞移植が行われているとされる。国の承認を受けていない製品を使い、患者の全額自己負担になる自由診療で実施されているケースが多い。

     支援する再生医療拠点は、製薬会社や研究機関などが参加して科学的な根拠に基づく治療を提供し、効果や安全性を評価できる体制を整えていることなどを条件とする。申請があった拠点を審査して選定する。

     再生医療で使う細胞を培養する施設や、安全性を評価する検査装置などの整備費用の一部を補助し、製品の改良や品質の向上につなげる。

     国内の再生医療拠点は千葉、神奈川両県や大阪府などにある。経産省は24年度以降、支援先の拡大も視野に入れている。
    https://www.yomiuri.co.jp/medical/20230405-OYT1T50327/

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    1. >予算額は50億円で、1拠点あたり最大で15億円を支援

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  2. 「水ほう性角膜症」iPSから作った細胞移植手術 藤田医科大など
    2023年4月8日 4時01分

    目の表面にある角膜が濁り、視力が低下する病気の患者に、iPS細胞から作った目の細胞を移植し、視力の回復を目指す世界初の手術を実施したと、藤田医科大学などのグループが明らかにしました。

    藤田医科大学の榛村重人教授と慶応大学のグループは、角膜の内側にある特定の細胞が減ることで角膜が白く濁り、視力が低下する「水ほう性角膜症」という目の病気の患者に、他人のiPS細胞から作った目の細胞を移植して視力の回復を目指す臨床研究を進めています。

    グループによりますと、去年10月、東京の慶応大学病院で世界で初めてとなる1例目の手術を行い、70代の患者の角膜の内側におよそ80万個の細胞が含まれた溶液を注射する方法で移植したということです。

    手術から3か月の時点で拒絶反応や出血などの合併症は起きておらず、視力なども改善傾向を示しているということで、引き続き、安全性や有効性を確認するとしています。

    現在、「水ほう性角膜症」の根本的な治療は角膜移植しかありませんが、研究グループによりますと、およそ1万人が移植を待っているのに対し、移植を受けられるのは年間でおよそ2000人にとどまっているということです。

    榛村教授は「研究開始から10年で移植がようやく実現し、ほっとしている。角膜のドナーはどの国も不足しているので、世界中の患者を救えるような治療を目指したい」と話しています。
    https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230408/k10014032411000.html

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  3. 重い目の病気の患者にiPS網膜細胞を移植 初の治験開始へ
    2023年5月25日 20時37分

    目の視野が欠けたり視力が低下したりする重い目の病気の患者に、iPS細胞から作った網膜の細胞を移植する、初めての治験の計画を国に届け出たと、開発を行っている製薬会社が発表しました。国の機関の調査を受けたあと、実用化に向けた治験を進めるとしています。

    治験の届け出を行ったのは、大阪市に本社を置く製薬会社の「住友ファーマ」と、東京のバイオベンチャー「ヘリオス」です。

    両社は、視界がゆがんだり視力が低下したりする「加齢黄斑変性」などから症状が進んだ「網膜色素上皮裂孔」という重い目の病気の患者に、他人のiPS細胞から作った網膜の細胞が含まれた液体を移植し、機能の回復を目指す新たな治療法の開発を進めています。

    両社は、この治療法の治験の計画書を医薬品の審査を行う国の機関、PMDA=医薬品医療機器総合機構に届け出たと25日、発表しました。

    iPS細胞から作った網膜の細胞の移植は、理化学研究所などのグループが2014年に世界で初めて臨床研究として行っています。

    住友ファーマは「iPS細胞を用いた治療を一日も早くお届けするために、早期の有効性・安全性の確認を進めます」とコメントしていて、実用化の時期は、現時点では再来年度中を目標としていますが、治験の状況を踏まえて検討するとしています。
    https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230525/k10014078461000.html

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  4. 新しいiPS細胞の供給開始 ゲノム編集で拒絶反応抑制 京大研究財団
    6/14(水) 10:43配信 時事通信

    ゲノム編集で拒絶反応を抑えたiPS細胞(京都大iPS細胞研究財団提供)

     人工多能性幹細胞(iPS細胞)を大学・研究機関や企業に提供している京都大iPS細胞研究財団(山中伸弥理事長、京都市)は14日、ゲノム編集技術を使って拒絶反応のリスクを低減した臨床用iPS細胞を作製し、同日から提供を開始したと発表した。

     細胞の拒絶反応は白血球型抗原(HLA)の型が異なる場合に起こり、これまで提供していたiPS細胞が適合するのは日本人の4割ほどだった。より多くの人に対応するiPS細胞の提供が可能となることで、再生医療全体の拡大が期待されるという。

     ヒトのiPS細胞は山中氏が2007年に作製に成功。京大のiPS細胞研究所が15年に拒絶反応を起こしにくい白血球の型を持つ人の血液からiPS細胞を作製して研究機関や企業への提供を始め、研究財団が事業を引き継いでいた。

     今回提供を開始するiPS細胞は、ゲノム編集技術で免疫細胞に関する遺伝子を改変し、拒絶反応のリスクが抑えられるという。

     研究機関や企業には30万個のiPS細胞が入った容器1本を20万円で、非営利機関には無償で提供する。 

     研究財団はこのほか、患者自身の細胞から作製する「マイiPS細胞」の提供も計画。大阪市に製造施設を建設し、25年4月からの開業を目指している。

     研究財団の高須直子理事は「多くの人に適合するiPS細胞を提供することで再生医療の実用化を支援し、一日も早い治療の実現につなげたい」と話している。
    https://news.yahoo.co.jp/articles/6f56bc4a825d6fbd19abf5a274abda169f65af72

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    1. ゲノム編集iPSを提供開始 拒絶反応のリスク減少、京大財団
      6/14(水) 11:12配信 共同通信

       京都大iPS細胞研究財団は14日、ゲノム編集技術を使って移植時の拒絶反応リスクを小さくした人工多能性幹細胞(iPS細胞)の提供を始めた。対象は医療機関や研究機関、企業など。今後、各機関が治験を実施するなどし、遺伝子を改変したiPS細胞を人に移植しても問題ないかどうかや、移植できる対象をどこまで拡大できるか確認を進める。

       現在はリスクの小さい特殊な免疫型を持つ人から作ったiPS細胞を提供しているが、移植できるのは日本人の約40%にとどまる。財団は「40%以外の人にも選択肢が広がる。どんなニーズにも応えられるようにしたい」としている。
      https://news.yahoo.co.jp/articles/9b0519ac37b1d2326622fccd7323e903ce89fc14

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    2. iPS細胞、強い拒絶反応は回避の可能性…ゲノム編集で改良し臨床試験に活用へ
      6/14(水) 13:15配信 読売新聞オンライン

       京都大iPS細胞研究財団(理事長=山中伸弥・京大教授)は14日、ゲノム編集の技術で免疫の拒絶反応を抑えられるようにした医療用iPS細胞(人工多能性幹細胞)を開発し、製薬企業などへの提供を開始したと発表した。安全性や有効性を確かめる臨床試験に活用してもらい、iPS細胞を使った医療の普及を目指す。

       iPS細胞は皮膚や血液から作って、筋肉や神経などの細胞に変化させることができ、病気やけがで失われた組織や臓器を新しい細胞で補う再生医療の実現が期待されている。患者本人から作れば移植しても拒絶反応は起きないが、作製には1人あたり数千万円以上の費用と、半年以上の期間がかかるのが課題だった。

       この課題を克服するため、山中教授らは2013年度から、拒絶反応を受けにくい特別な「細胞の型」を持つ健康な人を探し、多くの人に適合するiPS細胞を作って備蓄するプロジェクトを開始。財団を設立し、これまでに7人から血液の提供を受けてiPS細胞を作ったが、適合するのは日本人の約4割にとどまっている。

       そこで新たに、狙った遺伝子を精密に操作できるゲノム編集の技術を使って「細胞の型」を改良し、多くの人に適合できるようにする方法を検討。拒絶反応に関わる重要な三つの遺伝子を外したiPS細胞を作製した。この細胞は、強い拒絶反応については、ほぼ回避できる可能性があるという。

       財団は昨年11月、ゲノム編集した医療用のiPS細胞の提供を開始すると発表。山中教授は「研究開発はこれからが正念場。患者に届けるというゴールに向けて頑張りたい」と語っていた。

       ゲノム編集が狙った遺伝子以外にダメージを与えていないかなどを検査するとともに、供給体制を整備した。今後、希望する製薬企業や医療機関、研究機関などに提供し、難病などの治療につなげたい考えだ。

       財団によると、約30万個のiPS細胞入りの容器1本で約20万円。非営利機関には無償で提供する。
      https://news.yahoo.co.jp/articles/59d10b36f5bce91dda1724b315c6ad86cc73e2af

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    3. 拒絶反応抑制iPS 提供…京大財団開始 移植向け ゲノム編集
      2023/06/15 05:00

       京都大iPS細胞研究財団(理事長=山中伸弥・京大教授)は14日、ゲノム編集の技術で免疫の拒絶反応を抑えられるようにした医療用iPS細胞(人工多能性幹細胞)を製薬企業などに提供し始めた。より多くの人が治療を受けられる可能性が広がるという。

       iPS細胞は、筋肉や神経など様々な細胞に変化させることができる。病気などで失われた組織を新しい細胞で補う再生医療の実現が期待されている。患者本人から作れば移植しても拒絶反応は起きないが、多額の費用と時間がかかるのが課題だった。

       山中教授らは、他人に移植しても拒絶反応を受けにくい、特別な「細胞の型」を持つ健康な人からiPS細胞を作る事業を推進。ただ、適合するのは日本人の約4割にとどまっていた。

       そこで、狙った遺伝子を精密に操作できるゲノム編集を応用し、拒絶反応に関わる重要な三つの遺伝子を外したiPS細胞を新たに作製。財団によると理論上、ほぼ全ての人に適合する可能性があるという。

       企業などには約30万個のiPS細胞入りの容器1本を約20万円、非営利機関には無償で提供する。財団の 花谷はなたに 忠昭・業務執行理事は「ニーズに応じて最適な細胞を用意したい」と話した。
      https://www.yomiuri.co.jp/science/20230614-OYT1T50312/

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  5. だんだんと「iPS細胞」フィーバーも下火になってきたようだ。かつての常温(高温)超伝導フィーバーのように。

    「超伝導 フィーバー 北澤」
    https://www.google.co.jp/search?q=%E8%B6%85%E4%BC%9D%E5%B0%8E+%E3%83%95%E3%82%A3%E3%83%BC%E3%83%90%E3%83%BC+%E5%8C%97%E6%BE%A4

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  6. 腎臓や肝臓などの機能、チップで再現…動物実験せず病気の原因解明や創薬に期待
    2023/06/25 16:03

     腎臓や肝臓などの臓器で起きている複雑な現象を、手のひらサイズのキットで再現する「臓器チップ」=写真、京都大の横川隆司教授提供=が注目を集めている。樹脂製の板の内部に複数の種類の細胞を流し込む実験装置で、病気の原因解明や創薬などへの応用が可能という。医学研究に不可欠な動物実験の削減につながることも期待されている。(松田祐哉)

     京大の横川教授や理化学研究所のチームは5月、腎機能の一部を臓器チップで再現することに成功したと、国際科学誌に論文を発表した。

     チームは、筒状の2本の流路が隣り合う内部構造を持つチップ(縦3センチ、横2センチ、厚さ0・5センチ)を開発。iPS細胞(人工多能性幹細胞)から作った腎臓の細胞と、血管の細胞をそれぞれの流路に入れたところ、実際の腎臓と同様に、細胞間でたんぱく質や糖などがやり取りできていた。

     腎臓は、薬の吸収・排出にもかかわる重要な臓器で、筑波大の伊藤弓弦教授(幹細胞生物学)は「人の腎臓の機能をどこまで再現できているか精査する必要があるが、薬の開発に使える可能性がある」と評価する。

     臓器チップは、新型コロナウイルス感染症が重症化する仕組みの解明に向けた研究にも貢献している。

     京大や大阪大などのチームは昨年9月、同様のチップ(縦4・5センチ、横3センチ、厚さ0・8センチ)を使って気道の様子を再現した成果を発表。気道の細胞に新型コロナウイルスを感染させた実験で、血管の細胞の間にウイルスが入り込む現象が確認できたという。チームの高山和雄・京大講師は「細胞間の相互作用を見られるのが強み。感染症研究にとっても優れたツールだ」と話す。
    https://www.yomiuri.co.jp/science/20230625-OYT1T50064/

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    1.  病気の解明や創薬には動物実験が欠かせないが、欧州連合(EU)で2013年、動物実験を行った化粧品の販売が全面禁止されるなど、規制に向けた動きが世界的な流れとなりつつある。

       臓器チップに詳しいニューヨーク大アブダビ校の亀井謙一郎准教授は「動物を使わず、薬の効果や副作用を再現できるシステムが必要とされている。iPS細胞と組み合わせれば、より人に近い環境を再現でき、動物保全にも役立てられる」と意義を強調する。
      https://www.yomiuri.co.jp/science/20230625-OYT1T50064/2/

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  7. 臓器はけっしてパーツなんかじゃなく、カラダのひとつながりの中で、再現不可能なものとしての成り立ちがある。

    あたかも病態を再現したかのようなチップは、いわば人の目を巧妙に欺く手品なようなものに過ぎないだろう。 

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  8. iPS心筋 効率よく定着…京大チーム成功 治療効果向上に期待
    2023/08/13 05:00

     心臓病の治療でiPS細胞(人工多能性幹細胞)から作った心筋細胞を移植する際、従来より効率良く定着させる方法をマウス実験で開発したと、京都大iPS細胞研究所などの研究チームが発表した。治療の効果が高まる可能性がある。論文が国際科学誌に掲載された。

     iPS細胞から作った心筋細胞を心臓に移植する再生医療では、心筋細胞をシート状にして心臓の壁に貼り付けるなど様々な方法が検討されている。チームの吉田善紀准教授(循環器内科学)らは、心臓の壁に心筋細胞を針で注入して移植する方法を研究している。しかし、この方法では、移植後の細胞が組織に定着しにくいことが課題だった。

     今回、心臓病のマウスを使った実験で、細胞分裂が活発な心筋細胞を選んで移植すると定着しやすいことを確認した。さらに細胞分裂を活発にする薬剤を探した結果、急性骨髄性白血病の治療薬に含まれる化合物「Am80」が有望だと突き止めた。Am80を含む液に浸した心筋細胞をマウスの心臓に移植すると、従来より4~5倍大きく成長し、機能したという。

     吉田准教授は「少ない細胞数で十分な治療効果を得られる可能性がある。今後、サルなどでも効果を確かめたい」と話す。

     澤芳樹・大阪大特任教授(心臓血管外科)の話「心筋細胞の定着が難しいなか、大きな成果といえる。人への応用に向け、投与方法や薬剤の安全性などの研究を進める必要がある」
    https://www.yomiuri.co.jp/medical/20230813-OYT1T50102/

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  9. iPS細胞の心筋球移植 “大きな副作用みられず”最新の経過発表
    2023年9月9日 14時58分

    iPS細胞から作った心臓の筋肉を、小さな球状のかたまりにして心臓病の患者に移植する新たな治療法について、治験を進めている慶応大学発のベンチャーなどのグループが最新の経過を発表しました。移植後、半年たった2人の患者には大きな副作用はみられていないということです。

    これは慶応大学の医師らが立ち上げた医療ベンチャー「ハートシード」などのグループが9日、東京都内で開かれた学会で発表しました。

    この会社では、重い心不全の患者が心臓のバイパス手術を受ける際にiPS細胞から作った心筋の細胞を小さな球状にした「心筋球」を心臓に注射で移植する治験を進めています。

    学会では、手術を担当した東京女子医科大学の市原有起講師が最新の経過を報告し、手術から半年たった2人の患者について、いずれも拒絶反応はみられず、重い不整脈などの大きな副作用は起きていないとしました。

    また、心機能や運動能力に徐々に改善がみられるということです。

    会社によりますと治験では合わせて10人に移植を行う計画で、これまでに4人が移植を受けたということで、今後、安全性や有効性を確認した上で国の承認を目指すということです。

    会社の社長で慶応大学の福田恵一名誉教授は「心不全に悩む患者は数多くいる。安全性を慎重に確認しながら、効果がより発揮できるよう開発を進めたい」と話しています。
    https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230909/k10014190241000.html

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  10. 重い肝臓病の赤ちゃんに新治療法、ES細胞から作製した細胞を移植…国に承認申請へ
    2023/10/24 19:08

     重い肝臓病の赤ちゃんに「胚性幹細胞(ES細胞)」から作製した肝臓の細胞を移植する新たな治療法について、治験を進めてきた国立成育医療研究センター(東京都)が、企業を通じて今年度中にも、「再生医療等製品」として国に承認申請する。承認されれば、ES細胞を使った治療法が国内で初めて実用化される。

    重い肝臓病の赤ちゃんの治療に使うES細胞から作製した肝細胞(国立成育医療研究センター提供)

     対象は、肝臓内で有毒なアンモニアを分解できない「尿素サイクル異常症」の赤ちゃん。アンモニアを分解する酵素が生まれつき働かず、 嘔吐おうと や意識障害などを起こす。国指定の難病で、8000人~4万4000人に1人の頻度で発症する。

     肝臓移植が根本的な治療法だが、肝臓の大きさや合併症のリスクから、体重が6キロ・グラムを超える生後3か月~5か月頃まで移植ができず、それまでに亡くなるケースもある。

     治験は2019年から22年にかけて計5人に実施。ES細胞から作製した肝臓の細胞を、患者のへその緒の血管を通して肝臓内に移植した。その結果、細胞がアンモニアの分解酵素を分泌して肝臓機能を補助し、血中のアンモニア濃度の上昇が抑えられた。また、合併症も起きなかったという。

     同センターは、安全性と有効性が確認され、肝臓移植までの間をつなぐ「橋渡し」治療に使えると判断。今年度中に、移植する細胞の製造企業を通じて国への承認申請を目指す。同センターの梅澤明弘研究所長は「他の患者に一日でも早く治療を届けたい」と話す。

      藤田医科大の八代嘉美特任教授(幹細胞生物学)の話 「状態の厳しい患者にとって、メリットの大きな治療だ。ES細胞を使う様々な治療法の実用化につながる可能性がある」



      ◆胚性幹細胞(ES細胞) =様々な組織や臓器の細胞に変化する「多能性幹細胞」の一種で、不妊治療で余った受精卵から作製。体細胞から作る人工多能性幹細胞(iPS細胞)と同様、再生医療への利用が期待される。
    https://www.yomiuri.co.jp/science/20231024-OYT1T50209/

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    1. ES肝細胞移植 今年度中にも国への承認申請目指す 治験で効果
      2023年10月26日 4時25分

      国立成育医療研究センターは、重い肝臓病の赤ちゃんに体のさまざまな細胞に変化できるES細胞から作り出した肝臓の細胞を移植する治験で、効果と安全性が確認できたとして今年度中にも国への承認申請を目指すことになりました。承認されれば、ES細胞を使った治療として国内で初めてとなります。

      この治験は国立成育医療研究センターのグループが行ったもので、「尿素サイクル異常症」という難病の赤ちゃんに、ES細胞から作り出した肝臓の細胞を移植します。

      この病気は肝臓の酵素が働かないため、アンモニアが分解できなくなる難病で肝臓移植が必要ですが、生後3か月から5か月ごろになるまでは移植が受けられないことが課題となっています。

      治験ではおととしまでに5人の赤ちゃんに細胞を移植した結果、2人は肝臓移植まで発作を起こさず、ほかの3人も発作の程度を軽く抑えられたということで、深刻な副作用は見られなかったということです。

      このためグループでは効果と安全性が確認できたとして、企業と契約したうえで今年度中にも国に再生医療としての承認申請を目指すということです。

      ES細胞を使った治療が承認されれば国内で初めてです。

      治験の責任者を務めた国立成育医療研究センター臓器移植センターの福田晃也 副センター長は「5人とも元気でほっとしている。承認されるかどうかは今後の審査によるが、肝臓移植まで安全にたどりつく選択肢が増えたと考えている」と話していました。
      https://www3.nhk.or.jp/news/html/20231026/k10014237271000.html

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  11. iPS「心筋球」移植の経過良好、心臓収縮機能が一部改善…慶応大発新興企業など世界初の治験
    2023/10/24 13:47

     慶応大発の新興企業「ハートシード」(東京)と東京女子医大病院のチームは、人のiPS細胞(人工多能性幹細胞)から作った心臓の筋肉(心筋)の細胞を塊にした「心筋球」を、重い心不全患者に移植する世界初の治験の途中経過を発表した。重篤な合併症が確認されず、心臓機能の改善もみられた。

     同社は、心臓のポンプ機能が低下する虚血性心疾患の患者10人に心筋球を移植する治験を昨年12月から始めた。今回、移植を終えた2人の途中経過について、手術した同病院がまとめた。

     移植は、血液の流れを新たに作る冠動脈バイパス手術の際に実施。1人につき、他人のiPS細胞から作った心筋球5万個を特殊な注射器で心臓に注入した。

     半年後の時点で重篤な合併症は確認されず、心不全の重症度を示す血液検査の結果や心臓の収縮機能が一部で改善。チームは、心筋球が成長し、心臓の一部として機能した効果とみる。

     治験では、心筋再生などの効果も1年かけて検証する。同社の福田恵一社長は「最短で2025年中の実用化を目指す」と話す。

      国立循環器病研究センターの北井豪・心不全部長の話 「現時点の安全性が確認されたのは大きな成果だ」
    https://www.yomiuri.co.jp/science/20231024-OYT1T50102/

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  12. iPSで子宮頸がん治療 健康な人由来 免疫細胞投与…順大治験へ
    2023/11/17 05:00

    ゲノム編集 拒絶反応防ぐ

     iPS細胞(人工多能性幹細胞)から変化させた免疫細胞で子宮 頸けい がんを治療する治験を、順天堂大のチームが来夏にも始める。健康な人の細胞から作ったiPS細胞の遺伝子をゲノム編集技術で改変し、拒絶反応を防ぐ。治療が難しい再発患者9人に投与して安全性と有効性を確認し、2030年頃の実用化を目指す。

     ゲノム編集技術で遺伝子を改変したiPS細胞を治療に活用するのは、国内初の事例となる。

     子宮頸がんは、ヒトパピローマウイルス(HPV)の感染で発症し、国内では年約3000人が亡くなっている。特に再発した患者は免疫機能が弱くなって進行が速くなり、既存薬や放射線療法などが効きにくい。

     チームは、HPVに感染した細胞を攻撃できる免疫細胞「キラーT細胞」を健康な人の血液から取り出し、iPS細胞を作製。ゲノム編集技術で、日本人の6~7割で拒絶反応が起きないように遺伝子を改変した上で凍結保存した。

     治療では、このiPS細胞を再びキラーT細胞に変化させて患者に投与する。HPVに感染した細胞を攻撃し、がん細胞を排除する戦略だ。いったんiPS細胞にすることで大量に増やせ、免疫機能も高めることができる。3週間以上の間隔を置いて、最大3回まで投与する予定だという。

     同様の手法で「EBウイルス」という病原体が原因の血液がんに対する治験も予定している。同大の安藤美樹主任教授(血液内科)は「難治性のがんに対抗できる、強力な手法。一日も早く患者に届けたい」と話す。

     川名敬・日本大教授(産婦人科学)の話「今回のキラーT細胞が、患者の体内でがん細胞を攻撃できるかどうか現時点では分からない。実際の治療での有効性を見守りたい」
    https://www.yomiuri.co.jp/medical/20231116-OYT1T50249/

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    1. iPS細胞を用いた子宮頸がん治療の治験へ 順天堂大
      2023年11月18日 11時30分

      iPS細胞から作り出した免疫細胞で子宮頸がんを治療する治験を順天堂大学などのグループが計画していることが分かりました。グループは来年度にも患者に細胞を投与することを目指しています。

      治験を計画しているのは順天堂大学の安藤美樹主任教授らのグループです。

      安藤教授らのグループは、健康な人の血液から子宮頸がんの原因となるHPV=ヒトパピローマウイルスに感染した細胞を狙って攻撃する「キラーT細胞」という免疫細胞を取り出し、この細胞からiPS細胞を作りました。

      そのiPS細胞から再びキラーT細胞を作ると、HPVに感染した細胞を攻撃する機能が高くなるほか、ゲノム編集技術を使うことで拒絶反応が起きにくくすることができたということです。

      グループではこうして作り出したキラーT細胞を、子宮頸がんが再発し治療が難しいとされる患者9人に投与する治験を計画しています。

      治験はまず少ない量から始め、安全性を中心に確認するということです。

      国内では年間およそ3000人が子宮頸がんで死亡しています。

      がんが再発した場合、治療が難しいことがあり、新たな治療法の開発が期待されているということです。

      グループは、今年度中に学内の審査委員会に申請して審査を受け、来年度には1人目の患者に投与したいとしています。

      安藤主任教授は「安全性を確認した上で投与量を増やし、有効性を確認したい。子宮頸がんに苦しむ多くの女性の希望になるよう着実に進めたい」と話しています。
      https://www3.nhk.or.jp/news/html/20231118/k10014261991000.html

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  13. iPS細胞
    遺伝子
    ゲノム編集
    HPV
    がん(子宮頸がん)
    免疫
    ウイルス
    ・・・

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  14. 再生医療の後遺症など有害事象報告「10万回中10例以下」…医療機関が未報告の可能性も
    2023/11/20 20:32

     細胞を加工して患者に投与する再生医療について、公的医療保険の対象外となる自由診療では、意図せぬ副作用などの有害事象報告数が投与10万回中10例以下と非常に少なかったと、国立がん研究センターなどの研究チームが明らかにした。チームは「有害事象が発生しても、一部の医療機関からは報告されていない可能性がある」と指摘している。

     自由診療による再生医療は、がん患者に対する免疫療法や、ひざ関節の修復、美容目的のしわ取りなどで行われている。実施には、再生医療安全性確保法に基づく国への届け出が必要で、感染症や後遺症などの有害事象が発生した場合は、外部の有識者を含む認定委員会に報告する義務がある。

     チームによると2020年度、自由診療による細胞投与は約10万件あったが、認定委員会への有害事象報告数は10件にとどまった。医師が研究目的で患者に投与する臨床研究でも、投与約4000件に対し有害事象は25件だった。

     一方、医薬品医療機器法に基づき国に承認された再生医療等製品3品目では、20年度の投与339回に対して有害事象の報告数は129件と、3件中1件の割合に上った。チームの一家綱邦・同センター生命倫理部長は、「患者が有害事象を国などに直接訴える仕組みも検討すべきだ」と指摘する。

     八代嘉美・藤田医科大特任教授(幹細胞生物学)の話「懸念されてきた問題点が明らかになった。再生医療全体の信用が低下しないよう、現場の医師の意識を向上させる取り組みが求められる」
    https://www.yomiuri.co.jp/medical/20231120-OYT1T50182/

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  15. がん疾患というのは腫瘍免疫学における(何かに姿を借りた)壮大かつ緻密微細な虚構物語だったりとか…

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  16. [地球を読む]基礎研究 「大胆な挑戦」育む環境を…山中伸弥 京大iPS細胞研究所教授
    2023/12/24 05:00

     今年のノーベル生理学・医学賞は、カタリン・カリコ博士とドリュー・ワイスマン博士が受賞した。

    山中伸弥氏 1962年大阪府生まれ。神戸大医学部卒。2012年、iPS細胞(人工多能性幹細胞)作製でノーベル生理学・医学賞を受賞。公益財団法人京大iPS細胞研究財団理事長

     新型コロナウイルス感染症に対する効果的なメッセンジャーRNA(mRNA)ワクチンの開発につながる基礎研究が受賞理由だ。

     今でこそmRNAはワクチンとして利用できると広く知られている。だが、mRNAは分解されやすく、人工的に細胞に送り込むと炎症反応を起こすため、薬として利用するのは困難だと考えられていた。

     カリコ博士はハンガリーの大学院生の時にmRNA研究を始めた。1985年、米国に移り、毎年のように政府の研究費を申請したものの、ことごとく却下された。大学で研究を続けるために降格も受け入れざるを得なかった。

     そんな苦境の中、コピー機の前で偶然に出会ったワイスマン博士の協力で2005年に論文発表にこぎつけた。その後もあまり注目されず、ベンチャー企業のビオンテック社に研究成果を売り込んでようやくmRNAワクチン開発の道がひらけた。人類に大きく貢献したmRNAワクチン技術の可能性や価値を、政府やほとんどの研究者は25年以上も見抜けなかった。

     iPS細胞技術は2006年に論文報告し、12年にノーベル生理学・医学賞を受賞した。わずか6年でよくぞ、という声もあるが、研究の発端から数えて50年後の受賞である。共同受賞者である英国のジョン・ガードン博士は若手研究員時代の1962年、オタマジャクシの腸細胞の核を取り出してカエルの卵子の核と入れ替えると、通常の受精卵と同様にオタマジャクシが生まれると報告した。私が生まれた年のことだ。

     当時は、腸のように役割が決まった細胞の核からは新たな個体は誕生しないと考えられていた。若きガードン博士が常識を打ち破ろうと、核移植と呼ばれる高難度の実験で奮闘した姿が目に浮かぶ。核移植で誕生したオタマジャクシは大人のカエルになり、繁殖にも成功した。

     この研究で、腸の細胞にも、全身の細胞を作るための設計図が保存されていることが分かった。あまり注目されなかったこの研究が脚光を浴びたのは、核移植によるクローン羊の誕生が報告された1997年で、2006年のiPS細胞開発へとつながった。

     カリコ博士とガードン博士。若き研究者の挑戦が何十年の時を経て社会に大きなインパクトを与えた。今ではその重要性は明らかだが、研究を始めた当初に2人の基礎研究の将来を予測するのは困難だった。科学でブレイクスルーを起こすには、挑戦的な基礎研究を育むことが肝要なのだ。

    寄付文化 科学を後押し

     基礎研究、特に挑戦的な研究は、成果が出るまで数十年を要することもあり、評価するのは難しい。

     一方、基礎研究の成果をもとに治療法の開発などを目指す応用研究は目的が明らかで、基礎研究より短期間での評価が可能だ。

     世界各国の公的な研究助成は、応用研究を重視する傾向にある。政策を決める政治家や官僚は数年単位で交代することが多く、任期中に成果を実感できる応用研究が選ばれがちなのは、やむを得ない面もある。

     挑戦的な研究を推進する方策の一つに民間基金による助成がある。

     例えば、毎年のようにノーベル賞受賞者を輩出する米国のハワード・ヒューズ医学研究所(HHMI)だ。実業家ヒューズ氏の寄付で1953年に設立された。名前は研究所だが、事業の中心は研究支援である。242億ドル(約3・4兆円)の資産を運用し、全米各地の医学生物学研究者に年間7・6億ドル(約1100億円)を助成している。

     HHMIの特徴は、プロジェクトではなく人(研究者)に対して支援する点にある。独創性や研究能力、さらには困難に打ち勝つ忍耐力が評価される。

     支援は最短でも5年間は続く。研究者は短期の成果にこだわらずに、大胆なプロジェクトに挑戦できる。HHMIから助成を受けた研究者から、2000年以降だけで26人のノーベル生理学・医学賞と化学賞の受賞者が誕生している。

     米国では研究助成だけでなく、一般の人が科学への理解を深める活動にも多くの民間基金や寄付が貢献している。例えば、スミソニアン国立自然史博物館は植物、動物、化石、鉱石、岩石、 隕石いんせき の標本や文化工芸品など膨大なコレクションを誇る。年間予算8030万ドル(約114億円)の11%は寄付、14%は基金の運用で賄われている。

     英国ではウェルカム・トラストが民間基金としてよく知られている。製薬業で成功したヘンリー・ウェルカム卿の財産管理のため1936年に設立された公益信託財団で、378億ポンド(約6・8兆円)を運用している。「気候変動と健康」「感染症」「メンタルヘルス」の三つの重点領域を中心に、挑戦的な研究に年間10億ポンド(約1800億円)を支援している。図書館や展示場も無料開放し、医学や医学史に関する 啓蒙けいもう 活動にも力を入れる。

     日本でも多くの助成財団が医学領域の研究支援を行っている。ただ、基金は最大でも1000億円ほどで、助成の規模も期間も米英には及ばない。

     最近になってようやく、複数の助成財団が若手研究者を10年にわたって支援する制度が始まった。資金的な支援に加え、ベテラン研究者がメンターとして助言を与える。こうした制度を活用して若手研究者が大胆な基礎研究に挑戦し、その中から画期的な成果が生まれることを期待する。

     私自身も研究者として独立したとき、いくつかの民間助成を頂いた。iPS細胞を作るというリスクの高い提案に対しては、科学技術振興機構から5年間、毎年5000万円以上の支援を頂いた。業績も少なかった時期に、挑戦の機会を与えられたことがiPS細胞の開発につながった。

     2年前に京大iPS細胞研究所の所長を退き、自身の研究に注力するようになった。他の研究機関の若手研究者と接する機会も増えた。有能な研究者が多く、大胆な研究に挑戦する機会を得られれば大きく飛躍する可能性を感じている。

     今年8月、国立科学博物館がクラウドファンディングを行い、目標の1億円を開始当日に達成した。最終的に約5万7000人から約9億2000万円の寄付が集まり、ニュースで大きく取り上げられた。多額の寄付が集まったのは良かったが、これが大きなニュースになったこと自体が日本の課題ではないか。

     日本でも基礎研究や博物館への寄付が広がれば珍しい出来事ではなくなる。寄付が、公的な支援と共に科学技術発展の加速に貢献することを期待している。
    https://www.yomiuri.co.jp/serial/earth/20231224-OYT8T50001/

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  17. iPS細胞使ったパーキンソン病治療、米国で臨床試験開始…住友ファーマ・京大など
    2023/12/26 11:37

     製薬大手の住友ファーマなどは26日、人のiPS細胞(人工多能性幹細胞)から作製した神経細胞をパーキンソン病の患者の脳へ移植する臨床試験を、米国で開始したと発表した。対象患者が推定で国内の3~5倍いる米国での実用化を目指す。

     パーキンソン病は、運動に関わる神経伝達物質「ドーパミン」を分泌する脳の神経細胞が減り、手の震えや歩行困難などの症状が表れる病気。50歳以上で多く発症し、同社などによると国内に約20万~30万人、米国では約100万人の患者がいると推定されている。

     京大iPS細胞研究所や同社などは2018年、健康な人のiPS細胞からドーパミンを出す細胞を作って移植する臨床試験に着手。これまでに7人に移植し、現在、安全性と有効性の確認を行っている。

     米国での臨床試験はカリフォルニア大サンディエゴ校で実施。住友ファーマが日本で製造した細胞を空輸し、京大で行われている臨床試験とほぼ同じ方法で7人に移植する計画で、2年間経過を観察する。

     米国では、iPS細胞と似た性質を持つES細胞(胚性幹細胞)を使ったパーキンソン病の臨床試験が先行している。

     今回は、大学病院などが中心となって行う比較的小規模な臨床試験。より人数を増やした試験も米国で今年度中に開始する方針で、同社は32年度末までの実用化を目指すという。
    https://www.yomiuri.co.jp/medical/20231226-OYT1T50116/

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  18. 科学には、もっぱら最初から疑ってかかる役割を担うセクションも必要になっていると思う。

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    1. そこをクリアーしてパスしない限り「事実」認定してはいけないということが前提となっていかなければ、もはや、ただの科学の化粧と衣装をまとった「物語(ストーリー)」にすぎない。

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  19. 京大研所長らに聞く
    iPS細胞、次世代へ…本格的な医療応用に向けバージョンアップ
    2024/02/24 21:00

     山中伸弥・京都大教授が2007年に人のiPS細胞(人工多能性幹細胞)の作製を発表してから、今年で17年。理論上は、全身のあらゆる種類の細胞に変化できる「万能細胞」だが、作製効率が低く、細胞ごとに性質がばらつくなどの弱点がある。これが、本格的な医療応用に向けた課題となっている。研究者に現状を聞いた。(松田祐哉)

    難治性皮膚潰瘍の治療法

    目指すは「2・0」

     「iPhone(アイフォーン)でも最新機種が次々と出てくるように、現在のiPS細胞がバージョン1・0とすれば、我々が目指すのは『iPS2・0』だ」

     京都大iPS細胞研究所の高橋淳所長は、次世代のiPS細胞の作製が今、最も重要な課題だと説明する。

     iPS細胞ができる現象は「初期化」と呼ばれ、細胞は受精卵に近い状態まで若返り、大量に増殖して、全身の様々な細胞に変化できる能力を持つ。

     このため、iPS細胞から病気やけがで失われた組織や臓器の細胞を新しく作って移植し、正常な機能を回復させる再生医療の実現が期待されている。

     山中教授らが開発した初期化の技術は「山中因子」と呼ばれる4種類の遺伝子を、血液などの細胞へ導入する。

     しかし、数百~数万個の血液細胞からできるiPS細胞はわずか数個で、偏った種類の細胞に変化するなど「クセ」のあるiPS細胞ができやすかった。このため何度も作り直して性質を確認する必要があり、大量の培養皿や培養液を消費するのが課題だった。

     高橋所長は「iPS細胞を治療に必要な細胞へと変化させる時、大部分が安定して目的の細胞となるもの」の作製を、今後3年間の目標に掲げる。

     有望視されるのが「ナイーブ型」と呼ばれる、クセの少ないiPS細胞だ。同研究所の高島康弘准教授が、すでに作製に成功している。

     カギを握るのは培養液の配合という。従来のiPS細胞より、さらに受精卵に近い状態で維持できる成分を含んでおり、細胞の性質のばらつきが少なくなる。

     さらに高島准教授は「培養時の酸素濃度をあえて低く抑えると、良質のiPS細胞ができる」と説明する。

     また、同研究所の斉藤博英教授は新型コロナワクチンで注目された遺伝物質のRNAを人工合成して使い、初期化の効率を向上させる研究を進めている。「初期化を終えるまでに約1か月かかっていた培養期間が、半分の2週間程度で済み、少ない数の細胞からiPS細胞ができるようになってきた」と自信を見せる。

    「地産地消」が理想

     同研究所などは昨年7月、医療研究開発予算を戦略的に配分する日本医療研究開発機構(AMED)の「再生・細胞医療・遺伝子治療実現加速化プログラム」の中核拠点に選ばれた。

     5年計画の同プログラムは、iPS細胞などによる再生医療と、遺伝子を体内に入れることで病気を治す遺伝子治療を融合させ、新たな医療の実現を目指す。

     例えばiPS細胞から作った細胞を患者に移植する際、細胞の生着を促すような遺伝子治療を同時に行うことができれば、治療効果の向上が期待できる。初年度は約21億円が投入され、自治医科大や国立成育医療研究センターと連携して研究や技術開発を進める。

     そのためにも次世代iPS細胞の開発は急務だ。

     現在、臨床用のiPS細胞は、高品質を維持するため「健康な他人」から作り、何度もチェックして凍結保存したものを使っている。

     しかし、移植に最も理想的なのは拒絶反応が起きない「本人」の細胞だ。iPS細胞の作製効率や品質が向上すれば実現の可能性が広がる。高橋所長は「将来は、自分の血液から必要な細胞を作って使う『地産地消』の細胞治療を、どこでも受けられるようにしたい」と力を込める。
    https://www.yomiuri.co.jp/local/hashtag-kyoto/CO072596/20240224-OYTAT50027/

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  20. 大学界隈のいわゆる「頭の良い人」たちの一般教養や常識が、ちょいと(だいぶ)世間の現実とはズレているとしか思えん。フツーに考えて「できないこと」も「できる」と強く思いこむ能力が必要らしい。

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  21. iPSからつくった心筋細胞、心室か心房かを区別 医療応用に期待
    2/28(水) 19:00配信 朝日新聞デジタル

    心臓を構成する心筋細胞は、心房筋細胞と心室筋細胞、ペースメーカー細胞などに分けられる=京都大iPS細胞研究所の吉田善紀准教授提供

     ヒトiPS細胞から心筋細胞をつくる際に、心房向けと心室向け細胞を区別するために重要な目印を、京都大や米ハーバード大、武田薬品工業などの研究チームが見つけた。生体に近い細胞を純度高くつくることができ、再生医療のほか、心房と心室のそれぞれで特徴的な病気の研究や創薬への応用が期待される。

    【写真】iPS細胞からつくった心室筋細胞のかたまりでCD151が多いもの(左下)では、ほぼすべてが生体に近い心室筋細胞(緑色に染色)だったが、CD151が少ないもの(右下)では心房筋細胞(赤色に染色)も混在していた。iPS細胞からつくった心房筋細胞のかたまりでは、CD151が多いもの(左上)では心室筋細胞も混在しているが、CD151が少ないもの(右上)だと、ほぼすべが心房筋細胞になった=京都大iPS細胞研究所の吉田善紀准教授提供

     心臓には、血液を送り出す心室と血液を受け取る心房が二つずつある。心臓を構成する心筋細胞は大きく、心房筋細胞と心室筋細胞、拍動をつかさどるペースメーカー細胞に分けられ、電気生理学的な特性が異なる。だが、iPS細胞から心房筋細胞と心室筋細胞のかたまりを別々につくろうとしても、ほかの細胞が一定程度、混じってしまうのが課題だった。

     研究チームは、iPS細胞からつくった心筋細胞の表面にある212種類の膜たんぱく質から「CD151」と呼ばれるものに注目。iPS細胞からつくった心室筋細胞のかたまりのうちCD151の量が多い部分を取り出すと、生体に近い心室筋細胞が93%を占めることを見いだした。

     iPS細胞からつくった心房筋細胞のかたまりでは、CD151の量が少ない部分で、生体に近い心房筋細胞を35%まで高められた。遺伝子解析でNotchと呼ばれる遺伝子の働きが抑えられていることがわかり、心房筋細胞をつくる際にこの遺伝子の働きを低下させる化学物質を加えると、純度を80%まで高めることができた。薬剤への反応で、生体の心房筋細胞を再現していることも確認できた。
    https://news.yahoo.co.jp/articles/e24a096d90f29f96425366de10fe4908606542c4

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    1. 心筋細胞を高精度で作り分ける手法を発見 京大iPS細胞研究所など 創薬への活用期待
      2/28(水) 19:02配信 京都新聞

       ヒトiPS細胞(人工多能性幹細胞)から心筋細胞を作製する際、高い精度で心房筋と心室筋を見分ける手法を見つけた、と京都大iPS細胞研究所などのグループが発表した。創薬への活用が期待されるという。論文が28日に国際専門誌に掲載された。

       心臓から全身に血液を送り出す心室と、心臓に流れ込んだ血液を心室へ届ける心房では構成する心筋細胞が異なり、収縮力なども違う。しかし、これまでの手法では厳密な作り分けが難しく、複数の種類の心筋が少なからず混在してしまうことが課題だった。

       同研究所の吉田善紀准教授らのグループは、これまでの手法で作製した心室筋と心房筋について、各細胞集団を解析したところ、細胞表面に存在するタンパク質の一種が両種の分化に深く関わっており、このタンパク質の量で選別が可能になることを突き止めた。

       また、特定の遺伝子の発現を阻害すると心房筋へさらに効率良く分化させる手法も発見したという。

       心房筋は心房細動、心室筋は肥大型心筋症などの疾患の研究に役立つ可能性がある。吉田准教授は「創薬に活用するうえで十分な純度と機能性を持つ心室筋と心房筋の細胞を作製することができた」と話している。
      https://news.yahoo.co.jp/articles/6e56d8868124d7acbac36e9102e1bce239475e45

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    2. iPSから純度の高い心筋細胞 創薬活用に期待 京都大など
      2/28(水) 19:15配信 時事通信

       ヒトのiPS細胞から、純度の高い心房筋細胞や心室筋細胞といった心筋細胞を作る方法を開発したと、京都大などの研究グループが28日、発表した。

       創薬などへの活用が期待されるという。研究成果は同日の国際学術誌「コミュニケーションズ・バイオロジー」に掲載された。

       心臓疾患は、心房や心室などの領域ごとに発症する疾患が異なる。これまでヒトのiPS細胞からは、培養条件を変更して心房筋や心室筋の細胞を作製してきたが、異なる細胞が混じることがあり、純度が高く生体の機能に近い細胞を作ることは難しかった。

       研究グループは、作製から20日目の心房筋と心室筋の細胞表面にあるタンパク質を解析。「CD151」と呼ばれるタンパク質が、心房筋細胞には少なく、心室筋細胞には多く含まれることを発見した。このタンパク質を活用すれば、純度が高い心房筋や心室筋の細胞を作製できるという。

       京都大iPS細胞研究所の吉田善紀准教授は「目印となるタンパク質を見つけたことで、高い純度の心房筋や心室筋の細胞を作る方法を開発できた。今後、再生医療や創薬で活用することが期待される」と話した。
      https://news.yahoo.co.jp/articles/e2f3c2355391ab16e9d54ebd84bceae4e54d9973

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  22. ヒトのiPS細胞などで受精卵に似た細胞研究 “一定の規制必要”
    2024年3月6日 19時03分

    ヒトのiPS細胞などから受精卵によく似た細胞を作る研究について、国の専門調査会の作業部会は、倫理的な問題が指摘されることから、ヒトでの研究には一定の規制が必要だなどとする検討結果を報告しました。今後、専門調査会で議論を進め、規制のあり方について検討するということです。

    これは6日、開かれた内閣府の生命倫理専門調査会の会合で報告されました。

    あらゆる組織などになることができるヒトのiPS細胞やES細胞から受精卵によく似た細胞を作り出す研究は、受精卵から胎児に向かう初期の過程を再現できるとして、国内外で研究が行われています。

    一方で、今後、研究が進めば胎児に近い状態まで作ることができるようになる可能性もあるなど、倫理的な問題も指摘されることから、専門調査会では作業部会を設けて対応を検討してきました。

    作業部会では6日、検討結果を報告し、この中で、研究を進めていく際には一定の規制を設ける必要があるとし、具体的な例として
    ▽作り出した細胞をどこまで成長させるのかなど研究の計画について事前に倫理審査を受けることや
    ▽作り出した細胞をヒトに移植したり、胎児を作ったりする研究は禁止することなどを挙げました。

    作業部会では検討結果を最終的な報告としてまとめるということで、これを受けて、専門調査会が規制のあり方や具体的な内容について議論を進めていく方針だということです。
    https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240306/k10014381311000.html

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    1. ほんとうにそれができるのならば、どこぞの国の地下組織が実際にそれを手掛けていて、もうとっくに実現できているだろうよ。

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  23. 規制のアミをかけるということは、ギルドの枠を厳重にして、限られた組織のなかでしかそれを手掛けられないようにするという意味にもなる。

    インチキ医科様手品の種は門外不出の体制にして、いつまでもバレないようにしておくというのも、「持続可能な開発目標」サステイナブルコミュニティの鉄の掟なのかもしれぬ。

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  24. iPS細胞を全自動作製できる技術を開発…京大財団とキヤノン、費用大幅減・品質安定
    2024/04/12 15:00

     医療用のiPS細胞(人工多能性幹細胞)を患者本人の血液から自動的に作製する技術を、京都大iPS細胞研究財団(京都市)とキヤノン(東京)が共同開発した。iPS細胞の作製費用を大幅に減らせるといい、来年の実用化を目指している。

    iPS細胞の自動製造装置の模型(キヤノン提供)

     iPS細胞は血液などの細胞に複数の遺伝子を導入して作製する。患者本人のiPS細胞を作り、筋肉や神経などの細胞に変化させれば、移植しても拒絶反応が起きにくく、免疫抑制剤を使う必要がない。病気やけがで失われた体の組織や機能の再生が期待できる。

     ただ、従来の手作業での作製では専用施設の整備や維持、技術者の人件費などのコストがかさみ、1人分の作製に約4000万円かかるとされる。

     キヤノンなどが開発した方法では、血液から赤血球など不要なものを取り除き、残った細胞に遺伝子を導入。できたiPS細胞を増やして回収するまでの約20日間の工程を自動化する。

     全自動の装置が完成すれば、人の手が必要なのは血液や試薬のセットと、iPS細胞を回収した容器を取り出す作業だけとなり、品質の安定につながるという。臨床試験などを行う大学や企業に対し、作製したiPS細胞を提供し、患者に移植することを想定している。

     財団は、患者本人の細胞から医療用iPS細胞を短時間に安価で作製する「my iPSプロジェクト」の一環として、この技術開発を進めており、1人あたりのコストを「100万円程度」に下げる目標を掲げる。キヤノンメディカルシステムズ研究開発センターの山口陽介さん(45)は「できるだけ早く患者由来のiPS細胞を作り、治療に生かしたい」と話している。
    https://www.yomiuri.co.jp/science/20240412-OYT1T50101/

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    1. iPS細胞の全自動作製、2025年にも実用化…京大財団・キヤノンが技術開発
      2024/04/12 16:30

       医療用のiPS細胞(人工多能性幹細胞)を患者本人の血液から自動的に作製する技術を、京都大iPS細胞研究財団(京都市)とキヤノン(東京)が共同開発した。来年の実用化を目指している。全自動の装置が完成すればiPS細胞の作製費用は大幅に抑えられ、再生医療の実現が加速しそうだ。

       iPS細胞は血液などの細胞に複数の遺伝子を導入して作製する。患者本人のiPS細胞を作り、筋肉や神経などの細胞に変化させれば、移植しても拒絶反応が起きにくく、免疫抑制剤を使う必要がない。病気やけがで失われた体の組織や機能の再生が期待できる。

      iPS細胞の自動製造装置の模型(キヤノン提供)
       ただ、従来の手作業での作製では専用施設の整備や維持、技術者の人件費などのコストがかさみ、1人分の作製に約4000万円かかるとされる。

       キヤノンなどが開発した方法では、血液から赤血球など不要なものを取り除き、残った細胞に遺伝子を導入。できたiPS細胞を増やして回収するまでの約20日間の工程を自動化する。

       年内にも全自動の装置の完成を目指す。人の手が必要なのは血液や試薬のセットと、iPS細胞を回収した容器を取り出す作業だけとなり、品質の安定が期待できるという。臨床試験などを行う大学や企業に対し、作製したiPS細胞を提供し、患者に移植することを想定している。

       財団は、この技術開発を「my iPSプロジェクト」の一環として進めており、1人あたりのコストを「100万円程度」に下げる目標を掲げる。

       キヤノンメディカルシステムズ研究開発センターの山口陽介さん(45)は「できるだけ早く患者由来のiPS細胞を作り、治療に生かしたい」と話している。
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  25. そんな眉唾ものに企業として加担して大丈夫か?

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