2024年3月14日

痴呆症/認知症/アルツハイマー病/ヤコブ病/プリオン病(笑) ★3

痴呆症/認知症/アルツハイマー病/ヤコブ病/プリオン病(笑) ★2 の続き)

「効果が見込める」患者をよっぽど上手に選択しなければ、どうやらうまくいかないらしい。

2023年12月13日 18時30分 NHKニュース
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20231213/k10014286581000.html
>アルツハイマー病の原因物質に直接、働きかける新薬「レカネマブ」の価格について、中医協=中央社会保険医療協議会は、患者1人当たり年間およそ298万円と設定し、保険適用の対象とすることを決めました。
>認知症の専門医によりますと、レカネマブの投与対象となる患者は認知症患者全体の1割未満とみられるということです。

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大学名とメーカー名の宣伝? まるで株価操作ネタのよう… せめて研究チームの代表者名くらい併記してほしいもの。学者研究者として堂々と名前出せないのかな?

乳由来成分で記憶力改善 慶応大とキリンが解明
2019/4/24 16:30 共同通信

 カマンベールチーズなどの乳製品由来の成分に、記憶力を改善する効果があることを慶応大とキリンホールディングス傘下の健康技術研究所が解明した。中高年を対象とした実験で確認し、成果を海外の科学誌に24日発表した。動物での実験では認知症予防に効果があることも既に分かっており、新たな研究成果を踏まえて今後の商品開発への展開に期待が集まる。

 成分はβラクトリンと呼ばれ、カマンベールチーズなどカビで発酵させた乳製品に多く含まれる。ただ、効果を得るには膨大な量の摂取が必要となるため、キリンはサプリメントなどの商品化を目指す。
https://this.kiji.is/493685803397645409



「キリン(麒麟)」は、空想上の架空の生物…




(書きかけ)







(№397 2019年4月24日)

105 件のコメント:

  1. アルツハイマー病関連のたんぱく質蓄積 認知機能正常でも学習効果喪失
    2019年1月5日15時0分

     アルツハイマー病に関連する異常なたんぱく質が脳に蓄積している人は、認知機能に異常がなくても学習効果を発揮できないとする研究結果を、東京大教授の岩坪威たけしさん(神経病理学)らのチームがまとめた。アルツハイマー病の早期発見と治療につながる可能性があるという。

     調査は2008~14年、認知機能が正常な60~84歳の男女154人に実施。19人の脳で、アルツハイマー病患者にみられる異常たんぱく質「アミロイドβベータ」の蓄積が確認された。

     チームは対象者全員に、現在の日時や場所などを問う基本的な認知機能検査を3年間、半年から1年ごとに計5回受けてもらった。その結果、アミロイドβの蓄積がある人は、ない人に比べて点数が伸びなかった。

     アミロイドβに加え、もう一つの異常たんぱく質「リン酸化タウ」が増えている患者は、植物や動物の名前を挙げさせる検査の点数が良くなかった。

     いずれも、学習効果の喪失が原因とみられる。

     アルツハイマー病は、認知症患者全体の半数以上を占める。今回の結果を受けて、岩坪さんは「潜在的な認知機能の障害を判定する新たな基準を作り、早期の診断と発症予防につなげたい」と話している。
    http://premium.yomiuri.co.jp/pc/#!/news_20190105-118-OYTPT50226

    https://koibito2.blogspot.com/2016/04/2.html?showComment=1546688479134#c2981926926142634532

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    1. 東大「研究体制ずさん」…認知症データ問題 改ざんは認めず
      2014年6月25日3時0分 読売新聞

       東京大病院など全国38の医療機関が参加するアルツハイマー型認知症の大規模研究について、不適切なデータ処理が指摘されている問題で、東大は24日、ずさんな研究体制が原因だとする調査報告を発表した。「悪意のある改ざんとは断定できない」としたが、データ精査のため、国主導の外部委員会の設置を要望した。

       同研究は、国や製薬会社などが計約30億円を出し、2007年度から認知症の早期診断の基準作成を目指す国家プロジェクト。高齢者約600人に心理検査や脳画像撮影などを行う。

       高齢者の心理試験データについて、30分後に記憶を確認する検査で、1時間後に行ったとの記載を後で40分後に検査したと書き換えるなど、データに改ざんがあったと一部の研究者から指摘されていた。

       これに対し、東大の調査結果では修正履歴が確認できることから、改ざんとは認められないと判断した。ただし、データ修正に関するマニュアルなどが研究開始時に整備されておらず、修正の必要性を判定する専門家の委員会も機能しないなど、管理体制のずさんさを指摘。権限のない担当者が医療機関に修正を求めるなど、不適切な対応が生じたとした。さらに、データベースにも不備があった。

       世界的に認知症研究が進む中、研究が滞っていることについて、中心メンバー4人の監督責任は免れないと結論づけた。
      http://premium.yomiuri.co.jp/pc/#!/news_20140625-118-OYTPT50131

      https://koibito2.blogspot.com/2014/04/blog-post_30.html?showComment=1403660730250#c4109545515542818680

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    2. 「岩坪威 J-ADNI」
      https://www.google.co.jp/search?q=%E5%B2%A9%E5%9D%AA%E5%A8%81+J-ADNI

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    3. >データ改竄疑惑騒動
      https://ja.wikipedia.org/wiki/J-ADNI#%E3%83%87%E3%83%BC%E3%82%BF%E6%94%B9%E7%AB%84%E7%96%91%E6%83%91%E9%A8%92%E5%8B%95

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  2. “愛情高める”ホルモンで自閉症改善へ
    2019年6月2日 7時49分

    対人関係を築くことが苦手な「自閉症スペクトラム障害」の患者に、愛情を高めるホルモンとして知られる「オキシトシン」を投与すると症状が改善する傾向を示したと、浜松医科大学などの研究グループが公表し、「薬の開発につながる成果だ」としています。

    「自閉症スペクトラム障害」はこれまで自閉症やアスペルガー症候群などと呼ばれた発達障害の一種で、コミュニケーションが苦手で、100人に1人以上の割合でいるとされていますが、有効な治療薬はありません。

    静岡県浜松市ある浜松医科大学などの研究グループは、愛情を高めるホルモンとして知られる「オキシトシン」を患者に6週間投与してコミュニケーション能力の指標の1つである会話中の喜びや驚きなどの表情の豊かさを画像解析で数値化し、投与していない患者との差を分析しました。

    その結果、オキシトシンを投与した患者は、投与されていない患者よりも表情の豊かさの値が0.41から0.53高く、投与を終えて2週間経過しても1.24高くなったということです。

    研究グループ「社会に参加しやすいようにしていきたい」
    研究グループでは、「オキシトシン」の効果が持続したとみていて、製薬会社とともに薬として承認を受けるための臨床試験で安全性と効果を確認したいとしています。

    浜松医科大学の山末英典教授は、「薬の開発につながる成果で、当事者の人たちが社会に参加しやすいようにしていきたい」と話しています。
    https://www3.nhk.or.jp/news/html/20190602/k10011937891000.html

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    1. まるで「自閉症」が愛情足りないからなる病気みたいじゃないか(笑)。

      怪しげなストーリーをつくりこんでんじゃないのかな?

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    2. 「自閉症」が治る、となれば藁をもすがる思いの人々が大勢いそうだが、その人の弱みにつけこむような間隙をつくような手法はなかなかアコギでもある。

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    3. >オキシトシン(Oxytocin, OXT)は、視床下部の室傍核と視索上核の神経分泌細胞で合成され、下垂体後葉から分泌されるホルモンであり、9個のアミノ酸からなるペプチドホルモンである (Cys-Tyr-Ile-Gln-Asn-Cys-Pro-Leu-Gly)。1906年にヘンリー・ハレット・デールによって発見され、1952年に分子構造が決定された。
      https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AA%E3%82%AD%E3%82%B7%E3%83%88%E3%82%B7%E3%83%B3

      「オキシトシン」
      https://www.google.co.jp/search?q=%E3%82%AA%E3%82%AD%E3%82%B7%E3%83%88%E3%82%B7%E3%83%B3

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    4. 胡散臭くってしょうがない…

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  3. 認知症予防の数値目標を参考の数値に格下げ 専門家の指摘受け
    2019年6月4日 12時15分

    認知症の予防をめぐって、政府は「発症年齢を10年で1歳遅くする」という数値目標を掲げる方針でしたが、目標ではなく参考の数値に格下げすることになりました。

    政府は認知症対策を強化させようと、今月をめどに具体的な施策を盛り込んだ「大綱」をまとめることにしていて、先月その案を示しました。

    このうち予防をめぐっては、70代の認知症の人の割合を引き下げる初の数値目標を設け「認知症の発症年齢を10年で1歳遅くする」としていました。

    ところが、専門家から「どんな取り組みを進めれば認知症を予防できるか十分な科学的裏付けはない」という指摘が上がったほか、患者団体からも「認知症になった人は努力不足だという誤った印象を与えてしまう」という反発が相次ぎました。

    このため政府は方針を変え「発症年齢を10年で1歳遅くする」という表現そのものは「大綱」に盛り込むものの、目標ではなく参考の数値に格下げすることになりました。

    根本厚生労働大臣は4日の記者会見で「意見を真摯(しんし)に受け止め、表現を修正することにした。

    『予防』にあたっては、認知症の人の尊厳を守りともに生きる『共生』のうえで進めることが大前提だ」と述べました。
    https://www3.nhk.or.jp/news/html/20190604/k10011940141000.html

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  4. 「予防」に重点 認知症対策で新たな大綱決定 政府
    2019年6月18日 12時06分

    将来的に増加が見込まれる認知症について、政府は、発症を遅らせる「予防」を進めるための対策に重点を置いた新たな「大綱」を決定しました。

    高齢化に伴い、認知症と診断される人の数は、2025年には65歳以上のおよそ5人に1人に上ると推計されており、政府は、18日開いた関係閣僚会議で、認知症対策をまとめた「大綱」を決定しました。

    大綱では、発症を遅らせるための「予防」に重点を置いていて、具体的には、高齢者が、地域で体操などに取り組み、運動不足を解消できる場を充実させるほか、効果的な予防法の確立に向けて、国内外の事例や論文などの研究を進めるとしています。

    また、地域で安心して暮らせる「共生」を進めるために、認知症の人たちへの理解を深めるための講座を、日頃接する機会が多いと想定される、公共交通機関や金融機関の従業員などにも拡充するとしています。

    一方、政府は当初、70代での発症を、今後10年間で1歳遅くすることを、数値目標として掲げる案を示していましたが、当事者の団体などから批判が出たことから、大綱では、参考値にとどめました。

    会議で、安倍総理大臣は、「大綱は、認知症の人や家族の視点を重視し、『共生』と『予防』を車の両輪としている。施策を速やかに実行に移し、誰もが、いくつになっても活躍できる生涯現役社会の実現に向けて全力を尽くしてもらいたい」と述べました。

    厚労相「認知症の人との共生が大前提」

    根本厚生労働大臣は閣議のあと記者団に対し、70代での発症を今後10年間で1歳遅くすることを参考値にとどめたことについて、「頑張って予防に取り組んでいながら認知症になった人が落第者になり自信を無くしてしまうといった意見を真摯(しんし)に受け止め、表現ぶりを見直した。予防の取り組みを進めるには、認知症の人とそうでない人とが同じ社会でともに生きる『共生』を実現することが大前提だ」と述べました。

    2000万円の議論 大綱から削除

    18日決定した認知症対策の大綱では、先月の時点の案に盛り込まれていた「保有資産の活用のための準備」という項目が削除されました。

    厚生労働省によりますと、この項目は老後の資産形成で「およそ2000万円必要になる」などとした金融庁の審議会の議論を踏まえたものでした。

    案の段階では、この項目には「高齢社会における資産の形成・管理に関する個人の心構えを整理する」などと記されていましたが、その後、金融庁が削除したということです。
    https://www3.nhk.or.jp/news/html/20190618/k10011956661000.html

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    1. 認知症予防を強化へ 自公が“基本法案”を提出
      2019年6月20日 13時26分

      将来的に増加が見込まれる認知症について、自民・公明両党は、予防や早期発見につなげる取り組みの強化を国などに求める「認知症基本法案」を衆議院に提出しました。

      認知症と診断される人の数は、高齢化に伴い、2025年には65歳以上の約5人に1人に上ると推計されています。

      自民・公明両党が提出した「認知症基本法案」では、理解を深めるための学校教育の充実や、認知症の人たちの交通手段を確保するなど、安心して暮らせる環境整備、それに早期発見につなげるための医療や介護、行政機関どうしの情報共有の推進などを国と自治体に求めています。

      また、65歳未満で発症する「若年性認知症」の人について、本人の意欲や能力に応じて働く機会を確保するための必要な施策を講じることも求めています。

      今国会の会期末が来週に迫っていることから、自民・公明両党は、次の国会で成立させたい考えで、野党側にも賛同を呼びかけていく方針です。
      https://www3.nhk.or.jp/news/html/20190620/k10011961701000.html

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    2. 新手の漁夫の利・我田引水スキームをちゃくちゃくと具現化する手続きが進行中…

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  5. 認知症 行方不明者1万6900人 過去最多 警察庁
    2019年6月20日 12時32分

    認知症やその疑いがあり、去年、行方不明になった人は全国で延べおよそ1万6900人と、これまでで最も多くなったことが警察庁のまとめで分かりました。

    警察庁によりますと、認知症やその疑いがあり、はいかいなどで行方不明になったとして、去年警察に届け出があった人は延べ1万6927人で前の年より1064人増えました。

    6年連続で1万人を超え、これまで最も多かったおととしを上回って、統計を取り始めた平成24年以降で最も多くなっています。

    都道府県別では、大阪が最も多く2117人、次いで埼玉の1782人、兵庫の1585人などとなっています。

    99%の人は、去年のうちに所在が確認されましたが、197人は行方が分からないままでした。

    一方、認知症やその疑いがある人で過去に行方不明の届けが出され、去年死亡が確認された人は全国で508人でした。

    警察は、認知症の人の行動の特徴などを学ぶ専門の講座を警察官に受講させたり自治体から提供された認知症の人の顔写真などの情報をデータベース化したりして行方不明者の早期発見に向けた取り組みを強化しています。
    https://www3.nhk.or.jp/news/html/20190620/k10011961571000.html

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  6. [解説スペシャル]認知症予防 世界が挑む…生活改善や脳研究 重点
    2019/06/21 05:00

    国際会議で課題議論

     世界に約5000万人いるとされ、各国が取り組みを進める認知症。その最新課題を話し合う国際会議が5月にスウェーデンのストックホルムで開かれた。日本で関心の高い予防や共生についてどんな議論がされたのか。認知症への熱心な取り組みで知られるシルビア王妃のインタビューとともに報告する。 (編集委員 猪熊律子)


     5000万人

     「この4年間に世界で1000万人から1200万人の命が認知症により失われました。3秒に1人が認知症になっています」

     会議はこんな内容のビデオから始まった。日本では死因の印象は薄く衝撃的だが、「認知症が直接の死因になることはめったにないが、進行すると肺に食べ物が入る誤嚥性ごえんせい肺炎や転倒骨折の原因になる。先進国では死亡診断書に認知症と記載する傾向がある」とカロリンスカ研究所のアンデシュ・ビーモ教授が言う。

     ビデオではまた、発症の66%は開発途上国で起き、その割合が高まること、医療や介護などの社会的費用についても紹介された。

     WHOによれば、世界の社会的費用は2015年時点で8180億ドル(約90兆円)とされ、世界の国内総生産(GDP)の約1%にあたる。30年には年間2兆ドル(約220兆円)になるという。この財源や研究に必要な費用の確保が課題の一つだ。

     
     WHO指針

     根本治療薬がない中、注目されたのがWHOが公表したばかりの予防に関するガイドライン(指針)だ。認知症になる最大のリスク(危険因子)は加齢とされ、これはいかんともしがたいが、その他のリスク項目12への介入とその推奨の度合いを示した。例えば、健常者の運動や喫煙者の禁煙は、認知症と認知機能低下のリスク低減の点から「強く推奨」されている。

     ただし、良いとわかっていても個人の行動を変えるのは難しい。WHOのデボラ・ケステル担当部長は「屋外で安全に運動ができるなど環境整備は政府の責任だ」と強調。「推奨項目は認知症に限ったものではない」との声も聞かれたが、ライフスタイルを改善して発症時期や進行を遅らせることは「今後の研究につながる第一歩」であり、「認知症を病気としてではなく社会的挑戦ととらえよう」との発言が賛同を集めた。

     有病率の男女差についても関心が集まった。80歳代以上の有病率は女性が有意に高く、ホルモンやうつなどの影響が指摘されるが、理由はよくわかっていない。そこで性差の研究を進め、女性の脳の健康を守るキャンペーン(#Be Brain Powerful)が昨年、米国で始まった。

     「米国の認知症高齢者の3分の2は女性。性差の解明や女性の脳の活性化は認知症の未来像を大きく変える可能性がある」と「女性の脳の健康に関する世界同盟」会長のメリル・コマー氏が言う。
     

     優しい街へ

     共生に関しては、オランダが16年から国家プログラムとして「認知症に優しい街づくり」を進め、基礎的な知識を持つサポーターを20万人育てたことを報告。英国のHSBC銀行も、認知症の顧客を意識した店舗作りや従業員教育を行っていることを伝えた。

     会場が拍手に包まれたのはレニー・シャルクロス世界認知症審議会事務局長が「我々にとっての成功は『認知症に優しい街なんて時代遅れなことを言ってたときがあったね』と言えるほど認知症が特別なことではなくなった時」と話した時だ。

     会議ではまた、認知症の人たちが絵や彫刻などの芸術作品の前で自由に感想を語り合い、「思い出に出会う」ツアーが国立美術館で随時開催されていることも紹介された。会議の参加者が美術館に出向き、学芸員の案内でこの認知症に優しい芸術ガイドツアーを体験する一幕もあった。
     

     ◆認知症の国際会議=名称は「Dementia Forum X」。シルビア王妃の支援のもと、非営利団体「高齢者ケアフォーラム」がカロリンスカ研究所などと共同で、2015年から隔年で開催。医療・介護、研究、社会、財政、ビジネスの5分野から専門家が集まり、安心できる社会に向けて議論する。今回は世界保健機関(WHO)、経済協力開発機構(OECD)、閣僚、王室関係者など約140人が参加。

     
    WHOの指針であげられた12の介入項目

    〈 1〉運動

    〈 2〉禁煙

    〈 3〉栄養

    〈 4〉飲酒

    〈 5〉認知機能トレーニング

    〈 6〉社会参加

    〈 7〉減量

    〈 8〉高血圧

    〈 9〉糖尿病

    〈10〉高脂血症

    〈11〉うつ

    〈12〉難聴

     (WHO、厚生労働省資料などを基に作成)

     

    診断情報共有システム…スウェーデン IT活用

     診断やケアの質の向上にいかに最新技術やデータを活用するかは、各国共通の関心事だ。国際会議場を離れ、IT(情報技術)先進国として知られるスウェーデンのデータ活用例を取材した。その一つが、07年に始まった「SveDem(スベデム)」と呼ばれる全国認知症登録システムだ。

     診療所などを通じて年齢、性別、運転免許の有無、症状、治療結果などが登録され、更新もされる。「多くのデータを分析、比較することで、どこに住んでいても質の良い診断や治療を受けられるようにする。本人が拒否すれば登録はしないが、そうした例はない」とカロリンスカ研究所のドロタ・レリガ准教授が話す。

     17年までに7万3000以上の登録があった。データベースは公開され、例えば診断までの日数を県ごとに比較したグラフなどもある。

     ケアの全国登録システムもある。認知症の行動・心理症状(BPSD)の改善に役立てる「BPSD registry」で、10年に開発され、全自治体に導入されている。

     興奮、妄想などBPSDの指標となる12の項目を観察し、症状がひどければ最大12点をつける。いかに症状を軽減できるかを考えてケアプランを作り、実践した結果をまた測定する。

     「登録により一人一人に合ったケアを行った結果が『見える化』され、情報共有がしやすくなる。本人の生活の質が上がるほか、薬や職員のストレスの軽減効果も期待できる」と開発に携わったスコーネ県認知症センター長のエバ・グランビークさんが話す。

     介護施設の入居者の自立を促し、職員の負担軽減にもなると、スウェーデン中部のベステロース市では10年前からセンサーやスマホ、遠隔カメラなどの情報技術を積極的に導入している。「ITが得意な男性が介護の現場に多く応募し、良い効果を生んでいる」と市高齢者ケア企画官のエリカ・バレビーさんが言う。

     市直営の介護施設では、センサーを用いた見守りのほか、カラフルな花や魚の映像をテーブルに投影し、手で触れると映像が動いたり音が出たりして遊べるゲームも導入されていた。

     当初、技術を使うことを嫌がる職員もいたが、今では技術の活用は欠かせないものになっているという。

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    1.  
      1943年生まれ。父はドイツ人、母はブラジル人。76年、カール16世グスタフ国王と結婚。少女時代にブラジルで貧困や暴力に苦しむ子どもを見聞きした体験から、タブー視されてきた児童ポルノ問題にも目を向け、子どもを守る活動に取り組む。写真は、「偏見やタブーと思われていることでも、自分に何かできることがあるのではと考えます」と話すシルビア王妃

      母が忘れた記憶つなぐ…スウェーデン・シルビア王妃

       認知症に深くかかわるようになったのは母がきっかけです。父の死後、母の様子がおかしいことに気づきました。社交面は問題ないのに荷物の整理など実用的なことができない。両親はドイツに住んでいて、父が母を助けていたからでしょう、時折会う私たちにはわからなかったのです。

       母が17種類も薬を飲んでいることを知り、医学博士で認知症ケアの大家のバルブロ・ベック・フリース教授に相談しました。母を引き取り、薬を2種類に減らしました。めまいがひどく、昼前に起きるのが難しかった母が一緒にランチを食べられるようになり、人生を取り戻したかのようでした。

       ただ、認知症はそんなに簡単なものではありません。母は食事時に子どもたちにあいさつがないと言い、父の居場所を私に尋ねました。母もつらかったし、私たちもつらかった。私は真実を話さなければと思い、父は亡くなったと告げるたび、心が痛みました。教授は常に真実を告げなければいけないが、母が尋ねるのはそれだけ父が素晴らしい人だったから。だから、お父様はこんなことが好きでしたよねと言って母の考えをそちらに向けてはとアドバイスをくれました。

       認知症の人を感情的に困難な状況に置き続けないことが大事です。混乱を招かないよう、白身の魚は白いお皿にのせないとか、家具にはコントラストのはっきりした色を使うなど、工夫の余地は多くあります。

       母を通じて認知症ケアの難しさと専門職への教育の必要性を痛感し、1996年にデイケア兼認知症の教育研究機関「シルビアホーム」を設立しました。主にケアを担う准看護師が対象ですが、医師への教育やオンライン教育も導入し、日本や世界に広がっています。

       根治薬がない中、ライフスタイルを見直すことで認知症になる時期を遅らせる可能性が出てきたことは大きな希望です。

       大事なのは、あなたは認知症の人にとっての「懸け橋」になれるということ。母はかつて、私は私の人生を忘れてしまうと言いました。それはとても悲しいことです。でも、あなたが過去の思い出を共有し、語りかけ、寄り添えばその人の人生は失われずに済む。あなたが手助けできることはたくさんあるのです。

       
      日本も先進的

       認知症は世界的な課題だと改めて実感した会議だった。最新技術を積極活用するスウェーデンの取り組みは参考になる。一方、街づくりやサポーター養成は日本が進んでいると感じられた。「認知症になっても大丈夫といえるような備えや共生が大事」。こう話す日本の当事者の人たちの声を、もっと国際舞台に届けたいと思う。(猪熊)
      https://www.yomiuri.co.jp/commentary/20190620-OYT8T50115/

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  7. 内臓の耐用年数をすぎるとガタがくるのは、ごく普通におこる老化現象。

    脳もまた内臓のひとつにすぎない。昔なら脳がガタが来る前にほかの臓器がガタがきて命が尽きていただけの話。

    長生きできるようになったことと表裏一体。

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    1. ほかの臓器は使いすぎてダメになるが、脳は使わなくなってダメになる。

      脳の中核的機能は、神経ならびに筋肉の動作制御である。つかわなくなるとそれはしだいに衰える。認知機能とともに。

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  8. ヤコブ病、発症抑制の仕組みを解明 長崎大准教授ら マウス実験、人間への応用期待
    7/22(月) 11:10配信 西日本新聞

    石橋大輔准教授

     治療法が確立されていない「クロイツフェルト・ヤコブ病」の発症を抑制するメカニズムを、長崎大の石橋大輔准教授(免疫学)らの研究グループがマウスによる実験で突き止めた。研究用の試薬を投与することで体内の免疫機能が活性化し、病原体「異常プリオン」の感染力が低下することを確認。将来的に人間への応用も期待される。

     人間や動物の体内では病原体が侵入した際に異物を感知するセンサーが働き、インターフェロン(IFN)が生み出される。IFNは免疫機能を発揮させるスイッチの役割を果たし、それによって体内で生み出された別のタンパク質が病原体の活動を抑える。

     ヤコブ病の原因となる異常プリオンは、IFNを生み出す機能を低下させる。このため、発症を抑制するタンパク質ができにくい状態となるという。

     そこで研究グループは、人間には投与できないものの、IFNと同じ効果がある試薬に着目。マウスを病原体に感染させた上で、試薬を投与したグループとしなかったグループで比較したところ、投与したグループは平均で15日間長く生きた。

     マウスが発症すれば2週間程度で死ぬことはこれまでの研究で分かっており、試薬の投与で発症を2週間ほど遅らせることができたとした。この日数は人間の寿命に当てはめると2年分に相当するという。ただ、発症前しか効果は確認されず、発症前に感染の有無を診断する手法の確立が前提となる。

     ヤコブ病は患者が少ないこともあり、未解明な部分が多い。プリオン病に詳しい国立精神・神経医療研究センター(東京)の水沢英洋理事長は「『不治の病』の治療への道筋を示した点は高く評価できる」としている。研究成果は2月、英科学誌ブレインに掲載された。
    https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190722-00010005-nishinpc-sctch
    https://www.nishinippon.co.jp/item/n/528794/

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    1. CJD(クロイツフェルト・ヤコブ病)という創作捏造疾患への疑念疑惑…

      「CJD プリオン」
      https://www.google.co.jp/search?q=%EF%BC%A3%EF%BC%AA%EF%BC%A4+%E3%83%97%E3%83%AA%E3%82%AA%E3%83%B3

      「プリオン 片峰茂」
      https://www.google.co.jp/search?q=%E3%83%97%E3%83%AA%E3%82%AA%E3%83%B3+%E7%89%87%E5%B3%B0%E8%8C%82

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  9. アルツハイマー新薬候補、認知機能の低下2割抑える…米企業報告
    2019/12/10 20:30

     米国の製薬会社バイオジェンは、2020年の承認申請を目指しているアルツハイマー病の治療薬「アデュカヌマブ」について、認知機能の低下を約2割抑えられた、という治験(臨床試験)の結果を公表した。米当局が承認すれば、長期に症状の悪化を抑えられる初めての薬が誕生すると期待される。

     認知症全体のうち、6割以上をアルツハイマー病が占める。異常なたんぱく質が脳内にたまり、神経が傷ついて発症、進行するとみられている。申請を目指す薬は、異常なたんぱく質を取り除く働きを持つという。バイオジェンは国内の製薬大手エーザイと共同開発している。

     バイオジェンは、4~7日に米国で開かれた学会「アルツハイマー病臨床試験会議」で、早期のアルツハイマー病の患者らを対象にした治験の詳しい結果を報告した。薬を使わなかった約550人に比べ、使った約550人では1年半後、認知機能の低下を22%抑えられた。

     現在も認知症の治療薬はあるが、症状の緩和が一時的という課題がある。
    https://www.yomiuri.co.jp/science/20191210-OYT1T50276/

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  10. BSEの原因を初めて解明か 研究
    12/19(木) 15:50配信AFP=時事

    【AFP=時事】牛海綿状脳症(BSE)の原因を初めて突き止めた可能性があるとする研究結果が18日、米科学アカデミー紀要(PNAS)に発表された。

     BSEは神経変性疾患の一種で、1980年代に英国で初めて発生した。その原因については、これまで複数の仮説が提示されているが、その正しさが立証されているものは一つもない。

     BSEは、プリオンと呼ばれるタンパク質が異常な折り畳み形態に変化することで発生する「プリオン病」の一種。プリオンが原因とされる疾患にはこの他、ヒツジのスクレイピーや人に感染するクロイツフェルト・ヤコブ病(CJD)などがある。

     研究チームは特定の変異型スクレイピーを、ウシ由来プリオンを産生するように遺伝子操作したマウスに接種する実験を行った。この結果、変異型スクレイピーが、ある動物種から別の動物種に移る能力があることが分かっただけではなく、遺伝子操作されたマウスが従来型BSEを発症したことも明らかになったという。今回の研究を率いたフランス国立農学研究所(INRA)はこれについて、自然宿主の変異型スクレイピー中に従来型BSEが存在したことで説明できるとしている。

     INRAの研究者オリビエ・アンドレオレッティ(Olivier Andreoletti)氏はAFPの取材に、この遺伝子操作されたマウスは「ウシをこれらのプリオンに暴露したときに何が起こるかを、効率的に知ることができる非常に優れたモデルだ」と説明した。

     またINRAは、1980年代に英国でBSEが発生したことについて、今回のデータが初めて実験的な裏付けのある説明を与えたと述べている。

     英国で発生したBSEはその後、欧州、北米、その他の国々の畜牛に拡散したが、BSEで死んだ家畜や動物の死骸に由来する臓器などを含む餌を畜牛に与えたことで、拡散プロセスが加速した。また、BSEに感染した畜牛からつくられた製品に接触したことが原因で、人間が変異型クロイツフェルト・ヤコブ病に感染したという。

     欧州では1990年代から、動物由来の飼料の禁止や高リスク組織の廃棄など対策が多数講じられており、BSEの拡散は抑えられている。アンドレオレッティ氏は「これらの措置は今でも継続されているが経費がかさむため、一部地域では撤廃を求める声が上がっている」と指摘している。だが、効果の低い手段を使うとBSEが再発生する危険があると同氏は警告した。【翻訳編集】 AFPBB News
    https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20191219-00000026-jij_afp-sctch

    https://koibito2.blogspot.com/2016/03/blog-post_3.html?showComment=1576769334571#c7392853948325424876

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    1. 「プリオン BSE」
      https://news.yahoo.co.jp/search/?ei=UTF-8&p=%E3%83%97%E3%83%AA%E3%82%AA%E3%83%B3+%EF%BC%A2%EF%BC%B3%EF%BC%A5

      ラベル プリオン
      https://koibito2.blogspot.com/search/label/%E3%83%97%E3%83%AA%E3%82%AA%E3%83%B3

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  11. 免疫細胞、脳血管バリアー破る 抑制で認知症に効果か 神戸大・名大
    1/2(木) 14:55配信時事通信

     脳に酸素や栄養を供給する細い血管から神経細胞に有害な物質が漏出しないよう、血管の外側を覆うバリアーは、慢性炎症で脳内の免疫細胞が過剰に活性化すると破れることがマウスの実験で分かった。

     神戸大や名古屋大、自然科学研究機構生理学研究所などの研究チームが2日までに英科学誌ネイチャー・コミュニケーションズに発表した。

     このバリアーは「血液脳関門」と呼ばれ、脳神経細胞の網状構造を支え、活動を助ける細胞「アストロサイト」が血管の外側を覆っている。アルツハイマー型認知症や歩行が困難になるパーキンソン病などでは近年、バリアー機能の低下が報告されており、免疫細胞の過剰な活性化を抑えられれば、新たな治療・予防法になる可能性があるという。
    https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20200102-00000032-jij-soci

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  12. 医療ルネサンス
    高次脳機能障害<1>交通事故 頭強打し後遺症
    2020/02/12 05:00

    リハビリに取り組む様子を書き留めたノートを見ながら、入院当時について語る加藤貴之さん(左)と母のえりかさん

     友人とスキー場に向かっていた。2012年2月、大学4年生だった加藤貴之さん(31)らが乗った車は、岩手県北上市の高速道路で大型トラックに追突され、大破した。後部座席の加藤さんは前方に投げ出され、頭を強く打った。近くの病院に運ばれたが、意識不明の重体だった。

     「意識が戻る可能性は、ほぼないでしょう」

     東京から駆けつけた両親に、医師の言葉が非情に響いた。脳挫傷、くも膜下出血、びまん性軸索損傷などの診断名。体に目立った傷はないが、呼びかけても返事はない。目も開けない。ピクリとさえ動かない。数日がヤマ場だと言われた。

     幸い心肺機能は安定し、命の危機は脱したが、母のえりかさん(61)は、重すぎる現実に押しつぶされそうだった。いったん実家に戻って心身を休めていたところ、看病していた親戚からメールが届いた。

     「問いかけに反応が見られたそうです。希望が見えた気がします」

     事故から17日目のことだった。少しずつ意識を取り戻したが、目の焦点は合わず、首もゼンマイ仕掛けのロボットのように不安定。快活だった事故前とは別人のようだった。

     それでも都内の病院に転院する当日には、呼びかけに応じて口元を動かすようになっていた。看護師から話を聞いたえりかさんが、「お母さんと言ってみて」と耳元で呼びかけると、貴之さんは小さな声を絞り出した。

     「おかあさん……」

     事故後初めての言葉に、えりかさんは涙を流しながら夫と抱き合った。

     都内の病院では、会話は成立しないものの、簡単な言葉を発するようになった貴之さん。まひしていた右側の手足も、少しずつ動くようになった。思った以上の回復が見られたため、リハビリ専門の病院に移ることを勧められた。

     同年3月に再び転院すると、貴之さんの問診を終えた医師は、えりかさんらを別室に呼んだ。

     「高次脳機能障害という後遺症があります」

     高次脳機能障害は、脳卒中や脳外傷などが原因で、言語や記憶、注意、感情の制御などが、うまくできなくなった状態だ。疲れやすい、すぐに怒ってしまう、集中力が続かない、物事を覚えられない――など、人によって症状は様々だ。

     貴之さんも多くの症状を抱えていた。えりかさんは言葉を失った。

     「障害の重さと多さにショックを通り越して、医師の言葉がぼんやりとしか耳に入ってきませんでした。話題が自分の息子のことではないような感じでした」

     (この項続く。このシリーズは全5回)
    https://www.yomiuri.co.jp/medical/renaissance/20200211-OYT8T50068/

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    1. 高次脳機能障害<2>就職目指し 励む訓練
      2020/02/13 05:00

      リハビリの一環で描いた絵を眺める加藤貴之さん(右)と母のえりかさん

       「ここはどこだろう。あれ、体の右側が思うように動かない。野球で使いすぎたからかな」


       交通事故で脳を損傷した加藤貴之さん(31)は、2012年3月下旬、入院していた東京都内のリハビリ病院でそう思った。事故後、最初の記憶だった。

       この頃から、リハビリが本格化した。まひした右の手のひらを開いたり閉じたり、装具をつけて歩く練習をしたり。懸命に励んだ結果、独力である程度の距離を歩けるまで回復し、9月下旬に退院となった。

       一方、言葉や行動に、高次脳機能障害の影響が目立ってきた。話し始めると止まらない、菓子を食べ始めるとやめられない、相手の言葉が気に入らないとどなり散らす――。抑制が利かないこの障害の特徴だ。

       「かわいそうだけど怖くもあり、どう対処していいか途方に暮れていました。でも、どこまで治るかではなく、今後の人生をどう良くしていくかを考えるようになりました」。母のえりかさん(61)は振り返る。

       退院後も訪問リハビリでトレーニングを続け、走ったり、ボールを投げたりできるようになった。障害者の陸上競技大会に参加し、短距離走で好成績を収めるまでに回復した。

       13年春、子どもの頃に習った油絵を始めた。構図を考えたり、筆を握って色を塗ったりする動作が、リハビリにもなると考えたからだ。昨年5月には、事故後に描きためた22点を集め、都内で個展も開いた。

       高次脳機能障害者を支援する「いきいき*せかんど」(東京都目黒区)には今も通う。訓練やグループワークを通して、できるだけ他人の手を借りずに日常生活を送ることや、仕事に就くことなどを目指す施設だ。

       当初は、ささいなことでけんかをして施設を飛び出したり、通所中に電車が遅れると怒りをあらわにしたりすることも。しかし、どう対処すれば良かったかを振り返る訓練などを続け、感情を抑えられるようになってきた。

       運営するNPO法人の理事長で作業療法士の駒井由起子さんは、「持ち前の素直さで、真面目に取り組んできた」と評価する。

       現在、ルールや手順を守って仕事をする練習を続けている。夏には就職活動を始めたいと考えている貴之さんは、「障害に甘えず、できることを増やしたい」と意気込む。

       事故から8年。「大変なことも多かったが、小さな、うれしいエピソードを励みにここまできた」とえりかさん。「最近は怒りを爆発させることもなくなり、とびきりの笑顔を見せてくれるようになった」と目を細める。

       これから先も、貴之さんの歩みを見守り続ける。
      https://www.yomiuri.co.jp/medical/renaissance/20200212-OYT8T50052/

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    2. 高次脳機能障害<3>見えない障害 20年後診断
      2020/02/14 05:00

      指示通りに棚から文具や小物を出す練習をする田中寛子さん

       「一晩寝ると、前の日の記憶がなくなるんです。そんな生活が20年。だから苦には思わないですね」

       愛知県豊橋市の田中寛子さん(39)は屈託なく笑う。18歳の頃の交通事故で脳に損傷を負った。事故に遭ったことは、後から家族に聞いて知った。物覚えが悪くなった自覚はあるが、体になじんだ習慣や身近な人の顔は分かる。話し方やそぶりは健常者と変わらない。

       事故後、介護や清掃、飲食店など様々な仕事に就いた。しかし、出勤日を間違えてすぐに解雇されたり、上司の指示をメモに取っても忘れてしまい、「何度言っても覚えない」と怒られたりした。長い職場でも2年ほどしか続かなかった。

       ところが昨年、転機が訪れた。ハローワークで紹介してくれたのは、高次脳機能障害者を支援するNPO法人「笑い太鼓」。過去の記憶があいまいな田中さんの様子から、窓口の職員がこの障害を疑ったという。

       周囲だけでなく、本人も障害に気付いていないことがあり、「見えない障害」「隠れた障害」と言われる。田中さんは同年4月、笑い太鼓が同市内で運営する事業所を訪れた。直前まで事業所の施設長だった加藤俊宏さんは、田中さんと話をして、すぐに高次脳機能障害だと確信した。

       同県でこの障害の相談支援コーディネーターも務める加藤さんは、正式な診断が今後の生活に必要なことを痛感していた。診断がつくと、生活支援が受けられる精神障害者保健福祉手帳の取得や、障害年金の申請ができるようになる。田中さんは間もなく正式に診断がついた。

       笑い太鼓は、生活のリズムを整えるためなどに利用できる「生活介護」や、就職を見据えてビジネスマナーやパソコン入力などを学べる「就労移行支援」など、複数の機能をもった事業所だ。障害者総合支援法に基づく施設で、利用者は目的や回復の度合いに応じて機能を選ぶことができる。

       就労を目標とする田中さんは、決められた物品を棚から正確に選び出す作業やパソコン作業、履歴書の作成などに取り組んでいる。「この障害のことを分かってくれる会社で働けたらいいですね」と話す。

       ただ、高次脳機能障害の人に特化したサービスを受けられる施設はまだ限られている。加藤さんは「相談窓口は全国にできたが、受け皿はまだ少ない。適切な支援を受けられずに過ごす当事者も多いだろう」と顔を曇らせる。

       それでも笑い太鼓で、社会での役割を得て前向きになり、生き生きとした顔つきになる当事者を何人も見てきた。「そんな彼らの姿を見られるのが、この仕事の楽しみですね」
      https://www.yomiuri.co.jp/medical/renaissance/20200213-OYT8T50084/

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    3. 高次脳機能障害<4>当事者同士で編集作業
      2020/02/17 05:00

      3月に発送予定の季刊誌について話す編集長の高津俊文さん(右)とイラスト担当の島内貴子さん

       1月下旬、名古屋市の高次脳機能障害者向け事業所「笑い太鼓」で、季刊誌の編集会議が開かれた。「ここに入れるイラストは描けた?」「イラストじゃなくて写真を使うんだよ」。和やかな雰囲気で作業を進める男女4人は、この障害の当事者だ。編集長、補佐役、イラスト、データ入力などをそれぞれ担当している。

       笑い太鼓で年4回発行する季刊誌を、通所者が中心となって編集するようになったのは昨年から。全体像は職員が考え、発送までの日程管理や原稿の依頼、校正、印刷の発注などを4人が分担して行う。

       編集長を務める高津俊文さん(68)は、名古屋の企業に勤めていた。関連会社の社長として大阪に赴任していた2009年、くも膜下出血で倒れた。名古屋に戻り、自立訓練を行ったリハビリ病院に紹介され、11年から笑い太鼓に通う。

       記憶力や思考力の低下はあるが、大勢の部下を率いていた統率力を買われ、編集長に就任した。「編集長なんていっても、やっていることは下働きだよ」と話し、場を和ませる。

       イラスト担当の島内貴子さん(50)は、血液がんの骨髄異形成症候群になり、01年に骨髄移植を受けた。治療の過程で脳炎を患い、脳に損傷を受けた。体調が落ち着くと、事務の仕事に就いたが、段取りがうまくできなくなるなど、周囲との関係がスムーズにいかなくなり、転職を繰り返した。

       「以前の会社では陰口を言われたけど、ここはお互いの気持ちが分かり、何でも相談できる。明るくなったってよく言われますよ」

       絵を描くのが好きだったことから、イラストを任された。「文章を読んで絵にするのは難しいんですよ。夢にまで出てくるくらい」と苦笑いする。ほかの2人も交通事故や、脳の血液不足が起こる難病「もやもや病」の後遺症で、この事業所に通うようになった。

       愛知県豊橋市にある笑い太鼓と、同じNPO法人が運営する。ただ、通所者が目的ごとに訓練内容を選べる豊橋とは違い、名古屋は生産活動や社会との交流を目的とした「地域活動支援センター」として設置されている。障害の重さや背景の異なる人が一堂に会するのが特徴だ。

       名古屋の施設長の加藤美由紀さんは「いろんな人がいて、社会の縮図のような場所」と表現する。他の当事者とふれ合うことで自身の障害に気付く通所者も多いという。

       加藤さんは「人生の途中で障害者になった人ばかりで、本人も家族も受け入れることが大変です。当たり前の生活を取り戻すためにも、互いに理解し、認め合える空間が大切なのです」と事業所の意義を語る。
      https://www.yomiuri.co.jp/medical/renaissance/20200216-OYT8T50051/

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    4. 高次脳機能障害<5>損傷部位・程度で症状多様
      2020/02/18 05:00

      Q&A…はしもとクリニック経堂院長 橋本圭司さん

      1998年慈恵医大卒。東京医科歯科大准教授、国立成育医療研究センター医長などを経て現職。リハビリテーション医。
       高次脳機能障害について、はしもとクリニック経堂(東京都世田谷区)院長の橋本圭司さんに聞いた。

       ――高次脳機能障害とは何ですか。

       「脳卒中や交通事故などによる脳損傷が原因で、注意や記憶、言語、感情の制御などの機能に起こる障害です。生命維持や運動、感覚といった基本的な部分以外の、主に認知に関わる機能の障害を指します。原因の7~8割は脳卒中、1割が脳外傷で、ほかに脳炎や脳腫瘍などの病気がきっかけとなることもあります」

       ――どのような症状が出ますか。

       「損傷した脳の部位や程度により多様で、個人差も大きいです。何をやっても疲れやすい、ちょっとしたことに腹を立てる、何かを始める意欲がもてない、すぐに気が散る、人や物の名前が覚えられない、言葉が出てこない、言葉の意味が理解できない――といった症状があります。病院で気付かれず、社会復帰後に表面化することもあります」

       「ほかにも『病識の欠如』といって、自分が抱えている障害を認識していないことがよくあります。本人が病気の前と変わらないと思っている、障害の存在を否定する、リハビリを拒否するといった形で表れます」

       ――診断基準は。

       「〈1〉脳が損傷するきっかけとなる出来事があり、その影響で認知障害が起きている〈2〉原因と考えられる脳の病変がMRI(磁気共鳴画像)やCT(コンピューター断層撮影法)などで確認されている〈3〉脳損傷前から起きていた症状や発達障害、認知症ではない――のすべてを満たす場合です」

       ――対処法は。

       「症状ごとに異なります。感情的になりやすい場合は、ひと呼吸置いてイライラをリセットする方法を身につけると、感情が爆発しにくくなります。集中力の低下に対しては、余計な刺激を減らし、こまめに休むことなどで対応します」

       「記憶力が低下している時は、メモやスケジュール帳など道具を活用しましょう。スマートフォンなどIT機器も便利です。記憶力を回復させるのは大変ですが、道具で補うことで、できることも増えます」

       「有酸素運動は、脳機能の回復にお勧めです。脳に酸素をたくさん送り込むことで、損傷した部位を補おうとする働きが活発になると考えられます。深呼吸やストレッチ、ウォーキングを取り入れましょう」

       ――周囲の人はどうすればいいでしょうか。

       「できないことを責めるのではなく、できることを認めてください。当事者同士が話し合える場があると、自身の障害を理解しやすいようです。全国に相談窓口があり、障害に対する疑問や受けられる福祉サービス、就労などの相談に乗ってくれます。国立障害者リハビリテーションセンターのサイト(http://www.rehab.go.jp/brain_fukyu/soudan/)に掲載されているので参考にしてください」

       (森井雄一)
      https://www.yomiuri.co.jp/medical/renaissance/20200217-OYT8T50170/

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  13. 脳が壊れた(新潮新書) 2016/06/17
    鈴木 大介
    https://www.amazon.co.jp/gp/product/4106106736/

    >突然の脳梗塞に襲われた41歳のルポライター。一命は取り留め、見た目は「普通」の人と同じにまで回復した。けれども外からは見えない障害の上に、次々怪現象に襲われる。トイレの個室に突然老紳士が出現。会話相手の目が見られない。感情が爆発して何を見ても号泣。一体、脳で何が起きているのか? 持ち前の探求心で、自身の身体を取材して見えてきた意外な事実とは? 前代未聞、深刻なのに笑える感動の闘病ドキュメント!


    脳は回復する 高次脳機能障害からの脱出 (新潮新書) (日本語) 新書 – 2018/2/15
    鈴木 大介 (著)
    https://www.amazon.co.jp/gp/product/4106107546/

    >41歳で脳梗塞を発症。リハビリを重ね、日常生活に復帰した「僕」を待っていたのは「高次脳機能障害」の世界だった!小銭が数えられない、「おっぱい」から視線が外せない、人混みを歩けない、会話が出来ない、イライラから抜け出せないの「出来ないこと」だらけに加えて、夜泣き、号泣の日々。『脳が壊れた』から2年、著者はいかにして飛躍的な回復を遂げたのか。当事者、家族、医療関係者、必読の書。

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    1. 「高次脳機能障害 鈴木大介」
      https://www.google.co.jp/search?q=%E9%AB%98%E6%AC%A1%E8%84%B3%E6%A9%9F%E8%83%BD%E9%9A%9C%E5%AE%B3+%E9%88%B4%E6%9C%A8%E5%A4%A7%E4%BB%8B

      「高次脳機能障害 リハビリ」
      https://www.google.co.jp/search?q=%E9%AB%98%E6%AC%A1%E8%84%B3%E6%A9%9F%E8%83%BD%E9%9A%9C%E5%AE%B3+%E3%83%AA%E3%83%8F%E3%83%93%E3%83%AA

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  14. アルツハイマー病 iPS細胞の実験での発見薬 患者に投与し治験
    2020年6月5日 6時05分

    京都大学などのグループが、アルツハイマー病の患者の細胞から作ったiPS細胞での実験で見つけた薬を、実際に患者に投与して安全性や有効性を確かめる治験を始めると発表しました。

    これは4日、京都大学iPS細胞研究所の井上治久教授らのグループが発表しました。

    それによりますと、治験では京都大学附属病院など7つの医療機関で、遺伝的な要因で発症する「家族性アルツハイマー病」の患者を対象に、パーキンソン病などの治療に使われている「ブロモクリプチン」という薬を投与します。

    「ブロモクリプチン」はアルツハイマー病の患者から提供を受けた細胞から作製した、iPS細胞を使った実験で見いだされた薬で、実験では患者の脳にたまる異常なたんぱく質を減らす効果があり、特に「家族性アルツハイマー病」の患者の細胞で高い効果が見られたということです。

    グループでは今後、1年余りにわたって、合わせて10人を対象に薬を投与した患者と、偽の薬を投与した患者で比較するなどして安全性や有効性を確かめ、「家族性アルツハイマー病」の治療薬としての承認を目指すとしています。

    井上教授は「家族性アルツハイマー病は国内に数千人の患者がいるとされ、社会や家族の中で重要な役割を果たしている若年の方が発症する過酷な病気です。一刻も早く治療薬が届くようにしたい」と話しています。
    https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200605/k10012458561000.html

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  15. うつ病の発症 ウイルスが持つ遺伝子が関与している可能性
    2020年6月11日 14時41分

    うつ病の発症に、多くの人が幼い頃に感染する「ヘルペスウイルス」が関係している可能性があるとする研究成果を東京慈恵会医科大学のグループが発表し、うつ病発症のメカニズムや治療薬の開発などに役立つと期待されています。

    この研究を行ったのは、東京慈恵会医科大学の近藤一博教授らのグループです。

    グループでは、多くの人が子どもの頃に感染する「ヒトヘルペスウイルス6」というウイルスが脳の一部に感染すると、ウイルスが持つ「SITHー1」という遺伝子が強く働くことを突き止めました。

    そこで、マウスの脳でこの遺伝子を人為的に働かせたところ、マウスの行動が変化し、うつによく似た症状がみられることが確認されたということです。

    さらにグループが、うつ病の患者84人と健康な人82人の血液を調べたところ、うつ病の患者では79.8%の人でこの遺伝子が強く働いている反応があったのに対し、健康な人では24.4%だったということです。

    このためグループでは、このウイルスの遺伝子が強く働くことが、うつ病の発症に関係している可能性があるとしています。

    近藤教授は「これまで、うつ病の原因は、はっきりとは特定されていなかったが、ウイルスが関与している可能性が分かった。さらに研究が進み、発症の詳しいメカニズムが解明できれば、新たな治療薬の開発などにつながるはずだ」と話しています。
    https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200611/k10012466681000.html

    https://koibito2.blogspot.com/2019/02/2.html?showComment=1591861617294#c7255841316534756990

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  16. AIで血液を解析 病気のリスク予測するサービス提供へ
    2020年7月9日 16時17分

    血液中のタンパク質をAI=人工知能で解析することで病気のリスクを調べるサービスがこの秋、始まることになりました。

    新たなサービスは、NECのグループ企業が設立した新会社がアメリカの企業と共同で始めます。

    会社によりますと、数滴の血液から5000種類のタンパク質の濃度を調べ、AIで解析することで、健康状態や将来、病気になるリスクがわかるということです。

    結果をもとに一人一人にあった改善策を講じることで、病気の発症や重症化を防ぐのが目的です。

    ことし10月から循環器の病気を対象にしたサービスを医療機関に提供し、2023年度には50以上の病気に対応することを目指すとしています。

    また、新型コロナウイルスに感染した場合に重症化するリスクのある人を予測するといった応用も検討していく考えです。

    新会社のフォーネスライフの江川尚人社長は記者会見で「人生100年時代を健康寿命を保って過ごせるよう、技術力を付けて貢献していきたい」と述べました。

    ヘルスケアの分野は今後の成長が期待されていて、東芝が血液の検査によって13種類のがんを早期の段階で検出できる技術を開発するなど、各社とも研究開発にしのぎを削っています。
    https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200709/k10012506201000.html

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  17. 人工的なたんぱく質を注射で神経機能を回復 マウス実験で成功
    2020年9月2日 3時48分

    人工的に作り出したたんぱく質を注射することで、切れてしまった神経の機能を回復させることに、慶應義塾大学などのグループが、マウスを使った実験で成功したと発表しました。グループでは「安全性や効果についての確認をさらに進め、脊髄損傷やアルツハイマー病などの治療薬開発につなげたい」と話しています。

    この研究は、慶應義塾大学の柚崎通介教授と愛知医科大学などのグループが行ったものです。

    グループは、神経細胞が情報を伝達する「シナプス」と呼ばれる部分で、神経細胞どうしを結び付ける特殊な分子に注目し、この分子を元に「CPTX」という人工的なたんぱく質を合成しました。

    そして、脊髄損傷のため後ろ足がまひして歩けなくなったマウスに、このたんぱく質を注射したところ、2か月ほどで、まひしていた後ろ足の動きが、正常なマウスの8割程度まで改善し、歩けるようになったということです。

    また、脳の神経が損傷するアルツハイマー病を再現したマウスの脳に、このたんぱく質を注射したところ、記憶力が改善することも分かったということです。

    グループでは、このたんぱく質は、けがや病気などで損傷した神経の情報伝達の回路を回復させる働きがあるとしています。

    研究を行った柚崎教授は「今後、安全性や効果をさらに確認したうえで、治療が難しい脊髄損傷やアルツハイマー病など、人の治療につなげていきたい」と話しています。
    https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200902/k10012595631000.html

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  18. 神経細胞死 薬で防ぐ 動物実験に成功…東京医科歯科大
    2021/02/01 15:00

     脳梗塞こうそくなどによる神経細胞死を、遺伝物質を薬として使う新タイプの治療法で抑え、記憶力の低下を防ぐ動物実験に成功したと、東京医科歯科大などのチームが発表した。

     使ったのは「メッセンジャーRNA」(mRNA)で、生体内で様々な役割を持つたんぱく質をつくる設計図となる。米企業が新型コロナウイルスワクチンの主成分に使ったことでも注目を集めている。

     チームは、脳神経を守る働きがあるたんぱく質に着目。このたんぱく質のmRNAを人工合成し、直径1万分の1ミリ・メートル未満の粒子に閉じ込めた。

     実験では、ラットの脳の血流を6分間止めた後、この粒子を脳内に投与した。その結果、狙ったたんぱく質が脳内で作られ、神経細胞死が大幅に減ったことを確かめた。記憶力の低下の抑制も確認できたという。

     同大の位高啓史いたかけいじ教授(核酸医薬)は「多くの脳神経疾患などへの応用が期待される」と話す。研究成果は国際科学誌に掲載された。
    https://www.yomiuri.co.jp/medical/20210201-OYT1T50128/

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  19. 老化で衰えたマウスの脳、薬で修復力回復…アルツハイマー病治療につながる可能性
    2021/03/16 11:59

     老化で衰えたマウスの脳の修復力を薬剤で回復させることに成功したと、国立精神・神経医療研究センターなどの研究チームが発表した。認知症のアルツハイマー病などの治療法開発につながる可能性があるという。成果は16日、科学誌ネイチャー・エイジングに掲載される。

     老化などに伴い、脳の神経細胞を保護する構造が損傷することがある。傷が軽い場合は、脳内の別の細胞の働きで修復されるが、加齢に伴って修復力が衰えると、脳の働きの低下につながると考えられている。

     チームの村松里衣子・同センター部長らは、脳の神経細胞を保護する細胞の表面にある特定のたんぱく質「APJ受容体」を薬剤で活性化させた。すると、神経回路の修復が促進され、実際にマウスの運動機能が落ちにくくなったという。

     岩坪威・東京大教授(神経病理学)の話「学術的にも、応用面でみても非常に興味深い。APJ受容体を活性化する治療薬などが開発できれば、高齢者の認知機能を健常に保つ治療法につながる可能性がある」
    https://www.yomiuri.co.jp/science/20210316-OYT1T50068/

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    1. 仮にいくら「修復力」を活性化させることができても、「老化」そのものは、遅らせたり止めたりすることは不可能だからなあ…

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    2. しょせんは「たんぱく質」がらみの科学研究ごっこ手品だろ。

      道具仕立てはたいそう立派でも、やってることはしょせんは子供騙しの手品でしかない。

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  20. アルツハイマー病の新薬 米FDA承認と発表 エーザイが共同開発
    2021年6月8日 21時03分

    アルツハイマー病の治療薬としてアメリカの製薬会社と日本のエーザイが共同で開発した新薬について、アメリカのFDA=食品医薬品局は原因と考えられる脳内の異常なタンパク質を減少させる効果を示したとして治療薬として承認したと発表しました。

    アメリカの製薬会社「バイオジェン」と日本の「エーザイ」が開発したアルツハイマー病の新薬「アデュカヌマブ」は症状の進行を抑えることを目的とした薬で、脳にたまった「アミロイドβ」と呼ばれる異常なたんぱく質を取り除き、神経細胞が壊れるのを防ぐとしています。

    これについてFDAは7日「臨床試験の結果、『アミロイドβ』の減少が確認され、患者の症状への効果が合理的に予測される」と評価し治療薬として承認したと発表しました。

    FDAによりますとアルツハイマー病の新薬が承認されたのは2003年以来18年ぶりで、アミロイドβに作用する治療薬は初めてだということです。

    今回の承認は深刻な病気の患者に早期に治療を提供するための「迅速承認」という仕組みで行われたため、FDAは追加の臨床試験で検証する必要があるとしていて、この結果、効果が認められない場合には承認を取り消すこともあるとしています。

    この薬については去年11月、FDAの外部の専門家委員会が承認に否定的な結論をまとめていて、FDAが追加のデータを求めて審査期間を延長していました。

    FDAは7日の会見で「専門家委員会の意見を慎重に検討し、データを詳細に検証した結果、迅速承認すべきだという結論に達した」としています。

    病の進行抑える効果期待される初めての薬

    アメリカのFDA=食品医薬品局が承認すると発表した「アデュカヌマブ」は、日本のエーザイとアメリカの製薬会社バイオジェンが共同で開発したアルツハイマー病の治療薬です。
    アルツハイマー病は異常なたんぱく質、「アミロイドβ」が脳にたまって、神経細胞を壊すことが原因と考えられています。
    「アデュカヌマブ」はこの異常なたんぱく質、「アミロイドβ」を取り除く薬で、神経細胞が壊れるのを防ぐことでアルツハイマー病が進行するのを抑える効果があると期待されています。
    これまでのアルツハイマー病の治療薬は、残った神経細胞を活性化させるなどして症状の悪化を数年程度、遅らせるもので、病気によって脳の神経細胞が壊れていくこと自体を止めることはできませんでした。このため病気の進行自体を抑える根本的な治療薬が待ち望まれていました。

    「アミロイドβ」を取り除く薬は以前から研究されていましたが、「アミロイドβ」はアルツハイマー病を発症する10年以上も前からゆっくりと脳の中にたまっていくことや、薬の効果を確認するのが難しいことなどから思うように開発が進まない状況が続いていました。

    こうした中で、「アデュカヌマブ」は、「アミロイドβ」を取り除く効果が認められ、アルツハイマー病の進行そのものを抑える効果が期待される初めての薬となります。

    一方で、「アミロイドβ」を取り除くことができても一度壊れてしまった脳の神経細胞を元に戻すことは難しいことから、治療はできるだけ早い段階で始める必要があるとされていて、この薬も認知症を発症する手前の「軽度認知障害」の人やごく初期の認知症の人を対象として臨床試験が行われていました。

    「アデュカヌマブ」は日本でも去年12月に厚生労働省に承認の申請が出されていて、今後の審査の行方が注目されます。

    患者や家族の支援を行う団体「歴史的なこと」

    アメリカでアルツハイマー病の患者やその家族の支援を行うアルツハイマー協会のジョアン・パイク博士は、「アデュカヌマブ」の承認について、「アルツハイマー病の治療にとって歴史的なことだ」と述べたうえで、「この薬によって患者と、家族や介護者が、治療の在り方や、何をして過ごしたいかを考える時間が与えられると信じている」と述べました。

    また、「アルツハイマー病の診断に人々の関心が高まり、多くの人が早期の診断を受けることで、人生や治療についての話し合いを持つ機会をもたらすだろう」と述べ、承認をきっかけにアルツハイマー病に対する人々の意識が高まることへの期待を示しました。

    開発主導の製薬会社「薬の価値はコストに見合う」

    アメリカの製薬会社「バイオジェン」で、「アデュカヌマブ」の開発を主導してきたアルフレッド・サンドロック博士は、FDAの承認について「アルツハイマー病は、家族を認識できなくなったり、自立した生活が送れなくなったりと、患者と社会にとって影響の大きい病気で、この薬の価値は、コストに見合うと考えている」と承認の意義について述べました。

    また「これまでの臨床試験で患者の認知機能への効果を示す結果も示されている」と述べたうえで、追加の臨床試験が行われることについては、「FDAなどと議論をしている。臨床試験の詳しい内容については今後明らかにする」と話しました。

    エーザイ株が「ストップ高」 東京株式市場

    8日の東京株式市場では、エーザイの株式に買い注文が殺到し、一日の値上がり幅の上限となる「ストップ高」の水準まで値上がりして、取り引きを終えました。

    東京株式市場ではエーザイの株式に買い注文が殺到し、売り注文が少なかったことから売買が成立せず、午前の取り引きでは値がつきませんでした。

    その後、取り引き時間の終了と同時に一日の値上がり幅の上限であるストップ高で取り引きを終え、エーザイの株価は7日の終値より1500円高い、9251円の値を付けました。

    市場関係者は、「新薬が、アルツハイマー病の治療薬として効果をあげていけば、会社の収益力が大きく高まるという投資家の期待が先行した」と話しています。

    治験の結果は

    アルツハイマー病を根本的に治療する新薬はこれまでも盛んに研究されてきましたが、候補となる薬ができても有効性の評価が非常に難しいことなどから実用化に至った薬はありませんでした。

    今回、アメリカ・FDAが承認した「アデュカヌマブ」も申請に至るまでにいくつもの壁がありました。

    「アデュカヌマブ」は薬の効果や安全性を確認するための最終段階の「治験」として2つの臨床試験が行われ、それぞれ認知症の前段階とされる「MCI=軽度認知障害」やアルツハイマー型認知症のごく初期の人などおよそ1600人が参加しました。

    治験では、アデュカヌマブを少ない量で投与するグループと多い量で投与するグループ、それにアデュカヌマブが含まれていない偽の薬を投与するグループに分け、月に1回、1年半にわたって投与して認知機能の変化などを調べました。

    そして中間解析が行われましたが、結果は有効性があると確認するのは難しいというものでした。

    これを受けて、治験は中止となりましたが、会社によりますと、その後、最終的に試験を終えた人たちのデータを加えたうえで詳細な解析をしたところ、2つの試験のうち1つの試験で認知機能の低下が22%抑制されたという結果がでたということです。

    また、脳内にたまったアルツハイマー病の原因とされる異常なたんぱく質「アミロイドβ」が、59%から71%減少していることが確認されました。

    会社によりますと治験では、途中で計画が一部変更され、多い量を投与する人が増えたため、効果の確認につながったとしています。
    https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210608/k10013072991000.html

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    1. 共同開発のアルツハイマー病治療薬承認“感無量” エーザイCEO
      2021年6月9日 12時50分

      アメリカの製薬会社と共同開発した新薬がアルツハイマー病の治療薬として、アメリカのFDA=食品医薬品局から承認を受けた大手製薬メーカー「エーザイ」の内藤晴夫CEOは9日、オンラインで開いた説明会で「アルツハイマー病の原因に対する治療薬が承認され感無量の思いだ」としたうえで新薬の価格については、治療薬がもたらす価値を複合的に検討して考えたいとしました。

      内藤CEOは報道機関や投資家を対象にしたオンラインの説明会の冒頭で「ようやくアルツハイマー病の原因に対する最初の治療薬が承認され、感無量の思いだ」と述べました。

      そのうえで「アルツハイマー病は家族の介護負担が大きく、これらを評価することでこの新薬の複合的な価値の全体像が見えてくると思う」と述べ、新薬の価格については、治療薬がもたらす価値を複合的に検討していく考えを示しました。

      さらに、内藤CEOは「保険会社や金融機関と協業し、低所得者層に対してはNGOとの連携など革新的モデルを検討していく」と述べ、新薬を必要とする人たちに届けられる仕組みを構築したいという考えも示しました。

      また、将来的な業績への影響について内藤CEOは「新薬は圧倒的な売り上げを誇る治療薬となり収益に貢献するポテンシャルを持っている」と述べ、会社の収益をけん引する主力製品に成長する可能性があるという見方を示しました。
      https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210609/k10013075321000.html

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  21. 社説
    認知症の新薬 実用化へ効果を見極めたい
    2021/06/17 05:00

     認知症の中で最も多いアルツハイマー病の新しい治療法の確立につながるだろうか。日本でも有効活用に向けて、効果を見極めたい。

     米食品医薬品局(FDA)は、米製薬企業バイオジェンと日本のエーザイが開発した初期のアルツハイマー病治療薬「アデュカヌマブ」を承認した。アルツハイマー病の新薬が米国で認められたのは、18年ぶりのことだ。

     認知症の人は、世界に5000万人いるとされ、このうち6~7割をアルツハイマー病が占めている。これまで症状を一時的に改善する薬はあったが、根本的な治療薬は見つかっていなかった。

     アルツハイマー病では、脳内に異常なたんぱく質が蓄積し、徐々に神経が破壊されていく。アデュカヌマブは、このたんぱく質を除去する世界初の薬だ。病気の進行を長期間抑えられる可能性があり、画期的な新薬だと言える。

     ただ、効果を調べる臨床試験の結果には課題も残った。2回の試験のうち、1回は認知機能の低下を2割抑える効果がみられたが、もう1回は有効性が確認できなかった。薬の量が不十分だったことが考えられるという。

     FDAは「患者への利益がリスクを上回る」として、販売開始後に再試験を行うことを条件として承認に踏み切った。米国ではその判断に否定的な声もある。製薬企業はしっかり検証してほしい。

     日本では、アルツハイマー病の初期段階の人は200万~250万人程度で、100万人以上が投薬の対象になるとみられる。新薬は昨年12月、日本でも承認申請されている。米国の動向を踏まえ、審査を尽くしてもらいたい。

     脳内の異常なたんぱく質を調べるには特殊な画像診断装置が必要で、検査施設が限られている。血液検査で判別する方法が開発されており、実用化を急ぎたい。

     新薬の費用は、米国で患者1人あたり年間5万6000ドル(約610万円)となる見通しだ。日本で保険適用された場合、医療財政を圧迫する懸念がある。

     効果があれば、医療費が増えたとしても、介護費や家族の介護負担は軽減できる。新薬の使用によって介護にかかるコストをどの程度節減できるのかを試算し、薬価や保険が適用される患者の条件を考えなければならない。

     アルツハイマー病では、他の薬の開発も進んでいる。高齢化の進行で患者は今後も増えるだろう。将来の根治や予防に向けて、研究を重ねることも大切だ。
    https://www.yomiuri.co.jp/editorial/20210616-OYT1T50292/

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  22. 世界の認知症患者 65歳以上の6.9% 2050年には2.5倍に WHO推計
    2021年9月3日 6時53分

    WHO=世界保健機関は、世界全体の認知症患者の数はおととしの時点で5520万人に上るとの試算を発表しました。2050年には1億3900万人に増加すると推計していて、患者や家族を支える対策が急務だと呼びかけました。

    WHOは2日、認知症に関する新たな報告書を発表しました。

    それによりますと、世界の認知症患者数は、おととしの時点で5520万人で、65歳以上の人の6.9%にあたると推計しています。

    また、世界各地で高齢化が進むのに伴って、その後も認知症の患者数は増加し、2030年には7800万人に、2050年にはおととしのおよそ2.5倍に当たる1億3900万人に上ると推計しています。

    一方で、患者や家族を支える公的な政策が講じられているのは世界の4分の1にとどまっているとしていて、WHOのテドロス事務局長は「すべての認知症の患者が支援を受け、尊厳を保ちながら生きていけるように、協調した方策が必要だ」と述べ、患者や家族を支える対策が急務だと呼びかけています。
    https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210903/k10013240141000.html

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  23. 認知症 脳の炎症の仕組み マウス実験で解明 東京医科歯科大
    2021年11月16日 4時16分

    アルツハイマー病などの認知症は、脳にたんぱく質が蓄積することが原因の1つと考えられていますが、このたんぱく質が炎症を引き起こす仕組みを、マウスを使った実験で解明したと、東京医科歯科大学の研究グループが発表しました。将来、治療につながることが期待されるとしています。

    アルツハイマー病などの患者の脳では、「アミロイドベータ」と「タウ」と呼ばれる2種類のたんぱく質が蓄積していて、東京医科歯科大学の研究グループは、このうちの「タウ」が、脳の炎症を引き起こす仕組みをマウスを使った実験で調べました。

    マウスの脳に「タウ」を注入すると、炎症が起きて認知機能が悪化しますが、「タウ」は脳の中で免疫の役割をしている細胞の中に入り、「PQBP1」と呼ばれる別のたんぱく質が結び付くことで、炎症を引き起こしていることがわかったということです。

    さらに、薬剤を使って「PQBP1」が出ないようにしたマウスでは、「タウ」を注入しても炎症は起きず、マウスは、迷路を使った実験で、一度通った通路を記憶するなど、認知機能は通常の状態と変わらなかったということです。

    東京医科歯科大学の岡澤均教授は「今回解明されたメカニズムを活用し、ヒトでも脳内の炎症反応を抑えることができれば、将来、アルツハイマー病などの治療につながることが期待できる」と話しています。
    https://www3.nhk.or.jp/news/html/20211116/k10013348871000.html

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  24. 認知症医療の第一人者、精神科医の長谷川和夫さん死去…自らの認知症を公表
    2021/11/19 12:30

     認知症医療の第一人者として知られ、2017年10月に自らが認知症になったことを公表した精神科医の長谷川和夫(はせがわ・かずお)さんが13日、老衰のため死去した。92歳だった。告別式は近親者らで行われた。

     愛知県出身。1973年に聖マリアンナ医大教授となった。74年に、認知症の診断に使われる認知機能検査「長谷川式簡易知能評価スケール」を公表。91年の改訂版は、今も広く診療現場で使われている。2000年に高齢者 痴呆ちほう 介護研究・研修東京センター(当時)のセンター長となり、「パーソン・センタード・ケア」(その人中心のケア)の理念を普及させた。04年には、厚生労働省の検討会の委員として、「痴呆」という用語を「認知症」に変えるのに貢献した。

     認知症( 嗜銀顆粒しぎんかりゅう 性認知症)と公表した後、「長生き時代には誰もが向き合う可能性がある。なったと言える社会であることが大事」と、判断能力が衰えても安心して生きられる社会づくりの必要性を訴え続けた。
    https://www.yomiuri.co.jp/medical/20211119-OYT1T50156/

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  25. 認知症 治療薬研究 発症前の治験参加を支援 東大
    2022年2月3日 20時21分

    アルツハイマー病など認知症の治療法や予防法の迅速な開発につなげるため、東京大学のグループは、これまで進めてきた発症していない段階から研究に協力してくれる人を登録するシステムを本格的に活用して国際的な治験への参加を進めていくと発表しました。

    これは東京大学の岩坪威教授などのグループがオンラインで会見を開いて発表しました。

    認知症の一つアルツハイマー病は症状が出る10年以上前から異常なたんぱく質が脳の中にたまることが原因とされていて、できるだけ早期に治療を始めることが必要だと考えられています。

    グループでは新薬の開発などの際に発症前の人に研究に参加してもらうのが難しいことから、協力してくれる人を事前に募集して登録するシステム作りを3年前から進めてきました。

    グループによりますとこれまでに50歳から85歳までの健康な7500人あまりが登録を済ませ、このうち78人については、精密検査などの結果、認知症は発症していないものの異常なたんぱく質がたまり始めているおそれがあることが分かったということです。

    グループでは、こうした人たちに国際的な治験の情報を提供するなどして参加を支援していくということです。

    岩坪教授は「早く治療を始めれば、進行を遅くする効果が高まると考えられている。それを証明する国際的な治験が動き出すなか、国内からも対応する準備ができた」と話しています。
    https://www3.nhk.or.jp/news/html/20220203/k10013465441000.html

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  26. アルツハイマー病治療薬 厚労省部会で“承認か否か結論出ず”
    2021年12月22日 21時44分

    アメリカと日本の製薬会社が共同で開発したアルツハイマー病の治療薬について、厚生労働省の専門家部会は、現時点のデータから有効性を明確に判断することは困難だとして追加の治験のデータの提出を求めたうえで改めて審議することを決めました。

    改めて審議行う時期の見通し“現時点で示せず”

    この薬はアメリカの製薬会社「バイオジェン」と、日本の「エーザイ」が開発した「アデュカヌマブ」です。

    アルツハイマー病の進行を抑える薬として去年12月に承認の申請が行われ、22日に厚生労働省の専門家部会は有効性や安全性を審議しました。

    その結果、現時点のデータから有効性を明確に判断することは困難だとして、22日の時点では承認するかどうか判断せず、改めて審議することを決めました。

    審議では、課題として最終段階の治験の結果に一貫性がないことや、投与された人に脳のむくみや出血が見られたことなどが挙げられたということです。

    厚生労働省は、今後会社側に追加の治験のデータを求めたうえで改めて専門家部会で審議することにしています。

    審議を行う時期の見通しは現時点で示せないということです。

    「アデュカヌマブ」は、脳にたまった「アミロイドβ(ベータ)」という異常なたんぱく質を取り除いて神経細胞が壊れるのを防ぐ効果があるとされ、製薬会社は、アルツハイマー病の初期の患者などを対象にした国際的な治験で認知機能の低下が22%抑えられたとしていました。

    会社によりますと、これまで症状の進行を数年程度遅らせる薬はありましたが、病気の進行自体を抑える薬は世界でも初めてだとしています。

    海外ではアメリカのFDA=食品医薬品局がことし6月に条件付きで承認した一方、EMA=ヨーロッパ医薬品庁は17日、承認をしないよう勧告し、厚生労働省の部会が有効性をどう判断するかが焦点でした。

    治験に参加した院長「症状進行遅く感じるが劇的ではない」

    治験に参加した医療機関の1つで、東京 文京区にある認知症専門のクリニックの朝田隆院長は「アデュカヌマブ」について「これまで使ってきた対症療法の薬と違って、全体としては認知症の症状の進行の度合いが遅いように感じている。ただ、劇的ではないため、分かりやすいものではない。従来の薬と組み合わせることで症状の進行が遅くなって、生活が少しでも充実して楽しく過ごせる、その一助になる薬になるのではないかと期待している」と話していました。

    そのうえで副作用については慎重な対応が必要だとして「3人に1人くらいの確率で、脳の血管の周囲がむくんだり、出血を起こしたりする。慎重の上に慎重を期した対応が求められ、頻繁にMRIで観察する必要があり、当面はどこでも誰でも使える薬になることは難しいと思う。ただ、この薬が効果の面でも費用の面でも新たなものが生まれてくるきっかけになればと思う」と話していました。

    治験に参加した男性とその妻は

    「アデュカヌマブ」の治験に参加した60代の男性は「元気に好きなことをしながら生活できるような薬ができてほしい」と話しています。

    この男性は、60歳ごろから常に頭に霧がかかったような感覚となり、道に迷ったり、何度も同じ話を繰り返したりするようになったということで、認知症になる前の段階とされる「MCI=軽度認知障害」と診断され、その後、軽度のアルツハイマー型の認知症と診断されたということです。

    男性は「認知症のせいでやりたいことが制限されることなく、元気に好きなことをしながら生活できるような薬が出てくることは素晴らしいと思うし、そういう薬ができてほしい。薬ができることで次の世代の人が認知症から脱却できればうれしい」と話していました。

    また男性の妻は「認知症で不安を感じているときに、頼りになるものが1つでも多い方が、これからどうするかを考える力になるので、治験に参加したことは総合的にみて、いい影響があると思います」と話していました。

    日本認知症学会の理事長「問題点が慎重に審議されたのでは」

    厚生労働省の専門家部会で「アデュカヌマブ」を承認するかどうかの結論が出ず、改めて審議する必要があるとされたことについて、日本認知症学会の理事長で、東京大学の岩坪威教授は「アルツハイマー病の原因と考えられるアミロイドβに直接働きかけて、病気の進行を遅らせる薬は初めてで、実現すれば画期的なことだが、治験の有効性データが完全ではなかったことなど承認にあたっての問題点が慎重に審議されたのだと思う。この薬は対象となるのが症状の軽い人に限られるなど課題もあるが、仮に承認されれば今後、さらに良い薬や診断法が出てくるきっかけになることは間違いないと考えている。さまざまな課題を解決して、アルツハイマー病の新しい治療の先駆けとなる薬ができるだけ早い時期に日本の臨床現場でも使えるようになるよう前向きな議論が続くことを期待したい」と話していました。

    当事者や家族などの団体「今後も審議を」

    アルツハイマー病の治療薬「アデュカヌマブ」の承認の判断が見送られ、改めて審議することが決まったことについて、認知症の当事者やその家族などでつくる「認知症の人と家族の会」の鈴木森夫代表理事は、「もう少し時間をかけてしっかり審議したいということだと受け止めている。薬が承認され、認知症が治らない病気ではなくなることは患者にとって大きな希望だし、次の新たな治療の突破口にもなるので、新薬を待ち望む認知症の人や家族の思いに応えて、しっかり今後も審議を重ねてほしい」と話していました。
    https://www3.nhk.or.jp/news/html/20211222/k10013399481000.html

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  27. AIで解析 認知症発症を高精度で予測 富士フイルムなど
    2022年5月9日 13時52分

    脳のMRI画像をAI=人工知能を使って解析することで、認知症の前段階とされる「MCI=軽度認知障害」の人が、その後、認知症を発症するかどうかを高い精度で予測する技術を富士フイルムなどのグループが開発したと発表しました。

    この研究は、富士フイルムと国立精神・神経医療研究センターのグループが海外の学術誌で発表しました。

    グループは、画像認識の技術を活用し、脳のMRI画像からアルツハイマー病の進行に関わるとされる「海馬」と呼ばれる部位などを識別して、これらの領域を中心にAIに学習させたところ、脳全体を学習させた場合と比べ、病気の進行に関わるよりわずかな脳の萎縮などを捉えることができるようになったということです。

    国内外の患者のデータを使って検証したところ、認知症の前段階とされる「MCI」の人の脳の画像から、2年以内にアルツハイマー病を発症するかどうかを80%以上の高い精度で予測できたということです。

    グループでは、この技術を応用し、症状が進行する可能性が高い人を対象に治験を行うことで、薬の有効性をより正しく評価できるようにしたいとしています。

    富士フイルム画像技術センターの李元中主席研究員は「新薬の治験の成功率を向上させることで、患者の苦しみを減らすことにつなげたい」と話していました。
    https://www3.nhk.or.jp/news/html/20220509/k10013616971000.html

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  28. パーキンソン病 別のたんぱく質原因の新たなタイプか 阪大など
    2022年5月29日 7時00分

    体が動かなくなる難病、パーキンソン病は、脳に異常なたんぱく質がたまることが原因とされていますが、大阪大学などのグループは、これとは別の物質が原因とみられる新しいタイプのパーキンソン病を見つけたと発表しました。

    この研究は大阪大学大学院医学系研究科の別宮豪一特任講師などのグループが行いました。

    パーキンソン病は手足が震えたり、体が動かなくなったりする難病で、脳の一部に「αシヌクレイン」という異常なたんぱく質がたまることが原因とされています。

    グループでは、パーキンソン病と診断された1人の患者から死後に脳の提供を受け、詳しく調べたところ、「αシヌクレイン」ではなく、「TDPー43」と呼ばれる別のたんぱく質がたまっていることが分かったということです。

    「TDPー43」はほかの神経難病との関連は指摘されていましたが、パーキンソン病を引き起こすことは知られておらず、グループでは新たなタイプのパーキンソン病と考えられるとしています。

    別宮特任講師は「1例の解析ではあるが、パーキンソン病の原因を解明する研究に一石を投じる発見となったと考えている」と話していました。
    https://www3.nhk.or.jp/news/html/20220529/k10013648011000.html

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  29. 解剖実習遺体からプリオン 世界初、感染の危険 長崎大
    6/15(水) 14:28配信 時事通信

     長崎大は15日までに、大学の医学部などで行う解剖実習で使うために提供された遺体を調べた結果、1体からプリオン病の病原体となる異常型プリオンたんぱく質が検出されたと発表した。プリオン病と未診断の解剖実習遺体からプリオンが発見され、同病と確定したのは世界初という。

     プリオン病は致死性の疾患で、急速に認知症が進む「クロイツフェルト・ヤコブ病」などがある。プリオンはホルマリンに漬けても不活化されないため、解剖時に感染する危険があるという。論文は米医学誌ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシンに掲載された。 

     長崎大の研究グループは2011年に開発した高感度のプリオン検出技術を使い、20年度から解剖遺体の脳内に含まれるプリオンの有無を調べていた。その結果、21年度に39体中1体から検出され、病理検査によりプリオン病と確定した。

     同大の中垣岳大助教(ウイルス学)は「解剖に不慣れな学生らが細心の注意を払う必要があることが改めて示された」と話している。
    https://news.yahoo.co.jp/articles/28f4cb51fb624d73224517a6e3e495b1176b421f

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  30. 「病原体プリオン」ってさ、実在のものなのかなあ…

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  31. サルのうつ病、人為的発生に成功 東北大チーム 予防や治療法開発への応用期待
    9/6(火) 6:00配信 河北新報

     東北大大学院生命科学研究科の筒井健一郎教授(脳科学)の研究グループはサルの脳活動を磁気刺激で操作し、人為的にうつ病を発症させることに世界で初めて成功したと神経科学の国際学術誌で発表した。サルの脳は構造や機能が人間の脳に近く、うつ病の予防や治療法の開発への応用が期待される。

     脳前部にある前頭葉の内側面(内側前頭皮質)は情動や社会性、意欲の制御に関与し、うつ病患者では、その腹側部に機能異常が生じていることが指摘されている。

     研究グループは健常なサルの内側前頭皮質の腹側部に、電流による磁気刺激を頭蓋の外側から1日20分、4日間与え、腹側部に一時的な機能障害を起こした。

     磁気刺激を受けたサルは下を向いてじっと座ったり横たわったりと、活発な行動が大きく減った。血中のストレスホルモン濃度が著しく上昇し、簡単な課題はこなすが難しい課題はすぐやめてしまう意欲の低下など、人間のうつ病患者と同様の症状を示した。

     このサルに即効性の抗うつ薬を投与すると、症状が顕著に改善した。症状は腹側部以外の背側部や後方部への刺激では見られなかった。研究グループは腹側部の機能不全は気分や情動の調節を阻害し、うつ病につながると結論づけた。

     筒井教授は「新薬実験にはラットが使われるが、人間と脳の構造が大きく異なり、効果の判定が難しい。人間と同じ霊長類で脳の共通性が高いサルのうつ病モデルは予防策や治療法の開発、新薬候補の評価に大きく寄与する」と話す。
    https://news.yahoo.co.jp/articles/3cefceddbde12609ba7373e493bdd6ba66919ad3

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  32. 電話で“認知症の疑い” 測定のサービス開始 無料でAIが判定
    2022年9月21日 14時30分

    21日は認知症への正しい理解と支援を呼びかける世界アルツハイマーデーです。日本でも認知症の早期発見と治療が課題となるなか、大手通信会社が、AI=人工知能を活用し、認知症の疑いがあるかどうかを、電話で測定するサービスを無料で始めました。

    大手通信会社が始めたのは、電話をかけたうえで、その日の日付と、自分の年齢を答えるだけで、脳の健康状態をチェックし、認知機能を測定するサービスです。

    電話のガイダンスに従って回答すると、AI=人工知能が、声のトーンや回答の速さなど、1000余りの要素を分析し、その場で認知症の疑いがあるかどうか、音声で結果が伝えられます。

    判定にかかる時間は、およそ1分で、会社では、軽度の認知症の疑いがあるかどうか、93%の確率でチェックできるとしています。

    厚生労働省によりますと、認知症の高齢者は国内で600万人以上いるとされ、2025年には、65歳以上の人の5人に1人に当たるおよそ700万人にのぼると推計されています。
    サービスを企画したNTTコミュニケーションズの武藤拓二営業課長代理は、祖父母が認知症になった経験があり「認知症は身近なことにならないと気づけないので、気軽に利用してほしい」と話しています。

    このサービスの電話番号は、0120-468ー354で、来年3月末まで無料で利用できます。
    https://www3.nhk.or.jp/news/html/20220921/k10013829231000.html

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  33. 認知症の状態再現した「ミニチュア脳」作製に成功 慶応大発表
    2022年9月24日 7時58分

    アルツハイマー病の患者の皮膚から作ったiPS細胞を培養し、認知症の状態を再現した立体的なミニチュアの脳を作ることに成功したと慶応大学のグループが発表しました。認知症が起きる仕組みの研究や治療薬の開発に役立つと期待されています。

    研究は、慶応大学の岡野栄之教授のグループが行い、国際的な科学雑誌「セル・リポーツ・メソッズ」に発表しました。

    グループは、アルツハイマー病の患者の皮膚から作ったiPS細胞を、培養液に含まれるたんぱく質「増殖因子」の濃度を低くした状態で培養しました。

    すると、効率的に脳の神経細胞ができ、大きさが2ミリから3ミリほどある「オルガノイド」と呼ばれる立体的な細胞のかたまりができたということです。

    この「オルガノイド」では培養から120日目にアルツハイマー病の患者の脳にたまる異常なたんぱく質、「アミロイドβ(ベータ)」が確認できたほか、培養の途中で認知症の発症に関わるとされる「タウ」というたんぱく質を作る遺伝子を入れると、患者の脳と同様に「タウ」がたまる状態を再現できたということです。

    グループは病態の一部を再現したミニチュアの脳ができたとしていて、認知症の仕組みの研究や治療薬の開発などに役立つとしています。

    岡野教授は「マウスでの研究では、人の病態を再現しきれていなかった。今回、認知症の患者の病態を再現でき、治療法の開発につながると思う」と話しています。
    https://www3.nhk.or.jp/news/html/20220924/k10013833711000.html

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  34. アルツハイマー病の新薬“症状悪化抑える効果確認” エーザイ
    2022年9月28日 18時30分

    アルツハイマー病の新たな治療薬について、製薬大手の「エーザイ」は最終段階の治験の結果、症状の悪化を抑える効果が確認できたと発表しました。
    会社は、来年3月末までに国内や欧米で承認申請を行うとしています。

    「エーザイ」は28日、アメリカの製薬会社「バイオジェン」と共同で開発しているアルツハイマー病の新しい治療薬「レカネマブ」について、最終段階の治験の結果を発表しました。

    それによりますと、治験は2019年3月からアメリカや日本、それにヨーロッパなどで軽度の認知症の患者や発症の前段階の患者、合わせておよそ1800人を対象に行われ、2週間に1回のペースで薬を投与するグループと偽の薬を投与するグループに分けて、医師などが評価する形で患者の認知機能の変化などを調べました。
    その結果、投与から1年半たった時点で「レカネマブ」を投与したグループでは、症状の悪化が27%抑えられ、有効性が確認できたとしています。

    「レカネマブ」は、アルツハイマー病の患者の脳にたまる異常なたんぱく質「アミロイドβ」に抗体を結合させて取り除くことで神経細胞が壊れるのを防ぎ、病気の進行そのものを抑えることを目的としています。

    会社では、詳しい解析結果をことし11月にアメリカで開催される認知症の学会で報告するほか、来年3月末までにアメリカと日本、それにEUで承認申請を行うとしています。
    アルツハイマー病の新たな治療薬「レカネマブ」について、開発を進める製薬大手の「エーザイ」は28日、東京都文京区の本社で会見を開き、来年3月末までに国内や欧米で承認申請を行うとする方針を示しました。
    「エーザイ」の内藤晴夫CEOは会見で「今回の治験の成功は認知症治療における大きな前進で、承認後は介護負担の低減など前向きなインパクトを社会にもたらすと期待している。薬を待つ人たちのためにいち早く届けられるように全力を尽くしていきたい」と話しました。

    そのうえで、今後について、ことし11月にアメリカで開催される認知症の学会で詳しい解析結果を報告し、来年3月末までにアメリカと日本、それにEUで承認申請を行い、来年中の承認を目指す方針を示しました。

    治療薬「レカネマブ」とは

    「レカネマブ」は、製薬大手の「エーザイ」がアメリカの製薬会社「バイオジェン」と共同でアルツハイマー病の治療薬として開発を進めてきました。

    アルツハイマー病になった患者の脳では「アミロイドβ」と呼ばれる異常なたんぱく質がたまっていて、これによって神経細胞が壊れると考えられています。
    アルツハイマー病の治療薬は、これまで神経細胞に作用するなどして症状が悪化するのを遅らせるものはありましたが、国内では病気の進行そのものを抑える薬で承認されているものはありません。

    「レカネマブ」は「アミロイドβ」が固まる前の段階で人工的に作った抗体を結合させて取り除こうというもので、神経細胞が壊れるのを防ぎ、病気の進行そのものを抑える効果が期待されています。
    ただ、壊れてしまった神経細胞を再生させることはできないため、発症する前の「軽度認知障害」の段階や、発症後、早期に投与することが重要だとしています。

    アルツハイマー病の治療薬 開発の歩み

    アルツハイマー病の治療薬として使われている薬は4種類ありますが、国内では新薬の承認は2011年以来ありません。

    現在使われている薬はアルツハイマー病の症状を緩和したり悪化するのを遅らせたりするもので、脳の神経細胞が失われるのを防いで、病気の進行そのものを抑える薬はありませんでした。

    その中で、製薬大手の「エーザイ」とアメリカの製薬会社「バイオジェン」は、アルツハイマー病の進行そのものを抑える目的で、今回の「レカネマブ」とは別の抗体医薬「アデュカヌマブ」の開発を進めてきました。
    「アデュカヌマブ」について、アメリカのFDA=食品医薬品局は去年6月、患者の脳内にたまる異常なたんぱく質「アミロイドβ」を減らす効果があるとして、深刻な病気の患者に早期に治療を提供するために設けられた「迅速承認」という制度のもとで、条件付きで承認しました。

    ただ、この薬は最終段階の治験で有効性を示す一貫したデータが示されなかったなどとして専門家から異論が出され、アメリカでも「メディケア」と呼ばれる高齢者向けの保険では、特定の治験に参加する患者を除いて使用が認められていません。

    また、ヨーロッパ医薬品庁も「全体としては治療に効果があると示されていない」として承認しないよう勧告し、製薬会社が申請を取り下げています。

    さらに、日本の厚生労働省の専門家部会でも有効性を明確に判断するのは困難だとして、承認するかどうか判断せず、改めて審議するとしています。

    アルツハイマー病の根本的な治療法がないなか、病気の進行そのものを抑えることを目的に開発が進められた今回の「レカネマブ」は最終段階の治験で有効性が示されるか、患者や専門家から注目が集まっていました。

    専門家「次の時代に向けた非常に大きなステップ」

    製薬大手「エーザイ」などが開発を進めるアルツハイマー病の治療薬「レカネマブ」について、日本認知症学会の理事長で、東京大学の岩坪威教授は「今回の治験結果は『アミロイドβ』に対する抗体医薬がはっきりと有効性を示した最初の例になる。『アミロイドβ』をターゲットとする治療法が一定の条件を満たす場合には確かに有効であると言えたのではないかと思う」と評価しました。

    そして「これまでの薬は、症状を改善させる薬で、病気自体が進行していく過程に効果を及ぼすものでなかったが、今回は、脳の中の異常なたんぱく質がたまっていくのを防いで取り除く薬で、病気そのものに歯止めをかけていくものだ。まだすべての認知症の方をカバーできる薬ではないが、次の時代に向けた非常に大きなステップになると思う」と述べました。

    また、今後のアルツハイマー病治療への影響について岩坪教授は、実用化された場合、当初は薬にかかる費用が高額になる可能性があるとしたうえで「早い段階で手を打って認知症の症状が進む人の数を減らすことができれば、介護にかかる努力やお金をセーブできることへの期待も高まっていく。今後、国内外で製薬会社が承認申請を行うことになると思うが、順調に進めば、来年にも日本で薬として承認される可能性があるのではないか」と指摘しました。

    そのうえで「今後、さらに有効性の高い治療法やほかのターゲットに対する治療法の開発が加速する非常に大きなきっかけになると期待している。日本が認知症の医療や研究でリーダーシップをとっていく1つのきっかけになればと思う」と話していました。

    認知症の当事者などの団体「待ち望んでいた」

    アルツハイマー病の新たな治療薬「レカネマブ」の有効性が確認されたとする治験結果が発表されたことについて、認知症の当事者や家族などでつくる団体からは歓迎する声が上がっています。

    全国およそ1万人の会員でつくる公益社団法人「認知症の人と家族の会」の鈴木森夫代表理事は28日、都内の看護学校で認知症への対応力を学ぶ講座の講師を務めました。

    この中で「レカネマブ」の治験結果について紹介した鈴木代表理事は、「アルツハイマー病の患者はますます増え、若年性で30代ぐらいから発症する人もいる中、初期の段階でしっかり治療できる薬は皆が待ち望んでいたもので本当に喜びたい」と話していました。
    また、講義のあとNHKの取材に答えた鈴木代表理事は「“不治の病”と言われるアルツハイマー病でも治る可能性があるという光が今回の治験の結果で見えたことの意味は大きい。認知症を根本から治療できる薬の実現を多くの人が期待している一方で今回の薬は早期のアルツハイマー病が対象だということで、症状が進んだ人たちにどこまで薬の効果が見込まれるかは気になるところだ。認知症にはさまざまな症状があるため、さらなる薬の開発が必要なのはもちろん、認知症になっても安心して暮らせる環境づくりが引き続き重要だ」と話していました。
    https://www3.nhk.or.jp/news/html/20220928/k10013839681000.html

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  35. パーキンソン病 患者の脳内に遺伝子投与 国内初の治験始まる
    2022年10月17日 22時13分

    手足が震えたり、体が動かなくなったりする難病、パーキンソン病の患者に対し、遺伝子を投与することで脳の指令を伝える物質を出すよう促す国内で初めての治験を自治医科大学のグループが始め、17日、患者への投与が行われました。グループは安全性と有効性を確認して、将来の治療につなげたいとしています。

    パーキンソン病は、脳内の神経細胞が徐々に失われることで神経伝達物質の「ドーパミン」が作れなくなり、手足が震えたり、体が動かなくなったりする進行性の難病で、厚生労働省によりますと患者は国内に14万人余りいます。

    自治医科大学附属病院のグループは、長期間にわたって症状の改善を目指そうと、脳内に遺伝子を投与することでドーパミンが出るように促す国内で初めての治験を計画し、17日、50代の男性患者に対し、脳に直接投与する手術を行いました。

    治験では人体に無害なウイルスを使って遺伝子を狙った場所に送り込むということで、グループでは今後、月に1人程度のペースで患者12人に投与し、6か月間、経過を観察して安全性と有効性を調べて、新たな治療法としての承認を目指すとしています。

    この治療の開発を進めてきた自治医科大学の村松慎一特命教授は「遺伝子が発現すれば、1回の治療で長期間の効果が期待できる。患者さんの苦労を減らし、生活の質の改善につなげたい」と話しています。

    遺伝子治療 長期間にわたる効果を期待
    パーキンソン病は根本的な治療法がなく、今回の遺伝子治療の治験では長期間にわたって効果を得られるようになることが期待されています。

    パーキンソン病は手足が震えたり、筋肉がこわばったりして体が動かしにくくなる難病で、脳内で体を動かす指令を送る役割を担う神経伝達物質の「ドーパミン」を作り出す神経細胞が減少することで発症します。

    パーキンソン病の治療では、不足するドーパミンを補うための薬やドーパミンの作用を強める薬が使われていますが、症状を緩和したり、悪化を遅らせたりする効果はあるものの、根本的な治療法は開発されていません。

    今回、治験が始まったパーキンソン病の遺伝子治療は症状を改善させる効果を継続させることを目指していて、病気の進行で薬の効果が弱くなった患者の前頭部に小さな穴を開け、大脳の「被殻」と呼ばれる部分に直接、遺伝子を注入します。

    遺伝子を「アデノ随伴ウイルス」という人体に無害なウイルスを使って、被殻の中にあるドーパミンを受け取る神経細胞に届けることで、この細胞でドーパミンが継続的に作られるようにするということです。

    パーキンソン病の治療については今回の治験以外にも根本的な治療を目指す研究が国内外で進められていて、京都大学のグループはヒトのiPS細胞から神経細胞の元となる細胞を作り出し、患者の脳に移植する臨床試験を4年前から実施し、安全性や有効性の検証を進めています。

    また、患者の脳内の神経細胞に蓄積する「αシヌクレイン」と呼ばれる異常なたんぱく質が神経細胞の減少に関係があると考えられていることから、欧米や日本の製薬会社はこのたんぱく質を取り除く抗体医薬などの開発を進めています。
    https://www3.nhk.or.jp/news/html/20221017/k10013861951000.html

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    1. 「抗体医薬」という架空仮想の医薬創造物語…

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  36. パーキンソン病などで脳にたまる異常たんぱく質 可視化に成功
    2022年8月31日 5時59分

    パーキンソン病や一部の認知症などの患者の脳に蓄積する異常なたんぱく質を画像で捉える技術を開発したと量子科学技術研究開発機構のグループが発表しました。
    病気の早期発見につながることが期待されています。

    この研究は、量子科学技術研究開発機構の樋口真人部長などのグループが神経科学の国際的な専門雑誌に発表しました。

    研究グループは、パーキンソン病や「レビー小体型」と呼ばれる認知症の患者の脳にたまる、「αシヌクレイン」という異常なたんぱく質に注目し、これに結合して微弱な放射線を出す特殊な薬剤を開発しました。

    そして、同じように「αシヌクレイン」がたまる神経の難病で、筋肉が硬くなり、運動障害などが起きる「多系統萎縮症」の患者3人に薬剤を投与して、特殊な装置で撮影すると、脳の中にこのたんぱく質がたまっている様子が撮影できたということです。

    存命の患者の脳の中で「αシヌクレイン」がたまっている様子を確認できたのは世界で初めてだということで、研究グループはパーキンソン病や一部の認知症でも早期発見や詳しい発症のメカニズムの解明につながるのではないかと期待しています。
    樋口部長は「病変がどこにどれぐらい見られるかはっきりさせられれば、疾患を見分ける精度が格段に上がり、治療薬の開発などの研究の足がかりになっていくと考えている」と話しています。
    https://www3.nhk.or.jp/news/html/20220831/k10013795541000.html

    https://koibito2.blogspot.com/2013/09/blog-post_20.html?showComment=1668065247198#c2827855626949720534

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  37. アルツハイマー病の新治療薬 最終段階の臨床試験で有効性確認
    2022年11月30日 16時22分

    製薬大手の「エーザイ」などが開発しているアルツハイマー病の新しい治療薬の最終段階の臨床試験を行っている国際的な研究グループは29日、この薬に症状の進行を遅らせる有効性が確認されたとする論文をアメリカの医学雑誌に発表しました。

    アルツハイマー病の新しい治療薬「レカネマブ」の最終段階の臨床試験を行っている、製薬大手「エーザイ」と東京大学やイエール大学などの研究グループは29日、アメリカの医学雑誌「ニュー・イングランド・ジャーナル・オブ・メディシン」に、臨床試験の結果を発表しました。

    臨床試験は50歳から90歳までの早期のアルツハイマー病の患者、およそ1800人を対象に行われ、薬を投与するグループと、偽の薬を投与するグループに分けて、患者の認知機能の変化などを調べました。

    その結果、薬の投与を始めて1年半後の時点で比較すると、「レカネマブ」を投与したグループでは、偽の薬を投与されたグループより、認知機能の低下がおよそ27%抑えられ、症状の進行を遅らせる有効性が確認できたとしています。

    また、アルツハイマー病の原因とされる、脳にたまる異常なたんぱく質「アミロイドβ」の量も、薬を投与されたグループでは大幅に減少したということです。

    一方で、薬を投与された患者の17.3%の人で脳の出血が、12.6%の人で脳の腫れが報告されたということです。

    これは、偽の薬を投与された患者よりも高い割合で、研究グループは今後も長期的な安全性の確認を行っていくとしています。

    研究に関わった東京大学の岩坪威教授は、「症状の進行を遅らせるはっきりとした効果が確認された画期的な成果だ」と話しています。

    エーザイは、この臨床試験の結果をもとに、来年3月末までにアメリカと日本、それにEUの規制当局に薬の承認を申請する方針です。

    研究グループ「介護負担の軽減につながる可能性がある」

    研究グループは、日本時間の30日、アメリカで開かれている国際的なアルツハイマー病の会議でも今回の臨床試験の結果を報告しました。

    臨床試験では「レカネマブ」を投与したグループと、偽の薬を投与したグループで認知機能の低下に変化があるかを調べました。

    そしてデータを詳しく分析した結果、レカネマブを投与したグループでは偽の薬のグループと比べて認知機能の低下を7か月半、遅らせるとみられることが分かったということです。

    さらに別のシミュレーションでは「レカネマブ」の投与によって、アルツハイマー病がより軽度の状態で持続する期間が、これまでよりも2年半から3年1か月、延長される可能性が示唆されたということで、グループではこうしたことから、「介護負担の軽減につながる可能性がある」としています。

    一方、安全性について臨床試験の期間中に死亡した人の割合はレカネマブを投与したグループで0.7%、偽の薬を投与したグループでは0.8%とほとんど差はなかったということです。

    また、その後の試験では、レカネマブを投与された合わせておよそ1600人のうち、2人が脳の出血で死亡したと報告されましたが、エーザイは、死亡した2人にもともと重大な合併症があったこどなどから、「レカネマブによる死亡ではないと評価した」としています。

    「レカネマブ」とは

    「レカネマブ」は製薬大手の「エーザイ」が、アメリカの製薬会社「バイオジェン」と共同で、アルツハイマー病の治療薬として開発を進めてきました。

    アルツハイマー病になった患者の脳では「アミロイドβ」と呼ばれる異常なたんぱく質がたまっていて、これによって神経細胞が壊れると考えられています。

    アルツハイマー病の治療薬は、これまで神経細胞に作用するなどして症状が悪化するのを遅らせるものはありましたが、病気の進行そのものを抑える薬は国内で承認されているものはありません。

    「レカネマブ」は「アミロイドβ」が固まる前の段階で、人工的に作った抗体を結合させて取り除こうというもので、神経細胞が壊れるのを防ぎ、病気の進行そのものを抑える効果が期待されています。

    ただ、壊れてしまった神経細胞を再生させることはできないため
    ▽発症する前の「軽度認知障害」の段階や
    ▽発症後、早期に投与することが重要だとされています。
    https://www3.nhk.or.jp/news/html/20221130/k10013908331000.html

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    1. エーザイのアルツハイマー新薬に「症状抑制効果」…米医学誌に論文
      2022/12/01 00:24

       製薬大手エーザイなどのチームは、開発を進めてきたアルツハイマー病治療薬「レカネマブ」の最終段階の臨床試験で症状悪化を抑制する効果がみられたとする論文を、米医学誌「ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン」に発表した。論文は11月29日付。

       臨床試験には、国内外の50~90歳の早期アルツハイマー病患者1795人が参加。1年半にわたり2週間ごとにレカネマブを注射する集団と偽薬を注射する集団に分け、記憶力や判断力など認知症の悪化度合いの変化を比べた。論文によると、レカネマブの方が偽薬より症状の悪化を27%抑制する効果が確認された。

       同社は、11月30日の記者会見で「病気の進行を7か月半程度遅らせたことに相当する」と解説した。一方、米国の一部メディアで2人の投与後死亡例が報じられたことに対しては、「抗凝固薬などが投与されていた被験者で、レカネマブが直接的な死亡の原因とは評価していない」と説明した。

       レカネマブは現在、米国で迅速承認の審査を受けており、来年1月までに結論が出る予定。日本と欧州でも来年3月までに承認申請するとしている。
      https://www.yomiuri.co.jp/medical/20221130-OYT1T50306/

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  38. アルツハイマー病 血液のたんぱく質分析で早期診断 研究開始へ
    2022年12月4日 11時00分

    アルツハイマー病の早期発見は、治療を進めるうえでの大きな課題となっています。大手分析機器メーカー島津製作所や大分大学などは、血液中のたんぱく質を分析する技術が実際の患者で早期の診断に生かせるか調べる研究を、来年1月から始めることになりました。

    認知症で最も多いアルツハイマー病の患者の脳の中には、症状が出るおよそ20年前から異常なたんぱく質がたまり始めるとされ、早期の診断が治療を進めるうえで重要とされています。

    島津製作所は、ノーベル化学賞を受賞した田中耕一さんが開発を進めてきた、血液中にあるごく少量のたんぱく質を分析できる技術が、実際の患者で早期の診断に生かせるか、大分大学などとともに研究を進めることになりました。

    研究では、来年1月からの半年間をめどに、大分県臼杵市で早期の患者100人を対象に、実際に血液だけで異常を見つけられるかや、この検査による心理的な影響などを調べます。

    現在行われている検査は、患者の体への負担が大きく費用も高額だという課題があり、血液検査だけで早期発見できれば負担を軽減できると期待されています。

    11月には、製薬大手の「エーザイ」などが開発している新たな治療薬の最終的な臨床試験で症状の進行を遅らせる有効性が確認されたとする論文が出されていて、島津製作所は「早期発見を通じて適切な治療が受けられるようにしていきたい」としています。
    https://www3.nhk.or.jp/news/html/20221204/k10013912321000.html

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    1. 治療薬(開発)と検査システム(開発)は、表裏一体の医科様システム(開発)である。

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  39. アルツハイマー病の新薬「レカネマブ」米FDAが承認
    2023年1月7日 7時45分

    日本とアメリカの製薬会社が共同で開発したアルツハイマー病の新薬についてFDA=アメリカ食品医薬品局は6日、患者の脳内にたまっている異常なタンパク質を減らす効果を示したとして、治療薬として承認したと発表しました。

    FDAが6日、アルツハイマー病の新しい治療薬として承認したのは、日本の製薬大手「エーザイ」とアメリカの「バイオジェン」が共同で開発を進めてきた新薬「レカネマブ」です。

    アルツハイマー病になった患者の脳では「アミロイドβ」と呼ばれる異常なたんぱく質がたまっていて、これによって神経細胞が壊れると考えられています。

    FDAは、研究グループが行ったおよそ850人を対象にした中間段階の治験でこの薬を投与された患者の脳から「アミロイドβ」を減らす効果が示されたと評価しています。

    承認された治療薬はアミロイドβがたまる前に取り除くことで神経細胞が壊れるのを防ぎ、病気の進行そのものを抑える効果が期待されています。

    「アミロイドβ」に作用するアルツハイマー病の治療薬がアメリカで承認されるのは今回が2例目で、FDAは「アルツハイマー病との戦いにおける重要な進歩だ」としています。

    今回の承認は深刻な病気の患者に対し、より早く治療を提供する「迅速承認」という仕組みで行われ、開発したエーザイは、最終段階の治験のデータをもとに、すみやかに完全な承認を申請することにしています。

    「レカネマブ」とは

    「レカネマブ」は、製薬大手の「エーザイ」がアメリカの製薬会社「バイオジェン」と共同でアルツハイマー病の治療薬として開発を進めてきました。

    アルツハイマー病の治療薬は、これまで神経細胞に作用するなどして症状が悪化するのを遅らせるものはありましたが、病気の進行そのものを抑える薬は国内で承認されているものはありません。

    アルツハイマー病になった患者の脳では「アミロイドβ」と呼ばれる異常なたんぱく質がたまっていて、これによって神経細胞が壊れると考えられています。

    「レカネマブ」は「アミロイドβ」が固まる前の段階で人工的に作った抗体を結合させて取り除こうというもので、神経細胞が壊れるのを防ぎ、病気の進行そのものを抑える効果が期待されています。

    ただ、壊れてしまった神経細胞を再生させることはできないため、発症する前の「軽度認知障害」の段階や、発症後、早期に投与することが重要だとされています。

    エーザイ「速やかなフル承認申請の達成に向け全力」

    今回の承認を受け、エーザイは「アルツハイマー病の当事者と家族が抱える憂慮の解消を目指す継続的な取り組みの成果だ。アルツハイマー病は患者の医学的な問題や家族の介護負担だけでなく、生産性の低下、社会的コストや不安の増大など社会全体に影響を及ぼす問題で、必要とする人々へ薬のアクセスが可能となるよう最善を尽くすとともに、速やかなフル承認申請の達成に向けて全力で取り組む」とコメントしています。

    患者・家族の支援団体 “効果を期待”

    アメリカでアルツハイマー病の患者やその家族の支援を行っている「アルツハイマー協会」のヘザー・スナイダー博士は、エーザイなどの研究グループが去年11月、この薬に症状の進行を遅らせる有効性が確認されたとする論文を発表したことを踏まえて、「公開された論文からわかることはレカネマブによって、この病気の初期の患者が、より長く日常生活を過ごす、つまり、より長い時間、配偶者や子ども、それに孫を家族だと認識して、結婚式に出席したり、休暇を過ごしたりできるようになると期待できることだ」と評価しました。

    そのうえで、「アルツハイマー病とともに生きる人たちにとって、現在、治療法は限られている。今回、承認された薬を病気の初期段階で使えば、患者の生活の質、全体を向上させることができると信じている」と期待感を示しました。
    https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230107/k10013943571000.html

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  40. アルツハイマー新治療薬 米で承認 日本での承認申請も急ぐ考え
    2023年1月7日 18時13分

    アルツハイマー病の新たな治療薬「レカネマブ」がアメリカで承認されたことを受けて、開発した大手製薬会社が7日会見を開き、日本での承認申請についても手続きを急ぐ考えを示しました。

    大手製薬会社「エーザイ」などが開発した新たな治療薬「レカネマブ」は、アルツハイマー病の患者の脳にたまる「アミロイドβ」という異常なたんぱく質を取り除くことで病気の進行そのものを抑える効果が期待されていて、日本時間の7日、アメリカのFDA=食品医薬品局に深刻な病気の患者に対し、より早く治療を提供する「迅速承認」という仕組みで承認されました。

    これを受け、「エーザイ」の内藤晴夫CEOが会見を開き、「製薬会社にとって薬の承認を得ることは大変なことで感慨がある」と振り返ったうえで、「症状の悪化を抑制することによって、早期の段階の病気の進行を平均でおよそ3年遅らせると推定していて、社会的なインパクトは大きいと考えている」と述べました。

    そして、アメリカでの薬の価格を患者1人当たり年間、日本円にしておよそ350万円に設定したことを明らかにし、アメリカでは薬の投与の対象となる早期のアルツハイマー病の患者が3年後には10万人になるという見方を示しました。

    この薬の日本での承認申請について会社側は3月末までに行うとしていますが、内藤CEOは「1日も早く行いたい」と述べ、手続きを急ぐ考えを示しました。
    https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230107/k10013943871000.html

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  41. 「認知症」という評価や基準の定まっていない症状(疾患疾病とは言い切れない)に、「効く薬」だと言われてもね…

    ほんとうは「認知症」でない患者に投与多用されて、「治った」「効いた」っていう事例も多く含まれるようなことになってしまうのではないのかな。

    ほんまもんの「認知症(老人性痴呆症)」には、最初から効かないだろう。

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  42. [スキャナー]認知機能の低下「27%抑制」…アルツハイマー新薬、米で承認
    2023/01/08 06:16

     日本発のアルツハイマー病の新薬「レカネマブ」が、米国で迅速承認された。病気の原因とされる物質を脳内から除去し、認知機能の低下を遅らせる新たな治療法として、世界中から注目されている。日本でも年内に承認される可能性はあるが、対象患者を見つけるための検査体制の整備や高額な薬剤費など課題は多い。(医療部 竹井陽平、ワシントン支局 冨山優介)

    日常生活を維持 期待

    原因物質を除去

    アルツハイマー病治療薬「レカネマブ」の展望を語るエーザイの内藤晴夫CEO(7日午後、都内で)

     「未来の幕開けになる朗報。日本でも迅速に承認され、安心して適切な価格で使えることを切望します」

     「認知症の人と家族の会」の鈴木森夫代表理事は、承認の知らせを受け、期待をにじませるコメントを発表した。

     レカネマブは、日本のエーザイと米バイオジェンが共同開発した。一時的な症状改善を図る従来の薬と異なり、アルツハイマー病の原因とされるたんぱく質「アミロイド βベータ (Aβ)」を脳内から取り除き、病気の進行を緩やかにする効果を狙う。ただし、すでに壊れた神経細胞や低下した認知機能を元に戻せるわけではないため、対象は早期患者に限られる。

     昨秋に論文発表された最終段階の臨床試験では、1年半にわたり2週に1回、この薬を点滴した集団と偽薬を使った集団とで、記憶力や判断力など認知症の重症度を示す点数(最も重い=18点)の変化を比べた。その結果、レカネマブを使った集団では、症状悪化のペースが緩やかになる傾向がみられた。1年半後の重症度も、偽薬では1・66点悪化したのに対し、レカネマブでは1・21点にとどまり、27%の抑制効果がみられた。この差について、エーザイは「病状の進行を7か月半遅らせることに相当する」と説明する。

     日本認知症学会理事を務める東京都健康長寿医療センターの岩田淳・脳神経内科部長は「検証は必要だが、より長期に投与すれば、人によっては家事など身の回りのことを自分でできる期間を年単位で延ばすことが期待できる」と語る。

    脳の腫れや出血も

     一方、投与した患者の12・6%に脳の腫れ、17・3%に脳表面に小さな出血などがあったという副作用も報告されている。米食品医薬品局(FDA)は声明の中で「生命を脅かすことはめったにない」としつつも、頭痛や吐き気といった症状に注意を促した。

     一部米メディアで、臨床試験後も投与を続けた約1600人中3人が脳出血で死亡したとの報道もあった。だが、エーザイは「(血栓を防ぐ)抗凝固薬などが投与されていたケースで、レカネマブに起因する死亡ではない」などと説明する。

     Aβを取り除く薬を巡っては、バイオジェンが中心となって開発した「アデュカヌマブ」が一昨年夏、米国で迅速承認された。だが、有効性をめぐり疑義が噴出。日本では、厚生労働省の専門家部会が同年末に「現時点のデータでは有効性の判断は困難」と承認を見送り、欧州では申請が取り下げられた経緯がある。

     認知症に詳しい金沢大の小野賢二郎教授(脳神経内科)は「抗凝固薬との併用や、副作用のチェックは、専門家のいる施設で慎重に行う必要があるが、有効性や安全性の指標ではアデュカヌマブより優れているといえる。国内でも承認される可能性はある」と話す。

    検査体制整備 高額な薬剤費…国内実用化へハードル

     「新薬により認知機能や日常生活などをより長く維持できる可能性がある」

     エーザイの内藤晴夫・最高経営責任者(CEO)は、7日午後に東京都内で記者会見し、国内での一日も早い実用化に意欲を示した。高齢化が進む中で患者や家族の期待が高まる一方、課題も浮上している。

     まず、レカネマブの対象となる早期の患者を見つけるための検査体制を急ぎ整える必要がある。認知症の原因はアルツハイマー病だけではない。新薬の対象かどうかを調べるには、脳内にAβが蓄積し始めていることを確認しなければならない。アミロイドPETという特殊な画像検査か、腰の背骨の間に針を刺して脳脊髄液を採取する検査を行うが、アミロイドPETができる施設は、国内で数十施設。脳脊髄液検査も、取り組んでいる医師は少数とみられ、せっかく薬が承認されても、どれだけの医師が対応できるかは未知数だ。

     また、実際に薬の投与が始まれば、脳内に出血などの副作用が起きていないか確認するMRI(磁気共鳴画像)検査も必要になる。

     日本認知症学会は、全国約500か所の認知症疾患医療センターを対象に、新薬に対応する検査設備やスタッフの有無を調べている。

     さらに、医療費の問題がある。レカネマブは、遺伝子組み換え技術を用いた抗体医薬で、製造コストが高額だ。米国での販売価格は1人あたり年間2万6500ドル(約350万円)で、日本でも年間百万円単位になるとみられる。

     日本老年精神医学会など関連6学会は、国内では年数万人規模で投与が始まると予測する。これを公的保険診療の中で賄うことになれば、財政を圧迫すると懸念する声もある。

     医療経済に詳しい五十嵐中・横浜市大准教授は「価格と患者数、投与期間の長さを考えると、医療財政に与える影響は大きい。だが、薬で病気の進行を抑えられれば、家族の介護の身体的・経済的負担を減らせる可能性もある。費用対効果については、視野を広げて考える必要がある」と指摘する。(医療部 影本菜穂子)
    https://www.yomiuri.co.jp/medical/20230107-OYT1T50320/

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  43. アルツハイマー病の新薬 エーザイが国に承認申請
    2023年1月16日 10時42分

    大手製薬会社の「エーザイ」は、開発を進めてきたアルツハイマー病の薬について、16日、国の承認を求める申請を行ったと発表しました。

    日本の製薬会社「エーザイ」はアメリカの「バイオジェン」と共同で開発を進めてきたアルツハイマー病の薬「レカネマブ」について16日、厚生労働省に承認を求める申請を行ったと発表しました。

    アルツハイマー病になった患者の脳では、「アミロイドβ」と呼ばれる異常なたんぱく質がたまっていて、これによって神経細胞が壊れると考えられています。

    「レカネマブ」は、「アミロイドβ」に、人工的に作った抗体を結合させて取り除くための薬です。

    「エーザイ」などの研究グループによりますと、最終段階の治験の結果で、この薬を投与された患者は、偽の薬を投与された患者と比べて、1年半後の認知機能の低下がおよそ27%抑えられ、症状の進行そのものを緩やかにする効果が確認されたとしています。

    また、薬には脳の腫れや出血のリスクが高まることが報告されていますが、治験の期間中に死亡した人の割合は、投与のあるなしで差は出ていないとしています。

    「レカネマブ」はアメリカで今月6日に深刻な病気の患者に対し、より早く治療を提供する「迅速承認」という仕組みで承認されています。

    エーザイは国内では「ことし中の承認を目指したい」としています。
    https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230116/k10013950701000.html

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  44. 脳内に薬届ける 小さな粒開発…アルツハイマー病マウスに効果 東京医科歯科大など
    2023/02/26 05:00

     アルツハイマー病の治療薬を脳内に効率良く届ける小さな粒「ナノマシン」を開発し、病気のマウスの症状を抑えることができたと、東京医科歯科大などのチームが発表した。効果の高い治療薬の開発につながる可能性があるという。

     脳には血液から脳内に物質が入りにくい「血液脳関門」という仕組みがある。そのため、アルツハイマー病など脳の病気の治療薬の開発は難しいとされる。

     チームは、安全性が高い高分子などを使い、血液脳関門を通りやすくする工夫を加えた直径45ナノ・メートル(ナノは10億分の1)の球状の粒を作製。アルツハイマー病の原因とされるたんぱく質「アミロイド βベータ (Aβ)」に結合する抗体を粒の中に入れたナノマシンを作製した。

     このナノマシンを使うと脳内に入る薬の量は、抗体だけに比べ80倍多くなった。実際、病気のマウスにこのナノマシンを含む薬剤を週1回、10週連続で静脈投与すると、脳内のAβ量が減少し、記憶の維持も確認できたという。チームの横田隆徳・東京医歯大教授(脳神経内科)は「人への応用に向け研究を進めたい」と話す。

     理化学研究所の西道隆臣・チームリーダー(神経科学)の話「一つの戦略として期待できる。ナノマシンが炎症を起こさないかなど、検証が必要だ」
    https://www.yomiuri.co.jp/science/20230225-OYT8T50096/

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    1. アルツハイマー病マウスを作り出す腕とかワザのほうが凄そうだ。
      https://search.yahoo.co.jp/search?p=%E3%82%A2%E3%83%AB%E3%83%84%E3%83%8F%E3%82%A4%E3%83%9E%E3%83%BC%E7%97%85+%E3%83%9E%E3%82%A6%E3%82%B9&ei=UTF-8&fr=ush

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  45. アルツハイマー治療薬を効率的に脳に届ける技術 実験で成功
    2023年3月19日 8時24分

    アルツハイマー病の薬を、極めて小さな粒の中に包むことで、効率よく脳に届けることにマウスの実験で成功したと東京医科歯科大学などのグループが発表しました。
    アルツハイマー病の新薬は製造コストが高額なため、少ない量でも有効性を発揮する薬の開発につながる成果だとしています。

    アルツハイマー病の治療をめぐっては、原因とされる脳の異常なたんぱく質を取り除く抗体を用いた新薬の開発が相次いで行われていますが、抗体はそのままの大きさでは、血液から脳に異物が入り込むのを防ぐ「血液脳関門」を通り抜けることが難しく、わずかしか脳に届かないため、効率が悪いことが課題となっています。

    東京医科歯科大学の横田隆徳教授などのグループは、抗体をさらに小さくしたうえで、「ナノマシン」と呼ばれる血液脳関門を通り抜けやすくする物質を表面につけた小さな粒の中に包み込み、アルツハイマー病の症状を再現したマウスに投与しました。

    その結果、抗体が脳に届く量は、抗体を小さくしただけの場合と比べておよそ80倍に増え、効率が大幅に改善したということです。

    また、マウスの脳内の異常なたんぱく質が4分の1以下に減って、記憶を維持しやすくなったということです。
    横田教授は「効率的に脳に薬が届くことで、より高い効果が期待できるほか、薬の価格を下げることにもつながるので、人への早期の応用を目指したい」と話しています。

    この研究は、国際的な科学雑誌「ジャーナル オブナノバイオテクノロジー」で発表されました。
    https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230319/k10014012901000.html

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  46. 40・50代でも発症、遺伝アルツハイマー治験を年内にも開始…原因物質を除去
    2023/03/26 09:49

     新潟大と東大の研究チームが、若年発症が多い遺伝性の認知症「家族性アルツハイマー病」の家系の人を対象に、病気の原因と考えられる脳内の異常なたんぱく質を取り除く薬剤を投与する治験(臨床試験)を年内にも開始する。計画が両大学の治験審査委員会で2月末に審査され、新潟大で承認、東大で文書修正の条件付きで承認された。16の国・地域で行う国際共同臨床試験に参加する形で準備を進めている。

     アルツハイマー病は、脳内に「アミロイド βベータ (Aβ)」や「タウ」と呼ばれるたんぱく質が徐々に蓄積して、神経細胞が傷ついて脳が 萎縮いしゅく し、記憶力や判断力が低下すると考えられている。Aβの蓄積は発症の10~20年前から、タウの蓄積はAβに続いて始まるとされる。

     家族性アルツハイマー病は、40、50歳代の若年で発症する例が多く、Aβの蓄積は20、30歳代から始まる。遺伝子変異を受け継ぐと親の発症とほぼ同年齢で発症することがわかっている。こうした特徴から、この病気の研究は、高齢化に伴い患者が増加している一般的なアルツハイマー病のメカニズム解明や治療開発にも役立つと期待されている。

     臨床試験の対象は、家族性アルツハイマー病の観察研究に参加している人らの中で、血液検査で遺伝子変異が確認され、推定発症年齢の10年前から発症後10年以内の人。軽症患者のほか、無症状の人も含まれる。
    https://www.yomiuri.co.jp/medical/20230325-OYT1T50294/

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    1.  全ての参加者に3~4年間、日本の製薬大手エーザイなどが開発したAβを除去する薬「レカネマブ」を点滴する。米国では1月に早期アルツハイマー病患者を対象に迅速承認された薬で、日本でも審査中だ。

       参加者のうち半数には、タウの脳内への広がりの抑制を図る別の薬剤も点滴投与する。同社が開発中の「E2814」という薬だ。

       脳内のAβやタウの量の変化を調べるとともに、認知機能の悪化を抑える効果がみられるかなどを検証する。レカネマブのみのグループと2剤投与したグループで差が出るか確かめる。

       家族性アルツハイマー病の家系の人に薬を投与する臨床試験は、米国では昨年から行われている。全世界で約170人、国内からは10~20人の参加を見込む。

       国内の研究責任者を務める池内健・新潟大脳研究所教授は「家族性アルツハイマー病は働き盛りの年齢で発症することが多いので治療を求める声はより切実だ。薬の効果が検証できれば意義は大きい。成果は一般的なアルツハイマー病の治療にも生かせる」と話す。

        ◆家族性アルツハイマー病= アルツハイマー病のうち、遺伝子変異によって起こる病気。原因となる遺伝子変異は3種類判明しており、親から2分の1の確率で受け継ぐ。2013年度に全国の認知症専門医らを対象に行った調査では、434家系、患者987人が確認された。

      若年発症多く新薬切望
       家族性アルツハイマー病は、働き盛り、子育て中の40、50歳代での発症が多い。それだけに「この家系の人たちが新薬の臨床試験を待ち望む声は強かった」(池内健・新潟大脳研究所教授)。

       また、今回の臨床試験は、家族性だけでなく、高齢になって発症するアルツハイマー病全般の治療につながることが期待される。家族性も、一般的なアルツハイマー病も、脳内に異常なたんぱく質が蓄積し、神経細胞が傷ついて発症するメカニズムは共通と考えられている。家族性の場合は、親とほぼ同年齢で発症することがわかっていることから、発症をどれだけ抑制できたかなどの薬の効果が検証しやすいという。

       臨床試験に当たっては課題もある。参加者には、原因となる遺伝子変異を保有していることが告知される。将来の発症リスクと向き合わねばならなくなるが、今回の薬で発症を抑えられるかはわからない。専門家による遺伝カウンセリングなどの丁寧な説明や心理的なサポートが不可欠だ。(医療部 影本菜穂子)
      https://www.yomiuri.co.jp/medical/20230325-OYT1T50294/2/

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  47. [サイエンス Report]アルツハイマー 治療薬の最前線
    2023/04/02 05:00

    新薬レカネマブ 「原因物質」除去めざす…根拠仮説や効果「実感」に疑問も

     記憶や判断力が徐々に失われるアルツハイマー病。病気の原因とされる物質を脳内から除去する新たな治療薬「レカネマブ」が1月、米国で迅速承認を受け、日本でも承認に向けた審査が進められている。ただ、効果や副作用に課題を指摘する声もあり、さらなる効果を目指した薬の開発研究が進められている。(鬼頭朋子)

    たんぱく質蓄積

    米国で迅速承認されたアルツハイマー病の治療薬「レカネマブ」=エーザイ提供

     エーザイが開発したレカネマブはもともと、スウェーデン・ウプサラ大のラース・ランフェルト博士らの研究が基盤となった。ランフェルト博士は、北極圏に住む家族性アルツハイマー病の患者の脳を調べ、たんぱく質「アミロイドベータ(Aβ)」が複数個連なった小さな塊が大量にあったと2001年に発表した。

    ランフェルト博士=バイオアークティック社提供

     アルツハイマー病は脳の神経細胞が死滅する病気だ。発症の10~20年以上前から脳にAβがたまるほか、神経細胞内で「タウ」という別のたんぱく質が蓄積することが明らかになっている。それまでは、Aβが大量に集まってしみのように固まった「老人斑」が原因とされていたが、ランフェルト博士は「水に溶けたAβの小さな塊が有毒だと気付いた」と振り返る。

     博士はAβの小さな塊「プロトフィブリル」に結合する抗体を作成して薬にするため、ベンチャー企業を03年に設立。05年にエーザイと契約し、共同で研究開発を進めてレカネマブを完成させた。レカネマブの米国での迅速承認を受け、「強力なデータに基づいた研究と開発が実を結んだ。エーザイと連携できて良かった」と喜んだ。

    アミロイド仮説

     Aβがアルツハイマー病を引き起こす最初のきっかけになるという「アミロイド仮説」は広く知られている。だが、これまでこの仮説に基づく薬の多くは、治験で症状の進行を抑える効果を示せなかった。

     米製薬企業バイオジェンとエーザイが開発した「アデュカヌマブ」もその一つ。21年、脳内のAβを減少させたとして米国で迅速承認されたが、症状の進行を抑制する効果には疑義が持たれ、日本では承認が見送られた。

     レカネマブは発症早期の患者を対象とした治験で、Aβを減らした上、症状悪化のスピードを27%遅くする効果を示した。エーザイは、早期に治療を開始すれば、症状の進行を平均3年遅らせられると説明する。

     だが、治療効果の「実感」には疑問の声もある。米バンダービルト大のマシュー・シュラグ医師(神経科)は「効果は限定的で、ほとんどの患者と家族は効果に気付かないだろう」と指摘。患者の13%に脳の腫れ、17%に脳表面の微小出血などが生じた副作用にも懸念を示す。アミロイド仮説にも疑問を呈し、「治験結果は、Aβが病気のわずかな原因にすぎないことを示している。他のアイデアを検討すべきだ」と語る。

    異常な「タウ」も標的…複数薬の組み合わせで

     治療効果をさらに高めようという研究も精力的に進められている。

     理化学研究所の 西道隆臣さいどうたかおみ チームリーダー(神経科学)は、レカネマブを「ライト兄弟が発明した飛行機の試作品のようなもの」と例え、治療薬開発は緒に就いたばかりとの見方だ。Aβを分解して除去するたんぱく質「ネプリライシン」に注目する西道氏は、この働きを強める薬の開発を目指している。

     「『異常なタウ』の除去が重要だ」と訴えるのは、東京都医学総合研究所の長谷川 成人まさと ・認知症プロジェクトリーダーだ。実際の患者の脳を多く調べてきた経験から、「Aβが神経細胞へ与えるダメージは限定的」と語る。

     タウは通常、神経細胞の構造を支えているが、アルツハイマー病を含む様々な認知症患者の脳では異常な形でたまっている。長谷川氏らは、アルツハイマー病の患者の脳では、タウが特有の構造に変わっていることを明らかにした。

     エーザイは異常な形をしたタウを標的とした薬「E2814」の開発も進めている。E2814は細胞間を移動するタウを除去する働きがあり、脳内で病変が拡大するのを防ぐ効果が期待できるという。

     新潟大と東京大は年内にも、家族性アルツハイマー病の家系の人を対象に、レカネマブとE2814を組み合わせて効果を検証する治験を開始する。

     東大の岩坪威教授(神経病理学)は「Aβやタウなど、複数の標的に対する薬を組み合わせて使うことが、今後の方向性になるだろう」と話している。

    [ひと言]運動や生活習慣もカギ

     「頭蓋骨ってどれくらい分厚いと思う?」。東大薬学部の富田泰輔教授(病態生化学)に問われ、思わず自分の頭をたたいてみた。富田教授によると、脳は厚さ7~8ミリの頭蓋骨に覆われ、血液から脳に余計な物質が入るのを防ぐ「血液脳関門」にも守られている。それだけに、脳の病気は研究も治療薬開発も難しい。

     だが近年、実験手法の発展で脳の仕組みが少しずつ分かってきた。血液検査やIT技術を活用したアルツハイマー病の早期発見に関する研究も進んでいる。

     生活習慣とアルツハイマー病の関係も注目されている。富田教授は実験室での研究に加え、運動の効果を検証してきた。高齢者施設の入居者に、軽度認知障害の人向けに開発した運動プログラムに週2回参加してもらったところ、約3割の人に症状の改善傾向が見られたという。

     富田教授は「メタボ治療のように、アルツハイマー病も生活習慣や薬など、総合的に治療していく時代が来るのではないか」と語る。

     33歳の私が高齢者になった時、アルツハイマー病は克服できているのだろうか。まずは、運動や、ストレスをためない生活習慣を目指したい。(鬼頭)
    https://www.yomiuri.co.jp/science/20230401-OYT8T50091/

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  48. “異常なたんぱく質 血液から検出する方法開発” 順天堂大など
    2023年5月30日 4時46分

    パーキンソン病や一部の認知症の患者の脳などにたまる異常なたんぱく質を、血液から検出する方法を開発したと順天堂大学などのグループが発表しました。簡単で負担の少ない診断方法につながるとしています。

    この研究は、順天堂大学の服部信孝教授らのグループが国際的な医学雑誌「ネイチャー・メディシン」に発表しました。

    パーキンソン病や「レビー小体型」と呼ばれる認知症などでは「αシヌクレイン」という異常なたんぱく質が脳や体にたまることが知られていて、血液から検出できると早期診断につながると考えられていますが、確実に検出するのは難しいのが課題でした。

    そこで、研究グループは抗体を使って血液中の異常なたんぱく質を集めたうえで、増幅させて検出する新たな方法を開発しました。

    実際に調べたところ、健康な人や別の病気の患者では異常なたんぱく質が検出されたのは10%未満だった一方、パーキンソン病とレビー小体型認知症の患者では90%以上で、血液からこうした病気を見つけられると確認できたとしています。

    また、検出されたたんぱく質は、病気の種類によって構造などが異なっていて、簡単で負担の少ない診断方法や、病気の仕組みの解明などにつながるとしています。
    服部教授は「今は症状をもとに診断しているが、血液で見分けられれば、将来的には症状が出る前から治療を始められる」と話しています。
    https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230530/k10014082231000.html

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  49. アルツハイマー病の新薬 米FDA専門委が全会一致で承認推奨
    2023年6月10日 10時47分

    日本とアメリカの製薬会社が共同で開発したアルツハイマー病の新薬について、アメリカのFDA=食品医薬品局の外部の専門家でつくる委員会は治療薬としての承認を全会一致で推奨しました。FDAはすでに「迅速承認」という仕組みで承認していて、今後、完全な承認をするか判断します。

    FDAは9日、外部の専門家を集めた委員会を開き、日本の製薬大手「エーザイ」とアメリカの「バイオジェン」が共同で開発を進めてきたアルツハイマー病の新しい治療薬「レカネマブ」について話し合いました。

    この薬はアルツハイマー病の患者の脳にたまる「アミロイドβ」という異常なたんぱく質を取り除くことで、症状の進行を抑えることが期待されています。

    委員会では、製薬会社側が臨床試験の最終的なデータを示し、患者の症状の進行を緩やかにする効果があったと説明しました。

    出席した6人の専門家は全会一致で「患者への効果が確認できた」とする結論をまとめ、FDAに対し薬の承認を推奨しました。

    FDAはこの薬について、ことし1月、深刻な病気の患者に対し、より早く治療を提供する「迅速承認」という仕組みでいったん承認していて、今回示された臨床試験の最終的なデータをもとに、完全な承認をするか判断します。
    https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230610/k10014095661000.html

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  50. アルツハイマー病研究の第一人者、東大名誉教授の井原康夫氏死去…78歳
    2023/06/12 17:46

     アルツハイマー病研究の第一人者で、東大名誉教授の井原康夫(いはら・やすお)さんが10日、病気のため死去した。78歳だった。告別式は13日午前10時45分、横浜市青葉区美しが丘2の21の4公益社会館たまプラーザ。喪主は妻、啓子さん。

     アルツハイマー病患者の脳内に蓄積し、病気の原因の一つと考えられているたんぱく質「タウ」を発見した。別のたんぱく質「アミロイド βベータ 」が脳内でできる仕組みの一端も明らかにするなど、診断や治療法の開発に貢献した。
    https://www.yomiuri.co.jp/medical/20230612-OYT1T50118/

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  51. 米FDA アルツハイマー病の新薬「レカネマブ」を完全承認
    2023年7月7日 11時50分

    日本とアメリカの製薬会社が共同で開発したアルツハイマー病の新薬について、アメリカのFDA=食品医薬品局は「患者への有効性が確認できた」として、治療薬として承認したことを発表しました。

    FDAが6日、承認したのは日本の製薬大手「エーザイ」とアメリカの「バイオジェン」が共同で開発を進めてきたアルツハイマー病の新しい治療薬「レカネマブ」です。

    この薬はアルツハイマー病の患者の脳にたまる「アミロイドβ」という異常なたんぱく質を取り除くことで症状の進行を抑えることが期待されています。

    先月行われたFDAの外部の専門家でつくる委員会は、最終的な臨床試験のデータをもとに「患者への効果が確認できた」としてFDAに対し薬の承認を推奨していました。

    FDAは今回、承認した理由について臨床試験のデータによって「患者への安全性と有効性が確認できた」と説明しています。

    FDAはことし1月、深刻な病気の患者に対し、より早く治療を提供する「迅速承認」という仕組みでいったんこの薬を承認していて、今回の判断により、完全に承認されたことになります。

    レカネマブは、日本やヨーロッパ、それに中国などでも承認に向けた申請が行われています。

    当事者などでつくる団体「明るい兆し見えた」

    アルツハイマー病の新薬「レカネマブ」がアメリカで正式に承認されたことについて認知症の当事者や家族などでつくる団体「認知症の人と家族の会」がコメントを公表しました。

    コメントでは「治療への道が大きく開かれ、明るい兆しが見えたと大変喜んでいます。治療薬を待ち望んできた私たちにとって、アメリカでの迅速承認から半年での正式承認は、大変な朗報です」とした上で「日本においても一日も早くこの新薬が承認され、対象となる人達が、身近な医療機関で適切な価格で安全に使える薬となることを望みます」としています。

    そして、新薬の対象となる人が早期の患者に限られていることを踏まえて「認知症になっても安心して自分らしく暮らせる社会の実現は、治療薬開発の進展とともに当事者にとって重要です。認知症施策・支援制度や医療・介護サービスなど、総合的な取り組みがすすむことを期待します」としました。
    https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230707/k10014121221000.html

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  52. アルツハイマー病 日米共同開発の新薬 今月21日に承認判断へ
    2023年8月2日 1時08分

    日本とアメリカの製薬会社が共同で開発したアルツハイマー病の新薬について、厚生労働省は8月21日の専門家部会で承認するかどうかを判断することが関係者への取材で分かりました。承認されれば、アルツハイマー病の原因物質に直接働きかけ取り除くための、初めての薬が国内で製造・販売できるようになります。

    認知症の原因の1つである「アルツハイマー病」の新しい治療薬「レカネマブ」は、日本の製薬大手「エーザイ」が、アメリカの「バイオジェン」と共同で開発を進めてきた薬です。

    アルツハイマー病の患者の脳にたまる「アミロイドβ」という異常なたんぱく質を取り除くことで、症状の進行を抑えることが期待されています。

    エーザイは、ことし1月に「レカネマブ」について、厚生労働省に承認を求める申請を行っていましたが、厚生労働省は8月21日に専門家部会を開き、承認するかどうかを判断することが関係者への取材で分かりました。

    「エーザイ」などの研究グループによりますと、最終段階の治験の結果では、この薬を投与された患者は、偽の薬を投与された患者と比べて、1年後の認知機能の低下がおよそ27%抑えられ、病状の進行を緩やかにする効果が確認されたということです。

    アメリカでは7月上旬に治療薬として承認されていて、日本でも承認されれば、アルツハイマー病の原因物質を取り除くための、初めての薬が国内でも製造・販売できるようになります。

    アルツハイマー病とは

    アルツハイマー病は認知症の原因となる病気の1つで、日本では認知症と診断された高齢者の6割以上を占めています。

    アルツハイマー病を発症した人の脳では「アミロイドβ」と呼ばれる異常なたんぱく質がたまっていて、これにより神経細胞が壊れ、脳が萎縮し、その結果、脳の働きが低下すると考えられています。

    典型的な症状として初期に物忘れが目立ち、経過とともに、理解や判断の力が衰えたり、身体的な機能も低下して動きが不自由になったりするなど、さまざまな症状が徐々に出てくるようになります。

    厚生労働省によりますと、日本では認知症の人は3年前の時点で600万人と推計されていて、さらに団塊の世代が全員75歳以上の後期高齢者となる2025年にはおよそ700万人にのぼると予測されています。
    https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230802/k10014149971000.html

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  53. アルツハイマー病新薬 “使用を認める” 厚労省専門家部会
    2023年8月21日 21時57分

    日本とアメリカの製薬会社が共同で開発したアルツハイマー病の新薬について厚生労働省の専門家部会は、使用を認めることを了承しました。
    アルツハイマー病の原因物質に直接働きかけ取り除くための薬が了承されるのは初めてで、今後、厚生労働省による承認を経て、国内で製造・販売できるようになります。

    原因物質を取り除くための薬 初めて国内で製造・販売可能に
    使用が了承されたのは、日本の製薬大手「エーザイ」がアメリカの「バイオジェン」と共同で開発した、認知症の原因の1つであるアルツハイマー病の新しい治療薬「レカネマブ」です。

    アルツハイマー病の患者の脳にたまる「アミロイドβ」という異常なたんぱく質を取り除くことができ、症状の進行を抑えることが期待されています。

    ことし1月、エーザイが厚生労働省に承認申請を行い、その後優先的に審査する品目として指定を受けていました。

    21日開かれた厚生労働省の専門家部会では、有効性が確認でき、安全性にも重大な懸念はないとして、使用を認めることを了承しました。

    アルツハイマー病の原因物質に直接働きかけ取り除くための薬が了承されるのは初めてで、今後、厚生労働省による承認を経て、国内で製造・販売できるようになります。

    病気の進行そのものを遅らせる効果に期待

    「レカネマブ」は、製薬大手の「エーザイ」がアメリカの製薬会社「バイオジェン」と共同で開発したアルツハイマー病の治療薬です。

    アルツハイマー病になった患者の脳では、「アミロイドβ」と呼ばれる異常なたんぱく質がたまっていて、これによって神経細胞が壊れると考えられています。

    「レカネマブ」は、「アミロイドβ」が繊維状の固まりになる前の「プロトフィブリル」と呼ばれる段階で、人工的に作った抗体を結合させて取り除こうというもので、神経細胞が壊れるのを防ぎ、病気の進行そのものを遅らせる効果が期待されています。

    治験では、この薬を2週間に1度、点滴で投与されたグループは、脳にたまった「アミロイドβ」の量が大幅に減少し、「プラセボ」と呼ばれる有効成分が入っていない薬を投与されたグループと比べて、1年半後の認知機能の低下がおよそ27%抑えられていたことが分かりました。

    製薬会社などの研究グループによりますと、この治験の結果から早期の患者がより重い症状のステージに進行するのを平均で2年から3年遅らせることができると推定されるということです。

    ただ、壊れてしまった神経細胞を再生させることはできないため、薬の投与は認知症を発症する前の「軽度認知障害」の段階や発症後の早い段階で行うことが重要だとされています。

    一方で、副作用については、薬を投与された患者の17.3%で脳の出血が、12.6%で脳の腫れが報告されました。

    ほとんどが比較的軽い副作用だったということですが、研究グループは今後も長期的な安全性の確認を行っていくとしています。

    専門クリニックでは期待の声

    「レカネマブ」について、都内にある認知症の専門クリニックでは患者や医師から承認を期待する声が聞かれました。

    クリニックに通う79歳の女性は、認知症の前段階とされる「MCI=軽度認知障害」と診断されているため「認知症になったら娘が介護などで大変なので、進行が抑えられるのならば高くても使いたいです」と話していました。

    物忘れの症状に悩む81歳の男性は「直近のことを忘れてしまうことが多く、自分に自信が持てないので、薬には期待をしています」と話していました。

    また、この男性の妻(78)は「夫が施設に行かないで、このまま在宅で過ごせることを願っています。薬のことを知って少し安心しています」と話していました。

    40年以上にわたって、認知症の診断や研究を行ってきた「アルツクリニック東京」の新井平伊 院長は、「これまで使われてきたのは対症療法的な薬だったが、進行を遅らせることができるようになる意義は大きく、アルツハイマー病の治療の歴史で非常に大きな1歩だ。しかし、効果について患者さんや家族に過度な期待を持たれないよう、理解してもらうことが大事だ。リスクをきちんと評価して、安全性を確保しながら使わなくてはいけないと思っている」と述べました。

    アルツハイマー病新薬 世界での開発状況は

    120年ほど前にアルツハイマー病の症例が初めて報告されて以降、世界中で原因と治療法の研究が進められてきました。

    これまでに国内で承認されたアルツハイマー病の薬は4種類で、残った脳の神経細胞の働きを高めるなどして一時的に症状を緩和しますが、脳の神経細胞が壊れていくことを止めることはできませんでした。

    このため、世界中の研究機関や製薬会社がアルツハイマー病の進行自体を抑えることができる治療薬の開発に取り組んできましたが、ここ最近はアルツハイマー病の原因の1つと考えられる「アミロイドβ」を取り除く治療薬の開発が相次いでいます。

    今回の「レカネマブ」に先立って、製薬大手の「エーザイ」とアメリカの製薬会社「バイオジェン」が開発した治療薬「アデュカヌマブ」は、おととし2021年、深刻な病気の患者に早期に治療を提供するために設けられた「迅速承認」という制度を利用して、アメリカFDA=食品医薬品局に条件付きで承認されました。

    ただ、「アデュカヌマブ」は治験で「アミロイドβ」を減らす効果が示された一方で、認知機能の低下を抑える十分なデータが示されなかったことなどから、ヨーロッパや日本では、承認されていません。

    このほか、ことしになってからも、アメリカの製薬大手「イーライリリー」が、同じように「アミロイドβ」を取り除く治療薬「ドナネマブ」について、治験でこの薬を投与されたグループは、「プラセボ」と呼ばれる有効成分が入っていない薬を投与されたグループと比べて、1年半後の認知機能の低下がおよそ35%抑えられたとする結果を公表しています。

    この薬はFDAに承認申請が行われていて、日本でも年内に承認申請がされる見通しです。

    これらの薬以外にもアルツハイマー病の治療薬の開発は世界的に活発になっていて、アメリカのアルツハイマー協会によりますと、2023年1月時点、141種類の治療薬の治験が世界で行われているということです。

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    1. 新薬 承認後の課題は

      「レカネマブ」が国内で承認されても、アルツハイマー病の患者すべてが使えるようになるわけではありません。

      治験の結果でこの薬の効果が期待できるとされるのは、症状が比較的軽く、脳に「アミロイドβ」がたまっていることが確認できた早期のアルツハイマー病の患者です。

      アルツハイマー病以外の原因で認知症となっている人や、アルツハイマー病の症状が中等度以上に進行した患者などは薬の対象にならない見通しです。

      このため、効果が期待される早期のアルツハイマー病の患者を正確に見つけ出すことが課題となります。

      現在、アルツハイマー病の患者を探すためには、脳の中に「アミロイドβ」がどのくらいたまっているかを画像にして写し出すPET(ペット)と呼ばれる装置が使われていますが、装置そのものが大がかりで高価なほか、設置されている医療機関は都市部に集中しています。

      また、脳脊髄液による検査で「アミロイドβ」が脳にたまっているかを調べる方法もありますが、腰に針を刺して検体を採取するため、患者の体への負担が大きいという課題があります。

      現在はいずれの検査もアルツハイマー病の診断には公的な保険が適用されないため、費用が高額になります。

      より簡単で患者に負担が少ない診断技術として、わずかな血液から脳に「アミロイドβ」がどのくらいたまっているかを推定する技術が国内の複数の企業で開発されていますが、診断を確定させる技術としては実用化に至っていません。

      また、薬自体の価格も課題です。日本での価格はまだ決まっていませんが、すでに承認されているアメリカでは、この薬は1人あたり平均で年間2万6500ドル、日本円にしておよそ385万円に設定されています。

      日本では、薬を開発した「エーザイ」が近く公的医療保険の適用を求める申請を行う見通しで、承認から原則60日以内、遅くとも90日以内に、中医協=中央社会保険医療協議会で、保険適用と価格について結論が出されることになります。

      保険適用された場合、対象となる患者の数によっては保険財政のひっ迫につながるとする懸念がある一方、介護負担の軽減につながるという見方もあり、今後の議論が注目されます。

      当事者の団体 “治る道が開けた”

      アルツハイマー病の新薬「レカネマブ」について厚生労働省の専門家の部会で使用を認めることが了承されたことについて、認知症の当事者やその家族などでつくる「認知症の人と家族の会」の鎌田松代代表理事は「治らない病気から、治る方向に道が開け、スタートラインに立てたような気持ちです。この薬ができた意味はとても大きく、喜ばしいです。ただ治療の対象者は非常に限られていて、自分は薬の対象ではないとわかって落胆する当事者やその家族もいます。医学の進歩だけでなく、認知症への理解がある社会づくりと、両輪で進んでいけばと思っています」とコメントしています。

      専門家 “治療の新たなステージ迎えた”

      アルツハイマー病の新たな治療薬「レカネマブ」について、日本認知症学会の理事で、新潟大学脳研究所の池内 健 教授は、「脳の中の『アミロイドβ』を除去することが、認知機能の悪化の抑制につながることを示した意味で、アルツハイマー病の治療の重要なターゲットの1つになることが証明されたと思う。認知症の治療が新たなステージを迎えたことを示している」と科学的な意義を指摘しました。

      また、「今までの治療法は、対症療法という位置づけだったが、『レカネマブ』は原因に直接働きかける治療法となり、認知症の治療に対する考え方が変わっていく可能性がある。症状を軽く抑え、自立した生活ができる状態を延長できることは、認知症の人たちを社会で支えるコストを軽減する効果も期待できる」と社会的な意義について評価しました。

      一方で、普及に向けた課題は多いと指摘したうえで、この薬が対象とする患者について、「効果が期待できるのは早期の患者で、中等度以上に進行した患者は効果が限定的だろうと考えられている。症状のステージによっては、薬を希望してもすべての人がこの薬を使えるわけではないことに注意が必要だ」と述べました。

      また、薬の対象となる患者を診断する体制について、「早期の症状の人の脳の中に『アミロイドβ』が存在することを確認する検査が必要になるが、設備がある施設が限られていたり、熟練した医師が行う必要があったりして、手軽に行える検査ではないという課題がある。『レカネマブ』の実用化に並行して、検査の体制を整備していかなければならない」という考えを示しました。

      さらに、薬の価格について、「日本での価格はこれから決定されていくことになるが、いずれにしても安い価格にはならず、保険財政に影響を及ぼす可能性がある。症状の進行を抑える医学的な効果だけにとどまらず、家族の介護負担の軽減などさまざまな角度から薬の値段に見合った効果が本当にあるのかを今後検証していく必要がある」と述べました。
      https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230821/k10014169151000.html

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  54. アルツハイマー病新薬 早ければ年内にも患者に使用へ
    2023年8月22日 6時18分

    日本とアメリカの製薬会社が共同で開発したアルツハイマー病の原因物質に直接働きかける新薬について、厚生労働省の専門家部会は21日夜、使用を認めることを了承しました。
    近く厚生労働省が正式に承認する見通しで、早ければ年内にも患者に使われるものとみられます。

    使用が了承されたのは、日本の製薬大手「エーザイ」がアメリカの「バイオジェン」と共同で開発した、認知症の原因の1つアルツハイマー病の新しい治療薬、「レカネマブ」です。

    アルツハイマー病の患者の脳にたまる「アミロイドβ」という異常なたんぱく質を取り除くことができ、症状の進行を抑えることが期待されています。

    エーザイが厚生労働省に承認申請を行い、21日夜開かれた厚生労働省の専門家部会は、有効性が確認でき、安全性にも重大な懸念はないとして、使用を認めることを了承しました。

    アルツハイマー病の原因物質に直接働きかけ取り除くための薬が国内で了承されるのは初めてです。

    また薬を使う対象について、認知症を発症する前の「軽度認知障害」の人やアルツハイマー病の発症後早い段階の人とすることも了承しました。

    近く厚生労働省が正式に承認する見通しです。

    また、薬の価格はすでに承認されているアメリカでは1人あたり平均で年間2万6500ドル、日本円に換算しておよそ385万円と設定されていますが、日本ではまだ決まっていません。

    薬を開発した「エーザイ」は近く公的医療保険の適用を求める申請を行う見通しで、承認から遅くとも90日以内に中医協=中央社会保険医療協議会で、保険適用と価格について結論が出され、早ければ年内にも患者に使われるものとみられます。

    早期診断と価格が課題
    「レカネマブ」が国内で承認されても、アルツハイマー病の患者すべてが使えるようになるわけではありません。

    この薬の効果が期待できるとされるのは、症状が比較的軽く、脳に「アミロイドβ」がたまっていることが確認できた早期のアルツハイマー病の患者で、症状が進行した患者などは薬の対象にならない見通しです。

    また、早期のアルツハイマー病の患者を正確に見つけ出すことも課題です。

    脳の中の「アミロイドβ」は、画像にして写し出すPETと呼ばれる装置か腰に針を刺して採取する脳脊髄液で調べていますが、実施できる施設が限られていたり体への負担が大きかったりと手軽に行える検査ではないほか、アルツハイマー病の診断には公的な保険が適用されないため、費用が高額になります。

    より簡単で患者に負担が少ない診断技術として、わずかな血液から脳の「アミロイドβ」の量を推定する技術が開発されていますが、診断を確定させる技術としては実用化に至っていません。

    さらに、薬自体の価格も課題です。

    日本での価格はまだ決まっていませんが、すでに承認されているアメリカでは、日本円に換算しておよそ385万円と設定されています。

    日本では、承認から遅くとも90日以内に、中医協=中央社会保険医療協議会で、公的な医療保険の適用と価格について結論が出ることになっていて、議論の行方が注目されます。
    https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230822/k10014169761000.html

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  55. 社説
    認知症の新薬 活用に向け環境整備が必要だ
    2023/08/23 05:00

     新しい認知症の治療薬が年内にも実用化される見通しになった。必要とする人が安全に使えるよう、検査や治療の体制を整える必要がある。

     エーザイと米バイオジェンが共同開発した「レカネマブ」の製造販売の承認が、厚生労働省の専門家部会で了承された。アルツハイマー病の原因とされる脳内の物質を取り除くための薬だ。

     臨床試験では、1年半の投与により記憶力の低下などを27%抑制する効果がみられたという。エーザイは「進行を7か月半遅らせることに相当する」としている。

     原因物質に作用する薬の登場は初めてだ。以前、同様の働きを持つ別の薬が承認申請されたが、効果が不十分だとして見送られた。今回の承認は朗報となろう。

     ただ、新薬は症状の進行を遅らせるだけで、病気自体を治すわけではない。医師の間では、「本人や家族が効果を実感するのは難しい」と指摘する声もある。

     今回の新薬実用化をバネに、研究開発をさらに進め、根本的な治療法の確立を目指してほしい。

     適切な活用には、課題をどう克服していくのかがカギになる。

     治療の前には、薬の対象になる早期アルツハイマー病の患者かどうかを調べなければならない。特殊な画像検査を行うが、検査に必要な設備や人材を備えた医療機関の数は限られている。

     また、そもそも認知症は軽いうちに受診する人が少ない。自治体や医療機関は、早めの受診につながる機会を設けてもらいたい。

     年100万円単位と予想される薬価も懸案だ。高額療養費制度が適用され、個人の負担は年十数万円で済むものの、保険財政を考えれば、効果が費用に見合うのかという議論は避けられまい。

     注意が必要なのは副作用で、脳の出血やむくみが起こる恐れがある。多くは軽症だというが、薬との因果関係を否定できない死亡例が海外で3例報告されている。

     米国では、この薬を使う際、こうした副作用のリスクが高いかどうかを判定する遺伝子検査をすべきだとしているが、日本では求められていない。この点も今後の検討課題になるだろう。

     医師は課題も含めて十分説明すべきだ。今後も効果と安全性を確認しながら、より使いやすい環境づくりを進めることが大切だ。

     認知症基本法は、認知症の人も含めた共生社会の実現をうたっている。認知症になっても前向きに生きられる社会にするために、新薬が役立つことを期待したい。
    https://www.yomiuri.co.jp/editorial/20230822-OYT1T50220/

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  56. 認知症研究に300億円 概算要求…新治療法、診断法開発へ
    2023/08/26 05:00

     政府の健康・医療戦略推進会議(議長・高市科学技術相)は25日、認知症の研究開発の強化策を取りまとめた。2024年度予算の概算要求で、認知症関連の研究費として政府全体で最大300億円規模を計上し、新たな治療法や診断法の開発などを進める。

     日本の認知症患者は増えていて、40年には65歳以上の高齢者の4人に1人が患者になるとの推計もある。そのため政府は、国内発の有効な治療薬の実現に向け、関連研究を強化。厚生労働省や文部科学省など政府全体で200億~300億円の予算を計上する。

     具体的には、今後5年以内の目標として、症状の進行を遅らせる新たな治療薬や、血液検査で簡単にできる診断法の開発を進める。患者の脳画像などのデータを集約して脳の仕組みを解明することで、新たな治療法を見つける研究を始める。さらに、10年程度の長期的な取り組みとして、既に進行した認知症を改善させる方法の研究も推進する。

     この日、同会議に出席した高市科技相は「国民に届けられる研究成果を得られるよう、スピード感をもって進めたい」と話した。
    https://www.yomiuri.co.jp/national/20230826-OYT1T50036/

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  57. アルツハイマー病の新薬「レカネマブ」を正式承認 厚生労働省
    2023年9月25日 15時48分

    厚生労働省は日本とアメリカの製薬会社が共同で開発したアルツハイマー病の原因物質に直接働きかける新薬について、25日、正式に承認しました。早ければ年内にも患者に使われるものとみられます。

    承認されたのは、日本の製薬大手「エーザイ」がアメリカの「バイオジェン」と共同で開発した認知症の原因の1つアルツハイマー病の新しい治療薬「レカネマブ」です。

    アルツハイマー病の患者の脳にたまる「アミロイドβ」という異常なたんぱく質を取り除くことができ、症状の進行を抑えることが期待されています。

    「エーザイ」が厚生労働省に承認申請を行い、8月開かれた専門家部会で使用が了承されたことを受けて、厚生労働省が25日正式に承認しました。

    アルツハイマー病の原因物質に直接働きかけ取り除くための薬が国内で承認されるのは初めてです。

    薬が使われる対象は認知症を発症する前の「軽度認知障害」の人や、アルツハイマー病の発症後、早い段階の人となっています。

    また薬の価格は、すでに承認されているアメリカでは1人あたり平均で年間2万6500ドルに設定されていますが、日本ではまだ決まっていません。

    今後、中医協=中央社会保険医療協議会で、公的医療保険の適用と価格について結論が出され、早ければ年内にも患者に使われるものとみられます。

    岸田首相“会議立ち上げ認知症施策推進に向け検討”

    岸田総理大臣は今夜、総理大臣官邸で記者団に対し「アルツハイマー病の原因物質に働きかける画期的な新薬であり、認知症の治療は新たな時代を迎えたと考えている。あさって、『認知症と向き合う「幸齢社会」実現会議』を立ち上げ、認知症施策の総合的な推進に向けて検討を深めていく」と述べました。
    https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230925/k10014206011000.html

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  58. アルツハイマー病の新薬 イーライリリーが国に承認申請
    2023年9月26日 18時00分

    アメリカの製薬大手「イーライリリー」は開発中のアルツハイマー病の新薬について、国の承認を求める申請を行ったと発表しました。

    アメリカの製薬大手の「イーライリリー」は26日、都内で開かれたフォーラムで、アルツハイマー病の新薬「ドナネマブ」について、厚生労働省に承認を求める申請を行ったことを明らかにしました。

    アルツハイマー病になった患者の脳には「アミロイドβ」と呼ばれる異常なたんぱく質がたまっていて、これによって神経細胞が壊れると考えられています。

    「ドナネマブ」は人工的に作った抗体を「アミロイドβ」に結合して取り除く「抗体医薬」で、「イーライリリー」によりますと、最終段階の治験の結果で、この薬を投与されたグループは、「プラセボ」と呼ばれる有効成分が入っていない薬を投与されたグループと比べて、1年半後の認知機能の低下がおよそ35%抑えられ、症状の進行を遅らせる効果が確認されたとしています。

    一方、薬を投与したあとに脳の腫れや出血のリスクが高まることや、死亡した人がいることも報告されていて、会社は今後も安全性の確認を続けていくことにしています。

    「ドナネマブ」はアメリカとEUでも承認申請が行われています。

    アルツハイマー病の新たな治療薬をめぐっては25日、日本の製薬大手「エーザイ」などが開発した「レカネマブ」が国に承認されていて、早ければ年内にも治療に使われるものとみられています。
    https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230926/k10014207251000.html

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  59. アルツハイマー新薬 レカネマブ 12月下旬までに保険適用目指す
    2023年9月27日 16時02分

    アルツハイマー病の原因物質に直接働きかける新薬「レカネマブ」が正式に承認されたことを受けて、中医協=中央社会保険医療協議会は、12月下旬までに公的医療保険を適用することを目指し、価格の算定を進める方針を確認しました。

    日本の製薬大手「エーザイ」がアメリカの「バイオジェン」と共同で開発した、認知症の原因の1つアルツハイマー病の新しい治療薬「レカネマブ」について、中医協は27日の総会で、保険適用と価格の算定をめぐる議論を始めました。

    アメリカでは年間の価格が1人当たりの平均でおよそ390万円に設定されていて、厚生労働省は、患者の数などによっては、年間の市場規模が1500億円を超える可能性があるなどと説明しました。

    これに対して委員からは、
    ▽薬の効果への期待が大きいとして、安全性を担保した上で保険の適用を求める意見が出された一方、
    ▽「保険財政への負担が極めて大きいため、対象となる患者や、投与の期間などを適切にすべきだ」といった意見も出されました。

    そして、正式承認から90日となる12月下旬までに保険適用にすることを目指し、価格の算定を進めていく方針を確認しました。

    アルツハイマー病の新たな治療薬をめぐっては、このほか、アメリカの製薬大手「イーライリリー」が26日、開発中のアルツハイマー病の新薬「ドナネマブ」について、日本国内での承認を求める申請を行ったことを明らかにしています。
    https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230927/k10014208191000.html

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  60. 岸田首相 アルツハイマー新薬承認を踏まえ 医療体制構築を指示
    2023年9月27日 20時26分

    認知症対策の強化に向けて、政府は27日、当事者も加わった新たな会議を開きました。岸田総理大臣は、承認されたアルツハイマー病の新薬がいかされるよう、必要な検査や医療の体制構築を急ぐよう関係閣僚に指示しました。

    政府の「認知症と向き合う『幸齢社会』実現会議」は関係閣僚のほか、当事者や家族もメンバーに加わって設置され、27日に初会合を開きました。

    この中で岸田総理大臣は、アルツハイマー病の原因物質に直接働きかける新しい治療薬「レカネマブ」が正式に承認されたことを踏まえ、「認知症の治療は新たな時代を迎えた」と指摘しました。

    一方で、病気が進行した患者などは投与の対象にならないといった課題もあるとして、新薬がいかされるよう、早期発見に必要な検査や医療の体制構築を急ぐ考えを示しました。

    また
    ▽さらなる治療薬の開発推進や
    ▽最新の医薬品価格の動向も踏まえた薬価制度の検討に加え
    ▽身寄りのない人が認知症になっても安心して暮らせる環境整備も欠かせないとして、対策の強化を図るよう関係閣僚に指示しました。

    岸田総理大臣は「安心して年を重ねることができる高齢社会づくりを進める。課題解決に向けた省庁横断の体制を構築していきたい」と述べました。

    認知症の人と家族の会 代表理事「認知症を自分事として」
    会議のあと、当事者や家族などでつくる「認知症の人と家族の会」の鎌田松代・代表理事は記者団に対し「家族の介護をしながらでも、自分が認知症になっても、自分らしく生きられる社会であるために、皆さんに認知症を自分事として考えてほしい」と訴えました。

    その上で「認知症の人は、いろいろな病態の時期はあっても自分の意思を持っている。家族は、より良くなってほしいと介護する一方、自分の人生も生きたいと思っている。会議にはそうした思いをきちんと取り込んでもらいたい」と述べました。

    認知症の人たちでつくる団体の代表理事「思いを伝えた」
    認知症の人たちでつくる団体「日本認知症本人ワーキンググループ」の藤田和子・代表理事は記者団に対し「誰が認知症になっても受け入れられるようなまちづくりを、認知症の本人と一緒に進めていってほしいという思いを伝えた。本人が適切な治療を受けながら社会活動を続けられ、自分らしく家族や職場の仲間と暮らしている実感が持てなければ、共生社会にはなっていかない」と指摘しました。

    「声を拾うだけでなく本人と一緒に施策を」

    認知症の人やその家族は悩みを打ち明けにくく孤立しがちなことが課題となっていて、各地では、当事者やその家族の人たちがそれぞれ集まり悩みや困りごとなどを共有する集いの場が設けられています。

    東京 練馬区の田柄地区では区の委託を受けた地域包括支援センターが主催し、認知症の人や家族たちが悩みなどを共有するための交流会を月に1回のペースで開いています。

    ことし6月に開かれた認知症の人の交流会には8人が参加していて、困っていることだけでなく最近の出来事や感じたことなどを思い思いに語り合っていました。

    この集いの場を開催している田柄地域包括支援センターの奥村綾子センター長は、27日に政府の会議が発足したことを受けて「会議の中心に本人や家族が立てるのは素晴らしいと思う。自分の声を聞いてもらうと認知症の人も自信を取り戻し生き生きと変わってくるので、声を拾うだけでなく本人と一緒に施策を作っていくということを期待したいです」と話していました。
    https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230927/k10014208481000.html

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  61. アルツハイマー病 リスク高める遺伝子のメカニズムを解明
    2023年10月22日 4時40分

    アルツハイマー病のリスクを高めることが知られているものの、詳しい仕組みが分かっていなかった特殊な遺伝子が、神経細胞の働きを妨げるメカニズムを慶応大学のグループが、iPS細胞を使った実験でつきとめたと発表しました。

    この研究は、慶応大学の岡野栄之教授らのグループが国際的な科学雑誌の「ステムセル・リポーツ」で発表しました。

    アルツハイマー病は「APOE4」と呼ばれる遺伝子を持っている人では発症のリスクが3.5倍以上に高まりますが、詳しいメカニズムはこれまで分かっていませんでした。

    グループでは人工的に「APOE4」を持たせたヒトのiPS細胞を神経系の細胞に変化させたうえで、正常な神経細胞と一緒に培養しました。

    その結果、一緒に培養した神経細胞は、表面にある情報伝達の役割を担う「スパイン」と呼ばれる突起が成長しにくくなり、突起の長さが通常よりおよそ20%短くなっていたということです。

    この遺伝子を持つ細胞から多く分泌されるたんぱく質の1つが、スパインの成長を妨げることも確認できたということで、グループでは、このたんぱく質が神経のシナプスの障害を引き起こすことで、アルツハイマー病のリスクを高めている可能性があるとしています。

    岡野教授は「アルツハイマー病の起きる重要な過程が分かった研究成果で、新たな治療薬の開発にもつながると考えている」と話していました。
    https://www3.nhk.or.jp/news/html/20231022/k10014232971000.html

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    1. 何段論法だかわからんが、疾患疾病の原因を「遺伝子」の所為にしちゃってよいものだろうか…

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  62. アルツハイマー病新薬 年間約298万円で保険適用対象に 中医協
    2023年12月13日 18時30分

    アルツハイマー病の原因物質に直接、働きかける新薬「レカネマブ」の価格について、中医協=中央社会保険医療協議会は、患者1人当たり年間およそ298万円と設定し、保険適用の対象とすることを決めました。

    日本の製薬大手「エーザイ」がアメリカの「バイオジェン」と共同で開発した、認知症の原因の1つ、アルツハイマー病の新しい治療薬「レカネマブ」はことし9月に国の承認を受けて、中医協で保険適用に向けた議論が進められてきました。

    その結果、中医協は13日の総会で、「レカネマブ」の価格について、患者1人当たり年間およそ298万円と設定し、保険適用の対象とすることを決めました。

    今月20日から適用される予定です。

    この薬を使用できるのは認知症を発症する前の「軽度認知障害」の人や、アルツハイマー病の発症後、早い段階の人で、年間で最大およそ3万2000人の使用が見込まれるということです。

    新薬「レカネマブ」 今後の注意点は

    「レカネマブ」はアルツハイマー病の原因物質に直接働きかけ、取り除くための初めての薬です。

    保険適用の対象となることが決まり、まもなく臨床の現場で使えるようになることから、患者の間では期待が高まっていますが、一方で注意点もあります。

    1つ目の注意点は薬の投与対象となる患者が限られることです。

    認知症の原因となる病気にはさまざまな種類がありますが、レカネマブが使えるのは「アルツハイマー病」の患者で、脳に「アミロイドβ」という異常なたんぱく質がたまっていることが確認できた人に限られます。

    また、認知症は、軽いものから、
    ▽認知症と診断される前の「軽度認知障害」
    ▽軽度の認知症
    ▽中等度の認知症
    ▽重度の認知症と進行して認知機能が低下していきますが、今回、薬の投与対象となるのはこのうち、「軽度認知障害」と「軽度の認知症」の人だけです。

    認知症の専門医によりますと、レカネマブの投与対象となる患者は認知症患者全体の1割未満とみられるということです。

    2つ目の注意点は副作用です。

    製薬会社の治験の結果によりますと、およそ10人に1人の割合で
    ▽脳がむくんだ状態になったり、
    ▽脳内でわずかな出血が起きる副作用が確認されたりしているほか、
    ▽中には、より危険性の高い脳出血が起きた人もいて、注意が必要だということです。

    3つ目は通院の負担です。

    レカネマブは点滴で投与する薬で、一度治療を始めると患者は2週間に1度、原則1年半の間、点滴を受けることになります。

    また、副作用を早く見つけるため、脳の画像診断などの検査ができる医療機関で治療が行われることになっていて、対応できる医療機関は限られるということです。

    エーザイ「適格な当事者に届けられるよう全力」

    「レカネマブ」の価格が設定され、保険適用の対象とすることが決まったことを受けて、「エーザイ」は13日、東京 文京区の本社で会見を開きました。

    この中で内藤晴夫CEOは「レカネマブ」を今月20日に発売することを説明し、「改めて責任の重さを痛感している。添付文書やガイドラインに従って、安全性を十分確保しつつ有効性が発揮されるよう、適格な当事者に薬を届けられるよう全力を尽くしていく。認知症治療薬の研究開発は失敗の連続だったが、失敗を繰り返すうちに多く学んできたことが成功につながったのではないか。創薬の道のりをかみしめている心境だ」と述べました。

    若年性認知症の家族会「保険適用で使いやすくなる」

    アルツハイマー病の新たな治療薬「レカネマブ」が保険適用の対象となることが決まったことについて、都内にある若年性認知症の家族会「彩星の会」の森義弘代表は「保険が適用されれば該当する人にとっては使いやすくなるのでうれしく思っています」と話していました。

    また、「レカネマブ」の価格が患者1人当たり年間およそ298万円に設定されることについては、「私たち家族会の患者は若年性の認知症で、年齢が若いので、たとえ価格が高くても将来のことを考えれば、薬を使って症状の進行を穏やかにしたいと家族なら誰もが思うはずだ。将来的に使いやすい値段になってほしい。また、症状が軽い段階で薬が使えるように、健康診断などで該当する人を早く見つけることができるシステムができてほしい」と話していました。

    認知症専門医「新薬に対応できる医療システムの構築を」

    アルツハイマー病の新たな治療薬「レカネマブ」が保険適用の対象となることが決まったことについて、認知症の専門医で新潟大学脳研究所の池内健教授は「薬自体はすでに承認はされていたが、やはり保険適用にならないと実際の臨床では使えないので、これで適切な方にこの薬を届けることができるようになるだろう」と話しました。

    また、「レカネマブ」の価格が患者1人当たり年間およそ298万円に設定されることについては「保険適用となったことで患者やその家族が実際に負担する金額は小さくはなるが、それでもやはり高い薬であることは間違いないと思う。この値段に見合った効果が認められるかを医学的な面だけでなく、介護をする人の負担や社会参加への影響の面など、実際の臨床のなかで広く検証していく必要がある」と話しました。

    今後の課題については「効果が見込める方を検査で適切に選別して、治療薬を届けることが必要になるが、そのためには検査ができる病院の情報や地域における医療機関の連携が大切になってくる。新しい治療薬に対応できるような認知症医療システムを早期に構築していかなければならない」と指摘しました。
    https://www3.nhk.or.jp/news/html/20231213/k10014286581000.html

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  63. どうやら、「効果が見込める」患者を抽出しなきゃいけないらしい。ほとんどの患者には「効かない」ということなのかね?

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    1. インチキな薬は「効く」患者を選ばなきゃいけないらしい。

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  64. アルツハイマー病新薬 専門医ら患者に説明できるか模索始まる
    2023年12月14日 6時39分

    認知症の原因の1つアルツハイマー病の新しい治療薬「レカネマブ」について13日、保険適用の対象とすることが決まりました。患者の期待が高まる一方、薬の投与対象は限られることから専門医の間では、薬について患者にいかに丁寧に説明できるか模索が始まっています。

    アルツハイマー病の原因物質に直接働きかける新薬「レカネマブ」は、12日開かれた中医協=中央社会保険医療協議会で保険適用の対象とすることが決まり、今月20日から適用される予定です。

    患者の期待が高まる一方、薬の投与対象は
    ▽認知症発症前の「軽度認知障害」の人と
    ▽アルツハイマー病の発症後、早い段階の人に限られ
    認知症の専門医によりますと、認知症患者全体の1割未満とみられるということです。

    このため専門医の間では、この薬について患者にいかに丁寧に説明できるか、模索が始まっています。

    大阪大学では、医師や看護師、ソーシャルワーカーなどが定期的に勉強会を開いてきました。

    この中で、大阪大学大学院の池田学教授は、期待して受診した患者が、投与の対象外と告げられ落胆するケースが想定されるとして「レカネマブを使えなくても、別の治療をどう進めていくかなど、患者が希望を持てるよう、丁寧に説明していく必要がある」と呼びかけました。

    池田教授は「期待してきた患者さんに対象外と説明しないといけないケースがでてくるので患者や家族の理解度に合わせて丁寧に説明し、そこからいかに前向きに治療に取り組めるようにするかが大事だ」と話していました。
    https://www3.nhk.or.jp/news/html/20231214/k10014287461000.html

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  65. アルツハイマー病 新治療薬「レカネマブ」患者への投与始まる
    2023年12月25日 14時42分

    アルツハイマー病の新たな治療薬「レカネマブ」が今月、保険適用となったことを受け、都内にある認知症の専門外来がある病院では、25日から患者への投与が始まりました。

    日本の製薬大手「エーザイ」とアメリカの「バイオジェン」が共同開発した「レカネマブ」は、アルツハイマー病の原因物質を取り除き、進行を遅らせるための国内で初めての治療薬で、今月20日から保険適用となっています。

    これを受けて、この薬の専門外来を設置した東京都健康長寿医療センターでは、25日から投与が始まり、アルツハイマー病の50代の女性の患者が1時間余りかけて薬の点滴を受けました。

    この薬の対象となるのは、アルツハイマー病で認知症を発症する前の「軽度認知障害」や早期の認知症と診断された人で、副作用が起きていないかなどを定期的に確認する必要があることから、投与できるのは専門的な検査などが受けられる医療機関に限られています。

    薬は2週間に1回投与され、1年半をめどに続けられるということです。

    投与を受けた女性は「ようやく薬が使えてほっとしています。今の状態をキープして、今までどおりの生活を続けたい」と話していました。

    東京都健康長寿医療センターの岩田淳副院長は「これまでの薬は症状を緩和させるためのものだったが、新薬でようやくアルツハイマー病と戦えるスタートラインに立てた」と話していました。
    https://www3.nhk.or.jp/news/html/20231225/k10014299001000.html

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    1. アルツハイマー病の新薬レカネマブ、東京と大阪で50代患者に投与開始
      2023/12/25 11:50

       東京都健康長寿医療センター(東京都板橋区)は25日午前、アルツハイマー病の新薬レカネマブ(商品名レケンビ)の治療を、都内在住の50歳代の女性に行った。脳内に蓄積する異常なたんぱく質「アミロイド βベータ (Aβ)」を取り除き、認知症の進行を遅らせる効果が初めて認められた薬で、今月20日に保険診療が可能になった。

      アルツハイマー病の新薬「レカネマブ」の点滴治療を受ける患者(25日午前、東京都板橋区で)=桐山弘太撮影

       女性は2020年夏頃から、夫にもの忘れを指摘されるようになった。昨年秋に早期のアルツハイマー病と診断された。脳内のAβの蓄積も検査で確認された。

       この日は、主治医の井原涼子・脳神経内科医長の診察を受けて、体調を確認。午前9時半過ぎから1時間余りかけて点滴で投与を受けた。投与後も、アレルギー反応などに備えて、念のため院内で待機した。

       女性は「やっと薬を使わせてもらってほっとした。今まで通りの生活ができるように自分も気を付けたい」と話した。

       今後も2週間ごとに通院し、点滴を受ける。定期的にMRI(磁気共鳴画像)検査も受け、脳内に微小出血などの副作用が起きていないかチェックする。

      「レカネマブ」の投与中に患者と話す医師(25日午前、東京都板橋区で)

       このほか、大阪公立大学病院(大阪市)でも、21日に50歳代の男性に投与したことがわかった。同病院の武田景敏・脳神経内科講師によると、若年性認知症外来の受診者だという。

       レカネマブは日本の製薬企業エーザイなどが開発した。対象はアルツハイマー病の早期患者に限られる。臨床試験では、2週に1度の点滴を1年半続けた人は、症状悪化のペースを27%抑えられた。低下した認知機能を戻す効果はない。

       ◆ アルツハイマー病 =認知症全体の6~7割を占めるとされる。記憶障害などの症状が表れる10~20年前から脳内にアミロイド βベータ が徐々に蓄積して神経細胞が傷つき、脳が 萎縮いしゅく すると考えられている。世界保健機関(WHO)の推計では、世界の認知症患者数は約5500万人。
      https://www.yomiuri.co.jp/medical/20231225-OYT1T50097/

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  66. 実際のところは、患者が助かるというのではなくて、医業者界隈のシノギネタが増えただけの話なんだな。病気そのものの克服には程遠い。

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  67. レカネマブ投与 早期患者「生活維持したい」
    2023/12/26 05:00

    新薬の投与前に医師の問診を受ける患者(25日、東京都健康長寿医療センターで)

     アルツハイマー病の新薬レカネマブの治療が始まった。21日に大阪公立大病院(大阪市)で、25日に東京都健康長寿医療センター(東京都板橋区)で、いずれも50歳代患者に投与した。脳内の微小出血などの副作用への注意が必要なため、投与できる施設は、専門医や検査環境の要件を満たす医療機関に限られる。当面は、安全面を重視し、慎重に投与される見通しだ。(医療部 東礼奈、編集委員 本田麻由美)

    医療者 認知症「立ち向かうスタート」

    期待

     25日に東京都健康長寿医療センターで新薬の治療を受けたのは、50歳代の女性。「今のところ生活に大きな不便は感じていないので、この状態が維持できれば」と期待を口にした。

     女性は2020年から、夫にもの忘れを指摘され、昨秋に同センターを受診。認知機能検査や脳内のアミロイドβの蓄積を調べる検査も受けていた。岩田淳副院長は「新薬により、ようやく病気に立ち向かうスタートラインに立てた」と話す。

     大阪公立大病院で21日に投与を受けたのは、若年性認知症外来を受診する50歳代男性。同病院の武田景敏・脳神経内科講師によると、このほかに、数人の患者が必要な事前検査を終えており、1月以降、順次投与する予定だ。

    課題

     厚生労働省は13日、新薬の薬価(公定価格)を1人あたり年間298万円(体重50キロの場合)と決定。医師向けの指針を公表し、投与可能な医療機関の要件として、〈1〉認知症の診療経験が10年以上ある専門医が複数いる〈2〉脳の微小出血などの副作用を確認するMRI(磁気共鳴画像)検査を定期的に行える――などを挙げた。

     大阪では16日、医療関係者が集まり、投与に向けた課題を話し合った。

     大阪大病院の医師は「院内のMRI検査の枠をどれだけ確保できるかが課題。現状では入院患者の検査だけで満杯」と苦境を語った。海外では新薬との関連が否定できない死亡例が報告されていることから、「重篤な脳出血などが起きた時の対応について脳外科などとの連携を調整中だ」と報告する病院もあった。

     1時間の点滴を2週間ごとに行うが、「スペースの確保が難しい」との声や「難しい対応に見合う診療報酬が今後つくのか」という意見も出た。

    対象

     「治療を受けられますか」という医療機関への問い合わせも出始めている。

     厚労省は、新薬の情報提供用のサイトを作成するとしているが、医療機関リストなどの掲載予定は示されていない。現実には、全国に約500か所ある「認知症疾患医療センター」などに問い合わせ、必要な検査や投与が可能な医療機関につないでもらう形になる。認知症疾患医療センターでも要件を満たすとは限らない。東京都の担当者は「都内の医療機関に聞き取り、患者を治療につなぐ体制作りを進めている」と話す。

     新薬の対象は、早期患者に限られる。希望しても検査の結果、対象にならない場合もある。池田学・大阪大教授(精神医学)は「対象にならなくても、生活環境の整備や他の薬などの選択肢を示し、患者が前向きに治療に取り組めるよう支援することが重要」と話す。

    当事者・家族へ相談体制整備…政府方針

     投与が始まったアルツハイマー病の新薬レカネマブ(商品名レケンビ)について、政府は25日、認知症の当事者や家族に必要な情報を提供し、相談を受ける体制を整備する方針を決めた。同日、首相官邸で「認知症と向き合う『 幸齢こうれい 社会』実現会議」(議長・岸田首相)が開かれ、方針をとりまとめた。

     この日、岸田首相は、ひとり暮らしの高齢者らが安心して暮らせるための指針(ガイドライン)を来年3月までに策定するよう指示した。入院時などの身元保証を代行する事業者には、サービスの質にばらつきがある点を踏まえ、指針では業者選定の参考になるような内容を想定している。

     とりまとめには、認知症になっても希望を持って生きられるよう、若年性認知症の人が働き続けられる体制づくりや、早期治療、重度認知症の研究を一層進める姿勢も記された。

      ◆レカネマブ= アルツハイマー病患者の脳内に蓄積する異常なたんぱく質「アミロイドβ(ベータ)」を取り除き、進行を遅らせる効果が初めて認められた薬。早期患者を対象にした臨床試験では、1年半の投与で症状悪化のペースを27%抑えられた。投与された人の13%に脳の浮腫が、17%に微小出血が認められた。
    https://www.yomiuri.co.jp/medical/20231226-OYT1T50065/

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  68. 武田薬品「ダーゼン」みたいにならなきゃいいけどな。

    40年以上も偽薬でしこたま稼いでいたことは糾弾されないのか? マスゴミメディアも、厚労省と製薬メーカーにはえらく及び腰なんだな。

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  69. イヌ飼育の高齢者 認知症発症リスクが40%低下の研究結果
    2023年12月31日 6時25分

    イヌを飼っている高齢者は、飼っていない人と比べて認知症を発症するリスクが40%低くなっていたとする研究結果を東京都健康長寿医療センターなどのグループが発表しました。

    東京都健康長寿医療センターなどのグループは、都内で2016年からおよそ4年間にわたって行われた65歳以上の男女1万1000人余りの疫学調査のデータを基に認知症の発症とペットの飼育が関連するかどうかを調べました。

    その結果、イヌを飼っている人は飼っていない人と比べて認知症を発症するリスクが40%低くなっていたということです。

    一方で、ネコを飼っている人と飼っていない人では認知症の発症リスクに差はみられませんでした。

    また、運動の習慣や社会的なつながりがある人も認知症のリスクが低くなっていましたが、これらに加えてイヌを飼っている人ではさらにリスクが低くなっていたということです。

    グループによりますと、イヌの世話をすることで頻繁に散歩をしたり、飼い主どうしの立ち話などで社会とのつながりが生まれやすかったりすることが、リスクを下げる要因になっている可能性があるということです。

    グループのメンバーで現在は国立環境研究所の谷口優主任研究員は「イヌを飼っている人特有の運動習慣や生活習慣が、認知症の予防につながる効果になっていると考えている」と話していました。
    https://www3.nhk.or.jp/news/html/20231231/k10014302551000.html

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    1. 犬ばかりじゃなくて、ニワトリ(愛玩鶏)もたくさん飼って、金魚も飼って、盆栽もたくさんあった多趣味の人でも、ちゃんと認知症になったのを知っているんだけどなあ…

      なんだかお粗末な研究ごっこに見えて仕方がない。ただのアンケートごっこだろ。

      「犬を飼えば、認知症を予防できる」という研究結果を導き出すのは、そういう「ストーリー」に尾ひれをつけただけじゃないのか。

      しょうもないお話づくりをやってんじゃないよ。

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  70. 「犬を飼うことで認知症が予防できる」んじゃなくて、「認知症になりにくいタイプの(世話好きな)性格」の人がたまたま多く犬を飼っているだけじゃないのかな?

    因果関係、原因と結果を倒錯錯誤、取り違えているんじゃないのかなあ。

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    1. イヌも老衰で、耳が聞こえなくなったり、目が見えなくなったり、足腰立たなくなったり、ボケで排泄物たれながしになったり、立派に認知症になったりするからなあ…

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  71. 遺伝性のアルツハイマー病 国内で新薬の治験始まる
    2024年3月14日 15時35分

    遺伝性のアルツハイマー病の人を対象に新潟大学と東京大学などのグループが新しい薬の国内での治験を始めたと発表しました。遺伝性のアルツハイマー病を対象にした治験はアルツハイマー病の新たな治療法の開発などにつながるとして世界中で注目されていて、国際的な治験の一環として行われるということです。

    これは14日、新潟大学脳研究所の池内健 教授などのグループが会見を開いて発表しました。

    この治験は、アルツハイマー病の患者の脳にたまる「タウ」と呼ばれる異常なたんぱく質を取り除く特殊な抗体の効果や安全性を調べるもので、海外で進められている国際的な治験の一環として行われるということです。

    対象となるのは、アルツハイマー病を発症するリスクが極めて高くなることが知られている3種類の遺伝子を持つ人たちで、国内では30代から50代の4人が参加する予定だということです。

    こうした遺伝性のアルツハイマー病は非常にまれで、全体の1%に満たないとされていますが、遺伝子を調べることで発症前に診断できることから、早期の治療が必要とされるアルツハイマー病の治療法の開発や研究の分野で世界的に注目されています。

    アルツハイマー病の治療薬は去年、2023年に病気の原因とされる「アミロイドβ」という別のたんぱく質を取り除く薬が国の承認を受けています。

    会見で池内教授は「遺伝性のアルツハイマー病の人たちで有効性が示されれば、その成果はより患者の多い一般的なアルツハイマー病の治療法の開発の加速につながるはずだ」と話していました。

    今回の治験薬と「タウ」とは

    アルツハイマー病の詳しい原因はまだ分かっていませんが、患者の脳には、発症するかなり前から「アミロイドβ」と「タウ」という2種類のたんぱく質がたまることが知られていて、いずれも病気の発症に深く関わっていると考えられています。

    このうち「アミロイドβ」についてはこれまで盛んに研究が行われ、去年、「アミロイドβ」を取り除く薬、「レカネマブ」が認知症の症状の進行を遅らせる効果が確認されたとして国の承認を受けています。

    一方、「タウ」も蓄積すると脳の神経細胞を壊すことが分かってきていて、「アミロイドβ」に続く治療のターゲットとして世界中で研究が行われるなど、注目されています。

    今回の治験では
    ▽「タウ」を取り除く抗体を投与するグループと
    ▽有効成分が入っていない偽の薬を投与するグループに分けて、効果や安全性を調べるということです。

    また、治験では、全員がすでに承認されている治療薬「レカネマブ」の投与も受けるということで、2つの薬を併用することの影響などについても調べるということです。
    https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240314/k10014390661000.html

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  72. “子どもに「rTMS」治療法の実施は不適切” 専門の学会が声明
    2024年4月9日 5時04分

    18歳以上のうつ病患者を対象に公的な保険が適用されている「rTMS」という頭部を磁気で刺激する治療法について、専門の学会は、一部の医療機関が発達障害に有効だとして、子どもに対しても実施しているとして、子どもへの有効性と安全性は確かめられておらず実施は不適切だとする声明を発表しました。

    「rTMS」は、専用の医療機器で頭部に繰り返し磁気的な刺激を与えて脳の特定の活動を変化させる治療法で、薬による治療で十分な効果が認められない18歳以上のうつ病患者に対して公的な保険が適用されています。

    この治療法について、子どもの精神医学の専門家などで作る「日本児童青年精神医学会」は声明を発表し、一部の医療機関が「発達障害に有効」だとして、18歳未満の子どもに対しても保険が適用されない「自由診療」で実施しているとして、「子どもに対する有効性と安全性のエビデンスは不十分であり、発達障害などに、この治療法を実施することは適切ではない」という見解を示しました。

    声明では、この治療法は別の専門学会の指針で、18歳未満には実施すべきではないと明記されているとしたうえで、「まれに、けいれん発作が起きることもあり、決して副作用のない治療法ではない」と指摘しています。

    そして臨床試験で安全性などを確認しないまま、子どもに対して実施することは「非倫理的で危険性を伴う」としました。

    学会の岡田俊代表理事は「安全性や効果が十分に確認されていない治療法に、子どもをゆだねることは危険にさらすことにもなる。まずは、効果と安全性を検証することが大事だ」と話しています。
    https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240409/k10014416041000.html

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  73. アルツハイマー病を早期発見できる手法考案…鳥取大助教ら、痛みなく脳を刺激し伝達機能調べる
    2024/04/14 18:29

     鳥取大病院(鳥取県米子市)の村上丈伸助教(脳神経内科学)らが、脳の働きを弱めると考えられている異常たんぱく質「アミロイド βベータ (Aβ)」の蓄積を従来の方法に比べ痛みを伴わずに検査でき、アルツハイマー病を早期発見できる手法を考案した。Aβはアルツハイマー病の発症10~15年前から脳内に蓄積することから、病気の早期発見・治療につなげられるという。(東大貴)

    アルツハイマー病の早期発見につながる研究成果を発表した村上助教(鳥取県米子市西町で)
     日本WHO協会(大阪市)によると、認知症の患者数は世界で約5500万人。そのうちアルツハイマー病は約7割を占める。

     アルツハイマー病は、まず、蓄積したAβによって脳内のたんぱく質「タウたんぱく」が変化。リン酸化して有毒となったタウたんぱくが脳神経細胞を死滅させ、脳が 萎縮いしゅく して認知機能が低下する。

     村上助教は、神経細胞間で情報を伝達し、記憶を定着させる「長期増強」といった現象を、これらの異常たんぱく質が阻害することに着目。痛みを伴わず脳内に弱い電流を起こして長期増強を誘発する「経頭蓋磁気刺激法」という手法を用い、異常たんぱく質の有無による伝達機能の差を調べた。

     調査では、軽い物忘れの症状を訴える患者26人の異常たんぱく質の蓄積の有無を検査。それぞれの左頭部に刺激を加え、左大脳がつかさどる右手の筋肉の電位変化を調べた。その結果、Aβが蓄積した患者の多くでは伝達機能が低下したままだった一方、蓄積のない健常者では向上。経頭蓋磁気刺激法が、病気の兆候の確認に有効であることがわかったという。

     アルツハイマー病の診断では、痛みを伴う腰への注射が必要な髄液検査や、微量の 被曝ひばく を伴うPET(陽電子放射断層撮影)検査をして異常たんぱく質を発見しており、新たな手法が確立されれば、体に負担の少ない診断が可能になる。

     さらに、脳内からAβを除去するアルツハイマー病の新薬「レカネマブ」の製造販売が昨年、承認されており、こうした手法を用いることで、投薬効果を見極められる可能性があるという。

     村上助教は、行方不明になった後、死亡して見つかる認知症患者が多い点に触れ、「この研究から治療法が発達し、認知症に苦しむ方々を支えることができれば。一人でも多くの早期発見・治療につながってほしい」と期待を込めた。
    https://www.yomiuri.co.jp/medical/20240413-OYT1T50164/

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