2018年7月12日

【遺伝子(ゲノム)幻想】「DNAの型が○○と一致」という幻惑案件②

( 【遺伝子(ゲノム)幻想】「DNAの型が○○と一致」という幻惑案件 の続き)

[平成時代 DNAの30年]第1部「読み解く」<4>わずかな痕跡 容疑者特定 
2018年5月17日15時0分 読売新聞

 10億分の1グラム。気の遠くなるような少なさだ。「これだけで十分、鑑定できる」。警察庁科学警察研究所主任研究官の関口和正は胸を張った。

 現場に残ったわずかな血痕や唾液、爪、毛根。そこからDNAを検出し、容疑者を特定する「DNA鑑定の技術はこの30年間で急速に発展し、捜査を変えた。採取したDNAが別人のものと一致する確率は、日本人では4兆7000億人に1人。個人を識別する技術は完成の域に達している」と関口は言う。

 DNA鑑定は1985年に英国で開発された。科警研が導入したのは89年。当時は精度が低く、数百人に1人の割合で別人と一致する恐れがあった。

 精度が上がった今、DNA鑑定抜きに捜査は語れない。全国の警察が1年間に行ったDNA鑑定は、92年は22件だったが、2016年は約30万件だ。警察庁は容疑者のDNA型を登録するデータベースも作った。登録数は昨年末現在で約104万件に上る。

 捜査以外でも活用が進む。京都大教授の玉木敬二らは、DNAの配列の違いから、「またいとこ」までの血縁関係を判別する手法を開発した。災害時の遺体の調査などに役立つという。

 鑑定を請け負う民間業者も増えた。「依頼の半分は親子鑑定」。ある民間業者は語る。体外受精で生まれた子が本当に自分の子かどうか確認したいという相談も多い。費用は1回2万円前後が相場という。

 課題もある。「高感度になったがゆえの『落とし穴』がある」と指摘するのは、関西医科大教授の赤根敦だ。近年の技術はわずかなDNAでも検出できるため、偶然混ざった他人のDNAを検出してしまうことがある。

 鑑定業者の中には、依頼者から提供された細胞を海外業者に送り、結果を通知するだけの会社もある。DNAは「究極の個人情報」だ。元科警研所長の名古屋大名誉教授、勝又義直は「鑑定のあり方について、規制も含め議論するべきだ」と話す。(敬称略)
http://premium.yomiuri.co.jp/pc/#!/news_20180517-118-OYTPT50216





(書きかけ)




「DNA 鑑定」(ぐぐる先生)

>DNA鑑定等の在り方に関する作業部会:文部科学省
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/shinkou/043/043_1/index.htm



(№334 2018年5月22日)

23 件のコメント:

  1. [平成時代 DNAの30年]第1部「読み解く」<5>1杯の水で生態系把握 
    2018年5月24日15時0分

     海や川からコップ1杯の水をくむだけで、そこにすむ魚の種類がわかる。動物のふんなどに混じり放出され、水中に漂う「環境DNA」を読み解く手法が、希少動物や生態系の調査方法を変えようとしている。

     龍谷大講師の山中裕樹は、2015年からこの手法を琵琶湖(滋賀県)で試している。沿岸21か所の水を調べたところ、外来種のブラックバスやブルーギルのDNAが、ほぼ全地点で検出された。「外来種の広がり方の深刻さに衝撃を受けた」と話す。滋賀県は駆除に力を入れてきたが、調査結果は対策の難しさを浮き彫りにした。

     従来の調査は網を仕掛けるなどして魚を捕獲していたため、何日もかかった。この方法では、琵琶湖全域の調査が1日で終わった。活用が広がれば、各地の生態系の把握がスムーズになるかもしれない。

     環境DNAに関する最初の報告は2008年、仏チームが池の水からウシガエルのDNAを検出したこととされ、その後各地で成果を上げてきた。陸上生物にも応用が広がる。東京農業大教授の松林尚志ひさしは16年、マレーシア・ボルネオ島北部の熱帯雨林で、わき水周辺にたまった水を調べ、オランウータンやアジアゾウなど6種類の絶滅危惧種のDNAを検出できた。

     課題も指摘されている。環境DNAに詳しい東北大教授の近藤倫生みちおは「希少生物がどこにいるか簡単にわかるので、密漁や乱獲に悪用される恐れがある」と懸念する。

     生命の設計図・DNAを読み解く技術は、身近な医療から熱帯雨林の環境まで社会全体に波及してきた。技術をどう使いこなしていくかが問われる。(敬称略、第1部終わり。冬木晶、諏訪智史が担当しました)
    http://premium.yomiuri.co.jp/pc/#!/news_20180524-118-OYTPT50162

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    1. 「環境DNA」って何?
      https://koibito2.blogspot.jp/2017/06/blog-post.html?showComment=1517669976279#c5689274062822658841

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  2. [平成時代 DNAの30年]第2部「操る」〈1〉夢咲かす遺伝子組み換え
    2018年6月7日15時0分

     この30年間、遺伝子の解読が進んだのと同時に、遺伝子の性質を操作する技術が大きく発展した。年間企画「平成時代~DNAの30年」第2部は「操る」をテーマに、遺伝子操作技術の歴史と課題を探る。

    高い技術 食物は敬遠も

    ●初の青いキク

     茨城県の農研機構とサントリーの共同チームが昨年7月、青いキクの開発に世界で初めて成功したと発表した。キクの花はふつう黄色や白色。青いキクなど存在しない。それを可能にしたのは、サントリーが道をつけた遺伝子組み換え技術の研究だ。

     遺伝子組み換え技術は1980年代から普及し始めた。ある生物に別の生物の遺伝子を加え、新たな性質を持たせる技術だ。遺伝子は細菌に載せて、目当ての生物の細胞に送り込む。

     サントリーは十数年に及ぶ研究の末、青い色素を作る遺伝子をパンジーから取り出し、バラの細胞に組み込んだ。青いバラは2004年に咲き、その後、切り花として24万本以上を販売した。

     技術力は受け継がれ、青いキクができた。「遺伝子組み換え技術が不可能を可能にしてきた」。サントリーグループ主幹研究員の勝元幸久は感慨を込める。

    ●農作物で挫折例

     遺伝子組み換えの高い技術力も、作物には生かせないという状況が日本では続いている。ネックは消費者の根強い不安だ。

     滋賀県野洲市の農業生産法人「グリーンちゅうず」の社長、田中良隆は03年、休耕田で遺伝子組み換え大豆の栽培を試みた。遺伝子組み換え作物の栽培は、米国で1996年から本格的に始まっていた。除草剤をかけても枯れない大豆やトウモロコシ。「今後は遺伝子組み換え作物が主流になるはずだ」と期待した。

     だが、すぐに挫折した。「そんなもの作るなら、滋賀の農作物はもう買わない」。消費者は反発した。県庁の担当職員から「栽培をやめてほしい」と懇願された。種まきから1か月後、田中はトラクターで大豆の芽を泣く泣く掘り起こした。「もう組み換え作物を育てるつもりはない」。思い出すのもつらい。

     日本は遺伝子組み換え作物の輸入大国だ。96年以降、米国やブラジルから大豆やトウモロコシを輸入してきたが、国内では誰も栽培しない。消費者の不安を解消できていないからだ。

     遺伝子組み換え作物を扱う国内企業でつくる「バイテク情報普及会」(東京都)が2017年、消費者2000人に行ったアンケートでは、62%が遺伝子組み換え食品に対して「怖い・悪い」とのイメージを持っていた。「自然なものではない」「健康や環境などへの影響に不安」などが理由だ。

     同会事務局長の熊谷善敏よしはるは「正確な情報が伝わっていない点も大きい。信頼性の高い情報を発信し、不安を解消したい」と話す。(敬称略)
    http://premium.yomiuri.co.jp/pc/#!/news_20180607-118-OYTPT50165

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    1. [平成時代 DNAの30年]第2部「操る」〈2〉ゲノム編集 ルール作り進まず
      2018年6月14日15時0分

       「順調に育ってくれた」。3月下旬、筑波大にあるガラス張りの温室で、助教の野中聡子が真っ赤なトマトを収穫していた。ゲノム編集技術を使って栄養素を増やしたトマトだ。血圧の上昇を抑える成分が通常の3~4倍多く含まれるという。

       野中は遺伝子組み換え技術の研究を10年以上続けてきた。「新しい技術を試したい」と、ゲノム編集に力を入れ始めたのは、つい3年前。それなのに、このトマトはもう、技術的には完成のレベルに近づいている。

       ゲノム編集は遺伝子を効率良く改変する新技術だ。細胞内のDNAを切るはさみ役の酵素を使い、狙った場所の遺伝子を改変できる。

       遺伝子組み換えからゲノム編集へ――。消費者の反発が強い遺伝子組み換え技術を脇に置き、新たにゲノム編集に力を入れ始めた研究者は多い。今や様々な農作物で試されている。農研機構(茨城県)は昨年、ゲノム編集を施したイネの試験栽培を開始した。

            ◇

       研究が急速に進むゲノム編集だが、実用化はまだ遠い。この技術をどう扱うか、国内では法制度が全く整備されていないからだ。

       遺伝子組み換え作物に関しては様々な規制がある。生態系への影響や食品としての安全性を審査し、合格したものだけが販売され、表示義務もある。ゲノム編集による農作物については「情報収集の段階」(環境省)として、ルール作りの議論もあまり進んでいない。

       海外ではルールを設ける国が増え始めている。ただ、遺伝子組み換え技術との違いをどう考えるかという点で対応は揺れている。

       遺伝子組み換え技術で農作物を作る場合、その作物の中に別の生物の遺伝子を組み入れるのが特徴だ。一方、ゲノム編集は作物自体の遺伝子を書き換える。書き換えには、はさみ役の酵素を作る遺伝子を外から加えるが、この遺伝子は最終的には除去される。

       ニュージーランドは、ゲノム編集作物も遺伝子組み換えと見なし、同じルールを適用。アルゼンチンは、外から加えた遺伝子が残っていなければ、通常の作物と同じ扱いだ。

       生態系への影響を心配する声もある。ゲノム編集は作物自体の遺伝子を書き換えるので、突然変異でできた作物と似ているが、ごくまれに想定外の改変が起きてしまうリスクがある。

       「ゲノム編集作物も『外来種』のような存在。別の生物の遺伝子を加えていないといっても、安全と考えるのは安易だ」。生命倫理に詳しい北海道大教授の石井哲也は訴える。(敬称略)
      http://premium.yomiuri.co.jp/pc/#!/news_20180614-118-OYTPT50173

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    2. [平成時代 DNAの30年]第2部「操る」〈3〉命つなぐ 遺伝子治療
      2018年6月21日15時0分

       「遺伝子治療が僕の命をつないでくれた。両親や先生方には、とても感謝している」。23年前、北海道大学病院で国内初の遺伝子治療を受けた札幌市在住の男性(27)は話す。

       1991年12月、同病院の小児科医だった崎山幸雄のもとに、道東の病院から生後10か月の男児が転院してきた。男児は生まれつきウイルスや細菌から体を守る免疫力がほとんどない遺伝性の難病「ADA欠損症」と診断された。

       この病気は、免疫に関わる酵素を作る遺伝子がうまく働かず、患者の多くは1歳前後で亡くなっている。根治法は骨髄移植のみだが、男児に移植可能な提供者は見つからなかった。

       崎山は、米国立衛生研究所(NIH)による世界初の遺伝子治療に注目した。リンパ球に正常な酵素を作る遺伝子を組み込んだ後、体内に戻すと免疫機能が回復したという。「試す価値はある」と確信した。

       ただ、当時は正常な遺伝子の運び役に、がんを引き起こすかもしれない「レトロウイルス」を使っていた。治療チームは、ウイルスやリンパ球を安全に扱う練習を何度も繰り返した。

       95年8月、4歳になった男児に国内初の遺伝子治療を開始した。男児は少しずつ元気になり、遺伝子治療は一躍、脚光を浴びた。

       ところが2002年、フランスで別の病気の遺伝子治療を受けた患者が、相次いで白血病を発症。「遺伝子治療は危険」というイメージが一気に広がった。海外ではその後も研究が発展したが、国内での研究は下火になった。

       北海道倶知安くっちゃん町の小児科クリニックで今も子供たちを診る崎山は「病気の子供たちが、普通に遺伝子治療を受けられるようになってほしい」と語る。(敬称略)
      http://premium.yomiuri.co.jp/pc/#!/news_20180621-118-OYTPT50194

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    3. [平成時代 DNAの30年]第2部「操る」<4>遺伝子治療の停滞破るか
      2018年7月5日15時0分

       1995年に北海道大学病院で初めて実施された後、国内では下火になった遺伝子治療。だが全く途絶えたわけではなかった。

       国立成育医療研究センター部長の小野寺雅史は2014年7月、遺伝性の免疫不全症の一つ「慢性肉芽腫症にくげしゅしょう」の男性に遺伝子治療を行った。「根治には骨髄移植しかないが、提供者は簡単に見つからない。遺伝子治療は必要なものだ」と意義を強調する。

       小野寺はその20年前、国内初の遺伝子治療を翌年に控えていた北大から米国に派遣され、遺伝子を患者の細胞へ送り込む「ベクター(運び屋)」と呼ばれるウイルスの安全性と効率を高める研究に没頭した。

       慢性肉芽腫症の治療では、小野寺が改良を重ねたベクターを使い、免疫細胞を作り出す造血幹細胞に遺伝子を入れた。男性は症状が改善し、昨年7月には骨髄移植を受けたという。小野寺は現在、より安全なベクターの開発を進める。

       小野寺とほぼ同じ時期の95年から米国留学していた自治医科大特命教授の村松慎一は、人体への害がほとんどない「アデノ随伴ウイルス(AAV)」に、いち早く着目した。

       AAVは造血幹細胞との相性が悪く、免疫不全症の治療には向かない。しかし研究を進めた結果、パーキンソン病など神経系の病気の遺伝子治療に有望なことがわかった。

       治療用のAAVを開発した村松は来年以降、神経難病を対象とした臨床試験(治験)を計画する。「日本はやっと遺伝子治療のスタートラインに立ったところ。停滞感を破りたい」(文中敬称略)

        遺伝子治療  2種類の手法がある。一つは患者の体から細胞を採取し、正常な遺伝子を入れた後、再び体内に戻す。もう一つは遺伝子を組み込んだベクターを直接、筋肉や臓器に投与する手法。海外の製薬大手が研究に力を入れている。
      http://premium.yomiuri.co.jp/pc/#!/news_20180705-118-OYTPT50214

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    4. [平成時代 DNAの30年]第2部「操る」<5>ゲノム編集 難病治療へ道
      2018年7月12日15時0分

       国内の遺伝子治療研究は、安全性への懸念から長年にわたり下火となり、欧米の進展ぶりと対照的な状況だったが、近年、ようやく動き始めた。

       大阪大教授の中田慎一郎は、最新のゲノム編集技術を駆使した治療法の開発を目指す。「この方法が実用化できれば<究極の遺伝子治療>になる」と話す。

       2001年、東京医科歯科大病院の小児科医だった中田は、重い免疫不全症の赤ちゃんに出会った。当時は原因がわからず、赤ちゃんは後に亡くなった。「今の医学では救えない病気も、いつか必ず治療法を見つけたい」。臨床医として味わった強い無力感が、基礎研究の道へ転じるきっかけとなった。

       12年、狙った遺伝子を自在に書き換えることができる画期的な技術「クリスパー・キャス9(ナイン)」が欧米で開発されたことを知り、治療への応用を思い立った。

       「ベクター(運び屋)」と呼ばれるウイルスで正常な遺伝子を患者の細胞に入れる従来の遺伝子治療では、病気の原因遺伝子は除去できず、効果も長続きしない可能性があった。病気の遺伝子そのものを書き直すことができれば、これらの課題を解決できる。

       だが、この技術には大きな問題があった。一定の割合で、新たな遺伝子変異が起きてしまうのだ。遺伝子の書き換えは、まずDNAを酵素で切断し、DNAが自然に修復される反応を利用する。ところが酵素の「切れ味」が良すぎるため、余計な変異を生んでしまうことがある。

       そこで中田は、DNAを構成する2本の鎖のうち、1本だけを切断する酵素を使う手法を考案した。人の培養細胞で試すと、新たな変異が生じる割合は25分の1に激減。昨年12月、米科学誌「ゲノム・リサーチ」に論文を発表した。

       この方法なら、治療法がなかった難病の患者も治せるかもしれない。中田は「始めたばかりの研究だが、さらに安全性を高めて患者に届けたい」と意気込む。(敬称略)
      http://premium.yomiuri.co.jp/pc/#!/news_20180712-118-OYTPT50174

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  3. DNA鑑定どう評価=袴田事件、手法めぐり応酬-再審可否11日判断・東京高裁

     再審の扉は開くのか。静岡県で1966年に一家4人が殺害された「袴田事件」の第2次再審請求即時抗告審で、東京高裁は11日、袴田巌さん(82)の再審を開始するか否かの判断を示す。裁判のやり直しを認めた静岡地裁決定から4年余り。地裁判断の決め手となったDNA型鑑定の信用性の評価が最大の焦点だ。
     事件は66年6月30日に発生。同県清水市(現静岡市)のみそ製造会社専務宅が放火され、4人の遺体が見つかった。県警は約1年2カ月後、近くのみそタンクから大量の血痕が付いたシャツやズボンを発見。確定した死刑判決は、これらの衣類を袴田さんのものと認定した。
     2008年申し立ての第2次再審請求審では、技術の進歩で、第1次請求審ではできなかった血痕のDNA型鑑定が実現した。袴田さんの型は検出されず、地裁は14年、「無罪を言い渡すべき新たな証拠」と判断。袴田さんは逮捕から48年ぶりに釈放され、検察側が即時抗告した。
     40年以上前の血痕のDNA型鑑定が信頼できるのか。東京高裁での審理の中心は、鑑定手法の検証だった。第2次請求審で鑑定した本田克也・筑波大教授は、常温保管された衣類から血液だけを抽出するため、試薬「レクチン」を使用した。血液型の判定に使われているが、刑事裁判の証拠となるDNA型鑑定に用いられたのは初めてだった。
     高裁から検証を委託された鈴木広一・大阪医科大教授は、古い血痕をレクチンに浸して再現実験を実施。約1年半をかけ、「DNAを分解する作用があり不適切」との報告書をまとめた。
     この報告書に基づき、検察側は「鑑定結果は信用できない」と主張したが、弁護団は「高濃度のレクチンを使うなど独自の条件で実験しており、検証になっていない」と反発。実験で少量のDNAが抽出されたことを逆手に取り、「結果の信用性は揺るぎない」と訴えている。(2018/06/09-15:18)
    https://www.jiji.com/jc/article?k=2018060900418&g=soc

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    1. 「鑑定」といっているようじゃまだまだだな…

      「鑑定 DNA」
      https://www.google.co.jp/search?q=%E9%91%91%E5%AE%9A+%EF%BC%A4%EF%BC%AE%EF%BC%A1

      怪しい会社がわんさか…

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    2. 袴田事件 あす再審可否 DNA鑑定 信用性焦点
      2018年6月10日5時0分

       1966年に静岡県清水市(現・静岡市清水区)の一家4人が殺害された「袴田事件」で死刑が確定し、静岡地裁の再審開始決定で釈放された袴田巌はかまだいわお・元被告(82)について、東京高裁(大島隆明裁判長)は11日、再審開始を認めるかどうかの決定を出す。地裁決定の根拠となった弁護側のDNA型鑑定の信用性の評価が焦点となる。

       強盗殺人などの疑いで逮捕された袴田元被告は、捜査段階で犯行を認めたが、公判では否認。だが、1審・静岡地裁と2審・東京高裁は、元被告や被害者と一致する血液型の血痕がついた5点の衣類が現場近くのみそ工場のタンクから見つかったことなどから犯行を認定し、80年に最高裁で死刑が確定した。

       2008年に始まった第2次再審請求審では、弁護側推薦の本田克也・筑波大教授による鑑定で、5点のうちシャツについた血痕のDNA型が元被告と一致しないという結果が示された。地裁は14年3月、この鑑定結果を基に再審開始を決定。「拘置を継続することは耐え難いほど正義に反する」と元被告の釈放も命じた。

       地裁の決定に対し、検察側は「本田教授の鑑定は独自の手法で行われており、科学的に信用できない」として即時抗告。検察側推薦の鈴木広一・大阪医科大教授による検証実験が行われ、17年6月、「本田教授の手法では適正な鑑定結果が得られない」などとする報告書が高裁に提出された。

       あるベテラン刑事裁判官は「高裁が本田教授の鑑定手法を信用できると判断するかどうかが結論を大きく左右する」と話す。

       また、元被告は再審請求中に死刑囚が釈放された初のケースで、高裁の判断によっては元被告の処遇も注目されそうだ。

        姉・秀子さん「無罪求め闘う」

       袴田元被告の姉の秀子さん(85)は半世紀にわたって弟の無実を訴えてきた。東京高裁の決定を前に「どんな結果が出ようと、無罪を求めて闘っていく」と語る。

       元被告に死刑を言い渡した1968年の1審判決後、まもなく母親が亡くなった。「巌はだめかいね。これからは世間を気にして生きていかないといけないね」。息子の無実を信じ続けた母親はそう言い残した。当時、支援者はほとんどおらず、秀子さんは「私以外に誰が巌を守れるのか」と全国を回って無実を訴えた。

       2014年に元被告が釈放されてからは、浜松市内のマンションに2人で暮らす。元被告は自身を「神」などに例え、十分に会話ができるわけではない。秀子さんは、元被告の精神が、拘置所で死刑執行の恐怖から逃れるために自ら創り上げた世界にあると考える。それでも「ずいぶん表情がやわらかくなった」という。

       東京高裁で検察、弁護側双方の主張が出尽くした今年2月以降、秀子さんは浜松と東京を何度も往復し、司法関係者らに早期の再審開始を訴えてきた。「巌は50年間も塀の中で闘ってきた。どうってことない。再審が開始されると信じている」と言葉に力を込めた。
      http://premium.yomiuri.co.jp/pc/#!/news_20180610-118-OYTPT50119

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  4. 袴田事件再審認めず、高裁「DNA鑑定に疑問」
    2018年6月11日13時58分

     1966年に静岡県清水市(現・静岡市清水区)で一家4人が殺害された「袴田事件」で死刑が確定し、静岡地裁の再審開始決定を受けて釈放された袴田巌はかまだいわお元被告(82)について、東京高裁は11日、再審開始を取り消す決定をした。

     大島隆明裁判長は「地裁が再審開始の根拠としたDNA型鑑定の有用性には深刻な疑問がある」とした。一方、袴田元被告の刑の執行停止と釈放を命じた地裁の決定は取り消さなかったため、元被告が現段階で拘置所に収容されることはない。

     元被告側は、高裁決定を不服として最高裁に特別抗告する。

     元被告は地裁決定を受け、2014年3月に東京拘置所から釈放されていた。今後、最高裁が高裁の判断を認めるなどして高裁決定が確定すれば、元被告は再び収容されることになる。

     確定判決によると、事件から1年2か月後、犯人が犯行時に着ていた5点の衣類が現場近くのみそ工場のタンク内から見つかった。そのうち半袖Tシャツには犯行時にけがをした犯人と被害者のものとみられる血痕があり、判決は、犯人と元被告の血液型が同じB型だったことなどを指摘した。

     元被告側が08年4月に裁判のやり直しを求めた静岡地裁の第2次再審請求審では、弁護側推薦の本田克也・筑波大教授が5点の衣類について血痕のDNA型鑑定を行い、半袖Tシャツの血痕から検出されたDNA型が「元被告と一致しない」とする結果が出された。地裁はこの鑑定結果を根拠に「最重要証拠だった5点の衣類が元被告のものでも犯行時の着衣でもない可能性が十分にある」と判断。再審開始を決定し、裁判のやり直しを命じた。

     この決定に対し、検察側は「本田教授の鑑定は独自の方法で行われており、科学的に信用できない」として東京高裁に即時抗告。検察側推薦の鈴木広一・大阪医科大教授による検証実験が行われ、「本田教授の鑑定方法では適正な鑑定結果が得られない」とする報告書が提出されていた。

     死刑囚の再審請求が認められた例は袴田事件を含めて6件あり、いったん出された再審開始決定が取り消されたのは、1961年に三重県で起きた名張毒ぶどう酒事件に次いで2件目。
    http://premium.yomiuri.co.jp/pc/#!/news_20180611-118-OYT1T50037

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    1. 袴田事件再審取り消し 東京高裁 DNA鑑定「疑問」
      2018年6月11日15時0分

       1966年に静岡県清水市(現・静岡市清水区)で一家4人が殺害された「袴田事件」で死刑が確定し、静岡地裁の再審開始決定を受けて釈放された袴田巌はかまだいわお元被告(82)について、東京高裁は11日、再審開始を取り消す決定をした。大島隆明裁判長は「地裁が再審開始の根拠としたDNA型鑑定の有用性には深刻な疑問がある」とした。一方、袴田元被告の刑の執行停止と釈放を命じた地裁の決定は取り消さなかったため、元被告が現段階で拘置所に収容されることはない。

      釈放判断は維持
       元被告側は、高裁決定を不服として最高裁に特別抗告する。

       元被告は地裁決定を受け、2014年3月に東京拘置所から釈放されていた。今後、最高裁が高裁の判断を認めるなどして高裁決定が確定すれば、元被告は再び収容されることになる。

       確定判決によると、事件から1年2か月後、犯人が犯行時に着ていた5点の衣類が現場近くのみそ工場のタンク内から見つかった。そのうち半袖Tシャツには犯行時にけがをした犯人と被害者のものとみられる血痕があり、判決は、犯人と元被告の血液型が同じB型だったことなどを指摘した。

       元被告側が08年4月に裁判のやり直しを求めた静岡地裁の第2次再審請求審では、弁護側推薦の本田克也・筑波大教授が5点の衣類について血痕のDNA型鑑定を行い、半袖Tシャツの血痕から検出されたDNA型が「元被告と一致しない」とする結果が出された。地裁はこの鑑定結果を根拠に「最重要証拠だった5点の衣類が元被告のものでも犯行時の着衣でもない可能性が十分にある」と判断。再審開始を決定し、裁判のやり直しを命じた。

       この決定に対し、検察側は「本田教授の鑑定は独自の方法で行われており、科学的に信用できない」として東京高裁に即時抗告。検察側推薦の鈴木広一・大阪医科大教授による検証実験が行われ、「本田教授の鑑定方法では適正な鑑定結果が得られない」とする報告書が提出されていた。

       死刑囚の再審請求が認められた例は袴田事件を含めて6件あり、いったん出された再審開始決定が取り消されたのは、1961年に三重県で起きた名張毒ぶどう酒事件に次いで2件目。

       ◆袴田事件=1966年6月30日未明、みそ会社専務宅が全焼し、家族4人の遺体が見つかった。従業員の袴田巌元被告が強盗殺人罪などで起訴され、公判で無罪を主張したが、静岡地裁は68年に死刑を言い渡し、80年に最高裁で確定。第1次再審請求は地裁、高裁、最高裁で退けられた。
      http://premium.yomiuri.co.jp/pc/#!/news_20180611-118-OYTPT50153

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    2. 袴田さんの姉 高裁決定は残念
      6/11(月) 14:57 掲載
      https://news.yahoo.co.jp/pickup/6285802

      袴田さん そんなのウソだよ
      6/11(月) 18:38 掲載
      https://news.yahoo.co.jp/pickup/6285830

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  5. 社説
    「袴田」再審棄却 鑑定への評価が明暗を分けた
    2018年6月12日6時1分

     進歩が著しいDNA鑑定の評価の難しさが、浮き彫りになった。

     「袴田事件」の第2次再審請求で、東京高裁が再審開始を認めた静岡地裁決定を取り消した。

     地裁が再審開始の根拠としたDNA鑑定について、「深刻な疑問がある」と判断した。その上で、再審を開始すべき明白な新証拠に該当しない、と結論付けた。

     袴田巌元被告が犯行時に着ていたとされる衣類に血痕が付着していた。新手法によるDNA鑑定の結果から、弁護側は「血痕は袴田元被告のDNA型と一致しない」と主張し、地裁も支持した。

     高裁は、検証により、鑑定結果を真っ向から否定した。地裁決定の根幹が崩れた以上、覆すしか選択肢はなかったと言えよう。

     静岡県内のみそ会社専務宅で1966年、一家4人が殺害された。強盗殺人容疑などで逮捕された袴田元被告は、公判で無罪を主張したが、1審で死刑が言い渡され、最高裁で80年に確定した。

     2014年の地裁決定により、袴田元被告は拘置所から釈放されている。高裁は、釈放と死刑の執行停止の判断は維持した。

     袴田元被告は82歳で、持病もある。姉と暮らし、逃亡の恐れも少ない。直ちに再収容しない理由について、高裁はこうした事情を挙げた。異例の言及からは、確定死刑囚である袴田元被告の身柄の扱いに苦慮した形跡が窺うかがえる。

     第2次再審請求から、既に10年以上が経過している。地裁が再審開始を決定してからでさえ、4年が過ぎた。弁護側は、高裁決定を不服として、最高裁に特別抗告する方針を示している。

     これほど長い時間を要する状況は、改善できないものか。死刑か、無罪かが争われている再審請求事件である。元被告を長期にわたって不安定な身分に置くのは、好ましいことではあるまい。

     再審請求審は本来、裁判のやり直しをするかどうかを決める非公開の手続きだ。有罪か無罪かの結論を出す場ではないにもかかわらず、再審開始の是非を巡り、入り口で延々と争いが続いている。

     いったん、再審開始決定が出たら、原則として再審に移行し、公開の法廷で決着をつける。こうすれば、結論に至るまでの時間を短縮できるのではないか。

     今回の再審請求審では、逮捕後の取り調べを録音したテープなど多数の新証拠が開示された。

     再審に関して、刑事訴訟法に証拠開示のルールを明文化することも検討すべきだろう。
    http://premium.yomiuri.co.jp/pc/#!/news_20180611-118-OYT1T50093

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    1. 袴田再審 地裁決定覆す…DNA鑑定「疑問」 高裁が取り消し
      2018年6月12日5時0分

       1966年に静岡県清水市(現・静岡市清水区)で一家4人が殺害された「袴田事件」で死刑が確定し、静岡地裁の再審開始決定で釈放された袴田巌はかまだいわお元被告(82)について、東京高裁は11日、再審開始を取り消す決定をした。大島隆明裁判長は「地裁が再審開始の根拠としたDNA型鑑定の結果は信用できない」と判断した。一方、同地裁が認めた元被告の刑の執行停止と釈放は取り消さなかった。元被告側は決定を不服として最高裁に特別抗告する。

       高裁の即時抗告審での最大の争点は、事件後に現場近くのみそ工場のタンクから発見された5点の衣類を巡る、弁護側のDNA型鑑定の信用性だった。

       確定判決は、5点のうちTシャツに元被告と同じ血液型の血痕があったことなどから元被告の犯行時の着衣だと認定した。だが、2008年に始まった第2次再審請求審で、静岡地裁は、弁護側のDNA型鑑定でTシャツの血痕から元被告と異なるDNA型が検出されたとして「犯行時の着衣でない可能性が高い」と判断。裁判のやり直しを命じた。

       これに対し、高裁決定は、弁護側鑑定は新手法で行われ、他に成功例も報告されていないことなどから「科学的手法として確立しておらず、原理にも疑問がある」と指摘。さらに、鑑定のデータや記録が残っていないことや、血痕から鑑定人本人と同じDNA型の一部が検出されたことなどを疑問視し、「5点の衣類を根拠に元被告を犯人とした確定判決の認定に疑いは生じていない」と結論づけた。

       一方、地裁決定は5点の衣類について「捜査機関が捏造ねつぞうした可能性がある」と指摘したが、高裁決定は「捜査機関が捏造する動機は見いだしがたく、その可能性を想定することは現実的ではない」と否定した。

       【袴田事件】 1966年6月30日未明、みそ会社専務宅が全焼し、刺し傷のある専務(当時42歳)、妻(同39歳)、次女(同17歳)、長男(同14歳)の4人の遺体が見つかった。従業員の袴田巌元被告が強盗殺人罪などで起訴され、公判で無罪を主張したが、静岡地裁は68年に死刑を言い渡し、80年に最高裁で確定。第1次再審請求は地裁、高裁、最高裁で退けられた。

        ■決定のポイント

       ▽再審開始決定の根拠とされたDNA型鑑定は、科学的に確立した手法ではなく信用できない

       ▽重要証拠の5点の衣類は、元被告の犯行時の着衣であることに疑いはない

       ▽捜査機関に5点の衣類を捏造(ねつぞう)する動機はなく、現実的ではない

       ▽元被告の年齢や生活状況、健康状態に照らすと、高裁決定が確定するまで死刑執行と拘置の停止は維持されるべきだ

      釈放は維持…最高裁判断で再収容も
       この日の高裁決定は、元被告の刑の執行停止と拘置所に収容しない措置を認めた。元被告は地裁決定が出た2014年3月に東京拘置所から釈放されていた。

       この判断の理由について、高裁は「元被告の年齢や生活状況、健康状態に照らすと、逃走の恐れが高まるなど刑の執行が困難になる現実的危険性は乏しい」とした。ただ、今後、最高裁が高裁の判断を認めるなどして高裁決定が確定すれば、元被告は再び拘置所に収容されうる状態になる。

       死刑囚の再審請求が認められた例は袴田事件を含めて6件あるが、再審開始決定の段階で釈放されたのは袴田元被告が初めてだった。

        ■袴田事件 東京高裁決定の要旨

       1966年に起きた「袴田事件」で死刑判決が確定した後、静岡地裁による再審開始決定で釈放された袴田巌元被告について、東京高裁が11日に出した決定の要旨は次の通り。

       【主文】

       地裁の決定を取り消す。再審請求を棄却する。

       【理由】

       ▽DNA型鑑定

       本田克也・筑波大教授は、元被告の犯行時の着衣とされた5点の衣類のDNA型鑑定を実施し、このうち白半袖シャツ右肩に付着した血痕は元被告のものではないと判断した。その鑑定手法は、教授が考案した新規の手法である上、教授以外が同じ手法で古い血痕から血球細胞とその他の細胞を分離し、血液由来のDNA型鑑定に成功した例も報告されていない。

       一般的に確立していない科学的手法を用いる場合、その手法、結果の信頼性を慎重に吟味することが必要不可欠だ。地裁決定は、教授が提出した予備実験に関する報告書やチャート図など十分な検証ができない資料を根拠とし、その証拠価値を高く評価した。鑑定に関する信用性を評価する手法として慎重さを欠く。

       教授が鑑定で使用した試薬には、DNAを分解する酵素が含まれていることが認められる。鑑定手法の有効性には重大な疑問があり、信頼性を著しく低下させる。

       地裁は、本田鑑定が信用できる理由として、ほかのDNAによる汚染の可能性が低いことを理由に挙げている。しかし、本田鑑定の手順には手作業が入り込むことが認められ、汚染の機会が大きくなることも否定できない。DNA型の一部が教授自身の型と一致していることから、教授による汚染を疑うべきだ。

       本田鑑定の手法の検証に関し、弁護人の協力が得られないことに加え、教授も鑑定に関するデータを削除した現状では、これ以上、信用性を高裁で審理することも、地裁に差し戻して審理することも不可能だ。本田鑑定の信用性は乏しいが、地裁は証拠価値の評価を誤り、刑事訴訟法435条6号のいう「無罪を言い渡すべき明らかな証拠」にあたると認めた。法の解釈と適用を誤り、違法だ。

       ▽みそ漬け再現実験

       確定判決は、犯人の着衣とされた5点の衣類が1年以上みそに漬けられていたと認定した。弁護人は、その場合の色合いに着目し、似た衣類に血液を付着させてみそに漬け込む再現実験の報告書を提出した。地裁は、衣類の色は長期間みそに入れられたことをうかがわせるものではないとして、確定判決に一定程度の疑いを生じさせると判断した。

       しかし、地裁が判断の根拠とした衣類の写真には、写真自体の劣化や、撮影時の露光といった問題がある。発見当時の色合いが正確に表現されておらず、色合いを比較対照する資料とはなり得ない。報告書を無罪を言い渡すべき明白な証拠と判断した地裁決定は不合理で違法だ。

       ▽証拠の捏造

       地裁は、5点の衣類について証拠が後日、捏造(ねつぞう)されたと考えるのが最も合理的だとした。元被告の取り調べ方法は、供述の任意性や信用性確保の観点から疑問だが、取り調べ状況から捏造に結びつけることには論理の飛躍がある。捜査機関が5点の衣類を捏造した合理的な疑いは生じない。

       ▽刑の執行停止

       高裁は、再審開始の理由がないと判断するのだから、一般的には身柄の解放を継続する必要性は弱まるが、必ず刑の執行停止を取り消すべきだとまではいえない。再審開始決定の取り消しに伴い、地裁が決定した刑の執行停止も職権により取り消すか否かは、事案の重大性や有罪の言い渡しを受けた者の生活状況、心身の状況などを踏まえた身柄拘束の必要性や、最高裁への上訴の見込みの有無などを踏まえた高裁の合理的な裁量権に委ねられるべきだ。

       元被告に対し、死刑が言い渡されていることを踏まえても、元被告の現在の年齢や生活状況、健康状態などに照らすと、再審開始決定の取り消しにより、逃走の恐れが高まるなどして刑の執行が困難になる現実的危険性は乏しい。再審請求の棄却決定の確定前に刑の執行停止を取り消すのが相当とまではいい難い。

       高裁は、今回の決定に伴い職権を発動して直ちに死刑及び拘置の執行停止は取り消さない。
      http://premium.yomiuri.co.jp/pc/#!/news_20180612-118-OYTPT50112

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    2. 袴田元被告「うそだ」…特別抗告へ 弁護団「承服できぬ」
      2018年6月12日5時0分

       48年ぶりの釈放から約4年。1966年に一家4人が殺害された「袴田事件」で、死刑が確定している袴田巌はかまだいわお元被告(82)の無罪の訴えは退けられた。静岡地裁の再審開始決定を取り消した11日の東京高裁決定に、姉の秀子さん(85)や弁護団は驚き、憤り、元被告は「うそだ」と語気を強めた。

       「大変残念。真実を正しい目で調べてほしかった」。同日午後1時半に出た決定を受け、午後3時から東京・霞が関の弁護士会館で記者会見した秀子さんは、そう悔しさをにじませた。

       2014年3月に釈放された袴田元被告と、浜松市で一緒に暮らす秀子さん。自宅で待つ元被告について、「自分の口から本人には伝えない」としつつ、高裁が現段階での再収容を命じなかったことについては、「ひと安心した」と語った。

       会見に同席した西嶋勝彦・弁護団長は「よもや再審開始が取り消されるとは思わなかった」と驚き、「到底承服できない」と怒りをあらわにした。また、弁護側が推薦した本田克也・筑波大教授のDNA型鑑定の手法が、「科学的に確立していない」と否定されたことについて、「世界の学会で正当だと評価されている」と反論。最高裁に特別抗告すると明言した。

       この事件では、死刑判決を言い渡した静岡地裁も、検察側が提出した元被告の供述調書45通のうち、44通は採用しなかった。確定判決が犯行時の着衣と認定した「5点の衣類」が見つかったのは公判開始から9か月後で、検察側は当初、別のパジャマで犯行に及んだと主張していた。

       また、高裁の即時抗告審では、取調官が否認する元被告に被害者遺族への謝罪の気持ちを繰り返し聞いたり、取調室に便器を持ち込んで排尿させたりしたことが明らかになった。高裁は、「心理的に追い込んで疲弊させる手法が用いられ、供述の任意性や信用性の観点から疑問だ」と指摘した。

       それでも高裁は、元被告を犯人とした確定判決を覆す証拠にはならないと判断。西嶋団長は「違法捜査をうやむやにされた。最高裁での審理に向け、取り調べがいかにひどかったかを明らかにし、再審開始を勝ち取る」と強調した。

       一方、東京高検の曽木徹也次席検事は「法と証拠に照らし、適正かつ妥当な判断だと理解している」とコメント。ある法務・検察幹部は「科学的根拠に乏しいDNA型鑑定を地裁は過大評価したが、高裁は冷静に判断してくれた」と語った。

       

      「鑑定結果には自信」

       今回の決定でDNA型鑑定の信用性を否定された本田克也・筑波大教授は、読売新聞の取材に対し、「鑑定結果には絶対の自信がある。検察側の主張を裁判官がうのみにした内容で大変がっかりしている。最高裁がこれまでの審理の中身をよく見て判断してくれれば、鑑定の正しさは分かると信じている」と話した。

       

      姉と生活 散歩が日課
       袴田元被告は上京せず、自宅がある浜松市で「再審開始取り消し」の知らせを聞いた。

       袴田元被告は、姉の秀子さんの年金や支援者らの寄付で生計を立て、5時間以上の散歩を日課としている。半世紀近くにわたる拘置所生活の影響で、支援者との意思疎通がままならないことも多い。

       11日は午前6時頃に起床し、午前中は居間でテレビを見るなどして過ごした。午後1時前、支援者の車で自宅を出て、同市浜北区の岩水寺がんすいじへ向かった。幼い頃に遊んだ場所で、袴田元被告が行きたがったという。

       岩水寺で支援者から東京高裁の決定を聞かされ、「あー、そーう」とだけ返事をした。その後、記者が改めて尋ねると、「そんなのうそなんだよ。うそ言ってるだけだよ。事件がねえんだから」と話した。午後4時半頃に帰宅し、無言で家の中に入った。

       この日は岩水寺など5か所の寺社でお参りをしたという。支援者の清水一人さん(69)は「いくら無罪を訴えても届かず、神にでもすがりたい気持ちなのではないか」とおもんぱかった。

      釈放「逃走恐れ低い」…死刑再審 無罪判決前は例なし

       死刑が確定した事件で再審開始決定が出されたのは、袴田事件を含め、これまでに6件ある。このうち、再審無罪が確定した免田めんだ、財田川さいたがわ、島田、松山の4事件ではいずれも、再審開始決定の確定後、再審で無罪判決が出された段階で元被告が釈放されている。

       再審開始決定で死刑の執行が停止された元被告を釈放すべきかどうかを定めた法律はなく、裁判所によって異なる見解が示されてきた。免田事件の再審開始を決定した熊本地裁八代支部は「死刑の執行を停止しても拘置までは解かれない」と指摘。松山事件で再審開始決定を出した仙台地裁は「裁判所は裁量により、拘置の執行を停止することもできる」とする見解を示しつつ、釈放は認めなかった。

       袴田事件で再審開始決定を出した静岡地裁は2014年、仙台地裁と同じ見解に立ちつつ、袴田巌元被告(82)の釈放を命じた。その理由について地裁は〈1〉拘置は死刑執行に付随する手続きで刑の一部〈2〉懲役刑の場合は刑の執行が停止されれば釈放される――などと指摘。「裁判所の裁量で釈放できる」との考えを示した。

       その上で、袴田元被告について「年齢や精神状態を考えると逃走を図る恐れはない」などと指摘し、「拘置をこれ以上継続することは、耐え難いほど正義に反する」と結論付けた。

       11日の東京高裁決定も、袴田元被告について、「逃走して刑の執行が困難になるような危険性は乏しく、再審請求棄却が確定する前に、刑の執行や拘置の停止を取り消すのは相当ではない」との考え方をとった。ある刑事裁判官は、「再審開始を取り消した以上は再び拘置するのが原則という考え方もあるが、高裁は、最高裁の最終判断が出ていないことを重視したのだろう」と話す。検察側は対応を検討しているが、「異議は申し立てない」との見方が強い。

       一方、1961年の名張毒ぶどう酒事件では、名古屋高裁が2005年4月に再審開始を決定したが、釈放は認めなかった。翌06年、同高裁の別の裁判官が再審開始決定を取り消し、13年10月に最高裁で確定。元死刑囚は15年10月に病死した。

       

      「釈放維持は妥当」

        元東京高裁部総括判事の矢村宏・北海学園大教授の話 「裁判所としては刑の執行が不可能になる事態だけは避けなければならないが、今回のケースでは元被告が逃走するなど、刑の執行が困難になる事情はうかがえない。弁護側の特別抗告によって審理が継続することが予想される中で、元被告をすぐに再び拘置する必要性はないとしたのは現実的で妥当な判断だった」

       

      「鑑定 プロセス重要」

        元東京高裁部総括判事の門野博弁護士の話 「科学鑑定は結果だけでなくプロセスも重要だ。鑑定データや記録が残っていないなどの理由から高裁が弁護側鑑定を信用できないとした判断は理解できる。一方、『疑わしきは罰せず』という刑事裁判の原則にのっとり、再審開始のハードルを高く設定し過ぎないことも大切で、新しい鑑定手法をどう再審に生かしていくべきかが今後の課題となる」
      http://premium.yomiuri.co.jp/pc/#!/news_20180612-118-OYTPT50158

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    3. [解説スペシャル]検察 再審の「土台」崩す…袴田事件 高裁決定
      2018年6月12日5時0分

        試薬 鑑定に不適切と判断

       1966年に静岡県の一家4人が殺害された「袴田事件」で、東京高裁は11日、袴田巌はかまだいわお元被告(82)の再審開始を取り消した。無罪の心証を前提に死刑囚の釈放まで命じた静岡地裁決定から一転、有罪判決は揺るがないとした高裁決定の背景を検証する。(社会部 小田克朗、駒崎雄大)

       ■「本田鑑定」に照準

       「弁護側鑑定の信用性さえ崩すことができれば、地裁の決定を覆すことができると考えていた。高裁は公正に判断してくれた」。ある検察幹部はこう語った。

       2014年の静岡地裁決定は、元被告の犯行時の着衣とされた半袖Tシャツの血痕について、弁護側推薦の本田克也・筑波大教授が「元被告と一致しない」としたDNA型鑑定の鑑定結果を重視。これを前提として、事件の1年2か月後に現場付近のみそ工場のタンク内から発見されたこのシャツを含む5点の衣類の色も不自然として「捜査機関が証拠を捏造ねつぞうした可能性がある」とまで踏み込んだ。

       これに対し、検察側が着目したのは本田教授の鑑定手法だった。本田鑑定が地裁決定を支える「土台」となった以上、その信用性を崩せば、衣類の色など他の証拠の評価にかかわらず、結論は覆せるとの判断だ。

       本田教授は、シャツの切れ端を漬けた生理食塩水に血液細胞を集める「試薬」を垂らし、古い血痕からDNAを採取するという独自の方法を採った。これに対し、検察側が推薦した鈴木広一・大阪医科大教授は本田教授の鑑定手法を検証し、「試薬はDNAを分解する作用があり、鑑定に使うのは不適切だ」などとする報告書を高裁に提出した。

       鈴木教授は、再審無罪が確定した足利事件や東京電力女性社員殺害事件で、その決め手となったDNA型鑑定を手がけている。ある検察幹部は「裁判所への説得力を増すため、過去に検察に不利な結果を出した人をあえて選んだ」と明かす。

       ■原資料消去「不自然」

       高裁は弁護側にも新たな検証実験のための鑑定人を推薦するよう促したが、「不要」として拒否。一方、検察側は、本田鑑定に否定的な別の法医学者の意見書などを延べ約20通提出し、鈴木教授の報告書を補強した。

       11日の高裁決定は、本田教授がDNAを分解するような試薬を鑑定に使ったのは不適切だったとした上で、「本田鑑定の手法ではDNAを抽出することは困難だと複数の学者らから指摘されており、重大な疑問がある」と指摘し、信用性を否定。さらに、本田教授が鑑定結果の根拠となるデータや実験ノートなどの原資料を消去していたことにも言及し、「あまりにも不自然で、学会の指針にも適合しない疑いがある」と厳しく批判した。

       本田教授は過去に足利事件などの再審請求で鑑定に関わった経歴を持つが、五條堀ごじょうぼり孝・早稲田大招聘しょうへい研究教授は「本田教授のこの鑑定手法を使った人はほかに誰もおらず、法医学者から疑問の声が出ていた」と話した。また、あるベテラン刑事裁判官は「裁判官は鑑定の専門家ではなく、専門家の意見が分かれる手法の判断には慎重になることが多い。検察の作戦が功を奏した面はあるだろう」と指摘している。

        【DNA型鑑定】  細胞内にあるDNA(デオキシリボ核酸)の中は、「塩基」と呼ばれる4種類の物質が組み合わさり、二重のらせん状になっている。その構成(型)は人によって異なり、同じ型を持つ別人が現れる確率は約4兆7000億人に1人とされる。足利事件や東京電力女性社員殺害事件では、DNA型鑑定によって有罪が確定した人物とは別人が犯人と判明し、再審無罪が確定した。

      証拠開示少なく長期化
       袴田事件の第2次再審請求審では、地裁と高裁を合わせて10年の歳月が費やされている。長期化の背景には、高裁でのDNA型鑑定を巡る議論のほか、地裁の段階から証拠開示に消極的だった検察の姿勢が要因になったとの指摘がある。

       刑事裁判では、被告の捜査段階の供述や凶器など捜査機関が犯罪を証明するために収集した証拠は公判前に弁護側に開示されている。裁判員制度の導入を見据えた2004年の刑事訴訟法改正で、05年から証拠開示の範囲が広げられ、16年以降は全ての証拠のリスト開示も義務付けられている。

       ただ、再審請求審での証拠開示義務は法的には明示されておらず、08年に始まった今回の第2次再審請求審でも、検察側は当初から「法的根拠がない」として消極的だったとされる。

       弁護側だけでなく、地裁からも繰り返し「開示してはどうか」と迫られた検察側が、重要物証である「5点の衣類」のカラー写真などの開示に初めて応じたのが10年9月。その後、元被告の捜査段階の供述を録音したテープなど計約600点を五月雨式に開示したが、ある刑事裁判官は「証拠を小出しにするような姿勢は裁判官の捜査機関への不信につながりかねない」と指摘する。さらに、審理が高裁に移った後に開示された証拠も少なくなく、弁護団の一人は「検察側が改正刑訴法の趣旨に沿って当初から十分な証拠を開示していれば、審理がここまで長期化することはなかった」と振り返る。

       12年に再審無罪が確定した東京電力女性社員殺害事件の再審請求審では、弁護側の要請を受けた検察側の証拠開示で真犯人が別にいる可能性が明らかになった。元東京高裁部総括判事の角田つのだ正紀まさのり・日本大教授は「再審請求審でも裁判所が命じた場合は検察に証拠開示を義務付けるなど法制化に向けた議論をすべき時期にきている」と指摘している。
      http://premium.yomiuri.co.jp/pc/#!/news_20180611-118-OYTPT50406

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  6. 松戸女児殺害、付着物「第三者DNA検出せず」
    2018年06月13日 09時01分

     ベトナム国籍で千葉県松戸市の小学3年生、レェ・ティ・ニャット・リンさん(当時9歳)が殺害された事件で、殺人罪などに問われた渋谷恭正被告(47)の裁判員裁判の第5回公判が11日、千葉地裁(野原俊郎裁判長)で開かれた。

     千葉県警科学捜査研究所の研究員が出廷し、リンさんの遺体腹部の付着物からは、第三者のDNA型が検出されなかったと証言した。

     出廷したのは、遺体の付着物や渋谷被告の軽自動車内に付着していた血痕などのDNA型鑑定を行った研究員。証言によると、鑑定は異物が混入しないよう専用の作業室で実施し、研究員は新品のヘアキャップやマスクを着用したという。

     研究員は、遺体の腹部から採取された付着物からは、複数人のDNA型からなる「混合DNA型」が検出されたと説明。リンさんと渋谷被告のDNA型が「過不足なく含まれていた」といい、「第三者のDNA型が含まれているという判定は出なかった」とした。

     また、初公判で弁護側は、意図的に渋谷被告のDNA型が混入された可能性があると指摘したが、研究員はこれを否定した。
    http://www.yomiuri.co.jp/national/20180612-OYT1T50036.html

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    1. >千葉県警科学捜査研究所の研究員
      >遺体の付着物や渋谷被告の軽自動車内に付着していた血痕などのDNA型鑑定を行った研究員

      >遺体の腹部から採取された付着物からは、複数人のDNA型からなる「混合DNA型」が検出されたと説明。リンさんと渋谷被告のDNA型が「過不足なく含まれていた」といい、「第三者のDNA型が含まれているという判定は出なかった」

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  7. 7月12日 よみうり寸評
    2018年7月12日15時0分

     冤罪えんざいを扱う映画の中でも、『それでもボクはやってない』は白眉のひとつだろう。痴漢と間違われて逮捕された青年の法廷闘争劇である◆監督の周防正行さんがかつて語った制作の動機が興味深い。刑事裁判の現実を調べていくうちに、〈しなくてもいい頑張りを人が強いられるシステムに対する怒り〉を覚えたのだという◆無期懲役が確定している阪原弘・元受刑者も理不尽に「頑張り」を強いられた一人かもしれない。滋賀県日野町の女性殺害事件で逮捕されて30年、第2次再審請求から6年を経て、きのう再審開始が認められた◆服役中も無実を訴え続けたその人は7年前、75歳で病死している。異例の「死後再審」でたとえ名誉回復が図られたとしても、当人が知るよしもない。なぜ、これほどの時が流れてしまったのだろう◆再審の扉は、大津地裁が検察に強く求めて示された証拠の数々によって動いた。もし、当初の裁判で開示されていたなら…。冤罪が疑われる事件が繰り返されるたびに抱く検察への疑問である。
    http://premium.yomiuri.co.jp/pc/#!/news_20180712-118-OYTPT50280

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  8. 袴田事件の弁護団 DNA鑑定めぐり最高裁に補充書提出
    2018年7月23日 19時49分

    いわゆる「袴田事件」の再審=裁判のやり直しをめぐり、先月、東京高等裁判所が再審を認めない決定を出したことに対し、弁護団は23日、高裁がDNA鑑定を信用できないとしたのは誤りだとする補充書を最高裁判所に提出しました。

    昭和41年に今の静岡市清水区で会社役員の一家4人が殺害された事件では、袴田巌さん(82)の死刑が確定しましたが、袴田さんは無実を訴えて再審を申し立てています。

    静岡地方裁判所は4年前、犯人のものとされる衣類の血痕のDNA鑑定などをもとに再審とともに釈放も認める異例の決定を出しましたが、東京高等裁判所は先月、「DNA鑑定の信用性は乏しい」などとして再審を認めない決定を出しました。

    弁護団は最高裁判所に特別抗告していて、23日に追加で主張を補充する書面を提出しました。

    東京高裁は決定で、DNA鑑定について、実施した専門家がデータの一部を削除したとして鑑定結果も信用できないとしましたが、弁護団は裁判所に求められたデータはすべて提出しているうえ、鑑定の結論に影響を与えるデータの削除は行っていないとして、高裁の決定は誤りだと主張しています。

    弁護団では今後も追加で書面を提出することにしています。
    https://www3.nhk.or.jp/news/html/20180723/k10011545481000.html

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  9. [サイエンス VIEW]事件の謎解く 二重らせん
    2018年8月12日5時0分

     DNAのわずかな違いから個人を特定する「DNA型鑑定」が、犯罪捜査の現場に広がっている。警察庁によると、年間で30万件近く実施され、欠かせない捜査手法になっている。ノーベル賞の成果など最新の科学が導入されて鑑定の精度は上がり、さらに進化している。(前村尚)

      ■構造の差 4.7兆人分識別

     「今はわずかなDNAさえあれば、控えめに見積もっても4兆7000億人の中の1人を正確に選び出せる」。DNA型鑑定に詳しい民間鑑定機関「法科学鑑定研究所」(東京都)の山崎昭代表(59)はそう話す。世界の人口は約76億人なので、「個人識別力は100%に近いと言っても過言ではない」と語る。

     DNAは、人体を作る約40兆個の細胞の「核」にある。A(アデニン)、T(チミン)、G(グアニン)、C(シトシン)の4種類の化学物質(塩基)が並んでできた2本が、AとT、CとGのペアでつながり合って、二重らせん構造をなしている。塩基は、「AGAT―AGAT―AGAT―」のように、同じ配列が繰り返す部分がある。回数は人によって異なる。

     司法修習生にDNA型鑑定の講義をする関西医科大の橋谷田はしやだ真樹准教授(53)(法遺伝学)は「鑑定では繰り返し配列の個人差を測定している」と話す。「STR法」といい、DNAが折り畳まれた「染色体」の16か所を分析している。

     橋谷田准教授は「コップについたわずかな唾液でも鑑定できる」と明かす。残ったDNAが微量でも、「PCR法」という技術を使えば、10万~100万倍に増やせるからだ。PCR法は米国の科学者が考案し、1993年にノーベル化学賞を受賞した。

     PCR法では、犯罪現場の血液や綿棒で採った人の口腔こうくう粘膜の細胞などから、余分な成分を溶かす試薬を加えてDNAだけを抽出。約95度に熱して二重らせんをほどき、1本を鋳型に、ペアとなる塩基を特殊な酵素を使って合成する。これを繰り返しDNAを増やす。判定は、最短で半日で終了する。

      ■年齢判定や蚊の血利用も

     新たな研究も進められている。京都府警科学捜査研究所の浜野悠也係長(31)は、血液や唾液中のDNAから「年齢」を推定する方法を開発中だ。2016~17年に関係する論文を発表した。

     DNAは、加齢などでメチル基という分子が結合する「メチル化」で構造が少し変わる。メチル化の割合は年齢ごとに異なる。

     海外ではここ5年間ほど、この特徴を利用した研究が盛んに行われてきた。だが、メチル化した数千か所の分析に2~3週間、1回の費用は数十万円かかるのが課題だった。浜野さんは2か所を調べるだけで年齢をある程度判定できることを見つけ、分析は数時間に、費用を数百円に抑えた。

     鑑定結果と実年齢との平均誤差は6歳ほどだが、浜野さんは「警察のDNA型鑑定は慎重にも慎重を期している。この研究でも誤差を2~3歳までに縮めたい」と話す。

     蚊が吸った血を鑑定に利用する研究も進む。名古屋大や埼玉医大などは、大手殺虫剤メーカー「大日本除虫菊」(大阪府)と約200匹の蚊を使って血液を分析。血液中のDNAは時間とともに消化、分解されるが、48時間以内ならば鑑定に使えることを明らかにした。真夏の事件現場では、蚊も重要な証拠になるかもしれない。

      状態悪いと鑑定困難

     数十年前の事件を巡る裁判では、DNA型鑑定の結果を巡って被告側と検察側で争いが起きるケースもある。鑑定に使われる試料が古く、保存状態が悪いことが一因だ。古い試料をもとに多くの研究者が納得できる結果を得るのは難しい。試料を適切に保存することと、鑑定のプロセスを検証できる仕組みづくりが重要だ。

     ◆メチル基

     炭素1個と水素3個からなる小さな分子。DNAのある場所にメチル基が結合して「メチル化」されると、DNAに記録されている遺伝情報が読み出しにくくなる。そのため、遺伝情報をもとにたんぱく質が合成されなくなる場合が多い。メチル化は、がんや先天性の遺伝子疾患などの病気の発症にも関わっていると考えられており、世界的に研究が進んでいる。

     ◆二重らせん構造

     フランシス・クリック、ジェームズ・ワトソン両博士が1953年に見いだしたDNAの立体構造。2本の鎖状のDNAが、より合わさったような形をしている。両博士はこの功績で62年にノーベル生理学・医学賞を受賞した。DNAの平均の長さは3センチほどで、染色体はDNAが折り畳まれたもの。人の染色体は23対あり、このうち1対は性染色体で性別を決定している。
    http://premium.yomiuri.co.jp/pc/#!/news_20180811-118-OYTPT50199

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    1. 「核酸」配列ごときで個人が識別できるものかねえ…

      科学を装った壮大な詐欺だな。

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