2021年4月7日

日本政府「日本式医療拠点」進出を後押し 成長戦略の一環

( 「世界に挑む日の丸医療」@産経新聞 改題)

日本の医療 売り込め…ドックや最新機器 東南アに
2018年11月1日 読売新聞
http://premium.yomiuri.co.jp/pc/#!/news_20181101-118-OYTPT50017

日本式医療拠点、東南アに続々…予防医療に重点
2018年11月1日8時32分 読売新聞
https://www.yomiuri.co.jp/science/20181101-OYT1T50012.html

大東亜共栄圏の見果てぬ夢…

(追記11/1 2018)
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「世界に挑む日の丸医療」


【世界に挑む日の丸医療】第2部 官僚たちの模索(上)
医療の国際展開“経産省流”への大転換

2013/09/27 16:42 産経新聞
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/economy/policy/686951/





【世界に挑む 日の丸医療】第1部 積み上げた実績(3)
「感染症は日本が伝統的に強い」光る実直さ、WHOで存在感
2013/08/30 13:23 産経新聞

「この国では何とか検体が取れますように」-。6月、世界保健機関(WHO)のメディカルオフィサー(医務官)、進藤奈邦子(なほこ)(50)は祈るような気持ちで北アフリカ・チュニジアに降り立った……
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/living/health/680468/



(書きかけ)




「勤勉な馬鹿 無能な働き者」(ぐぐる先生)



「腐朽官僚制」(ぐぐる先生)


「官僚と言う生き物」
>官僚試験はいわばシナの科挙の物真似である。 シナが外敵に侵略された時、すぐに敵に寝返ったのは科挙の試験に通った官僚だったと言う。 男の機能を取り去った宦官でさえ剣をとり外敵と戦ったと言うのに。


いまの官僚は、国際機関に国を売り渡すようなことばかりやりやがる…(笑)。

日本のお金(国富)をどんどん、どうぞどうぞと、海外の得体の知れない機関に垂れ流しする手引き屋のようなものだ。ま、そういう機関も天下りポストみたいになってんだろうな。



(2013年9月27日)

43 件のコメント:

  1. 「感染症は日本が伝統的に強い」光る実直さ、WHOで存在感
    産経新聞 2013/08/30 13:23

     【世界に挑む 日の丸医療】第1部 積み上げた実績(3)

     「この国では何とか検体が取れますように」-。6月、世界保健機関(WHO)のメディカルオフィサー(医務官)、進藤奈邦子(なほこ)(50)は祈るような気持ちで北アフリカ・チュニジアに降り立った。

     致死率の高い新たな感染症「MERS(中東呼吸器症候群)」が、アフリカで初めて確認されたのだ。

     診断法や治療法の確立には、患者の血液や尿などの検体が欠かせない。「何としても世界の研究室とつなげなければ」。強い思いが、進藤を感染症の現場へと突き動かす。

     あのときもそうだった。「患者情報を出してください。世界中の科学者が待っているんです」。2006年1月、進藤はトルコの病院で声を荒らげていた。

     鳥インフルエンザが疑われる患者が発生。ニワトリとの接触はあったのか、家族など近親者だけの感染なのか。患者情報が今後の流行の予測材料となる。しかし、病院側は「私たちがやりますから」とにべもない。

     「私たちはあなた方をサポートできる。今回の症例が、世界的な流行につながるかの基準になる。どうか教えてほしい」。実直な交渉に、院長が口を開いた。「全ての症例について、あなたたちと話し合おう」

     国際化が進む現代、感染症は一国で対応できる問題でなくなった。いかに封じ込め、治療薬を開発して患者に届けるかで被害規模は大きく変わる。ところが、情報の架け橋役であるWHOといえども、該当国の許可なしに調査はできない。

     感染症が発生した現場は混乱し、国の保健システムの脆弱(ぜいじゃく)さも露呈するため対応は遅れがちだ。進藤は「弱い部分を表に出したい国はない。私たちは問題を暴きに行くのではなく、その国に役立つ情報提供やインフラの底上げをするのだと分かってもらうことが大切だ」と熱く語る。

     進藤が、国立感染症研究所からWHOに派遣されたのは02年。途上国の母子保健など中長期的な仕事が主だったWHOが、世界レベルの感染症に対応するようになった時期だ。

     鳥インフル、SARS(新型肺炎)、エボラ出血熱、新型インフル。多くの現場で情報を集め、流行を食い止めた。進藤ら日本人スタッフが培ってきた人脈と日本人ならではの信用力は、いまやWHOにとってなくてはならない存在となっている。

     結核対策に従事し、厚生労働省に出向中の錦織信幸(41)も実直な対応で成果を挙げている。

     10年11月、錦織がモンゴルの刑務所に結核対策評価に行ったときのことだ。過去に欧米から来たWHO職員の評価では、感染防止対策の成果はさほど出ていなかった。だが、錦織が現地の職員とデータを解析し直すと、10年間で患者が4分の1に減っていた。

     過去のWHO職員は、できていないところを指摘するばかりで、効果が上がっているところに目が行っていなかったのだ。

     「行政に助言するのがWHOの仕事。でも上から言うだけでなく、現地の人と一緒に何ができるかを考える姿勢が必要だ」。錦織は肝に銘じている。

     進藤は日本人がもっとリーダーシップを取るべきだと考えている。いま取り組んでいるのは、現場と世界の研究室とのネットワーク化。「日本車や家電などの高品質なイメージからか、日本人はどこに行っても大事にされる。感染症は日本が伝統的に強い分野だ」

     WHOの専門職員2500人のうち日本人は41人(12年末現在)。世界4位の資金提供国としては寂しい数だが、相手の立場になって考える日本流は感染症と戦う世界の現場で確実に“武器”となっている。(敬称略)
    http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/living/health/680468/
     

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  2. 医療の国際展開“経産省流”への大転換
    産経新聞 2013/09/27 16:42

     【世界に挑む日の丸医療】第2部 官僚たちの模索(上) 

     「この機械は、わが国に持ち帰れますか」。7月1日、愛媛県新居浜市にある住友重機械工業の工場に、サウジアラビアのアブドゥルアジーズ・トルキスターニ駐日大使の姿があった。

     視線の先にあるのは、がん細胞に陽子線を照射し破壊する「サイクロトロン」という大型装置。商談成立となれば数十億円の大型契約となるだけに、担当者の説明にも熱が入る。

     大使が工場視察を思い立ったのは、安倍晋三政権が医療・健康産業を成長戦略の柱に据え、日本の医療機器メーカーに興味を抱いたのがきっかけだ。

     「日の丸医療」を世界に売り出そう。安倍首相がその決意を明らかにしたのは4月である。日本記者クラブの記者会見で、「日本は世界トップレベルの技術を持っている。国際医療協力を新たな成長の種にしたい」と宣言したのだ。

     ■病院丸ごと輸出

     安倍政権が描く医療の国際展開は、経済産業省が長年温めてきた構想である。世界における医療機器や医薬品、医療サービスの市場規模は500兆円を超し、成長率は9%近い。「世界の成長を取り込まない手はない」(経産省幹部)。年6千億円に及ぶ医療機器の輸入超過解消が目標だ。

     これまで日本が行う国際医療といえば、政府開発援助(ODA)や医師らの個人的活動による人道支援が中心であった。「医療は成長産業」と捉える“経産省流”への大転換である。

     重視するのが、病院と医療機器とをパッケージで考える「病院丸ごと輸出」だ。同省商務情報政策局の石川正樹審議官は「まずは病院サービスを持ち込む。『日本の病院は素晴らしい』との評価を得て初めて機器も売れる。現地の人に使い方も教えなければ定着しない」と解説する。病院を“ショールーム”に、現地の医師たちに医療機器を知ってもらおうとの発想だ。

     ■時代遅れの声も

     しかし、こうした“経産省流”は「時代遅れ」「世界常識を分かっていない」との批判も少なくない。

     ODAを活用して、日本政府が病院建設支援を積極展開したのは1980年代だ。当時から国際医療支援に携わってきた国立国際医療研究センターの仲佐保国際派遣センター長は「いま求められているのは保健システム全体の構築だ。病院を建てるだけでは動かない。医療機械だけでもダメ。看護やリハビリを含め総合的取り組みが必要となる」と世界の潮流を解説する。

     国際医療支援を長年続けてきた医師たちほど、医療を「成長産業」と捉える“経産省流”の国際展開に違和感を覚える。

     「商業ベース」が前面に出ることへの懸念も強い。非政府組織(NGO)「アフリカ日本協議会(AJF)」の稲場雅紀プログラム・ディレクターは、「自国の企業利益の最大化を図る態度で臨めば、途上国の反発を招き、受け入れられない」と危惧する。

     もちろん、経産省も「ただ金もうけすればいいわけではない。相手に喜んでもらう意識が必要だ」(幹部)と同調はしている。だが、政府内で具体策が検討された形跡はない。

     ■厚労省と温度差

     3月から5月にかけて開かれた官房長官や副長官、医療機器の業界関係者、学識経験者で構成する健康・医療戦略参与会合。関係者は「産業成長の具体策が話し合われただけで、相手国の立場に立ってどう説明するかは話題に上らなかった」ことを明かす。

     こうした政府の姿勢に、国立国際医療研究センターの武田康久国際医療協力部長は「医療は生きることの根幹に関わる分野。やるからには、その国の医療制度を作り上げるぐらいの思いが必要となる」と警鐘を鳴らす。

     医療政策を所管する厚生労働省と経産省の温度差も大きい。厚労省幹部からは「どうして医療の国際展開が成長力なのか分からない」との本音も漏れる。

     議論が生煮えのままスタートした“経産省流”の国際医療展開は、「成長戦略」への盛り込みを優先したとの印象がぬぐえない。

     途上国に寄り添うことで、世界の尊敬を集めてきた「日の丸医療」。成長戦略の下で、長年にわたって培った信用力をどう引き継ぐのか。安倍政権が目指す国際医療展開の真価が問われている。

     医療を成長戦略の柱に据える安倍政権。だが、医療を「成長産業」として捉える考え方には、批判も少なくない。日本がこれまで築きあげてきた信用を維持しながら、新たに世界に打って出るには何が必要なのか。第2部では模索する官僚たちに焦点を当てる。
    http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/economy/policy/686951/
     

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  3. 日本式医療の国際展開 ASEAN表明へ
    12月13日 11時27分

    13日から始まった日本とASEAN=東南アジア諸国連合の特別首脳会議で、政府は、公的な医療保険制度など日本の保健や医療分野のノウハウの導入を呼びかける取り組み「アジア健康イニシアチブ」を表明することを決めました。

    政府は、医療の国際展開を成長戦略の1つと位置づけ、ことし8月中東のバーレーンと保健・医療分野での協力を盛り込んだ覚書を交わすなど取り組みを進めています。政府は、13日から始まった日本とASEANの特別首脳会議で、ASEAN諸国の医療水準の向上や健康増進、それに病気の予防の推進を目指して、日本のノウハウの導入を積極的に呼びかけることを決めました。
    政府は、この取り組みをアジア健康イニシアチブと名付けていて、具体的には、公的な医療保険制度や、医師や看護師などの国家資格の整備のほか、集団での健康診断やがん検診などの予防医療の構築、それに、食事や栄養の基準作りなどを支援するとしています。
    ASEAN諸国では、高齢化や食事の欧米化などに伴い生活習慣病の患者が増える一方、受けられる医療サービスが所得や地域によって異なる医療の格差が拡大していて、健康寿命世界一を達成している日本の対策に関心が高まっているということです。
    政府は14日の特別首脳会議の中でアジア健康イニシアチブを表明し、希望する国にノウハウを提供することにしています。
    http://www3.nhk.or.jp/news/html/20131213/k10013803271000.html
     

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  4. 日本の放漫放蕩医療制度のうえにのっかって、散々なインチキ医科様やってる医療技術を世界に普及させようとしてんのか? 

    騙せるのは、鳥インフルと同じく、アジアアフリカ(AA)諸国だけだろうに…
     

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  5. 日本式医療 16か国へ…政府 20年までに がんセンターや遠隔画像診断
    2013年12月28日15時1分 読売新聞

    アジア、中東など29事業

     日本の優れた医療技術や医療機器を海外に売り込むため、政府が各国で創設を目指している「日本式医療拠点」構想の全容が分かった。アジアや中東を中心とする16か国で、がんセンター設立や医師派遣、遠隔画像診断のシステム導入など、29の事業を2020年までに始動させる方針だ。今後、各国で現地調査を進め、官民一体で日本の医療の普及に取り組む。

     政府は、14年度予算案に10億円の事業調査費を計上している。

     医療拠点作りは、政府が成長戦略の柱の一つとして掲げる「医療の国際展開」の一環だ。今年6月に決定した政府の日本再興戦略では、拠点を10か所程度設け、日本企業の海外市場を20年時に今の3倍の1兆5000億円に広げる目標を掲げた。現状では目標を大幅に上回る見通しで、拠点を設ける国もさらに増える可能性がある。

     拠点作りには日本の医療法人や医療機器メーカー、コンサルティング会社などが参加し、技術指導と医療機器販売をセットで行う。設備投資には政府が補助金を出す。厚生労働省は近く医療法人による海外の病院への出資を認める方針だ。商社などが現地に合弁会社を作って病院を設立し、日本の医師を派遣して現地スタッフを指導する事業も計画されている。

     安倍首相は今年春にサウジアラビアを訪問し、日本の画像診断の水準の高さを紹介するなどトップセールスを行った。官民一体の取り組みは拠点作り成功のカギとなる。中国では、民間の取り組みを支援する形で、東京と北京の病院を通信回線でつなぎ、遠隔画像診断でがんを発見する仕組み作りなどを目指している。

     ◆日本式医療拠点=官民が連携し、日本製の医療機器を医療システムやサービスなどと一体で輸出するため、海外に設ける拠点。新興国の医療水準向上に貢献するとともに、日本の医療関連産業の成長を促す狙いがある。
    http://premium.yomiuri.co.jp/pc/#!/news_20131228-118-OYTPT00455

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  6. カタールに再生医療拠点…大阪大 細胞シートで治療
    2013年12月29日3時2分 読売新聞

     大阪大は、中東カタールに再生医療の拠点を構築することを決め、来月末、現地の病院関係者と人材交流などに関する協定を締結する。心臓病や角膜の病気を最先端技術の細胞シートを使って治療するもので、中東における日本発の医療技術移転となる。

     拠点は、カタール政府出資の財団が2015年にも首都ドーハの病院に設置予定の「再生医療・細胞シートセンター」(仮称)。日本の官民共同設置の社団法人「メディカル・エクセレンス・ジャパン」や医療機器メーカーが運営や細胞の空輸で連携する。

     阪大は医師の派遣などを通し、治療や培養の技術を現地の医師らに伝える。〈1〉患者から採った足の筋肉細胞をシート状に培養し心臓に貼る〈2〉口の粘膜の細胞を培養し角膜に貼る――などを計画している。

     細胞はカタールで採取、日本国内に飛行機で運び込んで培養し、カタールに送り返して移植。細胞の空輸や培養は医療機器メーカーが担い、培養機器のセンターへの搬入も想定される。様々な細胞に変化できるiPS細胞(人工多能性幹細胞)を使う治療も検討している。阪大は、中東での治療ニーズ拡大を見据え拠点構築に乗り出すことにした。
    http://premium.yomiuri.co.jp/pc/#!/news_20131229-118-OYTPT00034
     

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  7. がんセンターなど日本式医療16か国へ…政府

     日本の優れた医療技術や医療機器を海外に売り込むため、政府が各国で創設を目指している「日本式医療拠点」構想の全容が分かった。

     アジアや中東を中心とする16か国で、がんセンター設立や医師派遣、遠隔画像診断のシステム導入など、29の事業を2020年までに始動させる方針だ。今後、各国で現地調査を進め、官民一体で日本の医療の普及に取り組む。

     政府は、14年度予算案に10億円の事業調査費を計上している。

     医療拠点作りは、政府が成長戦略の柱の一つとして掲げる「医療の国際展開」の一環だ。今年6月に決定した政府の日本再興戦略では、拠点を10か所程度設け、日本企業の海外市場を20年時に今の3倍の1兆5000億円に広げる目標を掲げた。現状では目標を大幅に上回る見通しで、拠点を設ける国もさらに増える可能性がある。

    (2013年12月29日10時59分 読売新聞)
    http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20131228-OYT1T00470.htm
     

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  8. 医療機器 途上国に販路 WHOに1億円提供へ…厚労省
    2014年1月12日3時3分 読売新聞

     厚生労働省は2014年度、途上国に必要な医療機器のリスト作成を進めている世界保健機関(WHO)に、約1億円の資金提供を行う。資金提供を通じて、日本企業が強みを持つ機器のリストへの掲載を目指し、感染症やがんの治療ニーズが高まる途上国での日本製機器の販路拡大につなげたい考えだ。

     アフリカや中南米、東南アジアの途上国では、結核やマラリアなどの感染症が流行し、今後は高齢化に伴ったがん患者の増加も予想されている。結核の検査には遺伝子の分析装置やエックス線検査装置、胃がんや大腸がんの治療には内視鏡が有効だが、途上国には必要な機器の情報がない。

     WHOは、途上国で治療の必要性が高い病気は何か、どのような検査・治療機器が必要か、などについて調べ、備えておくべき機器のリストを作ろうとしている。厚労省はWHOに資金を拠出し、リスト作りを後押しする。

     リストは、途上国が国際機関や民間基金から資金援助を受けて、機器メーカーなどから製品を購入する際の目安となる。国内の機器メーカーは、エックス線検査装置や内視鏡の分野で国際競争力が高く、厚労省はこうした機器のリスト入りに期待している。
    http://premium.yomiuri.co.jp/pc/#!/news_20140112-118-OYTPT00048
     

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  9. 「いのちが大事」という観念とか理念も、一種の「贅沢病」、経済的に恵まれて生活に追われる心配がなくなってからの社会的欲求だろうと…

    生理的な欲求が満たされてしまわないうちは、高度な医療を求める社会にはならない…
    https://www.google.co.jp/search?q=%E6%AC%B2%E6%B1%82%E3%81%AE%E6%AE%B5%E9%9A%8E
     

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  10. 医薬品のアジア展開へ厚労省が国際戦略
    6月26日 11時18分

    厚生労働省は日本の医薬品や医療機器について、アジアでの販売を進めるための国際戦略をまとめ、現地で薬事審査の研修を実施するなど、製品の承認が速やかに行われるよう促していくことになりました。

    厚生労働省によりますと、医薬品や医療機器の販売を巡っては、シンガポールやインドネシアなどではアメリカやヨーロッパで承認された医薬品などの審査は簡略化されていますが、日本の製品についてはそうした仕組みがなく、審査に時間がかかりシェアの拡大につながっていないということです。
    厚生労働省が26日に公表した国際戦略では、国が所管する医薬品などの審査を行う機関に専門の部署を設け、アジアの国や地域に職員を派遣して医薬品や医療機器に関する審査の研修を行い、現地での速やかな承認を促すほか、日本の製薬会社が大規模な治験を行えるよう支援していくとしています。
    塩崎厚生労働大臣は、26日の閣議のあとの記者会見で「日本の医薬品や医療機器を世界に発信し、産業の活性化を図っていきたい」と述べました。
    厚生労働省は、来月にも産学官で作る新たな協議会を発足させ、医薬品などの開発の促進や、国際的なシェア拡大のための具体的な計画を作ることにしています。
    http://www3.nhk.or.jp/news/html/20150626/k10010128391000.html

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  11. [始動 医療新戦略]<上>iPS実用化 研究加速
    2015年7月6日3時0分

     政府の健康・医療戦略の中核を担う国立研究開発法人「日本医療研究開発機構」が4月に発足した。国民の健康を高め、成長産業につなげる研究開発の最前線を報告する。

     「研究が進めば、健康な子と同じように生活できる道が開けるかもしれない」

     神奈川県の野口康洋さん(44)、豊子さん(39)夫妻の長男、征洋まさひろ君(9)は軟骨細胞の異常で骨が十分に伸びない「軟骨無形成症」だ。

     快活で友達も多く、学校で不便は感じないが、気がかりは将来のこと。身長は約1メートル30までしか伸びず、根本的な治療法はない。

     昨秋、夫妻は朗報に胸を躍らせた。京都大の妻木範行教授が、患者からiPS細胞(人工多能性幹細胞)を作り、軟骨細胞に変化させる際に、高コレステロールの治療薬として広く飲まれる「スタチン」という薬を加えたところ、正常な軟骨ができた。「安全性を見極め、2年後には子供に臨床試験を始めたい」と妻木教授。「一刻も早く使えるように」と夫妻は願う。

     山中伸弥京大教授が世界に先駆け作製したiPS細胞。患者の皮膚などから大量に作って病気の細胞に変え、様々な物質を試して治療薬を探す研究が進む。

     機能が失われた臓器の細胞をiPS細胞から作り移植する再生医療の研究計画も目白押しだ。昨年、理化学研究所などが目の難病「加齢黄斑おうはん変性」の患者に網膜細胞を移植する手術を実施。来年には京大がパーキンソン病の患者に、神経細胞を補う研究を始める。

     国はiPS細胞研究を重点分野に据え、日本医療研究開発機構が基礎から応用まで途切れのない支援にあたる。6月には、移植する細胞の安全性を評価する指針案を前倒しで作成することなどを決めた。

     産業界の動きも活発だ。

     富士フイルムホールディングスは5月、iPS細胞の関連特許を多く持つ米セルラー・ダイナミクス・インターナショナル社を330億円で買収した。タカラバイオは仏企業の幹細胞事業部門を傘下に収め、様々な種類の細胞を作る大規模施設を稼働させた。「iPS細胞による産業が今、生まれようとしている」と富士フイルムの戸田雄三専務。

     経済産業省の予測では、再生医療の世界市場は2020年に2兆円、50年には53兆円。市場が拡大すれば、欧米との競争も激化する。東京工業大の仙石慎太郎准教授(技術経営)は「研究で救える患者は多い。多くの国内企業が参入できるよう、産官学の連携をさらに強化すべきだ」と話す。
    http://premium.yomiuri.co.jp/pc/#!/news_20150706-118-OYTPT50055

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    1. [始動 医療新戦略]<中>多彩な人材 独自治療探る
      2015年7月7日3時0分

       抗がん剤治療を2週間受け、2週間休む。岐阜県の女性(21)が入退院を繰り返す生活を続け2年近くたつ。「来年の今頃、何をしているだろうか」。友人からは就職活動で東京や大阪を往復する話を聞く。先の見えない不安に駆られる。

       2013年夏、河原でバーベキュー中に視界が真っ白になった。血圧が異常に高く、精密検査でおなかに「神経芽腫がしゅ」というがんが見つかった。まれなタイプで、効果が確かめられた治療法はないという。初めて聞く病名に戸惑いながら、紹介された名古屋大病院で10月、手探りの治療が始まった。

       吐き気や下痢の副作用に耐え、抗がん剤治療を受けたが、がんは消えなかった。手術でも取り切れない。通っていた大学も辞めざるを得なかった。今月は大量の抗がん剤投与を受けた。これまで以上の強い副作用はあるが、「やらないと治らない」と心を決めた。

       女性のように10歳代後半~20歳代で発症するがんには、治療が確立していないものが多い。何らかの遺伝子変異が原因の一つと考えられるが、患者数が限られ、調査も手つかずの状態だ。

       国立研究開発法人「日本医療研究開発機構」は先月、こうした若者のがんの治療法開発に着手すると発表した。患者数の多い肺がんや乳がんなどでは、特定の遺伝子変異に効く抗がん剤が開発され、効果を上げている。そこで、全国の若者の希少がんの遺伝子を分析、新薬開発につなげる。

       女性の主治医で名大の高橋義行准教授は「これから社会で活躍する世代を治せるようになれば意義は大きい」と話す。

       このプロジェクトは、医療研究の司令塔として今年度発足した同機構が現場の研究者らと検討して、独自に打ち出した新規事業の一つだ。同機構は、政府が定めた健康・医療戦略に沿って、がん、認知症、感染症、再生医療などの重点分野に、厚生労働、文部科学、経済産業の3省の医療研究予算をまとめ、配分する。

       職員約300人は、3省だけでなく、病院、研究所、企業から「役所にない多彩な人材」(幹部)が集まる。基礎研究の成果や患者の声、実用化が可能かどうかなどを多角的に検討し、限られた予算を有望な研究に振り分ける手腕が求められる。

       国立感染症研究所の長谷川秀樹部長は「痛くない」鼻ワクチンの開発を進める。新型インフルエンザワクチンの研究には先月、約5000万円の予算が上乗せされた。鼻に液を噴霧するだけで免疫がつく。企業の協力を得て、効果を確かめる動物実験を急ぐ。

       季節性のインフルエンザ鼻ワクチンも開発しており、今年度にも国の承認を受けるための治験が始まる予定だ。6月、長谷川部長は都内で医師らに研究内容を紹介。「注射に抵抗感を持つ人も接種に来るかもしれない」との声が上がった。

       「研究者だけでは実用化は無理。機構は特許などの管理や企業との連携で大きな役割を果たしてほしい」と長谷川部長は話す。
      http://premium.yomiuri.co.jp/pc/#!/news_20150707-118-OYTPT50059

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    2. [始動 医療新戦略]<下>機器輸出 研修施設に照準
      2015年7月8日3時0分

       「画像が鮮明で、扱いやすさも一番。インドネシアの内視鏡医は、みんな日本の装置に親しんでいるよ」。インドネシアの首都ジャカルタ中心部にある国立インドネシア大チプト病院の内視鏡トレーニングセンター。ダダン・マクムン医師(55)は笑った。

       同センターは昨年9月、日本の経済産業省の支援を受けて院内の一角に開設された。粘膜の下に隠れて通常の内視鏡カメラでは見られない腫瘍などを、超音波で発見できる最新式の内視鏡を含めオリンパス製品4台を導入した。

       室内には無人カメラも取り付けられている。ベテラン医師による内視鏡の扱い方を、研修医が別室のモニターで見学し、その場で質問することも可能だ。高いレベルの研修を受けられるとして、全国から内視鏡医が集まる。

       経産省は、内視鏡などの購入費用の半額に当たる約3000万円を補助した。研修で慣れ親しんだ医療機器を勤務先の病院でも使う医師は多い。人口は約2・5億人にのぼるだけに期待感は大きい。実際、オリンパスには、インドネシア国内の複数の病院から問い合わせが来ているという。

       「インドネシアでは内視鏡を使える医師がまだ少ない。市場を広げるため、研修支援などの地道な取り組みが今は重要だ」。同社のジャカルタ駐在員事務所長、唐木秀治氏(53)は話す。

       医療機器の売上高は、首位の米ジョンソン・エンド・ジョンソンが約3・5兆円、2位の独シーメンスが約2・2兆円。欧米企業は資金が豊富で、幅広い事業を手掛けるのに対し、日本企業は得意分野が比較的限られている。テルモやオリンパス、東芝はいずれも5000億円前後で、差は大きい。

       アジアでは欧米に留学する医師が多い。欧米メーカーとの人脈も学生時代から自然と深くなる。どうすれば対抗できるのか。

       司令塔となる日本医療研究開発機構(東京都千代田区)が有望視される分野を選び、日本の企業や大学などによる先進機器の共同開発を資金面でも支援する。そして、新興国や途上国の各国病院で使ってもらい、販売先を広げていく――。

       これが日本政府のシナリオだ。まずは人工心臓や人工関節、手術支援ロボット・システムなどの開発に力を入れる。

       インドネシアでの取り組みはその先行事例といえる。

       すでに輸出先は世界に広がる兆しが見えている。

       今年9月にはロシア・モスクワ第一医科大のトレーニングセンターに、東芝のコンピューター断層撮影法(CT)などの画像診断装置が納められる予定だ。約5億円の費用のうち、経産省が半額を負担する。

       日本では医療機器は、輸出額より輸入額が約7700億円(2013年)上回る。政府は輸出額を20年頃までに1兆円に倍増させる目標を掲げる。アジアだけ見ても、医療機器の需要は、13年の373億ドル(約4・6兆円)から18年に784億ドル(約9・6兆円)まで増えるとの推計もある。

       潜在力は十分にある。アジアなどの成長をどこまで取り込めるのか。これから真価が問われる。

       (連載は、医療部 米山粛彦、科学部 木村達矢、経済部 一言剛之が担当しました)
      http://premium.yomiuri.co.jp/pc/#!/news_20150708-118-OYTPT50046

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  12. 最新の医療・介護器具の見本市始まる
    7月15日 16時29分

    医療や介護の現場で役立つ最新機器を集めた、国内では最大規模の見本市「国際モダンホスピタルショウ」が、15日から東京で始まりました。

    この見本市は病院や介護施設の関係者を対象に開かれているもので、会場となった東京・江東区の東京ビッグサイトには医療や福祉分野のメーカーなどおよそ350社が最新機器を展示しています。
    このうち、病院向けのメガネ型端末は、注射器やメスなど医療器具リストやその保管場所の情報などが目の前に表示されるもので、両手がふさがっていても必要な器具を迅速に確認することができます。
    また、リハビリ施設向けに開発された歩行補助装置は、腰と足に装着すると関節の動きを読み取って歩くのを助けてくれるもので、筋力が衰えた人でも効果的なリハビリが行えるようになっています。
    ほかにも数多くの機器が展示され、訪れた人たちはそれぞれのブースに立ち止まって熱心に説明を聞いていました。
    見本市を運営する委員会の大道久委員長は「現場ですぐに役立つ機器が一同に集まっているので、医療や福祉に携わる人にはぜひ足を運んでほしい」と話していました。
    国際モダンホスピタルショウは15日から3日間開かれています。
    http://www3.nhk.or.jp/news/html/20150715/k10010151581000.html

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  13. ロシアに日本製医療機器の訓練施設
    9月8日 0時20分

    心筋梗塞などの循環器系の病気が国民の死因の半数以上を占めるロシアで、日本製の医療機器を使って診断技術の向上を目指す訓練施設の開所式が行われ、日本側は医療機器の輸出拡大につながることに期待しています。

    この訓練施設は、医療機器メーカーの「東芝メディカルシステムズ」とモスクワ第1医科大学などがモスクワ市内に設立したもので、7日、日ロ両政府の代表も参加して開所式が行われました。
    施設には、CTや超音波診断装置など循環器系の病気を診断するための日本製の最新の医療機器が設置され、ロシアの医師が、日本から年に2回程度派遣される専門家の指導を受けて診断の技術向上を目指します。こうした訓練施設はモスクワの別の病院にも設置されるということで、総事業費は、合わせておよそ5億円と見込まれ、半額は日本政府が支援します。
    日本側は、日本製の医療機器のよさを知ってもらうことで、ロシアへの輸出拡大を期待している一方、ロシア側には、心筋梗塞や脳卒中など国民の死因の50%以上を占める循環器系の病気の治療技術を高めたいというねらいがあります。
    モスクワ第1医科大学のセルゲイ・テルノボイ教授は、「この施設の開設により新たな医療レベルに到達できる」と期待を示しました。一方、内閣官房健康・医療戦略室の藤本康二次長は、「日本とロシアの具体的なプロジェクトが動きだした。よい関係が築けるといいと思う」と話していました。
    http://www3.nhk.or.jp/news/html/20150908/k10010219791000.html

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    1. >医療機器メーカー「東芝メディカルシステムズ」

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  14. 「エボラ出血熱と闘う」…ノーベル賞受賞者を囲むフォーラム 福岡市・西南学院大
    2015年10月22日3時0分

    国境超え医療支援 使命感の強さ実感

     「ノーベル賞受賞者を囲むフォーラム 次世代へのメッセージ」が10月4日、「エボラ出血熱と闘う」をテーマに、福岡市の西南学院大学で開かれた。途上国や紛争地の医療支援活動により、1999年にノーベル平和賞を受賞した「国境なき医師団」(MSF)でオペレーション・ディレクターを務めるブリス・デルビンヌ氏らを招き、講演とパネルディスカッションを行った。フォーラム開催直前に、アフガニスタンの病院でMSFのスタッフら多数が死傷する誤爆事件があり、集まった高校生や医療関係者ら約500人は、命をかけた人道支援の重みを改めてかみしめながら、登壇者の話に耳を傾けた。

      ◎あいさつ…西南学院のG・W・バークレー院長

     本学は来年創立100周年を迎えます。西南学院には幼稚園から大学まであり、100年の歴史において、キリスト教に基づく、目指すべき教育理念のひとつは、平和をつくりだす人間の育成です。だからこそ、ノーベル賞受賞者を囲むフォーラムの平和賞セッションに協賛したことを大変光栄に存じます。このフォーラムが有意義な時間になることを心から願っています。

    ◎基調講演

      強い政治的意思 必要…ブリス・デルビンヌ 「国境なき医師団」オペレーション・ディレクター

     

     国境なき医師団(MSF)にはエボラ出血熱の専門家が40人おり、彼らが中心となって西アフリカでの流行に対処する戦略を立てた。まず、できるだけ早く治療センターを設立して患者の隔離と治療を行うこととし、患者が接触した人を追跡調査した。死者の埋葬方法など地域の文化を調べ、感染リスクを下げるよう住民も説得した。

     今年の8月17日までにリベリア、ギニア、シエラレオネの3か国でエボラと確定した患者は1万5186人いたが、うち5082人は我々のセンターで治療した。エボラの流行は2000年のウガンダの425人が過去最大だったから、どれほど流行したか、わかっていただけると思う。

     なぜエボラ患者がこれほど増えたのか。3か国は、過去に流行した中央アフリカに比べて幹線道路が発達し、人々は国境を越えて自由に動き回っている。シエラレオネとリベリアでは内戦が続いて医療システムが崩壊していたので、ウイルスが検出されないまま感染が広がってしまった。

     我々が現地で直面した障害の一つが、政府のリーダーシップの欠如だ。ギニアでは国民に警戒を呼びかけてほしいとお願いしたが、政府は観光への影響を懸念し、大流行をなかなか認めなかった。大統領には「MSFは資金調達したいために騒いでいるのか」と非難された。一方、リベリアでは女性大統領が情報を積極的に公開し、拡大防止に向けて政治力を発揮した。

     エボラは「顧みられない病気」だったことも災いした。流行地は貧しい国ばかりなので、製薬会社は治療薬やワクチンを開発する意欲がわいてこなかった。いま、日本のアビガン(一般名ファビピラビル)を含めていくつかの薬の治験が行われているが、今後も研究開発を続けてほしい。

     流行はMSFの能力を超えるところまで拡大した。我々は力尽きかけていたので、世界中から人を動員したいと考えた。通常はやらないことだが、国際連合の安全保障理事会にも働きかけた。医師だけでなく、非常に危険な環境で働く訓練を受けた人々、つまり核や化学兵器への対処能力を持つ軍人の助けを求めた。

     危険な疫病に対応するには、強い政治的な意思が必要だ。その役割を担うべき世界保健機関(WHO)には多くの弱点がある。日本を含むG7は国連に圧力をかけて、WHOの改革を進めてほしい。

     Brice de le Vingne ベルギーのルーバン・カトリック大学卒。1999年国境なき医師団に参加。ギニア、アフガニスタンなどで活動経験があり、2005年ブリュッセル事務局のオペレーション・コーディネーター。11年から現職に就き、エボラ出血熱対策プログラムの責任者を務める。

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    1. ◎講演

        夢語って実現しよう…進藤奈邦子 WHO(世界保健機関)感染症対策調整官

       WHOは、健康に関する国連の専門技術機関だ。その使命は、すべての人たちに、達成しうる最高レベルの健康を提供できるようにすることだ。ここで言う健康とは、単に「病気でない」というだけではなく、身体、精神、そして社会的にもすべてが良好な状態であること、と定義している。

       私はWHOで、健康に関する危機管理の部門に所属している。だから地球上のどこかで何か重症な疾病や健康状態に異常があるとわかれば、どんな原因であっても対応していく。

       原因の一つは、エボラ出血熱のような感染症だ。エボラは、歴史的に致死率の高いウイルス感染症として知られる。ウイルスは寄生虫や細菌の感染と違い、直接治療する薬が少ないため危険視されていた。

       WHOは流行の中心である3か国に、専門家2000人以上を送った。これまでにない試みとして、現地の治療センターに直接、感染症と集中治療の専門家を送り込んだ。集中治療医を入れることで、非常に重症な患者に対処した。対症療法ではあるが、特効薬がない状況では、それも非常に大事だった。

       流行地に派遣する医療関係者の訓練にも力を入れた。世界のトップクラスの専門家が監修してガイドラインを作成し、それに基づいた訓練資材やカリキュラムを用意した。

       また、世界各地にあるWHO協力センターのメンバーが流行地に入り、24時間以内にエボラ感染を診断できるシステムも稼働させた。

       WHOには約8000人の職員がいるが、私はトップ5%の上級管理職に就いている。目の前にある目標を一つずつ達成することで、ここまで歩いてきた。

       皆さんに伝えたいのは、友人や先生、先輩に、自分の夢を語ってほしい、ということ。言霊ことだまという言葉があるが、言葉には力があり、自分の夢を言葉にすることでかなっていく。夢を語り、夢を実現して、世界中に人々の輪を広げるような人になってもらいたい。

       東京慈恵会医科大学卒。国立感染症研究所主任研究官を経て、2002年からWHOに勤務。WHOのメディカルオフィサーを務め、今年7月から現職。専門は内科学、感染症学。

      ◎パネルディスカッション

       ◇出演者(敬称略)

       ブリス・デルビンヌ 

       進藤奈邦子

       加藤康幸 国立国際医療研究センター医長 千葉大学医学部卒。2014年、エボラ出

      血熱の流行地リベリアで診療にあたる。

       ◇コーディネーター 芝田裕一 読売新聞東京本社 調査研究本部主任研究員

        ■信頼得る工夫

       ――現地で信頼を得るためにどんな工夫をしたのか(専攻科1年女子)。

       デルビンヌ 壁に囲まれた治療センターを作らないこと。地域の人に中を見てもらい、感染のおそれが低いエリアには入ってもらった。毎日たくさんの人と交流を続けることが大切だ。

       ――病気は呪いのせいと信じている人、エボラに対する誤解も多いと聞いた。

       デルビンヌ スタッフに文化人類学者がいて、まず地域の文化を知ることから始める。病気をどう理解しているかを調べ、エボラは運や霊のせいではなく、ウイルスが原因であることを丁寧に説明した。

       進藤 地域のリーダーを見つけて説得すること、エボラから回復した人に経験を話してもらうことも重要だ。

       ――日本で患者が発生した場合、体制は万全か。

       加藤 都道府県ごとに、エボラについて専門知識のある医療従事者を必要な人数だけ確保できるのかは疑問だ。集中治療が出来る施設を絞り込み、患者を集めてしっかり治療するやり方が今後検討されていくと思う。

        ■続けたい貢献

       ――MSFのエボラ対策拠点はベルギーにある。ベルギーのアフリカに対する人道支援は日本に比べてなぜ手厚いのか。

       デルビンヌ 中央アフリカや西アフリカにおいて、国の医師が貢献してきた歴史がある。欧州からアフリカは地理的にも遠くない。

       ――日本にできる貢献は(高校2年男子)。

       進藤 日本は感染症対策の先進国。日本で開発された抗ウイルス薬アビガンがエボラにも効果があることがわかった。国際基準の臨床試験を済ませてデータを出せていれば、もっと早く現地で使えたはず。

       加藤 日本の優れた技術を生かして、もっと流行国へのかかわりを増やしていきたい。

       ――西アフリカはエボラの流行で多くの医療従事者を失い、医療体制が崩壊している。流行終息後も行うべき支援は何か。

       デルビンヌ 新たな流行に対応できるように地元の医療スタッフに対する訓練を続けていく。国際社会も支援を続けるという気持ちを持ち続けてほしい。

       進藤 エボラが治癒した人に対する長期的なケアと経過観察が必要だ。フォローアップをNGOや地元病院にお願いしている。

        ■紛争地の対策

       ――病院が誤爆されたアフガニスタンでは、スタッフの安全を守るためにどんな対策を講じていたか。

       デルビンヌ 地元政府、反政府勢力タリバン、米軍などすべての紛争当事者と交渉した。中立の立場を保ち、治療はすべての人を公平に扱うことを説明した。だが万全を尽くしてもミサイル攻撃から身を守る手だてはない。

       ――紛争地からの撤退を判断する基準はあるのか。

       デルビンヌ 組織として議論し、決断を下す。ソマリアでは医療のほとんどを我々が担っていたが、安全を確保できないと判断し撤退した。シリアでは、昨年5人の仲間が「イスラム国」に拉致された。後に解放されたが、やむを得ず撤退を決断した。今は、現地の病院に対して遠隔支援を行っている。

       ――危険な地域に行くとき、家族をどう説得するのか(高校3年女子)。

       デルビンヌ どのような支援活動を行っているのか、どのくらいのリスクをとっているのかを具体的に話すことだ。私の妻はMSFで働いていたので、活動についてはよく知っている。

       ――将来、国際的な人道支援に貢献したい。アドバイスを(予備校男子)。

       進藤 文系でも、どんな分野でも国際協力に携わるチャンスはある。語学はできた方がいい。本当にその外国語を使いたい目的がある人は、ない人に比べて上達が早い。

       デルビンヌ MSFにも支援活動を経験せずに入ってきたスタッフはいる。2年ほどどこかで働いたことがあって、やる気と使命感があれば大丈夫だ。

        ■今後への備え

       ――今後流行する危険な感染症への備えを聞きたい。

       加藤 危険な病原体をすぐに診断できるような監視制度を途上国にも整備していくこと。WHOが存分に指導力を発揮できる体制づくりも大切だ。

       進藤 WHOとしては冬が近いので中国の鳥インフルエンザH7N9を警戒している。韓国で流行した中東呼吸器症候群(MERS)への準備も強化中だ。各大陸で最も危険度の高い国を指定しているので、そこの体制整備を急ぎたい。

       デルビンヌ この1年間のエボラの治療活動に対する再評価を行っている。さらなる投資を惜しまず、新たな流行にどう対応したらいいかを調べていきたい。

        将来は国際貢献活動を 文化守り対応必要…会場の声

       福岡県宗像市、福岡高校3年、石橋賢汰さん(17)「デルビンヌさんがエボラ対策では治療などに加え地域とのコミュニケーションが大事だと話していたのが印象的だった。詳しい話が聞けて、医学部進学と海外での医療支援を志望する気持ちが強まった」

       福岡市城南区、博多高校看護専攻科4年、中原真梨恵さん(19)「看護師として将来、国際貢献活動にかかわれればと考えており、WHOで活動している進藤さんの話は参考になった。エボラ出血熱では、多くの医療従事者も亡くなっているということを聞き、怖い部分もあるが、これからしっかり勉強していきたい」

       福岡市中央区、看護師、浜美智子さん(44)「国や文化が違えば死に対する考えも異なる。それぞれの文化を守りながら、感染症の流行に対応することの必要性を感じた。治癒した患者の精神的なケアをおこなっていることも知り、感動した」

        「自分の使命考えて」…中村哲 平和医療団日本総院長

       国際的な人道支援を議論したフォーラムには、西南学院中学校の出身で、アフガニスタン、パキスタンでの医療活動で知られる中村哲医師(平和医療団日本総院長)が、ビデオメッセージを寄せた。

       中村医師は「医療支援からスタートしたが、安全な飲み水と食料を安定的に供給できないと、病気になる人が減らないことに気づき、干ばつの地を潤す水利・土木事業に、活動は大きく変化した」と現地の様子を説明。若者たちに向けて、「社会に出た時、自分のできるミッション(使命)は何だろうと考えてほしい」と語った。

       ◆エボラ出血熱 1976年に中央アフリカで見つかった死亡率の高いウイルス性感染症。感染後10日ほどで嘔吐や下痢がひどくなり、多臓器不全や全身からの出血を起こす。今回の流行は2013年12月にギニアで始まり、死者は計1万1000人を超えた。流行は下火になったが、まだ終息していない。

       主催=読売新聞社

       後援=外務省、文部科学省、NHK

       協賛=西南学院
      http://premium.yomiuri.co.jp/pc/#!/news_20151021-118-OYTPT50436

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    2. WHOの改革と日本人・・・調査研究本部主任研究員 芝田裕一
      2015年10月22日3時0分

       世界保健機関(WHO)は、西アフリカで猛威をふるったエボラ出血熱への対応の鈍さを厳しく批判された。組織・体制の大幅な見直しを迫られる中、1人の日本人女性がWHO感染症対策の改革の一翼を担うことになった。

       読売新聞社はさる4日、福岡市で「ノーベル賞受賞者を囲むフォーラム~エボラ出血熱と闘う」を開催した。世界各地で医療支援活動を続けて1999年のノーベル平和賞を受賞し、今回のエボラ流行でも治療で中心的役割を果たした「国境なき医師団(MSF)」の幹部を招いたシンポジウムだ。

       MSFは2014年3月頃からエボラの流行拡大に警鐘を鳴らしてきたが、WHOが緊急事態を宣言したのは同年の8月8日になってからだった。13年12月に始まったエボラ出血熱の流行は下火になったもののいまだ終息せず、死者は1万1312人(今年10月14日現在)に達した。

       犠牲者がここまで増えた理由の一つとして、WHOなどの初動対応の遅れが指摘されている。フォーラムを企画した私は、パネリストの1人としてWHO関係者も呼びたいと考えたが、WHOをたびたび非難しているMSF幹部との同席を承諾するかどうか不安だった。

       しかし、今年3月、私が出演を依頼したジュネーブ在住の日本人WHO医務官から「出てもいいです」と快諾のメールが送られてきた。それが進藤しんどう奈邦子なほこさんである。

       内科医師の進藤さんは、2002年にWHOに派遣され、05年に正職員になった。以来、世界各地で、新型インフルエンザやウイルス性出血熱など、伝染性・危険性が高い感染症の患者治療や流行防止に尽力してきた。

      WHOに圧力をかけ続ける必要が

       WHOのエボラ対応を検証した外部の調査委員会は、今年7月7日、「エボラ危機は、緊急事態への対処能力や関係国との調整能力の不足などWHOの弱点をさらけ出した。組織全体の大変革が必要だ」とする中間報告をまとめた。

       この報告に対して改革を約束したWHOは同月、進藤さんを危険感染症対策の調整官に任命した。WHOの上級管理職の一つで、危険感染症の流行国や支援国との調整などを担う重要なポストだ。疫病流行地での経験が豊富で、交渉能力に優れた進藤さんの起用は、感染症対策の強化を求められたWHOが示した「改革」の第1弾だと受け止められている。

       福岡のフォーラムに登壇したMSFのエボラ対策総括責任者ブリス・デルビンヌさんは、地元政府やWHOのリーダーシップの欠如が西アフリカで防疫の障害になったことを強調。パネル討論の最後に、「日本を含む資金拠出国は、WHOが完全なる改革を成し遂げるように圧力をかけ続ける必要がある」と訴えた。

       デルビンヌさんの発言にじっと耳を傾けていた進藤さんは、こう決意を述べた。「最も危険度の高い国々を五大陸それぞれで指定している。まずはその国々で迅速診断できる体制を固め、周辺国へ広げていきたい」。次に危険感染症の流行が起きたときは、進藤さんたちが実務の中心となる。WHOが力強いリーダーシップを見せてくれることを期待したい。
      http://premium.yomiuri.co.jp/pc/#!/news_20151019-118-OYTPT50295

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    3. 参考記事
      朝夕刊 「エボラ出血熱と闘う」…ノーベル賞受賞者を囲むフォーラム 福岡市・西南学院大 10/22 3:00
      大分めざせ健康寿命日本一 10/21 5:00
      新着 交通事故死者数、最多は中国の26万人…WHO 10/20 11:08
      朝夕刊 [教えて!yomiDr.]顧みられない熱帯病…制圧へ連携 日本も貢献 10/18 3:00
      新着 エボラウイルス潜伏?英人女性「危機的な容体」 10/15 20:05

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    4. 「下士官・兵は優秀、下級将校は普通、上級幹部は愚劣」をわざわざ輸出…
      https://www.google.co.jp/search?q=%E5%84%AA%E7%A7%80+%E8%89%AF%E5%A5%BD+%E5%87%A1%E5%BA%B8+%E6%84%9A%E5%8A%A3

      ムダに国費(公的資金)がじゃぶじゃぶ流れていく…

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  15. エボラなど感染に備え…自衛隊、専門医官育成へ
    2015年11月1日16時47分

     防衛省は来年度、エボラ出血熱などの感染症対策を強化する方針を固めた。

     感染症を専門とする自衛隊の医官を育成し、自衛隊病院に専門病床を新設する。自衛隊員がアフリカなど感染症の流行が懸念される地域で国連平和維持活動(PKO)などに従事していることを踏まえ、対処能力の向上を図る。

     専門医官は自衛隊員に感染防止のノウハウや同僚に感染者が出た場合の対処方法などを教える役割を担う。同省は、医官1人を感染症研究が進んでいるケニアやタイなどの研究機関に派遣し、研修させる方針だ。

     感染症の専門病床は、防衛医科大学校病院(埼玉県所沢市)と自衛隊中央病院(東京都世田谷区)の病棟に設け、機材も整備する。

     防衛省は来年度予算の概算要求に関係経費として2200万円を計上した。
    http://premium.yomiuri.co.jp/pc/#!/news_20151101-118-OYT1T50030
    http://www.yomiuri.co.jp/politics/20151101-OYT1T50030.html

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    1. 狐や狸に化かされて、一人芝居をやらされているのに早く気づけよ…

      まるでドタバタ喜劇でしかない。

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  16. 「8Kで革新的医療実現の可能性」の報告書
    11月15日 4時43分

    ICT=情報通信技術を医療などの分野で活用する方法を検討する厚生労働省と総務省の懇談会は、画質が鮮明な「8K」と呼ばれる映像技術を手術や診断に活用すれば、革新的な医療サービスが実現する可能性があるなどとする報告書をまとめました。

    民間の有識者でつくる厚生労働省と総務省の懇談会は、ICT=情報通信技術を医療や介護などの分野で活用する方法の検討を進め、このほど報告書をまとめました。
    それによりますと、今のハイビジョンよりも画質が鮮明な「8K」と呼ばれる映像技術を医療分野で活用すれば、革新的な医療サービスが実現する可能性があるとしています。
    具体的には、内視鏡カメラとモニターに8Kが採用されれば、腹部を切り開いて直接患部を見ながら行う手術に限りなく近い高い精度で内視鏡手術ができ患者の負担が軽減されるとしているほか、常勤の医師がいない地域でも8Kによる遠隔画像診断を活用すれば、患者に移動の負担をかけずに精度の高い診断が可能になることが期待されるとしています。
    一方、報告書は、普及に向けて機器の小型・軽量化や導入コストを抑えることが課題だと指摘しています。
    この報告書を受けて、厚生労働省と総務省は、今後、実用化に向けた実証事業を進めることにしています。
    http://www3.nhk.or.jp/news/html/20151115/k10010306541000.html

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  17. 「重粒子線」がん治療 小型化した新装置開発
    1月8日 18時29分

    放射線の一種の「重粒子線」を使ったがん治療を行っている千葉市の放射線医学総合研究所は、超電導磁石を使うことで従来より小型化した新たな治療装置を日本で初めて開発し、8日、報道陣に公開しました。

    公開されたのは放射線医学総合研究所と電機メーカーの東芝が共同で開発した重粒子線を使った回転型の治療装置です。
    研究所では、従来の放射線よりがん細胞を壊す力が強い「重粒子線」を使ったがん治療を進めてきましたが、非常に大きな治療装置となるのが課題でした。
    開発された新たな治療装置は、重粒子線を調節する磁石として日本で初めて超電導磁石を使い、装置全体を長さ13メートル重さ300トンと、従来の半分程度に小型化できたということです。
    また、これまでは重粒子線をがん細胞に集中して照射するためには患者が横たわる台を傾ける必要がありましたが、重粒子線の照射口を回転させて360度、どの角度からも正確に当てることができ、患者の負担軽減や副作用をおさえることにもつながると期待されています。研究所では新年度・平成28年度内にこの装置を使った治療を始める予定です。
    重粒子線治療は、現在、国内5か所の医療機関で行われていますが、研究所では装置の小型・軽量化により今後、重粒子線治療の普及を目指したいとしています。
    放射線医学総合研究所重粒子医科学センターの辻比呂志治療課長は「これまで放射線治療が難しかった部分のがん治療にも利用できると考えられる。患者の負担を減らし患者にやさしい治療を進めていきたい」と話しています。

    重粒子線がん治療とは

    重粒子線を使ったがん治療は、炭素イオンの粒子を光に近い速さまで加速させた「重粒子線」をがん細胞に当てる先進医療です。
    従来の放射線と比べ、狙った患部に集中して当ててがん細胞をピンポイントで壊すことができるうえ、正常な細胞へのダメージが少なく、患者の体への負担も少なくできるのが特徴です。
    先進医療として位置づけられているため、保険診療ではなく治療費は高額になります。
    http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160108/k10010365521000.html

    http://koibito2.blogspot.jp/2015/08/blog-post.html?showComment=1452247419908#c2861649326021301667

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  18. 医療機器産業の国際展開へ 基本計画案まとまる
    5月25日 4時21分

    政府は、医療機器産業の成長を後押しし、国際展開を進めるための基本計画案をまとめ、日本の医療機器産業の強みを極限まで研ぎ澄ますとして、手術支援ロボットや人工臓器、在宅医療機器などの分野にターゲットを絞り込み、研究開発を促進する必要性を指摘しています。

    基本計画案によりますと、医療機器産業について、「アベノミクスの3本の矢の政策のひとつとして成長戦略に位置づけられ、世界市場にあっては、将来にわたり、持続的な成長が見込まれている」としていて、政府と関係機関が連携して、国際展開を進めるとしています。
    そのうえで、「オンリーワンの世界最先端分野を切り開くために、わが国の医療機器産業の強みを極限まで研ぎ澄ます」として、手術支援ロボットシステム、人工の組織や臓器、それに在宅医療機器などの分野にターゲットを絞り込み、研究開発を促進する必要があるとしています。
    さらに、医療機器の実用化に向けて、迅速な承認体制や、安全に使用されるための適正な使用方法について情報を提供する体制を確保する必要があるとしています。政府は、この基本計画案を、近く閣議決定することにしています。
    http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160525/k10010533911000.html

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  19. 世界中の人に医療を 国際会議を12月東京で開催
    9月19日 7時02分

    アメリカに到着した安倍総理大臣は日本政府とUNDP=国連開発計画などとの共催イベントで、世界のすべての人が必要な医療などを受けられる制度の構築に向けて具体策を議論する国際会議をことし12月に東京で開催する考えを表明しました。

    国連総会の一般討論演説などに臨むためアメリカのニューヨークに到着した安倍総理大臣は日本時間の19日早く、世界のすべての人が必要な医療や保健サービスを受けられる制度の構築に向けて議論する、日本政府とUNDP=国連開発計画などの共催イベントに出席しました。

    この中で安倍総理大臣は「医師や看護師などの拡充、医薬品の供給・管理体制の構築、そして誰もが負担可能な範囲で基礎的な医療を受けられる財政制度の構築への道のりは険しく、課題は山積している」と指摘しました。
    そのうえで、世界のすべての人が必要な医療や保健サービスを受けられる制度=ユニバーサル・ヘルス・カバレッジの達成には、途上国の国内資金、国際機関などの支援に加え、民間や市民社会の資源を動員した枠組みが重要だと訴えました。
    そして安倍総理大臣は、ユニバーサル・ヘルス・カバレッジの構築に向けて具体策を議論する国際会議をことし12月に東京で開催する考えを表明しました。
    http://www3.nhk.or.jp/news/html/20170919/k10011147161000.html

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  20. ニュース考
    人工知能(AI)が医療機器になる日…調査研究本部主任研究員 芝田裕一
    2017年8月29日3時0分

     医療の現場が人工知能(AI)に注目している。背景には、多忙な医師の負担軽減につながるとの期待がある。

    がん患者のゲノム変異を探すスパコンの限界

     生命の設計図であるデオキシリボ核酸(DNA)に書き込まれたすべての遺伝情報のことを「ゲノム」という。ゲノムは30億個の「塩基」と呼ばれる化学物質がつながったもので、塩基は化学物質や放射線、たばこの煙、加齢などによって傷つき、欠けたり、別の塩基に置き換えられたりする。これを「変異」という。

     現代医学では、がんはゲノムの異常が起こす病気だと考えられており、ゲノムの変異部分から原因や薬を探すのが最新の診断スタイルとなっている。先端医療を研究する東京大学医科学研究所(東京都港区)は、がん患者のゲノムを分析し、変異した部分を探し出すため、高性能のスーパーコンピューターを2009年から稼働させている。

     だが、変異は多い人だと数百万個も見つかることがある。スパコンが探し出した変異のうち、どれががんに結びついているのかを判断するのは極めて難しく、その作業ではスパコンは役に立たない。米国の医学論文データベース「パブメド」には2600万本以上の論文が登録され、がん研究に限っても、2016年の1年間だけで20万本もの論文が発表されている。がんの原因となる変異を絞り込むため、医師は自力で大量の文献に当たらなければならず、たいへんな重労働となっていた。

    病因らしき変異を10分で選び出した「ワトソン」

     同研究所ヒトゲノム解析センター長の宮野悟教授は、「ビッグデータを患者の病態につなげるのは、人力だけでは不可能になってきた」と考えた。そこで3年前に目を向けたのが、米国のクイズ番組で人間のチャンピオンを破ったIBMのAI「ワトソン」だ。このころ、IBMはワトソンに医学論文など大量の医療データを学習させ、世界の医療研究機関に売り込んでいた。学習能力を備えたワトソンなら、大量の論文をリサーチして患者の病態と関係のありそうな変異を選び出すことができる。同研究所は2015年9月にIBMとの間でワトソンの利用契約を結んだ。


    (写真)「ワトソン」ががんの原因として示した変異を確認する東大の研究者


     宮野教授にワトソンについて尋ねると、その能力を示すエピソードを一つ紹介してくれた。同研究所付属病院の血液腫瘍内科で、ある急性骨髄性白血病の患者の病理診断がつかず、発病の原因がわからないことがあった。この患者のDNAを分析したところ、1500個ほどの変異が見つかった。そこから、専門医が論文などにあたり、2週間かけてようやく原因と思われる変異を見いだした。ところが、試しにこの患者の変異のデータをワトソンに入力すると、わずか10分で同じ答えに到達したという。

     同科では、患者のゲノムを調べて変異データをワトソンに入力するのが普通になりつつあるそうだ。これは未来の一般病院の姿かもしれない。厚生労働省のAI活用推進懇談会は、今年6月に発表した報告書の中で、「2020年度までに、個々人のゲノム解析の結果をAIで分析し、日常の診療に活用することが可能になる」と予想しているのだ。

    気になるAI医療の値段

     画像診断用のAIの開発も待望されている。日本はコンピューター断層撮影法(CT)や磁気共鳴画像(MRI)などの放射線画像診断装置の設置数が先進国で突出して多いと言われる。しかも技術の進歩によって、人体を薄くスライスして撮影できるようになったため、専門医は大量の画像をチェックしなければならなくなった。画像診断を学習したAIの助けを借りられれば、医師の負担を大幅に減らすことができる。

     厚労省は現在、どんなAIが医療機器に該当するのかを検討しており、来年にも指針を示すとみられている。国のお墨付きを得たAIが、数年以内に医療機器として売り出されるだろう。

     気になるのはAIを使う医療の値段がどれくらいになるかだ。仮に高額医療になると、手が届く人と届かない人の差が生まれてくる。また、ただでさえ苦しい国の保険医療財政がさらに圧迫されよう。AIがもたらす新しい医療は、健康にも財布にも優しく、国民が平等にアクセスできるサービスであってほしいと願う。



    芝田 裕一  (しばた・ゆういち)  調査研究本部主任研究員

    専門分野:  科学、テクノロジー

    コメント:  ロンドン特派員、科学部次長を経て現職。地震災害対策や先端医療、ものづくりの技術など、科学技術分野の幅広いテーマに関心がある。「読売テクノ・フォーラム」と「ノーベル賞受賞者を囲むフォーラム」を担当しています。 
    http://premium.yomiuri.co.jp/pc/#!/news_20170828-118-OYTPT50189

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    1. ニュース考
      iPS細胞と桶狭間の戦い…調査研究本部主任研究員 芝田裕一
      2018年6月19日10時0分

       読売テクノ・フォーラムが優れた業績を上げた若手科学者に贈るゴールド・メダル賞の受賞記念講演会が、5月19日に東京・内幸町の日本プレスセンターで開かれた。2018年の受賞者3人の講演の中で、林克彦・九州大学大学院医学研究院教授が、研究成果への大学院生の貢献を戦国時代の武功になぞらえて紹介したのが印象に残っている。

      iPS細胞から体外で卵子作製

       林さんの研究チームは、培養皿の上で、マウスのiPS細胞(人工多能性幹細胞)から卵子を作り出すことに世界で初めて成功した。この卵子を雄マウスの精子と受精させると、無事に赤ちゃんマウスが誕生した。論文は16年8月に世界的な科学誌「ネイチャー」に掲載され、ネイチャーのライバル誌であるサイエンスは、この成果を同年の世界トップ10の科学研究の一つに選んだ。

       京都大学の山中伸弥教授が開発したiPS細胞は、さまざまな臓器や器官の細胞に分化しうる万能細胞だが、体外で「生命の源」である卵子に変化させた研究者はだれもいなかった。科学界のトップジャーナルが高く評価したのは当然と言える。

      筆頭著者より教授に注目が

      卵子作製実験で大きな役割を果たした日下部さん(手前)と林教授

       この研究は、林さんが14年4月に京都大から九州大に移り、初めて自分の研究室を構えて最初に着手した研究の一つだった。木曜日は実験の日と決め、朝から晩まで、博士課程の大学院生だった日下部央里絵さんと2人で、卵子のもととなる細胞――1ミリ・メートルの25分の1という小さな細胞を、1個1個顕微鏡を見ながら手作業で取り分けていく作業を続けた。集中力と根気を要するこの実験で、日下部さんが果たした役割は大きかったという。

       科学の論文では、実験を中心的に担った人物が最初に名前が載る「筆頭著者」になることが多い。ネイチャーに載った論文の筆頭著者も日下部さんだった。しかし、大学院生が筆頭著者の場合、世間は「院生は教授の指示に従っただけだから」とその貢献を無視し、研究を立案して指揮した教授を主人公として取り上げがちである。この実績も、ほとんどの場合、「林教授が……」の一人称で語られてきた。

       林さんは京都大学の講師だった11年に、精子や卵子のもととなる細胞(始原生殖細胞)をiPS細胞から作り出すことに成功している。このときは林さんが論文の筆頭著者だったが、研究室を主宰する京大教授の業績として紹介されることが多かった。林さん自身も日下部さんと同じ経験をしているのだ。

      「ウチの毛利新助」を称えた林教授

       下積み研究者の苦労を知る林さんは、講演会で、日下部さんを「ウチの毛利新助」と呼んだ。毛利新助は織田信長の家臣で、有名な「桶狭間おけはざまの戦い」で今川義元を討ち取ったと伝えられている。今川軍を奇襲作戦で破ったのは信長だが、実際に義元の首を取ったのは新助だ。

       山中教授も、講演のたびに、初めてiPS細胞を作り出した実験で主役を務めたポスドク(博士研究員)や大学院生ら3人を写真つきで紹介している。「彼らがいなかったら、iPS細胞はできていなかった」は、ストックホルムでのノーベル賞受賞セレモニー以来、山中講演の決まり文句の一つである。

       すぐれた武将(=研究リーダー)は、家臣(=チームメンバー)の「武功」を称たたえることを忘れないのである。



      芝田 裕一 (しばた・ゆういち)  調査研究本部主任研究員

      専門分野: 科学、テクノロジー

      コメント: ロンドン特派員、科学部次長を経て現職。地震災害対策や先端医療、ものづくりの技術など、科学技術分野の幅広いテーマに関心がある。「読売テクノ・フォーラム」と「ノーベル賞受賞者を囲むフォーラム」を担当しています。
      http://premium.yomiuri.co.jp/pc/#!/news_20180618-118-OYTPT50335

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    2. ニュース考
      走り続ける山中教授…調査研究本部主任研究員 芝田裕一
      2017年3月30日3時0分

      フルマラソンを「サブ3.5」で完走

       2012年のノーベル生理学・医学賞を受賞した山中伸弥・京都大学iPS細胞研究所長(54)は、今年2月19日に開かれた京都マラソンに出場し、3時間27分45秒で完走した。

       山中さんのようにフルマラソン(距離42.195キロメートル)で3時間30分を切ることを「サブ3.5」と言い、市民ランナーにとっては大きな目標の一つだ。練習を積み、努力を重ねなければ達成は難しい。雑誌「ランナーズ」の調査によると、今年2月中に国内のフルマラソン大会を完走したランナーの数は12万7092人で、そのうち1万1842人が3時間30分を切るタイムでゴールしている。「サブ3.5」を達成したのは全完走者の9.3%で、10人に1人に満たないのだ。

       現役研究者としても忙しいノーベル賞受賞者が、これだけのスピードで走ることに驚きを感じる。

       山中さんは大学生のころから30年以上ランニングを続けている。奈良先端科学技術大学院大学で助教授として初めて研究室を構えた時は、広いキャンパス内を走っていたそうだ。京大に移ってからは、昼休みや夕方に鴨川沿いを走っている。出張先でも、機会を見つけて走ることが少なくないと聞く。

      走るたびに記録を更新

      笑顔でゴールする山中さん(昨年12月の防府読売マラソン大会で)

       しかも、大会を走るたびに記録を更新している。昨年12月に山口県で開かれた防府読売マラソンでは3時間40分53秒でゴールし、自己ベストを2分以上縮めた。筆者はこの時、後半20キロほど山中さんの伴走をさせていただいたが、ケニアのランナーのように少し前傾したフォームと、しっかりした足運びが印象に残っている。

       その2か月後の京都マラソンで、山中さんは記録をさらに10分以上も縮めたのである。ゴール後に「iPS細胞の研究はまだ進化していくが、ぼくの記録はそろそろ限界かな」とコメントしていたが、筆者の見立てでは、まだまだ、3時間10分くらいまではタイムは伸びると思う。

      iPS細胞の研究資金確保という目的も

       山中さんはなぜ走るのか。健康のため、ストレス発散のために走り続けてきたということだが、数年前に、別の目的が加わった。研究資金の確保である。

       iPS細胞研究所は、山中さんが作り出したiPS細胞を再生医療や創薬に生かす研究の場だ。大学付属の研究機関では国内トップクラスの予算(2015年度は約37億円)を獲得しているが、所員約200人の安定雇用と研究環境改善のためには、資金がいくらあっても足りない。そこで、山中さんは、参加者の多い関西の大都市マラソンにゲストランナーとして出場し、研究所への寄付を呼びかけることにしたのだ。

       京都マラソンには応援大使として出場し、オンラインの寄付募集サイトを通じて「iPS細胞研究基金」への寄付を呼びかけた。昨年10月の大阪マラソンには、チャリティーアンバサダーとして、人気デュオ「コブクロ」の小渕健太郎さんらと共に参加し、研究基金と熊本地震被災地への支援を募った。

       たとえ記録が頭打ちになっても、iPS細胞の研究が続く限り、山中さんは走り続けることだろう。 



       寄付手続きの詳細は、グーグルなどの検索サイトで「iPS細胞研究基金」と打ち込むと確認できる。資料請求の電話番号は0120-80-8748。語呂合わせで「ハシレ ヤマナカシンヤ」と読む。


      芝田 裕一  (しばた・ゆういち)  調査研究本部主任研究員

      専門分野:  科学、テクノロジー

      コメント:  ロンドン特派員、科学部次長を経て現職。地震災害対策や先端医療、ものづくりの技術など、科学技術分野の幅広いテーマに関心がある。「読売テクノ・フォーラム」と「ノーベル賞受賞者を囲むフォーラム」を担当しています。
      http://premium.yomiuri.co.jp/pc/#!/news_20170327-118-OYTPT50182

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    3. まんまとトンデモをマンセーしちゃってる可能性が大である。

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  21. 日本の医療 売り込め…ドックや最新機器 東南アに
    2018年11月1日5時0分

     【ハノイ=田中洋一郎】人口減で市場の縮小が予測される日本の医療業界が、東南アジアを中心に海外進出を加速している。こうした地域では、予防医療や手術の際に体に負担をかけない最新の医療機器などが一般化していないためだ。日本政府も成長戦略の一環として、「日本式医療拠点」の進出を後押ししている。

     「ベトナムにも予防医療が浸透すれば、病院の負担も軽減する」

     10月14日、ベトナム南部ホーチミンの国立チョーライ病院に設置された「ドック健診センター」の開設式典で、同病院グエン・チュオン・ソン院長があいさつした。

     事業には、この病院と、日本の国際医療福祉大学、キヤノンの医療機器子会社「キヤノンメディカルシステムズ」が出資し、日本の経済産業省も支援した。6階建てビルを新築し、最新のCTスキャナーや内視鏡を備える。人間ドックのコースは600ドル(約6万7600円)と、1000ドル(約11万2700円)の2種類で、婦人科検診などのオプションもある。国際医療福祉大がベトナム人医師らの研修を行い、必要に応じ、画像診断に日本の医師も参加する。

     ただ、平均月給が約3万円と言われるベトナムでは、受診者は、富裕層に限られる。当面、投下資本の回収は見込めないものの、「希望があれば、日本の医療施設で治療したい」(天野隆弘・山王メディカルセンター名誉院長)と、日本への「インバウンド」効果を期待している。

     一方、患者ではなく、医療従事者に照準を合わせるのは、医療機器を手掛けるオリンパスだ。2016年7月には、約17億円を投じ、タイ・バンコクに内視鏡のトレーニングセンターを設置した。東南アジアではまだ内視鏡や腹腔ふくくう鏡の普及が進んでいない。センターではタイに限らず、周辺新興国の医師や看護師らに向けた研修を行っている。

     医療業界の海外進出は日本政府も成長戦略の一環と位置付けており、13年に閣議決定した「日本再興戦略」では、日本企業が海外の医療技術とサービス市場で獲得する規模について、20年までに当時の3倍にあたる1兆5000億円を目指すとの目標を掲げた。内閣官房のまとめによると、こうした医療拠点は少なくとも24か所で開設済みという。

     医療機器メーカーの海外進出支援などを担当する日本貿易振興機構(ジェトロ)ヘルスケア産業課の植原行洋課長は「日本式医療の質の高さを実感してもらうことは重要だ。日本の市場が縮小しても、高齢化に向かうアジア各国での需要が見込めるだろう」と話す。
    http://premium.yomiuri.co.jp/pc/#!/news_20181101-118-OYTPT50017

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    1. 日本式医療拠点、東南アに続々…予防医療に重点
      2018年11月1日8時32分

       【ハノイ=田中洋一郎】人口減で市場の縮小が予測される日本の医療業界が、東南アジアを中心に海外進出を加速している。こうした地域では、予防医療や手術の際に体に負担をかけない最新の医療機器などが一般化していないためだ。日本政府も成長戦略の一環として、「日本式医療拠点」の進出を後押ししている。

       「ベトナムにも予防医療が浸透すれば、病院の負担も軽減する」

       10月14日、ベトナム南部ホーチミンの国立チョーライ病院に設置された「ドック健診センター」の開設式典で、同病院グエン・チュオン・ソン院長があいさつした。

       事業には、この病院と、日本の国際医療福祉大学、キヤノンの医療機器子会社「キヤノンメディカルシステムズ」が出資し、日本の経済産業省も支援した。6階建てビルを新築し、最新のCTスキャナーや内視鏡を備える。人間ドックのコースは600ドル(約6万7600円)と、1000ドル(約11万2700円)の2種類で、婦人科検診などのオプションもある。国際医療福祉大がベトナム人医師らの研修を行い、必要に応じ、画像診断に日本の医師も参加する。

       ただ、平均月給が約3万円と言われるベトナムでは、受診者は、富裕層に限られる。当面、投下資本の回収は見込めないものの、「希望があれば、日本の医療施設で治療したい」(天野隆弘・山王メディカルセンター名誉院長)と、日本への「インバウンド」効果を期待している。

       一方、患者ではなく、医療従事者に照準を合わせるのは、医療機器を手掛けるオリンパスだ。2016年7月には、約17億円を投じ、タイ・バンコクに内視鏡のトレーニングセンターを設置した。東南アジアではまだ内視鏡や腹腔ふくくう鏡の普及が進んでいない。センターではタイに限らず、周辺新興国の医師や看護師らに向けた研修を行っている。

       医療業界の海外進出は日本政府も成長戦略の一環と位置付けており、13年に閣議決定した「日本再興戦略」では、日本企業が海外の医療技術とサービス市場で獲得する規模について、20年までに当時の3倍にあたる1兆5000億円を目指すとの目標を掲げた。内閣官房のまとめによると、こうした医療拠点は少なくとも24か所で開設済みという。

       医療機器メーカーの海外進出支援などを担当する日本貿易振興機構(ジェトロ)ヘルスケア産業課の植原行洋課長は「日本式医療の質の高さを実感してもらうことは重要だ。日本の市場が縮小しても、高齢化に向かうアジア各国での需要が見込めるだろう」と話す。
      http://premium.yomiuri.co.jp/pc/#!/news_20181101-118-OYT1T50012

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    2. 医科様な予防医療版「大東亜共栄圏」の夢想…

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    3. その実は、目的と手段との倒錯…

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  22. 「声」「血1滴」 体調見抜く
    2019年1月27日5時0分

     病気になる前に、心身の隠れた不調を、「声」と「1滴の血液」だけで超早期に発見するための研究が進んでいる。高齢化を迎えた日本で健康長寿の実現に生かすだけでなく、2020年の東京五輪・パラリンピックを前に、アスリートの体調管理などにも応用できると注目されている。(前村尚、伊藤崇)

     
    スマホに話すと「元気度」 たんぱく質 AIで解析

    ■周波数の変化

     スマートフォンに話しかけるだけで、「心の健康状態」が数値で示される――。そんなアプリ「MIMOSYS(ミモシス)」を、東京大学の徳野慎一・特任准教授(音声病態分析学)らが2015年に開発した。自分でも気づかない「うつ」などの心の病の前兆を検知し、素早い対処につなげるための新技術。セルフチェック用だけでなく、医療機関の精神疾患診断への応用も目指している。

     声帯は、脳から延びる副交感神経とつながっている。そのため、緊張したり、強い不安を感じたりして脳がストレスを受けると、言葉が詰まったり、声が裏返ったりと、声帯の動きに影響が表れる。

     徳野さんによると、こうした反応は自分でコントロールできないという。意識的に声色を変えようとしても、人の耳には聞き取れないわずかな調子の変化も生じる。「心の声」は隠しきれない。

     ミモシスは、声の周波数のわずかな変化を数十項目にわたって解析し、心の状態を推定する。それを基に、心の元気さ「元気圧げんきあつ」を3段階(低い、普通、高い)で表し、2週間の平均状態を「活量値かつりょうち」として示す。

     例えば、元気圧は落ち込んだときは低めに、気分が高揚したときは高めに出れば正常だが、うつ状態だと常に低めになる。活量値は激しく上下しないで安定している方が望ましい。徳野さんは「活量値が下降傾向をたどるとうつ傾向だと判断出来る」と話す。

     都内のある企業では、このアプリを使って、アンケート調査で分からなかった従業員の「高ストレス状態」を見抜いたという。同社の産業医の三浦勇太さんは「ミモシスは、『隠れうつ』を見つけるのに有効だ」と期待をかける。

     日本のうつ病患者は年々増え、約112万人(14年、厚生労働省調べ)に上る。徳野さんは「ミモシスを『心の体温計や血圧計』として使ってもらいたい」という。

     ミモシスは、アスリートの支援にも役立ちそうだ。東京大スポーツ先端科学研究拠点は18年10月、プロゴルファーの横峯さくら選手に使うと発表した。メンタルトレーニングなどに導入されるとみられる。徳野さんは「選手のプレーは、プレッシャーに左右される。ミモシスを利用して、最高の状態で試合に臨んでもらえれば」と話す。

     ミモシスは、アンドロイド版のアプリが一般に入手できる。近くiPhone(アイフォーン)版も公開される。

     

    ■種類や量の構成  

     細胞で作られる様々な種類のたんぱく質は、疲れや不眠、病気などによって、その種類や量の構成が変化することがわかっている。

     東京工業大学の林宣宏准教授(生物物理学)らは、1滴の血液に含まれるたんぱく質を、網羅的に短時間で分析できるシステムを開発した。

     このシステムで、多くの血液サンプルを分析し、各たんぱく質の量を濃淡で示した解析図を大量に作成。AI(人工知能)に読み込ませて、体調や病気との関連を探索中だ。

     来月から静岡県内の自治体と共同で、地域の高齢者の協力を得て、たんぱく質のデータと、「疲労」「不眠」などとの関連性を分析する研究も始める。林さんは「同じ疲労でも何に起因しているのかを、たんぱく質の解析から示せるようにし、健康維持に役立てることができれば」と話す。京都大病院などと、がんを超早期に診断する方法の開発も進めている。

     国内のプロサッカーチームがこの技術に関心を示し、選手の体調管理に導入する予定という。林さんは「スポーツ分野での実績を健康社会の実現にも生かしていきたい」と話す。

     

    健康管理に筋肉の撮影 アスリート式 高齢者に応用

    複数のカメラでダンサーの動きをとらえて、筋肉の状態を瞬時に画像表示する「VMocap」システム。活動度が高い筋肉ほど赤く表示される(東京都江東区の東京ビッグサイトでの展示会で)

     トップアスリートの支援技術を、高齢者の健康増進に生かす取り組みも始まっている。東京大スポーツ先端科学研究拠点の石井直方拠点長(筋生理学)は「筋肉の効果的な鍛え方や運動に伴う脳の活動など、トップアスリートと高齢者の支援技術には共通する点は多い」と話す。

     拠点メンバーの中村仁彦教授(ロボット学)らは昨年、動いている人間を複数のカメラで撮影するだけで、全身の筋肉の活動レベルを瞬時に解析できるシステム「VMocap」を開発した。

     中村さんは人間型ロボットを研究する中で、人間の骨や筋肉の動きに注目し、システムを作り上げた。トップアスリートは自らの体の動きを細かく分析する必要があるため、最大の能力を発揮する戦略作りに生かせると期待されている。

     VMocapでは、カメラの映像を基に人工知能が骨などの位置を推定し、骨にかかる力や筋肉の活動度を計算。骨と筋肉の動きをCG(コンピューターグラフィックス)化する。どの筋肉が活発に動いているかが一目で分かる仕組みだ。

     これまで、世界大会で優勝した実績を持つ柔道の羽賀龍之介、サッカー元イタリア代表のデルピエロの各選手、体操男子の世界選手権代表選手らを撮影してきたという。このシステムは、高齢者の健康管理にも有効として期待が高まっている。中村さんは「ラジオ体操を行う高齢者を撮影することで、例えば、足や肩の可動範囲などの体の変化をとらえ、転倒の危険性などを介護職員や遠方で暮らす家族に知らせることができるようになる」と話し、導入を目指しているという。
    http://premium.yomiuri.co.jp/pc/#!/news_20190126-118-OYTPT50436

    https://koibito2.blogspot.com/2017/09/blog-post.html?showComment=1548557531862#c7992619467644027385

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    1. ガラパゴス医療(笑)。

      世界標準にはならないよ。

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  23. 日本の医療や公衆衛生の技術 アフリカに普及へ 基本方針決定
    2019年6月20日 19時47分

    日本の医療や公衆衛生の技術をアフリカに普及させようと、政府はアフリカに進出する企業や医療関係者への支援の拡充などを盛り込んだ、基本方針を決定しました。

    豊富な天然資源があり人口が急増するアフリカは「最後の巨大市場」などと呼ばれていますが、電気や水道などのインフラ整備が進まず、感染症のまん延や栄養不足など衛生面の改善が課題となっています。

    このため、政府は日本の医療や公衆衛生の技術をアフリカに普及させ、企業の進出と産業の発展を促そうと、20日開かれた健康・医療戦略推進本部で基本方針を決定しました。

    「アフリカ健康構想」という基本方針では、アフリカに進出する企業、医療関係者、NGOに財政面などでの支援を拡充し、医療や公衆衛生の分野での協力に関する政府間の覚書を交わし、民間企業の参入を促すなどとしています。

    安倍総理大臣は「日本の優れたヘルスケアサービスを国際展開していくために、8月に横浜市で開催されるTICAD=アフリカ開発会議でも、しっかりと発信していきたい」と述べました。
    https://www3.nhk.or.jp/news/html/20190620/k10011962531000.html

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  24. [SDGs@スクール]ワクチン 公平な分配を…WHOで感染症対策 進藤奈邦子シニアアドバイザー
    2021/04/07 05:00

    地球一体で対策必要/自国民優先の現実

     その存在が知られてから、1年半足らずのうちに世界で300万人近い命を奪い、我々の生活を激変させた新型コロナウイルス。世界保健機関(WHO・本部ジュネーブ)は加盟国から情報を収集し、それを基に対応をアドバイスし、さらにワクチンの公平な分配を目指し動いている。WHOで感染症対策を担う進藤奈邦子シニアアドバイザー(58)にオンラインで現状を聞いた。

    [Crisis]やっかいなコロナ

     天然痘、ペスト、スペイン風邪など、感染症は人類の歴史さえ変えてきた。その中でも新型コロナウイルスは「やっかいだ」という。新型肺炎(SARS)やエボラ出血熱と違い、元気なうちに人にうつしてしまう。航空機といった移動技術の進歩で広がるスピードも速い。「世界はグローバル化し、密接につながっている。世界全体が安全にならない限り、自国だけ安心ということはない」と、地球一体での対策の必要性を説く。

     日本ではマスクや手洗いといった予防策が根付くが、途上国は違う。きれいな水とせっけんが普通にある国は世界のたった3割なのだ。

    西アフリカ・シエラレオネのケネマ病院で2005年、ラッサ熱の患者を診察する進藤さん(右)。この病院が14~15年にエボラ出血熱感染爆発の治療の最前線となった(進藤さん提供)

    [Field]大量感染監視

     コロナ封じ込めの決め手となるワクチンでも、先進国と途上国では、確保できる量がまったく違う。WHOはワクチンを各国が共同で購入し、分配する国際的枠組み「COVAX(コバックス)」をいち早く主導した。

     それでも、製薬会社に対してより高い価格を提示できる一握りの国が買い占めてしまい、途上国には回らない。自国民の接種優先に動くというのが国際社会の現実だ。

     WHOに勤務して以来、世界中の「大量感染(アウトブレイク)」を監視し、当該国と協力しながら、最前線で防止策に奔走してきた。

     2004年末のスマトラ島沖地震・インド洋津波の直後には、コレラやマラリアなどの爆発的流行が懸念されたインド南東部や震源地に近いインドネシアのバンダアチェに入った。

     元からの貧困地帯のうえ、被災のために衛生・医療環境はひどく、「あれを見たら、世界中どこに行っても驚かない」という凄惨せいさんな現場を経験した。

     エボラ出血熱やラッサ熱がアフリカでアウトブレイクした折にも現場に向かった。防護服に身を固め、チームリーダーとして陣頭指揮を執り、致死率が高いウイルス性出血熱の封じ込めに尽力した。

     だが、どの現場でも一番怖いのは病原菌ではない。「アウトブレイクは、その社会の一番弱いところを狙い撃ちし、不安定さをむき出しにする。だから怖いのは人間だ」と力を込める。

    [Imagine]いろんな意見聞く

     1948年に発足。世界に15ある国連専門機関の一つで、本部はスイス・ジュネーブ。世界各地で保健や医学などが専門の計約7500人が働く。発足した4月7日は「世界保健デー」。

     この1年、早朝のコロナ会議で1日が始まる。変異種やワクチン開発の最新情報、コバックスへの拠出金の額など、コロナ対策関連各チームと情報交換し、短期的になすべきことを決める。

     その中で、最も力を入れているのは「人間の行動が感染症にどのような影響を及ぼすか」を想像し、今後に生かそうという戦略の策定だ。

     WHOにはコロナがどう感染拡大し、変異し、いつごろ収束するかについての科学的知見が集積される。人間の行動が社会に大きく影響することも、今回は改めて突きつけられた。

     封じ込めにあたって、人権への配慮はどうあるべきなのか。科学の知識をいかに「翻訳」し、政策に落とし込むべきか――。「いろんな分野のリーダーの意見を聞いていきたい」と語るように、きょうも世界の人々の声に耳を澄まし、次なる一手を練る。

     ◆SDGs=エスディージーズと読み、Sustainable Development Goalsという英語の頭文字からとった略称。「持続可能な開発目標」と訳されている。2015年の国連総会で採択され、貧困や飢餓、教育、男女の平等、働きがい、生産消費、生態系の保全など17項目の目標を掲げている。目標の下には、具体策や数値目標などを示した計169のターゲットがある。

    [Advice]巡り合わせを大事に

     実は建築家になるつもりで大学は理工学部に入った。だが、最愛の弟を脳腫瘍で亡くし、医学部に入り直した。大学病院で脳外科医となり、救急現場でもオペを重ねた。そんな生活の中、院内感染に関心を持つようになった。第1子を妊娠し、再び道を変え、感染症の専門家になった。日本指折りの感染症研究所から、世界に活動の舞台を移し、20年になろうとしている。これまでの経験を振り返り、その時々、自分が一番やりたいことをやることが大切だと力説する。そして、人との出会い、巡り合わせを大事にし、日本語をしっかり学び、深く考える力を身につけること――。若い世代には、そう伝えたいと考えている。

     ◆しんどう・なほこ 東京慈恵会医科大卒業後、脳外科医や内科医として勤務。1998年に国立感染症研究所感染症情報センターへ。同研究所主任研究官を経て、2002年からWHOで感染症の警戒対策を担当。18年から現職。大阪府出身。
    https://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/kyoiku/newspaper-at-school/20210406-OYT8T50159/

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    1. かの鳥インフルエンザ騒動、さらには、豚由来の新型インフルエンザ騒動のとき、どういった発言をしていたか、世の中の人はもうとっくに忘れ去っているのかもしれない…

      世の中は、何度でも繰り返し繰り返し同じ手口にだまされるものらしい。

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  25. 「アスクレピオスの愛人 進藤奈邦子」
    https://www.google.co.jp/search?q=%E3%82%A2%E3%82%B9%E3%82%AF%E3%83%AC%E3%83%94%E3%82%AA%E3%82%B9%E3%81%AE%E6%84%9B%E4%BA%BA+%E9%80%B2%E8%97%A4%E5%A5%88%E9%82%A6%E5%AD%90

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  26. 国立感染研新興再興感染症エマージングディジーズ騒動師衆クラスター、兼、WHO世界保健機関人獣共通感染症新型ウイルスパンデミック詐欺(創作捏造)ネットワークのなかのヒトビト…

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