2021年10月6日

【茅方程式】「気候変動パネルIPCC 先駆者たち」@読売新聞

「学ぶ育む・わかるサイエンス」

>[気候変動パネルIPCC 先駆者たち]<6>
>温暖化対策と経済…「反対」ではなく「先送り」
>(2013年9月15日 読売新聞)

>地球温暖化の防止策を検討する世界の研究者たちが、たびたび引用する日本人の名を冠した方程式がある。地球環境産業技術研究機構(RITE)理事長の茅陽一(79)が考え出した茅の方程式。発表されたのは、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の設立翌年の1989年5月。温暖化対策の選択肢を検討する第3作業部会の分科会がスイスのジュネーブで開かれた時のことだ。


シリーズもの(1)~(5)までアップして、なぜ(6)はアップしないのだろう。
不思議な「読売プレミアム」…。


KAKEN - 茅 陽一(20010704)
http://kaken.nii.ac.jp/d/r/20010704.ja.htm


(追記9/25 2013)

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>最近の学会や雑誌には、温暖化に関して、まじめに問題にしようという雰囲気は全く感じられない。流れに乗ることに、汲々としている人が多いように見える。こういういい加減な数字が、学会誌に載る恐れもないとは言えないと思うからである。

>かつて、水俣病や自動車公害を告発する学者を、大学でつるし上げ、追い出し、学会誌に出される論文をすべて掲載不可とした、それと同じようなことをしていないか。
http://homepage3.nifty.com/junko-nakanishi/zak501_505.html


>どうもこの動きを見ていると、間違いではなく、意図的なもののように思えてくる。これから、何か文章を書くとき、IPCCの報告書に拠れば、みたいなことは危なくて書けないと思うようになった。
http://homepage3.nifty.com/junko-nakanishi/zak506_510.html#506-B




(書きかけ)




「IPCC クライメートゲート(ぐぐる先生)


「地球温暖化詐欺」(ぐぐる先生)





「温室効果ガス 二酸化炭素 地球温暖化 人為説」(ぐぐる先生)






スペイン元首相「気候変動への取り組みは新興宗教のようなもの」



【スペイン】アスナール元首相…「地球温暖化対策とは、『世界の終末が来る!』と称して経済危機下でも金を集める新興宗教のようなもの」
http://anchorage.2ch.net/test/read.cgi/liveplus/1224759296/




クライメートゲート に関するツイート







(2013年9月17日)

83 件のコメント:

  1. [気候変動パネルIPCC 先駆者たち]<1>1988年「温暖化」証言の衝撃…公聴会

     国連の「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」が、地球温暖化に関する科学的予測をまとめた最新版の報告書が9月に公表される。国際社会が懸命に取り組む温暖化対策。その論拠とされる報告をまとめる国際組織なのに、その実像はほとんど知られていない。科学が政策を後押しするユニークな取り組みが始まって今年で25年。IPCCが誕生した時代をたどりながら、科学と社会の関係も考えてみたい。
    米科学者「99%確実に人為的」


    ◆記録的猛暑

     科学者の研究対象に過ぎなかった地球温暖化問題はいつ、表舞台に躍り出たのか。時は1988年にさかのぼる。

     米航空宇宙局(NASA)ゴダード宇宙研究所のジェームズ・ハンセン(72)(現コロンビア大)と、米海洋大気局(NOAA)の真鍋淑郎(81)(現プリンストン大)は6月23日、米議会の公聴会で上院議員たちと向き合っていた。

     この夏、米国は記録的な猛暑。公聴会が開かれたワシントンもうだるような暑さだった。質問は穀倉地帯を襲った大干ばつと地球温暖化の関係に集中した。

     「地球は今年、観測記録がある他のどの時期よりも暖かい。温暖化の影響はすでに、熱波のような極端な気象現象を引き起こすほど大きくなっている」

     トップで証言に臨んだハンセンは冒頭から、核心に迫る結論をたたみかけた。

     「過去30年の昇温傾向が自然変動の範囲にある可能性はほとんどない。99%の確率で、温室効果ガスの排出に伴う人為的な地球温暖化の影響だ」

     干ばつについても、「特定の干ばつと温暖化を結びつけることはできない」と前置きしつつ、「米国の南東部や中西部で熱波や干ばつが起こりやすくなっている」と踏み込んだ。

    ◆米紙 大々的に

     IPCCの設立は公聴会の5か月後。研究はまだ発展途上だった。人為的温暖化の発生をIPCCが「ほぼ確実」と認めたのは2007年。初代IPCC議長を務めたバート・ボリン(1925~2007年)は、この年出版された著書に「ハンセン証言について科学者の間で激論が続いたが、大半は内容に強く反対していた」と記している。

     しかしハンセンの隣で「99%証言」を聞いた真鍋は当時、「表現が少し強すぎるかな」と感じたものの、大きな違和感は抱かなかった。ハンセンと同様、真鍋も人為的温暖化の発生を確信していたからだ。

     温室効果ガスが増えると地球はどう変わるか。一つしかない地球を実験台にはできない。真鍋は1950年代末に米国に渡り、大型コンピューターで「模擬地球」を再現する予測手法を確立したパイオニア。真鍋に続いてハンセンもコンピューター予測に挑み、成果を競い合った。

     ハンセンの後、証言席に座った真鍋は「今年の干ばつを温暖化が引き起こしたとは言い切れない」と言葉を選びながら、「温暖化に伴い、内陸の広い範囲で夏の乾燥が進む。厳しい乾燥の発生頻度も今後、より頻繁になる」と語った。

     翌日の新聞各紙は証言を大きく取り上げたが、主役は「99%証言」で強いメッセージを発したハンセンだった。ニューヨーク・タイムズは「地球温暖化は始まっている」と見出しを掲げ、1面で報じた。報道をきっかけに、温暖化への関心は世界中で高まった。

    ◆政治の波へ

     機は熟していた。IPCC設立に向け、科学者が動いたのは、公聴会が開かれる3年前の85年。初めてオーストリアに集まった研究者たちは「人類は経験したことのない大幅な気温上昇に見舞われる可能性がある」と警告した。IPCC設立が打ち出されたのは、各国の政府代表も加わった2年後の会議。両会議に参加した真鍋は「科学と政治が歩み寄り、一つの方向に動き出した」と振り返る。

     温暖化対策は各国の経済活動を縛る。温暖化問題はこの時から、国家の利害がぶつかり合う国際政治の大波にのみ込まれていく。

    ◆強まる表現

     IPCCの報告書は更新されるたび、温暖化の危機の表現を強めてきた。真鍋を含む多くの科学者が、その結論を支持するが、これを捏造(ねつぞう)、過大評価と批判する専門家もいる。ハンセンのように過小評価とする意見もある。

     米国は今夏、25年前と同じような猛暑。ハンセンは「温暖化の証拠は当時よりはるかに明確。若い世代のために行動すべき時だ」と語る。温暖化予測には不確実性がつきまとう。論争は続いている。(敬称略)

    IPCCとは…参加195か国、任務は研究の評価など

     IPCCは1988年、世界気象機関(WMO)と国連環境計画(UNEP)が母体となって設立された。「Intergovernmental Panel on Climate Change」の頭文字からIPCCと呼ばれる。参加国は現在195。事務局はスイスにある。

     人間活動による温暖化が起きていることの確からしさや将来予測を評価する第1作業部会、温暖化が暮らしや自然環境に与える影響を評価する第2作業部会、影響の緩和や被害の防止策の選択肢を評価する第3作業部会に分かれ、それぞれが報告書をまとめる。

     報告書は過去に4回公表されており、最新版の第5次は、第1作業部会が今年9月、第2、第3作業部会がそれぞれ来年3月と4月に公表する予定だ。

     専門家がまず報告書の原案を作成。これを3段階にわたってチェック(査読)し、修正した最終案を各部会の総会で採択する。査読は専門家と各国政府が行う。

     総会には専門家と各国政府の政策担当者が参加、報告書を一文ずつ吟味する過程で激論になることもある。2007年の第4次報告書を採択した第1作業部会の総会は「地球温暖化は人間活動でもたらされた可能性がかなり高い」という文言をめぐって紛糾した。

     中国政府の代表が「不確実性がある。『かなり』には同意できない」と強硬に主張。報告書の脚注に不確実性について、簡単に記載することで決着した。

     第5次報告書の執筆者は831人で、このうち日本人は30人。各国政府から推薦された約3000人の候補者から、IPCCのビューロー(議長団)が選んだ。こうした選考を経ない専門家も、査読には参加できる。第4次報告書の査読には2500人以上の専門家が参加。寄せられたコメントは、第1作業部会だけで、政府の分を含め3万件を超えた。

     IPCCの任務は、世界中の科学者が発表した研究成果を評価し、各国の政策担当者に伝えること。IPCC自身が新たな研究を行うわけではない。31人いるビューローメンバーの一人に選ばれている地球環境戦略研究機関の平石尹彦(たかひこ)参与(68)は「IPCCは政治的には中立。科学的な議論はするが、特定の政策を推奨することはない」と説明している。 (次回の掲載は18日。この連載は編集委員 佐藤淳、科学部 木村達矢が担当します)

    2013年8月11日3時2分 読売新聞
    http://premium.yomiuri.co.jp/pc/#!/news_20130810-118-OYTPT00814/

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  2. [気候変動パネルIPCC 先駆者たち]<2>フロン削減…科学が開いた突破口

     「何百万もの命が危険にさらされていることから目を背けるわけにはいかない」。国連環境計画(UNEP)事務局長のムスタファ・トルバ(90)は語りかけた。カナダのモントリオール中心部にある会議場。目の前には歴史的交渉をやり遂げ、興奮さめやらぬ60か国の政府代表がいた。1988年に気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が設立される前年、9月16日のことである。

     有害な紫外線を防ぐオゾン層を壊す化学物質のフロン。その削減を目指す国際的取り組みは温暖化対策の先行事例だ。フロンの生産を規制するモントリオール議定書を採択した会議で、トルバは科学に触れ、「知的役割のほか、倫理的役割もあることを思い起こさせてくれた」と感謝した。

     フロン削減をうたう条約は85年3月に採択されていたが、具体的な削減目標を定める議定書には尻込みする国が多かった。代替手段が見つからず、オゾン層の破壊を疑問視する懐疑論もあったからだ。

     科学が突破口を開いた。条約採択の2か月後、「南極オゾンの大規模な消失」と題した論文が英科学誌「ネイチャー」に載る。南極上空のオゾン層が極端に薄くなる「オゾンホール」を初めて観測した英国南極観測局の報告だった。

     「主に北半球で使われているのに、南極で異変を起こすとは」。観測データを解析したジョナサン・シャンクリン(59)=写真右=にも予想外だったが、データは、当時の南極のオゾンが60年代より4割減っていることを明確に示していた。

     次に必要なのは科学者の「合意」だった。世界の科学者約150人が参加する大規模な研究評価プロジェクトが動きだし、86年には報告書がまとまった。既存の研究を専門家自身が評価して報告書にまとめ、政策作りに役立てる――。IPCCに引き継がれた方式の原点がここにある。

     主導したのは米国。紫外線の増加で特に白人の皮膚がんは増える。米国は70年代から、フロンの国内規制に乗り出していた。米航空宇宙局(NASA)、米海洋大気局(NOAA)、米連邦航空局(FAA)の3機関が、プロジェクトの中核部隊になった。

     「日本は欧米についていくだけ。乗り遅れていた」。環境庁(現環境省)から在米日本大使館に出向していた石野耕也(60)は振り返る。

     自動車と並ぶ輸出産業の稼ぎ頭だった電子部品の製造で、フロンは不純物の洗浄に欠かせなかった。日米貿易摩擦が最高潮の時期。通産省(現経産省)で初代フロン担当室長を務めた小島直樹(62)は「米国が熱心なのは、日本つぶしが目的ではないかとの陰謀論もあった」と語った。
    議定書採択へ

     企業は必死だった。フロン製造トップの米デュポン社はモントリオール議定書の採択前に規制受け入れを表明。セイコーエプソン(本社・長野県)は議定書採択の翌年、フロン全廃を世界で初めて宣言した。

     主力のプリンター、時計、半導体の製造で年1400トンのフロンを使っていた。議定書は約10年間で使用半減を求めていたが、宣言の達成期限は6年後。結果的には達成できたが、技術開発を担当した伊藤周二(53)は「達成できなくても、生産ラインは止められない。万一に備え、こっそりフロンを買いだめする部門もあった」と打ち明けた。

     フロン削減は前進したが、シャンクリンは「オゾン層の問題では、環境の小さな変化が短期間で大きな変化を起こすことを学んだが、温暖化では教訓が生かされていない」と嘆く。

     経済活動全般を縛る温室効果ガスの削減交渉は、フロン削減よりはるかに複雑。IPCCが繰り返し警告しても、交渉は遅々として進んでいない。(次回掲載は25日。敬称略)

    2013年8月18日3時1分 読売新聞
    http://premium.yomiuri.co.jp/pc/#!/news_20130817-118-OYTPT00835/
     

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  3. [気候変動パネルIPCC 先駆者たち]<3>「核の冬」の脅威…悲劇の未来図 核軍縮促す

     気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の設立に向けて科学者が動き始めたころ、もう一つの地球規模の課題と格闘する科学者たちがいた。大量の核兵器を持つ米ソがにらみ合う東西冷戦の末期。世界は核戦争後の「核の冬」の脅威に気づき始めていた。

     「5000メガトン級の核攻撃を想定したシナリオでは、爆発後数週間で気温が氷点下数十度に下がる。この状態は数週間たたないと元に戻らない」

     IPCCの設立を5年後に控えた1983年11月に米ソの科学者が開いた異例の会議。米コーネル大のカール・セーガン(1934~96年)はスライドで折れ線グラフを示しながら、淡々と報告した。ワシントンとモスクワを衛星回線でつなぎ、米ソの研究者による報告が続いた。セーガンの共同研究者で、後に米カリフォルニア大教授となるリチャード・ターコ(70)は「別々に行ってきた研究なのに、結果はほとんど一致していた」と振り返る。

     核戦争で巻き上げられた大量のチリとススが太陽光を遮り、地上は闇と寒気に支配される――。会議の翌月、セーガンとターコは3人の米専門家とともに、決定版とも言える研究成果を米科学誌「サイエンス」に発表した。

     5人の頭文字から「TTAPS(ティータップス)」と呼ばれる研究チームの報告は、宇宙を分かりやすく解説したテレビ番組「コスモス」に出演したセーガンの知名度もあって、日本でも反響を呼んだ。

         ◎

     当時、気象庁気象研究所の室長だった増田善信(89)は論文を読み、30年近く前に取り組んだ研究を思い出した。太平洋のビキニ環礁で54年3月に米国が行った水爆実験。この年の夏、日本は全国的に低温傾向で、各地で季節はずれの霜が降った。増田とその同僚たちは、大量の灰をまき散らす水爆の影響を疑った。

     注目したのは大規模な火山噴火の後に起きる低温。各地の気温(平均気温との差)を調べた結果、水爆実験の後の北半球は一部を除き、大きな火山噴火後とよく似た分布を示していた。

     核兵器と異常気象の関係を捉えた先駆的研究は、水爆実験の5か月後に発表されたが、翌年、米英の研究者が相次いで影響を否定する論文を公表する。論争は長くは続かず、核爆発の気候への影響を探る研究は下火になった。

         ◎

     一部の国が引き起こす核戦争でも、影響は地球全体に及ぶ。地球温暖化も同じだ。温室効果ガスの排出が多い国も少ない国も、影響からは逃れられない。80年代に科学者たちが相次いで示した二つの悲劇的な未来図は、地球が運命共同体であることを世界に強く印象づけ、問題の解決に向けた行動を促した。

     増田は「被爆国の研究者として、研究を続けるべきだった」と自責の言葉を口にした。コンピューターによる天気予報の精度改善に取り組むため、核と気象の研究から離れざるを得なかったからだ。退官後は核戦争と地球温暖化を論じる著作を次々と出版している。

     セーガンの死後も「核の冬」の研究を続けたターコはこう訴える。

     「我々の研究が核軍縮の進展を促したと信じているが、核戦争の問題が解決したと考えるのは危険な幻想に過ぎない」

     スウェーデンのストックホルム国際平和研究所(SIPRI)によると、米露を中心に世界が保有している核弾頭は1万7265発。「核の冬」を引き起こすのに十分な核兵器を人類はまだ所持している。(次回掲載は9月1日。敬称略)

    2013年8月25日3時1分 読売新聞
    http://premium.yomiuri.co.jp/pc/#!/news_20130824-118-OYTPT00781/
     

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  4. [気候変動パネルIPCC 先駆者たち]<4>最先端コンピューター…計算力向上へ競う国家 

    地球を再現 正確な予測へ

     地球は本当に人間活動の影響で温暖化しているのか――。1988年11月に設立された気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の最大の使命は、この難問に答えることだった。

     大役を担う第1作業部会の検討作業が始まったのは、設立2か月後の89年1月。英国南部オックスフォード近郊の古びた館に約100人の研究者と政府関係者が集まった。

     気象庁気象研究所室長だった時岡達志(68)(現海洋研究開発機構)は、ここで急ごしらえの論文の草稿を参加者に配って回った。大気中の二酸化炭素(CO2)が2倍になると、降水量はどう変わるのか。これを大型コンピューターの想定実験で予測した研究は、IPCCへの参加を命じられてから、半年余りで仕上げたものだった。

     「日本には研究者が誰一人いなかったが、何もやっていないとはとても言えない。独力で作るしかなかった」と、時岡は当時の苦しい心境を明かした。

     ◇米がリード

     当時、温暖化の将来予測をリードしていたのは米国。強さを支えたのは、最先端のコンピューターだった。

     地球温暖化に伴う複雑な変化を探る研究には大型コンピューターが欠かせない。先頭を走る米海洋大気局(NOAA)の地球流体力学研究所(GFDL)には、すでに30年以上の研究実績があった。

     GFDLは56年にIBM初の商用大型コンピューター「701」を導入。機種は数年ごとに更新され、80年代には計算能力を「701」の3000倍に高めていた。これをフル回転させ、成果を上げた渡米組の真鍋淑郎(81)(現プリンストン大)は「世界一ぜいたくにコンピューターを使った男」と呼ばれた。

     ◇面目保った日本

     GFDLに「701」が導入された3年後、日本の気象庁にも、その後継機が導入され、時岡の時代には米国製と肩を並べる国産機もあった。ただ、その使い道の主眼はあくまで天気予報の精度向上。温暖化の研究に振り向けられる計算時間は限られたものだった。

     短時間で終えるため、時岡と共同研究者の野田彰(64)(現海洋機構)は思い切って、手法を単純化した。海は海流を無視して厚さ50メートルの水の塊とみなした。CO2濃度の上昇の仕方も、米国が少しずつ増加する方法を採用したのに対し、一気に2倍に増やし計算量を節約した。

     英国での初会合から1年半後の90年5月。IPCC第1作業部会の初めての報告書はロンドン近郊で開かれた総会で採択された。盛り込まれた温暖化の将来予測22件のうち、米国が12件、英国は6件を占めた。日本は1件。CO2濃度が倍増すると、集中豪雨の危険性が高まることを初めて示した時岡らの研究により、日本はかろうじて面目を保った。

     ◇英は首相主導

     「先進的な計算機と最高の科学者で、温暖化の予測はもっと正確にできるようになるでしょう」

     総会の翌日、時岡は英国首相マーガレット・サッチャーの演説に耳を傾けていた。首相の肝いりでロンドン近郊に新設された温暖化の研究機関「ハドレーセンター」の開所式。肩の荷を下ろしたばかりの時岡は、温暖化の危機について熱く語るリーダーの姿に感銘を受けた。

     第1作業部会の議長を務めた英国の気象学者ジョン・ホートン(81)は「サッチャーは、オックスフォード大で化学を学んだ科学者。温暖化の危険性を十分理解し、英国がリーダーになることを望んだ」と振り返った。

     第1次報告書は、対策をとらなければ地球の平均気温は10年当たり0・3度上昇すると予測したが、原因が人間活動によるものかどうかは明確にできなかった。

     日本は2002年に当時世界最速のスーパーコンピューター「地球シミュレータ」を導入。主要な研究機関が共同利用する態勢を整え、世界の温暖化研究と肩を並べた。

     IPCCが人間活動による温暖化の可能性を「かなり高い」と認めたのは07年。日本はこの結論を盛り込んだ第4次報告書に、地球シミュレータを駆使した研究で大きく貢献している。(次回掲載は8日。敬称略)

     
    情報広く提供する責務…パチャウリ議長

     IPCCの活動について、2002年から3代目議長を務めているラジェンドラ・パチャウリ氏(73)に話を聞いた。

     ――第1作業部会の最新版の報告書が9月にまとまる。注目点は?

     「第4次報告書の発表後、6年間で多くの研究成果が出ている。特に大気中の微粒子と雲との関係については新たな章を設けた。全体的に前回より詳しく、包括的な内容になる予定だ」

     ――今年5月、米海洋大気局が、ハワイ・マウナロアのCO2の濃度が400ppmを超えたと発表した。11月には気候変動枠組み条約第19回締約国会議(COP19)もある。

     「第4次報告書は、産業革命前からの気温上昇を2・0~2・4度以内に最小のコストで抑えるため、CO2排出量の増加を15年までに抑えなければならないことを示した。COPでは、われわれが9月に発表する最新の報告書を踏まえた議論が行われると確信している。最悪の結果を考慮に入れ、対策に向けて各国が努力するよう期待している」

     ――東日本大震災と福島第一原発の事故は、科学と科学者に対する信頼も失墜させた。国民と科学者との関係はどうあるべきか。

     「非常に不運な自然災害であって、それに対して科学者を非難することはできないと思う。しかし、気候変動に関していえば、IPCCや科学者は、情報を広く提供する責務がある」
    (6月29日、沖縄県内で)

    2013年9月1日3時2分 読売新聞
    http://premium.yomiuri.co.jp/pc/#!/news_20130831-118-OYTPT00836/
     

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  5. [気候変動パネルIPCC 先駆者たち]<5>危機感の隔たり…旧ソ連 温暖化「歓迎論」

     気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の設立から半年後の1989年5月に開かれた第2作業部会の会合。モスクワ中心部の重厚な高層ホテルの一室で、熱い論争が続いていた。

     論争に火をつけたのは、当時のソ連で最高峰のレーニン賞も手にした気候学者の重鎮ミハイル・ブディコ(1920~2001年)。相手は米海洋大気局(NOAA)のアラン・ヘクト(69)だった。幅が1メートルもないテーブルを挟んで、議論は2時間近く続いた。

     「温暖化は寒冷な高緯度地域の人々には有利に働く。だから温暖化を阻止する対策は講じるべきではない」

     ブディコは持論を繰り返して譲らず、欧米の研究者を困惑させた。温暖化の進行の度合いや影響を科学的に評価し、各国の政策担当者に伝えるのがIPCCの役割。ブディコの主張は、自国に有利な結論を導こうとする政治的な発言と受け取られた。

         ◇

     ヘクトによると、欧米では現在も広く使われている大型コンピューターによる温暖化の将来予測がすでに主流になっていた。だが、ブディコは土の中の花粉の化石から過去の温暖な時代の植生を予測し、これを将来予測に応用する「古気候による推定」にこだわった。

     現在は寒冷で永久凍土が広がっているような地域にも、かつては多様な動植物が広い範囲に進出していた時代があった――。古気候による分析を根拠に、ブディコは「地球温暖化が進めば、ソ連の農業生産は増え、ソ連にとっても、世界経済にとってもプラスになる」と主張したのだ。

     加速する温暖化が最終的には地球全体の気候システムを狂わせるとしても、悪影響の程度や、影響が生じる時期は、それぞれの国が置かれた地理的条件や経済力によって違ってくる。農業の適地が増える北の国々とは対照的に、アフリカの乾燥地帯でさらに乾燥が進めば、人々の暮らしは立ち行かない。

     一方で、洪水に備えるダム、高潮を防ぐ防潮堤を作る資金力がある先進国は、貧しい途上国より被害を減らすことができる。ブディコの主張は図らずも、IPCCに参加する科学者の間にも、温暖化への危機感に大きな違いがあることを浮き彫りにした。

         ◇

     当時、国立公害研究所にいて、モスクワで2人の論争に立ち会った地球環境戦略研究機関研究顧問の西岡秀三(73)は会合の4か月後、茨城県つくば市で開かれた第2作業部会の分科会で聞いた切実な訴えを今でも覚えている。

     「同じ温暖化の影響とはいえ、先進国のスキー場が被る損害と、我々にとって死活問題の洪水被害を同列にして、報告書に盛り込むのはやめてほしい」

     バングラデシュから参加した研究者サイド・サフィラー(67)の発言だった。バングラデシュは当時、1987、88年の2年連続で大洪水に見舞われたばかり。災害研究機関の設立準備に奔走する合間を縫って、分科会に参加したサフィラーは「次元の違う話を一緒にした無神経な議論に驚かされた」と振り返った。

     IPCCの第1次報告書はスウェーデンのスンツバルで90年8月に開かれた第4回総会で採択された。科学者と政策担当者が手探りで進めた共同作業は、最後までもめ続けた。

     ヘクトは「古気候に基づく将来予測がIPCCの報告書で重視されなかったことに、ブディコは最後まで不満だった。ソ連側の妥協を促すため、われわれは米ソがIPCCとは別の作業部会を組織し、そこで古気候による予測を検討することを約束した」と、採択の舞台裏を明かした。

     北極海と接するロシアではいま、温暖化で海氷が減少していることを逆手にとった新規プロジェクトが目白押しだ。新たな天然資源の開発や、これまで氷に阻まれて通れなかった航路の開設……。温暖化の危機が叫ばれる一方で、温暖化を有利に利用する動きも加速している。(次回の掲載は15日。敬称略)

    2013年9月8日3時1分 読売新聞
    http://premium.yomiuri.co.jp/pc/#!/news_20130907-118-OYTPT00835
     

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  6. 「気温4.8度 海面81センチ上昇」…今世紀末 熱波、世界で増加 IPCC報告原案

     地球温暖化について最新の科学的知見をまとめる国連の「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」第1作業部会の最新の報告書の原案が、明らかになった。人間活動による温暖化が引き起こした熱波が一部で増えている可能性が高いと指摘、具体的な地域としてアジア、欧州、豪州を挙げた。今世紀末の世界の平均気温は最大4・8度上昇し、海面も最大81センチ上がると予測している。

     報告書の取りまとめは今回で5回目。2020年以降の温暖化対策の枠組みを決める国際交渉の土台となるもので、今月下旬にスウェーデンで開かれる部会では政策決定者向けの要約版を協議し、内容が修正された後、公表される。環境省は13日、報告書を日本の温室効果ガスの削減目標の検討や国内対策に生かす方策を話し合う委員会の初会合を開き、検討を始めた。

     原案によると、地球の平均気温は20世紀に入ってから112年間で0・89度上昇した。100年当たり0・79度の上昇で、2007年に公表された第4次報告書の0・74度より上昇幅が広がっている。20世紀半ば以降の平均気温の上昇の半分以上は人間活動が引き起こした可能性が極めて高く、その確率を「95%以上」と評価。前回報告書の「90%以上」より引き上げた。

     温暖化を招く二酸化炭素(CO2)の排出量が、今後どれだけ増えるかによって、将来の平均気温は変わる。IPCCは大型コンピューターを使った想定実験で四つのシナリオを提示。各シナリオごとに、今世紀末の2081~2100年の平均気温が、2005年までの20年間の平均気温と比べ、どれだけ上昇するかを予測した。最もCO2濃度が低いシナリオでは、最大1・7度の上昇に抑えられるが、CO2の削減対策を取らず、濃度が上がり続けるシナリオでは最大4・8度上がると予測している。

     温暖化に伴い、海面は20世紀に入ってから、19センチ上昇している。濃度が低い低位シナリオでは今世紀末に最大54センチ、高位シナリオでは最大81センチ上昇すると予測した。温暖化でグリーンランドや南極の氷が海に流れ込む影響を考慮に入れたため、前回報告書の最大59センチより上昇幅が拡大した。環境省によると、海面が65センチ上昇すると、日本の砂浜の8割が消失するという。

     原案は1950年以降、アジア、欧州、豪州で熱波の期間と頻度が増えている可能性が高く、その原因が人間活動にある可能性が高いとした。今世紀末には世界中のほとんどの地域で熱波や豪雨が増える可能性が非常に高いと分析している。

     北極海の海氷面積は1979年から減少傾向にあり、昨年夏には観測史上最小を記録した。原案は、CO2の削減対策を取らなければ、今世紀半ばまでに夏の海氷は消滅する可能性が高いと指摘している。

     IPCC 世界気象機関と国連環境計画が1988年に設立した国連組織。195か国が参加し、事務局はスイスにある。三つの作業部会に分かれ、90年の第1次報告書以来、5~6年ごとに報告書を発表している。研究者だけでなく、各国政府の代表も参加する作業部会の総会で承認されるため、温暖化対策を話し合う国際交渉に大きな影響を与える。最新の第1作業部会の報告書の作成には、世界から850人以上の研究者が参加している。2007年には、元米副大統領のアル・ゴア氏とともにノーベル平和賞を受賞した。

    2013年9月14日3時3分 読売新聞
    http://premium.yomiuri.co.jp/pc/#!/news_20130914-118-OYTPT00126
     

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  7. [ECO・ここが聞きたい]気候変動研究 日本も前進…海洋研究開発機構・特任上席研究員 松野太郎さん 78

     気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の第5次評価報告書が今月から発表されます。日本は報告書にどう貢献し、どのような内容になりますか。

         ◇

     IPCCは気候変動を専門とする科学者らの組織で、将来の気温や海面上昇、それによってもたらされる影響などを予測している。日本からも30人が執筆者として選ばれている。

     かつて日本の気候変動研究は欧米と比べはるかに遅れていた。だが第4次報告書(2007年)に向けて計算能力を1000倍に高めた「地球シミュレーター」を整備。地球温暖化や災害発生を細かく予測し、報告書作成に大きく貢献した。

     第5次報告書では、第4次で最大59センチとされた今世紀末の海面上昇がより深刻化するとしている。グリーンランドの氷床が予測よりも早く解けていることが原因だ。台風は数が減るが、風雨はより強くなる。気温や海面上昇は最大値だけでなく、現実的な値にも注目し、今後の気候変動への対策を考える必要がある。

     今年は猛暑で局所的な大雨が頻発している。日本の気候が熱帯化してあらゆる場所で大気が対流し、雲が作られているのが原因だ。今後、冷夏の年があったとしても、全体の傾向を見れば気候変動の影響で猛暑になっているといえる。

     こうした状況を食い止めるためには、温室効果ガスの濃度の安定化をひたすら追求するのは不適当で、排出ゼロを目指していくのが得策である。

        ◇

     専門は気象学。2010年に世界気象機関IMO賞を日本人で初めて受賞。13年に旭硝子財団のブループラネット賞に輝いた。IPCC第4次評価報告書の作成にも参加した。

    2013年9月16日3時2分 読売新聞
    http://premium.yomiuri.co.jp/pc/#!/news_20130915-118-OYTPT00703/
     

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  8. 「温室ガス25%減」見直し難航…COP19まで2か月
    2013年9月21日15時1分 読売新聞

     2020年に向けた新たな温室効果ガス削減の目標作りが難航している。安倍首相は民主党政権が掲げた「1990年比25%削減」を11月の気候変動枠組み条約第19回締約国会議(COP19)までに見直すよう指示したが、「見直し」が新しい数値目標を作ることを意味するかどうかを巡り、環境省と経済産業省が対立。COP19まで2か月を切る中、本格的な議論に入れない状況が続いている。

    環境省「新目標必要」×「数値示せぬ」経産省

    ◆審議会も延期

     「普通に考えれば、首相の指示は25%に代わる新目標を決めることだ」。環境省幹部はこう話し、石原環境相も今月13日の閣議後記者会見で、「(新目標が必要という)立場に変更はない」と強調した。これに対し、経産省は「25%目標を撤回すればよく、見直しは新目標を作ることを意味しない」と主張、新目標の設定に反発している。

     両省は夏頃から協議を続けているが妥協点が見いだせず、温室効果ガス削減について検討する有識者審議会を延期する事態にも発展した。審議会は11日に再開されたが、両省の認識の隔たりは解消されていない。

    ◆見えぬ原発比率

     経産省が目標設定に慎重な姿勢を見せているのは、将来の原発比率が見通せないからだ。火力発電所を今のようにフルに稼働させれば排出量は大幅に増え、原発を稼働させれば減る。経産省幹部は「原発比率が見通せなければ、削減目標は決められない」と話す。

     一方、環境省は国際的立場を懸念する。日本は京都議定書後の13年から20年の削減義務を負わず、自主目標を掲げることになっている。日本と同じ自主削減を進める米中印は既に正式な目標を表明しており、主要国で目標がないのは日本だけだ。先進国には来年1月までに目標達成に向けた進捗(しんちょく)状況を報告し、検証を受ける義務もある。

     環境省は、「このままでは日本は温暖化対策に後ろ向きだという印象を与え、日本の環境技術の輸出にも影響が出る可能性がある」として、経産省に対し、原発比率を10%や20%などと仮定して複数の目標を作ることを提案している。経産省は「それでは責任あるエネルギー政策が立てられない。再生可能エネルギーの導入量も明示できない」と否定的だ。

     COP19までに新たな削減目標を示すかどうかは安倍首相の判断に委ねられており、菅官房長官は12日の記者会見で「議論は開始されているが方針は決まっていない」と語った。
    http://premium.yomiuri.co.jp/pc/#!/news_20130921-118-OYTPT00537/
     

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  9. IPCC総会 温暖化の報告書を議論
    2013年9月24日 0時58分 NHKニュース

    国連のIPCC=気候変動に関する政府間パネルは、23日、スウェーデンで総会を開き、地球温暖化の現状や今後の予測について、最新の科学的見地から分析した報告書を取りまとめるため議論を始めました。

    IPCCの総会は、スウェーデンの首都ストックホルムで23日に始まり、110を超える国の政府代表や科学者が集まりました。
    開会にあたってIPCCのパチャウリ議長は、「報告書は温暖化の理解を深めるうえで新たな節目となる」と述べて、その意義を強調しました。
    総会は4日間の日程で行われ、各国の代表は、温暖化の現状や今後の予測について、最新の科学的見地から分析した報告書を取りまとめるため議論することになっています。
    IPCCの報告書は、1990年以降これまで4回公表され、各国の温暖化対策や国際交渉の場での科学的な根拠として利用されています。
    前回、2007年の報告書は、温暖化は人間の活動によって引き起こされた可能性が非常に高いと指摘し、世界的に温暖化対策への機運が高まりました。
    IPCCは、温暖化対策の必要性を国際社会に強く訴えたことが評価され、アメリカのゴア元副大統領と共にこの年のノーベル平和賞を受賞しています。
    今回の報告書は6年ぶりとなり、IPCCは27日に現地で記者会見を行って報告書を発表することにしています。
    http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130924/k10014745801000.html
     

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  10. 地球温暖化クルクル詐欺師どもめが…
     

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  11. >最近の学会や雑誌には、温暖化に関して、まじめに問題にしようという雰囲気は全く感じられない。流れに乗ることに、汲々としている人が多いように見える。こういういい加減な数字が、学会誌に載る恐れもないとは言えないと思うからである。

    >かつて、水俣病や自動車公害を告発する学者を、大学でつるし上げ、追い出し、学会誌に出される論文をすべて掲載不可とした、それと同じようなことをしていないか。

    http://homepage3.nifty.com/junko-nakanishi/zak501_505.html
    https://www.google.co.jp/search?q=%E4%B8%AD%E8%A5%BF%E6%BA%96%E5%AD%90+%EF%BC%A9%EF%BC%B0%EF%BC%A3%EF%BC%A3
     

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  12. >どうもこの動きを見ていると、間違いではなく、意図的なもののように思えてくる。これから、何か文章を書くとき、IPCCの報告書に拠れば、みたいなことは危なくて書けないと思うようになった。
    http://homepage3.nifty.com/junko-nakanishi/zak506_510.html#506-B
    https://www.google.co.jp/search?q=%E4%B8%AD%E8%A5%BF%E6%BA%96%E5%AD%90+IPCC%E3%81%AE%E5%A0%B1%E5%91%8A%E6%9B%B8
     

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  13. 環境省 報道発表資料

    平成22年7月8日
    英国イーストアングリア大学により設置された独立レビュー組織による「クライメートゲート事件」レビュー結果の公表について(お知らせ)

     英国イーストアングリア大学(UEA)に設置された独立レビュー組織(The Independent Climate Change Email Review)により、7日、昨年11月に同大学の気候研究ユニット(CRU)から流出した電子メールから生じた問題に関するレビュー結果をまとめた報告書が公表されましたのでお知らせします。
     昨年11月、英国イーストアングリア大学(UEA)の気候研究ユニット(CRU)から流出した電子メールから生じた問題流出に端を発するいわゆる「クライメートゲート事件」が報道され、データの捏造、IPCC評価報告書の結論への不信感などが報じられました。
     同大学(UEA)は、ミューア・ラッセル卿(元グラスゴー大学学長)を中心としたチームによる独立レビュー組織(The Independent Climate Change Email Review)を設置し、同組織は本件に関するレビューを実施し、7日、そのレビュー結果をまとめた報告書が公表されました。

     本レビューは、CRUの科学者への疑惑について、
    ・ 「科学者としての厳格さ、誠実さは疑いの余地がない。」
    ・ 「IPCC評価報告書の結論を蝕むような行為のいかなる証拠も見出さなかった。」
     と結論づけ、また一方でデータ処理の透明性や情報公開請求への対応の改善などについての提言を行いました。

     UEAは本レビュー結果を受けて、同日以下のとおり声明を発表しました。
    ・「コメントする人々が、この大変詳細な独立報告書が述べていることを正確に考慮し、最終的には陰謀説や世間に流布している虚実・誤解を捨て去ってくれることを望む。」
    ・「UEAの気候科学者および世界中の彼らの研究協力者(そのうちの幾人かはこの経験を通じ大変苦しんだ)の嫌疑が晴れたことが広く報道されることを望む。」
    ・「この報告書は、本学やより広い研究コミュニティおよびこの問題に関わるその他の組織による詳細な考慮を要する、多くの重要で有益な指摘をしている。」

    (添付資料)

    ・レビュー結果公表に関する受けたUEA声明(環境省仮訳、原文)
    ・ミューア・ラッセル卿による「The Independent Climate Change Email Review 」発表に関する会見録(原文)

    (参考)
    ・独立レビュー組織(The Independent Climate Change Email Review)によるレビュー報告書
     http://www.cce-review.org/index.php
    ・レビュー結果公表に関する受けたUEA声明(UEAホームページ)
     http://www.uea.ac.uk/mac/comm/media/press/CRUstatements/muirrussellreport

    添付資料
    レビュー結果公表に関する受けたUEA声明(環境省仮訳、原文)[PDF 279KB]
    ミューア・ラッセル卿による「The Independent Climate Change Email Review 」発表に関する会見録(原文)[PDF 257KB]

    連絡先

    環境省地球環境局総務課
    研究調査室
    代表:03-3581-3351
    室長:松澤 裕(内線6730)
    補佐:清野 達男(内線6731)
    係長:河里 太郎(内線6735)

    関連情報
    過去の報道発表資料
    2010.07.06
    オランダ環境評価庁によるIPCC第4次評価報告書第2作業部会報告書の地域ごとの影響を評価する章に関するレビュー結果公表について(お知らせ)
    2010.05.06
    気候変動に関する政府間パネル(IPCC)レビュー委員指名に関するインターアカデミーカウンシル(IAC)の報道発表について(お知らせ)
    2010.03.11
    気候変動に関する政府間パネル(IPCC)報告書作成プロセス及び手続のレビューの実施に関する国連・IPCC報道発表について(お知らせ)
    2010.03.01
    気候変動に関する政府間パネル(IPCC)による「IPCC手続のレビューのための独立委員会の設置に関するIPCC議長声明」について(お知らせ)

    http://www.env.go.jp/press/press.php?serial=12697
     

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  14. KAKEN - 茅 陽一(20010704
    http://kaken.nii.ac.jp/d/r/20010704.ja.htm
    https://www.google.co.jp/search?q=site:kaken.nii.ac.jp+%E8%8C%85%E9%99%BD%E4%B8%80

    1996年度 : 慶應義塾大学 / 政策・メディア科学研究科 / 教授
    1986年度~1995年度 : 東京大学 / 工学部 / 教授
    1985年度 : 東京大学 / 工 / 教授
     
    研究課題の研究分野
    代表 エネルギー学一般・原子力学 計測・制御工学

    研究課題のキーワード
    代表 ロードマネージメント 統合型エネルギーシステム 分散型エネルギーシステム エネルギーシステム 規模の経済性 太陽光発電 エネルギー政策 CO_2回収発電システム スケールメリット 民生エネルギー需要特性 CO_2深海貯留 エネルギーデータベース 二酸化炭素対策技術 核熱利用 パワーエレクトロニクス CO_2電解還元 抑制燃焼 CO_2分離回収 税制効果 太陽光発電システム エネルギー需要 コージェネレーションシステム 【Co_2】問題 エネルギー税 二酸化炭素回収 二酸化炭素問題 電気自動車 都市構造 需要分析 環境調和型都市 エネルギーカスケード利用 二酸化炭素排出低減 地域熱供給 コージェネレーション HYOROCAQB エネルギー選択 将来流体燃料 民生需要モデル 資本ストック再評価 一次産品モデル 電力託送 熱カスケード利用 電動機制御 メタノール オブザーバ 現代制御理論 エネルギー需要の経済構造 季時別料金 季時別料金制 都市エネルギーシステム OPEC ロバスト制御 ベクトル制御 資産再評価 サーボモータ マイコン制御 エネルギー産業協調 価格弾力性 運輸エネルギー HYDROCARB 状態推定 将来輸送用燃料 省エネルギー エネルギー価格 自家発電所運用 トランスログ型費用関数 エネルギー税制
     

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  15. 「茅方程式」(笑)
    https://www.google.co.jp/search?q=%E8%8C%85%E6%96%B9%E7%A8%8B%E5%BC%8F
     

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  16. 世界の平均気温予測など、27日に報告書公表へ
    2013年9月23日20時25分 読売新聞

     国連の「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」第1作業部会が23日、スウェーデンのストックホルムで始まった。

     地球温暖化による世界の平均気温や海面の上昇などの将来予測をまとめた第5次報告書を、26日の総会で承認し、27日に公表する予定だ。

     IPCCには地球温暖化の分析や影響などを検討する三つの作業部会があり、第1作業部会では、温暖化や異常気象の現状、将来などについて最新の科学的知見に基づき評価する。報告書は、温暖化対策を実行する各国の政府関係者らを交えた討論を経て承認される見込みで、人間の活動が温暖化に与える影響を、どう表現するかも注目される。
    http://premium.yomiuri.co.jp/pc/#!/news_20130923-118-OYT1T00549
     

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  17. ほぼすべての幻惑政策は、日本の医科様な科学成果をエビデンスの根幹としているようなもの(笑)。

    地球温暖化詐欺
    パンデミック詐欺
    清浄国詐欺
    ……
     

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  18. メタボ詐欺
    子宮がん予防HPVワクチン詐欺
    ……
     

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  19. BSE対策プリオン詐欺
    エイズHIV詐欺
    ……
     

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  20. アマゾンからイカすおすすめ本のメールがきてた(笑)。

    地球持続の技術 (岩波新書) [新書]
    小宮山 宏 (著)
    http://www.amazon.co.jp/gp/product/4004306477

    低炭素社会 (幻冬舎新書) [新書]
    小宮山 宏 (著)
    http://www.amazon.co.jp/gp/product/4344981650

    地球環境報告 (岩波新書) [新書]
    石 弘之 (著)
    http://www.amazon.co.jp/gp/product/4004300339

    低炭素社会のデザイン――ゼロ排出は可能か (岩波新書) [新書]
    西岡 秀三 (著)
    http://www.amazon.co.jp/gp/product/4004313244

     

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  21. あと何年すれば、こういう人たちが日本をダメにした張本人たちだと糾弾される時代になるのだろう…。

    それとも「野口英世」みたいに「偉人伝」化される?(笑)。
    https://www.google.co.jp/search?q=%E9%87%8E%E5%8F%A3%E8%8B%B1%E4%B8%96+%E8%AB%96%E6%96%87+%E6%8D%8F%E9%80%A0
     

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  22. 「温暖化、人が原因」95%…IPCC部会
    2013年9月27日12時7分 読売新聞

     【ストックホルム=石黒穣】国連の「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」第1作業部会は27日、石油や石炭を使う人間の活動が温暖化を引き起こしている可能性が「極めて高い(確率で95%以上)」とする内容を報告書に盛り込むことで合意した。

     報告書は世界の温暖化対策を検討する基礎になるもので、27日午前(日本時間同日夕)に正式発表する。

     各国政府の代表が参加する作業部会は23日からストックホルムで開かれ、最終日の27日、報告書の細部をめぐる詰めの協議を続けている。温暖化対策をとらない場合、今世紀末の世界平均気温が2005年までの20年間と比べ最大4・8度、海面は最大82センチ上昇すると予測。最大限の対策をとるシナリオでは、今世紀末で温度上昇が0・3~1・7度に抑制されるとした。
    http://premium.yomiuri.co.jp/pc/#!/news_20130927-118-OYT1T00379
     

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  23. クジラ(捕鯨)とキリスト教(隠れキリシタン)…
    https://www.google.co.jp/search?q=%E6%8D%95%E9%AF%A8+%E9%9A%A0%E3%82%8C%E3%82%AD%E3%83%AA%E3%82%B7%E3%82%BF%E3%83%B3
     

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  24. 捕鯨文化(笑)
    https://www.google.co.jp/search?q=%E6%8D%95%E9%AF%A8%E6%96%87%E5%8C%96+%E3%82%AD%E3%83%AA%E3%82%B9%E3%83%88%E6%95%99+%E9%95%B7%E5%B4%8E
     

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  25. 「ヴァチカン国際音楽祭 西本智実」
    https://www.google.co.jp/search?q=%E3%83%B4%E3%82%A1%E3%83%81%E3%82%AB%E3%83%B3%E5%9B%BD%E9%9A%9B%E9%9F%B3%E6%A5%BD%E7%A5%AD+%E8%A5%BF%E6%9C%AC%E6%99%BA%E5%AE%9F
     

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    1. 指揮者の西本智実さんに名誉賞 バチカンの財団、日本人初

       【ローマ共同】日本人女性指揮者の西本智実さん(44)が23日、バチカンで毎年開催される国際音楽祭の主催財団から「名誉賞」を贈られ、ローマで授賞式が行われた。財団によると、日本人が同賞を受賞するのは初めて。西本さんは24日と26日、サンピエトロ大聖堂などでオーケストラと合唱団を率いて公演する。

       西本さんは、曽祖母の出身地である長崎県平戸市・生月島の隠れキリシタンが伝承してきた祈りで、グレゴリオ聖歌を起源とする「オラショ」の研究に貢献したことなどが評価された。

      2014/10/23 19:31 【共同通信】
      http://www.47news.jp/CN/201410/CN2014102301001688.html

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    2. 西本智実さん、バチカンで「レクイエム」指揮
      2015年10月29日18時44分

       【ローマ=青木佐知子】バチカンのサンピエトロ大聖堂で28日に行われたミサで、指揮者の西本智実さん(45)がベルディの「レクイエム(鎮魂曲)」などを指揮した。

       ミサは、同日開幕した「バチカン国際音楽祭」の最初のプログラムで、日本からのオーケストラや合唱団も出演した。

       今年は広島と長崎の原爆投下から70年にあたることから、レクイエムは原爆の犠牲者にささげられた。西本さんは、「原爆投下で無念の死を遂げた方々のために、祈りをささげましょう」と述べた。長崎県平戸市で隠れキリシタンが伝承してきた祈りの民謡「オラショ」の元となったラテン語の聖歌も披露された。

       バチカンは核廃絶に力を入れており、今年8月、西本さんを通じて、法王代理の枢機卿による親書を広島、長崎の両市長に送った。
      http://premium.yomiuri.co.jp/pc/#!/news_20151029-118-OYT1T50135

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  26. 今世紀中に平均気温が最大4.8度上昇
    2013.9.28 11:10

     【ロンドン=内藤泰朗】国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)は27日、ストックホルムで、地球温暖化の将来予測として、今世紀中に地球の平均気温が最大4・8度、海面水位が同82センチ上昇するとした第1作業部会の第5次評価報告書をまとめた。6年ぶりの改訂で、1950年以降の気温上昇の原因の95%以上が人間の活動によるものであると言及した。

     海面水位上昇の予測は、当初の草案では最大で81センチとしていたが、82センチと1センチ増えた。また海に取り込まれる二酸化炭素(CO2)が増えることで、生態系への悪影響が懸念される海洋酸性化が進行するのはほぼ確実だと警鐘を鳴らした。
    http://sankei.jp.msn.com/life/news/130928/trd13092811110007-n1.htm
     

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  27. 「温暖化、人が原因」95%…IPCC部会
    2013年9月27日14時19分 読売新聞

     【ストックホルム=石黒穣】国連の「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」第1作業部会は27日、石油や石炭を使う人間の活動が温暖化を引き起こしている可能性が「極めて高い(確率で95%以上)」とする報告書をまとめた。

     報告書は世界の温暖化対策を検討する基礎になるもので、27日午前(日本時間同日夕)に正式発表する。

     各国政府の代表が参加する作業部会は23日からストックホルムで開かれ、文言を一部修正して協議を終えた。報告書は温暖化対策をとらない場合、今世紀末の世界平均気温が2005年までの20年間と比べ最大4・8度、海面は最大82センチ上昇すると予測。最大限の対策をとるシナリオでは今世紀末の温度上昇が0・3~1・7度に抑えられるとした。
    http://premium.yomiuri.co.jp/pc/#!/news_20130927-118-OYT1T00379
     

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  28. 「温暖化、人が原因」95% IPCC部会が報告書
    2013年9月27日15時2分 読売新聞

     【ストックホルム=石黒穣】国連の「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」第1作業部会は27日、石油や石炭を使う人間の活動が温暖化を引き起こしている可能性が「極めて高い(確率で95%以上)」とする報告書をまとめた。報告書は世界の温暖化対策を検討する基礎になるもので、27日午前(日本時間同日夕)に正式発表する。

     各国政府の代表が参加する作業部会は23日からストックホルムで開かれ、文言を一部修正して協議を終えた。報告書は温暖化対策をとらない場合、今世紀末の世界平均気温が2005年までの20年間と比べ最大4・8度、海面は最大82センチ上昇すると予測。最大限の対策をとるシナリオでは今世紀末の温度上昇が0・3~1・7度に抑えられるとした。

    CO2の削減へ責任逃れ許さず

     IPCCは今回、温暖化の原因が人間活動にある確率を「95%以上」と見積もり、25年前の設立以来、科学者たちが証明に苦心してきた最大の懸案に事実上、決着をつけた。二酸化炭素(CO2)を人類が今後、どれだけ排出するかで、地球の命運が決まる。国際社会は、削減対策を講じないという責任逃れの道をふさがれたと言っていい。

     IPCCは2007年の報告書で、世界の平均気温が2度以上上昇すると、人の健康や世界の食料生産に重大な影響が生じることを示した。4年前の主要国首脳会議で掲げられ、その後の温暖化交渉でも合意された「産業革命以降の平均気温の上昇を2度以内に抑える」という目標は、この警告を踏まえたものだ。

     「2度以内」の目標は、今回の報告書では最大限の対策をとるシナリオに該当する。目標達成には、化石燃料由来のCO2排出を今後10年程度で減少に転じさせなければならない。安全な原子力発電所や再生可能エネルギーの導入だけでは足りず、CO2を回収・貯留する新技術の導入も不可欠になる。

     極めて困難な道筋だが、実現のカギを握る国際交渉は停滞している。空洞化した京都議定書に次ぐ20年以降の削減枠組みには排出量を増やす中国、インドといった新興国の参加が欠かせない。決着の期限とされる15年を目指し、交渉を加速させる必要がある。

     (編集委員 佐藤淳)
    http://premium.yomiuri.co.jp/pc/#!/news_20130927-118-OYTPT00595
     

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  29. [解説スペシャル]「温暖化で異常気象」…IPCC報告書
    2013年9月28日3時2分 読売新聞

     世界各地で地球温暖化の影響が疑われる異常気象が続いている。国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が公表した最新の報告書は、温暖化の原因を人間活動とほぼ断定する一方、温暖化による異常気象が一部で、すでに現実化していることを示した。温暖化と異常気象はどう関係するのだろうか。

     (編集委員 佐藤淳、科学部 木村達矢、ストックホルム・石黒穣)

     「干ばつや洪水 既に日常的」

     報告書の公表を受け、環境省などが東京で開いた記者会見。報告書の執筆者の一人でもある東京大大気海洋研究所の木本昌秀副所長は、異常気象の増加と温暖化の関連について、「個別の極端現象を温暖化と直接結びつけるのは難しいが、温暖化という背景がないと説明しにくい」と語った。

     この夏、日本では高知県四万十市で8月に国内最高の41度を記録したのをはじめ、各地で最高気温が塗り替えられた。6~8月の平均気温は、西日本で平年より1・2度高く、1946年の統計開始以降、最高となった。東日本でも平年より1・1度高く、過去3番目の暑さだった。

     木本副所長は日本の記録的猛暑を振り返り、「めったにないことが続けて起こっている。気候が変わると、こういった現象が増える可能性があり、災害対策を講じてほしい」と話した。

     IPCCは今回、アジア、欧州、豪州で熱波の頻度や期間が20世紀半ば以降、増加している可能性が高いと指摘、その原因として、人間が石油や石炭を使うことで起きる温暖化を挙げた。今世紀末には世界中のほとんどの地域で、熱波や豪雨が増える可能性が非常に高いとも指摘している。

     5月に米国オクラホマでは大型の竜巻が発生。8月には中国、欧州、カナダで、日本と同じように、高温が続いた。中国やパキスタンでは大規模洪水も起きた。

     記者会見で世界気象機関のミシェル・ジャロー事務局長は「(報告書で検証した)多くの証拠が、気象パターンの変化や、熱波、干ばつ、洪水といった極端な気象現象の増加を示している。この10年の極端な気象は過去にはみられない。報告は、すでに日常的に起きている極端な気象現象が将来どう増えていくか予測を示した」と語った。

     気象庁の定義によると、異常気象とは、30年に1回程度しか起きない非常に暑い日や寒い日のこと。温暖化がなくても、異常気象は一定頻度で起こる。

     ある日の気温は、その月の平均気温に近い確率が高いが、平均より暑い日も寒い日もある。ところが、温暖化で全体の気温分布が暑い方に移動すると、より暑い日が増え、記録的に暑い日も増えるようになる。IPCCが指摘するのは異常気象の強さや頻度が大きくなる長期的な傾向のことで、今年の夏の猛暑といった個別の現象を示しているわけではない。

     
    スパコン駆使し結論 地球を再現

     温暖化が人間活動によるものかどうかは、温室効果ガス削減対策の必要性に直結する。IPCCは、人間活動が温暖化をもたらした可能性は「95%以上」だと指摘した。その基礎になったのは、過去の気温や降水量、温室効果ガスの濃度などのデータに基づき、スーパーコンピューターの中に実際の地球をそっくり再現する手法だ。

     この手法でスパコンの中に温室効果ガスが増える地球と、増えない地球を再現する。地球が過去に経験した気温上昇は、温室効果ガスを増やした地球でしか再現されない。これが人間活動が温暖化を招いている根拠だ。現在よりさらに温室効果ガスを増やしていくと、将来の地球が再現される。基本は日々の天気予報を導き出す方法と同じだが、はるかに長い期間の計算が必要なため、世界中の研究チームが開発した計算方法を比較して、精度を高めている。

     今回の報告書作成の過程では、IPCCの信頼回復にも重点が置かれた。前回報告が、「ヒマラヤの氷河が2035年までに消滅する」といった誤った内容を含んでいたことで、信頼を大きく失墜したためだ。

     IPCCは、報告書原案の段階でより多くの研究者が査読できるようにした。IPCCのラジェンドラ・パチャウリ議長は「今回の報告は、より慎重な検討を重ねてまとめた」と語り、信頼が取り戻せたとの認識を示した。

    http://premium.yomiuri.co.jp/pc/#!/news_20130927-118-OYTPT01151
     

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  30. アジア・欧州 熱波増加…IPCC報告書
    2013年9月28日3時3分 読売新聞

     【ストックホルム=石黒穣】国連の「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」は27日、ストックホルムで総会を開き、アジア、欧州、豪州ではすでに、地球温暖化による熱波が増えている可能性が高いとの内容を盛り込んだ第1作業部会の最新報告書を承認した。温暖化の影響がすでに現実化していることを示したもので、京都議定書の約束期間が終わる2020年以降の温暖化対策をめぐる国際交渉に影響を与えそうだ。

    温暖化原因 国際交渉に影響

     報告書は、温暖化を招く二酸化炭素(CO2)などの大気中濃度は、南極の氷に閉じこめられた大気の記録から読み取れる過去80万年間で前例のない水準まで増えていると指摘。第1作業部会のトーマス・ストッカー共同議長(スイス)は記者会見で「実質的で継続的な温室効果ガスの削減対策を行わなければならない」と強調した。

     異常気象については、アジアなどで増えている熱波に加え、温暖化が進行すると、世界のほぼ全域で極端な高温が増え、極端な低温は減ると指摘した。

     中緯度の大陸と、熱帯では雨の降り方が強力になり、その頻度も増える可能性が非常に高いと分析している。

     大気中にたまったCO2を吸収して海が酸性化していることにも言及した。海洋の酸性化は海洋生物への悪影響が指摘されている。

     今世紀の間、北極海の海氷は小さく、薄くなり続けるほか、北半球では春の積雪面積が減る可能性も非常に高いと分析した。1970年代以降、水深700メートルまでの海水温が上昇しており、90年代以降は3000メートルより深い層でも上昇が始まったことを初めて明らかにした。

     最近15年間、世界の平均気温の上昇が鈍っている現象が温暖化と矛盾する現象として注目されたが、IPCCは、これが自然変動の範囲内とする見方を示す一方、火山噴火や太陽活動の一時的な低下が影響している可能性も挙げた。
    http://premium.yomiuri.co.jp/pc/#!/news_20130928-118-OYTPT00126
     

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  31. 今世紀末 気温4.8度上昇か
    9月27日 17時44分

    世界各国の科学者で作る国連のIPCC=気候変動に関する政府間パネルは、最新の研究成果をまとめた報告書を6年ぶりに公表し、対策が行われなければ、今世紀末には世界の平均気温が最大で4.8度上昇すると予測し、温室効果ガスを大幅に削減する必要があると呼びかけました。

    IPCCは27日、スウェーデンのストックホルムで開かれた会合で、最新の研究成果に基づく地球温暖化の現状や予測についての報告書をまとめ、日本時間の27日午後、公表しました。
    地球温暖化の研究に関わる世界の科学者が集まった国連の組織、IPCCが、新たな報告書を公表するのは6年ぶりとなります。
    報告書では、温暖化が「人間の活動によって引き起こされた可能性が極めて高い」と指摘し、これまでで最も踏み込んだ表現で、温暖化が人為的に引き起こされていることを強調しました。
    そのうえで、対策が行われず、大気中の二酸化炭素の濃度が現在の2倍以上に上昇した場合、今世紀末には世界の平均気温が最大で4.8度上昇すると予測しています。
    また、海面水位は最大で82センチ上昇すると予測しているほか、南極の氷が大幅にとけた場合はさらに数十センチ上昇する可能性もあるとしています。
    そして21世紀の後半には、海面水位や気温の上昇とともに、大きな高潮や熱波などが増える可能性が非常に高いと指摘しました。
    会見でIPCCのパチャウリ議長は、「地球の気候を安定化させるためには、かなりの量の温室効果ガスを削減しなければならない。これが報告書のメッセージだ」と述べ、各国に対策の強化を呼びかけました。
    IPCCの報告書は国際的な温暖化対策の交渉に大きな影響を与えるもので、今回の報告書を受けて、各国の削減目標の見直しなどにつながるかどうか注目されます。

    温室効果ガス削減目標 原発事故で示せず

    地球温暖化の対策を巡って、日本は、東京電力福島第一原子力発電所の事故の影響で、温暖化の原因となっている温室効果ガスの削減目標を示すことができない状況が続いています。
    4年前の平成21年、当時の民主党政権は、温室効果ガスを2020年までに、1990年と比べて25%削減する目標を、国際公約として表明しました。
    この目標を達成するために原発9基の新設などを想定していましたが、おととしの原発事故の影響で全国の原発の運転が停止したことなどから、目標が達成できない見通しになり、ことし1月、安倍総理大臣は、11月に開かれる温暖化対策の国連の会議=COP19までに、この目標をゼロベースで見直すよう、関係する大臣に指示しました。
    しかし政府内では、COP19までに新たな削減目標を作るべきだとする環境省側と、現時点で目標を作るのは難しいとする経済産業省側で、意見の対立が続いています。
    新たな削減目標を策定するためには、二酸化炭素を排出しない原発などでどれだけの発電量を賄うのか、あらかじめ見積もる必要があります。
    環境省は、原発で賄われる発電量の割合を仮定して、幅を持たせてでも削減目標を作るべきだと主張しているのに対し、経済産業省は、原発の運転再開の見通しが立たないなかで、現時点で原発の発電量を仮定することができず、削減目標を作るのは難しいとして、いまだに具体的な協議に入ることができていません。
    しかし、先進国の中で削減目標を掲げていないのは日本だけで、日本がCOP19までに削減目標を示さなければ、各国から厳しい批判の声が上がることが予想されます。
    温暖化問題に詳しい茨城大学の三村信男教授は「今回の報告書では、人間の活動によって温暖化が引き起こされている可能性が高いことを、はっきりと示していると思う」と指摘したうえで、「環境が激変する世界はぜひとも避ける必要がある。国民に努力しようと呼びかけるためにも、日本政府は二酸化炭素の排出をどう減らしていくのかの目標を早く示す必要がある」と話していました。
    http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130927/k10014866361000.html

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  32. 温暖化 日本の海面上昇を予測
    9月27日 19時30分

    国連のIPCC=気候変動に関する政府間パネルが27日に明らかにした想定に基づいて、海面がどの程度上昇するのか、これから20年後にかけた詳細な予測結果が初めてまとまりました。
    日本付近は世界の中でも特に海面が上昇すると予測していて、専門家は浸水被害の危険性が高まると指摘しています。

    予測をまとめたのは気象庁気象研究所や東京大学などの研究グループです。
    IPCCが明らかにした報告書では、海水は温度が上がると体積が膨脹して海面が上昇するため、十分な温暖化対策を取らないと、2100年ごろまでに平均で水位が最大82センチ上昇するとしています。
    海面がどの程度上昇するのか、研究グループは、大気や海水などをスーパーコンピューターで再現し、20年後の2035年にかけた詳細な予測を初めて行いました。
    その結果、海面は上がったり下がったりを繰り返しながら長期的に上昇し、今から22年後の2035年には、1950年と比べて世界の平均でおよそ20センチ上昇することが分かりました。
    日本付近は、暖かい黒潮の影響で、世界の中でも特に海面が上昇すると予測しています。

    海面上昇したなかで台風に襲われたら

    海岸工学に詳しい早稲田大学の柴山知也教授は、今世紀末、日本周辺の海水温が2.1度高くなり、海面が20センチ上昇するという想定で、台風が首都圏を襲った場合をシミュレーションしました。
    台風は6年前に東京湾に接近した台風9号と同じ勢力で、このときは浸水被害はありませんでした。
    シミュレーションの結果、海水温が高いため、台風の勢力は衰えず、上陸後も風速20メートル前後の非常に強い風が吹く状態が8時間ほど続きました。
    東京湾の周辺では温暖化で上昇した水面が気圧の低下に伴って吸い上げられ、さらに風により吹き寄せられて、高潮と高波が発生します。
    海面は6年前と比べると1.5メートル程度高くなり、満潮時、横浜港では波が地盤の高さを2メートル余り上回って、工場地域や地下街など広い範囲で浸水します。
    台風の勢力が強まった場合は、東京都の沿岸など防潮堤が整備されている地域でも波が乗り越えて被害が発生するおそれもあるということです。
    柴山教授は「東京湾だけでなく、大阪湾や伊勢湾など日本の低地に共通する課題だ。海水温が最近高いことなどを考えると、20年後、30年後に同様の危険がないとは言えない。将来のリスクも考えて対策を検討する必要がある」と話しています。

    “猛烈な台風”毎年のように

    名古屋大学や気象研究所などの研究グループは、温暖化の影響を予測する国の研究プロジェクトで、日本周辺で発生する台風の発生数や規模が今世紀後半にどのように変化するのか、予測しました。
    予測は、スーパーコンピューターの中に日本周辺の地形や大気、海水などを2キロ四方で再現して、平均気温を2度上昇させて行いました。
    その結果、台風の発生数は、1970年代から90年代は年間平均17.7個に対し、2070年代から80年代は12.6個と少なくなりました。
    一方で、風速70メートルを超えるような猛烈な台風は14年間で12個と、ほぼ毎年のように発生し、この中には最大風速が80メートル以上と、これまでに経験したことのない予測もありました。
    風速70メートルを超えるような台風は、日本周辺で記録があるのは、昭和34年に死者・行方不明者が5000人以上に上った「伊勢湾台風」と、昭和33年に東海や関東地方を襲って1200人以上の死者・行方不明者が出た「狩野川台風」など、3例だけです。

    農産物などに大きな影響か

    IPCCが予測したように地球温暖化が進むと、国内でも大きな影響が出ると指摘されています。
    茨城県つくば市にある畜産草地研究所のグループは、気温が上昇すると豚の食欲が減退して太りにくくなり、夏場の豚肉の生産量の減少につながるという予測結果をまとめています。
    それによりますと、国内の平均気温が現在よりおよそ2度上がると予測されている今世紀半ば、北海道の一部や標高の高い山沿いを除いた大半の地域で豚が太りにくくなり、特に関東より西の地域では1日当たりの体重の増加量が15%から30%減って、豚肉の生産量が減少する可能性があるということです。
    また、農林水産省が温暖化が原因とみられる農作物や畜産物への影響を各都道府県に聞き取ってまとめたところ、去年は夏に高温が続いた影響で、コメの粒が白く濁って細くなる被害が29の府県で確認されたほか、11の県でりんごの実の色づきが悪く、品質の低下や収穫の遅れにつながったり、18の県で乳牛が夏バテして搾乳の量が低下したりしていて、その数はいずれも前の年より増えたということです。

    温暖化から作物を守れ

    こうしたなか、温暖化への対策も各地で始まっています。
    トマトは高温や強い日ざしが原因とみられる影響で、収穫量が少なくなったり実が裂けたりする被害が各地で確認されています。
    こうした被害を防ぐため、石川県の農林総合研究センターでは県内の織物メーカーやほかの自治体などと特殊なネットの開発を進めています。
    このネットはポリエステル製の糸などで編まれ、光合成に必要な光は遮断せず、被害の原因となる赤外線の量を減らすことができます。
    去年7月から9月にかけてトマトを栽培している農業用ハウスの天井部分にかぶせたところ、ハウス内の温度が通常のハウスより1度から2度ほど低くなって、茎や葉の成長も活発になったということです。
    その結果、通常のハウスより、正常な株の割合はおよそ1.6倍、品質がよいことなどを示す等級の「秀」と「優」の収穫量はおよそ1.4倍に、それぞれ増えたということです。
    http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130927/k10014870751000.html
     

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  33. まるで官学「大本営」総力戦の様相(笑)。

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  34. 温暖化 海面上昇や猛烈な台風も
    9月28日 5時18分

    世界の科学者で作る国連のIPCC=気候変動に関する政府間パネルは今世紀末には世界の平均気温が最大4.8度上昇するとした報告書を公表しました。
    温暖化が進むと特に日本近海で海面が上昇し、猛烈な台風が発生するという国の最新の研究もまとまり、対策が迫られています。

    6年ぶりとなったIPCCの報告書では、温暖化が「人間の活動によって引き起こされた可能性が極めて高い」として、これまでで最も踏み込んだ表現で温暖化が人為的に引き起こされていることを強調しました。
    そのうえで、大気中の二酸化炭素の濃度が現在の2倍以上に上昇した場合、今世紀末には世界の平均気温が最大4.8度上昇すると予測しました。
    国のプロジェクトで日本への影響を研究している気象庁気象研究所や東京大学などは、IPCCが今回明らかにした報告書の想定に基づいて、海面がどの程度上昇するのか近い将来の詳細な予測を初めて行いました。
    その結果、世界の海面は2035年には1950年と比べて平均でおよそ20センチ上昇するとしています。
    シミュレーションからは日本付近は、暖かい黒潮の影響で世界の中でも特に上昇することが分かります。
    気象研究所の石井正好主任研究官は「上昇の効果はじわじわと現れるので実感しにくいが、台風による高潮などで低い土地の浸水の頻度が高まるため、注意が必要だ」と指摘しています。
    また、名古屋大学などの研究グループは、今世紀後半の2070年代から80年代に台風の発生数や規模が、どう変化するのか、シミュレーションしました。
    平均気温が2度上昇した場合、台風の数は少なくなるものの、伊勢湾台風のような風速70メートルを超える猛烈な台風が毎年のように発生し、中には最大風速が80メートル以上とこれまでに経験したことのない台風も含まれています。
    名古屋大学の坪木和久教授は「近い未来に台風の勢力が強まることを想定して高潮や暴風などの対策を今から進めることが必要だ」と話しています。
    http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130928/k10014877951000.html
     

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  35. 「温暖化は緊急事態」早急な対策必要
    9月28日 7時30分

    世界の平均気温が今世紀末には最大で4.8度上昇するという国連組織の報告書をまとめた責任者が27日、NHKの単独インタビューに応じ、「温暖化の進行はもはや緊急の事態だ」と述べて、早急な対策が必要だという考えを強調しました。

    世界各国の科学者で作る国連のIPCC=気候変動に関する政府間パネルは27日、スウェーデンで開いた会合のあと「温暖化は人間の活動によって引き起こされた可能性が極めて高い」と指摘したうえで、「このまま対策が取られない場合、今世紀末には世界の平均気温が最大で4.8度上昇する」という内容の報告書を発表しました。
    報告書を取りまとめた作業部会のシュトッカー議長は27日、NHKの単独インタビューに応じ「報告書は温暖化対策を決める政策決定者に対して、科学的な根拠を与えるもので温暖化の進行への理解を深めてもらうことを期待している」と述べて、報告書の意義を強調しました。
    そのうえで、「温暖化の進行はもはや緊急事態で、今後、その傾向は強まるだろう」と述べて、早急な対策が必要だという考えを強調しました。
    国際的な温暖化対策の交渉で、各国は再来年に開かれる国連の会議で新たな対策の枠組みを採択することを目指していますが、今回の報告書は交渉の行方に大きな影響を与えるとみられています。
    http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130928/k10014880201000.html
     

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  36. [気候変動パネルIPCC 最新報告書から]<上>温暖化「小休止」…上昇鈍化「深海が熱吸収」
    2013年9月29日3時2分 読売新聞

     地球温暖化の最新の科学的情報をまとめた「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」の第1作業部会報告書が公表された。石油や石炭を大量に使う人類の活動が温暖化を引き起こしたことを決定づける報告書だ。注目されるポイントを3回に分けて紹介する。

         ◎

     温暖化を研究する気候学者たちを悩ませている現象がある。温室効果ガスの大気中濃度は増え続けている。それなのに世界の平均気温の上昇が、最近15年間は鈍っているのだ。

     気温上昇が止まったように見えることから、「小休止」を意味する英語を用い、「ハイエイタス(hiatus)」と呼ばれる現象。温暖化を否定する材料になるとの指摘が出ている。

     ストックホルムで27日まで開かれた第1作業部会でも論議になった。一部の政府関係者が「小休止を詳しく書くべきだ」と主張、意見の集約に手間取った。

     第1作業部会のトーマス・ストッカー共同議長は27日、「深海に熱が吸収されたとの説明が考えられるが、長い期間で見て気温の上昇傾向が抑制されたことを示すものではない」と説明した。

     多くの気候学者は一時的な現象と考えている。報告書の公表を受け、東京で開かれた記者会見で、東京大大気海洋研究所の木本昌秀副所長は「平均気温の上昇はいずれ戻ってくる」と明言した。

     「小休止」の原因について、IPCCは「火山噴火や太陽活動の低下傾向」を挙げたほか、「約10年周期の自然変動なども考えられる」と指摘した。

     宇宙から地球の大気圏に入る高エネルギーの粒子(宇宙線)が雲をつくり、太陽光をさえぎって地球を冷やすと考える学説もある。報告書は「宇宙線と雲の生成に強い関係があるかどうかは不明」と記述した。

     ストッカー共同議長が言及した「海洋吸収説」の研究は最近盛んになっている。米カリフォルニア大の小坂優研究員らは、数十年周期で発生する熱帯太平洋東部の海面水温の低下が「小休止」を生み出したとする研究を19日付の英科学誌ネイチャーで発表した。水温低下を考慮し、世界の平均気温の変化をコンピューターで計算すると、「小休止」を再現できるとする内容だ。

     IPCCは水深700メートルより浅い海で、過去40年間に水温が上昇し続けていることはほぼ確実だが、最近10年は熱吸収の勢いが落ちていると指摘する。

     東大大気海洋研の渡部雅浩准教授らの研究チームはコンピューターの再現実験で、700メートル以深の熱吸収が最近20年間、活発化していることを突き止め、7月に米地球物理学連合誌に発表した。渡部准教授は「浅い海で収容しきれなくなった熱が一時的に深海に及んでいる」と見る。IPCCも今回初めて、3000メートル以深の水温上昇に言及した。

     小坂研究員は「前回の小休止は1940年代から30年近く続いた。今回もあと10年程度続くかもしれないが、それが終われば急速に温暖化が進む可能性がある」と警告している。

     (この連載は編集委員 佐藤淳、科学部 木村達矢が担当します)
    http://premium.yomiuri.co.jp/pc/#!/news_20130928-118-OYTPT01189
     

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  37. [気候変動パネルIPCC 最新報告書から]<中>海洋酸性化…海底覆う軟体サンゴ
    2013年10月6日3時4分 読売新聞

     沖縄本島の北方に浮かぶ火山島「硫黄鳥島」(沖縄県久米島町)。東京大と琉球大の研究チームが、島に近い一部海域が茶色の「軟体サンゴ」で覆われていることを確認した。昨年まで4年がかりで行われた潜水調査の結果。東大の茅根創(かやねはじめ)教授の研究室に所属し、潜水調査を担当した博士課程3年の井上志保里さんは「色鮮やかな『造礁サンゴ』が広がる周辺とは対照的な景色。あまりの違いに衝撃を受けた」と振り返った。

     この海域が、沖縄諸島で一般的な造礁サンゴではなく、軟体サンゴで覆われているのは、火山活動で、海底から二酸化炭素(CO2)が噴き出しているためだ。CO2が溶け込むと、海水の酸性度が高まる「酸性化」が起きる。

     茅根教授によると、造礁サンゴには軟体サンゴにはない硬い骨格がある。酸性化は、この骨格の形成を妨げる。海に溶け込んだCO2が、骨格を形成する炭酸カルシウムの材料となる炭酸イオンを中和して減らしてしまうためだ。

     造礁サンゴの複雑に入り組んだ骨格は、多様な海洋生物のすみかになるが、軟体サンゴは構造が単純なため、海洋生物を育む働きは弱いと考えられている。

     「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」が先月27日に公表した第1作業部会報告書は、石油や石炭の燃焼で発生するCO2の約3割を海が吸収し、酸性化が起きていると指摘した。酸性度の指標となる海洋のpH(水素イオン指数)は現在、産業革命当時より0・1低い8・1。温室効果ガスの削減対策を行わないと、酸性化はさらに進み、今世紀末のpHは7・8になると予測した。

     pHは数値が少ないほど酸性度が高い。中性はpH7。今世紀末でもまだ弱アルカリ性だが、より酸性側に変化している。

     pH7・8はちょうど、軟体サンゴが生息する硫黄鳥島のCO2噴出口付近の海域と同レベル。もっと酸性度が高いpH7・6の海には、軟体サンゴすら見あたらなかった。茅根教授は「温暖化が進めば、世界中のサンゴが硫黄鳥島近くのように軟体サンゴに置き換わる恐れがある」と警告する。

     造礁サンゴと同じ炭酸カルシウムの殻を持つ貝や動物プランクトンも海洋酸性化の影響を受ける。酸性化は熱帯の海中の風景を一変させるかもしれない。

     温暖化による海水温の上昇もサンゴに追い打ちをかける。「沖縄美(ちゅ)ら島財団」は今年8月、本部(もとぶ)町の海洋博公園周辺のサンゴ礁で深刻な白化が起きていると発表した。全体の半分以上が白化している場所もあった。

     水温上昇によって、サンゴの体内に共生し、養分を供給する褐虫藻が抜け出して白化する。8月上旬の沖縄県の平均海面水温は平年より1度高い30・3度に達していた。

     国立環境研究所の屋良由美子高度技能専門員らのコンピューター予測では、温暖化対策を講じない場合、2070年代には海水温の上昇が九州や四国付近に広がる。酸性化でウニやアワビの生育に悪影響が出るとの研究もある。屋良さんは「生態系への影響を防ぐにはCO2の削減を急ぐしかない」と話している。
    http://premium.yomiuri.co.jp/pc/#!/news_20131005-118-OYTPT01059
     

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  38. [気候変動パネルIPCC 最新報告書から]<下>海氷減少…北極から氷消える恐れ
    2013年10月20日3時2分 読売新聞

     「温暖化は氷河や北極の海氷を解かす。氷の消失は過去にない速度で進んでいる。今回の報告書は夏に北極の海氷がなくなる可能性も評価した」

     気候変動に関する政府間パネル(IPCC)第1作業部会のトーマス・ストッカー共同議長(スイス)は9月27日、第5次報告書の公表後の記者会見で語った。

     ストックホルムで開かれたIPCC総会で了承された最新の報告書は「ここ30年間の北極の夏の海氷減少は、過去1450年間に前例のないもの」と指摘した。

     減少のペースは1990年代の後半以降に加速している。海氷面積は2007年9月に観測史上最小を記録し、その記録が昨年、再び塗り替えられた。残っている海氷も、薄くて解けやすい氷に変わりつつある。

     最新の報告書は「温暖化対策を行わなければ、今世紀半ばまでに北極の海氷がほとんどなくなる可能性が高い」と予測している。

     温暖化で海面はどこまで上昇するのか。今回の報告書で最も注目されたテーマも雪氷圏とかかわる。南極とグリーンランドを覆う氷床や山岳に横たわる氷河の融解や海への流入が、海面上昇の大きな要因になると考えられているためだ。

     IPCCは今回、温暖化対策をとらなければ、今世紀末の平均海面水位が05年までの20年間と比べ、最大82センチ上昇すると予測。第1作業部会の秦大河共同議長(中国)は「氷河や氷床の減少で、海面上昇は過去40年間より速いペースで進む」とコメントした。

     最大で59センチとした前回より、上昇幅が大きくなったのは、南極とグリーンランドの氷床が海に流れ込む影響が今回、初めて考慮されたためだ。前回は「一致した見解が得られていない」とし、この影響は評価から除外されていた。

     南極半島の付け根にあるウィルキンズ棚氷で5年前、大崩壊が起きた。陸から海上に突き出した巨大な棚氷が切り離され、1か月で東京23区の3分の2に相当する約400平方キロの氷が消えた。南極では、こうした棚氷の崩壊が近年、相次いで確認されている。

     氷床と岩盤の間に流れ込んだ水が「潤滑油」のように働き、氷床が不安定になって、海に流出しやすくなるとの研究もある。

     雪氷圏には、地球温暖化の影響が最も早く表れる。異変の最前線からは当面、目が離せない。

     (この連載は編集委員 佐藤淳、科学部 木村達矢が担当しました)
    http://premium.yomiuri.co.jp/pc/#!/news_20131019-118-OYTPT00868
     

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  39. こういう記事出して恥ずかしくないのかな?
     
    新聞は事実報道に徹すべきなのに、いかがわしい「予知予言」の類いを記事にしちゃうのかい?
     
     

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  40. 【環境】新たな温室効果ガス「パーフルオロトリブチルアミン」を確認 いずれの化学物質よりも地球温暖化に多大な影響を及ぼす可能性
    http://anago.2ch.net/test/read.cgi/scienceplus/1386828850/

    「温室効果」のニュース
    http://www.2nn.jp/word/%E6%B8%A9%E5%AE%A4%E5%8A%B9%E6%9E%9C
     

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  41. 地球で熱を貯めこんでいるのは、空気ではなくて、水と土だろが…

     

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  42. 「茅陽一」の検索結果
    https://twitter.com/search?q=%E8%8C%85%E9%99%BD%E4%B8%80&src=typd

    >RT @tkonai: これはひどい。> 原子力の安全と利用を促進する会 【発起人】有馬朗人,今井敬,葛西敬之,秋元勇巳,石川迪夫,茅陽一,後藤茂,中村政雄,木元教子…
     

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  43. 「不等式」のニュース
    http://www.2nn.jp/word/%E4%B8%8D%E7%AD%89%E5%BC%8F

    ★科学ニュース+ 13/12/25 10:47 134res 0.3res/h ▽
    【物理】「小澤の不等式」、新測定法でも検証 東北大など
    ★ニュース二軍+ 13/07/18 11:03 44res 0.3res/h ▽
    【科学】不確定性原理「ハイゼンベルクの不等式」に欠陥…「小澤の不等式」光で証明
     

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  44. 「方程式」のニュース(笑)。
    http://www.2nn.jp/word/%E6%96%B9%E7%A8%8B%E5%BC%8F
     

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  45. 訪問時間 2014年1月15日 09:13:30
    組織 National Institute for Environmental Studies

    nies.go.jp @Tsukuba
    https://www.google.co.jp/search?q=nies.go.jp+%E3%81%A4%E3%81%8F%E3%81%B0

    >国立環境研究所
     

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  46. 地球温暖化と私たちの暮らし(ラジオ深夜便・1月13日(月・祝)から4夜連続いずれも午後11時台)

    ラジオ深夜便
    1月13日(月・祝)から16日(木)まで4夜連続、それぞれ午後11時台
    ないとエッセー「地球温暖化と私たちの暮らし」
    国立環境研究所・室長 亀山康子さん

     地球環境の変化を国際的に調査する「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」の第五次評価報告書が2013年から14年にかけて次々発表されています。この報告書は科学的検証であり、その後は各分野の報告書を参考に、国連などの場で温暖化対策の交渉が始まります。
     亀山康子さんは東京大学を卒業後、国立環境研究所に研究員として入り、地球環境を幅広く調査してきました。番組では亀山さんに、報告書のポイントや、最近の気候変動について、わかりやすく解説してもらいます。
    http://www.nhk.or.jp/r1-blog/050/177272.html
     

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  47. 東大卒なのに、こういう詐欺の片棒を担いでしまうのか…

    まるでオウム真理教にハマった高学歴信者と同じだな。
     

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  48. 訪問時間 2014年2月28日 15:54:52
    組織 National Institute for Environmental Studies

    Google「茅  方程式」 で検索

    nies.go.jp @Tsukuba

    >国立環境研究所
    https://www.google.co.jp/search?q=nies.go.jp
     

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  49. [気候変動パネルIPCC]激動<1>同床異夢…あいまいな原則 足かせに
    2014年2月23日3時1分 読売新聞

     地球温暖化が暮らしや生態系に与える影響を評価する国連の「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」の最新報告書が、3月に横浜市で開かれる第2作業部会総会での承認を経て公表される。温暖化は人間が引き起こしたとほぼ断定した昨年9月の第1作業部会の続編となる今回の報告書は、身近な生活に関わるだけに関心も高い。日本初開催の総会を控え、昨年の連載で描いたIPCC草創期に続く「激動」の時代をたどる。

         ◇

     2013年11月23日。ワルシャワ中心部には雨雲が低くたれ込め、時折小雨がぱらついていた。2020年以降の温室効果ガスの削減ルールなどを協議する国連気候変動枠組み条約第19回締約国会議(COP19)。白熱した議論は会期を1日延長してなお、続いていた。

     サッカー場に建てられた巨大な仮設の会議場。インド外務省国連社会経済局長のティルムルティ(51)が「これまでの経緯を考えれば、最終案に条約の原則を明記すべきだ」と主張すると、中国国家発展改革委員会気候変動対策局長の蘇偉も、すかさず「『共通だが差異ある責任』の原則は守るべきだ」と加勢した。

     反論の口火を切ったのは米国の気候変動特使のトッド・スターン(62)だった。「まったく賛同できない」と腕組みしたまま語り、「途上国は今や工業化が進んでおり、責任逃れではないか」と、途上国グループを牽引けんいんする中印両国を強く牽制した。

     「共通だが差異ある責任」の原則を盛り込んだ条約が採択されたのは1992年。同じ年にブラジルで開かれた「地球サミット」=写真=で、各国が条約に署名した。

     温室効果ガスを大量に排出する先進国の責任を重く見る途上国と、途上国にも応分の負担を求めたい先進国。それぞれが都合よく解釈できるあいまいな原則は、難航した条約交渉の突破口になった。

     条約交渉の部会で、共同議長を務めた外務省地球環境担当大使の赤尾信敏(76)(現・王子マネジメントオフィス顧問)は「この原則は先進国、途上国が歩み寄るための『知恵』だった」と振り返る。

     「産業活動に伴う二酸化炭素(CO2)排出量の95%は、工業国の多い北半球から。途上国1人当たりの年間排出量は先進国の25分の1~8分の1に過ぎない」

     条約が採択される2年前の90年にIPCCがまとめた第1次報告書は、双方の責任の度合いに違いがあることを強調する一方、排出量の増加割合は途上国が大きいと指摘した。

     IPCCがこの報告書をまとめてから24年。当時は世界全体の3割だった途上国のCO2排出量は、2011年には6割を占めるまでになった。経済成長が続く中国は07年に米国を抜き、世界の4分の1以上を占める最大の排出国に。3位のインドも排出量を90年比で3倍に増やしている。

     「東西冷戦が終わり、世界全体で、環境問題に取り組もうという高揚感と一体感があった」。地球サミットに参加した三菱化成生命科学研究所室長の米本昌平(67)(現・東京大客員教授)が回想するような熱気はすでにない。

     地球サミットを挟み、計5年間、温暖化の国際交渉に関わった赤尾は言う。

     「同床異夢の先進国と途上国をつなぐ魔法のつえだった『共通だが差異ある責任』の原則は、今や足かせに変わった。それに代わる新たな原則を世界はまだ見いだしていない」

     (敬称略、この連載は編集委員 佐藤淳、科学部 小日向邦夫が担当します)
    http://premium.yomiuri.co.jp/pc/#!/news_20140222-118-OYTPT00788

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  50. [気候変動パネルIPCC]激動<2>削減目標…科学軽視で進んだ交渉
    2014年3月2日3時1分 読売新聞

     温室効果ガスの削減目標を定めた議定書の採択を目指す国連気候変動枠組み条約第3回締約国会議(COP3)の京都市での開催に向け、1997年7月にドイツのボンで開かれた準備会合。

     初日の交渉に先立ち、演説した気候変動に関する政府間パネル(IPCC)議長のバート・ボリン(2007年死去)は「長期的に大気中の温室効果ガスの濃度が上昇するのを止めるには、先進国、途上国を問わず、すべての国の努力が欠かせない」と訴えた。

     ボリンの危機感の源は、準備会合の2年前にIPCCがまとめた第2次報告書にあった。報告書は「温室効果ガスの濃度上昇を2100年までに止めても、気温上昇はすぐには止まらない」と警告を発した。

     海には大気から熱を奪って、蓄える働きがある。IPCCの警告は、この蓄熱効果の影響で、実際の気温の変化が、温室効果ガスの濃度の変化より一歩遅れて表れることを踏まえていた。「削減対策を講じても、すぐに効果は出ない。被害が決定的になってから手を打っても、手遅れ」というメッセージでもあった。

     報告書は「温室効果ガスの濃度上昇を止めるには、影響が最も大きい二酸化炭素の排出を、直ちに50~70%削減する必要がある」と踏み込んだ。だが、準備会合の5か月後に開かれたCOP3で、この数値が顧みられることはなかった。

     最大の焦点は、先進国の温室効果ガスの削減目標だったが、COP3開催前に主要国が自ら示した目標は、最大の欧州連合(EU)でも、1990年比で15%減。採択された京都議定書ではEU8%、米国7%、日本は6%で決着した。途上国の自主的な削減を求める「第10条」も削除された。

     外務省国際社会協力部参事官の赤阪清隆(65)(現フォーリン・プレスセンター理事長)は、国立京都国際会館の一室で繰り広げられた土壇場の激しいやりとりを、今も覚えている。

     全体委員会のラウル・エストラーダ議長(75)(アルゼンチン)の主催で、会議終盤の12月10日に開かれた先進国、途上国の代表による非公式協議。米国のスチュアート・アイゼンスタット国務次官(71)は、削減目標に合意した日、米、EUの協議の輪から抜けだし、途上国グループに歩み寄った。

     「われわれは削減目標を決めた。今度はあなた方の番だ。自発的な努力だけでも約束できないか」

     アイゼンスタットの説得を、中国政府の代表は「たとえ自主的でも受け入れられない」と突っぱね、インドやタンザニアも同じ意見を繰り返した。途上国の要求通り、「第10条」は削除され、「幻」に終わった。

     科学そっちのけで進んだ温室効果ガスの削減交渉。ボリンはCOP3の翌月、米科学誌サイエンスに寄せた一文に不満をぶつけた。

     「京都では科学的な問題はほとんど話し合われず、政治的な問題ばかりが注目された。温室効果ガスの大気への蓄積を抑制するための成果はほとんどなかった」(敬称略)
    http://premium.yomiuri.co.jp/pc/#!/news_20140301-118-OYTPT00823

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  51. [気候変動パネルIPCC]激動<3>ホッケースティック…狙われた「温暖化の象徴」
    2014年3月9日3時2分 読売新聞

     2006年6月、英科学誌「ネイチャー」は「科学の世界で最も政治問題化したグラフ」と書いた。「ある者には気候変動の真実を伝える偶像、そして別の者にとっては欠陥科学の象徴だ」とも。

     過去1000年間の北半球の平均気温を再現すると、気温は20世紀後半に急上昇している――。これをグラフ化した「ホッケースティック曲線」は、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が01年に公表した第3次報告書に掲載され、論議を呼んだ。

     温度計を使った測定記録が残る過去100年余りの気温が上昇傾向にあることに疑いはない。問題は、この上昇が、それ以前にはない特異現象かどうかだった。

     過去になかったとすれば、IPCCが描く「産業革命の後の石油や石炭の大量使用が、地球温暖化を引き起こした」との見立てと一致する。ホッケースティックを横にしたような形のグラフは、シナリオの正当性を示す根拠の一つとされた。

     「メディアでグラフが大きく取り上げられ、温暖化の象徴になった。実に奇妙なことだった」と米マサチューセッツ大特別教授のレイモンド・ブラッドレー(65)は振り返る。

     グラフはブラッドレーと、米ペンシルベニア州立大特別教授のマイケル・マン(48)らがまとめた研究論文から、IPCCの報告書に引用された。

     木の年輪の幅や南極の氷床に含まれる水分子の酸素同位体比などのデータは、気温の変化に応じて変化する。2人はこうした「気候代替データ」をかき集め、過去の気温を推定した。

     冒頭の記事がネイチャーに載った翌月、米下院ではホッケースティック論争をテーマにした公聴会まで開かれた。

     証言に臨んだマンは「我々の研究論文に対する批判はすべて統計手法に関するものだったが、別の手法で試しても結論は同じだった。別の研究者が行った多数の研究でも確認されている」と正当性を主張した。

     なぜ、ホッケースティック曲線が注目されたのか。ブラッドレーは「IPCCが気候科学のゴールドスタンダード(権威のある基準)だと悟った一部の政治家や企業関係者は、その信用を失墜させようと考えた。信用を失えば、温室効果ガスの排出規制も支持されなくなる。ホッケースティック曲線は、そのターゲットにされた」と見る。

     IPCCの報告書は更新されるたび、最新の研究を盛り込んで進化していく。波紋を呼んだ第3次の6年後に公表された第4次報告書。ホッケースティック曲線はそこに再掲され、別の研究者の研究を含め、過去の気温を復元したデータは計12種類に増えた。

     復元結果はばらつきが大きかったが、20世紀後半の気温が飛び抜けて高い点は共通していた。厚みを増したデータをふまえ、報告書は、こう結論づけた。

     「20世紀後半の北半球の平均気温は、過去1300年間で最も高かった可能性が高い」(敬称略)
    http://premium.yomiuri.co.jp/pc/#!/news_20140308-118-OYTPT00844

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  52. [気候変動パネルIPCC]激動<4>報告書への逆風…疑惑招いた甘いチェック
    2014年3月16日3時0分 読売新聞

     北京市郊外の北京大学。横浜国立大教授の伊藤公紀(63)は、2010年6月、キャンパス内の湖のほとりにある会議場にいた。

     「気候変動の科学はまだまだ未熟。政策決定に反映させるには早すぎる」。伊藤は10分の持ち時間を目いっぱい使い、石油や石炭の大量使用が地球温暖化を引き起こしたとする気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の批判を展開した。

     前の年の12月に開かれた気候変動枠組み条約第15回締約国会議(COP15)。温暖化対策の国際交渉のヤマ場と目されていた会議を前に、IPCC報告書の一部に間違いが見つかったり、研究者が温暖化を強調するため、データを操作したりした疑いが相次いで指摘された。

     北京での会合は、事態を重視した国連の 潘基文パンギムン 事務総長らの依頼で、IPCCの外部評価を進めていた「インターアカデミーカウンシル」(IAC、本部オランダ)が主催した。

     IACは、日本学術会議も加盟する世界の学術団体の連合体。日本からは伊藤と、国立環境研究所に所属する中国出身の研究者が北京に招かれた。アジア以外でも同様の会合が開かれ、温暖化の進行に疑念を持つ「懐疑派」を含め、ヒアリングが重ねられた。

     07年発表のIPCC第4次報告書には「ヒマラヤの氷河は2035年には消失する」との科学的な裏付けのない内容が掲載されていた。誤りが見過ごされた経緯を検証したIACは北京会合の2か月後、チェック体制の見直しを求める勧告を出す。「報告書の作成に関わる専門家の人数が少なすぎる」と指摘したのだ。

     第4次報告書の執筆を担当した専門家は全体で450人以上いるが、増加する一方の温暖化に関する研究報告を読みこなすのは容易ではない。原案段階で3回行われる報告書の査読に伴う作業も膨大だ。各国の専門家や政府関係者から寄せられたコメントは9万件。執筆陣はコメントを考慮に入れ、原案を書き直す作業もこなさなければならない。

     IACが精査したところ、氷河のミスを指摘するコメントは3件見つかった。執筆陣を補佐する査読編集者を務めた地球環境戦略研究機関研究顧問の西岡秀三(74)は「間違いがすり抜けてしまったのは残念」としながら、「膨大なコメント全てを厳密に吟味するのは極めて難しい」と語った。

     元米副大統領のアル・ゴアとともに、07年のノーベル平和賞を共同受賞したIPCC。当時からIPCC議長を続けるラジェンドラ・パチャウリ(73)は、データ操作の疑いについて、「複数の調査委員会が調べ、疑いをかけられた科学者は潔白と結論づけられている」と説明。そのうえで、「どんな組織も長期間運営していけば、組織評価の手続きは必要になる。それについてはしっかり対処できたと確信している」と信頼回復への自信をのぞかせた。

     IPCCの影響力が増大するのと歩調を合わせ、組織に対する逆風も強まる。試行錯誤は続いている。

    (敬称略)
    http://premium.yomiuri.co.jp/pc/#!/news_20140315-118-OYTPT50465
     

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  53. 訪問時間 2014年4月11日 11:51:42
    ホスト名 210.164.30.76
    組織 NTT
    サービスプロバイダー NTT

    IPアドレス 210.164.30.76
    http://www.iphiroba.jp/index.php

    >環境省

    env.go.jp @Chiyoda

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  54. 訪問時間 2014年5月21日 10:49:11
    サービスプロバイダー Nagoya University
    組織 Nagoya University

    nagoya-u.ac.jp @Nagoya

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  55. 「名古屋大」
    http://www.2nn.jp/search/?q=%E5%90%8D%E5%8F%A4%E5%B1%8B%E5%A4%A7&e=

    ★科学ニュース+ 14/05/21 07:41 5res 1.4res/h □
    【医学】アルツハイマー病関連分子の脳内分布を3次元で測定することに成功 [名古屋大学]
    ★科学ニュース+ 14/05/18 23:43 11res 0.1res/h □
    【神経科学】名古屋大、レム睡眠・ノンレム睡眠を制御する神経細胞を明らかに
    ★科学ニュース+ 14/04/16 05:27 20res 0.0res/h □
    【天文】火星の水、4億年で半分消失=大量の氷存在可能性も-名古屋大など
    ★科学ニュース+ 14/03/30 18:12 39res 0.0res/h □
    【脳機能】サカナに逃げろ!と指令する神経細胞の分子メカニズムを解明/名古屋大学
    ★芸能・スポーツ速報+ 14/03/26 16:20 41res 0.2res/h □
    【競馬】名古屋大賞典(名古屋・Jpn3) 無冠の実力馬が距離克服!好位追走ダノンカモン(川田将)直線で抜け出し重賞初制覇!
    ★ニュース速報+ 14/03/01 21:03 713res 7.2res/h □
    【社会】前漢の第6代皇帝は? 名古屋大学が出題ミス
    ★ニュース速報+ 14/02/06 21:16 39res 1.5res/h □
    【社会】点滅で歩行者事故防止=横断時作動の装置開発-名古屋大 画像あり
    ★痛いニュース+ 14/02/04 00:11 13res 0.0res/h □
    【メーデャア】名古屋大学付属病院助教がスカート盗撮で懲戒処分に
    ★ニュース速報+ 14/01/27 17:00 76res 0.7res/h □
    【研究】歯がない人ほど肺炎に 細菌で感染、名古屋大など調査
    ★科学ニュース+ 13/12/24 20:57 44res 0.0res/h □
    【植物】「気孔」広げて光合成促進に成功、植物の生産量増加へ/名古屋大
    ★ビジネスニュース+ 13/12/24 12:33 20res 0.0res/h □
    【研究】収獲増に期待、光合成促進させる「気孔」拡張に成功 名古屋大
    ★ニュース速報+ 13/12/13 19:59 65res 1.1res/h □
    【社会】バルサルタン…名古屋大、恣意的なデータ操作ない

    ・・・

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  56. 相当のトンデモ医科様研究ごっこてんこ盛りやりまくりの大学の割には注目度が今ひとつだね(笑)。

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  57. 訪問時間 2014年6月5日 14:02:46
    サービスプロバイダー NHK
    組織 NHK

    nhk.or.jp @Osaka

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  58. 日本の科学を捻じ曲げてしまったヒトビト・・・

    東大総長の系譜・・・

    有馬朗人(東大総長)文部科学大臣…

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  59. 「有馬朗人 ミレニアム プロジェクト」
    https://www.google.co.jp/search?q=%E6%9C%89%E9%A6%AC%E6%9C%97%E4%BA%BA+%E3%83%9F%E3%83%AC%E3%83%8B%E3%82%A2%E3%83%A0+%E3%83%97%E3%83%AD%E3%82%B8%E3%82%A7%E3%82%AF%E3%83%88

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  60. [駆ける]29歳から科学者の道 千葉早苗氏 52 海洋研究開発機構
    2014年10月30日15時0分 読売新聞

    ロックミュージシャン風の個性的な服装が好み。プランクトンの研究を説明するポスターを手に、「研究者は成果が全てで、服装は自由なのが役得」(横浜市金沢区の海洋研究開発機構で)=林陽一撮影

     地球温暖化などの気候変動は、海洋の生態系にどんな影響を与えるのか。食物連鎖の底辺を支える微小生物プランクトンの研究を切り口に、そんな地球規模の現象の解明に取り組む。

     「豊かな海の礎であるプランクトンの生息域が、少しずつだが、確実に変化しつつある」と話す。

     日本周辺の海で採取、保存された約50年分のプランクトンのサンプルを顕微鏡で調べ直した。その結果、亜熱帯を中心に分布すると考えられていた種類のプランクトンが徐々に北上し、その生息域が三陸沖に及んでいることを突き止めた。

     「暖かい海のプランクトンは、栄養分が少ない。将来、漁業に影響が出るかもしれない」と指摘する。同じようにプランクトンの生態が変化した北米の西海岸では、実際、サケやタラの漁獲が減ったという。

     海洋研究開発機構の研究者の中でも、異色のキャリアの持ち主。前身の海洋科学技術センターに9年間、短大卒の事務系職員として勤務後、29歳で退職。米国の大学で海洋生物学を一から学び、38歳で念願の博士号を取得した。海洋生態系の研究の拡充を検討していた古巣に、今度は研究員として採用された。

     20歳の頃をこう振り返る。「就職で考えたのは、安定した生活を送ることだけだった」。だが、事務仕事は満足できなかった。自ら問題を見つけ、答えを探す研究者の生き生きした姿にひかれた。「生物の博士になりたい」。湘南の海で育ち、様々な生物に目を輝かせた少女時代の淡い夢がよみがえり、はっきりした輪郭を持った。

     30歳を前に職を捨てることへの迷いは、「まだ遅くないよ」という、知り合いの米研究者の励ましで吹っ切った。以来、「一度しかない人生。本当にやりたいことに挑戦したい」という信念で、困難を乗り越えてきた。

     3年前から米英豪など8か国の専門家と共同研究に取り組む。「留学中は、自己主張しないと何も始まらなかった。今、世界の人と協力できるのは、その時の経験のおかげ」と話す。一言一言からエネルギーがあふれ出す。

    (安田幸一)

           ◇

     1983年神奈川県立外語短大(現在は閉学)を卒業。92年、米メーン州のアトランティック大に編入学。2000年、東京水産大(現東京海洋大)で水産学博士。07年4月から、海洋研究開発機構で主任研究員を務める。
    http://premium.yomiuri.co.jp/pc/#!/news_20141030-118-OYTPT50217

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  61. 「中心と周縁」「道化」「スケープゴート」…世間だましの分業体制…

    山口昌男『道化の民俗学』
    https://www.google.co.jp/search?q=%E4%B8%AD%E5%BF%83%E3%81%A8%E5%91%A8%E7%B8%81+%E9%81%93%E5%8C%96+%E3%82%B9%E3%82%B1%E3%83%BC%E3%83%97%E3%82%B4%E3%83%BC%E3%83%88

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  62. オゾンホール 依然規模大きい状態続く
    11月12日 6時00分

    有害な紫外線を遮る南極上空のオゾン層が破壊され、穴が開いたような状態になるオゾンホールの面積は、ことしは南極大陸のおよそ1.7倍に達し依然として規模の大きい状態が続いていることが気象庁の解析で分かりました。

    オゾンホールは、オゾン層がフロンガスなどによって破壊され穴が開いたようになる現象で、毎年、南極の上空で8月から12月ごろにかけて発生します。
    気象庁の解析によりますと、ことしは8月に発生したあと、9月上旬から面積が拡大し、先月1日には、最大で南極大陸のおよそ1.7倍に当たる2340万平方キロメートルに達したということです。
    これは過去10年の平均と同じ規模で、依然として規模の大きい状態が続いているということです。
    気象庁オゾン層情報センターの木下篤哉調査官は、「大気中のフロンガスなどの濃度は、国際的に規制が進んで徐々に減る傾向にあるが、オゾンホールが1980年以前の水準に戻るのは今世紀半ば以降までかかると予想される」と話しています。
    http://www3.nhk.or.jp/news/html/20141112/k10013130921000.html

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  63. またぞろ「オゾンホール」紫外線コワイコワイヒ~恫喝扇動ネタを引っ張り出してきたのか…

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  64. env.go.jp @Chiyoda

    訪問時間2015年2月27日 13:29:11
    ホスト名210.164.30.77
    サービスプロバイダーNTT
    組織NTT

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  65. 新“地球シミュレータ”更新
    05月25日 17時55分 NHK首都圏ニュース

    自然災害の予測や再現を行うスーパーコンピューター「地球シミュレータ」が、これまでの10倍の計算能力を持つ新型に更新されました。
    今後、地球温暖化の影響やいわゆる「スーパー台風」の予測などで、これまで以上に精度が向上すると期待されます。
    「地球シミュレータ」は、国立研究開発法人・海洋研究開発機構が13年前から運用していて、ことし3月に3代目のコンピューターが導入され、6月からの本格稼働を前に25日、この2か月間の研究の内容が紹介されました。
    新しいコンピューターは、計算能力が1秒間におよそ1300兆回と、従来の10倍となり、「京」には及ばないものの地球科学の計算に特化したスーパーコンピューターとして期待されています。
    25日は、名古屋大学の坪木和久教授が、死者・行方不明者が5000人余りに上った昭和34年の伊勢湾台風や、ことし3月に南太平洋のバヌアツを襲ったサイクロンについて、強度や進路を再現したシミュレーションの結果などを紹介しました。
    坪木教授によりますと、これまでは難しかったいわゆる「スーパー台風」の発達過程なども、今回、正確に再現できたということで、将来の日本へ影響の予測にも応用できるということです。
    また、東京大学大気海洋研究所の木本昌秀教授は、将来、20世紀後半よりも気温が4度上がった状態が60年続いた場合について、90通りのパターンを計算し、地球温暖化による環境への影響を調べる計画を説明しました。
    木本教授は「頻度が低い災害を考える上では数多く計算することが重要で、新たな“地球シミュレータ”ではそれが可能になる。温暖化への具体的な対策を決める上で根拠となるデータを提供したい」と話しています。
    http://www3.nhk.or.jp/shutoken-news/20150525/4949641.html

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  66. 訪問時間2018年1月23日 10:30:20IP
    アドレス160.74.1.163

    組織Japan Science and Technology Agency
    ホスト名jstoagw.tokyo.jst.go.jp
    サービスプロバイダーJapan Science and Technology Agency

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  67. オゾン層回復進む フロンガスの排出規制強化で
    2018年11月7日 8時49分

    有害な紫外線を遮るオゾン層に関して、WMO=世界気象機関などは、1990年代半ばごろまで破壊が進んだものの、国際的にフロンガスの排出規制を強化したことで回復が進んでいて、2060年代には破壊が深刻になる前の水準まで戻るという予測を発表しました。

    有害な紫外線を遮り、地上の生態系を保護する役割があるオゾン層に関して、WMOなどは、1960年代から2016年までの観測データを基に、5日、報告書を発表しました。

    それによりますと、冷蔵庫などに使われてきたフロンガスの排出によって、オゾン層は1990年代半ばごろにかけて破壊が最も進みました。しかし、2000年以降、オゾンの量は、特殊な気象の南極と北極を除き、10年ごとに最大で3%増加していることが確認されたということです。

    また、南極でも、オゾン層が破壊されて穴のような形ができる「オゾンホール」が、2000年以降、小さくなっていて、地球全体のオゾン層は、2060年代には、破壊が深刻になる前の1980代の水準まで回復することが予測されるとしています。

    オゾン層の回復が進んでいるのは、国際的にフロンガスの排出規制を強化する「モントリオール議定書」が1987年に採択され、各国がフロンガスの削減に取り組んだ効果だということで、報告書は議定書の履行を高く評価しています。

    ただ、中国では、議定書で規制の対象となっている一部のフロンガスは排出が増加傾向にあるとも指摘しています。
    https://www3.nhk.or.jp/news/html/20181107/k10011701011000.html

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  68. 米科学者のW・ブロッカー氏死去
    「地球温暖化」広める

    2019/2/19 12:552/19 12:57updated
    ©一般社団法人共同通信社

    米科学者ウォーレス・ブロッカー氏=2008年11月、ローマ(AP=共同)
     ウォーレス・ブロッカー氏(米科学者)AP通信によると18日、ニューヨークの病院で死去、87歳。数カ月前から体調を崩していた。

     中西部シカゴ生まれ。長年、教授を務めるなどコロンビア大を拠点に気候変動を研究した。大気中の二酸化炭素(CO2)の濃度が上昇すれば気候が温暖になることを75年に指摘し「地球温暖化」という言葉が広く使われるきっかけとなった。(ニューヨーク共同)
    https://this.kiji.is/470438349118063713

    https://koibito2.blogspot.com/2019/01/blog-post_20.html?showComment=1550590583852#c9044202672232646509

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  69. ノーベル物理学賞に真鍋淑郎氏 二酸化炭素の温暖化影響を予測
    2021年10月5日 20時21分

    ことしのノーベル物理学賞の受賞者に、大気と海洋を結合した物質の循環モデルを提唱し、二酸化炭素濃度の上昇が地球温暖化に影響するという予測モデルを世界に先駆けて発表した、プリンストン大学の上級研究員でアメリカ国籍を取得している真鍋淑郎さん(90)が、ドイツとイタリアの研究者とともに選ばれました。
    日本人がノーベル賞を受賞するのはアメリカ国籍を取得した人を含めて28人目で、物理学賞では12人目になります。

    真鍋さんは現在の愛媛県四国中央市の出身で、東京大学で博士課程を修了後、アメリカの海洋大気局で研究を行いました。

    そして、大気と海洋を結合した物質の循環モデルを提唱し、二酸化炭素が気候に与える影響を世界に先駆けて明らかにするなど地球温暖化研究の根幹となる成果などをあげてきました。
    真鍋さんは現在、アメリカのプリンストン大学で上級研究員を務めていて、アメリカ国籍を取得しています。

    アメリカのノーベル賞といわれる「ベンジャミン・フランクリン・メダル」を2015年に受賞し、スウェーデン王立科学アカデミーが選ぶクラフォード賞を2018年に受賞していました。

    真鍋さんは、同じ分野で研究をしてきたドイツのクラウス・ハッセルマンさんのほか、統計物理学を専門にしているイタリアのジョルジョ・パリ―ジさんと合わせて3人で受賞することが決まりました。

    日本人がノーベル賞を受賞するのはアメリカ国籍を取得した人を含め28人目で、物理学賞では6年前(2015年)の梶田隆章さんに続き、12人目になります。

    受賞理由 「現代の気候研究の基礎」

    真鍋さんの受賞理由について、ノーベル賞の選考委員会は「現代の気候の研究の基礎となった」としています。

    地球の気候は人類にとって極めて重要な複雑系のシステムで、真鍋さんは大気中の二酸化炭素の濃度が上がると地表の温度上昇につながることを明らかにしたとしています。

    そして、1960年代には地球の気候に関するモデルの開発をリードし、地表面が太陽から受け取るエネルギーから宇宙に逃げていくエネルギーを差し引いた「放射収支」と、空気の縦の動きが、お互いにどう影響し合うか世界で初めて解明したとしていて、真鍋さんの研究は現在の気候モデル開発の基礎となったと評価しています。

    また、選考委員会は会見の中で、真鍋さんを含めた3人の受賞者を「複雑な物理体系の理解を深めた人物」として紹介しました。

    そして、物理学には基本的なルールを使って複雑なプロセスや現象を説明する役割があるとし、真鍋さんの功績として「力学を通じて地球の気候を研究し、初めて信頼性のある予測を出した。二酸化炭素が2倍になれば表面温度が2度上がると予測した」と説明しました。

    ともに受賞の研究者 「将来世代のために迅速に行動を」

    真鍋さんとともに受賞者に選ばれたジョルジョ・パリ―ジさんは、イタリアのローマ・ラ・サピエンツァ大学の理論物理学者です。

    パリージさんと同じ分野の研究をしている東京大学大学院総合文化研究科の福島孝治教授によりますと、パリージさんは物質の複雑なシステムについて統計力学を使って研究しました。

    その結果、複雑なシステムの中では規則がないように見えるものの、一定の秩序が成り立っていることを理論的に示しました。

    この概念は、幅広い物理学の研究に応用されているほか、現在ではAI=人工知能の開発などに使われる「機械学習」の分野にまで広がっているということです。

    ノーベル賞の選考委員会は、パリージさんの研究について「無秩序で複雑な物質における隠れた規則性を明らかにした。物理学だけでなく、数学、生物学、神経科学、そして機械学習などさまざまな分野において、一見、無秩序で複雑な物質や現象の理解を可能にした」と評価しています。

    パリ―ジさんはオンラインで受賞決定の記者会見に参加し、今月末から開かれる気候変動対策の国連の会議「COP26」の参加者へのメッセージを求められたのに対して、「非常に強力な行動をしなければならない。私たちの行動によってはさらに気温が上がってしまうかもしれない。将来世代のために迅速に行動しなければならない」と話していました。

    また、ノーベル物理学賞の選考委員は、今回の賞が世界の首脳に対して気候変動の危機がいかに重要であるかメッセージを込めているのか、との質問に対して「世界の首脳でまだこのメッセージをしっかり受け止めていない人ならば、私たちがこう言ったからといって理解するものではないと思う。私たちが言えることは、温暖化は確固たる科学に基づいて解明しているということだ」と述べました。

    気象や気候分野の受賞は初めて

    これまでノーベル物理学賞は、▽天文学と宇宙物理学や▽原子や分子、それに▽物質を構成する素粒子物理など、大きく3つの分野から選ばれてきましたが、気象や気候の研究分野を対象とするのは初めてです。

    物理学の専門家は、気候の変動が社会的な大きな関心事になる中でこれまでにない分野を対象にしたのではないかとしています。

    岸田首相「真鍋氏の業績に心から敬意」

    岸田総理大臣はコメントを発表し「受賞を心からお慶び申し上げるとともに、真鍋氏の業績に心から敬意を表します。今回の受賞は、信頼性の高い地球温暖化予測を実現する地球気候の物理モデルについての業績が世界で高く評価されたものです。日本における研究活動の積み重ねをもとに、海外で活躍されている研究者の独創的な発想による真理の発見が、人類社会の持続的な発展や国際社会に大きく貢献し、世界から認められたことを、日本国民として誇りに思います」としています。

    そのうえで「科学技術立国であるわが国において、政府としても、あらゆる分野でイノベーションを起こし続けることを目指し、独創的で多様な研究をしっかり支援していくとともに、人材育成など未来への投資を積極的に進めてまいります」としています。

    また、末松文部科学大臣もコメントを発表し「受賞されたことに心からお祝いを申し上げ、これまでの業績に深く敬意を表します。日本での研究活動の積み重ねをもとに海外で活躍されている真鍋氏の受賞は日本国民の大きな誇りと励みになります。文部科学省としても学術研究の振興を図りつつ、グローバルに活躍できる研究者の育成や支援の強化に取り組んでいきます」としています。

    科学技術政策を担当する小林経済安全保障担当大臣もコメントを発表し「心からの敬意と祝意を表します。海外で活躍されている日本出身の研究者が受賞されたことは、日本人研究者にとって大きな励みとなるものです。科学技術・イノベーションに対する社会の期待や関心を一層高め、次代を担う若い世代に夢を与えるとともに、学術の探究や地球規模課題の解決などに積極的に挑戦する契機となることを期待しています」としています。

    そして「我が国が『世界で最もイノベーションに適した国』へ変革するため、科学技術・イノベーション基本計画の下、優れた若手研究者が活躍できる研究環境の整備や学術研究・基礎研究の推進など、研究力の向上に全力で取り組んでまいります」としています。

    山口環境大臣もコメントを発表し「真鍋先生の多数の論文は国連のIPCC=『気候変動に関する政府間パネル』が公表した報告書に引用されており、気候変動分野において多大なご貢献をされました。その貢献が、その後のサイエンスに立脚した気候変動対策の基盤になっています。今回の受賞が、気候変動問題に対する関心をより一層高めることを期待します。また、環境省としても、喫緊の課題である気候変動問題の解決に向けて、2050年カーボンニュートラル、温室効果ガスの2030年度46%削減という目標の実現を目指し、あらゆる政策を総動員して全力で取り組んでまいります」などとしています。

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    1. ノーベル物理学賞 これまでの受賞者は

      ノーベル物理学賞を受賞した日本人は、アメリカ国籍を取得した人も含めてこれで12人となり、各賞の中で最も多くなっています。
      日本人が初めて物理学賞を受賞したのは戦後まもない1949年で、湯川秀樹さんが受賞しました。
      これは、すべてのノーベル賞を通じて初めての日本人の受賞でした。

      その16年後、1965年に朝永振一郎さんが、さらに8年後の1973年に江崎玲於奈さんが続きました。

      それから28年間、日本人の物理学賞の受賞はありませんでしたが、2002年、小柴昌俊さんが受賞しました。

      2008年には南部陽一郎さん、小林誠さん、益川敏英さんの3人が同時受賞しました。
      同じ年に1つの賞で、複数の日本人受賞者が出たのは初めてのことでした。

      さらに、6年後の2014年にも赤崎勇さん、天野浩さん、中村修二さんの3人が同時受賞しました。

      翌年の2015年には梶田隆章さんが受賞し、2年連続で日本人が受賞しました。

      日本人受賞者 2000年以降大きく変化

      ノーベル賞を受賞した日本人は、アメリカ国籍を取得した人も含めてこれで28人になりました。

      物理学賞以外では、1968年に川端康成さんが文学賞、1974年に佐藤栄作元総理大臣が平和賞を受賞しました。

      また、1981年に福井謙一さんが日本人では初めて化学賞を受賞したほか、1987年に利根川進さんが日本人初の医学・生理学賞を受賞し、平成に入ってからは、1994年に大江健三郎さんが文学賞を受賞しています。

      1999年までのおよそ100年の期間は、ノーベル賞を受賞した日本人は8人にとどまっていました。
      ところがこの状況は2000年に入ってから大きく変化します。

      2000年に白川英樹さんが受賞したのを始まりに、2001年に野依良治さん、2002年に田中耕一さんと3年連続で日本人が化学賞を受賞します。

      田中さんが化学賞を受賞した2002年には小柴昌俊さんが物理学賞を受賞し、初めて同じ年に2人が受賞しました。

      2008年には物理学賞で南部陽一郎さん、小林誠さん、益川敏英さんの3人が同時に受賞し、さらにその翌日には化学賞で下村脩さんの受賞が発表され、この年だけで4人が受賞しました。

      また、2010年には化学賞で鈴木章さんと根岸英一さんがダブル受賞し、2012年には山中伸弥さんが医学・生理学賞を受賞しました。

      2014年には赤崎勇さん、天野浩さん、中村修二さんの3人が物理学賞を受賞しました。

      そして、2015年には医学・生理学賞で大村智さん、物理学賞で梶田隆章さんが受賞し、この年も2つの賞で受賞者が出ました。

      さらに、2016年に大隅良典さんが医学・生理学賞を受賞し、2回目となる日本人の3年連続受賞となりました。

      近年では、3年前の2018年に本庶佑さんが医学・生理学賞、おととしに吉野彰さんが化学賞を受賞し、2年連続で日本人が受賞しました。

      文部科学省によりますと、去年までの受賞者数の27人は、スイスに次いで世界で7番目となっています。

      また、2000年以降、去年までに自然科学系の3賞の日本人の受賞者数は19人で、アメリカに次いで2番目の多さとなっています。

      一方、ノーベル賞の6つの部門のうち経済学賞だけは、日本人の受賞者はいません。
      https://www3.nhk.or.jp/news/html/20211005/k10013292011000.html

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  70. ノーベル賞 真鍋淑郎さん単独インタビュー「好奇心が大事」
    2021年10月5日 21時48分

    ノーベル物理学賞の受賞が決まった真鍋淑郎さん(90)がアメリカにある自宅で取材に応じ、「物理学賞というのはふつうは純粋な物理が対象となるものですけれども、気候変動が物理学賞の対象になったことにびっくりしています。これまでの受賞者を見てもこういうテーマに対してノーベル賞が出たことはありません。非常に光栄なことだと思っています」と驚きと喜びを語りました。

    自身が今回受賞したテーマを専攻したきっかけについては、「東京大学の地球物理教室にいた当時、天気予報を発展させて気候モデルを作っており、はじめは好奇心でやっていたが、アメリカに呼ばれて、コンピューターも使い放題で、全地球的な気候モデルの開発を始めました。1960年代のアメリカは冷戦を背景とした競争の中にあって非常に科学研究に力を入れていて、電子計算機の導入も盛んで、アメリカに呼ばれたのも幸運だったうえ、計算機が急速な進歩を遂げたというのも幸運で、いろいろな幸運が重なって今に来ている」と話しました。

    その上で、真鍋さんは若手の研究者に対し「やはりこの研究がもとは好奇心からスタートした。だから、今の日本でも世界でも、はやりの研究テーマでコンピューターを使って結果を出すという形でやっているが、本当におもしろい研究は好奇心から出た研究が大事だ。日本の若い人たちも好奇心ばかりで研究をしていたのでは研究費が出てこないかもしれないが、そこのバランスを上手に考えてやらないと、時代の流行に流されておもしろい研究は絶対にできない。そういうところに焦点を置いてやることが重要だ」と述べ、みずからの好奇心を大切にしながら研究を行うことの大切さを強調しました。

    真鍋さんの家族 「本人は本当にびっくり」

    真鍋さんの家族は「発表後にいろいろなところから電話がきて驚いています。今、プリンストン大学と本人が相談をしていて、近いうちに説明する場を設けたいと話していました。本人は本当にびっくりして『純粋な物理ではないが世の中のためになるものであり、受賞できてうれしい』と言っていました」と述べました。
    愛媛県出身 その経歴は
    真鍋さんは現在の愛媛県四国中央市、旧新宮村の出身です。

    新宮村は愛媛県の東予地方にあった山あいに広がる宇摩郡の一部で、2004年に市町村合併で四国中央市になりました。

    合併前は人口およそ1000人ほどの小さな村でした。

    地域をよく知る四国中央市の市議会議員だった男性によりますと、真鍋さんは昭和6年に生まれ、父親は地元の開業医だったということです。

    真鍋さんは当時の新宮尋常高等小学校、現在の新宮小学校に通っていました。

    その後、村外に出て旧制三島中学、現在の三島高校を卒業するまで愛媛県で過ごし、東京大学に進学します。

    大学で博士課程を取得したあとはアメリカの海洋大気局で研究を行い、地球温暖化研究の根幹となる成果などをあげてきました。

    旧新宮村には幼い頃を過ごした家が残っているということです。
    https://www3.nhk.or.jp/news/html/20211005/k10013293191000.html

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  71. ノーベル物理学賞に真鍋淑郎氏 研究者「とんでもなくすごい」
    2021年10月5日 23時10分

    ことしのノーベル物理学賞の受賞者に、プリンストン大学の上級研究員でアメリカ国籍を取得している真鍋淑郎さん(90)が選ばれました。
    親交がある研究者は、受賞決定について「とんでもなくすごいこと」などとたたえています。

    6年前に受賞 梶田隆章さん「若者にとって非常にいい刺激に」

    6年前にノーベル物理学賞を受賞した日本学術会議の梶田隆章会長は「ノーベル賞受賞者がことしも出たということで、日本の研究者を目指す若者にとって非常にいい刺激になる。本当にうれしく思います」と話しました。

    また、真鍋さんの功績について「自然現象をきちんと物理的手法でモデリングして、気候変動を予測することは社会的に極めて重要な課題だ。気候変動は非常に複雑だが、それを説明するために基礎に戻ってきちんと説明したということが重要で、若い人にもこのような基礎科学に興味を持って、いろんな分野に取り組んでもらいたい」と期待を寄せました。

    そして、先輩受賞者のひとりとして「本当にこれからお忙しいかと思うので、健康に気をつけて過ごされるよう願っています」とエールを送っていました。

    江崎玲於奈さん 「当時はおそらく注目されていない研究分野」

    昭和48年にノーベル物理学賞を受賞した江崎玲於奈さんは、電話での取材に対し「90歳の真鍋さんと96歳の私は同じような世代で、そのころはアメリカに渡った若い研究者が彼や私のように大勢いました。当時、二酸化炭素が気候に与える影響というのはおそらく注目されていない研究分野で、今回受賞が決まったことには、率直にお祝いのことばを申し上げたい」と話していました。

    「気候モデリングの父と呼べる方」

    真鍋さんと同じ分野の研究をしていて今も交流を続けている、国立環境研究所地球システム領域の江守正多副領域長は、受賞決定について「とんでもなくすごいことなのでびっくりしています。大気と海を物理法則でシミュレーションする気候モデリングの父と呼べる方で、その礎があって私たちがいま地球温暖化の予測ができています。そのモデリングを最初にされたというのはとんでもないことだ」と述べました。

    また、物理学賞を受賞した意義について「気象学は物理学の対象分野ではないと思われていたので、これが物理学として評価されたのはわれわれの分野全体として非常に大きな意味がある。気候変動問題というのは人類の問題で、その基礎が物理学でノーベル賞として認められたということを社会が受け止めて、気候変動対策というものに真剣に向き合っていかなくてはいけないというメッセージになると思います」と述べました。

    「私たちの生活に密接に関わる研究」

    真鍋さんと同じ分野の研究をしていて親交がある東京大学大学院理学系研究科の東塚知己准教授は、受賞決定について「受賞に値するすばらしい研究をされてきた。本当にうれしい」と話しました。

    そのうえで、研究成果について「誰も当時やっていなかった大気のモデルと海洋のモデルをくっつけたシミュレーションを作り、研究を進めたことだ。真鍋先生が開発されたモデルは温暖化の研究だけでなく、気象庁の予報のモデルにも応用されていて、私たちの生活に密接に関わっているものだ」と述べました。

    「温暖化の基礎となる研究を確立した」

    真鍋さんと同じ研究分野で、大学院時代から60年以上の親交がある、海洋研究開発機構の松野太郎特任上席研究員は、真鍋さんの受賞が決まったことについて「とてもうれしいです。真鍋先生の功績は、気象学の世界では誰もが知るところですが、ノーベル物理学賞として評価されたことが意外で驚きでした。真鍋先生にはおめでとうと伝え、この分野が評価されてよかったねと2人で喜びました」と話していました。

    真鍋さんの研究の意義について「気候の問題が物理の研究対象とは誰も思っていなかった時代に、この問題を物理の基礎を使って解明することを始めた第一人者で、温暖化の基礎となる研究を確立した」と説明しました。

    そして、真鍋さんの人柄については、「非常に元気で朗らかな方。すごい研究をした人なのに、すごいと思わせずフランクに付き合ってくれる。研究が大好きな方だが、いわゆる学者という雰囲気ではなく、研究分野にとどまらず政治や社会の問題についても関心をもっていて、話題が豊富な方です」と話していました。

    「新しい学問に挑戦 姿勢すばらしい」

    真鍋さんと同じ分野を研究していて、JAMSTEC=海洋研究開発機構で真鍋さんの部下だった東京大学大気海洋研究所の阿部彩子教授は「気候は総合的な物理現象であり、われわれの環境の基礎が何によって成り立っているか探る学問だということが、真鍋先生の業績によって評価されたことは意義深い」と話していました。

    また「気候の問題をコンピューターを使って研究するという新しい学問に挑戦するのは、非常に勇気がいったと思う。基本的な気候の問題を一から考え抜く姿勢がすばらしく、物事を広く考えることと、とことん考えることのバランスが絶妙で、学ぶところが多かった」と話していました。

    「リスクを覚悟の上で現実的な目標 哲学が卓越」

    気象庁の異常気象分析検討会の会長で東京大学の中村尚教授は、真鍋さんが在籍しているプリンストン大学に1991年から2年間、研究員として所属し、それ以来、親交があります。

    中村教授は「同じ日本人の偉大な先輩で公私にわたりお世話になり、感謝ということと、本当におめでとうございますと心からお伝えしたい」と話していました。

    また、真鍋さんの業績について中村教授は「国連のIPCC=『気候変動に関する政府間パネル』の報告書も最近出されましたが、地球の気候を再現し、それに基づいて将来を予測するという、その礎を築かれたのが真鍋先生です。今から40年以上も前の、計算資源が少ない時代に地球のエネルギーの流れをどう再現するのか、リスクを覚悟の上で現実的な目標を見据えた哲学が卓越していたのだと思います」と述べました。

    また、気象や気候の研究分野がノーベル物理学賞の対象とされたのは今回が初めてですが、中村教授は「これまで宇宙に関してはたくさんあるが、大気の分野がノーベル賞の対象になる日が来ると思っていなかったので驚きました。ノーベル賞という枠組みの中でわれわれの分野の研究が評価されたのは本当にありがたいし、うれしい。地球の人類の将来に不可欠だというところを認めていただいたとのは本当にうれしいことです」と話していました。

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    1. 「数値モデル 気象庁でも当たり前のように使用」

      真鍋さんの受賞について、気象庁気象研究所で地球温暖化の将来予測について研究している山中吾郎全球大気海洋研究部長は「真鍋さんが1960年代に世界に先駆けて提唱した大気と海洋を結合した数値モデルは、今の気候変動の予測に欠かせないもので、季節予報やエルニーニョ現象の予測など、気象庁の日常業務の中でも当たり前のように使われています。地球温暖化研究の世界で知らない人はいない伝説的な人なので、受賞はとてもうれしい」と話しています。

      その上で「90歳になってもなお第一線の研究者なので、これからも引き続きご活躍を続けてほしい」と話していました。

      「物理学は基礎 広く分かってもらえるきっかけに」

      真鍋さんが名誉会員として所属する「日本気象学会」の理事長で研究室の後輩にあたる東京大学大学院理学系研究科の佐藤薫教授は「真鍋先生は私が今、教授を務めている研究室の大先輩で、自分が大学院生だった35年ほど前に集中講義をしにきてくれた。それから私が教授になり、5年ほど前にも講演しにきてくれたが、研究内容を楽しそうに語る様子は全く変わっていなかった。気候や気象の研究は経験に基づく学問だと捉えられていると思うが、今回の真鍋先生の受賞によって物理学が基礎なんだと世の中に広く分かってもらえるきっかけになったのが、同じ分野の研究者として非常にうれしい」と話していました。

      「安心安全を守る気象学が世界中に認められた」

      真鍋さんと同じ分野の研究者で20年以上の交流があるという、国立環境研究所の木本昌秀理事長は「われわれの気象学の分野は何十年も前からノーベル賞をとれないと言われていて、今回の受賞はぶったまげておりますが、大変名誉なことだと思う。今地球全体で地球温暖化を止めて人類の進む方向を変えようとしている中で、その根拠となるサイエンスを先頭に立って引っ張ってきたのが真鍋先生であり、大変感慨深いものがあります」と述べました。

      真鍋さんの研究姿勢について「細かいところや分からないところに固執せず、それでいて大事なツボを外さないというすばらしいセンスの持ち主だ」と評価しました。

      そして、今回の受賞の意義について「人類の安心安全を守る私たちの気象学の研究が世界中に認められたことは大変励みになる。豪雨や土砂崩れなどの災害から身を守るためには精密な予測が必要で、その研究成果をみなさんに納得してもらわないと世の中は変わらないという中、今回の受賞をきっかけにみなさんに納得してもらいやすくなった。その意味でも意義深い受賞だ」と話していました。

      「研究をいつも楽しむ 非常に芯の強い方」

      真鍋さんは名古屋大学で特別招へい教授を務めたことがあり、名古屋大学の研究者からも受賞を喜ぶ声が上がりました。

      このうち名古屋大学大学院環境学研究科の須藤健悟教授は学会やセミナーなどで真鍋さんと一緒になったことがあるということで、「ノーベル物理学賞は地球科学などは基本的に対象にしないと言われてきたので本当に驚いています。真鍋先生は研究をいつも楽しんでいて、にこにこしていますが、非常に芯の強い方だと感じています。過去の研究を見て、せん越ながら、これが重要だという現象の本質的な部分、エッセンスの部分をズバッと切り出す、抽出することが非常に得意な方だという感想を持っています」と話していました。

      JAMSTEC 「世界各国で開発進む気候モデルの原型」

      真鍋さんがフェローを務めているJAMSTEC=海洋研究開発機構は「真鍋淑郎博士のノーベル賞受賞を心からお祝い申し上げます。気候変動予測情報の創出に不可欠なツールとなっている気候シミュレーションモデルの源流は、真鍋博士が1960年代から取り組みを始めた研究にあります。地球大気の鉛直構造を決める、エネルギーの伝達過程や対流の役割を正確に評価した『放射対流平衡モデル』による研究は、世界の気候モデル開発に先鞭をつけました。続いて、大気や海洋の流れを考慮し開発を進めた『大気海洋結合モデル』は、現在世界各国で開発が進む気候モデルの原型となり、目覚ましい発展を遂げています。真鍋博士は1997年から2001年まで、海洋研究開発機構に在籍され当時創生期にあった気候モデリングチームを指揮され、『気候変動に関する政府間パネル』報告書への寄与などを通じ世界に貢献する礎を築かれました。改めて感謝とお祝いの意を表しますとともに、真鍋博士のご健勝とますますのご発展をお祈りいたします」というコメントを公表しました。

      「受賞を機に温暖化問題の大事さ再認識を」

      真鍋さんは、地球温暖化対策の初の国際的な枠組み「京都議定書」の意義を後世に伝え地球環境の保全に貢献した人をたたえるために京都府などが2010年から始めた「KYOTO地球環境の殿堂」の最初の受賞者のひとりに選ばれています。

      選考委員を務めているNPO法人「気候ネットワーク」の代表で弁護士の浅岡美恵さんは、真鍋さんを受賞者に選んだ理由について「二酸化炭素が増えている要因が自然的な変化ではなく、産業革命以来の生産構造や暮らしの変化によるということをいち早く指摘していた。そしてこうした状況が積み重なることの危険性を警告し、世界的にも先駆的な研究となっていた」と説明しました。

      その上で「今回のノーベル賞受賞の背景として、気候変動問題に今世界の人々が対応しないと温暖化に対処できる最後のチャンスを逃してしまいかねないという危機感があるのを感じた。この受賞を機に、多くの人に温暖化問題の大事さを再認識してもらいたい」と話していました。

      環境省でも歓迎の声

      環境省では、気候変動に関わる研究がノーベル物理学賞を受賞することが決まったことを歓迎する声が聞かれました。

      環境省の幹部は「現在の気候変動に関する研究には真鍋さんが基礎を作ったモデル分析の手法は欠かせず、その功績は計り知れない。今回の受賞は、気候変動対策を考えるうえで科学的な知見に基づいた判断が求められていることが改めて裏付けられたと感じている」と話していました。

      また、地球科学の研究の経験があり気候変動対策を担当する職員は「この分野の研究では真鍋さんの名前は必ず論文で目にします。ノーベル賞とは無縁の分野だと思っていたので、受賞は画期的だと思います。今月末からは国連の会議『COP26』も開催されるので、気候変動対策の重要性に改めて注目が集まれば」と話していました。
      https://www3.nhk.or.jp/news/html/20211005/k10013293021000.html

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  72. ノーベル賞 真鍋淑郎さん 50年以上前に“温暖化”影響を予測
    2021年10月6日 18時40分

    ことしのノーベル物理学賞の受賞者に選ばれた真鍋淑郎さん(90)。
    いまから50年以上前に「二酸化炭素が増えれば地球の気温が上昇し、地球温暖化につながる」ということを世界に先駆けて発表。
    こうした成果がもとになり、地球温暖化や気候変動の研究が進みました。

    “非常にシンプルで本質突いたモデル”

    真鍋さんがノーベル物理学賞の受賞者に選ばれたことを記念して、東京 江東区の日本科学未来館では6日、急きょ、真鍋さんの研究内容や功績を紹介するトークイベントが開かれました。

    イベントには授業の一環で訪れていた中学生など10人余りが参加し、科学コミュニケーターが図や写真を投影しながら真鍋さんの研究内容を説明。

    「真鍋さんは50年以上前に、非常にシンプルで本質を突いた気候の予測モデルを作った。こうした成果によって地球温暖化が人類の活動によって起きたことが科学的に裏付けられた」と功績をたたえました。

    「現代の気候研究の基礎」

    ノーベルの選考委員会は、真鍋さんの受賞理由について「現代の気候の研究の基礎となった」としています。

    その気候モデル。真鍋さんは、地表面が太陽から受け取るエネルギーから、宇宙に逃げていくエネルギーを差し引いた「放射収支」と、空気や水蒸気が互いにどう影響し合うか、世界で初めて解明したとされます。
    1960年当時、真鍋さんはアメリカの気象局で、温室効果ガスが増えたら気候がどうなるかという温暖化問題に取り組んでいたといいます。

    地球の気候は、大気と海、そして陸地の間で熱や水蒸気がやりとりされ、次々と変化が起きる非常に複雑な現象ですが、真鍋さんは、複雑な関係を数式化して、世界で初めて大型コンピュータを使って予測したのです。

    1967年に発表した論文では、二酸化炭素の濃度が2倍になると、地球の平均気温がおよそ2.3度上がるとしています。
    真鍋さんは受賞が決まったあとのインタビューで「東京大学の地球物理教室にいた当時、天気予報を発展させて気候モデルを作っており、はじめは好奇心でやっていたが、アメリカに呼ばれて、コンピューターも使い放題で、全地球的な気候モデルの開発を始めました。1960年代のアメリカは冷戦を背景とした競争の中にあって非常に科学研究に力を入れていて、電子計算機の導入も盛んで、アメリカに呼ばれたのも幸運だったうえ、計算機が急速な進歩を遂げたというのも幸運で、いろいろな幸運が重なって今に来ている」と話しています。
    またスウェーデン王立科学アカデミーは「60年前、コンピュータ(の処理速度)は、現在よりも10万分の1の速さでした。真鍋さんのモデルは比較的単純なものでしたが、真鍋さんはまさしく重要な特徴をとらえていた」と評価しています。

    “大きな目でみて直感的に”

    真鍋さんと同じ研究分野で40年近くの親交がある東京大学未来ビジョン研究センターの住明正特任教授は真鍋さんの研究について「気象は複雑な物理現象が絡み合っていて細かく見ればキリがないが、それを大きな目でみて直感的に割り切って考える思考力とセンスが真鍋さんにはあった」と評価しました。

    「気候の計算のいちばん最初」

    真鍋さんと同じ分野の研究者として20年以上の交流がある国立環境研究所の木本昌秀理事長は「真鍋さんはいち早く気候の計算に向かって開発を始めて、気候の計算のいちばん最初はすべて真鍋さんのグループがやったと言って過言ではない。あのときに二酸化炭素を増やす計算をやっていなかったら、温暖化の問題が認識されることがもっと遅れて もっと手に負えないことになっていたかもしれない」と話しています。

    研究成果は身近な予報にも

    真鍋さんの研究成果は、温暖化だけにとどまらず、夏や冬の気温をはじめ、雨や雪の見通しといった私たちの暮らしに身近な「長期予報」にも生かされています。
    真鍋さんが先頭に立って開発に取り組んできたのは、気温や水蒸気の状況といった「大気の状態」と、海流や海水温の変化などの「海洋の状態」の相互の影響を考慮したうえで今後を予測する「大気海洋結合モデル」と呼ばれるものです。

    「この冬は寒いか」とか「ことしの梅雨は長いか」など比較的長期の天候を見通す場合、地球規模の海の状態が大気に影響したり、逆に、大気の状態が海に影響を及ぼしたりするため、気象庁の予報の現場でも不可欠だといいます。

    気象庁は、“きょう”や“あす”といった天気予報ではなく、「3か月予報」や「寒候期予報」などの長期予報には、「大気海洋結合モデル」を用いています。

    例えば、10月から12月にかけての3か月予報では赤道に近い、太平洋の中部や東部の海域では平年より海水温が低い状態が続くと予想されていますが、東寄りの風が吹いていることが影響していて、「大気海洋結合モデル」が無ければ予報できない現象だといいます。

    気象庁異常気象情報センターの竹川元章所長は「気象予報の世界では当たり前に使われている真鍋先生のモデルが、私たちの生活にも密接に関わっていることを多くの人に知ってほしい。受賞決定は私個人としてもうれしく、真鍋先生が礎を築いた気象庁のシステムを、これからも発展させていかなければならないと感じています」と話していました。
    https://www3.nhk.or.jp/news/html/20211006/k10013294041000.html

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  73. 水俣病の公式確認66年、遺族ら犠牲者悼む慰霊式…チッソ社長はリモート参列
    2022/05/01 15:22

    水俣病の犠牲者慰霊式で黙とうする参列者ら(1日午後1時36分、熊本県水俣市のエコパーク水俣で)=木佐貫冬星撮影

     水俣病の公式確認(1956年)から66年となった1日、熊本県水俣市で犠牲者慰霊式が営まれた。2019年は天皇陛下の即位と重なったため、同年10月に実施。20、21年は新型コロナウイルスの影響で中止となっていた。

     患者団体や市などでつくる実行委員会が主催した。患者・遺族代表として、09年の被害者救済法成立に尽力した未認定患者団体「水俣病出水の会」(鹿児島県出水市)の会長を務めた 尾上おのうえ 利夫さん(20年に82歳で死去)の妻・マツミさん(75)が祈りの言葉を読み上げた。

     式はオンラインで同市が中継。山口環境相、蒲島郁夫・熊本県知事、原因企業チッソの木庭竜一社長は、リモートで参列した。
    https://www.yomiuri.co.jp/national/20220501-OYT1T50079/

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    1. >水俣病の公式確認(1956年)

      >1968年9月26日、厚生省は、熊本における水俣病は新日本窒素肥料水俣工場のアセトアルデヒド製造工程で副生されたメチル水銀化合物が原因であると発表した。 同時に、科学技術庁は新潟有機水銀中毒について、昭和電工鹿瀬工場のアセトアルデヒド製造工程で副生されたメチル水銀を含む工場廃液がその原因であると発表した。
      https://www.google.co.jp/search?q=%E6%B0%B4%E4%BF%A3%E7%97%85+%E5%8E%9F%E5%9B%A0%E7%89%B9%E5%AE%9A

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    2. >かつて、水俣病や自動車公害を告発する学者を、大学でつるし上げ、追い出し、学会誌に出される論文をすべて掲載不可とした、それと同じようなことをしていないか。
      http://homepage3.nifty.com/junko-nakanishi/zak501_505.html

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    3. そして今は、新型コロナのワクチン接種後の薬害問題について…

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    4. 水俣病 公式確認から66年 犠牲者の慰霊式 熊本
      2022年5月1日 18時38分

      「公害の原点」と言われる水俣病が公式確認されてから66年となる1日、犠牲者の慰霊式が熊本県水俣市で行われました。

      慰霊式は新型コロナの影響で、おととし、去年と中止されましたが、ことしは規模を縮小して行われ、患者などおよそ20人が出席しました。

      式では、遺族を代表して鹿児島県出水市の尾上マツミさんが、亡き患者の夫と差別を受けながらも被害者の救済に奔走したことを振り返り「犠牲となられた皆様、安らかにお眠りください」と述べました。

      また、オンラインで出席した山口環境大臣は「国を代表して水俣病の拡大を防げなかったことを改めておわびします」と謝罪しました。

      一方、水俣市の乙女塚では患者団体主催の慰霊祭が行われ、およそ90人が祈りをささげました。

      水俣病をめぐっては、今なお1400人余りが熊本県、鹿児島県に患者認定を申請し、1600人近くが認定や損害賠償を求めて国、県、チッソと裁判を続けています。

      公式確認の年に生まれた胎児性患者、坂本しのぶさんは「66年になっても被害が認められず、裁判で闘う人がいるのはおかしい。早く患者と認定し、解決してほしい」と話していました。

      認定を求めて裁判を続ける佐藤英樹さんは「被害を起こし拡大を防がなかった罪を償うことが、加害者である国などがすべきことなのに、裁判などで非を認めず、非常に残念だ。しっかり向き合ってほしい」と話していました。
      https://www3.nhk.or.jp/news/html/20220501/k10013608201000.html

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